JP4946774B2 - シリコンの製造方法 - Google Patents
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Description
前記の半導体グレードシリコンの製法では、極めて高純度のシリコンを製造できるが、シリコンへの転換率が低く、この平衡をシリコンに有利にするために多量の水素が必要なこと、それでも転換率が低いために多くの未反応ガスを再度循環使用する必要があること、未反応ガス中に種々のハロゲン化シランが生成するため、再度蒸留によって分離が必要になること、最終的に水素で還元できない四塩化珪素が多量に生成してくること、などのために高コストである。
SiHnX4-n: (1)
AlHmX3-p-m: (2)
(式中、nは、0または1〜3の整数であり、mは0または1であり、mが0のときpは1または2、mが1のときpは1であり、Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。)
更に、本発明は、〔2〕下式(3)で表されるハロゲン化珪素を下式(4)で表されるアルミニウムサブハライドで還元することを特徴とするシリコンの製造方法
SiX4: (3)
AlX2-q: (4)
(式中、qは、0または1であり、Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。)、
〔3〕ハロゲン化珪素とアルミニウムサブハライドを400〜1400℃の温度で接触させることを特徴とする〔1〕または〔2〕記載のシリコンの製造方法、
〔4〕還元剤として使用するアルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が10%以下、かつ純度が99.9原子%以上である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法(ここでアルミニウムサブハライドの純度は、アルミニウムサブハライド中のシリコンを除いた金属原子の合計を100原子%とし、これから、含まれる鉄と銅とガリウムとチタンとニッケルとナトリウムとマグネシウムと亜鉛との合計の原子%を差し引いたものである。)、
〔5〕還元剤として使用するアルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が1%以下、かつ純度が99.9原子%以上である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔6〕アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素が5ppm以下、かつリンが0.5ppm以下である〔4〕または〔5〕に記載のシリコンの製造方法(ここで各元素の濃度は、アルミニウムサブハライド中の金属原子の合計に対して計算される数値である。)、
〔7〕アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素が0.5ppm以下、かつリンが0.3ppm以下である請求項4または5に記載のシリコンの製造方法、
〔8〕アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下、銅が10ppm以下、チタンが1ppm以下、バナジウムが5ppm以下である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔9〕アルミニウムサブハライドに含まれる鉄濃度をXFeppm、銅濃度をXCuppm、チタン濃度をXTippm、バナジウム濃度をXVppmとしたとき、(XFe/150+XCu/290+XTi/7+XV/20)≦1である〔4〕〜〔8〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔10〕アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下である〔4〕〜〔9〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔11〕アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下、銅が10ppm以下、チタンが1ppm以下、バナジウムが5ppm以下である〔4〕〜〔10〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔12〕アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が3ppm以下、銅が3ppm以下、チタンが0.3ppm以下、バナジウムが1ppm以下である〔4〕〜〔11〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔13〕ハロゲン化珪素の濃度が10体積%以上、アルミニウムサブハライドの濃度が10体積%以上であり、かつシリコンのアルミニウムに対するモル比が1以上となるような割合で接触させる〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔14〕ハロゲン化珪素の純度が4N以上である〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
〔15〕前記の〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載のシリコンの製造方法により得られたシリコンを方向凝固により精製する高純度シリコンの製造方法、
に係るものである。
本発明において、還元剤として用いるアルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が10%以下、かつ該アルミニウムサブハライドの純度は、99.9原子%以上が好ましく、アルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が1%以下が更に好ましい。該アルミニウムサブハライドの純度は、更に好ましくは99.99原子%以上、特に好ましくは99.995原子%以上である。本発明において、アルミニウムサブハライドの純度は、アルミニウムを100原子%とし、これから、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄と銅とガリウムとチタンとニッケルとナトリウムとマグネシウムと亜鉛の合計の原子%を差し引いたものである。本発明において、シリコンの純度は、100原子%から、シリコンに含まれる鉄と銅とガリウムとチタンとニッケルとナトリウムとマグネシウムと亜鉛の合計の原子%を差し引いたものである。
