JP4940429B2 - トリアリールエチルエテン誘導体の製造方法 - Google Patents

トリアリールエチルエテン誘導体の製造方法 Download PDF

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本発明は、トリアリールエチルエテン誘導体の製造方法に関し、より詳細には、乳癌の治療薬として知られるタモキシフェンを含むトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法に関する。
タモキシフェンは、ホルモン依存性乳癌の治療薬として用いることができるトリアリールエチルエテン誘導体として知られている。エストロゲンは、乳癌細胞のエストロゲン受容体に結合し、癌細胞の増殖を促進することが知られている。タモキシフェンは、立体的にステロイド構造と似た構造を持ち、細胞質のエストロゲン受容体と結合し、内因性エストロゲンと結合可能な受容体数を減少させることで、エストロゲンとエストロゲン受容体の結合を阻止し、癌細胞の増殖を抑制する。
このようなタモキシフェン類縁体を合成するための製造方法についても、様々なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−026664号公報(例えば、段落番号0032、段落番号0049、段落番号0059等)
タモキシフェンは、下式で示される構造を有する化合物であって
Figure 0004940429
Z体とE体との幾何異性体が存在しているが、これらのうちZ体のみが抗癌作用を有することが知られている。
しかしながら、特許文献1記載の製造方法では、「本発明において、タモキシフェン類縁体は、シス体及びトランス体を含む混合体として生成するが、クロマトグラフィー或いは再結晶により目的のトランス体を得ることができる。更に、前記混合体或いはシス体に対し、光或いは酸触媒による異性化反応等を起こさせることにより、式(3)で表されるタモキシフェン類縁体を高収率で効率的に得ることができる」(段落番号0039)との記載のように、合成生成物がタモキシフェンのZ体(特許文献1におけるトランス体)とE体(特許文献1におけるシス体)との混合物として得られるので、該混合物からZ体を選択的に得ようとするとZ体を分離精製するための分離精製工程を要し、製造工程を複雑にすると共にZ体タモキシフェンの歩留まり低下をもたらすといった問題がある。
そこで、本発明においては、トリアリールエチルエテン誘導体の製造方法、特にタモキシフェンのZ体とE体との幾何異性体のうち、抗癌剤の有効成分として有用なZ体を選択的に製造することができるトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、(1)アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させ、(2)その化合物のZr原子を含む5員環を開環後、第1ハロゲン化芳香族化合物と第2ハロゲン化芳香族化合物とを反応させることで、置換基の位置や立体を制御しながら所望のトリアリールエチルエテン誘導体が製造できること、特にZ体のタモキシフェンを選択的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法(以下、「本製造方法」という。)は、下記(1)及び(2)の工程を有する、次式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法である。
Figure 0004940429
(式中、Arは同一又は異なるアリール基、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールカルボキシ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルオキシ基、カルボン酸エステル基、アシルアミノ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基を意味する。)
(1)の工程:アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、次式(II)で示される化合物を生成する工程。
Figure 0004940429
(式中、Ar及びR1は上記したAr及びR1と同義であり、Cpはシクロペンタジエニル基を意味する。)
(2)の工程:上記化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物(ここにR2は上記と同じ)と、芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物(ここにR3は上記と同じ)と、を反応させて上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する工程。
また、本製造方法には、以下(イ)〜(ヘ)の態様が含まれる。
(イ)上記(2)の工程において、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコールを化合物(II)に反応させ、Zr原子にアルコキシ基を結合させることにより、化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させるものである、上記製造方法。
(ロ)上記(2)の工程が、上記化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、前記第1ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、次式(III)で示される化合物を生成する第1工程と、
Figure 0004940429
(式中、Ar、R1及びR2は上記したAr、R1及びR2と同義である。)
上記化合物(III)を前記第2ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する第2工程と、を含んでなるものである、上記製造方法。
(ハ)上記(2)の工程において第1ハロゲン化芳香族化合物との反応が、塩化第一銅とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下にて行われるものである、上記製造方法。
(ニ)上記(2)の工程において第2ハロゲン化芳香族化合物との反応が、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィン化合物との両方の存在下にて行われるものである、上記製造方法。
(ホ)前記第1ハロゲン化芳香族化合物と前記第2ハロゲン化芳香族化合物とが異なるものである、上記製造方法。
(ヘ)Ar−R1がフェニル基であり、Ar−R2がフェニル基であり、Ar−R3がp−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基である、上記製造方法。
本製造方法は、上記(1)及び(2)の工程を有することを特徴とするトリアリールエチルエテン誘導体(I)の製造方法である。
本発明が対象とするトリアリールエチルエテン誘導体(I)は、上記一般式で示される構造を有する化合物であって、(ArーR2)と(ArーR3)とが互いに異なる場合にはZ体とE体との幾何異性体が存在する。上述したようにトリアリールエチルエテン誘導体の一種であるタモキシフェンは、Z体のみが抗癌作用を有することが知られており、抗癌剤の有効成分等として用いる場合には、Z体の含有率((Z体の質量)/(Z体の質量+E体の質量))が高い方が好ましい。従来、かかるZ体の含有率の高いタモキシフェンを取得するために費用や手間がかかるクロマトグラフィー又は再結晶によりZ体含有率を高める精製工程を行っていた。
