JP3697524B1 - タマネギ加工食品、及びその製造方法 - Google Patents

タマネギ加工食品、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
糖質が除去され、かつクエルセチン、ペクチン等の有効成分の濃度が高い健康補助食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
タマネギの鱗茎を微細化する微細化工程と、前記微細化工程により得られるタマネギ微細化物中に含まれる糖質を冷水により除去する冷水処理工程と、前記冷水処理工程で糖質を除去された前記タマネギ微細化物を圧搾する圧搾工程と、を含むタマネギ加工食品の製造方法である。また、タマネギの薄皮を取り除く薄皮除去工程と、前記薄皮除去工程により得られたタマネギの鱗茎に対して光照射を行う光照射工程と、を含むことを特徴とするタマネギ加工食品の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明はタマネギを原料とするタマネギ加工食品、及びその製造方法に関する。
タマネギは通常食材として広く利用されており、糖質、タンパク質、脂質、無機質、ビタミン類、硫化合物等が豊富で栄養的に優れていることが知られている。そして、タマネギはクエルセチン(quercetin)、ペクチン、プロピオンアルデヒド、ジプロピルジスルフィド等の薬効成分を多量に含み、血糖低下作用、脂質低下作用、血小板凝集抑制作用、フィブリン溶解作用、抗アレルギー作用、免疫増強作用、変異原性抑制作用、発癌促進物質抑止効果等があることが知られている。そのため、最近ではタマネギを原料として用いた健康補助食品等のタマネギ加工食品が開発されている。
タマネギを原料としてタマネギ加工食品を製造する方法としては、タマネギの鱗茎、外皮、薄皮等から直接抽出する方法が挙げられる。このような方法として、(特許文献1)には、タマネギの有効成分を多量に抽出することが出来る方法として、タマネギの生鱗茎を収穫した後、水洗し、剥皮し、所定の大きさに破砕することによりタマネギからその有効成分を製造する方法において、(イ)当該タマネギを圧搾、又は遠心分離により搾汁する工程と、(ロ)当該(イ)の方法によりタマネギの搾汁液を減圧濃縮により濃縮してタマネギの成分を得る工程と減圧濃縮により濃縮してタマネギの成分を得る工程と、(ハ)当該減圧濃縮の際、留出してくる留分を採取する工程と、(ニ)当該(ハ)の工程により採取された留分を、当該(ロ)の工程により得たタマネギの成分に添加し、混合する工程とから製造されることを特徴とするタマネギの有効成分を製造する方法が開示されている。
しかしながら、上述のようなタマネギから有効成分を直接抽出する方法では、糖質を多く含むため、糖尿病患者に不向きであるという問題点、また近年の健康志向にそぐわないという問題点があった。また、(特許文献1)では、タマネギの有効成分を多量に抽出することを目的としており、圧搾して得られた搾汁液中にはタマネギ特有の臭い、及び味が生じてしまい嗜好上の困難を伴なうという問題点があった。
また、(特許文献2)には、タマネギ微細化物を水と接触させてそのタマネギ微細化物中に含まれる水溶性臭気物質を抽出除去する工程と、この水溶性臭気物質の抽出除去されたタマネギ微細化物を蒸煮する工程からなる無臭化タマネギの製造方法が開示されている。
そして、(特許文献3)には、タマネギの有効成分を多量に抽出することが出来る方法として、1〜2対1〜5の鱗茎/水の重量比において鱗茎の水懸濁液を形成せしめ、前記懸濁液を4〜8時間−50℃まで下げる予備凍結段階に次いで12〜24時間50℃を越えない温度まで徐々に加熱する段階を使って前記懸濁液を凍結乾燥せしめ、前記鱗茎から1〜3%の相対水分率を有する粉末を得る連続段階を含んでなることを特徴とする処理方法を開示している。
