JP4948280B2 - ヒートポンプシステム及びその制御方法 - Google Patents
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Description
図20において、ヒートポンプシステム200は、コンプレッサ20と、室内機30と、室外器40とを有している。室内機30と室内機40は、冷媒ラインL1、L2で冷媒が循環可能なように接続されている。
冷媒ラインL1には、コンプレッサ20が介装されている。
冷媒ラインL2には、膨張弁Vが介装されている。
しかし、室外器の熱交換器により、冷媒と冷却水とが熱交換を行う水冷式のタイプも提案されている。
図21において、点PA〜点PBの曲線Lは、コンプレッサ20における気相冷媒の圧縮を示している。点PAと点PBを結ぶ曲線Lの下方の領域「S」(図21において、ハッチングを付した領域)の面積が、コンプレッサ20の仕事量を表している。
図21の点PB〜点PCは、室外機40で冷媒が凝縮する行程を示している。点PC〜点PDは、室内機30に流入する前の段階で、減圧弁Vにより冷媒が減圧する行程を示している。
そして、図21の点PD〜点PAは、室内機30において、冷媒が気化熱を奪って気化する行程を示している。
図21のモリエル線図において、冷却水温度が下がると、圧力が降下するので、室外機40における行程(点PB〜点PC)を示す特性線が、モリエル線図上で下方に、矢印Aで示す様に移動する。点PB〜点PCで示す特性線が矢印A方向へ移動することにより、領域「S」の面積が減少し、領域「S」の面積に対応するコンプレッサ20の仕事量も減少する。そのため、水冷式ヒートポンプの効率が向上する。
しかし、冷却水温度が低下し過ぎると、次の様な不都合が生じる。
そのため、図21における点PB〜点PCで示す特性線が矢印A方向に移動し過ぎないこと、換言すれば、冷媒が高圧となる領域において、一定以上の冷媒圧力が確保されていることが要求される(いわゆる「高圧確保」の要請)。
しかし、水冷GHPにおいては、冷却水温度が必要以上に低下した場合に、高圧確保の要請に対処することが出来ないという問題を有している。
図22で示す水冷EHP202では、冷却水温度が低い場合には、冷却塔50の散布機構52から散布される散布水量を調節して対応することが出来る。
そのため、図22で示す様に、冷却塔50を含む冷却水循環系統Lwにボイラー60を介装し、冷却水温度が低下し過ぎてしまった場合には、ボイラー60を運転して、冷却水を加温して対処している。
なお、図22において、符号90は冷却水循環用のポンプを示している。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は吸収式の冷凍機に適用されるものであり、コンプレッサをガスエンジン等で駆動するタイプの水冷ヒートポンプシステムには、適用することが困難である。従って、上述した従来技術の問題点を解決することは出来ない。
すなわち、本発明によれば、系外に排出されてしまうエンジン排熱を有効利用することで、外部冷却水の温度が低下し過ぎた場合に、ヒートポンプの冷媒循環が困難になることが防止される。
そのため、本発明によれば、加熱装置(ボイラー等)を別途設ける必要が無く、冷却水の昇温のためのみに熱エネルギーを消費する、という浪費が不要となる。
換言すれば、負荷に応じて冷媒を確保することが、高精度で行われるのである。
最初に、図1〜図5を参照して、第1実施形態について説明する。
全体を符号101で示すヒートポンプシステムは、機械的動力源であるガスエンジン(以下、エンジンという)1と、コンプレッサ2と、室内機3(図1では3台)と、冷媒・水熱交換器4と、冷却塔5と、第1の熱交換器6と第2の熱交換器7とを有している。ガスエンジン1は、動力伝達系統11を介して、コンプレッサ2を駆動するように構成されている。
