JP5613953B2 - 温州ミカンパルプ含有機能性材料の用途 - Google Patents

温州ミカンパルプ含有機能性材料の用途 Download PDF

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本発明は、柑橘類パルプ含有機能性材料の用途に関するものであり、更に詳しくは、柑橘類パルプの柑橘類由来物質を含有するコレステロール代謝改善剤、及び耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤に関するものである。
脂質代謝は、食物に含まれる脂肪を生体内で分解、蓄積する過程を示し、広義の解釈においては、脂肪酸の合成、脂質のエネルギー化反応、リン脂質の代謝、コレステロールの代謝等を含むものである(非特許文献1)。従来、脂質代謝改善剤及び食品として、例えば、乳酸菌を豆乳に作用させて得られる発酵豆乳を含有する脂質代謝改善剤(特許文献1〜2)、ビフィドバクテリウム属微生物を豆乳に作用させて得られる発酵豆乳を主成分とする脂質代謝改善剤及び食品(特許文献3〜4)、ブロッコリー等の食用植物を含有するヒト血清コレステロール低下作用を有する食品及びヒト動脈硬化予防及び治療剤(特許文献5)、ヘスペレチン及び/又はナリンゲニンを含有する脂質代謝改善に有効な食品(特許文献6)、が提案されている。一方、β−クリプトキサンチンを有効成分として利用した食品として、例えば、カロチノイド高含有ジュースの製造方法(特許文献7)、が提案されている。
特開平10−229841号公報 特開2003−81855号公報 特開平10−130160号公報 特開2002−326946号公報 特開平11−269082号公報 特開平8−280358号公報 特許第3178803公報 新栄養化学、朝倉書店、1987年、p.107−142
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、新しい脂質代謝改善作用等を有する薬剤を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、柑橘類パルプの柑橘類由来物質を使用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。本発明は、柑橘類パルプの柑橘類由来物質を有効成分とするコレステロール代謝改善剤を提供することを目的とするものである。また、本発明は、柑橘類パルプの柑橘類由来物質を有効成分とする耐糖能又はインスリン抵抗性改善剤を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
)柑橘類パルプに含まれる柑橘類由来物質を含有する総コレステロール及びLDLコレステロール値を低下させる作用を有するコレステロール値低下用コレステロール代謝改善剤であって、
上記柑橘類パルプが、次の(1)〜(6)のパルプ;
(1)柑橘類を搾汁後篩別して得られるパルプ(1)、
(2)上記パルプ(1)に加水し、篩別して得られるパルプ(2)、
(3)柑橘類を搾汁後篩別して得られる果汁を遠心分離して得られるパルプ(3)、
(4)上記パルプ(3)に加水・酵素処理を施し、遠心分離に供して得られるパルプ(4)、
(5)遠心分離により上記パルプ(3)と分離した果汁を遠心分離に供して得られるパルプ(5)、
(6)上記パルプ(5)に加水及びペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム又はプロトペクチナーゼによる酵素処理を施し、遠心分離に供して得られるパルプ(6)、
から選択される上記パルプ(2)及びパルプ(6)からなることを特徴とする上記コレステロール代謝改善剤。
)柑橘類パルプが、温州ミカンパルプである前記)に記載のコレステロール代謝改善剤。
)柑橘類由来物質が、β−クリプトキサンチンを含有する前記)に記載のコレステロール代謝改善剤。
)柑橘類パルプに含まれる柑橘類由来物質を含有する糖質代謝においてインスリンを効果的に働かせる作用を有する糖質代謝改善用耐糖能及びインスリン抵抗性改善剤であって、
上記柑橘類パルプが、前記1)に記載のパルプ(2)及びパルプ(6)からなることを特徴とする上記耐糖能及びインスリン抵抗性改善剤。
)柑橘類パルプが、温州ミカンパルプである前記)に記載の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤。
