JP4325138B2 - 硬貨選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨を選別する硬貨選別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
利用者の硬貨の投入に応じて前記利用者に物品を販売する自動販売機等には、硬貨選別装置が設けられている。硬貨選別装置は、利用者が投入した硬貨を選別する選別センサの出力に基づいて投入硬貨の正否を判定し、正貨と判定されたときに物品の販売を許容するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の硬貨選別装置の前記選別センサは硬貨通路に設けられ、投入され前記硬貨通路を転動する硬貨の選別を行うものである。ここで、投入硬貨が選別センサを通過したときにはセンサから低レベルの信号が出力される。なお、投入硬貨が正貨であってかつその硬貨が正常に選別センサを通過した場合は、選別センサからは図6(a)に示すように、第1極小値aと、この第1極小値aに続きこの第1極小値aよりさらにレベルの低い第2極小値bとを有するレベルの信号が出力される。硬貨選別装置ではこうした第1極小値a及び第2極小値bを検出するとともに、検出した極小値に基づき投入硬貨の正否を判別する。
【0004】
一方、投入硬貨が正貨であってもその投入硬貨が選別センサ通過時に跳ねたり、或いはばたついたりして正常に選別センサを通過できない場合は、選別センサからは図6(b)に示すように、投入硬貨の通過開始時に符号Aで示す極小値cが出力された後、続いて第1極小値aが出力され、さらにこの第1極小値aに続いて第2極小値bが出力される。このため、硬貨選別装置においては、本来の極小値ではない極小値cが極小値aとして取得され、かつ極小値aが極小値bとして取得されるなど、誤った極小値が取得され、その結果、取得した極小値に基づき投入硬貨の正否を判別する硬貨選別装置では、投入硬貨が正貨であってもその投入硬貨を不正貨として判別してしまうという問題が生じている。
【0005】
したがって、本発明は、投入硬貨がセンサ通過時に跳ねたり、或いはばたついたりしてセンサから正常な出力が得られない場合でも的確な極小値の取得を可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明は、投入硬貨を選別する選別センサを備え、前記投入硬貨に応じて前記選別センサから出力される出力波形のレベルから、投入硬貨の正否を検出するための硬貨データを取得する硬貨選別装置において、選別センサの出力レベルを入力して第1の極小値を硬貨データとして取得する第1の取得手段と、第1の取得手段により第1の極小値が取得された後、選別センサの出力レベルを入力して第2の極小値を硬貨データとして取得する第2の取得手段と、第1及び第2の取得手段によりそれぞれ取得された第1の極小値と第2の極小値との差が一定値以上か否かを判断する判断手段と、判断手段により第1の極小値と第2の極小値との差が前記一定値以上であると判定されると、第2の極小値を第1の極小値として設定し、かつ第2の取得手段により第2の極小値を新たに取得させる一方、判断手段により第1の極小値と第2の極小値との差が前記一定値に満たないと判定されると、この第1の極小値と第2の極小値とを適正値とする制御手段を設け、判断手段は、制御手段により設定された第1の極小値と新たに取得された第2の極小値との差が一定値以上か否を再度判断するように構成したものである。
【0007】
この場合、第1及び第2の取得手段は、選別センサの出力レベルを一定時間間隔で入力する入力手段と、入力手段により入力された今回のレベル値と、入力手段により既に入力されている最小レベル値との大小を判定する第1の判定手段と、第1の判定手段により前記最小レベル値が小と判定されると、今回のレベル値と前記最小レベル値との差が所定値以上か否かを判定する第2の判定手段と、第2の判定手段により今回のレベル値と前記最小レベル値との差が所定値以上と判定されたときに前記最小レベル値を極小値として取得する手段とを設けたものである。
