JP4944077B2 - タマネギエキスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はケルセチン配糖体を多く含むタマネギエキスの製造方法に関する。
タマネギの鱗茎部(球)には種々の有用成分が含まれており、その一つにケルセチン配糖体がある(非特許文献1)。
近年の研究において、高血圧、動脈硬化、血栓症、糖尿病などの症状にケルセチンが関与すること、並びに、人体への吸収性という面から、糖が切れたケルセチンアグリコンよりも糖がついているケルセチン配糖体(Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシド、Q-4'-O-β-(D-)グルコシド)の方が優れていることが明らかとされている(非特許文献2、3)。
特許文献1には、タマネギの鱗茎の搾汁を約90〜60℃で濃縮したエキスが記載されている。しかし、この方法ではタマネギの搾汁時にタマネギ中のグルコシダーゼが作用し、タマネギ中のケルセチン配糖体(Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシド、Q-4'-O-β-(D-)グルコシド、Q:ケルセチン)の糖が加水分解され、ケルセチンアグリコンになってしまうという問題があった。
特許文献2にはケルセチン配糖体が熱によりケルセチンアグリコンに変化することが記載されている。特許文献2ではケルセチン配糖体を高効率にケルセチンアグリコンに変換させる技術が開示されている。特許文献2には、アグリコン化する意義として、ケルセチンアグリコンの方が試験管内における抗酸化性能が配糖体に比べ優れていることが記載されている。しかしながら人体にとって重要なのは抗酸化能ではなく吸収率である。また、人体への吸収時にはケルセチン配糖体は腸内の消化酵素によってアグリコン化されて吸収されるため、人体内での効果に差はない。従って、ケルセチン配糖体を配糖体のまま維持することが、特許文献2のようにアグリコン化するよりも有益であると本発明者は考える。
特許文献3にはタマネギからオニオンピューレの製造方法が開示されている。ケルセチン配糖体を多く含むタマネギエキスの製造方法は開示されていない。
特開昭54-14564号公報 特開2007-210916号公報 特許第3993804号公報 木下ら, 果汁協会報, No.595, 14-25(2008) Peter CH Hollman etc, Am J Clin Nutr 1995:62:1276-1282 寺尾, ビタミン, 79巻, 1号(2005)
タマネギ中のケルセチン配糖体をアグリコン化することなく配糖体のまま高濃度化する技術は従来提供されていない。
本発明は、ケルセチン配糖体(Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシド、Q-4'-O-β-(D-)グルコシド)を多く含有するタマネギエキスを製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者は、タマネギを破砕する際にケルセチン配糖体のアグリコン化が生じること、グルコシターゼを失活させた後に破砕を行えばケルセチン配糖体のアグリコン化は顕著に抑制されることを見出した。従来、タマネギ中でのグルコシダーゼ活性とケルセチン配糖体のアグリコン化との関係は知られていなかった。
本発明は以下の発明を包含する。
(1) タマネギ鱗茎部を破砕する破砕工程と、破砕されたタマネギ鱗茎部を搾汁して搾汁液を得る搾汁工程と、該搾汁工程で得られた搾汁液を濃縮する濃縮工程とを含むタマネギエキスの製造方法において、
前記破砕工程に先立って、タマネギ鱗茎部中に含まれる酵素グルコシターゼを失活させるグルコシターゼ失活工程を有することを特徴とするタマネギエキスの製造方法。
(2) 前記濃縮工程が、前記搾汁液を80℃以下の温度において濃縮する工程である、(1)に記載のタマネギエキスの製造方法。
(3) 前記グルコシターゼ失活工程が、タマネギ鱗茎部を加熱することによりグルコシターゼを失活させる工程であり、
タマネギ鱗茎部の中心部分の加熱時間及び加熱時の温度が、タマネギ鱗茎部の中心部分の最短の加熱時間をX(単位:分)とし、加熱時のタマネギ鱗茎部の中心部分の温度をY(単位:℃)としたとき、数式:
Y≧0.01426003×X2-1.480861×X+98.37368
を満たす、(1)又は(2)に記載のタマネギエキスの製造方法。
(4) Q−3,4’−O−β−(D−)ジグリコシドを可溶性固形分1g当たり3.0mg以上含有するタマネギエキス。
(5) (4)に記載のタマネギエキスを含有する加工飲食品、又は(1)〜(3)の何れかに記載の方法により製造されたタマネギエキスを含有する加工飲食品。
本発明によれば、ケルセチン配糖体、特にQ−3,4’−O−β−(D−)ジグリコシド高含有のタマネギエキスを製造することができる。