)柑橘類由来物質が、β−クリプトキサンチンを含有する前記)に記載の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、柑橘類パルプ柑橘類由来物質含有機能性材料の用途を提供するものである。本発明の機能性材料の用途は、例えば、温州ミカンを搾汁後篩別して得られるパルプ柑橘類由来物質のβ−クリプトキサンチンを含有することを特徴としている。本発明において、柑橘類パルプとは、柑橘類より篩別及び/又は遠心分離により得られるパルプのことを意味する。加水と篩別及び加水と遠心分離を繰り返すことにより、可溶性固形分の含有量が減少するが、本発明では、柑橘類パルプであれば、可溶性固形分の有無にかかわらず、適宜のパルプを使用することができる。
次に、上記パルプの製造方法について、温州ミカンの場合を例として説明する(図1参照)。温州ミカンを搾汁して搾汁粕と果汁(1)に分離する。次に、果汁(1)を篩別してパルプ(1)と果汁(2)を分離する。得られたパルプ(1)に加水して篩別し、液部(1)とパルプ(2)に分離する。次に、上記果汁(2)を遠心分離(軽遠心分離)に供して果汁(3)とパルプ(3)に分離し、パルプ(3)に加水・酵素処理を施し、遠心分離して液部(2)とパルプ(4)に分離する。次に、果汁(3)を遠心分離(重遠心分離)に供し、果汁(4)とパルプ(5)に分離し、パルプ(5)に加水・酵素処理を施した後、遠心分離に供し、液部(3)とパルプ(6)に分離する。
ここで、上記パルプ(2)は、パルプ(1)と比べて、糖類、クエン酸、ビタミンC等の可溶性固形分の含有量が少ない。パルプ(3)とパルプ(4)、パルプ(5)とパルプ(6)についても、同様に、後者は可溶性固形分の含有量が少ない。また、パルプ(3)とパルプ(4)、パルプ(5)とパルプ(6)については、後者の方がβ−クリプトキサンチンの含有量が高い。上記搾汁、篩別(ろ過)、遠心分離、軽遠心分離、重遠心分離、加水、酵素処理等の実施条件は、上記各工程における果汁、パルプ、液部の成分組成を考慮して、好適な範囲に適宜調整することができる。また、各工程における処理手段は、同効の処理手段により適宜置換可能である。
本発明においては、上記パルプ(1)〜(6)から選択される特定の柑橘類パルプを組み合わせて使用することができる。本発明では、上記パルプ(1)〜(6)のパルプ(2)及びパルプ(6)を柑橘類パルプとして使用することができ、本発明により、β−クリプトキサンチン及び上記パルプを柑橘類パルプとして含むコレステロール代謝改善剤、及び耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤を提供することができる。
本発明の薬剤の有効成分である柑橘類パルプ柑橘類由来物質のβ−クリプトキサンチンは、糖質代謝において、少ないインスリン量で血糖値を下げる機能を有し、また、脂質代謝において、総コレステロール及びLDLコレステロール値を下げる機能を有することが、本発明者らの試験によって明らかとなった。
本発明では、上記柑橘類パルプの原料として、好適には、温州ミカンが使用されるが、これに制限されるものではなく、他の柑橘類であって、温州ミカンと同様にパルプを得ることができる原料であれば同様に使用することができる。また、得られるパルプについても、柑橘類由来の不溶性固形分を含有する果汁画分から得られるパルプであれば同様に使用することができる。本発明では、上記柑橘類パルプの柑橘類由来物質のβ−クリプトキサンチンを有効成分として使用するが、それ以外に薬学的に許容される任意の成分又は材料を配合することができる。それらの成分及び材料は、目的とする薬剤の種類、使用目的等に応じて任意に選択することができる。
本発明のコレステロール代謝改善剤、耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤を薬剤として使用する場合の投与量は、投与法、患者の年齢、体重、容態によって相違するが、経口投与の場合、成人患者に対して1日あたり柑橘パルプに換算して湿重量で10〜1000g程度とすることが好ましい例として挙げられる。また、本発明のコレステロール代謝改善剤等は、任意の範囲で食品に添加して用いることができる。例えば、飲料、ゼリー、菓子(グミ等)、アイスクリーム等の任意の食品に配合して用いることができる。
本発明のコレステロール代謝改善剤は、腸管からのコレステロールの吸収を抑制し、血中コレステロール濃度を低下させることが期待できるので、動脈硬化症の予防、改善効果が期待できる。また、本発明の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤は、少ないインスリン量で血糖値を下げる作用及びインスリンを効果的に働かせる機能を有する。また、本発明のコレステロール代謝改善剤は、総コレステロール及びLDLコレステロールに対する優れた低下作用を有することが本発明者らの試験により実証された。また、本発明の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤は、優れた血糖値の低下作用を有することが本発明者らの試験により実証された。更に、本発明の薬剤の有効成分である柑橘類パルプは、温州ミカン等の可食部由来の成分であり、本発明は、安全性にも全く問題がなく、天然成分を利用した、高い安全性を有する動脈硬化の予防及び治療に有用な薬剤を提供するものである。