以下、冷媒・水熱交換器4を室外器4と記載し、第1の熱交換器6を熱交換器6と記載し、第2の熱交換器7を排熱回収器7と記載する。
ラインLc4は分岐点から3本に分岐しており、各々のラインLc4には室内機3が介装されている。そして、各々のラインLc4は、分岐点Bと合流点G1を接続している。
ラインLc5は、合流点G1と四方弁V1のポートP4を接続している。ラインLc6は、四方弁V1のポートP3と排熱回収器7を接続している。ラインLc7は、排熱回収器7とコンプレッサ2の吸入口2iを接続している。
三方弁V3は、ガスエンジン1の始動時において、エンジン排熱(エンジン冷却水)温度が低い場合は、ラインLh3側に連通する様に構成されている。三方弁V3がラインLh3側に連通すると、エンジン排熱は熱交換器6或いは排熱回収器7をバイパスする。
また、三方弁V3は、エンジン排熱温度が上昇した場合には、三方弁V2側に連通する様に構成されている。三方弁V3が三方弁V2側に連通すると、エンジン排熱は、三方弁V2を経由して、熱交換器6或いは排熱回収器7を流れる。
ガスエンジン始動時の様にガスエンジンの温度が低いと、エンジンオイルの粘度が上昇して、エンジンに悪影響を及ぼす恐れがある。そのため、エンジン冷却水温度を早期に上昇させる必要がある。
エンジン排熱温度を速やかに昇温させることにより、エンジンオイルの粘度の上昇を防止して、エンジンの悪影響を防止することが出来る。
なお、三方弁V3における上述した構成及び作用効果は、図3の冷房運転、図4の暖房運転でも同様であり、後述する第2実施形態及び第3実施形態においても同様である。
熱交換器6は、図3を参照して後述する冷房時においてのみ、熱交換を行う。図4を参照して後述する暖房時には、熱交換は行わない。
排熱回収器7は、暖房時(図4)にのみ熱交換を行い、冷房時(図3)には熱交換は行わない。
冷却水循環系統Lwは、冷却塔5、循環ポンプ9を有し、ラインLw1、Lw2、Lw3で構成されている。ラインLw1は、第2の温度センサSt2を介装し、冷却塔5と熱交換器6を接続している。ラインLw2は、熱交換器6と熱交換器4とを接続している。ラインLw3は、冷却水ポンプ9と第1の温度センサSt1を介装し、熱交換器4と冷却塔5とを接続している。
ここで、設置箇所の状況により、冷却水ポンプ9の回転方向を切り換えることが出来ない場合が想定される。その様な場合には、冷却水循環系統Lwの配管系統において、外部冷却水の流れを切り換える必要がある。
図2で示す第1実施形態の変形例は、冷却水ポンプ9の回転方向を切り換えることが出来ないため、冷却水循環系統Lwの配管系統において外部冷却水の流れを切り換えることが出来る様に構成されている。
ここで切換弁VLwa、VLwb、VLwc、VLwdは、ラインを2方向に切換可能に構成されている。具体的には、切換弁VLwaは、温度センサSt1と冷却水ポンプ9とを連通する外部冷却水ラインLw3と、分岐ラインLb1とを切換可能である。切換弁VLwbは、外部冷却水ラインLw3と、分岐ラインLb2とを切換可能である。切換弁VLwcは、温度センサSt2と冷却塔5とを連通する外部冷却水ラインLW1と、分岐ラインLb1とを切換可能である。切換弁VLwdは、外部冷却水ラインLW1と、分岐ラインLb2とを切換可能である。
外部冷却水の循環方向を図3で示すのとは逆転させる場合には、切換弁VLwcを分岐ラインLb2側に切り換え、切換弁VLwdを分岐ラインLb1側に切り換え、切換弁VLwbを分岐ラインLb2側に切り換え、切換弁VLwaを分岐ラインLb1側に切り換える。その結果、外部冷却水は、ポンプ9、冷却塔5、切換弁VLwc、分岐ラインLb2、切換弁VLwb、温度センサSt1、熱交換器4、熱交換器6、温度センサSt2、切換弁VLwd、分岐ラインLb1、切換弁VLwaの順に循環する。
