JP4939956B2 - 新規有害生物防除剤 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なPF1198A誘導体、及びそれを有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
PF1198A物質は、Journal of Natural Product(1998), 61 , 1154(非特許文献1)でペニシリウム(Penicillium)属糸状菌が生産する代謝産物として報告されたアラントリピノン(Alantrypinone)と同一で、特開2002−142795号公報(特許文献1)及びJournal of Agricultural and Food Chemistry(2004), 52 , 3884(非特許文献2)により、γ−アミノ酪酸(GABA)受容体−塩素イオンチャネル複合体に対する阻害活性を有し、医薬品及び殺虫剤として利用し得る物質として知られている。
また、PF1198A物質は、Tetrahedron Letters(1999), 40 , 5429(非特許文献3)、Organic Letters(2003), 5 , 3205(非特許文献4)、Journal of Organic Chemistry(2004), 69 , 79(非特許文献5)により、その全合成が報告されている。
しかしながら、これまでにPF1198A物質の誘導体合成、及びそれらの生理活性についての情報は皆無である。
特開2002−142795号公報 「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクト(Journal of Natural Product)」, (米国), 1998年, 第61巻, p.1154 「ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリー(Journal of Agricultural and Food Chemistry)」, (米国), 2004年 , 第52巻, p.3884 「テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)」, (オランダ), 1999年, 第40巻, p.5429 「オーガニック・レターズ(Organic Letters)」, (米国), 2003年, 第5巻, p.3205 「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)」, (米国), 2004年, 第69巻, p.79
これまでに殺虫活性を有する多くの化合物が報告され、有害生物防除剤として用いられているが、それらに対する低感受性虫種や難防除虫種が認められ、問題となっている。従って、優れた殺虫活性を有する新規な有害生物防除剤の開発は依然として望まれている。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(1)で示されるPF1198A誘導体が、優れた有害生物防除効果を示すことを見出した。
すなわち、本発明は、有害生物防除剤として有用な下記式(1)で表される化合物を提供するものである:
Figure 0004939956
[式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
は、炭素数1〜6のアルキル基又はベンジル基であり、
Xは、水素原子又はハロゲン原子であって、
(I)Rは、水素原子であり、
及びRは、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2):
Figure 0004939956
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はベンジル基であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はアミノ基である)で表される基であるか、
(II)Rは、水素原子であり、
は、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン、及び炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選択された1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
は、基−COOR(Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)であるか、
(III)Rは、水素原子であり、
及びRは、各々が結合する−CH−CH−と一緒になって、式(3):
Figure 0004939956
で表される基であるか、
(IV)Rは、水素原子であり、
は、基−COOR(Rは、前記と同じ意味である)であり、
は、水素原子、メチル基、フェニル基、又はクロル基である(但し、Rが水素原子であり、R及びRが、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2)(式中、R及びYが共に水素原子である)で表される基であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、Xが水素原子である化合物は、特許文献1に記載されているPF1198A(exo型のアラントリピノン)、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5に記載されているexo型又はendo型のアラントリピノンと同一であるので除く)]
本発明の化合物の好ましい態様としては、R及びRが水素原子であり、R及びRが、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2)(式中、R及びYが共に水素原子である)で表される基であり、Rがメチル基であり、Xがハロゲン原子である、前記式(1)の化合物を挙げることができる。
また、本発明によれば、式(1)の化合物を有効成分として含んでなる、有害生物防除剤が提供され、好ましい態様によれば、式(1)の化合物を有効成分として含んでなる、農園芸用殺虫剤が提供される。
本発明の新規PF1198A誘導体は、公知のPF1198A物質と比較して、有害生物防除剤の活性成分として優れた性質、例えば、γ-アミノ酪酸(GABA)受容体の阻害活性、有害生物に対する殺虫活性、選択毒性、又は、安定性若しくは溶解性などにおける物理化学的特性を示し、新規有害生物防除剤として有用である。
本明細書において「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し、好ましくはフッ素又は塩素である。