次に、本発明に用いる柑橘類パルプの製造法について更に詳細に説明する。柑橘類の果実は、選果、洗浄を経て搾汁される。搾汁機には、インライン搾汁機、チョッパーパルパー搾汁機、及びブラウン搾汁機等が一般的に用いられているが、本発明に使用される果実の搾汁は、どの搾汁機を用いて行ってもよい。
搾汁された果汁は、じょうのう膜の小片や粗大なパルプを含んでおり、これらの夾雑物を除去するために、フィニッシャーなどで篩別(ろ過)処理される。この篩別処理に用いるフィニッシャーは、パドル型、スクリュー型があるが、篩別に用いるスクリーンの目の大きさは0.3〜0.5mmのものが一般に使用されている。この篩別処理は、その後の遠心分離操作に大きく影響するので、目的に応じた調整が必要であり、例えば、スクリーンとパドルの間隙を短くしすぎると、果汁中に水溶性ペクチン量が多くなり、パルプ分を分離しづらくなる。また、0.5mm目のスクリーンを有するフィニッシャーで処理した後に、0.1mm目のスクリーンを有するフィニッシャーで処理を行うと、低い遠心速度の遠心操作では、完全に沈降しない粗大なパルプ粒子を予め除去することが可能となる。
通常の搾汁工程においては、一般的に、フィニッシャーで果汁中のパルプの30〜50%を篩別し除去するが、その後、円筒型、分離板型、デカンター型等の遠心分離機により果汁中のパルプ分を5%程度になるよう調整を行う。更に、遠心分離の方法には、目的とする機能性成分含量を高めるために、二段階遠心分離法があり、以下、その方法について詳しく説明する。遠心強度3,000g・分以下の遠心強度での軽遠心分離操作により、果汁(3)とパルプ(3)を分離する工程、及び得られた果汁(3)を、遠心分離操作により果汁(4)とパルプ(5)に分離する工程で、2回の遠心分離操作を行うが、この場合、1回目の遠心分離操作(軽遠心分離操作)の遠心強度を2回目の遠心分離操作(重遠心分離操作)の遠心強度よりも低く設定する。
この軽遠心分離操作は、遠心強度が500g・分以下であっても、パルプ分の沈降という目的は達成することができる。しかし、遠心強度が低すぎると、粒度の大きいパルプが残存してしまい、得られるジュースの品質に影響を与えてしまう。また、遠心強度と遠心力が低すぎると、パルプ(3)/果汁(3)の容量比が高くなるので、パルプを自動的にかつ大量に排出できる遠心分離装置が必要となるだけでなく、ジュースの収率低減を防止するため、果汁(3)について、重遠心操作を行い、果汁(4)とパルプ(5)に分離する工程が必要となる。
続いて、果汁(3)を、遠心強度1,500g・分以上の遠心強度で重遠心分離操作を行う。これにより、目的とする機能性成分含量の高いパルプ(5)を得ることができるが、このパルプ(5)は、軽遠心分離で得られるパルプ(3)と比較して、目的とする機能性成分含量が高いだけではなく、リモネンなどのオイル類など水に不溶性の成分を多量に含有するという特性を有する。温州ミカン果実を原材料とした場合の比較データを表1に示す。尚、重遠心分離操作の遠心強度を高めていくと、パルプ(5)の収率が高まり、目的とする機能性成分含有率も高まる。例えば、遠心分離操作を1回しか行わない場合には、遠心強度を3,000g・分に設定しているのであれば、重遠心分離の遠心強度も3,000g・分に設定すれば良い。但し、軽遠心分離操作の遠心強度は、3,000g・分未満でなくてはならない。
次に、本発明における加水・酵素処理について説明すると、酵素処理で使用される酵素剤としては、例えば、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム、及びプロトペクチナーゼ等の酵素又はそれを含む適宜の酵素剤が例示される。通常は、これらの酵素の1種類が使用されるが、必要に応じて、これらの酵素の2種類以上を混合して使用することも可能である。上記パルプは、高粘度であり、そのまま酵素剤を添加しても溶解することはできない。このため、予め酵素を少量の精製水に溶解させておくことが必要となる。酵素剤は、好適には、パルプ1kg当たり0.5〜10gの範囲で添加する。酵素を添加したパルプの酵素反応については、一般的には、20〜60℃で30分〜2日間の反応条件が挙げられるが、好適には50℃で3時間程度の反応条件で目的の効果を得ることが可能である。