また、第1及び第2の取得手段は、第1の判定手段により今回のレベル値が小と判定されると、今回のレベル値を最小レベル値として設定する手段を設けたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る硬貨選別装置に用いられる各種センサの配置構成を模式的に示す断面図である。
図1において、図中上方に設けてある硬貨投入口5から投入された硬貨1は、硬貨通路2の底部7に沿って転動して硬貨通路2に設けてある各種選別センサ14,24,34によりその種別及び正否が判別され正貨の場合は、図中下方に設けてある硬貨収納部6に収納される一方、不正貨と判別される場合は図示しないレバーの駆動により図示しない硬貨排出口から排出される。
【0009】
ここで、硬貨選別装置100は、前記各種センサとして、投入硬貨1の材質及び厚さを検出するための第1センサ14、同様に投入硬貨1の材質及び厚さを検出するための第2センサ24、及び投入硬貨1の外径を検出するための第3センサ34を硬貨通路2に設けている。また、硬貨通路2の前記第1〜第3センサと離れて硬貨収納部6近くに、正貨と判別された硬貨1の硬貨収納部6側への通過を検出する通過センサ44を設けている。
【0010】
第1センサ14は、硬貨通路2を挟んで硬貨通路2の両側壁の対向位置にそれぞれ配置され互いに直列接続(直列逆相接続)された円状の一対のコイルからなり、かつこの一対のコイルの中心位置が硬貨の中心位置とほぼ一致するように配置されるとともに、第1の周波数で発振するものである。第2センサ24は、硬貨通路2の一方の側壁に配置された円状のコイルからなり、かつコイルの縁が硬貨1の縁と同一位置となるように硬貨通路2のほぼ底部7の位置に配置されるとともに、第2の周波数で発振するものである。第3センサ34は、硬貨通路2を挟んで硬貨通路2の両側壁の対向位置にそれぞれ配置され互いに直列同相接続された円状の一対のコイルからなり、かつコイルの中心位置が硬貨1の縁と一致するように配置されるとともに、第3の周波数で発振するものである。
【0011】
各センサ14,24,34の発振周波数はそれぞれ一定の周波数ずつ異なるため、相互干渉せず例えば第1センサ14から発振する周波数が第2センサ24で受信されて反応するようなことはない。なお、通過センサ44は、硬貨通路2の一方の側壁に配置された円状のコイルからなり、かつコイルの中心が硬貨1の中心とほぼ一致するように配置されるとともに、第1の周波数で発振するものである。
【0012】
図2は、硬貨選別装置100の構成を示すブロック図である。
硬貨選別装置100の第1センサ14は、前述したように硬貨通路2を挟んで硬貨通路2の両側壁3A,3Bに互いに対向するようにそれぞれ配置されて互いに直列逆相接続された2つのコイル14A,14Bからなり、かつ、コイル14A,14Bの中心が投入硬貨1の中心と一致するように配置される。ここで、図中の黒丸印はコイルの巻き始めを示し、第1のセンサ14の場合は、コイル14Aの巻き始め端子,コイル14A,コイル14Aの巻き終わり端子,コイル14Bの巻き始め端子,コイル14B,コイル14Bの巻き終わり端子の順に発振回路13に接続され、発振回路13による第1の周波数で発振している。このように互いに直列逆相接続される各コイル14A,14Bの発振に基づき発生する各磁界は互いに逆相になり、弱められる。これにより、コイル14Aの発振による磁界は投入硬貨1の一方の側面に与えられ、コイル14Bの発振による磁界は投入硬貨1の他方の側面に与えられる。即ち、コイル14Aの発振による磁界は投入硬貨1を貫通することがなく、また、コイル14Bの発振による磁界も投入硬貨1を貫通することがない。
【0013】
各コイル14A,14Bの発振に基づく発振電圧は、投入硬貨1が各コイル14A,14B間を通過するときにコイル14A,14Bのインピーダンスの変化によりその電圧レベルが低下する。この電圧レベルは発振回路13を介して整流回路12に伝達され、整流回路12により直流電圧に変換されるとともに、さらにA/D変換器11によってデジタルデータに変換されてCPU10へ伝達される。CPU10は、その電圧レベル値を入力するとメモリ60に予め記憶されているデータに基づき投入硬貨1の材質や厚さを識別する。