本製造方法では、後述するように、(1)の工程において、アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて化合物(II)を生成させるが、その後の(2)の工程において反応させる第1ハロゲン化芳香族化合物は化合物(II)のZr原子と置換するよう反応し、第2ハロゲン化芳香族化合物は化合物(II)のB原子と置換するよう反応する。これら第1ハロゲン化芳香族化合物及び第2ハロゲン化芳香族化合物との反応においても、(1)の工程において生成した化合物(II)におけるZr原子とB原子との位置関係(得られるトリアリールエチルエテン誘導体の幾何異性を決定する炭素二重結合に関する位置関係)が保たれることから、100%の割合で選択的にZ体のトリアリールエチルエテン誘導体(I)を合成することができる。
トリアリールエチルエテン誘導体(I)における置換基R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールカルボキシ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルオキシ基、カルボン酸エステル基、アシルアミノ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基を意味している。
「置換基を有してもよいアルキル基」におけるアルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜6を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基など直鎖状及び分岐状アルキル基が例示できる。また、「置換基を有してもよいアルキル基」におけるアルキル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基が例示できる。置換基を有してもよいアルキル基として好ましくは、メトキシメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミノメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、アミノエチル基、αー(ジメチルアミノ)エチル基、アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基又はブチリルオキシメチル基である。
「置換基を有してもよいアルコキシ基」におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜6を有するアルコキシ基を挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基などが例示できる。また、「置換基を有してもよいアルコキシ基」におけるアルコキシ基の置換基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などのアルコキシ基、メチルカルボキシ基、エチルカルボキシ基、イソプロピルカルボキシ基、n−ブチルカルボキシ基、ビニルカルボキシ基などのカルボキシ基、アセチル基、アリールカルボニル基などのアシル基、シアノ基、ハロゲン原子が例示できる。置換基を有してもよいアルコキシ基として好ましくは、2−N,Nージメチルアミノエトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、アセトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、シアノメトキシ基又はアセチルメトキシ基である。
「置換基を有してもよいアルキルカルボニル基」におけるアルキルは、炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシルなど直鎖状及び分岐状アルキル基が例示できる。
「置換基を有してもよいアルキルカルボキシ基」におけるアルキルは、炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシルなど直鎖状及び分岐状アルキル基が例示できる。アルキルカルボキシ基の例としては、アセチルオキシ基、エチルカルボキシ基、n−プロピルカルボキシ基、イソプロピルカルボキシ基、n−オクチルカルボキシ基などが例示できる。
「置換基を有してもよいアリールカルボキシ基」の例としては、p−メチルベンゼンカルボキシ基、p−エチルベンゼンカルボキシ基、p−ブチルベンゼンカルボキシ基、p−オクチルベンゼンカルボキシ基、p−メトキシベンゼンカルボキシ基、p−ブトキシベンゼンカルボキシ基、p−オクチルオキシベンゼンカルボキシ基などが例示できる。
「カルボン酸エステル基」の例としては、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基、エテニルオキシカルボニル基、p−メチルフェノキシカルボニル基、o−メチルフェノキシカルボニル基、m−メチルフェノキシカルボニル基、p−ブチルフェノキシカルボニル基、p−オクチルフェノキシカルボニル基、p−オクタデシルフェノキシカルボニル基、p−エトキシフェノキシカルボニル基、p−ブトキシフェノキシカルボニル基、p−オクチルオキシフェノキシカルボニル基、p−オクタデシルオキシフェノキシカルボニル基などが例示できる。
「置換基を有してもよいアルキルスルホニルオキシ基」の例としては、メチルスルホニルオキシ基やエチルスルホニルオキシ基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキルスルホニルオキシ基が例示できる。
「置換基を有してもよいアリールスルホニルオキシ基」の例としては、4−エチルベンゼンスルホニルオキシ基、p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、3−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、4−nーブチルベンゼンスルホニルオキシ基、4−t−ブチルベンゼンスルホニルオキシ基、p−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ基などが例示できる。
「アシルアミノ基」の例としては、アセチルアミノ基、イソプロピオニルアミノ基、n−プロピオニルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、p−メチルフェニルカルボニルアミノ基、p−メトキシフェニルカルボニルアミノ基、p−n−ブチルフェニルカルボニルアミノ基、p−t−ブチルフェニルカルボニルアミノ基、p−n−ブトキシフェニルカルボニルアミノ基、p−オクチルフェニルカルボニルアミノ基、p−n−デシルフェニルカルボニルアミノ基などが例示できる。
「置換基を有してもよいアルキルスルホニルアミノ基」の例としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、n−オクチルスルホニルアミノ基、n−ドデシルスルホニルアミノ基などの炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキルスルホニルアミノ基が例示できる。
「置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基」の例としては、p−エチルベンゼンスルホニルアミノ基、p−メトキシベンゼンスルホニルアミノ基、3−メトキシベンゼンスルホニルアミノ基、p−n−ブチルベンゼンスルホニルアミノ基、p−n−ブトキシベンゼンスルホニルアミノ基、p−ドデシルベンゼンスルホニルアミノ基などが例示できる。
置換基R1、R2及びR3の導入位置は、いずれの位置でもよいが、好ましくはパラ位がよい。置換基は一つのアリール基に複数個導入されてもよい。
トリアリールエチルエテン誘導体(I)においてArで示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジル基等を挙げることができるが、好ましくはフェニル基である。