しかしながら、上述の技術はタマネギ中に少量含まれる臭気物質の除去を目的としたものであり、タマネギ中に8〜12wt%程度の多量含まれる糖質を除去するためのものではなかった。そのため、(特許文献2)の製造方法で得られるタマネギ微細化物の蒸煮物は約9%程度の糖度を有するという問題点があった。また、(特許文献3)においては、懸濁液を形成し、そのまま凍結乾燥するため、得られた粉末には糖質が多く含まれてしまう。
上述のように、従来はタマネギの糖質の除去を課題とした技術はなく、そのためタマネギを原料とした健康補助食品であって、糖質が除去されたものはなく、糖尿病患者には不向きなものであった。また、タマネギの鱗茎を用いた場合には、高いクエルセチン濃度が得られないという問題点があった。
また、原料としてタマネギの薄皮を用いたものが(特許文献4)に開示されている。(特許文献4)には、水の存在下でタマネギの薄皮を攪拌・粉砕した後水分をある程度除去し、熱風により乾燥させることにより、乾燥後の薄皮の味を改善する方法が開示されている。この方法によれば、タマネギの薄皮中には元来糖質がほとんど含まれないため、糖質を含まないタマネギ加工食品を製造することができる。
しかしながら、タマネギの薄皮には農薬、細菌等が付着しているため、食品用には適さないという問題点があった。
特開2003−192604号公報 特開平7−213247号公報 特開平5−344851号公報 特開2002−171934号公報
そこで、本願発明は上述のような課題を解決するため、糖質が除去され、かつクエルセチン、ペクチン等の有効成分の濃度が高い、タマネギを原料としたタマネギ加工食品、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のタマネギ加工食品は、請求項1として、 タマネギの鱗茎を微細化する微細化工程と、前記微細化工程により得られるタマネギ微細化物の中に含まれる糖質を温度が0℃〜10℃である冷水により除去する糖質除去工程と、前記糖質除去工程で糖質を除去された前記タマネギ微細化物の中の水分を除去する脱水工程と、を含むタマネギ加工食品の製造方法であって
前記微細化工程の前にタマネギの鱗茎に対して光照射を行う光照射工程を含むことを特徴とする
上記手段によれば、冷水により処理されることで糖質が効果的に除去される。また、冷水を用いるため、アリナーゼ酵素の働きを阻害し、臭気成分の生成を抑制することができる。そして、クエルセチン、ペクチン等の有効成分は冷水中に溶け出すことなく、タマネギ中に留まる。
なお、タマネギ微細化物とは、フレーク状、ペースト状、粉末状等を含む概念である。また、冷水処理工程とは、タマネギ微細化物と冷水とを接触させて処理させることであり、容器内の冷水中にタマネギ微細化物を浸漬、攪拌する方法、タマネギ微細化物を濾紙等(タマネギ微細化物を通さないメッシュであればよい)に採取し、冷水により連続的に洗い流すことで処理する方法等を用いることができる。
また、光を照射することでタマネギの鱗茎中に含まれるクエルセチン量が増大する。
なお、ここでいう光照射とは、太陽光、蛍光灯、LEDランプ等の各種光源により光を照射することをいう。
また、糖質を除去し、かつ最適な温度が選択される。
請求項は、請求項記載のタマネギ加工食品の製造方法において、光照射の光源が太陽光であることを特徴とする。
上記手段によれば、クエルセチン量を増大させるのに最適な光源が選択される。
請求項は、請求項1又は2記載のタマネギ加工食品の製造方法において、脱水工程により得られたタマネギ残渣物を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする。
上記手段によれば、タマネギ残渣物中に含まれる臭気成分等が取り除かれる。
本発明のタマネギ加工食品によれば、高クエルセチン含有量、かつ低糖質量であるため、健康補助食品、調味料、食品添加料等に用いることができ、特に糖尿病患者、肥満患者等に対して有用な健康補助食品を得ることができる。
