JP4943762B2 - 硬貨識別装置及びプログラム - Google Patents

硬貨識別装置及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、自動販売機やその他金銭処理装置において使用される硬貨識別装置及びそのためのプログラムに関し、特に、コイル等の磁気応答タイプの硬貨識別センサを用いたものに関する。
硬貨識別センサを硬貨通路の所定位置に配置し、該硬貨通路を通過する被検査硬貨の材質、厚み、あるいは直径といった全体的特徴に応答したレベルの出力信号を該センサから得て、該センサ出力に基づき被検査硬貨の正偽を判別するようにした硬貨識別装置は、従来より広く知られている。
図1は、そのような公知の硬貨識別センサ1を硬貨通路2に具備してなる硬貨識別装置の構造を原理的に説明する図であり、(a)は側面略図、(b)は断面略図である。例えば、センサ1は、硬貨通路2の所定位置において通路両側に設けた1対のコイルで構成され、一方が1次コイル、他方が2次コイルである。両コイル間に硬貨3が存在しない場合は、コイルの出力は変化しないが、硬貨3が通過すると、両コイル間の硬貨3の侵入度合いに応じてコイルの出力レベルが変化する。この出力レベルは、硬貨の材質、厚み、あるいは直径といった全体的特徴に応答したレベルの出力信号を該センサ1から得るタイプのものにあっては、正常であれば、硬貨3の中央部が該センサ1に対応するときに最大レベル(ピークレベル;すなわち最も磁気応答しているレベル)を示す。なお、知られているように、通常使用されている硬貨の材質(磁気的性質)にあっては、導電体による渦電流損により1次2次コイル間の磁気結合度が低下し、硬貨3の侵入度合いが大きいほど出力レベルが低下する。従って、渦電流損による磁気的特徴を検出する場合は、渦電流損による最大減衰レベルを、センサ出力の最大レベル(ピークレベル;すなわち、最も磁気応答しているレベル)という。
ところで、同じ金種の硬貨3であっても、硬貨3がセンサ1を通過するときの該センサ1のコイルに対するギャップ方向の位置(距離)が異なる場合は1次コイルによる磁束の影響が異なるものとなるので、センサ出力におけるピークレベルの値が異なってくるものとなり、正確な正偽判定を行うことが困難となる。そこで、従来より、図1(b)に示すように、硬貨通路2を一方の壁面の方に傾けて配置して、通路2を通過する硬貨1が必ず一方の壁面に倣って転動するように工夫することで、硬貨1のセンサ2のコイルに対するギャップ方向の位置が一定に保持されるようにしている。なお、別の例として、硬貨通路2を傾けることに代えて、転動する硬貨3を該硬貨通路2の一方の壁面の方に寄せる機構を設けることも行われている。
しかし、多種類の硬貨に対応しうるようにすると、硬貨通路2の幅はどうしても大きめとなり、図示のように通路2を傾ける工夫をしても、硬貨厚みに比べて通路幅の空きが大きくなる場合が生じ、硬貨がセンサ1の箇所を通過中に振動等の理由により通路壁面から一時的に浮いて、センサ1からの距離(コイルからのギャップ)が変化してしまうことが起こる。また、強制的に硬貨3を該硬貨通路2の一方の壁面の方に寄せる機構を使用する場合でも、強く押しつけると硬貨が動かなくなってしまうので、弱く押しつけるようにせざるを得ず、そうすると、やはり、センサ1の箇所を通過中の硬貨が振動等により壁面から一時的に浮いて、センサ1からの距離(コイルからのギャップ)が変化してしまうことがある。
このように、センサ1の箇所で通過硬貨3のセンサ1に対するギャップ方向の距離が一時的に変動すると、その箇所でセンサ出力レベルが変動し、正常時のピークレベルよりも大きなレベルを示す。公知のように、センサ出力に基づく正偽の判定は、該センサ出力のピークレベルが、正貨の特徴を示すレベルに対応して予め設定された所定の閾値範囲(閾値幅)内に収まるか否かを判定することで行う。従来技術においては、一番大きなレベルをセンサ出力のピークレベルとして取り出し、これを所定の閾値範囲(閾値幅)と比較するようにしていたので、上記のような一時的変動によるレベル増大箇所のレベル値がセンサ出力のピークレベルとして取り出され、これが所定の閾値範囲(閾値幅)からはみ出しているが故に、正貨であるにもかかわらず、偽貨と判定されることになってしまう、という不都合があった。このような不都合を排除するために、この閾値範囲(閾値幅)を適宜広げればよいのであるが、そうすると、今度は、偽貨に対する識別精度が低下することになる、という不都合がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、偽貨に対する識別精度を低下させることなく、つまり閾値の水準を下げる(閾値幅を広げる)ことなく、硬貨識別センサ出力の一時的なピークレベル変動に影響されない、精度のよい硬貨識別を行うことができるようにすることを目的とする。