1. タマネギ
本発明に用いるタマネギは、品種は限定されず、また皮むきされているか否かは問わない。また、含有されるケルセチン配糖体のケルセチンアグリコンへの変換率が5%以下であれば、任意の寸法、形状にカットされたタマネギを使用することができる。
タマネギ鱗茎部とは通常食用される球の部分を指す。本明細書では特段の断りのない限り「タマネギ」とは「タマネギ鱗茎部」を指す。
2. ケルセチン配糖体
タマネギ中に含まれるケルセチン配糖体としては、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシド、Q-4'-O-β-(D-)グルコシド(Q:ケルセチン)等が代表的なものとして挙げられる。
3. グルコシターゼ失活工程
本発明の特徴の一つは、タマネギを破砕するよりも前に、タマネギ中に含まれる酵素グルコシターゼを失活させることである。
本工程に用いるタマネギは、含有されるケルセチン配糖体のケルセチンアグリコンへの変換率が5%以下であれば、どのような寸法、形状にカットされたものでもよい。例えばタマネギ全体、タマネギを1/2〜1/8の大きさにカットしたもの等が使用できる。
グルコシダーゼを失活させる方法としては、加熱による蛋白質変性があげられる。加熱方法としては、電子レンジ加熱、ボイリング、蒸しなどがある。
電子レンジによる加熱は例えば皮をむいたタマネギ1個(約300g)に対し500Wの電子レンジで7.5〜10分加熱する。上述の通り適宜カットされたタマネギも使用できる。
ボイリングによる加熱は例えば沸騰したお湯800gに対しタマネギ1個(約300g)を投入し15分〜60分加熱する。上述の通り適宜カットされたタマネギも使用できる。
蒸しによる加熱は例えば市販の蒸し器に適当量の水を入れ加熱し発生した蒸気中にタマネギ1個(約300g)を投入し15分〜60分加熱する。上述の通り適宜カットされたタマネギも使用できる。
加熱失活工程におけるタマネギ試料の中心部分の加熱時間及び温度は、タマネギ試料の中心部分の最短の加熱時間をX(単位:分)とし、加熱時のタマネギ鱗茎部の中心部分の温度をY(単位:℃)とし、XY座標上の、(X, Y)=(50, 60)、(X, Y)=(25, 75)、(X, Y)=(15, 80)、(X, Y)=(5, 90)、及び(X, Y)=(3, 95)の5点に基づいて描かれる近似曲線をY=F(X)の数式で表すとき、数式Y≧F(X)の関係を満たすことが好ましい。この条件の範囲内であればグルコシダーゼが十分に失活する。上記5点に基づく最小二乗法による2次近似式は、Y=0.01426003×X2-1.480861×X+98.37368であるから、X 及びYはY≧0.01426003×X2-1.480861×X+98.37368を満たすことが特に好ましい。本近似式が適用されるX(分)の範囲は好ましくは1〜60であり、特に好ましくは3〜52であり、最も好ましくは3〜50である。
尚、加熱失活工程におけるタマネギ試料の加熱時間は、上記関係を満たすX以上の時間であれば特に制限はないが、生産効率の観点から120分以内であるのが好ましい。
4. 破砕工程
破砕工程は、グルコシダーゼ失活工程後のタマネギをミキサー、コミトロール、ミクロマイスター、圧搾機等を用いて、粉砕したり圧搾する等して破砕する工程である。ケルセチン配糖体を細胞内から外部へ溶出させるために水、0〜80%エタノール溶液等の溶媒とともに破砕を行うことが好ましい。
5. 搾汁工程
タマネギの破砕物はケルセチン配糖体が溶出した液体成分と、細胞壁等の固体成分とからなる。搾汁工程では、破砕物から液体成分を分離する。固液分離は遠心分離、ろ過(例えば珪藻土ろ過)等の通常の方法により行うことができる。尚、搾汁工程は、圧搾するなど破砕工程と同時に行うこともできる。
6. 濃縮工程
濃縮工程は搾汁工程で得られた搾汁液を濃縮する工程である。ここで濃縮とは、搾汁液中の水分を減少させて最終糖濃度を50%以上とすることを指す。糖濃度は市販の糖度計で測定することができる。
濃縮は80℃以下の温度において行うことが好ましい。搾汁液又は濃縮物が80℃を超える温度に曝されると、含有されるケルセチン配糖体のアグリコン化が顕著に進行する。
搾汁液又は濃縮物のpHが5.5〜7.5の範囲となるように濃縮を行うことが更に好ましい。pHが5.5未満の酸性になると、ケルセチン配糖体がケルセチンアグリコンに変換されやすくなる。また、pHが7.5よりもアルカリ側になるとケルセチン骨格自体が壊れ、ケルセチンそのものが分解してしまう傾向がある。
濃縮方法としては例えば真空蒸発濃縮、膜濃縮が採用できる。
真空蒸発濃縮は一般的に減圧濃縮と呼ばれる。濃縮時の真空度は最終品を糖度50%以上とすることができる範囲で選択でき、特に限定されない。
膜濃縮は、例えば逆浸透膜(RO)、限外濾過膜(UF)などの膜を使用して行うことができる。使用する膜の種類は糖度50%以上とすることができる範囲で選択でき、特に限定されない。