酵素を併用した凍結融解脱水による方法もある。以下、その方法について詳しく説明する。上記の方法によりパルプに酵素の添加を行った後、適当な容器(例えば、ドラム缶やガロン缶に樹脂製袋を内装したもの)に酵素を添加したパルプを充填し、−10〜−30℃の冷凍庫に入れてパルプを凍結させる。本パルプを凍結させるには、例えば、15kg詰ガロン缶で2〜4日、180kg詰ドラム缶で6〜8日を要する。この方法では、パルプに酵素剤を添加し、これを加温による酵素反応を行うことなく凍結する。
次に、凍結させたパルプを解凍する。凍結品は、パルプが完全に解凍された直後又は凍結品として保管後に解凍する。実際の製造現場においては、果汁の生産時期との関係で、例えば、予め保管された凍結品を搾汁のシーズンオフに解凍する方法が、搾汁シーズンにフル稼働している遠心分離機や貯留タンク等の設備を有効活用できる点、及びパルプを冷凍庫で貯蔵するコストが必要とされる他は、本方法に関わる設備投資はほとんど必要とされない点、から好ましい。通常は、凍結したパルプを常温の室内又は屋外に放置して解凍する。解凍に要する時間は、例えば、15kg詰ガロン缶で1〜2日、180kg詰ドラム缶で4〜6日である。上記凍結及び解凍により固液分離が顕著に促進される効果が得られる。
解凍されたパルプを遠心分離機により脱水処理をして、パルプ(4)及びパルプ(6)を調製する。解凍されたパルプは、著しく低粘度となっているので、容易に脱水可能である。遠心分離機としては、例えば、円筒型、分離板型、デカンター型等適宜の装置が使用される。この場合、時間当たりの処理量を低減させれば、β−クリプトキサンチンを含むカロチノイドの収率は高くなる。これらの製造工程における処理方法、条件及び装置は、上述の範囲内で任意に設定及び設計変更することができる。
本発明により、柑橘類パルプの柑橘類由来物質のβ−クリプトキサンチンを含有する機能性材料の用途としての、コレステロール代謝の改善に有効なコレステロール代謝改善剤、及び糖質代謝の改善に有効な耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤を提供することができる、という効果が奏される。
次に、実施例及び試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例等によって何ら限定されるものではない。
(柑橘類パルプの製造)
原料果実として、温州ミカン230トンをFMC社製インライン搾汁機にて搾汁を行い、果汁(1)129トンと搾汁粕に分離した。得られた果汁(1)を、0.5mmスクリーンを装着したフィニッシャー(精研舎製)にて篩別し、果汁(2)120トンとパルプ(1)に分離した。これらの果汁(2)とパルプ(1)のうち、パルプ(1)に対して9倍量の精製水を加え、上記フィニッシャーにて篩別して、液部(1)とパルプ(2)に分離した。次に、上記果汁(2)を遠心分離機SB−60型(ウエストファリアセパレータ社製)にて、遠心強度2,550g・minで軽遠心分離を行い、果汁(3)とパルプ(3)に分離した。
これらの果汁(3)とパルプ(3)のうち、パルプ(3)にペクチナーゼ系酵素を添加し、凍結及び解凍処理の併用による固液分離を行った後、遠心分離に供し、液部(2)とパルプ(4)に分離した。次に、上記果汁(3)を遠心分離機SB−60型(ウエストファリアセパレータ社製)にて、遠心強度3,360g・minで重遠心分離を行い、果汁(4)とパルプ(5)に分離し、更に、パルプ(5)に上記と同様に酵素と凍結及び解凍処理の併用による固液分離を行った後、遠心分離に供し、液部(3)とパルプ(6)に分離した。これらの操作により、パルプ(1)〜(6)を製造した。
上述の工程に従い、温州ミカン果実を用いて、搾汁、篩別(ろ過)、軽遠心分離、及び重遠心分離の各処理を行った結果、得られた果汁、及びパルプの分析値は、表2に示す通りであった。
(柑橘類パルプを配合した飲料の作製)
実施例1により作製した柑橘類パルプ(2)及び柑橘類パルプ(6)を配合して、パルプ(2)及びパルプ(6)を配合した該飲料の作製を行った。作製に用いた材料と配合量を表3に示す。以下、その作製方法について詳細に説明する。まず、柑橘類パルプ(2)を150kg/cmのホモジナイザーにより均一化及び微細化する処理を行った。次に、ホモジナイザー処理を行った柑橘類パルプ(2)に柑橘類パルプ(6)を投入し、拡散・溶解させた。続いて、高甘味度甘味料を溶解後、投入した。ビタミンC、クエン酸を溶解投入後、オレンジ香料を混合した調合液を95℃まで加熱し、190g缶に充填・巻き締めにより密封した後、2分間転倒殺菌を行い、冷却した。このようにして作製したパルプ(2)及びパルプ(6)を配合した上記飲料を、柑橘類パルプの機能性についてのヒト試験の試験飲料とした。
試験例1
(柑橘類パルプの機能性についてのヒト試験)
(1)試験方法
対象:健常学生ボランティア 19名
試験期間:2週間(予備摂食期間7日間及び試験食期間7日間)