本発明に係る硬貨識別装置は、硬貨通路の所定の位置に設けられ、該硬貨通路に沿って転動する硬貨の所定の全体的特徴に応じて1つのピークレベル特性を生じる磁気応答タイプの硬貨識別センサと、硬貨の通過に対応して生じる前記センサの出力信号からそのレベル変化を示す差分波形を生成する手段と、硬貨の通過に対応して生じる前記差分波形の2つのピーク位置の中間位置を前記差分波形上の硬貨中心位置として求める手段と、前記差分波形上におけるゼロクロス点及び変曲点を検出する手段と、前記検出したゼロクロス点及び変曲点の前記差分波形上における前記硬貨中心位置に対する位置関係に基づき1つのピークレベル代表位置を決定する手段と、前記センサの出力信号から前記決定されたピークレベル代表位置に対応するレベル値をピークレベル代表値として取り出し、該ピークレベル代表値を所定の閾値と比較することで該硬貨の正偽を判定する手段とを具備する。
センサの出力信号のレベル変化を示す差分波形(時間的差分;つまり微分波形)とは、センサの出力信号の時間的変化分を示す波形であり、正常な1つのピークレベル特性を有する出力信号であれば、差分波形上のゼロクロス点は、硬貨の中央部に対応して発生されるピークレベルの位置に対応する。そして、正常な1つのピークレベル特性を有する出力信号であれば、差分波形上において変曲点は生じない。変曲点とは、元のセンサ出力レベル波形において部分的にレベルが重畳されることで歪が生じている場合、その歪の境界における「くびれ」箇所に対応して、差分波形が屈曲する箇所である。よって、差分波形に変曲点があるということは、本発明の課題として掲げたような、センサの箇所で通過硬貨の該センサに対するギャップ方向の距離が一時的に変動してその変動箇所でセンサ出力レベルが歪み、正常時のピークレベルよりも大きなレベルを示している可能性があることを意味する。そして、そのような変曲点、つまり歪の境界、に対応するセンサ出力レベルは、歪む直前の正しいレベルを示していると推定できる。
本発明によれば、この変曲点がどのような位置で生じているかをゼロクロス点と硬貨中心位置とを考慮して分析することにより、一時的なレベル変動箇所を除外して、実効的なピークレベルを示していると見なすことのできるピークレベル代表位置を決定するようにしている。すなわち、本発明では、差分波形上の硬貨中心位置を求めると共に、差分波形上におけるゼロクロス点及び変曲点(もしあれば)を検出し、検出したゼロクロス点及び変曲点の前記差分波形上における前記硬貨中心位置に対する位置関係に基づき1つのピークレベル代表位置を決定するようにしたことを特徴としている。こうして決定されたピークレベル代表位置に対応するセンサ出力レベル値をピークレベル代表値として取り出し、該ピークレベル代表値を所定の閾値と比較することで該硬貨の正偽を判定する。こうして取り出したピークレベル代表値は、一時的なレベル変動箇所を除外して、実効的なピークレベルを示していると見なすことのできるものであるから、偽貨に対する識別精度を低下させるような閾値の変更(水準低下)を余儀なくされることがなく、正偽識別精度を良好にすることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例につき詳細に説明する。
本発明の一実施例に係る硬貨識別装置において、硬貨識別センサ1と硬貨通路2の部分の原理的構造は、図1に例示したような従来知られた構造をそのまま用いてよい。図2は、本発明の一実施例に係る硬貨識別装置のハードウェア構成を略示するブロック図である。発振部4は、センサ1に供給するコイル励磁用の交流信号を発生する。このセンサ1の特性は、前述のように、本発明の目的に従い、硬貨の所定の全体的特徴(例えば、材質、直径、厚さのいずれかの性状若しくは特徴、又はそれらの組み合わせ)に応じた1つのピークレベル特性を有する出力を生じるように調整されている。
センサ1の出力信号はアナログ交流信号であり、整流回路5で整流されて直流レベルが取り出される。整流回路5で取り出されたセンサ出力信号のレベル波形は、アナログ・デジタル変換器6でデジタル信号に変換され、CPU7に入力される。以下説明する本発明に従う判定・分析等の処理は、本発明を実施するように組まれたコンピュータプログラムをCPU7が実行することにより、硬貨3の投入に応答してリアルタイムに実行される。図3はCPU7に実行させる手順(コンピュータプログラム)の一例を略示する。