【0014】
また、硬貨選別装置100の前記第2センサであるコイル24は、前述したように硬貨通路2の一方の側壁に配置され、接続された発振回路23による第2の周波数で発振している。コイル24の発振に基づく発振電圧は投入硬貨1がコイル24を通過するときに同様にコイル24のインピーダンス変化によりその電圧レベルが低下する。この電圧レベルは発振回路23を介して整流回路22に伝達され、整流回路22により直流電圧に変換されるとともに、さらにA/D変換器21によってデジタルデータに変換されてCPU10へ伝達される。CPU10は、その電圧レベル値を入力するとメモリ60に予め記憶されているデータに基づき投入硬貨1の材質や厚さを識別する。
【0015】
また、硬貨選別装置100の前記第3センサ34は、前述したように硬貨通路2を挟んで硬貨通路2の両側壁3A,3Bに互いに対向するようにそれぞれ配置されかつ直列接続された2つのコイル34A,34Bからなり、かつコイル34A,34Bの中心が投入硬貨1の縁と一致するように配置される。ここで、図中の黒丸印はコイルの巻き始めを示し、第3のセンサ34の場合は、コイル34Aの巻き始め端子,コイル34A,コイル34Aの巻き終わり端子,コイル34Bの巻き終わり端子,コイル34B,コイル34Bの巻き始め端子の順に発振回路33に接続され、発振回路33による第3の周波数で発振している。したがって、各コイル34A,34Bの発振に基づいて発生する磁界は同相になって強められる。これにより、コイル34A,コイル34Bの発振による磁界は投入硬貨1を貫通する。
【0016】
各コイル34A,34Bの発振電圧は、投入硬貨1が各コイル34A,34B間を通過するときにコイル34A,34Bのインピーダンス変化により電圧レベルが低下する。この電圧レベルは発振回路33を介して整流回路32に伝達され整流回路32により直流電圧に変換されるとともに、さらにA/D変換器31によってデジタルデータに変換されてCPU10へ伝達される。CPU10は、その電圧レベル値を入力するとメモリ60に予め記憶されているデータに基づき投入硬貨1の外径を識別する。
【0017】
また、硬貨選別装置の前記通過センサであるコイル44は、前述したように硬貨通路2の一方の側壁に配置され、接続された発振回路43による第4の周波数で発振している。コイル44の発振に基づく発振電圧は投入硬貨1がコイル44を通過するときにそのインピーダンス変化により電圧レベルが低下する。この電圧レベルは発振回路43を介して整流回路42に伝達され整流回路42により直流電圧に変換されるとともに、さらにA/D変換器41によってデジタルデータに変換されてCPU10に伝達される。CPU10は、その通過センサの電圧レベルが低下したことを検出すると硬貨1の通過センサの通過を識別する。
【0018】
なお、第2センサ24及び通過センサ44により投入硬貨1が的確に検出できるように、第2センサ24と通過センサ44は硬貨通路2の一方の側壁に配置され、かつ一方の側壁側に投入硬貨1が接するように硬貨通路2は傾斜されている。
ところで、第1〜第3のセンサ及び通過センサに接続される各発振回路は、図示しないトランジスタと、このトランジスタにより自励発振する前述のコイル及び図示しないコンデンサとからなる周知のコルピッツ発振回路から構成される。そして、第1,第2及び第3のセンサを発振させる各発振回路13,23,33には、これらの発振回路13,23,33の発振レベルをそれぞれ調整するための発振レベル調整回路15,25,35が設けられている。
【0019】
この他、硬貨選別装置100には温度検知回路51が設けられ、温度検知回路51は、電源とアース間に抵抗とサーミスタとが直列接続された直列回路、または温度検知ICから構成される。CPU10はメモリ60に予め記憶されている正貨範囲データを、温度検知回路51により検知された温度に応じて補正し、補正した正貨範囲に基づき投入硬貨1の正否判断を行う。
【0020】
次に、以上のように構成された硬貨選別装置100において、投入硬貨1を検する各センサの出力に基づき硬貨データを取得する場合の処理を説明する。
