JP4941947B2 - 振動スクリーン - Google Patents

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本発明は、産業廃棄物、土砂、砕石、木材チップ等の被選別物を粒の大きさ(粒度)で篩い分ける振動スクリーンに関する。
振動スクリーンは、篩部材を内側に装着した枠体を加振して投入された被選別物のうち篩部材の選別粒度よりも小さなものと大きなものに篩い分ける篩装置であり、選別粒度よりも小さなものは篩部材を通過して篩部材の下側に落下し、選別粒度よりも大きなものは傾斜した篩部材上を移動して篩部材の端部から放出される。
このとき、例えば水平に対する篩装置の傾斜角度が大きくなれば篩部材上の被選別物の移動速度は速くなる。この場合、被選別物の篩部材との衝突の機会が減少し、本来は篩部材を通過すべきにも関わらず篩部材上を移送されて放出される被選別物が増加して選別精度が低下し易くなるものの、被選別物が篩部材上に滞留する時間が短縮されて時間当たりの処理量は増す。反対に、篩装置の傾斜角が小さくなれば、時間当たりの処理量が減少し、また篩部材の目詰まりも起き易くなるが、選別精度は向上する。
そこで、篩装置を傾動可能に構成し、粘度等を含む被選別物の性状や粒度、処理量、選別粒度等の諸条件に応じて振動スクリーンの傾斜角度を調整することができるものがある(特許文献1等参照)。
特開2007−307503号公報
例えば篩部材上の被選別物の移動方向の下流側を振動スクリーンの後側とすると、特許文献1等では、篩装置を搭載するフレームに対して篩装置の後端部を支点ピンで回動自在に連結し、篩装置の前側部分を支持高さが変更可能な角度調整機構で支持している。そして、油圧シリンダで篩部材の前側部分を昇降させて角度調整機構による支持高さを変更することにより、篩装置の傾斜角度を変更する構成としている。
ここで、篩装置の前側部分を支持する角度調整機構は、静止側である走行体のフレームに設けたブラケットと、傾動側である篩装置のフレームに設けたブラケットとをピンで連結するもので、走行体側のブラケットに高さの異なる位置に複数のピン穴を設けている。篩装置の傾斜角度を変更する場合には、連結部に挿入してある固定ピンを左右両側とも引き抜いた後、油圧シリンダを駆動して篩装置を傾動させる。そして、走行体側の所望のピン穴に篩装置側のピン穴が合ったら固定ピンを左右両側とも差し込む。
しかしながら、この油圧シリンダを駆動しながら走行体側のピン穴と篩装置側のピン穴との位置を一致させる作業は思った以上に手間のかかる作業である。また角度調整機構は機体の左右両側に必要であるため、固定ピンの抜き取り作業、差し込み作業の際にそれぞれ機体の左右を往復しなければならず、篩装置の傾斜角度を変更する作業としては、その作業性の面で改善の余地が残されている。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、篩装置の傾斜角の変更作業に要する労力を軽減することができる振動スクリーンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明は、本体フレームを含む固定体と、篩装置を含む傾動体と、この傾動体の一方側を前記固定体に回動可能に支持する回動軸と、前記固定体に対する前記傾動体の他方側の支持高さを変更可能な支持部材とを備えた振動スクリーンにおいて、前記支持部材は、筒状のケーシングと、このケーシングに挿入されたロッドと、前記ケーシング及び前記ロッドに両端部が連結された油圧シリンダと、前記ロッドに対して前記ケーシングを固定する固定ピンとを備え、前記ロッドは、前記固定体に対して基端部が回動可能に連結されるとともに、高さの異なる複数のピン穴を有しており、前記ケーシングは、前記傾動体に対して基端部が回動可能に連結されるとともに、前記固定体に向かって開口していて前記ロッドの複数のピン穴のいずれかに選択的に挿入された前記固定ピンに着座するための凹部を先端部に有していることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記固定ピンは、前記ロッドのピン穴に対するその挿入量を規定するとともに、前記ケーシングの凹部の着座面となる鍔部を有していることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記ロッドは、前記ピン穴に対する前記固定ピンの挿入量を規定するストッパ手段を前記ピン穴に有していることを特徴とする。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記ケーシングの凹部の外側には、前記鍔部に当接して前記固定ピンの抜けを防止する抜け止め部材を有していることを特徴とする。