温度センサSt1、St2で計測される冷却水温度が低下した場合に、前述した「高圧確保」の要請に応えられなくなり、冷媒が循環しなくなってしまう恐れが生じてしまう。そのため、図示の実施形態では、温度センサSt1、St2で計測される冷却水温度を、運転制御のパラメータとしている。
なお、図示の実施形態の制御において、温度センサSt1で計測される冷却水温度温度を制御パラメータとして用いることも可能であるし、温度センサセンサSt2で計測される冷却水温度を制御パラメータとして用いることも可能であり、両者を同時にパラメータとして用いることも可能である。
また、コントロールユニット10は、制御信号ラインSo1により四方弁V1と接続されており、制御信号ラインSo2により三方弁V2と接続されており、制御信号ラインSo3により冷却水ポンプ9と接続されている。
なお高圧冷媒は、室内機3に流入するまでの過程で、或いは図示しない減圧機構(例えば減圧弁)により、低圧の液相冷媒となる。
四方弁V1のポートP4に流入した冷媒は、ポートP3、ラインLc6を経由して、排熱回収器7に入る。
そして、冷房運転の間、上述した循環サイクルを行う。
図3で示す状態では、冷却塔5で冷却された外部冷却水は、ラインLw1経由で熱交換器6に入る。上述したように、熱交換器6では、冷却水によって排熱循環系統Lhを流れるガスエンジン1の冷却水(エンジン排熱)と熱交換を行い、ガスエンジン1の排熱が外部冷却水に投入される。
そのため、室外器により冷えすぎた冷媒によって冷媒が図21の矢印Aで示すように減圧され過ぎることは無く、したがって、冷媒循環系統における圧力差が維持され、冷媒が循環し難くなる事態は回避される。
上述した様に、ラインLw1を流れる外部冷却水の水温は、温度センサSt2で計測され、ラインLw3を流れる外部冷却水は、温度センサSt1(図1参照)によって水温が計測される。
冷媒の流れ、エンジン排熱の流れは、図3に沿って上述したのと同様である。ただし、冷却水循環系統Lwを流れる外部冷却水の流れる方向が、図3で示すのとは逆方向になり、図3において反時計方向に循環する。
すなわち、冷却水ポンプ9から吐出された冷却水は、熱交換器4を流れて冷媒を冷却し、熱交換器6でエンジン排熱によって加熱される。そして、冷却塔5に流入して冷却されて、冷却水ポンプ9に吸い込まれる。
冷却水循環系統Lwにおける外部冷却水の流れを上述した様に(図3において反時計方向に循環する様に)すれば、外部冷却水が熱交換器6を流れる際にエンジン排熱で加熱されても、冷却塔5により直ちに冷却される。すなわち、エンジン排熱による加熱の影響を、冷却塔5により直ちに除去することが出来るのである。換言すれば、熱交換器6を介して冷却水循環系統Lwを流れる外部冷却水に捨てられたエンジン排熱は、直ちに冷却塔5で冷却される。
図4を参照して、暖房運転時における各弁の切換、冷媒の流れ(太い実線)、エンジン排熱の流れ(太い1点鎖線)、冷却水循環系統Lwにおける冷却水の流れ(太い点線)の各々について、説明する。
高温高圧の気相冷媒は、室内機3において、暖房を行う室内の空気と熱交換を行い、室内の空気を暖める。室内空気を暖めた冷媒は降温されて、分岐点B、ラインLc3を経由し、ラインLc3上に設置された室外膨張弁(図示せず)にて減圧されて、熱交換器4に流入する。
図5のステップS1において、コントロールユニット10は、冷房か、暖房かを判断する。冷房であれば、ステップS2に進み、暖房であればステップS3に進む。
一方、ステップS3(暖房運転)では、四方弁V1のポートP1とポートP4を連通させ、ポートP2とポートP3とを連通させ、三方弁V2を排熱回収器7側に切り換える(図4の状態)と共に、ポンプ9を停止して、ステップS8に進む。