以下の説明では、第2センサ24の出力波形から硬貨1の正否を検出するための硬貨データを取得する例について説明するが、他のセンサの出力波形から硬貨データを取得する場合も同様である。
【0021】
すなわち、投入口5から投入され硬貨通路2を転動する硬貨1が第2センサ24を正常に通過したとき、その投入硬貨1が正貨である場合は、第2センサ24の出力波形は図6(a)に示すように、第1極小値aと、この第1極小値aよりさらにレベルの低い第2極小値bとを有する電圧波形となる。この電圧波形は、前述したように整流回路22により直流電圧に変換され、さらにA/D変換器21によってデジタルデータに変換されてCPU10へ伝達される。CPU10は、その電圧レベル値を入力すると、第1極小値aと第2極小値bの差(すなわちa−b)が一定値以上か否かをチェックすることにより、第1極小値aと第2極小値bが適正値か否かを判断し、適正値である場合にはこれら第1極小値a及び第2極小値bとメモリ60に予め記憶されているデータとに基づき投入硬貨1の材質や厚さを識別することにより、投入硬貨1が正貨か否かを判別する。
【0022】
一方、その投入硬貨1が第2センサ24を通過する時に跳ねたり、或いはばたついたりすると、第2センサ24の出力波形は図6(b)に示すように、センサの通過開始時に符号Aで示す極小値cが出力された後、続いて第1極小値aと第2極小値bとが順次出力される電圧波形となる。この電圧波形も、同様に整流回路22により直流電圧に変換され、さらにA/D変換器21によってデジタルデータに変換されてCPU10へ伝達される。CPU10は同様に第1極小値と第2極小値の差が一定値以上か否かをチェックすることにより、第1極小値と第2極小値が適正値か否かを判断する。しかし、図6(b)において、最初の極小値cを第1極小値とし、次の第1極小値aを第2極小値としてその差(すなわち、c−a)をチェックした場合、その差は一定値以上となるため、適正値ではないと判断して次の第1極小値aを第1極小値とし、第2極小値bを第2極小値としてその差をチェックする。この場合、その差(すなわちa−b)が一定値に満たないことから適正値と判断し、これら第1極小値a及び第2極小値bとメモリ60に予め記憶されているデータとに基づき投入硬貨1の材質や厚さを識別することにより、投入硬貨1が正貨か否かを判別する。
【0023】
図3は、CPU10による前述の硬貨データ取得処理を示すフローチャートである。このフローチャートに基づいて本発明の要部動作を説明する。
CPU10は、投入硬貨1が第2センサ24を通過したときの第2センサ24から出力されるデータを入力すると、ステップS1で第1極小値の取得判断を行う。ここで、第1極小値が取得できない場合はステップS2で後述の図4(a)に示す第1極小値取得演算処理を行い第1極小値を取得する。
【0024】
第1極小値が取得されると、ステップS1の「第1極小値取得?」が「Y」と判定されることから、CPU10は次にステップS3で第2極小値の取得判断を行う。ここで、第2極小値が取得できない場合はステップS4で後述の図4(b)に示す第2極小値取得演算処理を行い第2極小値を取得する。
【0025】
第2極小値が取得されると、ステップS3の「第2極小値取得?」が「Y」と判定されることから、CPU10は次にステップS5で第1極小値と第2極小値の差が一定値以上か否かを判断する。ここで、ステップS2の処理により取得した第1極小値とステップS4の処理により取得した第2極小値の差が一定値に満たなく、ステップS5の「第1極小値−第2極小値≧一定値?」が「N」となる場合は、これら第1,第2極小値は図6(a),図6(b)に示す極小値a,bのような適正な極小値であると判断して投入硬貨データの処理を終了する(ステップS8)。
【0026】
一方、ステップS2の処理により取得した第1極小値とステップS4の処理により取得した第2極小値の差が一定値以上で、ステップS5の「第1極小値−第2極小値≧一定値?」が「Y」となる場合は、これら第1,第2極小値は図6(b)に示す極小値c,aのような不適正な値と判断し、ステップS6で第2極小値のデータを第1極小値とし、かつステップS7で第2極小値のデータをクリアして第2極小値のデータを再度取得するためにステップS3に戻る。