第5の発明は、第1−第4の発明いずれかにおいて、前記傾動体は前記本体フレームに対して傾動可能に連結された排出コンベヤを備えており、この排出コンベヤ上に前記篩装置が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ピン穴のシビアな位置調整が不要で、また固定ピンの抜き差しが同時に行えるので、篩装置の傾斜角の変更作業に要する労力を軽減することができる。
本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの全体構成を表す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの要部拡大図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて本体フレームに対して排出コンベヤを支持する支持部材を設置状態の左前方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて本体フレームに対して排出コンベヤを支持する支持部材を設置状態の左後方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて本体フレームに対して排出コンベヤを支持する支持部材のケーシングの下端部近傍を拡大して表す側面図、及びこの図中のB−B断面による断面図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて支持部材のケーシングを図5(a)及び図5(b)の状態から上昇させた状態を表した図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて支持部材の固定ピンを図6(a)及び図6(b)の状態から差し換えた態を表した図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンにおいて支持部材のケーシングを図7(a)及び図7(b)の状態から固定ピンに着座させた態を表した図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 図1に示した状態に対して、本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの篩装置の傾斜角を小さくした状態を表す図である。 図9に示した状態に対して、本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの篩装置の傾斜角を小さくした状態を表す図である。 図10に示した状態に対して、本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの篩装置の傾斜角を小さくした状態を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る振動スクリーンに備えられた支持部材の要部構成図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第1の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第2の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第3の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第4の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第5の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。 比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する第6の図であり、図5(a)及び図5(b)の図示に対応させて表した図である。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの全体構成を表す側面図、図2は図1中の要部拡大図である。これら図1及び図2中の左右を自走式スクリーンの前後とする。
