JP4948823B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
この燃料電池では、アノード電極で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を透過してカソード電極まで移動し、カソード電極で酸素と電気化学反応を起こして発電し、その際に水(以下、生成水という)を生成する。この反応は反応ガスの流れ方向上流側から下流側へ向かって進行する。また、発電には発熱を伴うため、発電を継続するために一般に冷媒を流して燃料電池を冷却している。
このように、燃料電池スタック内の相対湿度に差が生じると、発電にも差が生じるという課題がある。
そこで、この発明は、膜電極構造体の相対湿度をほぼ均一にすることができる燃料電池スタックを提供するものである。
また、セパレータにおける突条の波形の鉛直方向のピッチを上部領域よりも下部領域を小さくしたことにより、反応ガス通路の流路抵抗も上部領域よりも下部領域の方が大きくなる。その結果、下部領域における反応ガスの圧力を低下させて飽和水蒸気圧以下にすることができ、下部領域の反応ガス通路内に存在する生成水等の水を気化させて反応ガスとともに排出することができる。
このように構成することにより、上部領域と下部領域に確実に冷媒を流通させることができる。
請求項2に係る発明によれば、上部領域と下部領域に確実に冷媒を流通させることができる。
図1は燃料電池スタックSの概略斜視図であり、燃料電池スタックSは、縦方向に細長い単位燃料電池(以下、単位セルと称す)10を多数積層して電気的に直列接続し、その両側にエンドプレート90A,90Bを配置し、図示しないタイロッドによって締結して構成されている。この実施例の燃料電池スタックSは、前記縦方向を鉛直方向(重力方向)に向けて車両に搭載される。以下、図中の矢印X,Yは水平方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示す。
また、燃料ガス供給口91に燃料ガスを、酸化剤ガス供給口93に酸化剤ガスを、それぞれ図示しないマニホールドを介して供給可能に構成されており、アノードオフガス排出口92から排出されるアノードオフガス、カソードオフガス排出口94から排出されるカソードオフガスを、それぞれ図示しないマニホールドを介して排出可能に構成されている。
その際に、上部バッファー部37が下方に末広がりの台形状をなし、多数の凸部38を有しているので、燃料ガス供給口11から上部バッファー部37に導入した燃料ガスを拡散して総ての突条31Aにほぼ均一に分配することができる。また、下部バッファ部40が上方に末広がりの台形状をなし、多数の凸部41を有しているので、各突条31Aから下部バッファ部40に導入されたアノードオフガスを整流してアノードオフガス排出口12に集合させることができる。
図2のように同一面側から見たときに、カソード側セパレータ30Bの突条31Bとアノード側セパレータ30Aの突条31Aでは位相を異にしており、正弦波形で言えば180度位相がずれている。
突条31Bも、長手方向中間部よりも上側の上部領域のピッチP1が、前記中間部より下側の下部領域のピッチP2よりも大きく設定されており、突条31Bの振幅Wについては上部領域も下部領域も同じに設定されている。なお、突条31BのピッチP1と突条31AのピッチP1は同寸法であり、突条31BのピッチP2と突条31AのピッチP2は同寸法であり、突条31Bの振幅Wと突条31Aの振幅Wは同寸法である。
カソード側セパレータ30Bのシール部43は、酸化剤ガス供給口13とカソードオフガス排出口14と上部バッファー部37と下部バッファ部40と総ての突条31B,39,42の外側を一周して囲繞するとともに、燃料ガス供給口11、アノードオフガス排出口12、各冷却水供給口15a〜15d、各冷却水排出口16a〜16d、タイロッド挿通孔17をそれぞれ個別に囲繞している。
なお、図2において膜電極構造体20の面内に二点鎖線で示すように、この燃料電池スタックSにおいては、アノード側セパレータ30Aの突条31Aおよびカソード側セパレータ30Bの突条31Bが設けられている領域が実質的な発電領域Gとなる。
前述したように、アノード側セパレータ30Aの突条31Aとカソード側セパレータ30Bの突条31Bは互いに位相を異にしているので、突条31Aにおける第1の直線部32の頂部35と突条31Bにおける第1の直線部32の頂部35とを密接させて重ねたときに、突条31Aにおける第2の直線部33の頂部35と突条31Bにおける第2の直線部33の頂部35は重なることなく、互いに水平方向に離間して位置し、この間に開口60が形成される。
