JP4940844B2 - 高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法、およびCr含有鋼管 - Google Patents

高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法、およびCr含有鋼管 Download PDF

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Description

本発明は、Cr含有鋼管およびCr含有鋼管の製造方法に係り、特に自動車やオートバイの排気管、プラントの排気ダクト、熱交換器、燃料電池等の高温環境下で使用される部材用として好適な、高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管、およびCr含有鋼管の製造方法に関する。
自動車の排気系環境で使用される、例えばエキゾーストマニホールド、排気パイプ、コンバータケース等に代表される排気部材には、高温環境で特性を保つための耐熱性と、限られたスペースに配置されるための成形性が要求される。このような用途にはCr含有鋼管を用いる場合があり、その場合には造管時に加わった歪を取り除いて加工性を回復させるために、造管後に歪取焼鈍を行うことがある。このような用途に、室温では軟質で成形性に優れ、高温耐力も比較的高い、NbとSiを含むCr含有鋼、例えば、Type429鋼(14Cr-0.9Si-0.4Nb鋼)が多く使用されている。しかし、自動車排気ガス規制の強化により、排気ガスが高温化(900〜1000℃)するとType429鋼は高温耐力が不足するという問題がある。
このような問題に対しては、Type429鋼よりも合金元素の添加量を増加させたSUS444鋼(18Cr-2Mo-Nb鋼)などが使用される。しかし、SUS444鋼は、Type429鋼に比べて室温における加工性が低下する上に、靱性が乏しいために脆性破壊を起こしやすくなるという問題がある。さらに、前述の歪取焼鈍の条件が不適切であると、冷却中に析出が起きて靱性が低下するという問題がある。
特許文献1には、このような脆化を抑制するために、造管後の焼鈍における加熱速度、均熱温度および均熱時間を規定し、冷却速度を水冷以上とすることにより、歪取焼鈍による析出に起因した靱性の低下を抑制する方法が記載されている。また、特許文献2においても、高温強度に優れた焼鈍パイプを得るため、焼鈍後の冷却速度を水冷以上とすることが記載されている。しかし、常に水冷以上の冷却速度が要求されることは設備的に大きなコストアップが避けられず、操業面からも安定的な生産を行うことが難しい。また、特許文献3の技術は、焼鈍パイプの冷却速度を規定して焼鈍パイプの二次加工性を改善しようとするものであるが、二次加工割れに相当する割れは一次加工ではほとんど起こらず、靭性などの素材の特性との関係も明らかにはされていない。
特許第3533548号公報 特許第3678321号公報 特許第3501573号公報
以上のように、Cr含有鋼管の耐熱性向上のために合金元素を多量に添加する場合は、合金元素が少ない場合に比べて靱性が低下する上に、歪取焼鈍工程における析出によっても靱性が低下するという課題がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、高温強度と靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法およびCr含有鋼管を提供することを目的とする。なお、本発明において「高温強度に優れる」とは900℃の高温耐力が16MPa以上であること、また、「靱性に優れる」とはJIS Z 2242に記載されるVノッチシャルピー試験を0℃で実施したときの脆性破面率が0%であることである。また、Vノッチシャルピー試験で得られる延性脆性遷移温度は-20℃以下であることが好ましい。
本発明者らは前述の課題を解決するために、耐熱性に優れるCr含有鋼管を、靱性の低下をさせずに製造する方法について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、歪取焼鈍後の冷却速度を鋼のNb含有量に適するように限定することにより、900℃の高温耐力が16MPa以上、Vノッチシャルピー試験を0℃で実施したときの脆性破面率が0%となり、靭性に優れたCr含有鋼管が得られることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1] mass%で、C:0.020%未満、Si:0.10%以上0.50%未満、Mn:2.0%未満、P:0.06%未満、S:0.008%未満、Ni:1.00%未満、Cr:12.0%以上16.0%未満、N:0.020%未満、Nb:10×([C]+[N])%以上0.80%未満、Mo:0.8%以上3.0%未満を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるCr含有鋼管を歪取焼鈍後冷却するにあたり、冷却速度Rが下記の式(1)を満たすように冷却することを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法;
