JP2009121399A - 内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置 - Google Patents

内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アルコール混合燃料を使用可能な内燃機関において、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定する。
【解決手段】燃料タンク内への給油が検出された後の最初のエンジン始動時に、クランキング開始から所定時間Tが経過した時点t2 で、まだ単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っていれば、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値(例えば0%)から徐々に増加させ、そのアルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していく。その後、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点t3 又はt4 で、アルコール濃度推定値の増加(燃料噴射量の増量)を停止して、その停止時のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値と決定して、これをバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料として、ガソリン、アルコール(エタノールやメタノール等)及び両者の混合燃料をいずれも使用可能な内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置に関する発明である。
近年、CO2 排出量削減、石油代替燃料の活用等の社会的要請から、燃料として、ガソリン、アルコール及び両者の混合燃料をいずれも使用可能なエンジン(内燃機関)を搭載した自動車の需要が増加している。このような自動車では、燃料タンクに前回と異なるアルコール濃度の燃料が給油されて、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度(又はガソリン濃度)が変化することがある。一般に、ガソリンとアルコールとでは理論空燃比が異なるため、燃料のアルコール濃度が変化すると、理論空燃比が変化して適正な空燃比(排ガス浄化に最適な空燃比)が変化するため、使用燃料のアルコール濃度に応じて燃料噴射量(空燃比)や点火時期を変化させる必要がある。
このような観点から、燃料のアルコール濃度を検出するアルコール濃度センサを設けたものがあるが、アルコール濃度センサを設けると、コストアップしてしまうという問題がある。
そこで、特許文献1(特開2005−48625号公報)に記載されているように、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力をアルコール濃度の推定に利用し、目標空燃比と検出空燃比との比率に基づいて使用燃料のアルコール濃度を推定するようにしたものがある。
しかし、この構成では、エンジン始動後に空燃比センサの温度が活性温度に上昇するまでの期間は、排出ガスの空燃比を検出できないため、使用燃料のアルコール濃度を推定できないという問題が生じる。
そこで、特許文献2(特開2004−293491号公報)に記載されているように、新たに燃料が給油された際に、始動後に空燃比センサで排出ガスの空燃比を検出できるようになるまでの期間は、給油された可能性のある燃料の中で最も高いアルコール濃度と最も低いアルコール濃度との略中庸のアルコール濃度付近の値に固定された暫定アルコール濃度固定値を用いて燃料噴射量を補正するようにしたものがある。
特開2005−48625号公報(第1頁〜第2頁等参照) 特開2004−293491号公報(第1頁〜第2頁等参照)
しかし、上記特許文献2の構成では、給油された可能性のある燃料の中で最も高いアルコール濃度と最も低いアルコール濃度との略中庸のアルコール濃度(一般的には50%と考えられる)付近の値に固定された暫定アルコール濃度固定値を使用燃料のアルコール濃度と推定するため、実際に給油した燃料がアルコール100%又はガソリン100%の場合には、実際のアルコール濃度とアルコール濃度推定値(暫定アルコール濃度固定値)との誤差が50%という大きな誤差になってしまい、その結果、始動性が悪化して、最悪の場合は始動不能に陥ったり、或は、始動できたとしても、ドライバビリティやエミッションが悪化するという問題が生じる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、燃料として、ガソリン、アルコール及び両者の混合燃料のいずれも使用可能な内燃機関において、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができ、低コスト化の要求を満たしながら、始動性、ドライバビリティ、エミッションの向上に貢献できる内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、燃料として、ガソリン、アルコール及び両者の混合燃料をいずれも使用可能な内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置において、始動時に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させると共に前記アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定することで前記アルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が前記所定値を上回った時点で前記アルコール濃度推定値の増加を停止してその停止時のアルコール濃度推定値を使用燃料のアルコール濃度推定値とするアルコール濃度推定手段を備えていることを特徴とするものである。