まず、CPU7に取り込まれたセンサ1の出力レベルのデジタルデータは、CPU7のワーキングメモリ(図示せず)に逐次取り込まれ、本発明に従う判定・分析等の処理を行っている間、保持される(ステップS1)。この取り込みと同時に、該センサ出力デジタルデータを逐次微分し、その時間的変化分を示す差分波形を生成する(ステップS2)。勿論、生成された差分波形データもCPU7のワーキングメモリ(図示せず)に逐次取り込まれ、判定・分析等の処理を行っている間、保持される。
図4(a)は、センサ1の箇所を硬貨3が通過したときの、該センサ1の正常な(一時的にレベル変動する箇所のない)出力信号レベルを例示する。センサ1に対する硬貨3の侵入開始から退出までの間で、該硬貨の所定の全体的特徴に応じた1つのピークレベル特性を示す。図4(b)は、(a)の差分波形である。この差分波形は、センサ1に対する硬貨3の先端部の侵入時点で、ピークP1を示し、硬貨3の後端部の退出時点で、ピークP2を示す。
ステップS3では、この差分波形における始まりと終わりの2つのピークP1,P2の位置を検索し、その中間位置を該差分波形上の硬貨中心位置C1として求める。この硬貨中心位置C1は、硬貨3が等速でセンサ1を通過した場合に該硬貨3の中央部がセンサ1の中央部に一致するタイミングに相当している。
次に、差分波形におけるゼロクロス点と変曲点について説明する。
正常な場合
正常な硬貨3が等速でセンサ1を通過した場合、該硬貨3の中央部がセンサ1の中央部に一致するタイミング(つまり硬貨中心位置C1)で、センサ出力レベルがピーク(最大値)を示し、差分波形は正から負にゼロクロスする。すなわち、差分波形においては、1つのゼロクロス点X1のみが存在し、図4(b)に示すように、この1つのゼロクロス点X1の位置(ここで、「位置」とは厳密には「時間位置」のことである;以下、同様)は、ほぼ、硬貨中心位置C1に一致する。なお、正常な硬貨3がセンサ1を通過する過程で、幾分不等速となった場合は、この1つのゼロクロス点X1の位置は硬貨中心位置C1に一致しないが、その近傍にある。正常な硬貨3がセンサ1を通過する過程で、大きく不等速となった場合は、この1つのゼロクロス点X1の位置は硬貨中心位置C1から大きく離れる。いずれの場合も、硬貨3とセンサ1との距離(ギャップ)が変化しない限り、差分波形上において変曲点は生じない。
変曲点が生じる場合
硬貨3がセンサ1を通過する過程において、ほとんどの期間で通路2の一方の壁面に接して転動しているが、転動時の振動等の理由により一時的に壁面から浮いて、センサ1からの距離(コイルからのギャップ)が変化してしまったとする。その場合は、前述のとおり、その部分でセンサ出力レベルが増加する。図5(a)は、そのような硬貨3とセンサ1との距離(ギャップ)の一時的な変化により、Eで示す箇所で、センサ出力信号レベルが一時的に増加する(本来のレベルに対して誤差分が重畳される)例を示す。本来、単調な1つのピークレベル特性を有する波形であるべきセンサ出力レベル波形において、Eの箇所で歪が生じている。図5(b)は、(a)の差分波形である。Eの箇所の歪により、図5(b)に示す差分波形では、変曲点P3が生じている。すなわち、差分波形は、センサ出力レベル波形が歪み始める箇所(歪が重畳され始める箇所)で、波形の「くびれ」に対応して、減少傾向から増加傾向に急激に転じる。なお、センサ出力レベル波形の歪みが終わる箇所(歪が重畳されなくなる箇所)でも、波形の「くびれ」が生じる可能性があるが、図5の例の場合は、センサ出力レベル波形の歪みが終わる箇所(境界)が滑らかであるため、「くびれ」が表れず、その部分での変曲点は検出されない。
このように、差分波形の変曲点とは、元のセンサ出力レベル波形が誤差と認識されるべきレベルの重畳によって歪んでいる場合、その歪みの境界(波形のくびれ箇所)を検出するために用いられる因子である。差分波形における変曲点の検出は、該差分波形の変化傾向が急激に変化しているかどうか、つまり、差分波形が曲がっているかどうか、ということを基準にして検出することができる。しかし、差分波形における屈曲部位がすべて変曲点に相当するのではないので、元のセンサ出力レベル波形における「くびれ」(歪みの境界)に対応する差分波形の屈曲部位を変曲点として検出する。すなわち、差分波形の正領域では、減少から増加に転じる部位が変曲点(微分前の波形のくびれ箇所)に対応し、増加から減少に転じる部位(上向きの凸のピーク)は変曲点ではない。何故ならば、そのような増加から減少に転じる部位は、微分前の波形における重畳されたレベル波形の途中の部位に相当し、波形のくびれ箇所ではないからである。また、減少から平坦に転じる部位が変曲点(微分前の波形のくびれ箇所)に対応し、一方、差分波形の負領域では、誤差と認識されるべきレベルの重畳は負の差分値の減少に対応付けられるので、負の差分値の増加傾向から減少傾向に転じる部位が変曲点(微分前の波形のくびれ箇所)に対応し、減少傾向から増加傾向に転じる部位(下向きの凸のピーク)は変曲点ではない。