50×[Nb]2≦R ・・・(1)
ただし、[C]、[N]、[Nb]は、それぞれC、N、Nbの含有量(mass%)を、Rは、500℃までの冷却速度(℃/sec)を表す。
[2] 前記[1]において、前記鋼管が、さらに、mass%で、Cu:1.00%未満、Ti:0.50%未満、V:0.50%未満、B:0.0100%未満のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
[3] 前記[1]または[2]において、前記鋼管が、さらに、mass%で、W:5.0%未満、Co:3.0%未満、Ta:3.0%未満のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記鋼管が、さらに、mass%で、Al:2.0%未満を含むことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかにおいて、前記鋼管が、さらに、mass%で、REM:0.10%未満、Zr:0.50%未満のうちから選ばれた1種または2種を含むことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかにおいて、歪取焼鈍前のCr含有鋼管の硬さを250Hv以下にすることを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管。
本発明によれば、Nbの効果を最大限に引き出すことにより延性、高温強度と靱性に優れたCr含有鋼管が得られる。そして本発明のCr含有鋼管は、高温強度と靱性、さらに延性にも優れるため、例えば自動車排気部材用として好適な部材が安価に得られ、産業上、大きな効果をもたらすことができる。また、本発明鋼管は同様の特性が要求される、主に高温環境で使用されるような部材としても好適であり、工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%を表す。
まず、本発明者らが行った基礎的な実験結果について説明する。0.01%C-0.01%N-0.3%Si-0.3%Mn-15%Cr鋼に対して、Nb含有量と歪取焼鈍後の冷却速度、ならびに歪取焼鈍前のCr含有鋼管の硬さを種々変化させてCr含有鋼管(板厚:1.5〜2.5mm、外径:38mm)を作製した。このCr含有鋼管から採取したサンプルについて、Vノッチシャルピー試験を行った。サンプルは管の長手方向に平行に溶接部以外から採取し、約300℃に加熱した後、プレスにより平らにし、シャルピー試験片(ノッチは円周方向)とした。試験は、-60〜+20℃の温度範囲で実施し、0℃における脆性破面率および各サンプルの延性脆性遷移温度を測定した。
図1に、0℃における脆性破面率におよぼすNb含有量と歪取焼鈍後冷却速度(500℃まで)の影響を示す。本発明では、Vノッチシャルピー試験(0℃)における脆性破面率が0%であるものを良好(◎)とした。図1より、脆性破面率(0℃):0%を満たす条件を求めると上記式(1)のようになる。上記式(1)を満足しない領域では、Nb系析出物による靱性の低下が顕著となる。なお、500℃までの冷却速度を規定したのは、500℃未満では元素の拡散が非常に遅くなり、冷却中の析出を考慮しなくても問題ないからである。
図2に、延性脆性遷移温度におよぼす歪取焼鈍前のCr含有鋼管のヴィッカース硬さHvの影響を示す。図2より、歪取焼鈍前のCr含有鋼管のヴィッカース硬さが250Hv以下であれば、-20℃以下の低い延性脆性遷移温度が得られる。さらに、Hvを220以下にすれば、-30℃のより低い延性脆性遷移温度が確実に得られる。なお、いずれのサンプルにおいても脆性破面率は0%であった。
次に、本発明の成分組成について説明する。
C:0.020%未満
Cは鋼の強度を増加させる元素であるが、0.020%以上含むと靱性および成形性の低下が顕著となるため、0.020%未満とする。成形性を考慮すると、C含有量は低いほど好ましく、好ましくは0.008%以下である。
Si:0.10%以上0.50%未満