図1及び図2に示した自走式振動スクリーンは、走行体1と、この走行体1上に設けた排出コンベヤ2と、排出コンベヤ2の上側に設けた篩装置3と、排出コンベヤ2の下側に設けたパワーパック4とを備えている。
走行体1は、左右1対の走行手段10と、これら走行手段10の上部に設けた本体フレーム11とを備えている。走行手段10は、左右一対のトラックフレーム12と、これらトラックフレーム12の前後にそれぞれ設けた従動輪13及び駆動輪14と、出力軸を駆動輪14に連結した走行用油圧モータ15と、左右の従動輪13及び駆動輪14にそれぞれ掛け回した無限軌道履帯16とを備えている。本体フレーム11は、上下・左右・前後の各方向に延びる複数の鋼材で三次元的に組み上げられた枠状の部材であってトラックフレーム12の上部に設けられており、走行手段10の前方に突き出ないように前端部が走行手段10の前端部よりも後方に位置している。本体フレーム11の後端部は走行手段10の後端部よりもやや後方に位置している。本体フレーム11の後部には、排出コンベヤ2と篩装置3との間への木材干渉防止用のガード17が設けられている。
排出コンベヤ2は、篩装置3で選別された所定粒度以下の選別物を搬送し機体前方に排出するものであり、前方に向かって斜めに立ち上がるように配置されている。この排出コンベヤ2は、コンベヤフレーム20と、コンベヤフレーム20の前端に回転自在に設けたヘッドプーリ21と、コンベヤフレーム20の後端に回転自在に設けたテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ21及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト23と、ヘッドプーリ21に連結した排出コンベヤ用油圧モータ24とを備えており、排出コンベヤ用油圧モータ24でヘッドプーリ21を駆動することによってヘッドプーリ21及びテールプーリ間でコンベヤベルト23を循環駆動させる。
コンベヤフレーム20は、後端部が本体フレーム11上部の後端部に対して回動軸30を介して傾動可能に連結されていて、前後方向の中央部が支持部材31を介して本体フレーム11に支持されている。支持部材31は、筒状のケーシング32とこれに挿入されたロッド33からなり、ケーシング32の上端部がピン34を介してコンベヤフレーム20の前後中央部に設けたブラケット35に、ロッド33の下端部がピン36を介して本体フレーム11の前部に設けたブラケット37にそれぞれ回動可能に連結されている。この支持部材31のケーシング32とロッド33は油圧シリンダ38で連結されており、油圧シリンダ38の伸縮に伴ってロッド33がケーシング32に対して摺動し、その結果、回動軸30を支点に排出コンベヤ2が傾動する。このとき、作業者等が傾動する排出コンベヤ2の下に入って本体フレーム11との間に挟まれることのないように本体フレーム11上にはコンベヤフレーム20の左右に位置するように安全柵39が立てられている。
篩装置3は、投入される被選別物を粒度に応じて選別するもので、コンベヤフレーム20後部の上部に弾性部材45を介して振動可能に支持された枠型の篩装置本体46と、篩装置本体46の内側に固定された篩部材(図示せず)と、篩装置本体46を加振する加振装置48とを備えており、加振装置48を駆動して篩装置本体46と篩部材を一体に揺さ振り、投入された被選別物のうち篩部材を通過する所定粒度以下の選別物を排出コンベヤ2上に導くとともに、それより粒度の大きなものを機体後方に排出する。図1及び図2では弾性部材45としてラバースプリングを用いているが、コイルバネ等の他の弾性体でも良い。弾性部材45は篩装置本体46の左右両側においてそれぞれ前後に配置されており、篩装置本体46は計4箇所でコンベヤフレーム20に対して支持されている。また、篩装置3は走行手段10に対して全体的にやや重心を後方にずらして配置されており、内部の篩部材は排出コンベヤ2と同じく後方に向かって下るように配置されている。篩装置3は排出コンベヤ2のコンベヤフレーム20に支持されているため、排出コンベヤ2を傾動させることで被選別物の性状に応じて傾斜角度を変更し選別能力を調整することができる。