この場合、始動時のアルコール濃度推定値の初期設定値は、例えば、給油された可能性のある燃料の中で「最も低いアルコール濃度」に設定しても良いし、この「最も低いアルコール濃度」が不明である場合には、請求項2のように、アルコール濃度推定値の初期設定値を0%(ガソリン100%)に設定しても良い。いずれの場合も、給油された可能性のある燃料の中で最も低いアルコール濃度又はそれ以下のアルコール濃度(0%)をアルコール濃度推定値の初期設定値として内燃機関のクランキングを開始し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値を徐々に増加させて燃料噴射量を徐々に増量していくため、燃料噴射量の増量補正値が実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に達した時点で、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回る。この関係から、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回った時点のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値とすることが可能であり、これにより、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができ、低コスト化の要求を満たしながら、始動性、ドライバビリティ、エミッションの向上に貢献することができる。
さらに、アルコール濃度推定値を確定する際に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回ったときに燃焼した気筒の噴射量を算出する際に用いた濃度推定値を用いることによって、濃度推定の精度を高めることができる。また、初爆発生以降に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回った場合、再びアルコール濃度推定値を増加させることにより、濃度推定の精度を高めることができる。
また、燃料増量値を、増量が反映された噴射量で噴射した気筒の燃焼行程が経過するまで保持するようにしても良い。アルコール濃度推定値の妥当性が燃焼によって判定されるまで増量値を保持することにより、不要な燃料増量を抑えることができる。
本発明は、前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を始動時に毎回行うようにしても良いが、新たな給油が行われるまでは、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度が変化しないため、給油後の最初の始動時のみ、上記アルコール濃度推定処理を行うようにしても良い。
これを実現するには、請求項3のように、アルコール濃度推定手段により推定された使用燃料のアルコール濃度推定値を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶手段と、内燃機関停止中の燃料タンク内への給油を検出する給油検出手段とを備え、前記給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を実行し、内燃機関停止中の給油が検出されるまでは、始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を行わずに前記記憶手段に記憶されている前記アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定して内燃機関を始動するようにすれば良い。このようにすれば、給油後の最初の始動時のみにアルコール濃度推定処理(燃料噴射量の増量)を行うだけで、次の給油が行われるまで、記憶手段に記憶されているアルコール濃度推定値を用いることで、始動当初(クランキング当初)から燃料噴射量の増量補正値を実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に設定することができ、始動時間を短縮できると共に、始動完了までに排出される未燃HCの排出量を低減することができる。
また、請求項4のように、給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時にアルコール濃度推定値の初期設定値を設定する際に、前記記憶手段に記憶されている給油前のアルコール濃度推定値と給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油後の燃料タンク内の燃料残量とに基づいて給油した燃料のアルコール濃度が0%であると仮定してアルコール濃度推定値の初期設定値を算出するようにしても良い。このようにすれば、給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油した燃料量とを考慮して、両者が混合した燃料のアルコール濃度となり得る範囲のうちの最も低いアルコール濃度をアルコール濃度推定値の初期設定値に設定することができ、アルコール濃度推定値の初期設定値を一律に0%に設定する場合(請求項2)と比較して、始動時間を短縮できると共に、始動完了までに排出される未燃HCの排出量を低減することができる。
また、本発明は、請求項5のように、始動時に燃料噴射量をその初期設定値から徐々に増量させて、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回った時点で前記燃料噴射量の増量を停止してその停止時の燃料噴射量の増量補正値に基づいて使用燃料のアルコール濃度推定値を算出するアルコール濃度推定手段を備えた構成としても良い。
この場合、始動時の燃料噴射量の初期設定値は、例えば、給油された可能性のある燃料の中で「最も低いアルコール濃度」に対応した燃料噴射量に設定しても良いし、この「最も低いアルコール濃度」が不明である場合には、請求項6のように、使用燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)であると仮定して燃料噴射量の初期設定値を設定するようにしても良い。いずれの場合も、給油された可能性のある燃料の中で最も低いアルコール濃度又はそれ以下のアルコール濃度(0%)に対応した燃料噴射量の初期設定値を設定して、内燃機関のクランキングを開始し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を下回っている期間は、燃料噴射量を徐々に増量していくため、燃料噴射量の増量補正値が実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に達した時点で、燃焼により単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回る。この関係から、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回った時点の燃料噴射量の増量補正値に基づいて使用燃料のアルコール濃度推定値を算出することが可能となり、これにより、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができ、低コスト化の要求を満たしながら、始動性、ドライバビリティ、エミッションの向上に貢献することができる。