図3のステップS4では、以上のような検出原理に基づき、差分波形における変曲点P3,・・・を検出する。また、差分波形におけるゼロクロス点X1,・・・を検出する。ゼロクロス点とは、差分波形の値が正から負に、又はその逆に、変化している点である。ゼロクロス点X1は必ず検出されるが、変曲点P3は正常な場合は検出されない。また、複数の変曲点P3,・・・が検出されることもあり、その場合は複数のゼロクロス点X1,・・・が検出されることもある。
次のステップS5では、検出したゼロクロス点X1,・・・及び変曲点P3,・・・の前記差分波形上における前記硬貨中心位置C1に対する位置関係に基づき1つのピークレベル代表位置を決定する。このピークレベル代表位置の決定に際してのおおまかな判断基準は、次の2つである。
(1)硬貨中心位置C1から離れた位置に歪が生じた場合は、センサ出力レベルにおける正しいピーク値に歪が重畳されていないとみなせるので、本来のピーク値はゼロクロス点X1に対応する位置にあると認定できる。よって、ゼロクロス点X1をピークレベル代表位置とする。
(2)硬貨中心位置C1の付近で歪が生じた場合は、センサ出力レベルにおける正しいピーク値に歪が重畳されているので、センサ出力レベルの大きさのみからは正確に本来のピーク値を得ることはできないが、歪によって生じる変曲点P3は正しいピーク位置の近傍に生じるので、この変曲点P3のセンサ値を本来のピーク値の代わりとして使用することで、センサ出力レベルの最大値をピーク値として抽出する場合よりも、検査エラーを少なくすることができる。よって、変曲点P3をピークレベル代表位置とする。
実際問題としては、上述のように、複数の変曲点P3,・・・及びゼロクロス点X1,・・・が検出されることもあり、単純ではない。そこで、このピークレベル代表位置の決定に際しての判断基準を更に細分化して設定する。例えば、次の5つのケースに従って判断する。
(a)ケース1:
変曲点P3が検出されなかった場合は、ゼロクロス点X1に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。これは、図4(b)のような場合である。1つのゼロクロス点X1が、センサ出力レベルのピークに対応して発生する。
(b)ケース2:
硬貨中心位置C1を含む所定の範囲内にゼロクロス点X1が存在し、かつ、該範囲内に変曲点P3が存在しない場合は該ゼロクロス点X1に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。前記所定の範囲とは、硬貨中心位置C1の近傍とみなすことにする範囲であり、C1に対する或る±マージン(これをαで示す)の範囲である。このケースは、変曲点P3があっても、硬貨中心位置C1から離れた位置にあり、また、ゼロクロス点X1が硬貨中心位置C1の近傍で検出されており、センサ出力レベルにおける正しいピーク値に歪が重畳されていないとみなせるので、本来のピーク値はゼロクロス点X1に対応する位置にあると認定し、該ゼロクロス点X1に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。
(c)ケース3:
硬貨中心位置C1を含む所定の範囲内にゼロクロス点X1及び変曲点P3,・・・が共に存在する場合は該硬貨中心位置C1に最も近い変曲点に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。これは、硬貨中心位置C1の付近で歪が生じた場合に該当する。センサ出力レベルにおける正しいピーク値に歪が重畳されているとみなせるので、センサ出力レベルの大きさのみからは正確に本来のピーク値を得ることはできず、よって、ゼロクロス点X1は採用せず、硬貨中心位置C1に最も近い変曲点に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。これは、図6のような場合であり、(a)はセンサ出力のエンベロープレベル波形、(b)は差分波形、を示す。硬貨中心位置C1を含む所定の範囲(C1±α)内で1つのゼロクロス点X1と2つの変曲点P3,P4が検出されており、硬貨中心位置C1に最も近い変曲点P4に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。図6(a)に示すように、センサ出力レベルにおいては、P3とP4の間で、歪みの重畳によって、レベル値が本来のピークよりも大きくなっている。この誤ったレベル最大値を除外し、変曲点P4に対応する位置をピークレベル代表位置として採用することで、センサ出力レベルの最大値をピーク値として抽出する場合よりも、検査エラーを少なくすることができる。