上記ボランティア19名を無作為に2群に分けて、一方をC群:コントロール食群(蒸留水190g/食)、他方をM群:試験食群(試験飲料190g/食)とした。試験開始時、予備摂食期間(7日間)経過後、及び試験食期間(7日間)経過後に、対象者の血圧・体重等の変化を測定し、比較した。パルプ(2)とパルプ(6)を配合した飲料(柑橘類パルプ飲料)の成分を表4に示す。通常の温州ミカンジュースと比較するとエネルギー、ビタミンCは低い数値であったが、β−クリプトキサンチン、食物繊維は高い数値であった。
試験食の栄養価を表5に示す。
(2)試験結果
表6に、対象者の血圧、体重等の変動を測定した結果を示す。また、図2に、試験食後の血糖・インスリンの変動を測定した結果を示す。図3に、血清コレステロールの変動を測定した結果を示す。図2より、M群はC群より少ないインスリン量で血糖値を下げることが分かった。これより、柑橘類パルプには、糖質代謝について、インスリンを効果的に働かせる機能があることが推察された。次に、脂質代謝について、M群において、総コレステロール及びLDLコレステロール値が低下し、HDLコレステロール値は変動がなかった。これより、柑橘類パルプはLDLコレステロール値の低下に効果的に働くことが推察された。
(柑橘類パルプを用いたサプリメントの作製)
実施例1により作製した柑橘類パルプを、ステンレスバットに平らになるように引き伸ばし、冷凍庫に保管し、凍結させた後、凍結乾燥機を用いて2日間凍結乾燥を行い、乾燥品を調製した。得られた乾燥品をミルで粉砕し、粉末を調製した。次に、本粉末1000gをエチルアルコールで抽出処理し、不溶物をろ過した後、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを溶媒留去して、エチルアルコール抽出物を調製した。このエチルアルコール抽出物と製剤用の不活性添加剤を用いて、通常の製剤手段により、以下の組成の脂質代謝の改善効果、及び糖質代謝の改善効果を有する組成物を作製した。
エチルアルコール抽出物 500mg
製剤用の不活性添加剤 500mg
以上詳述したように、本発明は、温州ミカンパルプ含有機能性材料の用途に係るものであり、本発明により、柑橘類パルプの柑橘類由来物質のβ−クリプトキサンチンを含有する機能性材料の用途としての、コレステロール代謝改善剤、及び糖質代謝の改善に有効な耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤を提供することができる。
温州ミカンからパルプ(1)〜(6)を製造する工程の概要を示す。 試験食後の血糖・インスリンの変動の測定結果を示す。 血清コレステロールの変動の測定結果を示す。

Claims (6)

  1. 柑橘類パルプに含まれる柑橘類由来物質を含有する総コレステロール及びLDLコレステロール値を低下させる作用を有するコレステロール値低下用コレステロール代謝改善剤であって、
    上記柑橘類パルプが、次の(1)〜(6)のパルプ;
    (1)柑橘類を搾汁後篩別して得られるパルプ(1)、
    (2)上記パルプ(1)に加水し、篩別して得られるパルプ(2)、
    (3)柑橘類を搾汁後篩別して得られる果汁を遠心分離して得られるパルプ(3)、
    (4)上記パルプ(3)に加水・酵素処理を施し、遠心分離に供して得られるパルプ(4)、
    (5)遠心分離により上記パルプ(3)と分離した果汁を遠心分離に供して得られるパルプ(5)、
    (6)上記パルプ(5)に加水及びペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム又はプロトペクチナーゼによる酵素処理を施し、遠心分離に供して得られるパルプ(6)、
    から選択される上記パルプ(2)及びパルプ(6)からなることを特徴とする上記コレステロール代謝改善剤。
  2. 柑橘類パルプが、温州ミカンパルプである請求項に記載のコレステロール代謝改善剤。
  3. 柑橘類由来物質が、β−クリプトキサンチンを含有する請求項に記載のコレステロール代謝改善剤。
  4. 柑橘類パルプに含まれる柑橘類由来物質を含有する糖質代謝においてインスリンを効果的に働かせる作用を有する糖質代謝改善用耐糖能及びインスリン抵抗性改善剤であって、
    上記柑橘類パルプが、請求項1に記載のパルプ(2)及びパルプ(6)からなることを特徴とする上記耐糖能及びインスリン抵抗性改善剤。
  5. 柑橘類パルプが、温州ミカンパルプである請求項に記載の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤。
  6. 柑橘類由来物質が、β−クリプトキサンチンを含有する請求項に記載の耐糖能及び/又はインスリン抵抗性改善剤。
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