パワーパック4は、エンジンや油圧ポンプ、コントロールバルブ等、機体各所に搭載した作動装置の動力源を内蔵しており、コンベヤフレーム20に垂設されたパワーパックフレーム50上に積載されて排出コンベヤ2の下側に配置されている。パワーパックフレーム50は、支持部材31を連結したブラケット34よりも前方位置でコンベヤフレーム20に垂設されており、パワーパック4は走行体1よりも前方に位置している。但し、パワーパック4の前後位置は、篩装置3や排出コンベヤ2等の他の搭載機器と合わせた機体重心が走行装置10の前後ほぼ中央位置に来るように制限される。したがって、油圧シリンダ38を縮めて排出コンベヤ2を寝かせていくと、パワーパック4は走行体1の上部に重なることなく走行体1の前方のスペースまで下降する。そのため排出コンベヤ2を水平姿勢近くまで寝かせることができ、輸送時には一般道路の輸送制限高さに納まる範囲にまで機体の全高を抑えることができる。
なお、輸送制限高さまで余裕があってパワーパック4を走行体1の前方のスペースに下降させる必要がない場合には、パワーパック4を本体フレーム11上又はトラックフレーム12上に設置することもできる。
また、パワーパック4の左側面には、排出コンベヤや篩装置2等の動作を指示するための操作盤51が設けられている。この操作盤51に隣接して前述した油圧シリンダ38の伸縮動作を指示する操作部52が設けられている。また、操作盤51や操作部52を操作する場合等に作業者が立つ足場として、パワーパック4にはステップ53が設けられている。
また、排出コンベヤ2の下部には、コンベヤベルト23の戻り面から落下する選別物を受け止める飛散防止カバー55が設けられている。この飛散防止カバー55は少なくともパワーパック4の上方をカバーしており、下端部近傍が後方に向かって下方に折れ曲げられ、受け止めた選別物を目的の集積位置(例えば左右の走行手段10の間の地面)に積極的に導くようになっている。
図3は本体フレーム11に対して排出コンベヤ2を支持する支持部材31を設置状態の左前方から見た斜視図、図4は左後方から見た斜視図、図5(a)は支持部材31のケーシング32の下端部近傍を拡大して表す側面図、図5(b)は図5(a)中のB−B断面による断面図である。
図3及び図4に示したように、支持部材31は、筒状のケーシング32と、このケーシング32に挿入されたロッド33と、ケーシング32及びロッド33に両端部が連結された油圧シリンダ38と、ロッド33に対してケーシングを固定する断面円状の固定ピン56とを備えている。
ロッド33は、前述したように本体フレーム11の前端に設けたブラケット38に対して基端部(ケーシング32と反対側の端部)が回動可能に連結されており、長手方向に複数のピン穴57を備えている。したがって、支持部材31が水平に対して傾斜した姿勢において複数のピン穴57の高さはそれぞれ異なる。また、ロッド33は本実施形態では断面が四角形状の角パイプによって構成されているが、中実の角材で構成することもできるし、断面が円形状の中実又は中空の鋼材によって構成することもできる。また、ピン穴57はパイプ58(図5(b)参照)で構成されており、パイプ58の内壁面によって固定ピン56の進退をガイドしている。
なお、本実施形態では、各ピン穴57を左右方向に貫通させ、支持部材31に対してアクセスし易い機体幅方向の外側から固定ピン56を抜き差しする構成としているが、支持部材31に対して前後方向に抜き差しする構成とすることもできる。支持部材31は基本的に前傾姿勢にあるので、例えば後方から固定ピン56を抜き差しする構成とした場合には、荷重がかかっていない状態でも固定ピン56が脱落せず、固定ピン56の脱落抑制の面でメリットがある。
ケーシング32は、コンベヤフレーム20の前後中央部に設けたブラケット35に対して基端部(ロッド33と反対側の端部)が回動可能に連結されている。ケーシング32はコンベヤフレーム20の左右両側に各1本連結されており、左右のもの同士ビーム59を介して連結されてH字状に形成されている。ビーム59の下部には、搭載した各作動機器とパワーパック4とを接続する動力配管(油菅や電線等)を束ねて通すフック60が複数設けられている。また、ケーシング32もロッド33と同じく角パイプで構成されており、先端側(ロッド33側)はロッド33が出入するように開口している。そして、このケーシング32の先端部(ロッド33の左右の菅壁の本体フレーム11に対向する端面)には半円状の凹部61が切り欠かれている。
