JP4947996B2 - セダノライドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3−ブチル−3а,4,5,6−テトラヒドロフタライド(慣用名:セダノライド)のラセミ体または光学活性体の製造方法に関する。
セダノライドは、セロリやセンキュウなどのセリ科の植物中に広く存在している成分であり、抗菌活性、殺虫活性などの活性を有しており(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1参照)、また、セロリの特徴ある香気に大きく寄与している成分であることが報告されている(非特許文献3、非特許文献4参照)。
ラセミ体のセダノライドについては、既にいくつかの合成法が報告されているが、いずれの合成法も収率、工程数、操作の煩雑さなどの点で問題がある(非特許文献5、非特許文献6参照)。
また、セダノライドは、分子内に2つの不斉中心があるため、4種の光学異性体が存在し、そのうちの3種の異性体((3S,3aS)−、(3S,3aR)−及び(3R,3aS)−セダノライド)の合成法は既に報告されている(非特許文献7、非特許文献8参照)。しかし、その合成法は収率や操作の煩雑さ等の点で問題がある。また、残る1つの異性体((3R,3aR)−セダノライド)については、合成法はまだ報告されていない。
特開2005−206550号公報 G.Ciamician and P.Silber,Ber.,1897年,Vol.30,P.1427. S.Morozumi,T.Wauke and H.Hitokoto,Tokyo Eiken Nenpo,1984年,Vol.35,P.31. C.W.Wilson III,J.Food Sci.,1970年,Vol.35,P.766. Glesni MacLeod and Jennifer M.Ames,Phytochemistry,1989年,Vol.28,P.1817. Xiao−Zhen Jiao, Ping Xie,Lian−Suo Zu and Xiao−Tiang Liang,Journal of Asian Natural Products Research, 2003年,Vol.5(3),P.165. Cynthia K.McClure and Kang−Yeoun Jung,J.Org.Chem.,1991年,Vol.56,P.2326. H.Suzuki,A.Tanaka and K.Yamashita,Agric.Biol.Chem.,1987年,Vol.51,P.3369. A.Tanaka,H.Suzuki and K.Yamashita,Agric.Biol.Chem.,1989年,Vol.53,P.2253.
本発明の目的は、好収率且つ高純度でラセミ体または光学活性なセダノライドを製造することのできる簡便な方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、今回、シクロペンテンより誘導されるジブロマイドをバレルアルデヒドと反応させることにより得られるブロモアルコールを増炭、環化することにより、セダノライドが良好な収率で得られること、そして中間体のブロモアルコールをリパーゼを用いて光学分割し、必要に応じて1位の不斉炭素の立体を反転せしめ、これを増炭、環化することにより簡便に、好収率且つ高純度で光学活性セダノライドを得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、下記式(3)
Figure 0004947996
で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールをアルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することを特徴とする下記式(1)
Figure 0004947996
で表される3−ブチル−3а,4,5,6−テトラヒドロフタライド(セダノライド)の製造方法を提供するものである。
本発明は、また、下記式(3’)
Figure 0004947996
[式中、*は不斉炭素原子を示す]
で表される光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールをアルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することを特徴とする下記式(1’)
Figure 0004947996
[式中、*は不斉炭素原子を示す]
で表される光学活性3−ブチル−3а,4,5,6−テトラヒドロフタライド(光学活性セダノライド)の製造方法を提供するものである。
本発明は、さらに、新規な中間体化合物である前記式(3)または(3’)で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールまたは光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールを提供するものである。
本発明は、またさらに、下記式(2)
Figure 0004947996
で表される2,3−ジブロモ−1−シクロヘキセンをバレルアルデヒドと反応させることを特徴とする前記式(3)で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法を提供するものである。
本発明は、さらに、前記式(3)で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールをリパーゼの存在下に光学分割を行い、必要に応じて1位の不斉炭素の立体を反転させることを特徴とする前記式(3’)で表される光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、好収率且つ高純度でセダノライドのラセミ体または光学活性体を簡便に製造することができる。
以下、本発明のセダノライドの製造方法についてさらに詳細に説明する。
セダノライド(ラセミ体)の合成
本発明に従うセダノライド(ラセミ体)の合成工程を示せば下記反応式Aのとおりである。
Figure 0004947996
[式中、波線はラセミ体を示す]
(第一工程)
式(3)の1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールは、第一工程に従い、式(2)の2,3−ジブロモ−1−シクロヘキセンをバレルアルデヒドと反応させることにより容易に製造することができる。出発物質である式(2)の2,3−ジブロモ−1−シクロヘキセンは、それ自体既知の化合物であり、例えば、文献(Aust.J.Chem.,1994年,Vol.47,P.2235)記載の方法でシクロペンテンをブロム化することにより容易に合成することができる。バレルアルデヒドの使用量は、式(2)の化合物1モルに対して、通常、0.5〜5モル、好ましくは1〜2モルの範囲内であることができる。