本明細書の式(1)又は式(2)の定義におけるR、R、及びRが表してもよい「炭素数1〜6(C1〜6)のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)」、Rが表してもよい「炭素数1〜4(C1〜4)のアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)」、並びに、Rが表してもよいベンゼン環上の置換基としての「炭素数1〜4(C1〜4)のアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)」は、直鎖又は分岐状のいずれであってもよく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、i−プロピル基、i−ブチル基である。
が表す基としては、水素原子が好ましい。R及びRが表す基としては、R、Rが各々が結合する炭素原子と一緒になった式(2)(式中、R及びYは共に水素原子を表す)で表される基であるか、あるいは、Rが置換又は無置換のベンゼン環(好ましくは無置換)であって、Rが基−COOR(好ましくはRはメチル基である)であるのが好ましい。Rが表す基としては、メチル基が好ましい。Rが表す基としては、水素原子が好ましい。Xが表す基としては、ハロゲン原子が好ましい。
式(1)で示される化合物の具体例を表1及び表2に示す。
Figure 0004939956
Figure 0004939956
式(1)においてRが水素原子である[以下、式(1’)と称する]新規なPF1198A誘導体は、Organic Letters 2003, 5, 3205(非特許文献4)、Journal of Organic Chemistry 2004, 69, 79(非特許文献5)に準じて、下記スキーム1に従って合成することができる。
《スキーム1》
Figure 0004939956
[スキーム1中、R、R、R、R、及びXは、前記式(1)で定義したことと同じ意味を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2a及びR3aは、各々が結合する炭素原子と一緒になって前記式(2)で表される基を表すか、あるいは、R2aは置換されていてもよいベンゼン環(この置換基は前記で定義したことと同じ意味を表す)を、R3aは基−COOR(Rは前記で定義したことと同じ意味を表す)を表し、R2b及びR5bは、各々が結合する−CH=CH−と一緒になって前記式(3)で表される基を表すか、あるいは、R2bは基−COORを表し、R5bは水素原子を表す]
すなわち、式(4)で示される化合物と、式(6)又は式(7)で示される化合物を、ルイス酸の存在下、又は非存在下、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒中で、0〜150℃で反応させることで得られた式(8)で示される化合物を、酢酸エチル、エタノール、メタノールなどに溶解し、0〜100℃で、塩酸を反応させることで合成することができる。
なお、式(4)で示される化合物は、下記スキーム2に示されるとおり、市販で入手可能又は既知合成法の組み合わせで合成可能なアントラニル酸(9)を原料として、グリシンのメチルエステル(10)、及び式(11)で示されるアミノ酸を反応させて得ることができる。
《スキーム2》
Figure 0004939956
[スキーム2中、R及びXは、前記式(1)で定義したことと同じ意味を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す]
Tetrahedron: Asymmetry. 2001, 12, 3387によれば、この反応は、ジクロロメタンなどの溶媒中で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤と、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基を用いて行うことができ、Journal of Chemistry 2005, 70, 6339によれば、ピリジンなどの溶媒中で、式(9)で示されるアントラニル酸にトリフェニルホスフィンを用いて、式(11)で示されるアミノ酸のN−t−ブトキシカルボニル体を反応させ、更にグリシンのメチルエステル(10)を加えて、マイクロウェーブで反応させることでも得ることができる。
が炭素数1〜6のアルキル基を表すものは、式(8)又は式(1’)で表される化合物を、テトラヒドラフランなどの溶媒中で、水素化ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基を用いてRのハロゲン化物などを反応させることで得ることができる。
2a、R3aが基(2)である式(5)の化合物は、スキーム3に示されるとおり、市販で入手可能又は既知合成法の組み合わせで合成可能なイサチン(12)を原料として、Tetrahedron Lett. 2002, 43, 4671.に記載される方法により合成することができる。
《スキーム3》
Figure 0004939956
[スキーム3中、Yは、前記式(2)で定義したことと同じ意味を表す]
本発明の式(1)で示される化合物が防除効果を示す有害生物種としては、例えば、双翅目害虫(例えば、イエバエ、ハモグリバエ類)、半翅目害虫[例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ミカンクロアブラムシなどのアブラムシ類(Aphididae,Adelgidae,Phy11oxeridae)、ツマグロヨコバイなどのヨコバイ類、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカなどのウンカ類、シラホシカメムシ、ミナミアオカメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメなどのカメムシ類、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミ、オンシツコナジラミなどのコナジラミ類、クワコナカイガラムシ、ミカンコナカイガラムシなどのカイガラムシ類など]、鱗翅目害虫[例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、アワヨトウ、アオムシ、コナガ、シロイチモジヨトウ、ニカメイガ、コブノメイガ、ハマキガ、シンクイガ、ハモグリガ、ドクガ、アグロティス属害虫(Agrotis spp)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp)、ヘリオティス属害虫(Heliothis spp)など]、鞘翅目害虫(例えば、イネミズゾウムシ、アズキゾウムシ、チヤイロコメノゴミムシダマシなど)、ダニ目(例えば、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニなど)、膜翅目害虫(例えばハバチ類)、直翅目害虫(例えば、バッタ類)、アザミウマ目害虫(例えば、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマなど)、植物寄生性線虫(例えば、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウなど)、動物の寄生虫として、ノミ類、シラミ類、ダニ類(例えば、オウシマダニ、フタトゲチマダニ、クリイロコイタマダニ、ヒゼンダニなど)などが挙げられ、好ましくは双翅目害虫、半翅目害虫である。
