JP4949538B2 - 抗メチル化dna抗体を産生するハイブリドーマおよびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、抗メチル化DNA抗体を産生するハイブリドーマ、該ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体、および該抗体を用いてメチル化DNAを免疫沈降する方法に関する。
高等真核生物の染色体DNAでは、DNAを構成する塩基のうちシトシン(C)の5位がメチル化修飾されることがある。この高等真核生物におけるDNAのメチル化は、遺伝情報の発現抑制機構として機能している。例えば、ある遺伝子のプロモーター領域によく見られるCpG配列を多く含む領域(「CpGアイランド」または「CG島」とも呼ばれる)がメチル化されている場合、その遺伝子の転写が抑制される。これに対して、CpGアイランドがメチル化されていない場合、プロモーター領域に転写因子が結合できるので、該遺伝子が転写可能な状態となる。
このように、DNAのメチル化は遺伝子発現の制御機構の1つである。そのため、DNAのメチル化は、初期胚発生、組織特異的な遺伝子の発現、哺乳動物に特徴的な現象である遺伝子刷り込みやX染色体の不活性化、染色体の安定化、DNA複製のタイミングなどの様々な生理的、病理的な現象に重要な役割を果たしている。
さらに近年、癌やその他の疾病にDNAのメチル化が深く関与することが明らかになってきている。そのため、様々な遺伝子のメチル化の解析に基づいた癌の確定診断や予後予測などについての研究がなされている。
DNAのメチル化解析のためにメチル化DNAを回収する手法の1つとして、メチル化DNA免疫沈降法(Methylation DNA Immunoprecipitaion:MeDIP法)が知られている。MeDIP法では、メチル化DNAを特異的に認識する抗体またはメチル化DNA結合タンパク質を用いてメチル化DNAを免疫沈降して、試料に含まれるメチル化DNAを濃縮することができる。また、このMeDIP法とマイクロアレイ解析技術とを組み合わせたMeDIP−chip法を用いることにより、DNAのメチル化状態を網羅的に解析できることも知られている。
このようなMeDIP法に用い得る抗メチル化DNA抗体は、これまでに種々の抗体が市販されており、例えば、5−メチルシトシンまたは5−メチルシチジンを認識する抗体がよく用いられている。また、特開2003−125766号公報(特許文献1)には、5−メチル−2’−デオキシシチジンを抗原として用いてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマからモノクローナル抗体を得て、該抗体を用いる酵素結合免疫吸着法(ELISA法)により5−メチル−2’−デオキシシチジンを定量できることが記載されている。
特開2003−125766号公報
MeDIP法により得られたDNAについてメチル化DNA解析を行う場合、該MeDIP法では抗メチル化DNA抗体によるメチル化DNAの回収量および濃縮率は高いことが好ましい。
しかし、結合能の劣る抗メチル化DNA抗体を用いてDNA含有量の少ない試料に対してMeDIP法を行った場合、メチル化DNA解析に必要かつ十分な量のメチル化DNAを回収できないため、該解析の感度が低下する恐れがある。また、特異性の劣る抗メチル化DNA抗体を用いてMeDIP法を行った場合、得られたDNA中の非メチル化DNA含有量が多くなるため、メチル化DNA解析の信頼性が低下する恐れがある。
したがって、MeDIP法によるメチル化DNAの回収量および濃縮率のさらなる向上のため、メチル化DNAに対して優れた結合能および特異性を有する抗メチル化DNA抗体の開発が望まれていた。
本発明は、上記のような事情に鑑みて、メチル化DNAに対して優れた結合能および特異性を有する抗メチル化DNA抗体を産生するハイブリドーマを提供することを目的とする。
また、本発明は、メチル化DNAの回収量および濃縮率に優れたMeDIP法を可能とする抗メチル化DNA抗体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記の抗メチル化DNA抗体を用いる、メチル化DNAの回収量および濃縮率に優れたMeDIP法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の式(I):
Figure 0004949538
で示される、5’−(5−メチル−2’−デオキシシチジン−3’−ホスホ)−2’−デオキシグアノシン3’−リン酸(以下、「5−メチル−dCpdGp」ともいう)を抗原として用いることに着目した。そして、5−メチル−dCpdGpを含む抗原で動物を免疫し、該動物から得た抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合してハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマからメチル化DNAに対して優れた結合能および特異性を有する抗メチル化DNA抗体を得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、5−メチル−dCpdGpを含む抗原で免疫した動物から得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合して得られるハイブリドーマ(以下、「本発明のハイブリドーマ」ともいう)が提供される。
また、本発明によれば、上記のハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体、および該抗体を用いてメチル化DNAを免疫沈降する方法が提供される。
本発明のハイブリドーマにより、メチル化DNA、特にメチル化CpG配列に対して優れた結合能および特異性を有する抗メチル化DNA抗体を得ることができる。また、得られた抗体を用いてMeDIP法を行うことにより、従来の抗メチル化DNA抗体を用いた場合よりもメチル化DNAの回収量および濃縮率を著しく向上することができる。
本発明のハイブリドーマの培養上清および各種市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAおよび非メチル化DNAの量を示す棒グラフである。 本発明のハイブリドーマの培養上清および各種市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAの濃縮率を示す棒グラフである。 各反応条件において、本発明のモノクローナル抗体および市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAおよび非メチル化DNAの量を示す棒グラフである。 各反応条件において、本発明のモノクローナル抗体および市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAの濃縮率を示す棒グラフである。 本発明のモノクローナル抗体および市販抗体を用いたMeDIP法で回収した3MeCGおよび3MeCTの回収率を示す棒グラフである。
「CpG配列」とは、塩基配列中のシトシン(C)とグアニン(G)が5’から3’への方向にこの順序で隣り合った配列を意味する。同様に、「CpT配列」とは、塩基配列中のCとチミン(T)が5’から3’への方向にこの順序で隣り合った配列を意味する。なお、CpGおよびCpTの「p」の文字は、CとG(またはT)との間のホスホジエステル結合を表わす。
「メチル化CpG配列」とは、シトシンの5位がメチル化修飾されたCpG配列を表す。哺乳類のゲノムDNAでは、CpG配列を有する部位においてシトシンの5位がメチル化修飾されることが知られている。
「ハイブリドーマ」とは、リンパ球などの抗体産生細胞とミエローマ(骨髄腫)細胞とを人工的に融合させて得られる雑種細胞を意味し、抗体産生能を有する培養可能な細胞である。
本明細書において、メチル化DNAの「濃縮率」は、MeDIP法により回収されたメチル化DNAの非メチル化DNAに対する重量比([メチル化DNAの重量値]/[非メチル化DNAの重量値])で表される。