ステップS5では、外部冷却水温度(t0)がしきい値未満であるか否かを判断する。外部冷却水温度(t0)がしきい値未満であれば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。
一方、外部冷却水温度(t0)がしきい値以上であれば(ステップS5がNO)、ステップS7に進む。
一方、ステップS7では、外部冷却水の加熱が不要と判断する。そして、図示は省略するが、冷却水ポンプ9を、冷却塔5、熱交換器(冷媒・水熱交換器)4、熱交換器6の順に流れる方向(図3において、反時計方向)に切り換える。そして、ステップS8に進む。
そして、エンジン排熱が投入されて昇温した外部冷却水が、室外機である熱交換器4に供給されるので、冷媒が冷却され過ぎることがなく、ヒートポンプの冷媒循環系統における高圧側の圧力が低下し過ぎてしまうことがないので、冷媒の循環が困難になることは防止される。
図1〜図5の第1実施形態によれば、系外に排出されるエンジン排熱を有効利用することにより、外部冷却水の温度が低下し過ぎた場合に、ヒートポンプの冷媒循環が困難になることが防止されるが、その際に、加熱装置(ボイラー等)を別途設ける必要が無く、「外部冷却水の温度を昇温するためにのみ、熱エネルギーを使用する」という浪費を行う必要が無い。
図6において、第2実施形態のヒートポンプシステム全体を、符号102で示す。
これに対して、図6〜図10の第2実施形態では、排熱回収器7は、冷媒ライン(バイパスライン)Lcbに介装されている。バイパスラインLcbは、冷媒ラインLc20が三方弁V4で分岐したラインの内、一方の分岐ラインである。
換言すれば、冷媒ラインLc20は、三方弁V4において、バイパスラインLcbと冷房ラインLc21とに分岐している。冷媒ラインLc20は、四方弁V1のポートP2と連通している。
なお、四方弁V1のポートP3とコンプレッサ2の吸入口2iは、冷媒ラインLc6で接続されている。
また、三方弁V4は、冷媒ラインLc20を流れる冷媒を、バイパスラインLcb(排熱回収器7側)か、熱交換器4側の何れか一方のみに流す様に切り換えることが出来る。
ここで、図7は外部冷却水温度が低温過ぎる場合を示しており、図8は外部冷却水温度が適正な範囲にある場合を示している。
また、三方弁V2はラインLh2とラインLh5とを連通させている。
さらに三方弁V4は、ラインLc20を、バイパスラインLcbと、熱交換器4側のラインLc21との双方に連通している。
三方弁V4において、冷媒の一部はラインLc21経由で熱交換器4に向かい、残った冷媒はバイパスラインLcbを流れて排熱回収器7に入る。
熱交換器4に入った冷媒は、冷却水循環系統Lwの外部冷却水と熱交換を行い、降温する。一方、排熱回収器7に入った冷媒は、排熱循環系統のラインLh5を流れるガスエンジン1の冷却水からエンジン排熱が投入され、昇温する。
排熱回収器7で冷媒を加熱したエンジン冷却水は、ラインLh7、合流点G3、ラインLh9経由で、ガスエンジン1に戻される。
明確には図示されていないが、排熱回収器7に流れるエンジン排熱の熱量が大き過ぎる場合は、過剰な熱量を廃棄するために、三方弁V2の開度を調整して、エンジン冷却水(エンジン排熱)の一部を熱交換器6側へ流し、冷却水循環系統Lwを流れる外部冷却水へ排出することが出来る様に構成されている。
外部冷却水温度が低温過ぎて、熱交換器4側を流れる冷媒が冷却され過ぎたとしても、当該冷却され過ぎた冷媒は、排熱回収器7でガスエンジンの排熱が直接投入された冷媒と合流して、適正な温度まで昇温される。
その結果、冷媒循環系統Lcにおいて、冷媒が高圧の状態が維持され、冷媒の循環が困難になることも無くなる。
以下、図8を参照して、外部冷却水温度が適正な場合におけるヒートポンプシステム102の冷房運転を説明する。