式(2)の化合物とバレルアルデヒドの反応は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属またはその他の金属の存在下に行うことができ、より具体的には、例えば、亜鉛、すず、インジウム、マグネシウム、サマリウム、リチウムなどが挙げられる。これらの金属の使用量は、式(2)の化合物1モルに対して、通常、1〜5モル、好ましくは1〜2モルの範囲内であることができる。
反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−78℃〜約50℃、好ましくは約−20℃〜約20℃の温度で、10分〜100時間程度撹拌しながら行うことができる。その際に使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水等をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(2)の化合物の重量を基準にして、通常、5〜50倍量であることができる。
上記の反応は、必要により、塩化アンモニウム、塩化水素、臭化水素、酢酸、トルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂、相間移動触媒等を添加して行うことができる。
生成する式(3)の化合物は、反応終了後、所望により、例えば、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製することができるが、粗製のものをそのまま次の第二工程に供することもできる。なお、第一工程に従って得られる式(3)の化合物は、従来文献未記載の新規な化合物である。
(第二工程)
上記第一工程で得られる式(3)の1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)
ペンタン−1−オールを、アルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することにより、式(1)のラセミ体のセダノライドを製造することができる。
式(3)の化合物のリチオ化は、式(3)の化合物をアルキルリチウムと反応させることにより行うことができ、該アルキルリチウムとしては、好ましくはアルキル部分の炭素数が1〜6のもの、具体的には、例えば、n‐ブチルリチウム、t‐ブチルリチウム、s‐ブチルリチウム等を挙げることができる。該アルキルリチウムの使用量は、式(3)の化合物1モルに対して、通常、1〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲内であることができる。反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−100℃〜約25℃、好ましくは約−100℃〜約−50℃の温度で、5分〜2時間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、10〜100倍量であることができる。
かくしてリチオ化された式(3)の化合物は次いで二酸化炭素と反応せしめられる。この反応は、通常、リチオ化反応混合物に対して、上記温度を維持しながら、1分〜2時間程度の炭酸ガスの導入、もしくは、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、0.1〜30倍量のドライアイスの投入により行うことができ、これにより下記式(5)
Figure 0004947996
[式中、波線はラセミ体を示す]
で表される1−(2’−カルボキシシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールが生成する。
この式(5)の化合物は、通常、反応混合物から分離した後、酸の存在下に環化することにより、式(1)の化合物を得ることができる。
環化反応に使用しうる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トルフルオロ酢酸等の有機酸;酸性イオン交換樹脂等を挙げることができる。これらの酸の使用量は、式(3)の化合物に対して、通常、0.01〜50モル%、好ましくは1〜5モル%の範囲であることができる。反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約0℃〜約50℃の温度で、5分〜24時間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上を混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、1〜100倍量であることができる。
以上述べた如くして得られる式(1)の化合物は、それ自体既知の方法、例えば、蒸留
、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより、反応混合物から分離し、精製することができる。
セダノライド(光学活性体)の合成
本発明に従う光学活性セダノライドの合成工程を示せば下記反応式Bのとおりである。
Figure 0004947996
[式中、*は不斉炭素原子を示し、波線はラセミ体を示す]
(第一工程)
式(2)の化合物とバレルアルデヒドの反応による式(3)の化合物の製造は、前記の反応式Aにおける第一工程と同様にして行うことができる。
(第二工程)
上記第一工程で得られる式(3)の化合物をリパーゼの存在下に光学分割することにより、式(3’)の光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールを容易に得ることができる。第二工程に従って得られる式(3’)の化合物は、従来文献未記載の新規な化合物である。
以下、式(3)の化合物の光学分割方法についてさらに詳細に説明する。
不斉アシル化による光学分割
式(3)の化合物の不斉アシル化反応による光学分割は、例えば、下記反応式Cに示すようにして行うことができる。
Figure 0004947996
[式中、*および波線は前記と同義であり、Rは1価の有機残基を示す]
(工程A)
式(3)の化合物をリパーゼの存在下に、アシル化剤と反応させることにより不斉アシル化し、式(4’)の光学活性なエステル体と未反応の式(3’)の光学活性なアルコール体を得る。上記アシル化剤としては、特に制限なく、例えば、ビニルエステル類、イソプロペニルエステル類、2,2,2−トリフルオロエチルエステル類、酸無水物などを使用することができ、より具体的には、例えば、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酪酸2,2,2−トリフルオロエチル、無水酢酸、プロピオン酸無水物などが挙げられる。これらのアシル化剤の使用量は、通常、式(3)の化合物1モルに対して、1〜100モル、好ましくは1〜10モルの範囲内であることができる。