本発明のハイブリドーマは、5−メチル−dCpdGpを含む抗原で免疫した動物から得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合して得られるハイブリドーマである。
以下に、本発明のハイブリドーマの作製、該ハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体の製造および該抗体を用いてメチル化DNAを免疫沈降する方法について説明する。
なお、これらの方法自体はいずれも当業者に周知慣用の技術であり、ハイブリドーマを作製する方法は、例えばHybridoma Techniques(Cold Spring Harbor Laboratory, 1980年版)および細胞組織化学(山下修二ら、日本組織細胞化学会編;学際企画、1986年)に、メチル化DNAを免疫沈降する方法は、例えばエピジェネティクス実験プロトコール(牛島俊和、眞貝洋一ら編、羊土社、2008年)に記載されている。
1.本発明のハイブリドーマの作製
本発明のハイブリドーマは、以下のようにして作製することができる。なお、一般にハイブリドーマの作製方法は、以下の:
(1)免疫用抗原を調製する工程、(2)動物を抗原で免疫する工程、(3)動物から抗体産生細胞を単離する工程、(4)抗体産生細胞との細胞融合に用いるミエローマ細胞を調製する工程、(5)抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合してハイブリドーマとする工程、(6)ハイブリドーマを選択的培養する工程、(7)目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする工程、および(8)スクリーニングにより選択されたハイブリドーマをクローニングする工程を含む。
以下に、上記の各工程について、より詳しく説明する。
(1)抗原の調製
本発明のハイブリドーマの作製には、免疫用抗原として5−メチル−dCpdGpを含む抗原を用いる。
5−メチル−dCpdGpを含む抗原は、ハプテンとして少なくとも5−メチル−dCpdGpを含む化合物と、免疫学的手法において該化合物に結合して免疫原性を生じさせる適切なキャリアー分子とのコンジュゲートを含む抗原であればよい。該抗原は、さらにアジュバントなどの補助剤を含んでいてもよい。
また、上記の5−メチル−dCpdGpを含む化合物は、好ましくは5−メチル−dCpdGpを含む核酸、より好ましくは5−メチル−dCpdGpを含むDNAである。
本発明のハイブリドーマを作製するためには、5−メチル−dCpdGpとキャリアー分子とのコンジュゲートを適当な緩衝液(例えば、リン酸緩衝液など)に溶解または懸濁し、これにフロイント完全アジュバントもしくは不完全アジュバント、またはミョウバンなどの補助剤を混合して調製した免疫用抗原を使用することが好ましい。
上記のキャリアー分子としては、免疫学的手法において通常用いられ、ハプテンに結合して免疫原性を生じさせる分子であればよく、例えばウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin:BSA)、卵白アルブミン(Ovalbumin:OVA)、スカシガイのヘモシアニン(Keyhole Limpet Hemocyanin:KLH)が挙げられる。それらの中でもKLHが好ましい。
ハプテンとキャリアー分子とのコンジュゲートとしては、一般に、カルボキシル基とα‐アミノ基とを反応させたアミド結合を有するコンジュゲート、架橋剤を用いて両者を架橋して結合したコンジュゲートなどが挙げられる。そのようなコンジュゲートを得る方法としては、カルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、マレイミドベンゾイルオキシスクシンイミド(MBS)法などを用い得るが、それらの中でもMBS法が好ましい。
MBS法を用いる場合、5−メチル−dCpdGpのグアノシンのリン酸基に、メルカプト基を有するリンカー(例えば、炭素数1〜5のアルキルチオール)をあらかじめ結合させておくことにより、該リンカーのメルカプト基とKLHのアミノ基とを、MBSにより架橋して結合することができる。
(2)抗原による動物の免疫化
上記の抗原により、哺乳類または鳥類から選択される動物を免疫できる。そのような動物は免疫学的手法に通常用い得る動物であればよく、哺乳類としては、例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなどが挙げられ、鳥類としては、例えばニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ダチョウなどが挙げられる。それらの中でも、マウスが好ましい。
上記の抗原を動物に投与する方法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈注射、皮内注射または筋肉内注射のいずれであってもよいが、それらの中でも皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は、1回または適当な間隔、例えば1〜5週間の間隔で複数回行うことができる。また、1回の免疫に使用する抗原量は、用いる動物によっても異なるが、1匹当たり1〜1000μgを使用することが好ましい。
なお、免疫された動物の体内で抗原に対する抗体が産生されているか否かを確認するために、該動物から血液を採取し、該血液から分離した血清について、ELISA法などにより抗原との反応性を評価することができる。該反応性が不十分である場合は、上記の免疫を追加して行うこともできる。
(3)抗体産生細胞の単離
上記のようにして免疫された動物の細胞から、目的の抗体を産生する可能性がある抗体産生細胞を単離する。抗体産生細胞としては、脾臓、胸腺、リンパ節、末梢血またはこれらの組み合わせから得られる抗体産生能を有する細胞が挙げられるが、それらの中でも脾臓細胞またはリンパ節B細胞が好ましい。例えば、上記の動物への最終免疫の後、抗体産生が確認された動物から脾臓を摘出して、脾臓細胞を単離することができる。
(4)ミエローマ細胞の調製
本発明のハイブリドーマの作製に用いるミエローマ細胞は、ハイブリドーマの作製に一般的に用いられる細胞から適宜選択できる。そのようなミエローマ細胞としては、例えばマウス由来のP3U1、X63.653、Sp2/0、X63−Ag8、NS−1、MPC−11など、ラット由来のAG1、AG2、AG3、RCY3、210などが挙げられる。なお、抗体産生細胞とミエローマ細胞とは、同種の動物由来であることが好ましい。
上記のミエローマ細胞を培養する培地としては、細胞培養において通常用いられる培地から選択でき、例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、RPMI−1640などにウシ胎仔血清(FCS)を適量添加した培地が挙げられる。
(5)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合
細胞融合は、センダイウィルスを用いる方法、ポリエチレングリコールを用いる方法(PEG法)、電気処理による方法(電気融合法)などにより行うことができる。PEG法は、例えばKohlerおよびMilsteinの方法(Nature, 256: 495-497, 1975)に準じて行うことができ、例えば30〜50%ポリエチレングリコール(平均分子量1000〜4000)を用いて30〜40℃の温度で、抗体産生細胞とミエローマ細胞とを1〜10分間混合することによって行われる。
また、電気融合法は、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞との混合液に、まず10〜80 Vの交流電圧を1〜20秒間通電して細胞同士を接触させ、次いで1〜5kV/cmの高電圧直流パルスを10〜100μ秒のパルス幅でかけることによって行われる。
(6)ハイブリドーマの選択的培養
細胞融合により得られるハイブリドーマの選択は、ハイブリドーマのみが生育できる選択培地を用いて培養することにより行うことができる。そのような選択培地としては、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)またはHaz(ヒポキサンチン−アザセリン)を含む培地を用いることが好ましい。