【0027】
この場合、第2極小値のデータがクリアされていることからステップS3における「第2極小値取得?」の判定が「N」となり、ステップS4で再度の第2極小値取得演算処理が行われ、第2極小値が新たに取得される。そして、ステップS5において、第1極小値と、新たに取得された第2極小値との差が一定値以上か否かの判断が行われ、第1極小値と第2極小値の差が一定値に満たなく、ステップS5の判定が「N」となると、これら第1,第2極小値は図6(a),図6(b)に示す極小値a,bのような適正な極小値であると判断して投入硬貨データの処理を終了する(ステップS8)。
【0028】
このように、CPU10は投入硬貨1が第2センサ24を通過したときの第2センサ24から出力されるデータを入力すると、第1極小値及び第2極小値の取得処理を行って第1極小値及び第2極小値を取得するとともに、取得した第1極小値と第2極小値の差をチェックし、その差が一定値に満たない場合は取得した第1極小値及び第2極小値を適正な極小値と判断して、これら第1極小値及び第2極小値とメモリ60に予め記憶されているデータとに基づき投入硬貨1の正否を判別するようにしたものである。また、取得した第1極小値と第2極小値の差が一定値以上の場合は不適正な極小値と判断して取得した第2極小値を第1極小値とし、かつ第2極小値を新たに取得して、これら第1極小値と第2極小値の差を再度チェックし第1極小値及び第2極小値の適否を判定するようにしたものである。
【0029】
図4(a)は前述した第1極小値取得演算の処理動作を示すフローチャートである。また、図5(a)は投入硬貨1を検出する第2センサ24の出力波形の一例を示す図である。図4(a)のフローチャート及び図5(a)の波形図に基づき第1極小値取得演算の処理動作を説明する。
CPU10は第2センサ24の出力波形から第1極小値を取得する場合、センサ24の出力波形を図5(a)のように一定時間(T)間隔で順次サンプリングして出力レベル値P0〜P7を取得するとともに、今回取得した出力レベル値と、今まで取得した出力レベル値のうちの最小値との大小を比較する。
【0030】
ここで、今までに取得した出力レベル値の最小値を第1極小値とし、今回取得した出力レベル値を現A/D値(A/D変換器21の出力値)として、図4(a)のステップS11で両者の大小を比較する。そして、第1極小値が現A/D値より大となりステップS11の判定が「Y」となる場合は、図5(a)の波形図において第2センサ24の出力レベル値がP0〜P3となるとき、すなわち第2センサ24の出力レベル値が時間の経過に応じて順次下降していく場合であり、このような場合はステップS12で第1極小値として現A/D値をセットする。こうしたステップS11及びS12における処理は第2センサ24の出力レベル値がP3となる時点t3まで行われ、最終的には時点t3のときの出力レベル値P3が第1極小値として設定される。
【0031】
次に図5(a)の時点t4で新たに第2センサ24の出力レベル値P4を現A/D値として取得し、この出力レベル値P4と、第1極小値として設定された出力レベル値P3との大小をステップS11で判断する。この場合、現A/D値(すなわち、出力レベル値P4)の方が大であるため、ステップS11の判定は「N」となる。ここで、ステップS13では現A/D値(すなわち、出力レベル値P4)と第1極小値(すなわち、出力レベル値P3)との差が所定値以上か否かを判断する。そして、両者の差が所定値以上の場合はステップS14でこの出力レベル値P3を第1極小値として取得する。なお、現A/D値と出力レベル値P3との差が所定値に満たない場合はノイズとして処理される。
【0032】
このように、第1極小値取得演算処理では、今までに取得した出力レベルの最小値を第1極小値とし、今回取得した出力レベル値を現A/D値として、両者の大小を比較し、第1極小値が現A/D値より大の場合は現A/D値を第1極小値として設定するとともに、第1極小値が現A/D値より小の場合は、現A/D値と第1極小値の差が所定値以上であることを確認のうえ、前記設定された第1極小値を第1極小値として取得するようにしたものである。