また、上記リパーゼとしては、微生物起源、植物起源、動物起源のいずれの起源のものであってもよく、市販のものを使用することができる。例えば、リパーゼPS、AY、AK、PS−C、PS−D(以上、天野エンザイム社製、商品名)、PPL、CRL(以上、シグマ社製、商品名)、リパーゼMY、OF(以上、名糖産業社製、商品名)、Novozym435(ノボ社製、商品名)などを挙げることができる。これらのリパーゼは、通常、式(3)の化合物100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内で使用することができる。
アシル化反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−20℃〜約60℃、好ましくは約0℃〜約60℃の温度で、5分〜数日間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、1〜100倍量であることができる。
(工程B)
上記工程Aの反応終了後、反応混合物から酵素をろ過等により除去した後、それ自体既知の方法、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留等の適当な分離手段によ
り式(4’)の光学活性エステル体と式(3’)の光学活性な残存アルコール体をそれぞれ分離・回収することができる。
(工程C)
上記工程で得られる式(4’)の光学活性エステル体から基Rを脱離させることにより光学活性の化合物(3’)を得ることができる。この基Rの脱離は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等を用いた加水分解反応;メタノール、エタノール等のアルコール溶媒中で炭酸カリウム等の塩基により処理するアルコリシス;水素化リチウムアルミニウム等のヒドリド試薬による還元的処理等の化学的方法;リパーゼを用いた不斉加水分解反応で行うことができる。
不斉加水分解による光学分割
式(3)の化合物の不斉加水分解による光学分割は、例えば、下記反応式Dに示すようにして行うことができる。
Figure 0004947996
[式中、*および波線は前記と同義であり、Rは1価の有機残基を示す]
(工程イ)
式(3)の化合物をアシル化剤とエステル化反応させることにより式(4)のエステル化合物を得る。上記アシル化剤としては、特に制限なく、例えば、酸クロリド、酸無水物などを使用することができ、さらに具体的には、例えば、酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、酪酸クロリド、クロロ酢酸クロリド、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、クロロ酢酸無水物などが挙げられる。これらのアシル化剤は、通常、式(3)の化合物1モルに対して、1〜10モル、好ましくは1〜2モルの範囲内であることができる。
上記のエステル化反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−20℃〜約100℃、好ましくは約0℃〜約50℃の温度で、5分〜24時間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、1〜10倍量とすることができる。
(工程ロ)
上記工程イで得られる式(4)の化合物をリパーゼの存在下に不斉加水分解することにより式(3’)の光学活性なアルコール体と式(4’)の未反応のエステル化合物を得ることができる。
上記リパーゼとしては、微生物起源、植物起源、動物起源のいずれの起源のものであってもよく、市販のものを使用することができる。例えば、リパーゼPS、AY、AK、PS−C、PS−D(以上、天野エンザイム社製、商品名)、PPL、CRL(以上、シグマ社製、商品名)、リパーゼMY、OF(以上、名糖産業社製、商品名)、Novozym435(ノボ社製、商品名)などを挙げることができる。これらのリパーゼは、通常、式(4)の化合物100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲内で使用することができる。
不斉加水分解反応は、通常、リン酸緩衝液中でまたはリン酸緩衝液とその他の溶媒と組み合わせ媒体中で、約−20℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜約25℃の温度において5分〜数日間程度撹拌しながら行うことができる。
(工程ハ)
上記工程ロの反応終了後、反応混合物から酵素をろ過等により除去した後、それ自体既知の方法、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留等の適当な分離手段により式(3’)の光学活性のアルコール体と式(4’)の残存するエステル化合物を得ることができる。このエステル化合物は、前述の不斉アシル化による光学分割における工程Cと同様にして基Rを脱離させることにより式(3’)の光学活性のアルコール体に導くことができる。
立体反転
以上に述べた光学分割により得られる式(3’)の化合物の1位の不斉炭素を反転させることにより、対応する式(3’)のジアステレオマーを得ることができる。式(3’)の化合物の立体反転は、例えば、光延反応(例えば、Tetrahedron,1985年,Vol.41,P.3423参照)、酸化還元反応(例えば、Tetrahedron,1986年,Vol.42,P.2937参照)、スルホン酸エステルに誘導し、これを反転させる方法(例えば、新実験化学講座 丸善株式会社 14巻−1,p.455〜456参照)などにより実施することができる。
(第三工程)
上記第二工程で得られる式(3’)の光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールは、アルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することにより、式(1’)の光学活性セダノライドを製造することができる。
式(3’)の化合物のリチオ化は、式(3’)の化合物をアルキルリチウムと反応させることにより行うことができ、該アルキルリチウムとしては、好ましくはアルキル部分の炭素数が1〜6のもの、具体的には、例えば、n‐ブチルリチウム、t‐ブチルリチウム、s‐ブチルリチウム等が挙げられる。該アルキルリチウムの使用量は、式(3’)の化合物1モルに対して、通常、1〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲内であることができる。反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−100℃〜約25℃、好ましくは約−100℃〜約−50℃の温度で、5分〜2時間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘ
キサン、キシレン等の炭化水素系溶媒をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、10〜100倍量であることができる。