7. タマネギエキスおよびその用途
本発明の方法により製造されるタマネギエキスはケルセチン配糖体を高濃度で含有する。代表的なケルセチン配糖体であるQ−3,4’−O−β−(D−)ジグリコシドは、タマネギエキス中に可溶性固形分1g当たり3.0mg以上、より好ましくは3.5mg以上含有される。
ケルセチン配糖体高含有タマネギエキスは、健康増進を訴求する加工飲食品の成分として種々の形態で使用することができる。具体的な加工飲食品としては、例えば、ソフトカプセル等のサプリメント、当該エキスを配合したカレーやシチュー、スープ等の調味食品、当該エキスを配合した飲料、当該エキスを更に発酵させたタマネギ酢などが挙げられる。
ケルセチン配糖体分析方法
ケルセチン配糖体(Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシド、Q-4'-O-β-(D-)グルコシド)及びケルセチンアグリコンの分析方法は以下のようにした。これ以降の分析は全てこの方法で行なった。前処理は当該サンプルをケルセチン濃度が0.001〜0.01mg/mlになるように2%酢酸50%メタノール溶液を用いて希釈し、0.45μmフィルターろ過した後、下記の条件で液体クロマトグラフィ分析を行なった。
条件:カラム:ODS分析用カラム(PEGASIL ODS 4.6Φ×250mm Senshu Pak 製)
液クロ装置:日立 D-7000形 HPLCシステム
流 速:1.0ml/min
検出器:UV360nm
移動相:2%酢酸10%メタノール溶液→2%酢酸80%メタノール溶液/20分
2%酢酸80%メタノール溶液/5分
注入量:10μl
加熱によるケルセチン配糖体のケルセチンアグリコンへの変換
Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)を蒸留水を用いて0.05mg/mlに調整し、60℃、80℃、95℃でそれぞれ60分間静置し、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの残存率を上記方法を用いて測定した。その時の溶液のpHは6.5だった。
結果を図1に示す。80℃まではほとんど誤差範囲の変化しかなかったが、95℃では約4%の減少が見られた。また、同時にQ-4'-O-β-(D-)グルコシド、ケルセチンアグリコンの産生が見られたことから、95℃では配糖体の糖が切れるということが分かった。
pHによるケルセチン配糖体のケルセチンアグリコンへの変換
Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)、Q-4'-O-β-(D-)グルコシドの標品(polyphenols社製)、ケルセチンアグリコンの標品(クエルセチン2水和物、Wako社製)を50%エタノール溶液を用いて0.05mg/mlに調整し、それをクエン酸、重曹を用いてpH2.5、4.0、6.5、8.0に調整し、3日25℃で静置した。
結果を図2に示す。酸性域ではケルセチン配糖体の減少が見られる。同時にQ-4'-O-β-(D-)グルコシド、ケルセチンアグリコンの産生が見られたことから、pH4.0以下の酸性域では配糖体の糖が切れるということが分かった。アルカリ性域ではケルセチンアグリコンも含めて大幅な減少が見られる。HPLCでは360nmの波長強度自体が減少しており、他のケルセチン類の産生も見られないことから、ケルセチン骨格自体が分解あるいは変化したと考えられる。
加熱とpHの組み合わせによるケルセチン配糖体のケルセチンアグリコンへの変換
Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)を蒸留水を用いて0.05mg/mlに調整し、クエン酸を用いてpH2.5に調整した。それを60℃、80℃、95℃でそれぞれ60分間静置し、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの残存率を上記方法を用いて測定した。
結果を図3に示す。ケルセチンアグリコンへの変換は加熱とpHにより加速される傾向があった。
タマネギ加工時のグルコシダーゼの影響
市販のタマネギ(北もみじ2000)1個を皮をむいて上から見て等分に包丁で1/4カットした。その時の重量は343gだった。1/4カットしたものをすぐに、あらかじめ95℃に調整していたお湯600gに投入し、95℃に調整しながら15分間静置した。これをお湯ごと家庭用ミキサー(MX-X107 National製)で破砕した。破砕した溶液を遠心分離機(himac CR21 日立製、ローター:RPR9-2)を用いて4℃、8000rpm、15minの条件で遠心分離をした。その上澄み液は864g得られた。これを等分に分け、それぞれ上澄み液1、上澄み液2とした。上澄み液1はEYELA社製エバポレーター(VAPOR TRAPUNIT DPE-2000、NEWROTARY VACUUM EVAPORATOR NE)を用いて80℃100hPaで糖度70%まで濃縮した。糖度はATAGO社製糖度計(Refractometer RX-7000α)で測定した。この最終品は実施例1とする。上澄み液2は500mlのガラス製ビーカーで糖度70%になるまで、加熱し沸騰濃縮した。この時の糖度と沸点温度の関係は次のようであった。この最終品は実施例2とする。