本発明において、純度分析は、グロー放電質量分析法により行う。
さらに、アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素が0.5ppm以下、かつリンが0.3ppm以下であることが好ましい。
また、本発明におけるアルミニウムサブハライドは、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が150ppm以下、銅が290ppm以下、チタンが7ppm以下、バナジウムが20ppm以下であることが好ましい。
さらに、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄濃度をXFeppm、銅濃度をXCuppm、チタン濃度をXTippm、バナジウム濃度をXVppmとしたとき、(XFe/150+XCu/290+XTi/7+XV/20)≦1であることがより好ましい。
さらに、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下であることが好ましい。
さらに、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下、銅が10ppm以下、チタンが1ppm以下、バナジウムが5ppm以下であることが好ましい。
さらに、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が3ppm以下、銅が3ppm以下、チタンが0.3ppm以下、バナジウムが1ppm以下であることが好ましい。
また、ハロゲン化珪素の濃度が10体積%以上、アルミニウムサブハライドの濃度が10体積%以上であり、かつシリコンのアルミニウムに対するモル比が1以上となるような割合で接触させることが好ましい。
本発明における原料として用いるハロゲン化珪素の純度としては、4N以上が好ましく、6N以上がさらに好ましく、7N以上が特に好ましい。また、特にP、Bの含有量は0.5ppm以下が好ましく、0.3ppm以下が更に好ましく、0.1ppm以下が特に好ましい。
銅は好ましくは290ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは3ppm以下;
チタンは好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下、更に好ましくは7ppm以下、より更に好ましくは3ppm以下、もっとより更に好ましくは1ppm以下、特に好ましくは0.3ppm以下;
ニッケルは好ましくは300ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、より更に好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下;
ナトリウムは好ましくは300ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは3ppm以下;
マグネシウムは好ましくは300ppm以下、より好ましくは30ppm以下;更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは3ppm以下;
亜鉛は好ましくは300ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは3ppm以下である。
アルミニウムサブハライドに含まれるこれらの元素以外のもので、Pについては、後に用いることがあるシリコンの精製工程である方向凝固で除くことができないため、アルミニウムサブハライドに含まれるPの濃度は、好ましくは0.5ppm以下、さらに好ましくは0.3ppm以下、特に好ましくは0.1ppm以下がよい。
また、ホウ素も方向凝固の精製が難しいために、アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素の濃度は、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、特に好ましくは0.3ppm以下がよい。
また、バナジウムは好ましくは20ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、更に好ましくは1ppm以下、特に好ましくは0.1ppm以下である。
これら影響のある各元素の合計値が好ましい数値以下であるだけでなく、好ましくは、アルミニウムサブハライドに含まれる鉄濃度をXFeppm、銅濃度をXCuppm、チタン濃度をXTippm、バナジウム濃度をXVppmとしたとき、(XFe/150+XCu/290+XTi/7+XV/20)≦1である。
この合成反応に供するアルミニウムの形状としては、箔、粉末、融液などがありうる。反応速度の面からはできるだけ表面積の大きい形状が好ましい。
得られたアルミニウムサブハライドは高温(800K以上)で安定のため、合成後はこれ以下の温度に冷却することなくハロゲン化珪素との反応容器に送り込む必要がある。
反応温度としては、好ましくは400℃〜1400℃、より好ましくは500℃〜1200℃、更に好ましくは600℃〜1000℃である。400℃以上の温度であれば、反応速度が充分であり好ましく、1400℃以下であれば、この反応は進行する。更に、1000℃以下であればハロゲン化珪素と反応生成物のシリコンの間の反応で低次のハロゲン化珪素が生成して、シリコンの収率が低下することが少なくなるので好ましい。
反応容器の材質は、反応温度における耐熱性があり、シリコンを汚染しない材料が好ましく、炭素、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、石英などが挙げられる。
本発明の反応においては、精製されたシリコンのほかに副生物が生じることがある。副生物は、例えば三塩化アルミニウムである。三塩化アルミニウムは、200℃以上においてはガスであるので、反応系を200℃以上に保持して、未反応ハロゲン化珪素、希釈ガス、三塩化アルミニウムガスの混合ガスとシリコンとの固気分離を行なうことが好ましい
未反応ハロゲン化珪素は、必要に応じて希釈ガスから分離して、再度アルミニウムサブハライドとの反応に用いることができる。希釈ガスからの分離は、冷却してハロゲン化珪素を液体とし、気液分離により行うことができる。
また、塩化水素が存在すると、それに応じてアルミニウムサブハライドの原単位が悪化するが、シリコンの精製効果も期待されるため、精製が必要な場合には必要最小限の使用も考えられる。