上記請求項5,6に係る発明は、上記アルコール濃度の推定処理を始動時に毎回行うようにしても良いが、新たな給油が行われるまでは、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度が変化しないため、給油後の最初の始動時のみ、上記アルコール濃度の推定処理を行うようにしても良い。
これを実現するには、請求項7のように、給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を実行し、内燃機関停止中の給油が検出されるまでは、始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を行わずに記憶手段に記憶されているアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定して内燃機関を始動するようにすれば良い。このようにすれば、給油後の最初の始動時のみにアルコール濃度推定処理(燃料噴射量の増量)を行うだけで、次の給油が行われるまで、記憶手段に記憶されているアルコール濃度推定値を用いることで、始動当初(クランキング当初)から燃料噴射量の増量補正値を実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に設定することができ、始動時間を短縮できると共に、始動完了までに排出される未燃HCの排出量を低減することができる。 また、請求項8のように、給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時にアルコール濃度推定値の初期設定値を設定する際に、記憶手段に記憶されている給油前のアルコール濃度推定値と給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油後の燃料タンク内の燃料残量とに基づいて給油した燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)と仮定して始動直前のアルコール濃度推定値を算出して、当該始動直前のアルコール濃度推定値に基づいて前記燃料噴射量の初期設定値を算出するようにしても良い。このようにすれば、給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油した燃料量とを考慮して、両者が混合した燃料のアルコール濃度となり得る範囲のうちの最も低いアルコール濃度に対応した燃料噴射量の初期設定値を設定することができ、燃料噴射量の初期設定値を一律に使用燃料のアルコール濃度が0%と仮定して設定する場合(請求項6)と比較して、始動時間を短縮できると共に、始動完了までに排出される未燃HCの排出量を低減することができる。
以上説明した請求項1〜8に係る発明は、請求項9のように、始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、使用燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)のときに燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が初めて所定値を上回るタイミングのばらつき範囲内で最も遅いタイミングまで遅らせるようにしても良い。このようにすれば、始動当初の燃料噴射量の初期設定値(アルコール濃度推定値の初期設定値)が実際の使用燃料のアルコール濃度に対応している場合は、クランキング開始後に燃料噴射量を増量させることなく初爆を迎えることができ、不要な燃料噴射量の増量を防ぐことができる。
また、内燃機関の冷却水温、外気温、大気圧によって始動性(燃料の燃焼しやすさ)が変化して燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が初めて所定値を上回るタイミングが変化することを考慮して、請求項10のように、始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、内燃機関の冷却水温、外気温、大気圧の少なくとも1つに基づいて設定するようにしても良い。このようにすれば、始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、より適正なタイミングに設定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒24が設けられ、この触媒24の上流側と下流側には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出する排気センサ25,26(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。尚、下流側の排気センサ26は、低コスト化のために省略しても良い。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ27が取り付けられている。また、クランク軸28の外周側には、クランク軸28が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ29が取り付けられ、このクランク角センサ29の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転数が検出される。
エンジン11は、燃料として、ガソリン、アルコール(エタノールやメタノール等)、ガソリンにアルコールを混合したアルコール混合燃料をいずれも使用可能であり、これらのガソリン、アルコール、アルコール混合燃料のいずれかをエンジン11に供給するようになっている。燃料を貯溜する燃料タンク30内には、燃料を汲み上げる燃料ポンプ31が設けられている。この燃料ポンプ31から吐出される燃料は、燃料供給配管32を通して燃料フィルタ33で濾過されてデリバリパイプ34に送られ、このデリバリパイプ34から各気筒の燃料噴射弁21に分配される。
デリバリパイプ34内の燃料の圧力は、プレッシャレギュレータ35で設定圧力に調整され、その設定圧力を越える余剰燃料がリターン配管36を通して燃料タンク30内に戻される。もしくは、デリバリパイプ34内の圧力を燃圧センサ(図示せず)によって検知し、所望の圧力になるように燃料ポンプ31からの吐出量を制御するようにしても良い。