かくしてリチオ化された式(3’)の化合物は次いで二酸化炭素と反応せしめられる。この反応は、通常、リチオ化反応混合物に対して、上記温度を維持しながら、1分〜2時間程度の炭酸ガスの導入、もしくは、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、0.1〜30倍量のドライアイスの投入により行うことができ、これにより下記式(5’)
Figure 0004947996
[式中、*は不斉炭素原子を示す]
で表される光学活性1−(2’−カルボキシシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールが生成する。
この式(5’)の化合物は、通常、反応混合物から分離した後、酸の存在下に環化することにより、式(1’)の化合物を得ることができる。
環化反応に使用しうる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トルフルオロ酢酸等の有機酸;酸性イオン交換樹脂等を挙げることができる。これらの酸の使用量は、式(3’)の化合物に対して、通常、0.01〜50モル%、好ましくは1〜5モル%の範囲内であることができる。反応は、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約0℃〜約50℃の温度で、5分〜24時間程度撹拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒をそれぞれ単独でまたは2種もしくはそれ以上混合して使用することができる。その使用量は、式(3)の化合物の重量を基準にして、通常、1〜100倍量であることができる。
以上述べた如くして得られる式(1’)の化合物は、それ自体既知の方法、例えば、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより、反応混合物から分離し、精製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1:(1R ,1’S )及び(1S ,1’S )−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの合成
1000mLフラスコに、亜鉛粉末(11.8g,0.180mol)、テトラヒドロフラン(THF)(60mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(180mL)を仕込む。ここに、氷水冷下撹拌しながら、バレルアルデヒド(15.5g,0.180mol)を加え、次に、2,3−ジブロモ−1−シクロヘキセン(28.8g,0.120mol)のTHF(300mL)溶液を3〜5℃/2hrで滴下する。同温下で、1時間撹拌し
反応を終了する。反応液に水(100 mL)及びエーテル(100mL)を加え、セライトろ過を行う。ろ液を分液し、得られる水層をエーテル(150mL)で抽出する。エーテル層を合わせ、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、ソーダ灰水及びブラインで順次洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮し、残渣(24.1g)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、目的とする(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(11.9g,99%/GC)及び(1S,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(3.6g,99%/GC)が得られる。収率52%。
(物性データ)
・(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.92(t,3H,J=7.1Hz),1.26−1.60(m,8H),1.70−1.85(m,3H),2.04−2.08(m,2H),2.30−2.40(m,1H),4.18−4.20(m,1H),6.32(m,1H)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 14.05,20.77,22.74,23.29,27.78,28.63,33.22,47.14,71.74,126.15,133.96。
MS:246(1,[M]),160(30),87(13),81(100),69(70),57(13),51(4),41(30),29(8)。
IR (film) νmax cm−1:3464,2932,2859,1640,1456,1329,1066,975,887,709。
・(1S,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.91(t,3H,J=7.1Hz),1.28−1.59(m,8H),1.67−1.75(m,2H),1.83−1.90(m,1H),2.03−2.08(m,2H),2.62−2.68(m,1H),4.11(br,1H),6.18(dt,1H,J=1.8,4.1Hz)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 14.09,20.21,22.63,24.71,27.84,28.82,31.83,47.67,73.93,124.33,132.27。
MS:246(1,[M]),160(28),87(15),81(100),69(76),57(14),51(5),41(31),29(7)。
IR (film) νmax cm−1:3357,2859,1638,1450,1325,1072,1019,970,718。
実施例2:(1R ,1’S )−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンチル 2−クロロアセテートの合成
200mLフラスコに、実施例1で製造した(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(10.0g,40.5mmol)、エーテル(100mL)、ピリジン(5.8g,73.0mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.1g,0.8mmol)を仕込み、氷水冷下撹拌する。そこに、クロロ酢酸クロライド(6.9g,60.8mmol)を2〜8℃/0.5hrで滴下する。滴下後、室温下1時間反応させ終了する。反応液に水を加え、撹拌後分液する。水層をエーテルで抽出する。エーテル層を合わせ、硫酸銅水溶液、水、重曹水及びブラインで順次洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮、ポンプアップし、残渣(13.4g)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)