本発明が対象とするトリアリールエチルエテン誘導体(I)として好ましくは、上記一般式においてAr−R1がフェニル基であり、Ar−R2がフェニル基であり、Ar−R3がp−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基である(Z)−タモキシフェンである。
〔工程(1)〕
上記トリアリールエチルエテン誘導体(I)の製造は、先ず下式で示されるように、アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、式(II)で示される化合物を生成する工程〔工程(1)〕から実施することができる。
Figure 0004940429
(式中、Ar及びR1は上記と同じ。Cpはシクロペンタジエニル基を意味する。)
(1)の工程で原料として用いる、アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルは、アリール基にR1を有するアリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとを反応させることによって合成することができる。
アリール基にR1を有するアリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとの反応では、該アリールエチニルリチウム(m1モル)とイソプロピルピナコールボラート(m2モル)との混合比率(m1/m2)はあまり大きいとアリールエチニルリチウムが余って無駄になり、あまり小さいと反応が完全に進行しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは1.0以上1.2以下とされる。
また、該アリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとの反応の温度は、あまり高いと生成物が不安定で分解し、あまり低いと反応が進行しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、ー78℃前後とされる。
反応時間は、該アリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとが所望程度反応する程度に適宜決められてよいが、通常、好ましくは1時間以上2時間以下とされる。
そして、該アリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとの反応は、該アリールエチニルリチウムが酸素や水分に触れると加水分解を起こすので、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気で行われることが好ましい。
さらに、該アリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとの反応は、反応を緩やかに進行させる等のため、溶媒へ溶解した状態で行われてもよく、かかる溶媒は該アリールエチニルリチウムやイソプロピルピナコールボラートと反応しないものを用いることが好ましく、脱水ジエチルエーテル等を用いてもよい。
加えて、該アリールエチニルリチウムとイソプロピルピナコールボラートとの反応を促進するため、反応系内に塩化水素を添加するようにしてもよいが、該アリールエチニルリチウムは水と激しく反応するので、水分を含まない塩化水素(例えば、塩化水素のジエチルエーテル溶液等)を反応系内に添加するようにしてもよい。
(1)の工程で原料として用いるジルコノセン−エチレン錯体は、ジルコノセンジクロリド(炭素5員環部分シクロペンタジエニル基をCpとして示せばCpZrCl)とEtMgBr(臭化エチルマグネシウム)とを反応させることで生成させることができる(生成機構は後述)。
ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応割合(ジルコノセンジクロリドのモル数をmzとし、EtMgBrのモル数をmmとすると、(mm/mz))はあまり大きいとEtMgBrが余り無駄になり、あまり小さいとジルコノセンジクロリドが余り無駄になるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、2.0以上2.2以下とされる。
ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応温度は、あまり高いと激しく反応しすぎ、あまり低いと反応がうまく進まないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくはー30℃前後とされる。
反応時間は、ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとが所望程度反応する程度に適宜決められてよいが、通常、好ましくは1時間〜3時間とされる。
そして、ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応は、EtMgBrが酸素や水分に触れると加水分解を起こすので、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気で行われることが好ましい。
さらに、ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応は、反応を緩やかに進行させる等のため、溶媒へ溶解した状態で行われてもよく、かかる溶媒はジルコノセンジクロリドやEtMgBrと反応しないものを用いることが好ましく、THF(テトラヒドロフラン。以下同じ)等を用いてもよい。
(1)の工程では、上記するようにアリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、化合物(II)を生成させる。
該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステル(m3モル)とジルコノセン−エチレン錯体(m4モル)との反応における反応割合(m4/m3)はあまり大きいとジルコノセン−エチレン錯体が余り無駄になり、あまり小さいと該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルが余り無駄になるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、1.0以上1.2以下とされる。
該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体との反応温度は、あまり高いと生成したジルコノセン錯体が分解し、あまり低いと反応しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、ー20℃以上0℃以下とされる。
反応時間は、該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とが所望程度反応する程度に適宜決められてよいが、通常、1時間以上3時間以下とされる。
そして、該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体との反応は、ジルコノセン−エチレン錯体が酸素や水分に触れると加水分解を起こすので、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気で行われることが好ましい。
さらに、該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体との反応は、反応を緩やかに進行させる等のため、溶媒へ溶解した状態で行われてもよく、かかる溶媒は該アリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体と反応しないものを用いることが好ましく、THF等を用いてもよい。
〔工程(2)〕