また、本発明のタマネギ加工食品の製造方法によれば、タマネギ微細化物を冷水処理、圧搾するため、糖質が除去され、かつクエルセチン等の有効成分の濃度が高いタマネギ加工食品が得られる。このため、得られたタマネギ加工食品は、健康補助食品、調味料、食品添加料等に用いることができ、特に糖尿病患者、肥満患者等に対して有用な健康補助食品を得ることができる。
また、冷水を用いて処理するため、得られたタマネギ加工食品は臭気成分を含まず、健康補助食品、調味料、食品添加量等として利用しやすい形態となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、本発明のタマネギ加工食品、及びその製造方法を実施の形態(1)に基づいて説明する。
本発明のタマネギ加工食品の製造方法は、タマネギの鱗茎を微細化する微細化工程と、前記微細化工程により得られるタマネギ微細化物を冷水により処理することで前記タマネギ微細化物中に含まれる糖質を除去する冷水処理工程と、前記冷水処理工程で冷水により処理されたタマネギ微細化物を圧搾する圧搾工程と、前記圧搾工程により得られたタマネギ残渣物を乾燥する乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
原料として用いるタマネギは産地、種類等については特に限定されず、白色種、黄色種、赤色種等の各種タマネギを用いることができる。各種タマネギの中でも含硫有機化合物の多い黄色種が好適に用いられる。
収穫されたタマネギは、前処理として水洗い、皮剥き等を通常の方法に従って行う。なお、皮剥きの際には、薄皮(赤茶色に色づいた表皮)、先端部、根などは取り除き、鱗茎のみとすることが好ましい。薄皮、先端部、根等を取り除くことで、薄皮等に含まれる苦味成分、農薬、細菌等を除去することが可能となる。なお、薄皮等を用いた場合には、薄皮の苦味成分のため味覚が劣る、農薬、細菌等が含まれる等の問題点があり、食品用の原料としては好ましくない。
続いて、微細化工程において前処理によって得られたタマネギの鱗茎を微細化する。微細化する方法としては、ミキサー、粉砕機、すりつぶし機等を用いて行うことができる。また、微細化方法としては、乾式、湿式のいずれかの方法を用いることができるが、湿式方法が好ましく用いられる。
そして、湿式方法を用いた場合には、冷水中で微細化を行うことが好ましい。
一般的に、タマネギを微細化した場合には、細胞質に存在していたアリナーゼ酵素が放出され、S−アルキルシステイン、スルフォキサイド(イソアイリン等)が、臭気性、催涙性を有する多種類の有機硫黄化合物(プロペニル、スルフェン酸、S−アルキルチオスルフィネート、アルキルジスルファイド、アルキルトリスルファイド等)に変化する。しかしながら、冷水中で微細化処理を行うことで、アリナーゼ酵素の働きが抑制し、臭気性成分、催涙性成分の生成を抑えることが可能となる。
なお、処理に用いる冷水の温度としては0〜10℃が好ましく、0〜5℃が特に好ましい。温度が高い場合にはアリナーゼ酵素の働きを抑制できない。また、温度が0℃より低い場合には、氷結などが起こるために微細化処理が困難となる場合がある。
また、タマネギ微細化物の寸法としては、通常5mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、できるだけ微細であるのが好ましい。タマネギを微細化することで、外表面積が大きくなるので、冷水処理による糖質除去等を効果的に行うことが可能となる。
続いて、タマネギ微細化物を圧搾機にて搾る。これにより糖質、臭気成分等が溶出した水分が取り除かれる。
そして、糖質除去工程において搾った後のタマネギ微細化物を冷水により処理する。冷水処理の方法は、タマネギ微細化物と冷水とを接触させて処理させればよく、容器内の冷水中にタマネギ微細化物を浸漬、攪拌する方法、タマネギ微細化物を濾紙等(タマネギ微細化物を通さないメッシュであればよい)に採取し、冷水により連続的に洗い流すことで処理する方法等が挙げられる。