その結果、冷却水供給口15a〜15dから冷却水通路53に導入された冷却水は、突条31Aの第2の直線部33と突条31Bの第2の直線部33との間を縫うようにして水平方向に流通し、対応する冷却水排出口16a〜16dへと流れる。つまり、燃料ガスと酸化剤ガスが鉛直方向に流れるのに対し、冷却水はこれら反応ガスの流れ方向と直交する水平方向に流れる。
また、前述したように、突条31Aおよび突条31Bは、下部領域のピッチP2が上部領域のピッチP1よりも小さく設定されているので、突条31Aの第2の直線部33と突条31Bの第2の直線部33の間に形成される開口60の開口面積は、上部領域よりも下部領域の方が小さくなり、冷却水通路53の流路抵抗は上部領域よりも下部領域の方が大きくなる。
これにより、膜電極構造体20の面内方向全域において均一に発電をすることができ、安定した発電が可能になる。また、膜電極構造体20の乾燥を防止することができるとともに、生成水による反応ガス通路51,52の閉塞を防止することができる。
特にこの実施例では、冷却水通路53の上部領域に対応する位置に冷却水供給口15a,15bと冷却水排出口16a,16bを設け、冷却水通路53の下部領域に対応する位置に冷却水供給口15c,15dと冷却水排出口16c,16dを設けたので、上部領域と下部領域に確実に冷却水を流通させることができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、隣接する2つの単位セル間に総て冷媒通路を設けたが、冷媒通路は単位燃料電池間に総て設けず、間引きして設けてもよい。この場合に、冷媒通路を間引いた部位では、隣接する2つの単位セルが1つのセパレータを共有し、該セパレータが一方の単位セルではアノード側セパレータとして機能し、他方の単位セルではカソード側セパレータとして機能する。
突条の波形は前述した台形波状に限るものではなく、正弦波形状など種々の形状が採用可能である。
この発明において突条の上部領域とは下部領域に対して上方に位置する領域という意味である。したがって、前述した実施例では、冷媒通路(突条)を上下2つの領域に分けたが、3つあるいはそれ以上の領域に分けて、下方に位置する領域ほど流路抵抗を大きく(突条の波のピッチを小さく)してもよい。
10 単位セル(単位燃料電池)
15a〜15d 冷却水供給口(冷媒入口)
16a〜16d 冷却水排出口(冷媒出口)
20 膜電極構造体
21 固体高分子電解質膜(電解質膜)
22 アノード電極
23 カソード電極
30A、30B セパレータ
31A,31B 突条
51 燃料ガス通路
52 酸化剤ガス通路
53 冷却水通路(冷媒通路)
Claims (2)
- 電解質膜の両側にアノード電極とカソード電極を設けて膜電極構造体を構成し、前記アノード電極とカソード電極に密接して金属プレートからなるセパレータを配置して単位燃料電池を構成し、この単位燃料電池を複数積層してなる燃料電池スタックであって、
前記セパレータは前記電解質膜から離間する側に突出し波状に蛇行しながら鉛直方向に延びる複数の突条を備え、
前記アノード電極とこれに密接する前記セパレータの前記突条との間の空間を燃料ガスが鉛直方向の上から下へ向かって流通する燃料ガス通路とし、
前記カソード電極とこれに密接する前記セパレータの前記突条との間の空間を酸化剤ガスが鉛直方向の上から下へ向かって流通する酸化剤ガス通路とし、
少なくとも一部の前記セパレータを他の前記セパレータに密接して配置することにより前記燃料ガス通路および前記酸化剤ガス通路の裏側に位置する両セパレータ間に冷媒を水平方向に流通させる冷媒通路を形成し、
前記セパレータにおける前記突条の波形の鉛直方向のピッチを上部領域よりも下部領域を小さくすることにより、前記冷媒通路の流路抵抗を前記上部領域よりも前記下部領域を大きくしたことを特徴とする燃料電池スタック。 - 前記冷媒通路の上部領域に連通する冷媒入口および冷媒出口と、前記冷媒通路の下部領域に連通する冷媒入口および冷媒出口とを、別々に備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
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