ペンチル 2−クロロアセテート(12.3g)が得られる。収率94%。
(物性データ)
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.90(t,3H,J=6.9Hz),1.20−1.40(m,4H),1.50−1.65(m,2H),1.70−1.90(m,4H),2.05(m,2H),2.53(m,1H),4.02(s,2H),5.48(dt,1H,J=2.5,7.1Hz),6.21(dt,1H,J=1.5,4.1Hz)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 13.90,19.95,22.49,24.30,27.44,27.76,31.14,40.97,44.75,76.32,123.71,133.07,166.50。
IR (film) νmax cm−1:2955,2870,1738,1643,1456,1411,1286,1183,973,734。
実施例3:(1R ,1’S )−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンチル 2−クロロアセテートの光学分割
300mLフラスコに、実施例2で製造した(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンチル 2−クロロアセテート(10.00g,30.9mmol)、0.1Mリン酸緩衝液(200mL)及びリパーゼOF(名糖産業株式会社製、商品名:3.00g)を仕込み、室温下25時間撹拌する。セライトろ過し、エーテルで抽出し、得られるエーテル層を、重曹水及びブラインで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧濃縮、ポンプアップし、残渣(9.11g)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、生成アルコール(P1とする)(5.88g)及び残存基質(S1とする)(3.07g)が得られる。
生成アルコールP1(3.35g,13.6mmol)を、実施例2に記載の(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンチル 2−クロロアセテートの合成と同様の方法で処理し、エステル体(4.3g)に誘導する。このエステル体(4.2g)を再び酵素による加水分解反応に供し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、生成アルコールとして、(1R,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(2.8g)が得られる。収率39%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.8%e.e.であった。
残存基質S1(5.04g,15.6mmol)を再び酵素による加水分解反応に供し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、残存基質として、(1S,1’R)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンチル 2−クロロアセテート(2.8g)が得られる。このエステル体(2.59g,8.0mmol)をメタノール(75mL)中に溶解させ、炭酸カリウム(0.13g,0.9mmol)と共に、室温下3時間撹拌する。酢酸で中和し、減圧濃縮する。残渣(2.04g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、(1S,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(1.96g)が得られる。収率42%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.8%e.e.であった。
光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる光学純度の測定は以下の装置及び条件で行った。
機器:Agilent 6890N
カラム:CHIRAMIX(0.25mmI.D.×30m、登録商標 長谷川香料株式会社製)
オーブン温度:40〜180℃(+0.7℃/min)
キャリアガス:窒素(0.7mL/min)。
(物性データ)
・(1R,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール
[α]20 :−23.9(CHCl,c=1.245)。
・(1S,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール
[α]20 :+24.6(CHCl,c=1.035)。
実施例4:(1R,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの立体反転
4−1:(S)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オンの合成
200mLフラスコに、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)(2.16g,10.0mmol)、セライト(3.24g)及び塩化メチレン(70mL)を仕込み、室温下撹拌する。そこに、実施例3で製造した(1R,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(1.24g,5.0mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液を5分で滴下し、室温下終夜撹拌する。翌日、反応液をデカントし、シリカゲルろ過する。ろ液を減圧濃縮、ポンプアップし、残渣(1.24g)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、(S)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オン(1.19g)が得られる。収率97%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.6%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :+109.7(CHCl,c=1.300)。
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.91(t,3H,J=7.3Hz),1.28−1.37(m,2H),1.55−1.72(m,4H),1.80−1.87(m,1H),1.90−1.98(m,1H),2.05−2.20(m,2H),2.46−2.67(m,2H),3.50(m,1H),6.28(dt,1H,J=1.4,4.1Hz)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 13.87,18.53,22.29,25.76,27.28,27.62,41.14,56.10,118.60,132.58,209.96。