処理に用いる冷水の温度としては0〜10℃が好ましく、0〜5℃がさらに好ましい。温度が高い場合にはクエルセチン、ペクチン等の有効成分が溶出して除去されてしまう。また、温度が0℃より低い場合には、氷結などが起こるために微細化処理が困難となる場合がある。
また、容器内の冷水中にタマネギ微細化物を浸漬、攪拌する方法としては、例えば、タマネギ微細化物を浸漬、攪拌した後、タマネギ微細化物と冷水とを分離し、分離されたタマネギ微細化物を再び冷水中において攪拌する操作を必要に応じ繰り返し行う方法が挙げられる。この場合、浸漬時間としては、タマネギ微細化物から糖質を除去するのに十分な時間であればよく、例えば合計で30〜300分程度が好ましい。また、タマネギ微細化物と水との分離は濾過分離(減圧濾過や加圧濾過等)、遠心分離、沈降分離等の従来公知の固液分離法を採用することができる。
また、タマネギ微細化物を濾紙等に採取し、冷水により連続的に洗い流すことで処理する場合には、冷水による処理と分離とを同時に行うことが可能となる。そして、冷水とタマネギ微細化物との接触時間としては、糖質を除去するのに十分な時間であればよく、例えば30分〜300分程度が好ましい。
タマネギ中に含まれる糖質は、冷水による処理により冷水中に溶出、除去される。特にタマネギが微細化工程において微細化されているため、糖質が効率良く溶出する。
また、0〜5℃、あるいは0〜10℃という低温の冷水を用いて処理するため、クエルセチン等の有効成分が溶出することがない。特に、クエルセチンは糖質と比較して水に対する溶解度が小さいため、溶出することなくタマネギ微細化物中に留まる。また、ペクチンは水溶性ではあるが、水の温度が低いため、ペクチンの溶出が少なく、タマネギ微細化物中に留まることとなる。さらに、タマネギ中には、ペクチン等の水溶性食物繊維以外に不溶性の食物繊維も含まれるが、これらについてもタマネギ微細化物中に留まる。
さらに、0〜5℃、あるいは0〜10℃という低温の冷水を用いて処理するため、酵素の働きを妨げ、臭気成分、催涙成分の生成を抑えることが可能となる。なお、若干量生成した臭気成分、催涙性分については、冷水処理によりタマネギから溶出、除去することが可能である。
続いて、脱水工程において上記糖質除去後のタマネギの残渣物を再び圧搾機または遠心分離機等により搾る。これにより、冷水により糖質除去されたタマネギ微細化物中に含まれる水分が取り除かれる。この際、前記水分中には、タマネギから溶出した糖質や臭気成分、催涙成分等が含まれ、これらについてもタマネギ微細化物中に残ることなくきれいに取り除かれる。一方、クエルセチンは、タマネギ微細化物中に主に留まる。また、ペクチンについても同様にタマネギ微細化物中に主に留まる。
そして、脱水工程において、圧搾機により水分が取り除かれたタマネギの残渣物を、さらに裏ごし機により裏ごしする。これにより、圧搾処理されたタマネギ残渣物中に含まれる水分が取り除かれ、糖質、臭気成分、催涙成分等についても同様に除去される。この際、タマネギの残渣物中に含まれる糖質の量は10mg/1g以下となることが好ましい。
続いて、乾燥工程において、タマネギの残渣物を乾燥し、タマネギ乾燥物を得る。乾燥方法としては、凍結乾燥、遠赤外乾燥、又は温風乾燥等が挙げられる。タマネギ中に臭気成分、催涙成分等が残留している場合には遠赤外乾燥、温風乾燥等により加熱することで除去することが可能である。
続いて、粉末化工程において乾燥工程により得られたタマネギ乾燥物は、ミル等を用いて粉末化し、タマネギ粉末とすることが好ましい。この際、得られたタマネギ粉末中に含まれる糖質の量は150mg/1g以下となることが好ましい。
粉末化工程により得られたタマネギ粉末は、そのままでタマネギ加工食品として用いることができる。また、タマネギ加工粉末をカプセル、錠剤、飲料などに配合してタマネギ加工食品とすることも可能である。
なお、得られたタマネギ加工食品に、ポリフェノールと混合しても臭気の軽減効果がある。ここでのポリフェノールは、リンゴ、ブドウ、バラ花弁、ハマナス花弁、食用松等を含み食品として一般的に利用できる高濃度のポリフェノールを意味する。