(d)ケース4:
硬貨中心位置C1を含む所定の範囲(C1±α)内と該所定の範囲外にそれぞれゼロクロス点X1,X2が存在する場合は該所定の範囲内(C1±α)のゼロクロス点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定する。これは、図7のような場合であり、(a)はセンサ出力のエンベロープレベル波形、(b)は差分波形、を示す。硬貨中心位置C1の近傍(C1±α)にゼロクロス点X2があるにもかかわらず、その範囲(C1±α)外にもゼロクロス点X1が検出された場合は、硬貨中心位置C1の近傍(C1±α)のゼロクロス点X2が正しいピークレベルを反映していると認定できる。
(e)ケース5:
硬貨中心位置C1を含む所定の範囲(C1±α)の外に最大ピークレベルに対応するゼロクロス点X1が存在し、該所定の範囲(C1±α)内にはゼロクロス点が存在しない場合は、該所定の範囲外の最大ピークレベルに対応するゼロクロス点X1に対応する位置をピークレベル代表位置として決定する。この場合は、センサ1を通過する間で硬貨3の移動速度が大きく変動した場合か、又は、センサ出力レベルの歪が硬貨中心位置C1の近傍から外れた位置にて生じている場合、のいずれかに該当するが、その区別はできない。前者の場合は、ゼロクロス点X1に対応する位置が真のピークレベルに対応しているので、ゼロクロス点X1に対応する位置をピークレベル代表位置として決定することとする。これは図8のような場合である。
図3に戻ると、ステップS6では、センサの出力信号から前記決定されたピークレベル代表位置に対応するレベル値をピークレベル代表値として取り出し、該ピークレベル代表値を所定の閾値(閾値範囲)と比較することで該硬貨の正偽を判定する。上述のようにして取り出したピークレベル代表値は、一時的なレベル変動箇所を除外して、実効的なピークレベルを示していると見なすことのできるものであるから、偽貨に対する識別精度を低下させるような閾値の変更(閾値幅の拡大)を行う必要がなく、正偽識別精度を良好にすることができる。
最後に、300枚の正貨を投入した実際の測定例を示す。図9は、本発明に従う処理を施さず、センサ出力レベルの最大値をピークレベルとして抽出した場合の測定結果であり、縦軸がピークレベルとして抽出したセンサ出力レベル、横軸が硬貨投入機会を示す。図10は、本発明に従う処理を施し、上述のように判定したピークレベル代表位置に対応するセンサ出力レベルをピークレベル代表値として抽出した場合の測定結果であり、縦軸がピークレベル代表値として抽出したセンサ出力レベル、横軸が硬貨投入機会を示す。明らかなように、図9(従来)では、正貨のピークレベルの変動幅が大きいので、閾値幅を広くとる必要があり、その分、偽貨も正貨として誤判定する確率が増す。一方、図10(本発明)では、ピークレベル代表値の変動幅が小さいので、閾値幅を広くとる必要がなく、その分、偽貨を正貨として誤判定することがなくなる。
硬貨識別センサを硬貨通路に具備してなる硬貨識別装置の構造を原理的に説明する図で、(a)は側面略図、(b)は断面略図。 本発明の一実施例に係る硬貨識別装置のハードウェア構成を略示するブロック図。 本発明の一実施例に係る硬貨識別処理の手順を示すフローチャート。 (a)はセンサの箇所を硬貨が通過したときの、該センサの正常な出力信号レベルを例示する波形図、(b)は(a)の差分波形図。 (a)は硬貨とセンサとの距離(ギャップ)の一時的な変化によりセンサ出力信号レベルが一時的に増加する(本来のレベルに対して誤差分が重畳される)例を示す波形図、(b)は(a)の差分波形図。 (a)は本来のレベルに対して誤差分が重畳される別の例を示す波形図、(b)は(a)の差分波形図。 (a)は本来のレベルに対して誤差分が重畳される別の例を示す波形図、(b)は(a)の差分波形図。 (a)は本来のレベルに対して誤差分が重畳される別の例を示す波形図、(b)は(a)の差分波形図。 本発明に従う処理を施さず、センサ出力レベルの最大値をピークレベルとして抽出した場合の測定結果を示す実測グラフ。 本発明に従って決定したピークレベル代表位置に対応するセンサ出力レベルをピークレベル代表値として抽出した場合の測定結果を示す実測グラフ。