また、燃料タンク30には、燃料残量(燃料レベル)を計測する燃料残量計37と、燃料タンク30の給油口を塞ぐ燃料キャップ38の開閉を検出する給油口開閉スイッチ39(給油検出手段)が設けられている。
上述した各種センサやスイッチの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)40に入力される。このECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
更に、このECU40は、エンジン始動後に排気センサ25,26の温度が活性温度に上昇して排出ガスの空燃比を検出できる状態になった後は、触媒24の上流側の排気センサ25の出力に基づいて触媒24の上流側の排出ガスの空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)に一致させるように空燃比F/B補正量を算出し、この空燃比F/B補正量を用いて燃料噴射弁21の燃料噴射量を補正する空燃比F/B制御(メインF/B制御)を実行すると共に、触媒24の下流側の排気センサ26の出力に基づいて触媒24の上流側の目標空燃比又は空燃比F/B補正量等を補正するサブF/B制御を実行する。ここで、「F/B」は「フィードバック」を意味する。
ところで、本実施例1のように、エンジン11の燃料として、ガソリン、アルコール、アルコール混合燃料をいずれも使用可能にしたシステムでは、燃料タンク30に前回と異なる燃料が補給されて、燃料のアルコール濃度(又はガソリン濃度)が変化することがある。一般に、ガソリンとアルコールとでは理論空燃比が異なるため、燃料のアルコール濃度が変化すると、理論空燃比が変化して適正な空燃比(排ガス浄化に最適な空燃比)が変化する。従って、エンジン停止中に前回と異なる燃料が補給されて使用燃料のアルコール濃度が変化した場合は、使用燃料のアルコール濃度に応じて燃料噴射量(空燃比)や点火時期を変化させる必要がある。
そこで、本実施例1では、次のような方法でエンジン始動時に使用燃料のアルコール濃度を推定する。
給油口開閉スイッチ39の出力信号に基づいてエンジン停止中に燃料タンク30の給油口の燃料キャップ38が開放されたか否かを判定することで燃料タンク30内への給油の有無を判定し、給油が検出された後の最初のエンジン始動時に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させると共に、当該アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定することで、アルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回る時点で、アルコール濃度推定値の増加(燃料噴射量の増量)を停止して、その停止時のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値と決定して、これをECU40のバックアップRAM(図示せず)等の書き換え可能な不揮発性メモリ(ECU40の電源オフ中でも記憶データを保持する書き換え可能な記憶手段)に記憶する。その後、エンジン停止中の給油が検出されるまでは、エンジン始動時に上記アルコール濃度推定処理を行わずに前記不揮発性メモリに記憶されているアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定してエンジン11を始動する。
上述したアルコール濃度推定処理を行う場合、エンジン始動時のアルコール濃度推定値の初期設定値は、例えば、給油された可能性のある燃料の中で「最も低いアルコール濃度」に設定しても良いし、この「最も低いアルコール濃度」が不明である場合には、アルコール濃度推定値の初期設定値を0%(ガソリン100%)に設定しても良い。いずれの場合も、給油された可能性のある燃料の中で最も低いアルコール濃度又はそれ以下のアルコール濃度(0%)をアルコール濃度推定値の初期設定値としてエンジン11のクランキングを開始し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値を徐々に増加させて燃料噴射量を徐々に増量していくため、燃料噴射量の増量補正値(燃料増量値)が実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に達した時点で、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回る。この関係から、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値とすることが可能であり、これにより、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができる。
更に、本実施例1では、給油前の燃料タンク30内の燃料残量による給油後の燃料のアルコール濃度変化分を考慮するために、エンジン始動時のアルコール濃度推定値の初期設定値を設定する際に、書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されている給油前のアルコール濃度推定値と給油前の燃料タンク30内の燃料残量と給油後の燃料タンク30内の燃料残量とに基づいて給油した燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)と仮定してアルコール濃度推定値の初期設定値を次式により算出するようにしている。
[アルコール濃度推定値の初期設定値]
=[給油前の燃料タンク内の燃料残量]×[給油前のアルコール濃度推定値]
÷[給油後の燃料タンク内の燃料残量]
……(式1)
ここで、[給油前の燃料タンク内の燃料残量]と[給油後の燃料タンク内の燃料残量]は、それぞれ燃料残量計37で計測した値を用いれば良い。また、[給油前の燃料タンク内の燃料残量]は、前回のエンジン停止時に計測した値をECU40のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶しておけば良い。
このようにすれば、給油前の燃料タンク30内の燃料残量と給油した燃料量(給油量)とを考慮して、両者が混合した燃料のアルコール濃度となり得る範囲のうちの最も低いアルコール濃度をアルコール濃度推定値の初期設定値に設定することができ、アルコール濃度推定値の初期設定値を一律に0%に設定する場合と比較して、始動時間を短縮できると共に、始動完了までに排出される未燃HCの排出量を低減することができる。