例えば、HAT含有培地を用いるハイブリドーマの選択的培養は、ミエローマ細胞としてHGPRT(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)欠損株を用いた場合に有効である。すなわち、抗体産生細胞と融合しなかったHGPRT欠損ミエローマ細胞の増殖はHATにより阻害されるので、細胞融合工程後の細胞群をHAT含有培地で培養することによって、ハイブリドーマを選択的に培養することができる。
(7)ハイブリドーマのスクリーニング
上記のようにして培養したハイブリドーマのうち、目的の抗体を産生できるハイブリドーマを選択するために、スクリーニングを行う。
ハイブリドーマは産生した抗体を細胞外に分泌するので、選択培地中で増殖が認められたハイブリドーマの培養上清を採取し、この上清中の本発明のモノクローナル抗体の有無および抗体が存在する場合はその力価を、MeDIP法およびELISA法により評価することにより、ハイブリドーマをスクリーニングすることができる。
(8)ハイブリドーマのクローニング
上記のスクリーニングによって目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得た後に、該ハイブリドーマのクローニングを行う。クローニングの方法としては、例えば、ウェルあたり1個の細胞が播種されるように希釈する方法(限界希釈法)、ソフトアガロース培地上に細胞を播種した後にコロニーを取得する方法、マイクロマニピュレータにより1個の細胞を取得する方法、セルソータにより1個の細胞を分離するFACS法などが挙げられるが、限界希釈法が簡便で好ましい。
また、クローニングしたハイブリドーマについて、さらにスクリーニングおよびクローニングを繰り返して行い、抗体の力価がより優れたハイブリドーマを選択することもできる。
本発明者らは、上記の工程に従って、5−メチル−dCpdGpを含む抗原で免疫したマウスから得られた脾臓細胞とミエローマ細胞P3U1とを電気融合法で細胞融合して得られたハイブリドーマクローンのうち、MeDIP法および競合阻害試験(ELISA法)において良好な力価を示したモノクローナル抗体を産生するクローンSCR1〜7を取得した。
なお、以下の表1に、独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、〒292-0818、日本)に寄託した各クローンの受託番号および受託年月日を示す。
Figure 0004949538
2.本発明のモノクローナル抗体の製造
本発明のモノクローナル抗体は、本発明のハイブリドーマの培養上清から得ることができる。また、本発明のモノクローナル抗体は、本発明のハイブリドーマをヌードマウスなどの動物の腹腔内で増殖させて得られる腹水からも得ることができる。
さらに、本発明のモノクローナル抗体は、遺伝子組み換え技術によって得ることもできる。すなわち、本発明のハイブリドーマのゲノムDNAから本発明のモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖抗体遺伝子を同定し、該抗体遺伝子の配列を有するDNA断片を適当な発現ベクターに組み込み、得られたベクターをミエローマ細胞などのIgタンパク質を産生しない細胞に導入して、本発明のモノクローナル抗体を発現させることにより、本発明のモノクローナル抗体を得ることもできる。
上記の培養上清および腹水は、本発明のモノクローナル抗体を含むので、そのままMeDIP法などに使用することもできる。しかし、MeDIP法におけるメチル化DNAの回収量および濃縮率を向上させるために、上記の培養上清または腹水から本発明のモノクローナル抗体を精製し、精製された本発明のモノクローナル抗体を使用することが好ましい。
本発明のモノクローナル抗体の精製方法としては、当業者に公知の方法から選択することができ、例えば、透析、硫酸アンモニウム分画、ポリエチレングリコール分画、エタノール分画、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ゲル濾過、凍結乾燥などが挙げられる。これらの精製方法の中でも、アフィニティクロマトグラフィーが好ましく、プロテインA(またはG)カラムを用いるアフィニティクロマトグラフィーがより好ましい。
また、上記のようにして得られたモノクローナル抗体は、例えば、ELISA法などの公知の方法またはキットを用いることにより、サブクラスなどを決定できる。
本発明のモノクローナル抗体には、該抗体を断片化することによって得られる活性フラグメントも含まれる。そのような活性フラグメントとしては、メチル化DNAに対する特異的結合活性を失っていないフラグメントであればよい。これらの活性フラグメントは、例えば、精製した本発明のモノクローナル抗体を、パパイン、ペプシンまたはトリプシンなどで処理することにより調製できる。
本発明のモノクローナル抗体は、メチル化DNAに対して優れた結合能および特異性を有する。そのため、メチル化DNAを回収および濃縮する方法であるMeDIP法に好適に利用できる。
3.本発明のモノクローナル抗体を用いるメチル化DNA免疫沈降法(MeDIP法)
本発明のモノクローナル抗体を用いるMeDIP法(以下、「本発明のMeDIP法」ともいう)は、抗メチル化DNA抗体として本発明のモノクローナル抗体を用いることにより、従来の抗メチル化シトシン抗体などを抗メチル化DNA抗体として用いた場合よりも、多量のメチル化DNAを回収して濃縮できる。
したがって、本発明のMeDIP法により得られたメチル化DNAをメチル化DNA解析に用いれば、濃縮率の高い多量のメチル化DNAを該解析の試料とすることができる。
よって、本発明のMeDIP法は、メチル化DNA解析用試料の調製に好適である。
本発明のMeDIP法は、(1)生体試料から抽出したDNAを一本鎖DNA断片にする工程、(2)一本鎖DNA断片から本発明のモノクローナル抗体を用いてメチル化DNAを免疫沈降する工程、および(3)免疫沈降したメチル化DNAを回収する工程の3工程を含む。また、本発明のMeDIP法は、メチル化DNAが特異的に得られたか否かをDNA回収後に確認するために、さらに(4)メチル化DNAを検出する工程を含むことが好ましい。
以下に、各工程について、より詳しく説明する。
(1)生体試料からのDNAの抽出、該DNAの断片化および一本鎖への変性
解析対象から得た生体試料から、DNAを抽出する。生体試料としては、解析対象のDNAを含む試料であれば特に限定されないが、好ましくはゲノムDNAを含む試料、例えば培養細胞、臨床検体などを用い得る。臨床検体として具体的には、血液、血清、リンパ球、尿、乳頭分泌液、手術や生検などにより採取した組織などが挙げられる。
生体試料からのDNAの抽出は、当業者に公知の方法により行うことができる。例えば、細胞および/または組織を可溶化できる界面活性剤(コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を含む処理液と生体試料とを混合した後、物理的処理(撹拌、ホモジナイズなど)を施して生体試料に含まれるDNAを溶液中に遊離させることによってDNAを抽出できる。
得られたDNAは、公知の方法、例えば上記の溶液を遠心分離して上清を回収し、この上清をフェノール/クロロホルム抽出することなどによって精製してもよい。また、生体試料からのDNAの抽出および精製は、市販のキットを用いて行うこともできる。
次いで、得られたDNAを適当な長さ、例えば、200〜1000 bp程度に断片化する。
DNAの断片化は、超音波処理、アルカリ処理、酵素処理などにより行うことができる。例えば、水酸化ナトリウムを用いてアルカリ処理を行なう場合は、DNA溶液に水酸化ナトリウム溶液を終濃度0.1〜1.0 Nとなるよう添加し、10〜40℃で5〜15分間インキュベートすることによりDNAを断片化できる。また、酵素処理を行う場合、制限酵素を用いることができる。制限酵素は、DNAの塩基配列に基づいて適宜選択でき、例えばMseIやBamHIなどを用い得る。