【0033】
図4(b)は前述した第2極小値取得演算の処理動作を示すフローチャートである。この第2極小値取得演算の処理動作も前述した第1極小値取得演算の処理動作と同様であるが、この第2極小値取得演算処理は第1極小値取得演算処理により第1極小値が取得された後に実行される。
【0034】
すなわち、CPU10は、第1極小値取得演算処理により第1極小値が取得された後、第2極小値取得演算処理を行う。この場合、第1極小値取得演算処理と同様に今までに取得した出力レベルの最小値を第2極小値とし、今回取得した出力レベル値を現A/D値(A/D変換器21の出力値)として、図4(b)のステップS21で両者の大小を比較する。そして、第2極小値が現A/D値より大となりステップS21の判定が「Y」となる場合は、図5(b)の波形図において第2センサ24の出力レベル値がP10〜P13となるとき、すなわち第2センサ24の出力レベル値が時間の経過に応じて順次下降していく場合であり、このような場合は第1極小値取得演算処理と同様、ステップS22で第2極小値として現A/D値をセットする。こうしたステップS21及びS22における処理は第2センサ24の出力レベル値が図5(b)のP13となる時点t13まで行われ、最終的には時点t13における出力レベル値P13が第2極小値として設定される。
【0035】
次に、図5(b)の時点t14で新たに出力レベル値P14を現A/D値として取得し、この出力レベル値P14と、第2極小値として設定された出力レベル値P13との大小をステップS21で判断する。この場合、現A/D値(すなわち、出力レベル値P14)の方が大であるため、ステップS21の判定は「N」となる。ここで、ステップS23では第1極小値取得演算処理と同様に、現A/D値(すなわち、出力レベル値P14)と第2極小値(すなわち、出力レベル値P13)との差が所定値以上か否かを判断する。そして、その差が所定値以上の場合はステップS24でこの出力レベル値P13を第2極小値として取得する。なお、現A/D値と出力レベル値P13との差が所定値に満たない場合は同様にノイズとして処理される。
【0036】
このように、第2極小値取得演算処理では第1極小値取得演算処理と同様、今までに取得した出力レベルの最小値を第2極小値とし、今回取得した出力レベル値を現A/D値として、両者の大小を比較し、第2極小値が現A/D値より大の場合は現A/D値を第1極小値として設定するとともに、第2極小値が現A/D値より小の場合は、現A/D値と第2極小値の差が所定値以上であることを確認のうえ、前記設定された第2極小値を第2極小値として取得するようにしたものである。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、投入硬貨を選別する選別センサを備えるとともに、投入硬貨に応じて選別センサから順次出力される第1及び第2の極小値に基づき投入硬貨の正否を判定する硬貨選別装置において、選別センサの出力レベルを入力して第1の極小値を取得する第1の取得手段と、第1の取得手段により第1の極小値が取得された後、選別センサの出力レベルを入力して第2の極小値を取得する第2の取得手段と、第1及び第2の取得手段によりそれぞれ取得された第1の極小値と第2の極小値との差が一定値以上か否かを判断する判断手段とを設け、判断手段により第1の極小値と第2の極小値との差が前記一定値以上であると判定されると、第2の極小値を第1の極小値として設定し、かつ第2の取得手段により第2の極小値を新たに取得させるようにしたので、投入硬貨が選別センサ通過時に跳ねたり、或いはばたついたりして選別センサから正常な検出波形が出力されない場合でも、硬貨選別装置側では的確な第1及び第2の極小値を取得することができる。これにより、投入硬貨の正否を的確に判定できる。
【0038】
この場合、第1及び第2の取得手段は、選別センサの出力レベルを一定時間間隔で入力するとともに、今回入力したレベル値と、既に入力されている最小レベル値との大小を判定し、最小レベル値が小と判定されると、今回のレベル値と前記最小レベル値の差の所定値以上を確認のうえ前記最小レベル値を極小値として取得するようにしたので、的確な極小値を取得することができる。