Figure 0004944077
市販のタマネギ(北もみじ2000)1個を皮をむいて上から見て等分に包丁で1/4カットした。その時の重量は354gだった。これに蒸留水600gを加え、家庭用ミキサー(MX-X107 National製)で破砕した。破砕した溶液を遠心分離機(himac CR21 日立製、ローター:RPR9-2)を用いて4℃、8000rpm、15minの条件で遠心分離をした。その上澄み液は828g得られた。これを等分に分け、それぞれ上澄み液3、上澄み液4とした。上澄み液3はEYELA社製エバポレーター(VAPOR TRAPUNIT DPE-2000、NEWROTARY VACUUM EVAPORATOR NE)を用いて80℃100hPaで糖度70%まで濃縮した。糖度はATAGO社製糖度計(Refractometer RX-7000α)で測定した。この最終品は比較例1とする。上澄み液4は500mlのガラス製ビーカーで糖度70%になるまで、加熱し沸騰濃縮した。この最終品は比較例2とする。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のケルセチン配糖体、及び、ケルセチンアグリコンの量を上記測定方法に従い測定し、濃縮タマネギエキス中の可溶性固形分1g当たりの量に換算し比較した。最終品のpHはそれぞれ実施例1:6.2、実施例2:6.2、比較例1:6.1、比較例2:6.2とほとんど差がなかった。
結果を図4に示す。タマネギの最初の加工時のグルコシダーゼによるケルセチン配糖体のアグリコン化、濃縮時の加熱によるアグリコン化が顕著に見られた。濃縮時の加熱によるアグリコン化が上記実験よりも多く進んでいるのは、糖度が高くなることによりおこるモル沸点上昇で沸点温度が上昇し、より高い温度がかかったためと考えられる。
グルコシダーゼの粗精製
上記結果より、タマネギ破砕時のケルセチン配糖体のアグリコン化はグルコシダーゼによるものと推定できたが、それをより確実なものとするために、グルコシダーゼの精製を試みた。グルコシダーゼ活性はQ-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)を蒸留水を用いて0.05mg/mlに調整し、それに加えてQ-4'-O-β-(D-)グルコシドやQ-3'-O-β-(D-)グルコシド、ケルセチンアグリコンが産生されかどうかを測定し確認した。市販のタマネギ(北もみじ2000)1個を皮をむいて上から見て等分に包丁で1/4カットした。その時の重量は378gだった。これに蒸留水600gを加え、家庭用ミキサー(MX-X107 National製)で破砕した。破砕した溶液を遠心分離機(himac CR21 日立製、ローター:RPR9-2)を用いて4℃、8000rpm、15minの条件で遠心分離をした。この上澄み液と残渣部分を上記標品5gに対し1g加え活性を確認したところ、残渣部分に活性が存在することを確認した。この残渣を蒸留水を500g加え、細胞壁も破砕できるホモゲナイザー(KINEMATICA社製 PolytronPT2100、シャフト:PT2120)で処理し(室温10000rpm)完全に細胞壁を破砕した。これを上記標品5gに対し1g加え活性を確認したところ、活性が存在した。この事から、本発明に関係しているグルコシダーゼは細胞膜中の膜タンパク質である可能性が高いと考えられる。上記破砕品を遠心分離機(himac CR21 日立製、ローター:RPR9-2)を用いて4℃、8000rpm、15minの条件で遠心分離し、上澄み液473gを得た。この上澄み液50gに対し、4℃に冷やした100%エタノール溶液100mlを添加し4℃で3時間静置し有機溶媒沈殿を行なった。この溶液を遠心分離機(himac CR21 日立製、ローター:RPR9-2)を用いて4℃、8000rpm、15minの条件で遠心分離し、上澄み液は廃棄し、得られた残渣に対して20%グリセリン溶液(WAKO社製)で溶解した。これを以下グルコシダーゼ液とする。グルコシダーゼ液100μlをQ-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)、Q-4'-O-β-(D-)グルコシドの標品(polyphenols社製)、Q-3'-O-β-(D-)グルコシドの標品(イソケルシトリン 関東化学製)、それぞれを蒸留水を用いて0.05mg/mlに調整した液に添加し活性を確認した。