そして、上記のようにして得られたDNA断片を、加熱して変性させた後に急冷することにより一本鎖にする。例えば、DNA断片を含む溶液を94〜96℃で5〜15分間加熱した後、2〜4℃まで急冷することにより、DNA断片を一本鎖にすることができる。
次の免疫沈降の工程では、上記で得られた一本鎖DNA断片を含む溶液に本発明のモノクローナル抗体を添加するので、該溶液を免疫沈降法において通常用いられる緩衝液で希釈することが好ましい。なお、希釈した溶液に抗体結合用担体をあらかじめ適量加えてローテーションなどをすることにより、該担体に非特異的に結合するタンパク質などを除く処理(以下、「プレクリアー処理」という)を行うこともできる。このような抗体結合用担体は、IgGのFc領域と特異的に結合できる担体であればよく、例えばプロテインA(またはG)セファロースビーズなどが挙げられる。
(2)メチル化DNAの免疫沈降
メチル化DNAの免疫沈降は、一本鎖DNA断片を含む溶液に本発明のモノクローナル抗体を適量加えて、20分〜24時間接触させて抗体と抗原とを反応させた後、抗体結合用担体を加えて、さらに20分〜3時間接触させることにより行う。
本発明のモノクローナル抗体の添加量(終濃度)は、一本鎖DNA断片を含む溶液(1μg/ml)に対して、0.01〜100μg/mlの範囲から選択される。また、本発明のモノクローナル抗体を用いてメチル化DNAの免疫沈降を行う場合、周囲温度は4〜50℃、好ましくは4〜37℃の範囲で行うことができる。
また、メチル化DNAの免疫沈降は、上記の一本鎖DNA断片を含む溶液に、抗体結合用担体にあらかじめ本発明のモノクローナル抗体を結合させた複合体を加えることにより行ってもよい。
(3)メチル化DNAの回収
遠心分離などにより上記の抗体結合用担体を回収し、これを適切な洗浄用緩衝液で数回洗浄した後、適切な溶出用緩衝液を用いて、抗体結合用担体に結合した本発明のモノクローナル抗体により捕捉されたメチル化DNAを溶出して回収する。
得られたメチル化DNAは、フェノール/クロロホルム法およびエタノール沈殿法などの当業者に公知の方法、またはキットなどにより精製してもよい。
(4)メチル化DNAの検出
上記の免疫沈降によってメチル化DNAを特異的に回収できたか否かは、PCR法、定量PCR法、バイサルファイトシークエンス法などの公知のメチル化DNA検出方法により確認できる。
(i)PCR法または定量PCR法による検出
PCR法または定量PCR法によりメチル化DNAを検出する場合、一般に入手可能なPCR用または定量PCR用キットを使用してもよい。また、PCR法では、増幅産物の存在をアガロース電気泳動法で確認することによってメチル化DNAを検出できる。
増幅の反応条件は、増幅する領域の塩基配列、増幅する長さなどに応じて、当業者が適宜決定できる。
また、増幅用プライマーは、生体試料としての細胞および組織などにおいて、メチル化修飾されている遺伝子の配列に対するプライマー(検出用)およびメチル化修飾されていない遺伝子の配列に対するプライマー(陰性対照用)を用いればよい。
(ii)バイサルファイトシークエンス法による検出
バイサルファイトシークエンス法によりメチル化DNAを検出する場合、MeDIP法により回収したDNAをバイサルファイト処理する。
バイサルファイト処理とは、亜硫酸水素のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの亜硫酸水素塩(バイサルファイト)の溶液をDNA溶液に添加して、該DNAに含まれる非メチル化シトシン(C)を、脱アミノ化反応によりウラシル(U)に変換する処理である。一方、バイサルファイトはメチル化シトシンには作用せず、上記のような塩基の変換は起こらない。したがって、DNAのメチル化状態の違いは、バイサルファイト処理によって塩基配列の違い(CおよびU)に変換される。
このバイサルファイト処理によってDNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換して、該DNAのシークエンス解析をすることにより、本来の塩基配列との違いを検出して、メチル化DNAを検出できる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ハイブリドーマの作製
1.免疫用抗原およびELISA法によるスクリーニング用抗原の調製
下記の式(II)で示される、5−メチル−dCpdGpにプロパンチオールをリンカーとして結合させた5’−(5−メチル−2’−デオキシシチジン−3’−ホスホ)−2’−デオキシグアノシン3’−リン酸−3−メルカプトプロピルエステル(以下、「5−メチル−dCpdGpC3H6SH」ともいう)と、キャリアーであるKLHとを、MBS法により架橋して結合させて、免疫用抗原を作製した。
Figure 0004949538
また、5−メチル−dCpdGpC3H6SHとBSAとを、MBS法により架橋して結合させて、ELISA法によるスクリーニング用抗原を作製した。
上記の免疫用抗原100μgとフロイント完全アジュバント(FCA)100μlとを混合し乳化して、FCA抗原液を調製した。また、免疫用抗原100μgとフロイント不完全アジュバント(FIA)100μlを混合し乳化して、FIA抗原液を調製した。
2.マウスへの免疫
FCA抗原液100μlを9週齢の雌性Balb/cマウス(日本チャールズリバー株式会社)の腹腔内に投与した(初回免疫)。その後、2週間毎に6回、FIA抗原溶液100μlを腹腔内投与した(追加免疫)。
3.脾臓細胞とミエローマ細胞との細胞融合
最後の追加免疫から14日後に、マウスから脾臓を無菌的に摘出した。そして、RPMI−1640培地中で脾臓から脂肪を除去した。脂肪を除去した脾臓に、注射器で培地を注入した後、脾臓の両端をはさみで切り落とし、脾臓から細胞を培地中に取り出した。得られた細胞を培地で分散させた後、ステンレスメッシュに通して脾臓細胞の懸濁液を取得した。
得られた脾臓細胞(1×108 cells)とマウスミエローマ細胞P3U1(2×107cells)とを混合し、電気融合装置SSH−2(島津製作所製)を用いて細胞融合させた。なお、この細胞融合は、脾臓細胞とミエローマ細胞との混合液に交流電圧(40V)を10秒間通電した後、直流パルス(2.3 kV/cm、パルス幅40μ秒)をかけて行った。
4.ハイブリドーマの培養
ハイブリドーマを1.2×106 cells/mlとなるようにHAT含有培地(1×10-4 Mヒポキサンチン、4×10-7 Mアミノプテリン、1.5×10-5 Mチミジンおよび20%FCSを含むRPMI−1640培地)に懸濁し、96ウェルプレート(Nunc社製;以下、培養用プレートとする)の各ウェルに1.2×105 cells/ウェルとなるように播種した。培養用プレートを37℃、5%CO2の恒温槽内に静置し、ハイブリドーマの培養を開始した。10日間培養してハイブリドーマのコロニーを出現させ、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行った。
5.ELISA法によるハイブリドーマのスクリーニング
リン酸緩衝液(140 mM NaCl、2.7 mM KCl、10 mM Na2HPO4および1.8 mM KH2PO4(pH 7.4);以下、PBSという)に、上記1.で作製したスクリーニング用抗原を終濃度5μg/mlとなるように添加して、固定用抗原溶液を調製した。この固定用抗原溶液50μlを96ウェルのポリスチレン製マイクロタイタープレートの各ウェルに添加した(以下、抗原固定プレートとする)。抗原固定プレートを4℃で一晩静置した後、各ウェルをPBS(200μl/ウェル)で洗浄した。洗浄後、抗原固定プレートの各ウェルにブロックエース(大日本製薬株式会社)を200μl/ウェル添加して、該プレートを室温で1時間静置した。その後、各ウェルを0.05% Tween20を含むPBS(以下、「PBS‐T」ともいう;200μl/ウェル)で洗浄した。