従って、三方弁V2はエンジン排熱を排熱回収器7側には供給せず、ラインLh4を経由して、熱交換器6側にエンジン排熱を供給する。エンジン排熱を排熱回収器7側に供給しないため、冷媒循環系統Lcに介装した三方弁V4は、排熱回収器7側のバイパスLcb側を閉鎖している。
熱交換器6で熱交換を終えたエンジン冷却水は、ラインLh6、Lh8、Lh9を経由してガスエンジン1に戻る。
ここで、図8においては、冷却水循環系統Lwは、熱交換器4を経由した外部冷却水が熱交換器6を経由し、冷却塔5に流入する様に流れている。したがって、熱交換器6でエンジン排熱を投入された外部冷却水は、冷却塔5で直ちに冷却される。そのため、熱交換器6で外部冷却水が加熱されることによる影響は存在しない。
図9では、排熱回収器7において、エンジン排熱が冷媒に直接投入される。
図9を参照して、ヒートポンプシステム102の暖房運転の状態を説明する。
図9で示す暖房運転に際して、冷却水循環系統Lwと冷媒循環系統Lcとは、熱的に遮断されている。
先ず、図10のステップS11では、コントロールユニット10は、冷房か、暖房かを判断する。冷房運転を行う場合にはステップS12に進み、暖房運転を行う場合にはステップS13に進む。
一方、ステップS13(暖房運転)では、四方弁V1のポートP1とポートP4を連通させ、ポートP2とポートP3とを連通させる。三方弁V2、V4は共に排熱回収器7側に切り換え(図9の状態)、ステップS18まで進む。
一方、ステップS17では、排熱による外部冷却水の加熱は不要と判断し、三方弁V2を熱交換器6側に連通させ、三方弁V4を熱交換器4側に連通させる。そしてステップS18に進む。
そのため、外部冷却水により熱交換器4側を流れる冷媒が冷却され過ぎたとしても、排熱回収器7でエンジン排熱が直接投入された冷媒と合流することにより、冷媒の温度は上昇し、冷媒の圧力は昇圧される。その結果、冷媒循環系統Lcにおいて、冷媒が循環不能となってしまう事態が確実に防止される。
図11において、第3実施形態のヒートポンプシステム全体を符号103で示す。
ラインLc22は、第2の冷却水熱交換器42が連通している。ラインLc25には開閉弁V6が介装され、第1の冷却水熱交換器41が連通している。
第1の冷却水熱交換器41は、ラインLc30と連通している。第2の冷却水熱交換器42は、ラインLc24を介して、ラインLc30に形成された合流点G5に連通されている。
上述した点を除くと、図11の冷媒循環系統Lcは、図6で示すのと同様である。
ここで、「外部冷却水の温度が適正な温度範囲にある」ということは、温度センサSt1、St2で計測される外部冷却水温度が、第1のしきい値t1(図19参照)よりも高温である状態を意味している。
そして、三方弁V5では、一部の冷媒がラインLc22経由で熱交換器42に向かい、残った冷媒はラインLc25を経由して熱交換器41に入る。熱交換器41、42に入った冷媒は、冷却水循環系統Lwの外部冷却水と熱交換を行い、ラインLc30を流れる。合流点G4よりも下流側(室内機3側)における冷媒の流れは、第2実施形態における冷房運転時(図7、図8)と同様である。
また、冷媒循環系統Lwでは、外部冷却水の流れは、第2実施形態における通常の外部冷却水温度の冷房運転時(図8)と同様である。
この場合、冷却水循環系統Lwにおいては、熱交換器6に投入されたエンジン排熱は、冷却塔5により直ちに冷却されるので、熱交換器41、42においてエンジン排熱により外部冷却水が加熱されることの影響は無い。
図13を参照して、外部冷却水温度が、第1のしきい値(t1)以下、第2のしきい値t2以上の範囲に有る場合の冷房運転状態を、図12の運転状態と対比させて説明する。
図13の状態では、三方弁V5は、ラインLc22側を閉鎖している。開閉弁V6は開放したままである。
