JP4942583B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、始動時燃料量を徐々に変化させるとともに、内燃機関の始動が検出されている時間を計測し、その時間に応じて使用燃料の種類(重質燃料か軽質燃料か)を判別する構成が記載されている(請求項1、段落0005、および段落0007)。
一般に燃料補給はエンジン停止時に行なわれるが、多種燃料エンジンにおいては、補給する際に、どの種類の燃料についてどれぐらいの量を補給するかは補給を行なう者が任意に行なうことができるようになっている。そのため、新たに補給される燃料は、燃料タンクに残留していた燃料とタンク内で混合することになり、その混合比率を容易に検出することはできない。燃料タンクあるいは内燃機関への燃料供給管等に燃料種別センサを設けることで、技術的には混合比率を検出することは可能であるが非常にコスト高となってしまう。
これにより、通常運転時に使用している基準燃料噴射量マップを記憶させておくことで、再始動する際に、始動前の燃料の混合率に対応する基準燃料噴射量マップを用いて始動制御を行なうことが可能となる。
これにより、通常運転時に使用している基準燃料噴射量マップを記憶させておくことで、再始動する際に、始動前の燃料の混合率に対応する基準燃料噴射量マップを用いて始動制御を行なうことが可能となる。
これにより、全ての混合比に応じたPb/Neマップの調整を行うことなく、適正なPb/Neマップを選択することで、始動制御及び通常運転時の制御を安定して行なうことが可能となる。
これにより、停止中にどの種類の燃料についてどれぐらいの量を補給されたかに関わらず、再始動前の通常運転時に使用されていた基準燃料噴射量マップを用いて始動制御することで、燃料配管には再始動前の通常運転時の混合率の燃料が残っていることから、当該混合比において適切な空燃比で内燃機関の始動を行なうことが可能となる。
これにより、一定の噴射回数に達するごとに燃料噴射量を徐々に増大させることができることから、プラグのかぶりを回避しつつ、燃料タンク内の燃料の混合比を推定することができ、これにより適切な空燃比で内燃機関の始動を行なうことが可能となる。
これにより、プラグかぶりが発生し易い始動初期に燃料が多くなりすぎず、また始動後期で必要な燃料が補充されるので、始動にかかる時間を短縮できる。特に、外気温度や燃料温度やエンジン温度や冷却水温度など、アルコールの気化に影響の大きい温度が低温である場合には、上限濃度までの到達増量時間を早めてもプラグかぶりによる始動性の低下を防止することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態に係る内燃機関及び内燃機関の制御装置の全体構成図である。エンジン1は、例えば、エタノールとガソリンを混合させた多種燃料を燃焼させることにより運転が行なわれる。エンジン1の吸気管2の上流側には、吸入空気を浄化するエアクリーナ3が設けられている。そして、吸気管2の内部に配置されるスロットル弁4により吸入空気の流入量が調節される。エンジン1の排気管7の下流側には、三元触媒8が設けられており、排気ガス中のHC、CO、NOx等の成分の浄化を行なう。インジェクタ5は、制御装置、すなわちECU(Electronic Control Unit)10に接続されており、ECU10からの噴射時間を含む噴射制御信号に基づいて、噴射時間に比例する量の多種燃料を吸気管2内に噴射する。
CPU21は、I/O(Input Output)バスを介してTHセンサ11、PBAセンサ12、TAセンサ16、TWセンサ13、CRKセンサ14、O2センサ15に接続されており、各センサにて計測された計測情報が各センサから入力される。また、CPU21は、I/Oバスを介してインジェクタ5に接続されており、噴射制御信号をインジェクタ5に入力することにより、噴射制御信号に含まれる噴射時間に応じた量の多種燃料をインジェクタ5に噴射させる。
次に、ECU10によるエンジン1の制御の原理について説明する。エンジン1は、吸気管2を通じて流入する空気とインジェクタ5から噴射される燃料との比率である空燃比が適切な値となったときに、好適な状態で運転する。ここで、空燃比は、空気量を燃料量で除算した値で表される。ECU10は、様々な条件において、最適な状態でエンジン1を運転させるため、適切な噴射燃料量の算出を行ない、算出した噴射燃料量をインジェクタ5に噴射させる制御を行なう。ECU10による噴射燃料量の算出方法は、必要となる噴射燃料量の違いから、エンジン1の始動時と通常運転時とで異なる方法が採用されている。なお、通常運転時とは、エンジン1がスタータ等によらず自走運転している状態時のことをいう。