この凹部61は、本体フレーム11側に開口しており、ロッド33の複数のピン穴57のいずれかに選択的に挿入された固定ピン56の外周面に着座する。このとき、凹部61は既にロッド33に通された固定ピン56に対して上から(固定ピン56からすれば径方向から)接近し、固定ピン56の外周面の上半部にのみ接触する。よって、固定ピン56の外周面の下半側は凹部61による拘束を受けない。
なお、本実施形態において、固定ピン56は、ロッド33のピン穴57に対するその挿入量を規定するための鍔部62(図5参照)を備えていて、外周面が段差形状になっている。そして、この固定ピン56における鍔部62とロッド33を貫通して突出する先端部の各外周面が、上記のケーシング32の凹部61と接触する着座面を構成する。そのため、本実施形態において、ロッド33を挟んで存在する2つの凹部61のうち、固定ピン56の先端部に接触する方は鍔部62に接触する方に対して径が小さくなっている。また、固定ピン56の鍔部62側の端面には取っ手63が設けられており、固定ピン56の先端部にはピン穴57への挿入の円滑性のために外周部にテーパ64が設けられている。
なお、本実施形態では断面円状の固定ピン56を用いているため、ケーシング32の凹部61を半円状に形成しているが、例えば断面が多角形状の固定ピン56を用いれば凹部61をその多角形の半割り形状にする等、固定ピン56の断面形状と凹部61の形状は適宜設計変更可能である。また、固定ピン56と凹部61を面接触させる上では固定ピン56の断面形状に応じて凹部61が形成されていることが好ましいが、複数点で線接触する構成で足りる場合には、凹部61の形状が固定ピン56の断面形状に応じている必要は必ずしもない。
また、ケーシング32の固定ピン56の抜き差し方向の外壁面には、凹部61と固定ピン56との接触面積を増加させて接触面圧を低下させるために補強板65が設けられている。補強板65は凹部61に対応した形状の切り欠きを有する。さらに、ケーシング32には、凹部61の外側に、ピン穴57に挿入された固定ピン56の鍔部62に当接し、その端面を拘束し移動を制限することで抜け止めする抜け止め部材66が設けられている。本実施形態の場合、固定ピン56を抜き差しする側の補強板65にスペーサ67を介して抜け止め部材66は設けられている。便宜上、この説明文において支持部材31の延在方向、すなわち図5(a)及び図5(b)の上下をそのまま上下方向と扱うと、固定ピン56の挿入側(取っ手63側)から見た場合、抜け止め部材66の下端部は、ピン穴57に挿入された固定ピン56の端面の上部に重なる。この状態においては、ピン穴57に挿入された固定ピン56の端面が固定ピン支持部材66により拘束され、固定ピン56のピン穴57からの脱落が防止される。
次に上記構成の振動スクリーンの動作を説明する。
例えば油圧ショベル等の投入重機、若しくはリサイクル機械、ベルトコンベヤ等によって篩装置3に被選別物が投入されると、篩部材による選別粒度よりも小さいものは篩部材を通過して排出コンベヤ2の搬送面上に導かれ、排出コンベヤ2によって前方に搬送されて機体前方に排出される。一方、選別粒度より大きなものは篩部材上を下って機体後方に排出される。
このとき、篩装置3を傾動させて篩装置3による選別性能を調整することができる。図1に示した状態に対して、徐々に傾斜角を小さくした状態を図9−図11に表した。例えば図1に示した状態では水平面に対する排出コンベヤ2の傾斜角が14度程度、図9では12度程度、図10では10度程度、図11では6度程度とする。一般に傾斜角が小さいと選別精度が向上し、大きいと処理効率が上がる傾向にあり、通常、被選別物の粒度や粘度等に応じて篩装置の傾斜角度が選定される。また、振動スクリーンをトレーラ等に積載して輸送する場合には、図11のように篩装置3や排出コンベヤ2を水平に近い姿勢まで倒伏させて機体の全高を下げる。
続いて、本実施形態における篩装置3の傾斜角変更手順を図5−図8を用いて説明する。図6−図8において、各図(a)及び(b)の図示は図5(a)及び図5(b)に対応した図である。
(1)篩装置3の傾斜角を大きくする場合
<手順1−1>
図5(a)及び図5(b)の状態から油圧シリンダ38を伸長させ、図6(a)及び図6(b)のように次のピン穴57(例えば1つ上のピン穴57)よりも凹部61が高い位置に移動するまで篩装置3を起立させる。
<手順1−2>
図6(a)及び図6(b)の姿勢に移行したら、固定ピン56を抜き取って次のピン穴57に差し込み、機体の反対側に回って同様に固定ピン56を次のピン穴57に移動させる(図7(a)及び図7(b)参照)。