本方法で得られるシリコンを用いて、キャスト法または電磁鋳造法によって、インゴットを作製する。太陽電池の基板の導電型は、一般にはp型であって、ドーパントの導入としては、例えばホウ素を添加することや、アルミニウムを残存させることによって達成できる。インゴットは、内周刃切断やマルチワイヤーソー等によりスライシングされる。スライシング後は必要に応じて遊離砥粒を用いて両面がラッピングされ、さらに、ダメージ層を除去するために弗酸等のエッチング液に浸漬する等して多結晶基板が得られる。表面での光反射損失を低減するためには、ダイシングマシンを用いて機械的にV溝を形成したり、反応性イオンエッチングや、酸、アルカリなどを用いたエッチングによりテクスチャー構造を形成したりする。続いて、受光面にリンや砒素等のn型ドーパントの拡散層を形成することによりp−n接合部を得る。さらに、TiO2等の酸化膜層を表面に形成した後に各面に電極を付け、反射による光エネルギーの損失を減らすためのMgF2等の反射防止膜を付けることにより太陽電池を作製することができる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
なお、以下の測定における純度分析は、グロー放電質量分析法(VG社製、VG−9000)を利用する。また、拡散長は、Surface PhotoVoltage (SPV)表面光起電圧法(SDI社製、CMS4010)により行う。拡散長は50μ以上あれば太陽電池として使用可能である。
三層電解高純度アルミニウム板(住友化学(株)製、1mm厚、成分分析値は表1参照)5gをアルミナるつぼに入れ、電気炉1の石英製炉心管内に置き、800℃に保つ。アルミニウムは溶融している。
次いで三塩化アルミニウム25gを電気炉2の石英炉心管内の石英ボートにおき、200℃に保持しつつArを100cc/分で通過させ、このガスを電気炉1に導き溶融アルミニウム中に吹き込む。出てきたアルミニウムサブハライドガスはただちに隣接した800℃に保持し、アルミナ炉心管を備えた電気炉3中に送られる。
高純度四塩化珪素を充填したボンベに、Arを300cc/分の速度で通過させ、四塩化珪素とArの混合ガスを800℃に保った電気炉3に導入し、アルミニウムサブハライドと四塩化珪素とを約10分間反応させる。その後ガスをArに切り替えて降温する。
反応終了後、得られたシリコンを取り出し、純水で洗浄後乾燥して純度分析を行う。高純度のシリコンが得られる。
さらに、得られた高純度シリコンを石英るつぼに仕込み、1440℃に昇温後、温度を一定に保ったままるつぼを0.4mm/分で引き下げて方向凝固することにより、さらに高純度のシリコンが得られる。
Claims (15)
- 下式(1)で表されるハロゲン化珪素を下式(2)で表されるアルミニウムサブハライドで還元することを特徴とするシリコンの製造方法。
SiHnX4-n: (1)
AlHmX3-p-m: (2)
(式中、nは、0または1〜3の整数であり、mは0または1であり、mが0のときpは1または2、mが1のときpは1であり、Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。) - 下式(3)で表されるハロゲン化珪素を下式(4)で表されるアルミニウムサブハライドで還元することを特徴とするシリコンの製造方法。
SiX4: (3)
AlX2-q: (4)
(式中、qは、0または1であり、Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。) - ハロゲン化珪素とアルミニウムサブハライドを400〜1400℃の温度で接触させることを特徴とする請求項1または2記載のシリコンの製造方法。
- 還元剤として使用するアルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が10%以下、かつ純度が99.9原子%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンの製造方法(ここでアルミニウムサブハライドの純度は、アルミニウムサブハライド中のシリコンを除いた金属原子の合計を100原子%とし、これから、含まれる鉄と銅とガリウムとチタンとニッケルとナトリウムとマグネシウムと亜鉛との合計の原子%を差し引いたものである。)。
- 還元剤として使用するアルミニウムサブハライド中に含まれるシリコン原子が1%以下、かつ純度が99.9原子%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素が5ppm以下、かつリンが0.5ppm以下である請求項4または5に記載のシリコンの製造方法(ここで各元素の濃度は、アルミニウムサブハライド中の金属原子の合計に対して計算される数値である。)。
- アルミニウムサブハライドに含まれるホウ素が0.5ppm以下、かつリンが0.3ppm以下である請求項4または5に記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が150ppm以下、銅が290ppm以下、チタンが7ppm以下、バナジウムが20ppm以下であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれる鉄濃度をXFeppm、銅濃度をXCuppm、チタン濃度をXTippm、バナジウム濃度をXVppmとしたとき、(XFe/150+XCu/290+XTi/7+XV/20)≦1であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が10ppm以下、銅が10ppm以下、チタンが1ppm以下、バナジウムが5ppm以下であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- アルミニウムサブハライドに含まれる鉄が3ppm以下、銅が3ppm以下、チタンが0.3ppm以下、バナジウムが1ppm以下であることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- ハロゲン化珪素の濃度が10体積%以上、アルミニウムサブハライドの濃度が10体積%以上であり、かつシリコンのアルミニウムに対するモル比が1以上となるような割合で接触させることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- ハロゲン化珪素の純度が4N以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のシリコンの製造方法により得られたシリコンを方向凝固により精製することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
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