このようにして得られたタマネギ加工食品は、糖質を含まず、かつクエルセチン等の有効成分を高濃度で含む。クエルセチンは、血糖低下作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用、免疫増強作用、脂質低下作用等の効能を有するものであり、本発明のタマネギ加工食品は各種健康補助食品として非常に有効である。そして、特に糖質を含まないため糖尿病患者、肥満患者に対して有用な健康補助食品となり得る。
また、本発明は、原料としてタマネギの鱗茎を用いているため、ペクチン等の食物繊維が多く含まれるタマネギ加工食品が得られる。このため、整腸作用、血液中のLDL(low−density lipoprotein)等のコレステロール値を下げる働き等の効能を有する。
続いて、本発明の実施の形態(2)について説明する。
実施の形態(2)に係るタマネギ加工食品、及びその製造方法は、収穫後のタマネギに光照射したことを特徴とする。
原料として用いるタマネギは、実施の形態(1)と同様に、各種タマネギを用いることができる。収穫されたタマネギは、前処理として水洗い、皮剥き等を通常の方法に従って行う。なお、皮剥きの際には、薄皮(赤茶色に色づいた表皮)、先端部、根は取り除き、鱗茎のみとすることが好ましい。薄皮、先端部、根等を取り除くことで、薄皮等に含まれる苦味成分、農薬、細菌等を除去することが可能となる。なお、薄皮等を用いた場合には、薄皮の苦味成分のため味覚が劣る、農薬、細菌等が含まれる等の問題点があり、食品用の原料としては好ましくない。
続いて、薄皮を取り除かれた鱗茎に対して光を照射する。光源としては、太陽光、白色蛍光灯、LEDライト、ブラックライト等各種光源を用いることができる。特に太陽光は、強い光強度を持ち、経済的に有利であることから好適に用いられる。
太陽光は、280〜2500nmの波長領域をもち、その照度は、晴天時には100,000Lx(ルクス)以上の強度を示し、曇天の場合にも20,000〜50,000Lx程度の強度を示す。
タマネギの鱗茎は、光照射されることで表面が赤味を帯びた色となり、内部は緑化する。そして、鱗茎中に含まれるクエルセチン濃度が増大する。
光照射されたタマネギの鱗茎については、実施の形態(1)に示したタマネギ加工食品の製造方法と同様に、光照射されたタマネギの鱗茎を微細化する微細化工程と、前記微細化工程により得られるタマネギ微細化物中に含まれる糖質を冷水により除去する糖質除去工程と、前記糖質除去工程で糖質を除去されたタマネギ微細化物を圧搾する圧搾工程と、前記圧搾工程により得られたタマネギ残渣物を乾燥する乾燥工程等をおこない、タマネギ加工食品とすることができる。
得られたタマネギ加工食品は、実施の形態(1)と同様に、乾燥工程において、タマネギの残渣物を乾燥し、タマネギ乾燥物を得た後に、粉末化工程において粉末化されタマネギ粉末となる。この際、得られたタマネギ粉末に含まれる糖質の量は150mg/1g以下となることが好ましい。
また、実施の形態(2)ではタマネギの鱗茎に光照射を行っているため、乾燥したタマネギ粉末中に含まれるクエルセチン量は200mg/100g以上という高濃度となる。そして、特に、実施の形態(1)と同様にタマネギの微細化物中に含まれる糖質を冷水により除去する糖質除去工程を含んでおり、前記糖質除去工程においてクエルセチンが選択的にタマネギ微細化物中に留まることとなる。このため、タマネギ粉末中に含まれるクエルセチン量は500mg/100g以上という高濃度となる。
以上のように、実施の形態(2)のタマネギ加工食品の製造方法によって得られたタマネギ加工食品は、実施の形態(1)と同様の効果を奏するだけでなく、さらには100g当たり200〜600mgとクエルセチン濃度が高濃度で含まれているため、非常に有効な健康補助食品となるものである。
次に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