また、本実施例1では、エンジン始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、使用燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)のときに燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが初めて所定値を上回るタイミングのばらつき範囲内で最も遅いタイミングまで遅らせるようにしている。このようにすれば、始動当初のアルコール濃度推定値の初期設定値(燃料噴射量の初期設定値)が実際の使用燃料のアルコール濃度に対応している場合は、クランキング開始後に燃料噴射量を増量させることなく初爆を迎えることができ、不要な燃料噴射量の増量を防ぐことができる利点がある。
更に、本実施例1では、エンジン11の冷却水温、外気温、大気圧によって始動性(燃料の燃焼しやすさ)が変化して燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが初めて所定値を上回るタイミングが変化することを考慮して、エンジン始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、冷却水温、外気温、大気圧の少なくとも1つに基づいて設定するようにしても良い。例えば、冷却水温や外気温が低くなるほど、始動性(燃料の燃焼しやすさ)が低下するため、冷却水温や外気温が低くなるほど、燃料噴射量の増量を開始するタイミングを遅らせるようにしても良い。また、大気圧が低くなるほど、始動性(燃料の燃焼しやすさ)が低下するため、大気圧が低くなるほど、燃料噴射量の増量を開始するタイミングを遅らせるようにしても良い。このようにすれば、始動時に燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、より適正なタイミングに設定することができる。
尚、燃料残量計37の計測結果に基づいてエンジン停止中に燃料タンク30内の燃料残量が増加したか否かで燃料タンク30内に給油されたか否かを判定するようにしても良い。
図2は、本実施例1の始動時の制御の一例を示すタイムチャートである。図2の例では、燃料タンク30内への給油が検出された後に最初にエンジン11を始動する際に、クランキングを開始した時点t1 から所定時間Tが経過した時点t2 で、まだ単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っていれば、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回るまで、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させると共に、そのアルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量する処理を開始する。
本実施例1では、燃料噴射量の増量(アルコール濃度推定値の増加)を開始するタイミングを、使用燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)のときに燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を初めて上回るタイミングのばらつき範囲内で最も遅いタイミングまで遅らせるように上記所定時間Tを設定しているため、実際の使用燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)であれば、クランキング開始から所定時間Tが経過するまでに初爆が発生して単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を越える。この場合は、クランキング開始時t1 から所定時間Tが経過しても、燃料噴射量の増量(アルコール濃度推定値の増加)は行われない。
クランキング開始時t1 から所定時間Tが経過した時点t2 で、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている場合は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させると共に、そのアルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点t3 又はt4 で、アルコール濃度推定値の増加(燃料噴射量の増量)を停止して、その停止時のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値と決定して、これをECU40のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
以上説明した本実施例1の使用燃料のアルコール濃度推定処理は、ECU40によって図3のアルコール濃度推定プログラムに従って次のように実行される。
図3のアルコール濃度推定プログラムは、運転者がイグニッションスイッチ(図示せず)をオン操作した直後(エンジン始動前)に起動され、特許請求の範囲でいうアルコール濃度推定手段としての役割を果たす。
本プログラムが起動されると、まずステップ101で、給油口開閉スイッチ39の出力信号に基づいてエンジン停止中に燃料タンク30の給油口の燃料キャップ38が開放されたか否かを判定することで燃料タンク30内に給油されたか否かを判定する。尚、燃料残量計37の計測結果に基づいてエンジン停止中に燃料タンク30内の燃料残量が増加したか否かで燃料タンク30内に給油されたか否かを判定するようにしても良い。
このステップ101で、エンジン停止中に給油されなかったと判定されれば、ステップ102以降のアルコール濃度推定処理処理を行うことなく、本プログラムを終了する。給油されていなければ、燃料タンク30内の燃料のアルコール濃度が変化していないため、ECU40のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されているアルコール濃度推定値をそのまま使用して燃料噴射量を設定してエンジン11を始動する。