IR (film) νmax cm−1:2933,2871,1715,1645,1448,1334,1125,1081,1051,979。
4−2:(1S,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの合成
アルゴンガス雰囲気下、100mLフラスコに実施例4−1で製造した(S)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オン(0.49g,2.0mmol)及びTHF(24mL)を仕込み、−78℃で撹拌する。ここに、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(1.0M THF溶液,3mL,3.0mmol)を同温下10分で滴下する。同温下/1hr、0℃/1hr反応させ終了する。そこに、0℃で、3N水酸化ナトリウム水溶液(10mL)及び35%過酸化水素水(10mL)を続けて滴下する。滴下後、室温/0.5hr、60℃/1hr撹拌する。放冷後、分液し、水層をエーテルで抽出する。有機層を合わせ、ブライン、チオ硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで順次洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮、ポンプアップし、残渣(0.56g)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、(1S,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(374mg)が得られる。収率76%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.5%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :−25.3(CHCl,c=1.015)。
実施例5:(1S,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの立体反転
5−1:(R)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オンの合成
実施例3で製造した(1S,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(1.24g)から、実施例4、4−1と同様にして(R)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オン(1.19g)を得る。収率97%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.4%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :−107.8(CHCl,c=1.010)。
5−2:(1R,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの合成
実施例5、5−1で製造した(R)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オン(0.49g)から、実施例4、4−2と同様にして(1R,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(384mg)を得る。収率78%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.4%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :+23.7(CHCl,c=1.170)。
実施例6:(3R ,3aR )−セダノライドの合成
アルゴンガス雰囲気下、50mLフラスコに実施例1で製造した(1R,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)及びエーテル(13mL)を仕込み、−78℃に冷却する。そこに、−78℃/15minでt−ブチルリチウム(1.48M ペンタン溶液,3.4mL,5.0mmol)を滴下する。滴下後、炭酸ガスを、同温下で0.5時間吹き込む。氷水冷下で希塩酸中に反応物をあけクエンチする。酢酸エチルで抽出を行い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮、ポンプアップすると、粗製の1−(2’−カルボキシシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(286mg)が得られる。
これを、トルエン(13mL)中で、触媒量のトルエンスルホン酸と共に、室温下、12時間撹拌する。反応液を重曹水及びブラインで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮、ポンプアップし、粗製(176mg)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、(3R,3aR)−セダノライド(157mg)が得られる。収率81%。
(物性データ)
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.88(t,3H,J=7.1Hz),1.24−1.60(m,8H),1.87−1.97(m,2H),2.14−
2.38(m,2H),3.00−3.10(m,1H),4.63(dt,1H,J=2.8,9.2Hz),6.82(q,1H,J=3.5Hz)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 13.90,21.14,22.45,22.54,25.12,27.51,31.49,39.69,81.84,129.57,136.18,170.18。
MS:194(1,[M]),137(8),108(100),91(4),79(36),53(5),41(6),29(4)。
IR (film) νmax cm−1:2936,2865,1758,1683,1454,1332,1225,1185,1028,943,752,702。
実施例7:(3R ,3aS )−セダノライドの合成
実施例1で製造した(1S,1’S)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)から、実施例6と同様にして(3R,3aS)−セダノライド(136mg)が得られる。収率70%。
(物性データ)
mp:34.5−35.0℃。