次いで、上記のハイブリドーマの培養上清を、培養用プレートの各ウェルから採取し、抗原固定プレートの各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、各ウェルをPBS‐T(200μl/ウェル)で2回洗浄した。洗浄後、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgポリクローナル抗体(Cappel社製)を抗原固定プレートの各ウェルに100μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応後、各ウェルをPBS‐T(200μl/ウェル)で洗浄を2回行った。洗浄後、HRPの基質であるオルトフェニレンジアミン(OPDA)を含む基質液(10 mg/25 mlのOPDA+2μlの30% H22/25 mlのクエン酸溶液)を100μlずつ各ウェルに加え、抗原固定プレートを遮光して室温で20分間静置した。そして、2N H2SO4を含む反応停止液を各ウェルに100μlずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダ(Model 3550:Bio-Rad社製)を用いて490 nmの吸光度を測定した。
6.MeDIP法によるハイブリドーマのスクリーニング
ヒト乳癌細胞株MCF7から抽出したゲノムDNA(4μg)を、制限酵素MseI(NEB社)と37℃で一晩反応させて、300〜1000 bpになるように断片化した。次いで、反応後のDNA断片を95℃で10分間加熱して変性させ、4℃で急冷して一本鎖DNA断片にした。得られた一本鎖DNA断片を、Chromatin Immunoprecipitationアッセイキット(Upstate biotechnology社)に添付のマニュアルに従って、該アッセイキットに付属の希釈用緩衝液で希釈した。その後、ProteinG Sepharoseビーズ(GEヘルスケア社)を添加し、4℃で30分間ローテーションしてプレクリアー処理を行った。そして、遠心分離後に回収した上清をチューブに分注し、MeDIP用検体および対照用検体とした。
上記のELISA法を用いたスクリーニングにおいて高い吸光度を示したハイブリドーマの培養上清をMeDIP用検体に添加し、正常マウスIgG抗体(SantaCruz社)を対照用検体に添加した。そして、これらを4℃で一晩ローテーションして反応させた後、ProteinG Sepharoseビーズ(GEヘルスケア社)をそれぞれに添加して、さらに4℃で1時間ローテーションして免疫沈降を行った。これにより、上記の培養上清に含まれる抗体とDNAとの複合体をProteinG Sepharoseビーズに結合させて回収した。次いで、回収したビーズを、Chromatin Immunoprecipitationアッセイキット(Upstate社)の洗浄用緩衝液で洗浄した後、上記の複合体中のDNAを前記キットの溶出用緩衝液で溶出した。そして、溶出したDNAを、プロテイナーゼKと反応させた後、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて精製した。
なお、上記の洗浄、溶出および精製は、各キットの使用説明書の記載に基づいて行った。
次に、上記のMeDIP法によって、メチル化DNAを特異的に回収できたか否かを確認するため、PCR法およびアガロース電気泳動法を行った。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、25μlの反応液を調製した。
2x FastStart Universal SYBR Green Master(Rox)(ROCHE社) 12.5μl
フォワード(F)プライマー(10μM) 1μl
リバース(R)プライマー(10μM) 1μl
回収したDNA 1μl
dH2O 9.5μl
用いたプライマーの配列は、下記のとおりである。
メチル化DNA検出用プライマーセットとして、MCF7細胞においてメチル化修飾を受けることが知られているGSTP1遺伝子のプロモーター領域を増幅するためのプライマーセットを用いた。以下にGSTP1プライマーの配列を示す。
F:5'- GAGGCCTTCGCTGGAGTT -3' (配列番号1)
R:5'- GTACTCACTGGTGGCGAAGA -3' (配列番号2)
また、非メチル化DNA検出用プライマーセットとして、ヒトの第14染色体に存在し、CpG配列を有さないためメチル化修飾を受けない領域(以下、CGF-1領域という)を増幅するためのプライマーセットを用いた。以下に、CGF-1領域の配列を示す。
<CGF-1領域>
GGAGGAGTCA AGAGAAGTTG GAAGCCAACT GAGAGAGAGG GAAGGCTTGA AGTGGTCAGG ACAGTGAACA CCTAAGAGAC ATCCACTGAA TTTGCCCACT AGGAAGCCAT TAGTGACTTC AATAGGAACA TCTTCAGTGC ATCATGAAGG CCAAAGATTG CCATGAAAGA GAGGAATGGA AATGGAGTGT GGG (配列番号10)
また、以下にCGF-1プライマーの配列を示す。
F:5'- GGAGGAGTCAAGAGAAGTTGGAAGC -3' (配列番号3)
R:5'- CCCACACTCCATTTCCATTCCTC -3' (配列番号4)
(ii)PCRの反応条件
上記の反応液を用い、下記の条件でPCRを行った。
95℃で10分を1サイクル、
95℃で30秒、66℃で15秒および72℃で30秒を45サイクル、
95℃で1分、66℃で30秒および95℃で30秒を1サイクル。
(iii)アガロース電気泳動
上記の各PCR産物を、2%アガロースゲルを用いて電気泳動して、増幅産物の存在を確認した。そして、GSTP1遺伝子の増幅産物がより多く、かつCGF-1領域の増幅産物がより少ない結果となった培養上清のハイブリドーマを選択した。
7.ハイブリドーマのクローニング
選択したハイブリドーマを、Hybridoma Cloning Factor(IGEN社)を用いた限界希釈法によりクローニングした。クローニングから10日目に、上記のELISA法を用いたハイブリドーマのスクリーニングと同様の方法で、抗体を産生するハイブリドーマ(抗体産生ハイブリドーマ)をクローニングした。
8.競合阻害試験による抗体産生ハイブリドーマの選択
以下の化合物1および2の各溶液(1mM)を調製し、これらを95℃で10分間熱処理した後、氷中で2分間冷却した。
化合物1:5−メチル−dCpdGpC3H6SH
化合物2:NNNCGNNN (「N」は、任意のヌクレオチドを示す)
PBSに、上記の1.で作製したスクリーニング用抗原を終濃度5μg/mlとなるように添加して、固定用抗原溶液を調製した。この固定用抗原溶液50μlを96ウェルのポリスチレン製マイクロタイタープレートの各ウェルに添加した(以下、抗原固定プレートとする)。抗原固定プレートを4℃で一晩静置した後、各ウェルをPBS(200μl/ウェル)で洗浄した。洗浄後、抗原固定プレートの各ウェルにブロックエース(大日本製薬株式会社)を200μl/ウェル添加して、該プレートを室温で1時間静置した。その後、各ウェルをPBS‐T(200μl/ウェル)で洗浄した。
次いで、上記のハイブリドーマの培養上清および上記の化合物1の溶液を、抗原固定プレートの各ウェルにそれぞれ50μlずつ添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、各ウェルをPBS‐T(200μl/ウェル)で2回洗浄した。洗浄後、HRP標識抗マウスIgポリクローナル抗体(Cappel社製)を各ウェルに100μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応後、各ウェルをPBS‐T(200μl/ウェル)で洗浄を2回行った。洗浄後、上記のOPDAを含む基質液を100μlずつ各ウェルに加え、抗原固定プレートを遮光して室温で20分間静置した。そして、2N H2SO4を含む反応停止液を各ウェルに100μlずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダ(Model 3550:Bio-Rad社製)を用いて490 nmの吸光度を測定した。