<手順1−3>
そして、最後に油圧シリンダ38を縮めて固定ピン56にケーシング32の凹部61を着座させ、固定ピン56に荷重をかけて固定するとともに、抜け止め部材66で固定ピン56を拘束し、傾斜角変更手順を終える(図8(a)及び図8(b)参照)。
(2)篩装置3の傾斜角を小さくする場合
<手順2−1>
図8(a)及び図8(b)の状態から油圧シリンダ38を僅かに伸長させ、固定ピン56にかかる荷重を除去するとともに、図7(a)及び図7(b)のように抜け止め部材66による固定ピン56の拘束が解かれた状態とする。
<手順2−2>
固定ピン56を抜き取って次のピン穴57(例えば1つ下のピン穴57)に差し込み、機体の反対側に回って同様に固定ピン56を次のピン穴57に移動させる(図6(a)及び図6(b)参照)。
<手順2−3>
そして、最後に油圧シリンダ38を縮めて固定ピン56にケーシング32の凹部61を着座させ、固定ピン56に荷重をかけて固定するとともに、抜け止め部材66で固定ピン56を拘束し、傾斜角変更手順を終える(図5(a)及び図5(b)参照)。
ここで、図13−図18を用いて比較例における篩装置の傾斜角変更手順を説明する。図13−図18において、各図(a)及び(b)の図示は図5(a)及び図5(b)に対応した図である。
図13−図18の比較例は、本実施形態の支持部材31のケーシング32の凹部61を貫通孔であるピン穴70に変更した場合を仮想した例であり、その他の実質的に同様の構成要素については図5−図8と同様の符号を付して説明を省略する。
(3)篩装置の傾斜角を大きくする場合
<手順3−1>
まず図13(a)及び図13(b)の状態から油圧シリンダ38を僅かに伸長させ、図14(a)及び図14(b)のようにピン穴70を固定ピン56から上げて固定ピン56への荷重を逃がす。
<手順3−2>
図14(a)及び図14(b)の姿勢に移行することで固定ピン56が引き抜けるので、片側の支持部材31の固定ピン56を引き抜き、機体の反対側に回ってもう片側の固定ピン56を引き抜く(図15(a)及び図15(b)参照)。
<手順3−3>
油圧シリンダ38を伸長させ、ロッド33の次のピン穴57(例えば1つ上のピン穴57)にケーシング32のピン穴70が一致する位置に移動するまで篩装置3を起立させる(図16(a)及び図16(b)参照)。
<手順3−4>
図16(a)及び図16(b)のとき、片側の支持部材31に固定ピン56を差し込み、機体の反対側に回ってもう片側の支持部材31にも固定ピン56を差し込む(図17(a)及び図17(b)参照)。
<手順3−5>
最後に固定ピン56を固定するため、油圧シリンダ38を僅かに縮めて、ピン穴70によって固定ピン56に荷重をかけることで傾斜角変更手順を終える(図18(a)及び図18(b)参照)。
(4)篩装置の傾斜角を小さくする場合
<手順4−1>
まず図18(a)及び図18(b)の状態から油圧シリンダ38を僅かに伸長させ、図17(a)及び図17(b)のようにピン穴70を固定ピン56から上げて固定ピン56への荷重を逃がす。
<手順4−2>
図17(a)及び図17(b)の姿勢に移行することで固定ピン56が引き抜けるので、片側の支持部材31の固定ピン56を引き抜き、機体の反対側に回ってもう片側の固定ピン56を引き抜く(図16(a)及び図16(b)参照)。
<手順4−3>
油圧シリンダ38を縮め、ロッド33の次のピン穴57(例えば1つ下のピン穴57)にケーシング32のピン穴70が一致する位置に移動するまで篩装置3を倒伏させる(図15(a)及び図15(b)参照)。
<手順4−4>
図15(a)及び図15(b)のとき、片側の支持部材31に固定ピン56を差し込み、機体の反対側に回ってもう片側の支持部材31にも固定ピン56を差し込む(図14(a)及び図14(b)参照)。
<手順4−5>
最後に固定ピン56を固定するため、油圧シリンダ38を僅かに縮めて、ピン穴70によって固定ピン56に荷重をかけることで傾斜角変更手順を終える(図13(a)及び図13(b)参照)。