図13においては、冷媒は熱交換量の大きい熱交換器41のみを流れ、熱交換量の小さい熱交換器42には流れない。
図14を参照して、外部冷却水温度が、第2のしきい値(t2)以下であるが、第3のしきい値t3以上である場合の冷房運転状態を、図13と対比させて説明する。
図14の状態では、三方弁V5は、ラインLc25側は閉鎖しているが、ラインLc22側は開放している。そして、開閉弁V6は開放したままであるが、閉鎖しても良い。
或いは、図14の状態において、三方弁V5の全ポート間を連通させ、開閉弁V6を閉鎖させても良い。
その結果、図14では、冷媒は熱交換量の小さな熱交換器42のみを流れ、熱交換量の大きい熱交換器41は流れない。
そのため、図14の状態では、熱交換器42の熱交換量と、熱交換器41の熱交換量との差異の分だけ、外部冷却水により冷媒が冷却される熱量(冷熱)が減少する。すなわち、熱交換器42の熱交換量と、熱交換器41の熱交換量との差異の分だけ、冷媒は冷却されずに済む。
図15を参照して、外部冷却水温度が、第3のしきい値(t3)以下、第4のしきい値t4以上の範囲である場合における冷房運転状態を、図12の運転状態と対比させて説明する。
冷却水循環系統Lwの流れは、図12と同様である。
しかし、図15では、冷媒循環系統Lcを流れる冷媒は、切換弁V4により、バイパスラインLcbと冷媒ラインLc21とに分岐している。したがって、循環する冷媒の全量が熱交換器41と熱交換器42を通過する訳ではない。冷媒の一部は、バイパスラインLcbを流れる。
そして、エンジン排熱は、熱交換器6は流れずに、排熱回収器7に供給される。
エンジン排熱が直接投入されて加熱された冷媒は、合流点G4において、熱交換器41と熱交換器42により降温した冷媒と合流する。そのため、熱交換器41と熱交換器42で過度に冷却されたとしても、合流後の冷媒の温度は一定以上に保たれ、従って、合流点G4よりも室内機側の領域では、冷媒の圧力は、冷媒の循環を維持できる程度まで高い状態に維持される。
図16を参照して、外部冷却水温度が、第4のしきい値(t4)以下で第5のしきい値t5以上の範囲である場合の冷房運転状態を、図15の運転状態と対比させて説明する。
図16では、三方弁V5は、ラインLc22側を閉鎖している。開閉弁V6は開放したままである。
しかし、図16では、冷媒循環系統Lcを流れる冷媒は、熱交換量の大きい熱交換器41のみを流れ、熱交換量の小さい熱交換器42は流れない。
冷媒が熱交換器42を流れないことにより、図16で示す状態では、図15で示す状態に比較して、熱交換器42における熱交換量の分だけ、冷媒は冷却されず、冷媒の圧力はその分だけ低下しなくて済む。
図17を参照して、外部冷却水温度が、第5のしきい値(t5)以下の場合の冷房運転状態を、図16の運転状態と対比させて説明する。
図16の状態では、三方弁V5は、ラインLc25側を閉鎖し、開閉弁V6は開放したままである(開閉弁V6を閉鎖しても可)。
或いは、三方弁V5の全ポート間を連通させ、開閉弁V6を閉鎖させても良い。
係る状態(図16の状態)であれば、冷媒は熱交換量の小さな熱交換器42のみを流れ、熱交換量の大きい熱交換器41は流れない。従って、図17では、熱交換器42の熱交換量と、熱交換器41の熱交換量との差異の分だけ、冷媒は冷却されず、冷媒圧力は降下しなくなる。
t1>t2>t3>t4>t5 という制約を守る範囲で、適宜、選択することが出来る。
また、冷却水循環系統Lwは、図9では1台のみ設けられている熱交換器4が、2段の熱交換器41、42に変更された点以外は、第2実施形態の暖房運転(図9)と同様である。図18においても、冷却水循環系統Lwと冷媒循環系統Lcとは、熱的に遮断されている。
以下、主として図19を参照しつつ、第3実施形態のシステム運転制御について説明する。