上記工程(1)で生成した化合物(II)は次いで、工程(2)に供される。工程(2)は、(i)化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させる工程、及び(ii)芳香族環に、置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物と、置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物とを反応させてトリアリールエチルエテン誘導体(I)を生成する工程を有する。
<開環工程(i)>
開環工程は、下式で示されるようにZr原子を含む5員環を切断して開環させる工程である。
Figure 0004940429
(式中、Ar、R1及びCpは前記と同じ。R4は炭素数1〜4のアルキル基を意味する。)
この開環は、様々な方法によって行われることができるが、例えば、上記式に示されるようにR4で示される炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の低級アルコールを化合物(II)に反応させ、Zr原子にアルコキシ基を結合させることにより、化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させるようにしてもよい。
該アルコール(maモル)を化合物(II)(mc2モル)に反応させ開環させる場合の反応割合(ma/mc2)はあまり大きいと該アルコールが無駄であり、あまり小さいと反応が完全に進行しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは1.0以上2.0以下とされる。
該アルコールを化合物(II)に反応させ開環させる場合の反応温度は、あまり高いとジルコノセン錯体が分解し、あまり低いと反応しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、0℃前後とされる。
反応時間は、該アルコールを化合物(II)に反応させ十分開環させることができる程度に適宜決められてよいが、通常、好ましくは1時間以上2時間以下とされる。
そして、該アルコールと化合物(II)との反応は、化合物(II)が酸素や水分と反応することを防止するため、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気で行われることが好ましい。
さらに、該アルコールと化合物(II)との反応は、反応を緩やかに進行させる等のため、溶媒へ溶解した状態で行われてもよく、かかる溶媒は該アルコールや化合物(II)と反応しないものを用いることが好ましく、THF等を用いてもよい。
<ハロゲン化芳香族化合物との反応工程>
上記開環工程(化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させた化合物を「開環化合物」という。)の後、芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物(Ar−R2は上記と同じ。なおArがハロゲン化されている。)と、芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物(ここにAr−R3は上記と同じ。なおArがハロゲン化されている。)と、を開環化合物と反応させて式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成させる(ハロゲン化芳香族化合物との反応工程)。
芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物(Ar−R2)は、ベンゼン環やナフタリン環等のような芳香族環がハロゲン化されたものをいう。ここに第1ハロゲン化芳香族化合物のハロゲンとしてはヨウ素、臭素、塩素等を例示することができるが、反応性等からはとりわけヨウ素が好ましい。また、第1ハロゲン化芳香族化合物の芳香環は、上述のようなベンゼン環やナフタリン環等を例示することができるが、反応性等からはとりわけベンゼン環が好ましい。従って、芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物としては、ベンゼン環に置換基としてR2を有していてもよいヨードベンゼン(CーI又はR2ーCーI)が最も好ましい。
R2を有するハロゲン化芳香族化合物は、従来から知られている化学反応を用いて製造することができる。例えば、R2がアルキルカルボキシ基の場合には、ヨードフェノール体と相当するアルキルカルボン酸クロリドなどの酸ハライドとをアルカリの存在下に反応させ、脱ハロゲン化水素することによって製造してもよい。R2がアリールカルボキシ基の場合には、アリールカルボン酸を塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等のハロゲン化剤を用いて、相当するアリールカルボン酸ハライドとして、ヨードフェノール体とアルカリ存在下に反応させることによって製造してもよい。さらに、R2がアルキル又はアリールスルホニルオキシ基の場合には、ヨードフェノールとアルキル又はアリールスルホニルハライドとをアルカリ下に反応させることによって製造してもよい。
芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物(Ar−R3)は、ベンゼン環やナフタリン環等のような芳香族環がハロゲン化されたものをいう。ここに第2ハロゲン化芳香族化合物のハロゲンとしてはヨウ素、臭素、塩素等を例示することができるが、反応性等からはとりわけヨウ素が好ましい。また、第2ハロゲン化芳香族化合物の芳香環は、上述のようなベンゼン環やナフタリン環等を例示することができるが、反応性等からはとりわけベンゼン環が好ましい。従って、芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物としては、ベンゼン環に置換基としてR3を有していてもよいヨードベンゼン(CーI又はR3ーCーI)が最も好ましい。
R3を有するハロゲン化芳香族化合物は、上述のR2と同様に従来から知られている化学反応を用いて製造することができる。例えば、R3がアルキルカルボキシ基の場合には、ヨードフェノール体と相当するアルキルカルボン酸クロリドなどの酸ハライドとをアルカリの存在下に反応させ、脱ハロゲン化水素することによって製造してもよい。R3がアリールカルボキシ基の場合には、アリールカルボン酸を塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等のハロゲン化剤を用いて、相当するアリールカルボン酸ハライドとして、ヨードフェノール体とアルカリ存在下に反応させることによって製造してもよい。さらに、R3がアルキル又はアリールスルホニルオキシ基の場合には、ヨードフェノールとアルキル又はアリールスルホニルハライドとをアルカリ下に反応させることによって製造してもよい。
化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させた開環化合物は、ハロゲン化芳香族化合物と反応可能なZr原子とB原子とを有しているので、これら第1ハロゲン化芳香族化合物及び第2ハロゲン化芳香族化合物と開環化合物とが反応し、式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成させることができる。
開環化合物が有するZr原子とB原子とは、上述のようにいずれもハロゲン化芳香族化合物と反応可能であるが、ハロゲン化芳香族化合物に対するこれら両原子(Zr原子、B原子)の反応性はZr原子の方がB原子よりも高い。このため上記(2)の工程にて、開環化合物にまず第1ハロゲン化芳香族化合物(Ar−R2)を反応させれば第1ハロゲン化芳香族化合物はZr原子と反応し化合物(III)を生成し(第1工程)、さらに化合物(III)を第2ハロゲン化芳香族化合物と反応させれば第2ハロゲン化芳香族化合物(Ar−R3)はB原子と反応し式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する(第2工程)。