このように、比較例では支持部材31のケーシング32のピン穴70に固定ピン56を挿入する構成であるため、ケーシング32が伸び方向、縮み方向のいずれに摺動しようとしてもその動きはピン穴70によって拘束される。そのため、例えば篩装置の傾斜角を大きくする場合、図13(a)及び図13(b)に示した状態から図16(a)及び図16(b)のようにケーシング32を伸び方向にスライドさせるために、上記の手順3−1,3−2を踏まなければならない。また、ピン穴70によって固定ピン56が上下から拘束されるため、固定ピン56を抜き取る手順3−2と差し込む手順3−4を、ケーシング32を摺動させる手順3−3の前後に分けて行わなければならない。固定ピン56を抜き取る手順3−2と差し込む手順3−4は、それぞれ機体の左右の支持部材31について行わなければならないため、手順3−2,3−4の度に作業者は機体の左右を往復しなければならない。特に大型の振動スクリーンの場合、さらには他の機械とシステムを構成している場合、この往復による時間や労力の浪費を軽視することはできない。さらに、振動スクリーンの稼動現場は一般に足元が悪いことが多く、機体周辺の必要以上の往復作業は予想以上の負担となり得る。
また、固定ピン56を抜き取った後、図17(a)及び図17(b)に示したようにロッド33の次のピン穴57にケーシング32のピン穴70を位置合わせする作業には油圧シリンダ38の微操作が必要であり、相応の慎重を要する。
さらには、固定ピン56を抜き取る手順3−2から固定ピン56を差し込む手順3−4まではロッド33に対して油圧シリンダ38によってケーシング32が支持された状態となるため、この時間はできるだけ短い方が好ましい。
以上のことは篩装置の傾斜角を大きくする場合に限らず、小さくする場合でも同じである。
それに対し、本実施形態において、支持部材31のケーシング32は、固定ピン56に対し凹部61によって着座する構成であって、ケーシング32の上昇動作が固定ピン56で拘束されないので、篩装置3の傾斜角を大きくする際には、固定ピン56を抜き取らなくても、いきなりケーシング32を任意の高さまで上昇させることができる。つまり、固定ピン56の抜き取りはケーシング32を適当な高さまで上昇させた後で足りるので、固定ピン56の抜き差しの工程を1工程で行うことができる(上記手順1−2)。他方、篩装置3の傾斜角を小さくする場合も、ケーシング32の下降を待たずに固定ピン56を次の目的のピン穴57に差し移すことができるので、固定ピン56の抜き差しの工程を1工程で行うことができる(上記手順2−2)。
このように、篩装置3の傾斜角を大きくする場合、小さくする場合のいずれの場合においても、機体の左右を往復する機会は1回で済む。よって、篩装置3の傾斜角の変更作業に要する労力を軽減することができる。
また、比較例のようなケーシング32とロッド33のピン穴70,57の位置合わせの必要がないので、油圧シリンダ38の操作の容易であり、作業者の操作負担も軽減される。
さらには、固定ピン56の抜き差しが1工程で行えるため、固定ピン56が支持部材31から抜き取られている時間は僅かであり、油圧シリンダ38に過度の荷重がかかることもなく、また固定ピン56が差し込まれていない時間における安全に対する作業者の心理負担が軽減されるメリットも期待できる。
本発明の振動スクリーンの第2実施形態を説明する。
図12は本発明の第2実施形態に係る振動スクリーンに備えられた支持部材の要部構成図であり、図12(a)及び図12(b)の各図の図示は図5(a)及び図5(b)に対応している。第1実施形態と同様の部分及び同様の機能を果たす部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、ロッド33のピン穴57に対する固定ピン56の挿入量を規定するストッパ手段をロッド33のピン穴57に有している点にある。
具体的には、ロッド33のピン穴57は第1実施形態のようにロッド33を貫通しておらず、固定ピン56を抜き差しする側と反対側の開口が蓋75で塞がれている。他方、固定ピン56はロッド33を貫通しない分だけ第1実施形態に比べて短く、ピン穴57に挿入した際に先端面が蓋75に当たる程度の長さに形成されている。但し、本実施形態では蓋75でピン穴57の出口を塞いでいるが、このようにピン穴57を塞がなくても固定ピン56の先端面が当たるような障害物をピン穴57の内部に設ければ足りる。
すなわち、本実施形態では蓋75に固定ピン56が当たるようにすることで、固定ピン56の正規の挿入量を規定している。このとき、第1実施形態と同様に固定ピン56に鍔部62を設けているが、ピン穴57の入口から蓋75までの距離は、固定ピン56の先端面から鍔部62までの距離と同程度か、もしくは蓋75のストッパとしての役割を重視する場合には固定ピン56の先端面から鍔部62までの距離よりも若干短くする。また、ストッパ手段としての鍔部62が不要な場合には、固定ピン56を段差(テーパ64を除く)のない円柱状に形成することもできる。