NMR(H,400MHz,CDCl):δ 0.91(t,3H,J=7.3Hz),1.10−1.21(m,1H),1.30−1.60(m,5H),1.70−1.82(m,2H),1.91−1.96(m,1H),2.03−2.08(m,1H),2.13−2.25(m,1H),2.30−2.39(m,1H),2.45−2.53(m,1H),3.96(ddd,1H,J=5.3,7.3,8.9Hz),6.77(q,1H,J=3.2Hz)。
NMR(13C,100MHz,CDCl):δ 13.88,20.75,22.51,24.98,25.36,27.51,34.31,43.06,85.32,131.14,135.18,170.23。
MS:194(1,[M]),137(8),108(100),91(4),79(36),53(5),41(6),29(4)。
IR (film) νmax cm−1:2933,2861,1763,1683,1455,1422,1327,1249,1226,1183,1025,930,726。
実施例8:(3R,3aR)−(+)−セダノライドの合成
実施例3で製造した(1R,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)から、実施例6と同様にして(3R,3aR)−(+)−セダノライド(159mg)が得られる。収率82%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.9%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :+92.8(CHCl,c=1.050)。
実施例9:(3S,3aS)−(−)−セダノライドの合成
実施例3で製造した(1S,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)から、実施例6と同様にして(3S,3aS)−(−)−セダノライド(168mg)が得られる。収率87%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.6%e.e.であった。
(物性データ)
[α]20 :−91.3(CHCl,c=1.100)。
実施例10:(3S,3aR)−(−)−セダノライドの合成
実施例4、4−2で製造した(1S,1’S)−(−)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)から、実施例6と同様にして(3S,3aR)−(−)−セダノライド(130mg)が得られる。収率59%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.1%e.e.であった。
(物性データ)
mp:33.5−34.5℃。
[α]20 :−71.3(CHCl,c=1.150)。
実施例11:(3R,3aS)−(+)−セダノライドの合成
実施例5、5−2で製造した(1R,1’R)−(+)−1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール(0.247g,1.0mmol)から、実施例6と同様にして(3R,3aS)−(+)−セダノライド(147mg)が得られる。収率65%。光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.4%e.e.であった。
(物性データ)
mp:33.5−34.5℃。
[α]20 :+71.8(CHCl,c=1.055)。

Claims (9)

  1. 下記式(3)
    Figure 0004947996
    で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールを、アルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することを特徴とする下記式(1)
    Figure 0004947996
    で表される3−ブチル−3а,4,5,6−テトラヒドロフタライドの製造方法。
  2. 下記式(3’)
    Figure 0004947996
    [式中、*は不斉炭素原子を示す]
    で表される光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールをアルキルリチウムでリチオ化し、次いで二酸化炭素と反応させた後、酸の存在下に環化することを特徴とする下記式(1’)
    Figure 0004947996
    [式中、*は不斉炭素原子を示す]
    で表される光学活性3−ブチル−3а,4,5,6−テトラヒドロフタライドの製造方法。
  3. 下記式(3)
    Figure 0004947996
    で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール。
  4. 下記式(3’)
    Figure 0004947996
    [式中、*は不斉炭素原子を示す]
    で表される光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オール。
  5. 下記式(2)
    Figure 0004947996
    で表される2,3−ジブロモ−1−シクロヘキセンをバレルアルデヒドと反応させることを特徴とする下記式(3)
    Figure 0004947996
    で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法。
  6. 下記式(3)
    Figure 0004947996
    で表される1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールをリ
    パーゼの存在下に光学分割することを特徴とする下記式(3’)
    Figure 0004947996
    [式中、*は不斉炭素原子を示す]
    で表される光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法。
  7. 式(3)の化合物を、エステル化した後、リパーゼの存在下に不斉加水分解することにより光学分割する請求項6に記載の式(3’)の光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法。
  8. 式(3)の化合物を、リパーゼの存在下に、アシル化剤を用いて不斉アシル化することにより光学分割する請求項6に記載の式(3’)の光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法。
  9. 式(3’)の化合物の1位の不斉炭素の立体を反転させることからなる請求項6に記載の式(3’)の光学活性1−(2’−ブロモシクロヘキサ−2’−エニル)ペンタン−1−オールの製造方法。
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