Figure 0004940429
(式中、Ar、R1、R2、R3、R4及びCpは前記と同じ)
このように開環化合物にまず第1ハロゲン化芳香族化合物を反応させた後、さらに第2ハロゲン化芳香族化合物を反応させることで(即ち、2段階で反応させる)、第1ハロゲン化芳香族化合物をZr原子位置に、そして第2ハロゲン化芳香族化合物をB原子位置に、それぞれ選択的に導入することができることから、所望構造を有する式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を高い選択率で合成することができる。従って、第1ハロゲン化芳香族化合物と第2ハロゲン化芳香族化合物とが異なる場合であっても、第1ハロゲン化芳香族化合物をZr原子位置に、そして第2ハロゲン化芳香族化合物をB原子位置に、それぞれうまく選択して導入することができる。
上記(2)の工程(ii)において第1ハロゲン化芳香族化合物とZr原子との反応(第1工程)は、塩化第一銅とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下にて促進されるので、反応系内にこれら両方が存在する状態で行われるようにしてもよい。
このような塩化第一銅とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下にて行われる第1ハロゲン化芳香族化合物とZr原子との反応温度は、あまり高いとZr原子含有化合物が分解し、あまり低いと反応しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは0℃以上25℃以下とされる。
塩化第一銅とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下において第1ハロゲン化芳香族化合物とZr原子との反応(第1工程)を行う場合、溶媒存在下で行うようにしてもよい。用いる溶媒としては、反応系内に存する物質と化学反応を起こさないものを用いることができ、例えば、THF、DMF、DMI(N,Nージメチルイミダゾリジノン)、HMPA(ヘキサメチルホスホラミド)、DMPU(N,Nージメチルプロピレンウレア)等のような溶媒を用いてもよい。かかる溶媒を用いることで、副反応を抑制し目的の反応を促進することができる。
上記(2)の工程(ii)において第2ハロゲン化芳香族化合物とB原子との反応(第2工程)は、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba)と略す場合もある)とホスフィン化合物との両方の存在下にて促進されるので、反応系内にこれら両方が存在する状態で行われるようにしてもよい。
ここにホスフィン化合物としては、例えば、トリtert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等を例示することができ、とりわけ反応性等からはトリtert−ブチルホスフィンが好ましい。
反応系内に加えるビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィン化合物との割合は、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムの添加モル数をmbp(モル)とし、ホスフィン化合物の添加モル数をmph(モル)とすると、添加する両者の割合(mbp/mph)は、あまり高いとビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムが余って無駄になり、あまり低いとホスフィン化合物が余って無駄になるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは1.0以上2.0以下とされる。
そして、反応系内に加えるビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィン化合物との量は、あまり多いとビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムが無駄であり、あまり少ないと反応が進行しないので、mbpとして、通常、1.0mol%〜5.0mol%とされる。
また、このようなビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィン化合物との両方の存在下にて行われる第2ハロゲン化芳香族化合物とB原子との反応温度は、あまり高いとZr原子含有化合物が分解し、あまり低いと反応しないので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、60℃〜80℃とされる。
ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba)と略す場合もある)とホスフィン化合物との両方の存在下において第2ハロゲン化芳香族化合物とB原子との反応(第2工程)を行う場合、溶媒存在下で行うようにしてもよい。用いる溶媒としては、反応系内に存する物質と化学反応を起こさないものを用いることができ、例えば、THF、DMI(N,Nージメチルイミダゾリジノン)、トルエン等のような溶媒を用いてもよい。かかる溶媒を用いることで、副反応を抑制し目的の反応を促進することができる。
本製造方法において、Ar−R1がフェニル基であり、Ar−R2がフェニル基であり、Ar−R3がp−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基であってもよい。この場合、抗癌作用を有し、特に乳癌の治療薬の有効成分として有用なZ体のタモキシフェンを選択的に製造し取得することができる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げる。しかしながら、これら実施例によって、本発明は何ら制限されるものではない。
(参考例1):フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステルの製造
(1)イソプロピルピナコールボラート(以下、「化合物1」ということもある。)の調製
図1に示す反応式に従い、イソプロピルピナコールボラート(化合物1)を合成した。
具体的には、ピナコール11.8g(100mmol)(東京化成製)をヘキサン(150ml)に溶解させ調製した第1溶液を反応容器に注入し、さらに、ホウ酸トリイソプロピル23.1ml(100mmol)(東京化成製)を該反応容器中の第1溶液に加え混合し、その後60℃で12時間攪拌して第2溶液を得た。
得られた第2溶液から減圧下で溶媒を除去し、さらに、減圧蒸留(5.2mmHg(絶対圧)における蒸気温度60℃)し、留分としてイソプロピルピナコールボラート(化合物1)14.4g(77mmmol、原料ピナコールに対して収率77%)を得た。
(2)フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(以下、「化合物2」ということもある。)の調製
(1)にて調製したイソプロピルピナコールボラート(化合物1)を原料として図2で示す反応によりフェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2)を合成した。
まず、50ml二口フラスコにスターラーバーを入れ、内部雰囲気をアルゴンにより置換し、この中に、エチニルベンゼン(1.10ml、10mmol)(Aldrich製)と脱水ジエチルエーテル(30ml)とを入れ、−78℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M、6.25ml、10mmol)(Aldrich製)をゆっくり加え、そのまま−78℃で1時間攪拌し、フェニルエチニルリチウム(以下、「化合物a2」ということもある。)を合成した(第3溶液)。