これにより、抗体産生ハイブリドーマから産生される抗体の化合物1への交差反応を確認した。また、化合物1の溶液に代えて、化合物2の溶液を用いて同様に抗体産生ハイブリドーマから産生される抗体の化合物2への交差反応を確認した。これらの結果に基づいて、化合物1に交差反応を示すが、化合物2に交差反応を示さない抗体を産生する抗体産生ハイブリドーマを選択した。
上記のクローニングおよび競合阻害試験を2回行って選択されたハイブリドーマについて、さらに上記のMeDIP法によるハイブリドーマのスクリーニングを行って、7つのハイブリドーマのクローン(SCR1〜7)を得た。
なお、表1に示すとおり、SCR2は2009年8月25日に受託番号NITE BP−805号として、SCR1、3および6は2009年9月10日にそれぞれ受託番号NITE BP−810号、受託番号NITE BP−811号および受託番号NITE BP−812号として、独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、〒292-0818、日本)に寄託された。
(実施例2)MeDIP法によるモノクローナル抗体の力価の検討
1.MeDIP法によるメチル化DNAの回収
実施例1の6.と同様の操作を行って、MCF7から抽出したゲノムDNA(4μg)から、一本鎖DNA断片の希釈液を調製し、この希釈液をプレクリアー処理して、MeDIP用検体および対照用検体を得た。
上記のSCR1〜7の培養上清、市販の抗メチル化シトシン抗体および抗メチル化シチジン抗体をそれぞれMeDIP用検体に添加し、正常マウスIgG抗体(SantaCruz社)、正常ラビットIgG抗体(SantaCruz社)および上記のELISA法を用いたスクリーニングにおいて抗体産生能を認められなかったハイブリドーマの培養上清(陰性対照の上清)をそれぞれ対照用検体に添加した。そして、これらを4℃で一晩ローテーションして抗体と抗原とを反応させた後、ProteinG Sepharoseビーズ(GEヘルスケア社)をそれぞれに添加して、さらに4℃で1時間ローテーションして免疫沈降を行った。そして、実施例1の6.と同様の操作を行って、回収したビーズからDNAを溶出し、これを精製した。
なお、以下の表2に、用いた市販抗体のメーカー、クローン名などを示す。
Figure 0004949538
2.定量PCR法
次に、上記のMeDIP法によって得られたメチル化DNAの回収量および濃縮率を検討するため、定量PCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、25μlの反応液を調製した。なお、上記のMCF7から抽出したゲノムDNAの希釈系列(0.1、1.0、10および100 ng/μl)についても、同様に反応液を作製して、これらを検量線作成用サンプルとした。
2x FastStart Universal SYBR Green Master(Rox)(ROCHE社) 12.5μl
Fプライマー(10μM) 1μl
Rプライマー(10μM) 1μl
回収したDNA 1μl
dH2O 9.5μl
プライマーには、上記のGSTP1プライマー(配列番号1および2)ならびにCGF-1プライマー(配列番号3および4)を用いた。
上記の反応液について、Mx3005P(Stratagene社製)を用いて、下記の反応条件で定量PCRを行った。
(ii)定量PCRの反応条件
95℃で10分を1サイクル、
95℃で30秒、66℃で15秒および72℃で30秒を45サイクル、
95℃で1分、66℃で30秒および95℃で30秒を1サイクル。
3.結果
図1および2に、各抗体を用いたMeDIP法によって得られたメチル化DNAの回収量および濃縮率を示した。図1は、SCR1〜7のハイブリドーマの培養上清および各種市販抗体を用いてMeDIP法で回収されたメチル化DNAおよび非メチル化DNAの量を示す棒グラフである。図2は、SCR1〜7のハイブリドーマの培養上清および各種市販抗体を用いてMeDIP法で回収したメチル化DNAの濃縮率を示す棒グラフである。
図1および2から、SCR1〜7の培養上清によるメチル化DNAの回収量および濃縮率は、市販抗体と比較して、いずれも顕著に高いことが明らかとなった。
例えば、図1から、SCR1〜7のハイブリドーマの培養上清を用いると、各種市販抗体よりも、MeDIP法によるメチル化DNAの回収量が顕著に高いことが分かる。より具体的には、市販抗体の中で最も多い回収量を示したNovus社の抗体と比較して、SCR1は45.9倍、SCR2は136.4倍、SCR3は109.3倍、SCR4は54倍、SCR5は56.6倍、SCR6は78.1倍、SCR7は132.8倍の回収量を示した。この結果から、本発明のハイブリドーマから産生される抗体は、各種市販抗体よりもメチル化DNAへの結合能が高いことが示唆される。
さらに、SCR1〜7のハイブリドーマの培養上清を用いたMeDIP法は、メチル化DNAの回収量の増加に比べ、非メチル化DNAの回収量の増加がほとんどないことが分かる。このことから、本発明のハイブリドーマから産生される抗体は、各種市販抗体よりも、メチル化DNAへの特異性が高いことが示唆される。
また、図2から、各種市販抗体に比べ、SCR1〜7から産生される抗体は、MeDIP法によるメチル化DNAの濃縮率が高いことが分かる。より具体的には、濃縮率について、Inputと比較して、SCR1は67倍、SCR2は124倍、SCR3は97倍、SCR4は57倍、SCR5は84倍、SCR6は108倍、SCR7は99倍の濃縮率を示した。
さらに、市販抗体の中で最も高い濃縮率を示したDiagenode社の抗体と比較して、SCR1は3.3倍、SCR2は6.1倍、SCR3は4.8倍、SCR4は2.8倍、SCR5は4.1倍、SCR6は5.3倍、SCR7は4.9倍の濃縮率を示した。
この結果から、本発明のハイブリドーマから産生される抗体は、各種市販抗体よりもメチル化DNAへの特異性が高いことが示唆される。
(実施例3)腹水からのモノクローナル抗体の精製
1.腹水の作製
5匹のBalb/cヌードマウス(6週齢、雌性:日本チャールズリバー株式会社)の腹腔内に、ハイブリドーマSCR2(1×107 cells/匹)を接種した。接種から1週間後、該マウスにSCR2(1×107 cells/匹)を追加接種した。追加接種から2週間後、該マウスから注射器を用いて腹水を採取した。
2.硫安塩析
得られた腹水17.5 mlに、50%飽和となる量(5.1 g)の硫酸アンモニウムを少量ずつ加え、冷却しながら撹拌して沈殿を得た。次いで、この沈殿を回収し、PBSで溶解して溶液にした。そして、該溶液を透析チューブに入れ、4リットルのPBSで12日間透析した。透析後、チューブ内の溶液を0.45μmフィルターで濾過することにより、精製されたモノクローナル抗体(279 mg)を得た。
また、得られたモノクローナル抗体のサブクラスは、Mouse monoclonal antibody isotypingテストキット(Serotec社)を用いて検討した結果、IgG2a(κ)であった。
以下の実施例4では、このSCR2から得たモノクローナル抗体を用いた。
(実施例4)モノクローナル抗体の温度特性の検討
1.MeDIP法
実施例1の6.と同様の操作を行って、MCF7から抽出したゲノムDNA(4μg)から、一本鎖DNA断片の希釈液を調製し、この希釈液をプレクリアー処理して、MeDIP用検体および対照用検体を得た。
上記のSCR2から得たモノクローナル抗体、Diagenode社の抗メチル化シチジン抗体をそれぞれMeDIP用検体に添加し、正常マウスIgG抗体(SantaCruz社)を対照用検体に添加した。そして、これらを4℃で一晩、4℃で1時間、室温で1時間または37℃で1時間の条件でローテーションして抗体と抗原とを反応させた後、ProteinG Sepharoseビーズ(GEヘルスケア社)をそれぞれに添加して、さらに各温度で1時間ローテーションして免疫沈降を行った。そして、実施例1の6.と同様の操作を行って、回収したビーズからDNAを溶出し、これを精製した。
2.定量PCR法
次に、上記のMeDIP法によって得られたメチル化DNAの回収量および濃縮率を検討するため、定量PCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、25μlの反応液を調製した。なお、上記のMCF7から抽出したゲノムDNAの希釈系列(0.1、1.0、10および100 ng/μl)についても、同様に反応液を作製し、これらを検量線作成用サンプルとした。