これに対して、上記ステップ101で、給油されたと判定されれば、ステップ102に進み、給油後(現在)の燃料タンク30内の燃料残量を燃料残量計37で計測した後、ステップ103に進み、給油後の燃料タンク30内の燃料残量と給油前の燃料タンク30内の燃料残量(不揮発性メモリの記憶値)と給油前のアルコール濃度推定値(不揮発性メモリの記憶値)とを用いて、給油した燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)と仮定してアルコール濃度推定値の初期設定値を前記(式1)により算出する。
この後、ステップ104に進み、アルコール濃度推定値の初期設定値に基づいて燃料噴射量の初期設定値を算出した後、ステップ105に進み、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン操作によりエンジン11のクランキングが開始されたか否かを判定し、クランキングが開始されていなければ、クランキングが開始されるまで待機する。
その後、クランキングが開始された時点で、ステップステップ106に進み、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回ったか否かを判定し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っていれば、ステップ107に進み、クランキング開始から所定時間Tが経過したか否か(燃料噴射量の増量を開始するタイミングになったか否か)を判定し、まだクランキング開始から所定時間Tが経過していなければ、燃料噴射量を上記初期設定値に維持してクランキングを継続しながら、上述したステップ106に戻り、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回ったか否かを判定する。
クランキング開始から所定時間Tが経過する前に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回れば、ステップ110に進み、アルコール濃度推定値の初期設定値をそのまま現在の使用燃料のアルコール濃度推定値として決定し、それを不揮発性メモリに記憶する。
一方、クランキング開始所定時間Tが経過しても単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている場合は、その時点で、上記ステップ107からステップ108に進み、アルコール濃度推定値をその初期設定値から所定の増加率で増加させ、次のステップ109で、アルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量させて上記ステップ106に戻り、上述した処理を繰り返す。
これにより、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回るまで燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させて、そのアルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量させる処理を繰り返し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点で、アルコール濃度推定値の増加(燃料噴射量の増量)を停止して、ステップ110に進み、その時点のアルコール濃度推定値を現在の使用燃料のアルコール濃度推定値と決定して、それを不揮発性メモリに記憶する。
以上説明した本実施例1によれば、エンジン始動時(クランキング時)に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させて、そのアルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点で、アルコール濃度推定値の増加を停止してその停止時のアルコール濃度推定値を使用燃料のアルコール濃度推定値とするようにしたので、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができて、低コスト化の要求を満たしながら、始動性、ドライバビリティ、エミッションの向上に貢献することができる。
上記実施例1では、エンジン始動時に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させることで燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点で、アルコール濃度推定値の増加を停止してその停止時のアルコール濃度推定値を使用燃料のアルコール濃度推定値とするようにしたが、本発明の実施例2では、図4のアルコール濃度推定プログラムを実行することで、エンジン始動時に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料噴射量をその初期設定値から徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点で、燃料噴射量の増量を停止してその停止時の燃料噴射量の増量補正値(燃料増量値)に基づいて使用燃料のアルコール濃度推定値を算出するようにしている。以下、図4のアルコール濃度推定プログラムの処理内容を説明する。
図4のアルコール濃度推定プログラムは、運転者がイグニッションスイッチ(図示せず)をオン操作した直後(エンジン始動前)に起動され、特許請求の範囲でいうアルコール濃度推定手段としての役割を果たす。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、給油口開閉スイッチ39の出力信号(又は燃料残量計37の計測結果)に基づいてエンジン停止中に燃料タンク30内に給油されたか否かを判定する。このステップ201で、エンジン停止中に給油されなかったと判定されれば、ステップ202以降のアルコール濃度推定処理処理を行うことなく、本プログラムを終了する。給油されていなければ、燃料タンク30内の燃料のアルコール濃度が変化していないため、ECU40のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されているアルコール濃度推定値をそのまま使用して燃料噴射量を設定してエンジン11を始動する。
これに対して、上記ステップ201で、給油されたと判定されれば、ステップ202に進み、給油後(現在)の燃料タンク30内の燃料残量を燃料残量計37で計測した後、ステップ203に進み、給油後の燃料タンク30内の燃料残量と給油前の燃料タンク30内の燃料残量(不揮発性メモリの記憶値)と給油前のアルコール濃度推定値(不揮発性メモリの記憶値)とを用いて、給油した燃料のアルコール濃度が0%(ガソリン100%)と仮定して始動直前のアルコール濃度推定値(アルコール濃度推定値の初期設定値)を前記実施例1と同様の方法で算出する。