符号の説明
1 硬貨識別センサ
2 硬貨通路
3 硬貨
4 発振部
5 整流回路
6 アナログ・デジタル変換器
7 CPU

Claims (5)

  1. 硬貨通路の所定の位置に設けられ、該硬貨通路に沿って転動する硬貨の所定の全体的特徴に応じて1つのピークレベル特性を生じる磁気応答タイプの硬貨識別センサと、
    硬貨の通過に対応して生じる前記センサの出力信号からそのレベル変化を示す差分波形を生成する手段と、
    硬貨の通過に対応して生じる前記差分波形の2つのピーク位置の中間位置を前記差分波形上の硬貨中心位置として求める手段と、
    前記差分波形上におけるゼロクロス点及び変曲点を検出する手段と、
    前記検出したゼロクロス点及び変曲点の前記差分波形上における前記硬貨中心位置に対する位置関係に基づき1つのピークレベル代表位置を決定する手段と、
    前記センサの出力信号から前記決定されたピークレベル代表位置に対応するレベル値をピークレベル代表値として取り出し、該ピークレベル代表値を所定の閾値と比較することで該硬貨の正偽を判定する手段と
    を具備する硬貨識別装置。
  2. 前記硬貨識別センサが検出する前記所定の全体的特徴とは、硬貨の材質、厚み、直径のいずれかの特徴又はそれらの組み合わせに応じた特徴である請求項1に記載の硬貨識別装置。
  3. 前記変曲点とは、前記センサ出力信号波形における歪のくびれ箇所に対応するものである請求項1又は2に記載の硬貨識別装置。
  4. 前記1つのピークレベル代表位置を決定する手段は、
    (a)前記変曲点が検出されなかった場合は前記ゼロクロス点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定し、
    (b)前記硬貨中心位置を含む所定の範囲内に前記ゼロクロス点が存在し、かつ、該範囲内に前記変曲点が存在しない場合は該ゼロクロス点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定し、
    (c)前記硬貨中心位置を含む所定の範囲内に前記ゼロクロス点及び変曲点が存在する場合は該硬貨中心位置に最も近い変曲点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定し、
    (d)前記硬貨中心位置を含む所定の範囲内と該所定の範囲外にそれぞれゼロクロス点が存在する場合は該所定の範囲内のゼロクロス点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定し、
    (e)前記硬貨中心位置を含む所定の範囲の外に最大ピークレベルに対応するゼロクロス点が存在し、該所定の範囲内にはゼロクロス点が存在しない場合は該所定の範囲外の最大ピークレベルに対応するゼロクロス点に対応する位置を前記ピークレベル代表位置として決定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の硬貨識別装置。
  5. 硬貨通路の所定の位置に設けられ、該硬貨通路に沿って転動する硬貨の所定の全体的特徴に応じて1つのピークレベル特性を生じる磁気応答タイプの硬貨識別センサを有する硬貨識別装置において、前記センサの出力信号に基づいて前記硬貨の正偽を判定するために、コンピュータに、
    硬貨の通過に対応して生じる前記センサの出力信号からそのレベル変化を示す差分波形を生成する手順と、
    硬貨の通過に対応して生じる前記差分波形の2つのピーク位置の中間位置を前記差分波形上の硬貨中心位置として求める手順と、
    前記差分波形上におけるゼロクロス点及び変曲点を検出する手順と、
    前記検出したゼロクロス点及び変曲点の前記差分波形上における前記硬貨中心位置に対する位置関係に基づき1つのピークレベル代表位置を決定する手順と、
    前記センサの出力信号から前記決定されたピークレベル代表位置に対応するレベル値をピークレベル代表値として取り出し、該ピークレベル代表値を所定の閾値と比較することで該硬貨の正偽を判定する手順と、
    を実行させるためのプログラム。
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