一方、ステップS23(暖房運転)では、四方弁V1のポートP1とポートP4を連通させ、ポートP2とポートP3とを連通させる。三方弁V2、V4は共に排熱回収器7側に切り換え(図18の状態)、ステップS36まで進む。
ステップS25では、コントロールユニット10は、外部冷却水温度tが第1のしきい値t1以上であるか否かを判断する。
外部冷却水温度tが第1のしきい値t1以上の高温であれば(ステップS25がYES:t1≦t)、ステップS26に進む。外部冷却水温度tが第1のしきい値t1よりも低温であれば(ステップS25がNO:t<t1)、ステップS27に進む。
外部冷却水温度tが、第2のしきい値t2よりも低温であれば(ステップS27がNO:t<t2)、ステップS29に進む。
外部冷却水温度tが、第3のしきい値t3以上であれば(ステップS29がYES:t3≦t<t2)、ステップS30に進む。一方、外部冷却水温度tが、第3のしきい値t3よりも低温であれば(ステップS29がNO:t<t3)、ステップS31に進む。
換言すれば、図11〜図19で示す第3実施形態では、負荷に応じて冷媒を確保することが、高精度で行われる。
室外機を構成する熱交換器の分割数を多くすれば、冷却水温度や冷媒の状態に対応して、より細かい制御が可能となる。
2・・・圧縮機械/コンプレッサ
3・・・室内機
4・・・室外器/冷媒・水熱交換器/熱交換器
5・・・冷却塔
6・・・熱交換器
7・・・排熱回収器
8・・・排熱循環ポンプ/循環ポンプ
9・・・冷却水循環ポンプ/循環ポンプ
10・・・制御手段
Lc・・・冷媒循環系統
Lh・・・エンジン排熱循環系統/排熱循環系統
Lw・・・冷却水循環系統
St1・・・第1の温度センサ/温度センサ
St2・・・第2の温度センサ/温度センサ
V1・・・四方弁
V2・・・第1の三方弁/三方弁
V3・・・第2の三方弁/三方弁
V4・・・第3の三方弁/三方弁
V5・・・第4の三方弁/三方弁
V6・・・開閉弁
101・・・ヒートポンプシステム
Claims (1)
- 機械的駆動源により駆動する圧縮機械を有し、室外機が冷却水により冷却されるヒートポンプシステムにおいて、冷媒が循環する冷媒循環系統と、機械的駆動源の排熱が流れる循環系統と、冷却水が循環する冷却水循環系統とを有し、冷媒循環系統には冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れ方向を切り換える切換装置が介装されており、冷却水循環系統には冷却装置が介装されていると共に、冷却水の温度を計測する計測装置が設けられており、機械的駆動源の排熱を冷却水に投入する第1の熱交換機と、機械的駆動源の排熱を冷媒に投入する第2の熱交換器と、制御装置とを備え、制御装置は、冷房運転時に冷却水の温度が所定温度よりも低温となった場合に、機械的駆動源の排熱を冷却水或いは冷媒に投入する制御を行う様に構成されており、前記冷却水循環系統には冷却水用ポンプが介装されており、該冷却水用ポンプは冷却水循環系統における冷却水の流れ方向を切換可能に構成されており、前記制御装置は、冷房運転時には機械的駆動源の排熱は第1の熱交換機を流れ、暖房運転時には機械的駆動源の排熱は第2の熱交換器を流れ、冷房運転時に冷却水の温度が所定温度以上である場合には、冷却水循環系統における冷却水は第1の熱交換機から冷却装置に流れ、冷房運転時に冷却水の温度が所定温度よりも低温となった場合には、冷却水循環系統における冷却水は第1の熱交換機から室外機に流れる制御を行う様に構成されていることを特徴とするヒートポンプシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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