2x FastStart Universal SYBR Green Master(Rox)(ROCHE社) 12.5μl
Fプライマー(10μM) 1μl
Rプライマー(10μM) 1μl
回収したDNA 1μl
dH2O 9.5μl
メチル化DNA検出用プライマーセットとして、FBRS遺伝子およびREXO1L1遺伝子を増幅するためのプライマーセットを用いた。なお、本発明者らは、これらのプライマーセットにより増幅される領域が、MCF7細胞においてメチル化修飾を受けることを確認している(後述する参考例を参照されたい)。
また、非メチル化DNA検出用プライマーとして、上記のCGF-1プライマーセットを用いた。
以下にFBRSプライマーセットおよびREXO1L1プライマーセットの配列を示す。
・FBRSプライマーセット
F:5'- GAGAAGTAGTTGGAAGGAGAGG -3' (配列番号5)
R:5'- CCCTACACTAACTACAATAATTTAATATCC -3' (配列番号6)
・REXO1L1プライマーセット
F:5'- GTAGGATGGTTTGGATTTGGGGTAA -3' (配列番号7)
R:5'- CAACTACTCCTAACTCTATAAACTACCAA -3' (配列番号8)
上記の反応液について、Mx3005P(Stratagene社製)を用いて、下記の反応条件で定量PCRを行った。
(ii)定量PCRの反応条件
95℃で10分を1サイクル、
95℃で30秒、66℃で15秒および72℃で30秒を45サイクル、
95℃で1分、66℃で30秒および95℃で30秒を1サイクル。
ただし、FBRSプライマーセットを用いた反応液については、下記の条件で定量PCRを行った。
95℃で10分を1サイクル、
95℃で30秒、63℃で15秒および72℃で30秒を45サイクル、
95℃で1分、63℃で30秒および95℃で30秒を1サイクル。
3.結果
図3および4に、各条件におけるMeDIP法によって得られたメチル化DNAの回収量および濃縮率を示した。図3は、各反応条件における、SCR2から得たモノクローナル抗体および市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAおよび非メチル化DNAの量を示す棒グラフである。図4は、各反応条件において、SCR2から得たモノクローナル抗体および市販抗体を用いたMeDIP法で回収したメチル化DNAの濃縮率を示す棒グラフである。
図3から、SCR2から得たモノクローナル抗体は、いずれの反応条件においても、MeDIP法によるメチル化DNAの回収量が高いことが分かる。また、SCR2から得たモノクローナル抗体は、いずれの反応条件においても、MeDIP法による非メチル化DNAの回収量の増加がほとんどないことが分かる。このことから、SCR2から得たモノクローナル抗体は、各反応条件において、メチル化DNAへの高い結合能および特異性を有することが示唆される。
さらに、図4から、SCR2から得たモノクローナル抗体は、いずれの反応条件においても、MeDIP法によるメチル化DNAの濃縮率が高いことが分かる。このことから、SCR2から得たモノクローナル抗体は、各反応条件において、メチル化DNAへの高い特異性を有することが示唆される。
上記の結果から、従来、MeDIP法においては4℃で一晩の反応を行っていたが、本発明のモノクローナル抗体を用いれば、4℃で1時間、室温で1時間および37℃で1時間のいずれの条件下でもMeDIP法を行うことが可能であることが示された。
(参考例)バイサルファイトシークエンス法によるメチル化DNAの検出
実施例4で用いたFBRS遺伝子およびREXO1L1遺伝子のプライマーセットにより増幅される領域が、MCF7細胞においてメチル化修飾を受けることをバイサルファイトシークエンス法により検討した。
1.バイサルファイト処理したDNA溶液の調製
MCF7細胞から抽出したゲノムDNA(2μg)を19μlの水に希釈し、これに6N水酸化ナトリウム水溶液を1μl添加して終濃度0.3 Nとし、37℃で15分間インキュベーションして変性させた。
次いで、上記のDNA溶液に3.6 M重亜硫酸ナトリウム/0.6 Mヒドロキノン溶液を120μl添加した後、95℃で30秒および50℃で15分を1サイクルとして、これを15サイクル繰り返すことにより、バイサルファイト処理をした。そして、処理した溶液をWizard(登録商標)DNA Clean-up System(Promega社)を用いて脱塩し、TE緩衝液50μlで溶出して、非メチル化シトシンをウラシルに変換したDNA溶液を得た。
上記のDNA溶液に3N水酸化ナトリウム水溶液を5μl添加して、室温で5分間インキュベーションした後、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)で精製して、DNA溶液を得た。
2.シークエンス解析
得られたDNA溶液を鋳型として、上記のFBRS遺伝子およびREXO1L1遺伝子のプライマーセットを用いてPCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、15μlの反応液を調製した。
10x Ex Taq(登録商標)バッファー(タカラバイオ株式会社) 12.5μl
dNTP mix(2.5 mM) 1.2μl
Fプライマー(10μM) 0.6μl
Rプライマー(10μM) 0.6μl
DNA溶液 1μl
Ex Taq(登録商標)ポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社) 0.12μl
dH2O 9.98μl
上記の反応液を用い、下記の条件でPCRを行った。
(ii)定量PCRの反応条件
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、66℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で放置。
ただし、FBRSプライマーセットを用いた反応液については、下記の条件で定量PCRを行った。
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で放置。
得られた各PCR産物を、TAクローニングキット(Invitrogen社)のpCR(登録商標)2.1ベクターに組み込み、これらのプラスミドを回収し、M13Rvプライマーを用いてシークエンス解析を行った。
なお、以下にM13Rvプライマーの配列を示す。
5'- CAGGAAACAGCTATGAC -3' (配列番号9)
シークエンス結果に基づいて、FBRS遺伝子およびREXO1L1遺伝子の増幅領域に存在するCpG配列のメチル化状態を表3に示す。この表において、CpG配列の行に示される数字は、各遺伝子の増幅領域の5'末端から出現順に数えたCpG配列の番号である。●はメチル化CpG配列、○は非メチル化CpG配列を表わす。
Figure 0004949538
表3に示されるように、MCF7細胞においては、FBRSおよびREXO1L1遺伝子の増幅された領域に存在するCpG配列のほとんどがメチル化される傾向にあった。
したがって、上記のプライマーセットは、MeDIP法により回収されたMCF7細胞のメチル化ゲノムDNAの定量PCRに好適に用いることができる。
(実施例5)本発明のモノクローナル抗体が認識するエピトープの検討
メチル化CpGを含むオリゴヌクレオチドである3MeCGと、メチル化CpTを含むオリゴヌクレオチドである3MeCTとを抗原として用いて、本発明のモノクローナル抗体が認識するエピトープを検討した。
1.MeDIP法
実施例1の6.と同様の操作を行って、MCF7から抽出したゲノムDNA(4μg)から、一本鎖DNA断片の希釈液を調製した。次いで、この希釈液をプレクリアー処理して、DNA試料を得た。そして、得られたDNA試料に、予め95℃で10分間加熱して変性させ、4℃で急冷した3MeCGを添加し、3MeCG検体とした。なお、3MeCGの配列を以下に示す。
<3MeCG>