タマネギの表皮、先端部、根を除いて鱗茎のみとし、鱗茎を水洗する。続いて、タマネギの鱗茎12kgを1週間太陽光にて光照射を行なう。その後、ミキサーを用いて半ペースト状にする。半ペースト状となったタマネギを圧搾機で絞り残渣を得た。これを0℃の水で30分間3度晒して、圧搾機で絞った。4.13kgの残渣が得られた。これを遠赤外線乾燥機にて50℃で約18時間乾燥した。最終的に306gの淡い黄土色で炒めたタマネギの味がする粉末を得た。
続いて、得られたタマネギ加工食品中の糖質の量を定量した。乾燥した試料1gを水25mlで3時間振盪抽出する。ろ過した後に水を加えて50mlにメスアップして試料溶液とした。試料溶液10μlを高速液クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、糖質の量を定量した。
続いて、得られた粉末状のタマネギ加工食品中に含まれるクエルセチンの量を定量した。得られたタマネギ加工粉末0.5mgをメタノール100mlで3時間過熱還流抽出した後、ろ過したものをメタノールで100mlにメスアップして試料溶液とした。さらに、試料溶液から50mlを分けて、減圧下で溶媒を除去してから、残渣を蒸留水に溶かしてβ−グルコシターゼ(アーモンド、2000U/30mg)を加え35℃、1時間攪拌した後、HPLCで分析し、クエルセチンを定量した。
(比較例1) タマネギの冷水による糖質除去処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様に行なった。
(参考例1)
まず、初めにタマネギの表皮、先端部、根を除いて鱗茎のみとし、鱗茎を水洗する。続いて、得られたタマネギをミキサーで粉砕した。得られたタマネギの粉砕物を圧搾し、タマネギの搾汁を得た。
続いて得られたタマネギの搾汁を濾過し、100mlにメスアップしたものを試料溶液とした。続いて試料溶液10μlをHPLCで分析し、糖質の量を定量した。
実施例1、比較例1及び参考例1において測定して得られた、タマネギ中に含まれる糖質の量を(表1)に示す。
上記実施例1、比較例1、及び参考例1より、本発明のタマネギ加工食品の製造方法は、糖質除去工程を含まない製造方法により得られたタマネギ加工食品や、タマネギの搾汁中から得られるタマネギ加工食品と比較して、糖質の含まれる量が1/2〜1/6と非常に少ないことが分かる。したがって、本発明のタマネギ加工食品の製造方法により得られるタマネギ加工食品は、非常に低カロリーとなることがわかる。
(実施例2)
次に、実施例2では、タマネギの表皮、先端部、根を除いて鱗茎のみとし、鱗茎を水洗する。続いて、タマネギの鱗茎を1週間太陽光にて光照射を行なう。その後、ミキサーを用いてタマネギの鱗茎を半ペースト状にした後、直接乾燥を行なう。そして、得られた粉末状のタマネギ加工食品中に含まれるクエルセチンの量を実施例1と同様の方法により定量した。
実施例1及び実施例2において測定して得られた、タマネギ中に含まれるクエルセチンの量を(表2)に示す。
上記実施例1、2より、本発明のタマネギ加工食品の製造方法は、タマネギ全体を乾燥して得られたタマネギ加工食品と比較して、クエルセチン量が2.1倍と非常に多く、健康補助食品等に用いるのに非常に優れていることが明らかである。
続いて、タマネギの鱗茎への光照射の効果について、実施例1及び比較例2、3を用いて説明する。実施例1については、上述のようにクエルセチン量を測定した。光照射の方法としては、タマネギの鱗茎をビニールハウス内で太陽光を用いて1週間行った。なお、ビニールハウス内の温度は人工気象器(温度勾配恒温器、NX system TG200AD)を用いて20℃に保持した。
(比較例2)
タマネギの薄皮を付けた状態で太陽光を1週間光照射した以外は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