この後、ステップ204に進み、始動直前のアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量の初期設定値を算出した後、ステップ205に進み、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン操作によりエンジン11のクランキングが開始されたか否かを判定し、クランキングが開始されていなければ、クランキングが開始されるまで待機する。
その後、クランキングが開始された時点で、ステップステップ206に進み、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回ったか否かを判定し、まだ単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回っていなければ、ステップ207に進み、クランキング開始から所定時間Tが経過したか否か(燃料噴射量の増量を開始するタイミングになったか否か)を判定し、まだクランキング開始から所定時間Tが経過していなければ、燃料噴射量を上記初期設定値に維持してクランキングを継続しながら、上述したステップ206に戻り、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回ったか否かを判定する。ここで、所定時間Tは、前記実施例1と同様の方法で設定すれば良い。
クランキング開始から所定時間Tが経過する前に、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った場合は、ステップ210に進み、始動直前のアルコール濃度推定値をそのまま現在の使用燃料のアルコール濃度推定値と決定して、それを不揮発性メモリに記憶する。
一方、クランキング開始後、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回ることなく所定時間Tが経過すれば、その時点で、上記ステップ207からステップ208に進み、燃料噴射量を徐々に増量させて上記ステップ206に戻り、上述した処理を繰り返す。
これにより、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回るまで燃料噴射量をその初期設定値から徐々に増量させる処理を繰り返し、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点で、燃料噴射量の増量を停止して、ステップ210に進み、その時点の燃料噴射量の増量補正値(燃料増量値)に基づいて現在の使用燃料のアルコール濃度推定値を算出し、それを不揮発性メモリに記憶する。上記以外の事項は前記実施例1と同じである。
以上説明した本実施例2においては、エンジン始動時に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回っている期間は、燃料噴射量を徐々に増量していくため、燃料噴射量の増量補正値が実際の使用燃料のアルコール濃度に応じた適正な値に達した時点で、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回る。この関係から、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を上回った時点の燃料噴射量の増量補正値(燃料増量値)に基づいて使用燃料のアルコール濃度推定値を算出することが可能となり、これにより、アルコール濃度センサを用いることなく、始動完了までに使用燃料のアルコール濃度を推定することができ、低コスト化の要求を満たしながら、始動性、ドライバビリティ、エミッションの向上に貢献することができる。
尚、上記各実施例1,2では、給油後の最初のエンジン始動時のみ、アルコール濃度推定処理を行うようにしたが、給油後の最初のエンジン始動時に限定せずに、エンジン始動時に毎回行うようにしても良い。
また、上記各実施例1,2において、エンジン始動後に触媒24の上流側の排気センサ25の温度が活性温度に上昇した後は、当該排気センサ25の出力を用いて、再度、使用燃料のアルコール濃度を推定し(例えば目標空燃比と検出空燃比との比率に基づいて使用燃料のアルコール濃度を推定し)、これを最終的なアルコール濃度推定値として不揮発性メモリに記憶しておき、次回以降の始動時に、このアルコール濃度推定値を使用するようにしても良い。
また、上記各実施例1,2において、初爆発生以降に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量ΔNeが所定値を下回った場合、再びアルコール濃度推定値を増加させるようにしても良い。
さらに、上記各実施例1,2において、アルコール濃度推定値を確定する際に、単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回ったときに燃焼した気筒の噴射量を算出する際に用いた濃度推定値を用いることによって、濃度推定の精度を高めることができる。
また、上記各実施例1,2において、燃料増量値を、増量が反映された噴射量で噴射した気筒の燃焼行程が経過するまで保持するようにしても良い。アルコール濃度推定値の妥当性が燃焼によって判定されるまで増量値を保持することにより、不要な燃料増量を抑えることができる。
その他、本発明は、図1に示すような吸気ポート噴射式エンジンに限定されず、筒内噴射式エンジンや、吸気ポート噴射用の燃料噴射弁と筒内噴射用の燃料噴射弁の両方を備えたデュアル噴射式のエンジンにも適用して実施できる。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 実施例1のアルコール濃度推定方法を説明するためのタイムチャートである。 実施例1のアルコール濃度推定プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例2のアルコール濃度推定プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、24…触媒、25,26…排気センサ、30…燃料タンク、31…燃料ポンプ、32…燃料供給配管、34…デリバリパイプ、37…燃料残量計、38…燃料キャップ、39…給油口開閉スイッチ(給油検出手段)、40…ECU(アルコール濃度推定手段)

Claims (10)