始動時にインジェクタ5に燃料を噴射させる始動噴射時間(TICR)は、燃料が1種類であればエンジン1の冷却水の水温(TW)により一意に定められる値である。具体的には、水温(TW)と始動噴射時間(TICR)の対応関係をグラフで示した図3のような始動噴射テーブルを予めROM23に記憶させておき、始動時に当該始動噴射テーブルを参照し、TWセンサ13が計測する水温(TW)から始動噴射時間を求め、求めた始動噴射時間の間、インジェクタ5に噴射させる制御を行なう。なお、始動噴射テーブルのTWとTICRの対応関係は、予め実験結果等に基づいて算出されている。
通常運転時には、予め実験結果等に基づいて求められているPb/Neマップ、あるいはNe/THマップを参照することにより、様々な条件下での吸入空気量を求め、求めた吸入空気量と予め定められる目標空燃比に基づいて、基本燃料噴射時間(TIM)を算出する。図4(a)は、Pb/Neマップの例を示した図であり、図4(b)は、Ne/THマップの例を示した図である。
これらの補正係数ごとに補正係数テーブルが存在し、上記基本燃料噴射時間(TIM)と、これらの複数の補正係数に基づいて、実際にインジェクタ5に燃料を噴射させる燃料噴射時間(Tout)が算出される。
上述した特許文献1で示されるように、エタノールは、その組成に酸素原子Oを含有しているため単位体積当たりでの燃焼に必要な酸素量はガソリンを燃焼させる場合に比べて少なくて済む。従って、エタノールとガソリンを混合させた多種燃料を用いる場合、ガソリンのみの燃料を用いる場合よりも理論空燃比は小さくなる。そのため、エンジン1を最適な状態で運転させるには、エタノールとガソリンの混合比率ごとに、Pb/Neマップ、Ne/THマップ、各種補正係数テーブルを設定する必要がある。ところで、エタノールがある濃度の場合に、最適な状態でエンジン1を運転させるためのマップやテーブルを、ある一定範囲内の他の濃度において適用しても、当該他の濃度における適切なマップやテーブルを提供した場合と同程度の制御を行なうことが可能であることが実験結果等から知られている。そこで、本実施形態では、図6に示すような濃度の範囲を設定し、それぞれの範囲におけるエタノールの基準濃度として、エタノール22%(E22)、エタノール50%(E50)、エタノール80%(E80)、エタノール100%(E100)の4種類を予め定めておき、それぞれのエタノール濃度ごとに、Pb/Neマップ、Ne/THマップ、各種補正係数テーブルを生成する。なお、基準濃度は、3つ以上であればいくつでも良く、0%〜100%までのどの濃度に適正に割り振っても良い。また、それぞれのマップとテーブルは、図6に示すように濃度として重なり合う範囲を有するように設定される。
となる。なお、以下の説明において、基準濃度ごとの基準燃料噴射量マップをそれぞれE22%マップ、E50%マップ、E80%マップ、E100%マップと記載する。
まず、エンジン回転数(Ne)をCRKセンサ14から得られた計測値に基づいて算出し、算出したエンジン回転数(Ne)とTHセンサ11から得られるスロットル開度(TH)とが、図11に示すKO2REF算出領域内に存在するか否かを判定する(ステップSa1)。KO2REF算出領域外であれば、基準燃料噴射量マップの切り替えを行なわずに処理を終了する。KO2REF算出領域内であれば、次に、TWセンサ13とTAセンサ16から冷却水の水温(TW)と、吸気温(TA)を計測し、エンジン1が暖機済状態、すなわち通常運転状態であるか否かを判定する(ステップSa2)。暖機済状態でないと判定した場合、基準燃料噴射量マップの切り替えを行なわずに処理を終了する。暖機済状態であると判定した場合、KO2REFの更新、すなわち、新たにO2センサ15が計測した酸素濃度から得られるKO2の値に基づいて平均学習を行なってKO2REFを算出し、新たなKO2REFとして更新を行なう(ステップSa3)。