タマネギの鱗茎を暗所で保存した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1及び比較例2、3において測定して得られた、タマネギ中に含まれるクエルセチン含有量を表3に示す。
上記実施例1及び比較例2より、光照射されたタマネギは、光照射を行わないタマネギと比較して、有効成分であるクエルセチンが約8.5倍含まれており、健康補助食品等に用いる際に非常に優れていることが明らかである。
また、上記実施例1及び比較例3により、外皮を取り除いた後に光照射を行なって得られたタマネギ加工食品は、外皮を取り除く前に光照射を行なって得られたタマネギ加工食品と比較して、クエルセチンを約6倍含んでいる。
(参考例2)
また、参考例2として、タマネギ鱗茎中に含まれるクエルセチン量の光照射による経時変化を測定した。まず、タマネギの表皮、先端部、根を除いて鱗茎のみとし、鱗茎を水洗する。続いて、タマネギの鱗茎を太陽光にて光照射を行なう。その後、ミキサーを用いてタマネギの鱗茎を半ペースト状にした後、直接乾燥を行なう。そして、得られた粉末状のタマネギ加工食品中に含まれるクエルセチンの量を実施例1と同様の方法により定量した。
参考例2において測定して得られた、タマネギ中に含まれるクエルセチン量の変化を(図1)に示す。なお、図1において0日目のクエルセチン量は光照射前におけるタマネギ鱗茎中のクエルセチン量を表す。
続いて、参考例3〜参考例5に示すように、本発明のタマネギ加工食品の製造方法により得られたタマネギ加工粉末を、食品用ハードカプセル、錠剤、ドリンク等へ配合してタマネギ加工食品を作製し、得られたタマネギ加工食品を用いて、糖尿病患者に対する効果を検討するための試験を行った。
(参考例3) タマネギ加工粉末の混合物を食品用ハードカプセルに詰めたタマネギ加工食品
タマネギ加工粉末 180mg
ポリフェノール類 20mg
(参考例4) 錠剤
タマネギ加工粉末と賦型剤を加えて打錠機を用いて600kg/cmで直径0.8cmに打錠して錠剤を成形した。
タマネギ加工粉末 150mg
結晶性セルロース 69mg
麦芽糖 60mg
ショ糖脂肪酸エステル 15mg
微粉二酸化ケイ素 6mg
(参考例5) タマネギ加工粉末をアルコール、水等で抽出したエキス配合食品。
タマネギ加工微粉末1kgを10lの水に懸濁させて、オートクレーブで120℃加熱処理する。このものをホモジナイズして液状化(残渣がある場合、濾過、遠心分離)して、ジュース、ゼリー、ドリンク等に配合する。
処理液 100ml
ハマナエキス 20mg
アップルポリフェノール 20mg
果糖ブドウ糖液糖、香料、少々水を加えて100mlにする。
試験の結果、糖尿病の予防、進行防止に本発明のタマネギ加工食品が有効であることが明らかとなった。
タマネギの鱗茎中に含まれるクエルセチン量の経時変化を示す図である。

Claims (3)

  1. タマネギの鱗茎を微細化する微細化工程と、
    前記微細化工程により得られるタマネギ微細化物の中に含まれる糖質を温度が0℃〜10℃である冷水により除去する糖質除去工程と、
    前記糖質除去工程で糖質を除去された前記タマネギ微細化物の中の水分を除去する脱水工程と、
    を含むタマネギ加工食品の製造方法であって
    前記微細化工程の前にタマネギの鱗茎に対して光照射を行う光照射工程を含むことを特徴とするタマネギ加工食品の製造方法
  2. 請求項記載のタマネギ加工食品の製造方法において、光照射の光源が太陽光であることを特徴とするタマネギ加工食品の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のタマネギ加工食品の製造方法において、脱水工程により得られたタマネギ残渣物を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とするタマネギ加工食品の製造方法。
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