Siは脱酸剤としての作用を有するとともに、高温での耐酸化性を向上させる元素であり、このような効果は0.10%以上の添加で認められる。しかしながら、過剰な添加は成形性の低下を招くため、0.50%未満とする。好ましくは0.10%以上0.45%未満である。
Mn:2.0%未満
Mnは脱酸剤としての作用を有するとともに、酸化皮膜の密着性を向上させる元素である。しかしながら、過剰に添加されると粗大なMnSを形成し、成形性、耐食性を低下させる。以上より、本発明では2.0%未満とする。好ましくは1.0%未満である。
P:0.06%未満
Pは成形性、靱性を低下させる元素であり、できるだけ低減するのが望ましいが、脱Pコストの観点から、0.06%未満とする。好ましくは0.03%未満である。
S:0.008%未満
Sは耐食性を低下させる元素であり、できるだけ低減するのが望ましいが、脱Sコストの観点から、0.008%未満とする。好ましくは0.005%未満である。
Ni:1.00%未満
Niは靱性を向上させる元素であるが、過剰な添加は原料コストの増大を招くので1.00%未満とする。好ましくは0.01%以上0.80%未満である。
Cr:12.0%以上16.0%未満
Crは耐食性、耐酸化性を向上させる元素であり、このような効果は12.0%以上の添加で認められる。ただし、過剰に添加されると靱性を低下させるので、16.0%未満とする。好ましくは13.0%以上16.0%未満である。
N:0.020%未満
Nは鋼の靱性および成形性を低下させる元素であり、0.020%以上含むと靱性および成形性の低下が顕著となる。このため、0.020%未満とする。好ましくは0.010%未満である。
Nb:10×([C]+[N])以上0.80%未満
NbはC、Nを固定することにより成形性、耐食性等を向上させ、また鋼に固溶することにより高温強度を高める効果を有する。このような効果は10×([C]+[N])以上の含有で認められる。しかしながら、過剰な添加は靱性の低下を招くため0.80%未満とする。好ましくは0.20%以上0.70%未満である。
Mo:0.8%以上3.0%未満
Moは鋼に固溶することにより高温強度および耐食性を高める効果を有する。このような効果は0.8%以上の添加で認められる。しかしながら、3.0%以上含むと成形性が低下し、原料コストの増大も招くため、3.0%未満とする。好ましくは1.0%以上2.5%未満である。
以上より、本発明の鋼管は、上記の必須添加元素で目的とする特性が得られるが、所望の特性に応じて以下の元素を含有することができる。
Cu:1.00%未満、Ti:0.50%未満、V:0.50%未満、B:0.0100%未満のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ti、V、Bはいずれも加工性、成形性を向上させる元素であり、必要に応じ選択して含むことができる。
Cuは成形性および耐食性を向上させる元素である。このような効果は0.05%以上の添加で顕著となるが、1.00%以上添加するとε-Cuが析出し脆化する。よって、含有する場合は、1.00%未満とする。好ましくは0.05%以上0.10%未満である。
Tiは成形性を向上させる元素である。このような効果は0.02%以上で顕著となるが、0.50%以上添加すると粗大なTi(C、N)が析出し、表面性状を劣化させる。よって、含有する場合は、0.50%未満とする。好ましくは0.02%以上0.40%未満である。
Vは成形性を向上させる元素である。このような効果は0.05%以上で顕著となるが、0.50%以上添加すると、粗大なV(C、N)が析出し、表面性状を劣化させる。よって、含有する場合は、0.50%未満とする。好ましくは0.05%以上0.40%未満である。
Bは加工性、特に二次加工性を向上させる元素である。このような効果は0.0005%以上で顕著となるが、0.0100%以上添加するとBNが析出し、加工性が低下する。よって、含有する場合は、0.0100%未満とする。好ましくは0.0005%以上0.0050%未満である。
W:5.0%未満、Co:3.0%未満、Ta:3.0%未満のうちから選ばれた1種または2種以上
W、Co、Taはいずれも高温強度を向上させる元素であり、必要に応じて含むことができる。このような効果は0.50%以上の添加で顕著となるが、Wは5.0%以上、Coは3.0%以上、Taは3.0%以上添加すると鋼が脆化する。よって、含有する場合は、Wは5.0%未満、Coは3.0%未満、Taは3.0%未満とする。好ましくは、Wは0.8%以上3.0%未満、Coは0.8%以上2.0%未満、Taは0.8%以上2.0%未満である。
Al:2.0%未満