また、第1及び第2の取得手段は、前記最小レベルより今回のレベル値の方が小さいと判定された場合は、今回のレベル値を最小レベル値として設定するようにしたので、同様に的確な極小値を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る硬貨選別装置の断面を模式的に示す図である。
【図2】 硬貨選別装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 硬貨選別装置の要部動作を示すフローチャートである。
【図4】 硬貨選別装置の要部動作を示すフローチャートである。
【図5】 硬貨選別装置内のセンサの電圧波形から極小値を取得する状況を説明する図である。
【図6】 硬貨選別装置内のセンサの電圧波形図である。
【符号の説明】
1…投入硬貨、2…硬貨通路、3A,3B…硬貨通路の側壁、5…硬貨投入口、6…硬貨収納部、7…硬貨通路の底部、10…CPU、11,21,31,41…A/D変換器、12,22,32,42…整流回路、13,23,33,43…発振回路、14…第1センサ、14A,14B…一対のコイル、15,25,35…発振レベル調整回路、24…第2センサ(コイル)、34…第3センサ、34A,34B…一対のコイル、44…通過コイル、51…温度検知回路、52…振り分けレバー駆動回路、60…メモリ、100…硬貨選別装置。
Claims (3)
- 投入硬貨を選別する選別センサを備え、前記投入硬貨に応じて前記選別センサから出力される出力波形のレベルから、前記投入硬貨の正否を検出するための硬貨データを取得する硬貨選別装置において、
前記選別センサの出力レベルを入力して前記第1の極小値を前記硬貨データとして取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により前記第1の極小値が取得された後、前記選別センサの出力レベルを入力して前記第2の極小値を前記硬貨データとして取得する第2の取得手段と、
第1及び第2の取得手段によりそれぞれ取得された第1の極小値と第2の極小値との差が一定値以上か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により第1の極小値と第2の極小値との差が前記一定値以上であると判定されると、前記第2の極小値を第1の極小値として設定し、かつ前記第2の取得手段により第2の極小値を新たに取得させる一方、前記判断手段により第1の極小値と第2の極小値との差が前記一定値に満たないと判定されると、この第1の極小値と第2の極小値とを適正値とする制御手段と
を備え、
前記判断手段は、前記制御手段により設定された第1の極小値と前記第2の取得手段により新たに取得された第2の極小値との差が前記一定値以上か否を再度判断することを特徴とする硬貨選別装置。 - 請求項1において、
前記第1及び第2の取得手段は、
前記選別センサの出力レベルを一定時間間隔で入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された今回のレベル値と、前記入力手段により既に入力されている最小レベル値との大小を判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記最小レベル値が小と判定されると、前記今回のレベル値と前記最小レベル値との差が所定値以上か否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により今回のレベル値と前記最小レベル値との差が所定値以上と判定されたときに前記最小レベル値を極小値として取得する手段と
を備えたことを特徴とする硬貨選別装置。 - 請求項2において、
前記第1及び第2の取得手段は、前記第1の判定手段により前記今回のレベル値が小と判定されると、前記今回のレベル値を最小レベル値として設定する手段を備えたことを特徴とする硬貨選別装置。
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