一方、別のアルゴン置換した100ml二口フラスコに、(1)で合成したイソプロピルピナコールボラート(化合物1)(1.86g、10mmol)と脱水ジエチルエーテル(30ml)とを加え、その後−78℃に冷却した。この中に、上記で調製したフェニルエチニルリチウム(化合物a2)を含む第3溶液全量を注入し、この混合物をさらに−78℃で2時間攪拌した。
次いで、この中に、1.0M塩化水素のジエチルエーテル溶液(10.5ml、10.5mmol)(Aldrich製)を加えて1時間攪拌しつつ室温まで昇温した(冷却を止め、自然に室温まで戻す)。室温近くまで温度が上昇すると、反応液中に塩化リチウムの塩が析出してきた。この反応液を濾過(濾紙(アドバンテック社製、型番:No1)をひだ付き濾紙として漏斗に装着して行う。)し、塩化リチウムの塩を濾過残(濾紙上)として除去し、濾液を回収した。
回収した濾液を、さらにロータリーエバポレーターにかけて減圧下で溶媒を除去(留去)し、濃縮濾液を得た。
そして、ガラスチューブオーブンを用いるクーゲル蒸留装置(ここでは柴田科学株式会社製の型番GTO−250RSを用いた。)を用い、該濃縮濾液を蒸留した。クーゲル蒸留による3mmHg(絶対圧)における蒸気温度150℃の留分としてフェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2)8.9mmolを収率89%(用いたエチニルベンゼンに対するモルパーセント)で得た。
(参考例2):p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(以下、「化合物3」ということもある。)の調製
4−ヨードフェノール(東京化成製)と2−ジメチルアミノエチルクロリドとを用い、図3に示す反応によりp−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3)を調製した。
(1)2−ジメチルアミノエチルクロリドの調製
2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩600mg(4.2mmol)(東京化成製)を水2mlに溶解し、0℃に冷却した。これに、水酸化ナトリウム200mg(5mmol)を水1mlに溶解したものを加え混合した。その後、この混合液を3mlのトルエンにて5回抽出し、有機層(3ml×5回=15ml)を回収した。
回収した有機層を、水酸化カリウムと接触させて水分を除去し乾燥させ、乾燥有機層(2−ジメチルアミノエチルクロリドのトルエン溶液)を得た。
(2)p−ヨード−2−ジメチルアミノエトキシベンゼンの調製
(工程イ)
4−ヨードフェノール888mg(4mmol)(東京化成製)をエタノール10mlに溶解し、これに水酸化カリウム226mg(4mmol)を加え室温で3時間攪拌した。得られた反応液をロータリーエバポレータにかけ減圧下で溶媒を除去(留去)し、カリウム4−ヨードフェノキシドを得た。
(工程ロ)
(1)で調製した2−ジメチルアミノエチルクロリド600mg(4.2mmol、ジメチルアミノエチルクロリド乾燥重量として600mg)を含むトルエン溶液を濾過(濾紙(アドバンテック社製、型番:No1)をひだ付き濾紙として漏斗に装着して行う。)し、濾液を回収した。
回収した濾液を、上記で調製したカリウム4−ヨードフェノキシドに加え、加熱し還流下12時間反応させた。
得られた反応液を室温まで放冷した後、飽和水酸化ナトリウム水溶液100ml及び飽和塩化ナトリウム水溶液50mlを加え混合し、静置分離(有機層と水層とを分離)することで有機層を洗浄した。
有機層と水層と分液し、有機層(p−ヨード−2−ジメチルアミノエトキシベンゼンを含む。)を回収した。
回収した有機層を水酸化カリウムと接触させ水分を除去し乾燥させ、さらにロータリーエバポレータにかけて減圧下で溶媒を除去(留去)し、濃縮有機層を得た。
この濃縮有機層を、上記と同じクーゲル蒸留装置を用い次のように蒸留した。即ち、2.8mmHg(絶対圧)における蒸気温度160〜170℃の留分としてp−ヨード−2−ジメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3)703mg(2.4mmol)を収率60%(用いたカリウム4−ヨードフェノキシドに対するモルパーセント)で得た。
(実施例1):(Z)−タモキシフェンの調製
参考例1にて調製されたフェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2)と、参考例2にて調製されたp−ヨードー2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3)と、を用い、図4に示す反応により(Z)−タモキシフェン(以下、「ZT」ということもある。)を調製した。
(1)反応工程1(Step1)
(1−1)ジルコノセン−エチレン錯体(化合物F(CompoundF))の調製
まず、ジルコノセンジクロリド170mg(0.6mmol)(日亜化学製)をTHF(テトラヒドロフラン)5ml(関東化学製)に溶解し、ジルコノセンジクロリドのTHF溶液を調製した。
内部をアルゴン置換した反応器に、そのジルコノセンジクロリドのTHF溶液全量を注入し、−78℃に冷却した。その−78℃に冷却されたジルコノセンジクロリドTHF溶液に、EtMgBr(臭化エチルマグネシウム)のTHF溶液(0.91M、1.3ml、1.2mmol)(関東化学製)を加えて−30℃で1時間攪拌し、ジルコノセン−エチレン錯体(化合物F)を生成させた。その後、この反応液(第6溶液)を−78℃に冷却した。
上述したジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応を図5に示す。図5中では、ジルコノセンジクロリドの炭素5員環部分をCpとして示し、エチル基をEtにて示している。1分子のジルコノセンジクロリドCpZrClと2分子のEtMgBrとが反応しCpZrEtが生成するが、CpZrEtは図5中の化合物Dとして示すように、β−水素脱離と呼ばれる現象(低原子価の遷移金属に結合している有機基からβ−水素が遷移金属に引き抜かれる現象をいう。)により化合物Eを経由してエタンが脱離して化合物F(ジルコノセン−エチレン錯体)を与える。
−78℃に冷却したジルコノセン−エチレン錯体(化合物F)を含有する第6溶液に、参考例1にて調製したフェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2)(115mg、0.5mmol)のTHF溶液(フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル115mg(0.5mmol)とTHF5mlとを混合したもの)を加え、0℃で3時間攪拌して上記反応式(図4)中に示す化合物b4(本発明にいう式(II)で示される化合物(II))を得た(第7溶液)。この工程が、本発明にいう「アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、次式(II)で示される化合物を生成する工程」である「(1)の工程」を構成している。
(2)反応工程2(Step2)
化合物b4(化合物(II))を含む第7溶液にt−ブチルアルコール46μl(0.5mmol)(関東化学製)を加え、0℃で1時間攪拌して第8溶液を得た。第8溶液中には、上記反応式(図4)中に示す化合物c4(開環化合物)が含まれている。
(3)反応工程3(Step3)
化合物c4(開環化合物)を含む第8溶液に、塩化銅(I)50mg(0.5mol、添加剤)(広島和光製)とヨードベンゼン(第1ハロゲン化芳香族化合物)55μl(0.5mmol、東京化成製)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム56mg(0.05mmol,10mol%)(Aldrich製)とを加え0℃で3時間攪拌して上記反応式(図4)中に示す化合物d4(式(III)で示される化合物(III))を生成した(第9溶液)。