次に、制御プログラムは、始動噴射時間TICRが始動噴射時間上限値Tmax未満であるか否かを判定する(ステップSb9)。始動噴射時間TICRが始動噴射時間上限値Tmax未満である場合(ステップSb9:Yes)、次に、制御プログラムは、始動噴射回数nが反復回数Nに等しいか否かを判定する(ステップSb10)。制御プログラムは、始動噴射回数nが反復回数Nに等しいと判定した場合(ステップSb10:Yes)、現在のTICRに増量幅Δtiを加算した値をTICRに代入し(ステップSb11)、始動噴射回数nを0にリセットする(ステップSb12)。次に、制御プログラムは、CRKセンサ14の計測値に基づいて算出される現在のエンジン回転数(Ne)が始動判定の基準となる回転数を示す閾値(A)を超えているか否かに基づいて始動完了したか否かを判定する(ステップSb13)。制御プログラムは、現在のエンジン回転数(Ne)が閾値(A)を超えており、始動完了していると判定した場合(ステップSb13:Yes)、通常運転が開始されているため、噴射制御を通常運転時の噴射制御、すなわち図10に示した処理を行ないつつ(ステップSb14)、ステップSb1からステップSb3の処理をメインSWがOFFされるまでの間、繰り返し行なう。一方、現在のエンジン回転数(Ne)が閾値(A)以下であり、始動中であると判定した場合(ステップSb13:No)、始動制御を継続させるためステップSb7に戻る。また、ステップSb9にて、始動噴射時間TICRが噴射時間上限値Tmax未満でないと判定した場合、すなわち始動噴射時間TICRがTmax以上となった場合(ステップSb9:No)、及び始動噴射回数nが反復回数Nに等しくないと判定した場合、すなわち始動噴射回数nが反復回数に到達していない場合(ステップSb10:No)、現状の始動噴射時間TICRを維持したまま、ステップSb13の始動完了の判定を行なう。
次に、参考例について説明する。エンジン1の始動制御において、第1実施形態では、通常運転時に運転中のエタノール濃度を検出しておき、エンジン1が停止された後再び運転が行なわれる場合に、運転中に検出していたエタノール濃度を参照してエンジンの始動を行なう始動制御を行なっていた。これに対し、参考例では、エタノールの基準濃度が最小、すなわちE22%マップから順に基準燃料噴射量マップを切り替えて始動制御を行なう構成としている。なお、参考例では、始動制御情報には、エタノール濃度ごとの始動噴射時間の増量幅Δti、反復回数N、始動噴射時間の上限値Tmaxが、基準濃度ごとの基準燃料噴射量マップに対応付けられて予め記憶されているものとする。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態においては、始動噴射時間の増量幅が一定ではなく、増量幅を徐々に増加させていくように、エンジンの始動制御を行なう。始動噴射時間の増量幅を徐々に増加させていく制御を行なうことにより、それに伴って、燃料の噴射量の増量幅も徐々に増加していく。このような始動制御を行なうための最良形態は、始動噴射時間を指数関数的に増加させていく形態である。
TICR=TICRm−Δbase+Δbase×AF(n−1)
である。ここで、TICRmは初回始動噴射時間であり、Δbaseは噴射時間係数であり、AFは増量係数であり、nは増量回数である(初回はn=1)。これら、初回始動噴射時間TICRm、噴射時間係数Δbase、増量係数AFに関しては、冷却水温(TW)ごとの設定値が設定され、ROM23に記憶されている。なお、増量係数AFは、1より大きい適切な値に設定される。そして、前回からの噴射時間の増量ΔTICRは、上式より求められ、
ΔTICR
=Δbase×(AF(n−1)−AF(n−2))
=Δbase×AF(n−2)×(AF−1)
である。つまり、噴射時間の増量幅および燃料の噴射量の増量幅が、それぞれ、徐々に増加していくようになっている。また、これらの増量幅は指数関数的に増加していくようになっている。つまり、本実施形態では、燃料噴射量を徐々に増大させる所定時間ごと又は所定回数ごとの燃料噴射量の増分が指数関数的に増大変化するように(指数関数に従うように)始動制御を行なっている。このような増量ΔTICRを用いることで、制御手順を簡単にできるというメリットもある。
制御プログラムは、設定されている基準濃度の値に従って、ROM23から基準燃料噴射量マップを読み出す(ステップSd1)。