5'-CGAGGTCGACGGTATTGATm5cGAGTATCGATAGTm5cGATATCGATATCGATATm5cGATATACAACGTCGTGACTGG-3' (配列番号11)
(配列中の「m5c」は、5−メチルシトシンを示す。)
上記の3MeCG検体の調製において、3MeCGに代えて、3MeCTを用いた以外、同様に操作して3MeCT検体を調製した。なお、3MeCTの配列を以下に示す。
<3MeCT>
5'-CGAGGTCGACGGTATTGATm5cTAGTATCGATAGTm5cTATATCGATATCGATATm5cTATATACAACGTCGTGACTGG-3' (配列番号12)
上記のSCR2およびSCR3から得たモノクローナル抗体ならびにDiagenode社の抗メチル化シチジン抗体を、それぞれ3MeCG検体および3MeCTに添加した。そして、これらの検体を4℃で一晩、ローテーションして抗体と抗原とを反応させた。その後、ProteinG Sepharoseビーズ(GEヘルスケア社)をそれぞれに添加し、実施例1の6.と同様の操作を行って、回収したビーズからDNAを溶出し、これを精製した。
2.定量PCR法
次に、上記のMeDIP法によって得られたメチル化DNAの回収量を検討するため、定量PCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
実施例2と同様の反応液を、25μl調製した。
メチル化DNA検出用プライマーセットとして、以下の配列番号12および配列番号13に示されるプライマーを用いた。このプライマーセットは、上記の3MeCGおよび3MeCTを特異的に増幅できる。
F:5'- CGAGGTCGACGGTAT -3' (配列番号13)
R:5'- CCAGTCACGACGTTGTA -3' (配列番号14)
上記の反応液について、Mx3005P(Stratagene社製)を用いて、下記の反応条件で定量
PCRを行った。
(ii)定量PCRの反応条件
95℃で10分を1サイクル、
95℃で30秒、55℃で15秒および72℃で30秒を45サイクル、
95℃で1分、55℃で30秒および95℃で30秒を1サイクル。
検量線を作成するために、3MeCGおよび3MeCTのそれぞれの希釈系列を調製した。そして、これらについて定量PCRを行って検量線を作成した。この検量線に基づいて、上記のMeDIP法で回収された各DNAについて定量PCR法により得られたCt値からコピー数を算出し、これをメチル化DNAの回収量(copy)とした。
また、上記のMeDIP法で用いた免疫沈降前の3MeCG検体および3MeCT検体について定量PCRを行い、得られたCt値からコピー数を算出し、これをInput DNAの回収量(copy)とした。算出されたメチル化DNAの回収量(copy)およびInput DNAの回収量(copy)から、以下の式(1)により回収率(copy/copy)を算出した。
[回収率(copy/copy)]=[メチル化DNAの回収量(copy)]/[Input DNAの回収量(copy)] ・・・ (1)
3.結果
表1および図5に、SCR2およびSCR3から得たモノクローナル抗体、ならびにDiagenode社の抗メチル化シチジン抗体を用いたMeDIP法による、3MeCGおよび3MeCTの回収率を示す。
Figure 0004949538
表1および図5から明らかなように、Diagenode社の抗メチル化シチジン抗体を用いた
MeDIP法では、3MeCGと3MeCTの回収率の間には、顕著な差は見られなかった。
一方、SCR2およびSCR3のそれぞれから得たモノクローナル抗体を用いたMeDIP法では、3MeCTの回収率に比べ、3MeCGの回収率の方が顕著に高いことがわかる。より具体的には、SCR2から得たモノクローナル抗体は、3MeCGを、3MeCTの325倍回収していることがわかる。また、SCR3から得たモノクローナル抗体は、3MeCGを、3MeCTの160倍回収していることがわかる。
このことから、SCR2およびSCR3から得たモノクローナル抗体は、メチル化CpG配列をエピトープとして認識していることが示された。
本出願は、2009年9月28日に出願された日本国特許出願特願2009−222893号および2009年12月28日に出願された日本国特許出願特願2009−298213号に関し、これらの特許請求の範囲、明細書、図面及び要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。

Claims (12)

  1. 託番号NITE BP−810号(SCR1)、受託番号NITE BP−805号(SCR2)、受託番号NITE BP−811号(SCR3)または受託番号NITE BP−812号(SCR6)として独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されている、ハイブリドーマ。
  2. 5’−(5−メチル−2’−デオキシシチジン−3’−ホスホ)−2’−デオキシグアノシン3’−リン酸を含む抗原で免疫した動物から得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合して得られるハイブリドーマから得られ、エピトープがメチル化CpG配列である、モノクローナル抗体。
  3. 原が、5’−(5−メチル−2’−デオキシシチジン−3’−ホスホ)−2’−デオキシグアノシン3’−リン酸を含む核酸を有する、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  4. 酸がDNAである、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  5. 原が、5’−(5−メチル−2’−デオキシシチジン−3’−ホスホ)−2’−デオキシグアノシン3’−リン酸−3−メルカプトプロピルエステルを含む、請求項のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  6. 原が、さらにキャリアー分子を含む、請求項のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  7. ャリアー分子が、スカシガイのヘモシアニン(Keyhole Limpet Hemocyanin:KLH)である、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  8. 疫が、抗原と補助剤を混合して得られる液を用いて行われる、請求項のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  9. 助剤が、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバントまたはミョウバンである、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  10. 物がマウスである、請求項のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  11. イブリドーマが、受託番号NITE BP−810号(SCR1)、受託番号NITE BP−805号(SCR2)、受託番号NITE BP−811号(SCR3)または受託番号NITE BP−812号(SCR6)として独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されている、請求項10のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  12. 体試料から抽出したDNAを一本鎖DNA断片にする工程と、
    一本鎖DNA断片から請求項11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を用いてメチル化DNAを免疫沈降する工程と、
    免疫沈降したメチル化DNAを回収する工程と
    を含む、メチル化DNAを免疫沈降する方法。
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