Alは脱酸剤としての作用を有し、製鋼過程においてAl脱酸を行う場合は不可避的に含まれるが、必要に応じて積極的に添加してもよい。Alは耐酸化性を向上させる元素であり、0.10%以上添加すると、その効果が顕著となるが、2.0%以上添加すると加工性が著しく低下する。よって、含有する場合は、2.0%未満とする。耐酸化性向上を目的とする場合、好ましくは0.3%以上2.0%未満、より好ましくは0.3%以上1.5%未満である。
REM:0.10%未満、Zr:0.50%未満のうちから選ばれた1種または2種
REM(希土類元素)、Zrはいずれも耐酸化性を向上させる元素であり、本発明では、必要に応じ、1種または2種を選択して含むことができる。このような効果はREMを0.03%以上、Zrを0.05%以上添加することで顕著となるが、REMを0.10%以上、Zrを0.50%以上添加すると、鋼が顕著に脆化する。よって、含有する場合は、REMは0.10%未満、Zrは0.50%未満とする。好ましくはREMは0.03%以上0.08%未満、Zrは0.10%以上0.40%未満である。
上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物とする。
最後に、本発明のCr含有鋼管の製造方法について説明する。
まず、転炉、電気炉等で上記の化学成分範囲に調整された溶鋼を溶製する。場合によっては、強攪拌・真空酸素脱炭処理(SS-VOD)により2次精錬を行うのが好適である。次いで、上記溶鋼から連続鋳造または造塊でスラブを溶製する。鋳造方法は、生産性、品質の面から連続鋳造が好ましい。鋳造により得られたスラブは、必要により再加熱し、熱間圧延し、800〜1100℃の温度で熱延板焼鈍したのち酸洗する。場合によっては、熱延板焼鈍は省略してもよい。酸洗された熱延板は冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の各工程を順次経て、冷延焼鈍板とするのが好適である。また、冷間圧延は1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延としてもよい。冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の工程は繰り返し行ってもよい。次いで、冷延焼鈍板の幅方向端部(両端)どうしを溶接することにより鋼管を製造する。その溶接方法は特に限定されるものではなく、TIG溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等、通常公知の方法がすべて適用できる。ここで、図2に示したように、造管したままのヴィッカース硬さが250 Hv以下であることがコストの点から好ましいが、ヴィッカース硬さが250 Hvを超える場合は、造管中に高周波加熱などを用いた熱処理により歪取焼鈍前のヴィッカース硬さを250Hv以下にさせるとよい。
ここで、歪取焼鈍後の冷却は、上述した通り、冷却速度を鋼のNb含有量に応じて、上記式(1)を満たすように制御して行うものとする。冷却方法については特に限定されるものではなく、上記冷却速度を制御できるものであればよく、例えば、歪取焼鈍後の鋼管について、高速での通管、回転、空気の吹き付け、水の吹き付けあるいは水靱といった方法を単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
表1および表2に示す成分組成を有する種々のCr含有鋼100kgをアルゴン雰囲気の下で溶製した。得られた鋼塊を1200℃に加熱後、熱間圧延により板厚5mmの熱延板とし、800〜1100℃の熱延板焼鈍と酸洗処理を施した。次いで、冷間圧延により板厚1.5〜2.5mmの冷延板とし、800〜1100℃の仕上げ焼鈍後、酸洗処理を施し冷延焼鈍板を得た。この冷延焼鈍板より、外径38mmの電縫管を作製し、800〜1100℃で歪取焼鈍を施した。歪取焼鈍前に所望の硬さが得られないときは、高周波加熱装置を利用して硬さを調整した。歪取焼鈍後、高速での通管、回転、空気の吹き付け、水の吹き付けあるいは水靱といった方法を単独、あるいは組み合わせ、表1および表2に示す冷却速度に制御して冷却を行った。
このようにして得られたCr含有鋼管を約300℃に加熱した後にプレスにより平らにして、試験用のサンプルを鋼管の長手方向に平行に溶接部以外から採取し、以下に記載の評価方法に基づき、高温強度、靱性を評価した。なお、延性については、加熱前の鋼管のままの引張試験により評価した。
(1) 高温強度:JIS Z 2201に規定された13号B試験片を各2本ずつ採取(鋼管の軸方向を引張方向とした)し、JIS G 0567の規定に準拠して、試験温度900℃、歪速度0.3%/minの条件で高温引張試験を実施した。900℃における0.2%耐力(σ0.2 at 900℃)を測定し、2本の平均値を求め、σ0.2 at 900℃が16MPa以上を良好(○)、16MPa未満を不良(×)と判断した。