この反応工程2(Step2)及び反応工程3(Step3)が、本発明にいう「化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、前記第1ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、次式(III)で示される化合物を生成する第1工程」を構成している。
(4)反応工程4(Step4)
Pd(dba)(但し、dba=ジベンジリデンアセトン)14.4mg(0.025mmol、5mol%)(Aldrich製)、トリtert−ブチルホスフィン(10.1mg、0.05mmol%、10mol%)(Aldrich製)、3Mの水酸化ナトリウム水溶液4.5ml(1.5mmol)、そして参考例2にて調製したp−ヨードー2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3、第2ハロゲン化芳香族化合物)145.7mg(0.5mmol)のTMF溶液(p−ヨードー2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3)145.7mgとTHF10mlとを混合したもの)を、化合物d4(化合物(III))を含む第9溶液にこの順に加え、その後、60℃で24時間攪拌して(Z)−タモキシフェン(ZT)を生成させた。
次いでこれに塩化アンモニウム水溶液10ml(飽和溶液)を加え反応を停止させて、ZTを含む第11溶液を得た。
なお、上記にてPd(dba)(dba=ジベンジリデンアセトン)とトリtert−ブチルホスフィンとを反応系内に加えているが、これはPd(P(tBu))を系内にて生成させるために行っている。Pd(P(tBu))は、図9(a)に示した化合物とp−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼンとの反応に係る触媒として機能するものである。
また、反応工程4(Step4)が、本発明にいう「化合物(III)を前記第2ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する第2工程」を構成している。なお、反応工程2(Step2)及び反応工程3(Step3)により構成される前記第1工程と、反応工程4(Step4)により構成される前記第2工程と、により上記(2)の工程が構成されている。
その後、ZTを含む第11溶液にジエチルエーテル50mlを加え希釈し、さらに蒸留水30mlを加え混合することで有機層を洗浄した。
洗浄した混合液を静置することで有機層と水層とに分離させ、両層を分液し有機層(ZTを含む)を回収した。
回収した有機層を無水硫酸マグネシウムと接触させて有機層中の水分を除去し乾燥させた。
次いで、乾燥された有機層を、ロータリーエバポレーターにかけて減圧下で溶媒を除去(留去)して、濃縮有機層(ZTを含む)を得た。
最後に、上記で得られた濃縮有機層をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
カラムクロマトグラフィーには、Merck社製の商品名「シリカゲル60GF」(型番1.07730)を用い、展開液はヘキサンと酢酸エチルとの混合物(ヘキサンと酢酸エチルとの混合割合は、ヘキサン(体積):酢酸エチル(体積)=9:1から8:2へ徐々に変更した。)を用いた。溶出画分の採取は、薄層クロマトグラフィーにおけるRf値を指標とした。具体的には、Merck社製の商品名「precoated TLC plates(silica gel 60 GF254,0.25mm)」を用い、展開溶媒はヘキサンと酢酸エチルとの混合物(ヘキサン(体積):酢酸エチル(体積)=8:2)を使用して薄層クロマトグラフィーを行い、目的物質ZTのRf値0.28のスポットを指標として画分を採取した。
このように濃縮有機層をカラムクロマトグラフィーにより精製して精製物106mgを得た。この精製物を核磁気共鳴分析法(NMR)により分析したところ、下の(表1)のような分析結果が得られ、この精製物が(Z)−タモキシフェン(ZT)であることが確認された。
以上説明した製造方法により得られた(Z)−タモキシフェン(ZT)は106mg(0.29mmol)であり、収率は58%(用いたフェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(0.5mmol)に対する収率)であった。
(表1)精製物の核磁気共鳴分析(NMR)結果
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ= 0.93(t, J=7.5Hz, 3H),2.31(s, 6H), 2.46(q, J=7.5 HZ, 2H), 2.68(t, J=5.7 Hz, 2H), 3.95(t, J=5.7 Hz, 2H), 6.56(d, J=8.7 Hz, 2H), 6.77(d, J=8.7 Hz, 2H)7.10-7.40(m, 10H)
13C NMR(75MHz, CDCl3)δ=13.6, 29.0, 45.7, 58.2, 65.5, 113.3, 125.9, 126.4, 127.8, 128.0, 129.4, 129.6, 1318., 135.5, 138.2, 141.2, 142.3, 143.7, 156.7
タモキシフェンは、3つのアリール基と1つのエチル基とが結合した炭素間二重結合に基づくZ体(ZT)とE体との幾何異性体が知られており、Z体は抗癌作用(特に乳癌)を有し抗癌剤原料として用いられている。これまでのタモキシフェン製造方法では、これらZ体とE体との選択性が悪く、Z体とE体との混合物として得られる生成物からZ体を精製するための精製工程を要し、製造工程を複雑にすると共にZTの歩留まり低下といった問題があった。
この点、上記実施例1の製造方法により得られるタモキシフェンは、反応工程1(Step1)のジルコノセン−エチレン錯体を用いた環化反応の時点でZ体という立体選択性は100%決定するため、その後、2種類のアリール基を導入していく反応工程3(Step3)及び反応工程4(Step4)を経ても、100%の割合でZ体のタモキシフェンを合成することができる。このため、従来のタモキシフェン製造方法が有する製造工程の複雑化やZTの歩留低下といった問題を防止又は減少させることができる。
加えて、上記実施例1のタモキシフェン製造方法によれば、多数の反応容器を用いることなく、ジルコノセンジクロリド、EtMgBr、フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2)、t−ブチルアルコール、ヨードベンゼン、p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3)等を1の反応容器中で順次反応させることでZTを効率的に合成することができ、操作が簡便という利点を有している。
以上のような本製造方法は、下記(1)及び(2)の工程を有する、式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法である。
(1)の工程「アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、式(II)で示される化合物(II)を生成する工程」としては、上述のジルコノセン−エチレン錯体(化合物F)を含有する第6溶液に、参考例1にて調製したアリールエチニルボロン酸ピナコールエステル(フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2))のTHF溶液を加え、化合物b4(本発明にいう式(II)で示される化合物(II))を生成する工程が該当する。