次に、制御プログラムは、初回始動噴射時間TICRmと噴射時間係数ΔBASEと変数αの値を用いて、始動噴射時間TICRを算出する(ステップSd5)。ここでは、TICR=TICRm−Δbase+αとする。なお、本フローチャート内のループの初回のステップSd5の処理においては、変数αの値がΔbaseであるので、TICR=TICRmである。
次に、制御プログラムは、CRKセンサ14の計測値に基づいて算出される現在のエンジン回転数(Ne)が始動判定の基準となる回転数を示す閾値(A)を超えているか否かに基づいて始動完了したか否かを判定する(ステップSd8)。制御プログラムは、現在のエンジン回転数(Ne)が閾値(A)を超えており、始動完了していると判定した場合(ステップSd8:Yes)、通常運転が開始されているため、噴射制御を通常運転時の噴射制御、すなわち図10に示した処理を行なう(ステップSd9)。一方、現在のエンジン回転数(Ne)が閾値(A)以下であり、始動中であると判定した場合(ステップSd8:No)、始動制御を継続するためステップSd4に戻る。
そのためには、指数関数を用いるほかにも、例えば、
TICR=TICRm+Δbase×(n−1)2、又は
TICR=TICRm+Δbase×(n−1)3、又は
TICR=TICRm+Δbase×(n−1)4
などといったように、回数nのべき乗関数を用いるようにしても良い。
これらにより、プラグかぶりを防止しつつ、短時間で大きな増量を得られるようになり、確実なエンジン始動が行なえる。
Claims (4)
- 内燃機関(1)の始動状態を検出する始動完了検出手段(Sb13)を有し、前記始動完了検出手段(Sb13)によって始動完了が検出された後は内燃機関(1)の状態に応じて燃料噴射量を決定する多種燃料用内燃機関(1)の燃料噴射制御装置(10)において、
多種燃料のエタノール濃度0%〜100%における3つ以上の複数の濃度範囲を基準濃度として割り振り、
当該基準濃度に対応する複数の基準燃料噴射量マップを記憶しておくと共に、前記複数の基準燃料噴射量マップのうちいずれの基準燃料噴射量マップを使用しているかを記憶しておき、
前記内燃機関(1)の排気系(7)に設けられて排ガス中の酸素濃度に応じた出力を発生する酸素濃度センサ(15)の出力に基づき、排ガス中の酸素濃度が高いときに高い値を示すと共に、排ガス中の酸素濃度が低いときに低い値を示す要求噴射量倍率あるいは要求噴射量倍率の学習値を計算し、
要求噴射量倍率あるいは要求噴射量倍率の学習値の、上限閾値と下限閾値とを前記基準濃度ごとに設定して、要求噴射量倍率あるいは要求噴射量倍率の学習値が上限閾値と下限閾値との間にあるときは、基準燃料噴射量マップの切換行わず、要求噴射量倍率あるいは要求噴射量倍率の学習値が上限閾値よりも高い場合にはエタノール濃度が高い基準燃料噴射量マップへ切り替え、要求噴射量倍率あるいは要求噴射量倍率の学習値が下限閾値よりも低い場合にはエタノール濃度が低い基準燃料噴射量マップへ切り替え、
始動開始時には前回停止直前に使用していた基準燃料噴射量マップを用いて内燃機関(1)の始動制御を行い、
当該始動開始時に用いる前記基準燃料噴射量マップで所定回数燃料噴射してクランキングしたにもかかわらず始動完了しない場合には、前記内燃機関(1)の始動が完了するまで燃料噴射量を徐々に増大させる、
ことを特徴とする多種燃料用内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記基準燃料噴射量マップは、エタノールとガソリンの混合比に応じた3種以上のPb/Neマップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 燃料噴射量を徐々に増大させる際の初期の所定回数ごとの燃料噴射量の増分よりも、燃料噴射量を徐々に増大させる際の後期の所定回数ごとの燃料噴射量の増分が大きくなるように始動制御を行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 燃料噴射量を徐々に増大させる際の所定回数ごとの燃料噴射量の増分が指数関数的に増大変化するように始動制御を行なう、
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
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