(2) 靱性:JIS Z 2242の規定に準拠して、試験温度0℃の条件でシャルピー衝撃試験を実施した。シャルピー試験片のノッチは鋼管の円周方向となるようにした。0℃における脆性破面率を測定し、3本とも脆性破面率が0%の場合を良好(○)、それ以外の場合を不良(×)と判断した。また、延性脆性遷移温度を測定した。
(3) 延性:JIS Z 2201に規定された11号試験片を各2本ずつ採取(鋼管の軸方向を引張方向とした)し、JIS Z 2241の規定に準拠して、室温における引張試験を実施した。全伸び(延性)を測定し、2本の平均値を求めた。
結果を表3に示す。本発明例であるNo.1からNo.27では、冷却中の析出による靱性の低下を抑制できており、優れた高温強度と靱性を両立することができている。さらに、歪取焼鈍を施していない場合の延性(全伸び)は35%程度であるが、本発明例の延性(全伸び)は45%以上であり、優れた延性を有していることがわかる。
一方、比較例であるNo.28からNo.40では、高温強度あるいは靱性のどちらかが劣っている。No.28およびNo.30はCあるいはNの量が本発明範囲外と高いため、炭窒化物が多量に析出し、靱性が低下している。No.29はP量が本発明範囲外と高いために靱性が低下している。No.31はNb量が本発明範囲外と低いために、目標の高温強度が得られていない。No.32はNb量が本発明範囲外と高いために、析出物の量が多くなり靱性が低下している。No.33からNo.38は各元素が過剰に添加されているために脆化している。No.39およびNo.40は歪取焼鈍後の冷却速度が本発明範囲外と小さいために、冷却中に析出が起こり靱性が低下している。
Figure 0004940844
Figure 0004940844
Figure 0004940844
自動車やオートバイの排気管、プラントの排気ダクト、熱交換器、燃料電池等を中心に、耐熱性、成形性、高温強度および靱性が要求される高温環境で使用されるような部材として好適である。
0℃における脆性破面率におよぼすNb量と冷却速度Rの影響を示す図である。 延性脆性遷移温度におよぼす歪取焼鈍前のCr含有鋼管のヴィッカース硬さHvの影響を示す図である。

Claims (7)

  1. mass%で、C:0.020%未満、Si:0.10%以上0.50%未満、Mn:2.0%未満、P:0.06%未満、S:0.008%未満、Ni:1.00%未満、Cr:12.0%以上16.0%未満、N:0.020%未満、Nb:10×([C]+[N])%以上0.80%未満、Mo:0.8%以上3.0%未満を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるCr含有鋼管を歪取焼鈍後冷却するにあたり、冷却速度Rが下記の式(1)を満たすように冷却することを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法;
    50×[Nb]2≦R ・・・(1)
    ただし、[C]、[N]、[Nb]は、それぞれC、N、Nbの含有量(mass%)を、Rは、500℃までの冷却速度(℃/sec)を表す。
  2. 前記鋼管が、さらに、mass%で、Cu:1.00%未満、Ti:0.50%未満、V:0.50%未満、B:0.0100%未満のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
  3. 前記鋼管が、さらに、mass%で、W:5.0%未満、Co:3.0%未満、Ta:3.0%未満のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
  4. 前記鋼管が、さらに、mass%で、Al:2.0%未満を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
  5. 前記鋼管が、さらに、mass%で、REM:0.10%未満、Zr:0.50%未満のうちから選ばれた1種または2種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
  6. 歪取焼鈍前のCr含有鋼管の硬さを250Hv以下にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする高温強度および靱性に優れたCr含有鋼管。
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