  1. 燃料として、ガソリン、アルコール及び両者の混合燃料をいずれも使用可能な内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置において、
    始動時に単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を下回っている期間は、燃料のアルコール濃度推定値をその初期設定値から徐々に増加させると共に前記アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定することで前記アルコール濃度推定値の増加に応じて燃料噴射量を徐々に増量していき、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が前記所定値を上回った時点で前記アルコール濃度推定値の増加を停止してその停止時のアルコール濃度推定値を使用燃料のアルコール濃度推定値とするアルコール濃度推定手段を備えていることを特徴とする内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  2. 前記アルコール濃度推定手段は、前記アルコール濃度推定値の初期設定値を0%に設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  3. 前記アルコール濃度推定手段により推定された前記使用燃料のアルコール濃度推定値を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶手段と、
    内燃機関停止中の燃料タンク内への給油を検出する給油検出手段とを備え、
    前記給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を実行し、内燃機関停止中の給油が検出されるまでは、始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を行わずに前記記憶手段に記憶されている前記アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定して内燃機関を始動することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  4. 前記アルコール濃度推定手段は、前記給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定値の初期設定値を設定する際に、前記記憶手段に記憶されている給油前のアルコール濃度推定値と給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油後の燃料タンク内の燃料残量とに基づいて給油した燃料のアルコール濃度が0%であると仮定して前記アルコール濃度推定値の初期設定値を算出することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  5. 燃料として、ガソリン、アルコール及び両者の混合燃料をいずれも使用可能な内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置において、
    始動時に燃料噴射量をその初期設定値から徐々に増量させて、燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が所定値を上回った時点で前記燃料噴射量の増量を停止してその停止時の燃料噴射量の増量補正値に基づいて使用燃料のアルコール濃度推定値を算出するアルコール濃度推定手段を備えていることを特徴とする内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  6. 前記アルコール濃度推定手段は、使用燃料のアルコール濃度が0%であると仮定して前記燃料噴射量の初期設定値を設定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  7. 前記アルコール濃度推定手段により推定された前記使用燃料のアルコール濃度推定値を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶手段と、
    内燃機関停止中の燃料タンク内への給油を検出する給油検出手段とを備え、
    前記給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を実行し、内燃機関停止中の給油が検出されるまでは、始動時に前記アルコール濃度推定手段によるアルコール濃度推定処理を行わずに前記記憶手段に記憶されている前記アルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射量を設定して内燃機関を始動することを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  8. 前記アルコール濃度推定手段は、前記給油検出手段により内燃機関停止中の給油が検出された後の最初の始動時に前記アルコール濃度推定値の初期設定値を設定する際に、前記記憶手段に記憶されている給油前のアルコール濃度推定値と給油前の燃料タンク内の燃料残量と給油後の燃料タンク内の燃料残量とに基づいて給油した燃料のアルコール濃度が0%であると仮定して始動直前のアルコール濃度推定値を算出して、当該始動直前のアルコール濃度推定値に基づいて前記燃料噴射量の初期設定値を算出することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  9. 前記アルコール濃度推定手段は、始動時に前記燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、使用燃料のアルコール濃度が0%のときに燃焼によって単位時間当たりのエンジン回転数の変化量が最初に所定値を上回るタイミングのばらつき範囲内で最も遅いタイミングまで遅らせることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
  10. 前記アルコール濃度推定手段は、始動時に前記燃料噴射量の増量を開始するタイミングを、内燃機関の冷却水温、外気温、大気圧の少なくとも1つに基づいて設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の内燃機関の燃料アルコール濃度推定装置。
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