結果を図5に示す。図5左側がグルコシダーゼ液による処理前の各標品の分析結果であり、右側がグルコシダーゼ液による処理後の各標品の分析結果である。それぞれに活性が見られ、グルコシダーゼが存在していることを確認した。ケルセチン配糖体の3位、4位のグルコシドそれぞれに反応していることから、上記グルコシダーゼ液は複数のグルコシダーゼが存在している可能性がある。
グルコシダーゼの失活条件探索
上記グルコシダーゼ液を用いて加熱による失活条件を探索した。グルコシダーゼ液1mlを容量2mlマイクロチューブに分注し、恒温水槽(C-650 大洋化学工業株式会社製)で60℃、70℃、80℃、90℃、95℃で所定時間インキュベートし、インキュベート後のグルコシダーゼ液を、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品(polyphenols社製)を蒸留水を用いて0.05mg/mlに調整した液1mlに100μl加えて、25℃24時間静置後のQ-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの残存率(%)から活性の有無を確認した。すなわち、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの残存率(%)が100%の時はグルコシダーゼ活性の残存率は0%、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの残存率(%)が50%の時はグルコシダーゼ活性の残存率は50%として活性の有無を確認した。結果を表2に示す。
表2に示す結果から導かれる、グルコシダーゼ活性の残存率が0.5%以下になるためのインキュベート温度及び時間を、図6に示す線上又は斜線部の領域により示す。
Figure 0004944077
pH6.5の条件における、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの加熱安定性を示す。 pHの変化とケルセチンの安定性との関係を示す。 pH2.5の条件における、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの加熱安定性を示す。 加工処理方法と、タマネギエキス中のケルセチン量との関係を示す。 タマネギから分離したグルコシダーゼ粗精製物を、Q-3,4'-O-β-(D-)ジグルコシドの標品、Q-4'-O-β-(D-)グルコシドの標品、及びQ-3'-O-β-(D-)グルコシドの標品に作用させた結果を示す。 グルコシダーゼを失活させるために必要な時間及び温度を示す。

Claims (5)

  1. タマネギ鱗茎部を破砕する破砕工程と、破砕されたタマネギ鱗茎部を搾汁して搾汁液を得る搾汁工程と、該搾汁工程で得られた搾汁液を濃縮する濃縮工程とを含むタマネギエキスの製造方法において、
    前記破砕工程に先立って、タマネギ鱗茎部中に含まれる酵素グルコシターゼを失活させるグルコシターゼ失活工程を有すること、ならびに、前記グルコシターゼ失活工程が、タマネギ鱗茎部を加熱することによりグルコシターゼを失活させる工程であること、を特徴とするタマネギエキスの製造方法。
  2. タマネギ鱗茎部を破砕する破砕工程と、破砕されたタマネギ鱗茎部を搾汁して搾汁液を得る搾汁工程と、該搾汁工程で得られた搾汁液を濃縮する濃縮工程とを含むタマネギエキスの製造方法において、
    前記破砕工程に先立って、タマネギ鱗茎部中に含まれる酵素グルコシターゼを失活させるグルコシターゼ失活工程を有すること、ならびに、前記グルコシターゼ失活工程が、タマネギ鱗茎部を加熱することによりグルコシターゼを失活させる工程であること、を特徴とする、製造されるタマネギエキス中のケルセチン配糖体の含有量を高める方法。
  3. 前記濃縮工程が、前記搾汁液を80℃以下の温度において濃縮する工程である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記グルコシダーゼ失活工程におけるタマネギ鱗茎部の中心部分の加熱時間及び加熱時の温度が、タマネギ鱗茎部の中心部分の最短の加熱時間をX(単位:分)とし、加熱時のタマネギ鱗茎部の中心部分の温度をY(単位:℃)としたとき、数式:
    Y≧0.01426003×X2-1.480861×X+98.37368
    を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記搾汁液、及び、前記濃縮工程における濃縮物の pHが5.5〜7.5の範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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