(2)の工程「上記化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物(ここにR2は上記と同じ)と、芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物(ここにR3は上記と同じ)と、を反応させて上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する工程」は、上述の反応工程2(Step2)及び反応工程3(Step3)により構成される前記第1工程と、反応工程4(Step4)により構成される前記第2工程と、を含んでなる。
また、本製造方法では、上記(2)の工程において、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコール(ここでは化合物b4(化合物(II))を含む第7溶液に加えたt−ブチルアルコールが該当する。)を化合物(II)に反応させ、Zr原子にアルコキシ基(化合物c4(開環化合物)が有するt−ブトキシ基)を結合させることにより、化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させるものである。
そして、上記(2)の工程が、上記化合物(II)(化合物b4)のZr原子を含む5員環を開環後、前記第1ハロゲン化芳香族化合物(反応工程3(Step3)におけるヨードベンゼン)と反応させて、式(III)で示される化合物(III)(化合物d4)を生成する第1工程と、化合物(III)(化合物d4)を前記第2ハロゲン化芳香族化合物(p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3))と反応させて、式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体(ここでは図4中のZT)を生成する第2工程と、を含んでなるものである。
加えて、上記(2)の工程において第1ハロゲン化芳香族化合物(反応工程3(Step3)におけるヨードベンゼン)との反応が、塩化第一銅(塩化銅(I))とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下にて行われるものである。
さらに、上記(2)の工程において第2ハロゲン化芳香族化合物(p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3))との反応が、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba))とホスフィン化合物(ここではトリtert−ブチルホスフィン)との両方の存在下にて行われるものである。
また、ここでは第1ハロゲン化芳香族化合物(反応工程3(Step3)におけるヨードベンゼン)と第2ハロゲン化芳香族化合物(p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼン(化合物3))とが異なるものである。
加えて、ここではAr−R1がフェニル基であり、Ar−R2がフェニル基であり、Ar−R3がp−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基である。
イソプロピルピナコールボラートの合成方法を示す図である。 フェニルエチニルボロン酸ピナコールエステルの合成方法を示す図である。 p−ヨード−2ージメチルアミノエトキシベンゼンの合成方法を示す図である。 (Z)−タモキシフェン(ZT)の合成方法を示す図である。 ジルコノセンジクロリドとEtMgBrとの反応を示す図である。

Claims (7)

  1. 下記(1)及び(2)の工程を有する、次式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体の製造方法:
    Figure 0004940429
    (式中、Arは同一又は異なるアリール基、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールカルボキシ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルオキシ基、カルボン酸エステル基、アシルアミノ基、置換基を有してもよいアルキル又はアリールスルホニルアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基を意味する。)
    (1)アリール基にR1を有するアリールエチニルボロン酸ピナコールエステルとジルコノセン−エチレン錯体とを反応させて、次式(II)で示される化合物を生成する工程:
    Figure 0004940429
    (式中、Ar及びR1は上記したAr及びR1と同義であり、Cpはシクロペンタジエニル基を意味する。)
    (2)上記化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、芳香族環に置換基としてR2を有していてもよい第1ハロゲン化芳香族化合物(ここにR2は上記と同じ)と、芳香族環に置換基としてR3を有していてもよい第2ハロゲン化芳香族化合物(ここにR3は上記と同じ)と、を反応させて上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する工程。
  2. 上記(2)の工程において、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコールを化合物(II)に反応させ、Zr原子にアルコキシ基を結合させることにより、化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環させるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記(2)の工程が、
    上記化合物(II)のZr原子を含む5員環を開環後、前記第1ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、次式(III)で示される化合物を生成する第1工程と、
    Figure 0004940429
    (式中、Ar、R1及びR2は上記したAr、R1及びR2と同義である。)
    上記化合物(III)を前記第2ハロゲン化芳香族化合物と反応させて、上記式(I)で示されるトリアリールエチルエテン誘導体を生成する第2工程と、
    を含んでなるものである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記(2)の工程において第1ハロゲン化芳香族化合物との反応が、塩化第一銅とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとの両方の存在下にて行われるものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載の製造方法。
  5. 上記(2)の工程において第2ハロゲン化芳香族化合物との反応が、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィン化合物との両方の存在下にて行われるものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の製造方法。
  6. 前記第1ハロゲン化芳香族化合物と前記第2ハロゲン化芳香族化合物とが異なるものである、請求項3乃至5のいずれか1に記載の製造方法。
  7. Ar−R1がフェニル基であり、Ar−R2がフェニル基であり、Ar−R3がp−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基である、請求項1乃至6のいずれか1に記載の製造方法。
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