本実施形態のような構成でも固定ピン56の挿入量を規定し、どの状態まで固定ピン56を差し込めば良いのか作業者に迷いを生じさせることを抑制することができる。その他、篩装置3の傾斜角の変更手順や振動スクリーンの動作については第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、以上においては、前述したように、篩装置3及びパワーパック4が排出コンベヤ2のコンベヤフレーム20上に固定されていて、篩装置3とともに排出コンベヤ2及びパワーパック4が、本体フレーム1や走行手段10等を含む固定体に対して傾動する傾動体を構成している。そこで、コンベヤフレーム20と本体フレーム11とを支持部材31で連結し、コンベヤフレーム20を傾動させることで篩装置3を傾動させる構成とした。しかしながら、篩装置を傾動させる構成はこれに限定されず、例えばコンベヤフレームに対して篩装置のフレームを回動軸によって回動可能に連結し、コンベヤフレームに対して篩装置が傾動する構成とする場合もある。この場合、コンベヤフレームは本体フレームに対して回動軸を介して連結する必要はなく、本体フレームや走行手段等とともに固定体を構成する。またパワーパックはコンベヤフレームから吊り下げる場合に限らず、本体フレーム上に搭載する場合もある。このように固定体と傾動体の構成要素が変化した場合でも本発明は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、以上においては、自力走行可能な自走式の振動スクリーンに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、牽引走行式、可搬式、定置式等の各振動スクリーンにも本発明は適用可能であり、これらに本発明を適用した場合も同様の効果を得ることができる。
2 排出コンベヤ
3 篩装置
11 本体フレーム
30 回動軸
31 支持部材
32 ケーシング
33 ロッド
38 油圧シリンダ
56 固定ピン
57 ピン穴
61 凹部
62 鍔部
66 抜け止め部材
75 蓋(ストッパ手段)

Claims (5)

  1. 本体フレームを含む固定体と、篩装置を含む傾動体と、この傾動体の一方側を前記固定体に回動可能に支持する回動軸と、前記固定体に対する前記傾動体の他方側の支持高さを変更可能な支持部材とを備えた振動スクリーンにおいて、
    前記支持部材は、筒状のケーシングと、このケーシングに摺動可能に挿入されたロッドと、前記ケーシング及び前記ロッドに両端部が連結された油圧シリンダと、前記ロッドに対して前記ケーシングを固定する固定ピンとを備え、
    前記ロッドは、前記固定体に対して基端部が回動可能に連結されるとともに、高さの異なる複数のピン穴を有しており、
    前記ケーシングは、前記傾動体に対して基端部が回動可能に連結されるとともに、前記固定体に向かって開口していて前記ロッドの複数のピン穴のいずれかに選択的に挿入された前記固定ピンに着座するための凹部を先端部に有している
    ことを特徴とする振動スクリーン。
  2. 前記固定ピンは、前記ロッドのピン穴に対するその挿入量を規定するとともに、前記ケーシングの凹部の着座面となる鍔部を有していることを特徴とする請求項1に記載の振動スクリーン。
  3. 前記ロッドは、前記ピン穴に対する前記固定ピンの挿入量を規定するストッパ手段を前記ピン穴に有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動スクリーン。
  4. 前記ケーシングの凹部の外側には、前記鍔部に当接して前記固定ピンの抜けを防止する抜け止め部材を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の振動スクリーン。
  5. 前記傾動体は前記本体フレームに対して傾動可能に連結された排出コンベヤを備えており、この排出コンベヤ上に前記篩装置が設けられていることを特徴とする請求項1−4のいずれか1項に記載の振動スクリーン。
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