本発明による組成物は、適当な農園芸上許容される担体を用いることにより、例えば、乳剤、液剤、懸濁剤、水和剤、フロアブル剤、粉剤、粒剤、錠剤;油剤、エアゾール、薫煙剤等の任意の剤型に処方することができる。従って、上記担体としては、固体担体、液体担体、ガス状担体、界面活性剤、分散剤その他の製剤用補助剤等が挙げられる。
固体担体としては、例えば、タルク、ベンナイト、クレー、カオリン、ケイソウ土、バーミキュライト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
液体担体としては、例えば、メタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、n−ヘキサン、ケロシン、灯油等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類、ダイズ油、綿実油等の植物油類、ジメチルスルホキシド、水などが挙げられる。
また、ガス状担体としては、例えば、LPG、空気、窒素、炭酸ガス、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
乳化、分散、展着などのための界面活性剤、分散剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキル(アリール)スルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル類、多価アルコールエステル類、リグニンスルホン酸塩などが用いられる。
また、製剤の性状を改善するための補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、ポリエチレングリコール、ステアリン酸カルシウム等が用いられる。
上記の担体、界面活性剤、分散剤、及び補助剤は、必要に応じて各々単独で、あるいは組み合わせて用いられる。
上記製剤中の有効成分の含有量は、特に限定されないが、通常、乳剤では1〜75重量%、粉剤ではO.3〜25重量%、水和剤では1〜90重量%、粒剤では0.5〜10重量%とされる。
式(1)で表される化合物又はその農園芸上許容可能な塩及びこれらを含む上記製剤は、そのままであるいは希釈して、植物又は土壌に対して適用することができる。従って、本発明の別の態様によれば、式(1)で表される化合物又はその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物又は土壌に適用することを含んでなる、害虫の防除方法が提供される。上記化合物及び製剤を植物又は土壌に適用する手法としては、好ましくは散布処理、土壌処理、表面処理又は薫蒸処理などが挙げられる。散布処理としては、例えば、散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用が挙げられる。また、土壌処理としては、例えば、土壌潅注、土壌混和が挙げられる。また、表面処理としては、例えば、塗布、粉衣、被覆することが挙げられる。また、薫蒸処理としては、例えば、土壌注入後、ポリフィルムで土壌を覆うことが挙げられる。従って、本発明による防除方法には、式(1)で表される化合物又はそれらを含む製剤を、密閉された空間において薫蒸処理によって適用する方法も含まれる。
また、本発明による組成物は、他の殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合又は併用することができる。混合又は併用することができる薬剤としては、例えば、ペスティサイドマニュアル(第13版 The British Crop Protection Counci1発行)及びシブヤインデデックス(SHIBUYA INDEX 第10版、2005年、SHIBUYA INDEX RESEARCH GROUP発行)に記載のものが挙げられる。より具体的には、殺虫剤としては、アセフェート(acephate)、ジクロルボス(dichlorvos)、EPN、フェニトロチオン(fenitothion)、フェナミホス(fenamifos)、プロチオホス(prothiofos)、プロフェノホス(profenofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、ダイアジノン(diazinon)のような有機リン酸エステル系化合物、メソミル(methomy1)、チオジカルブ(thiodicarb)、アルジカルブ(aldicarb)、オキサミル(oxamyl)、プロポキスル(propoxur)、カルバリル(carbaryl)、フェノブカルブ(fenobucarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ピリミカーブ(pirimicarb)、カルボフラン(carbofuran)、ベンフラカルブ(benfuracarb)のようなカーバメート系化合物カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)のようなネライストキシン誘導体、ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)のような有機塩素系化合物、ペルメトリン(permethrin)、テフルトリン(tefluthrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルバリネート(fluvalinate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)のようなピレスロイド系化合物、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、のようなベンゾイルウレア系化合物、メトプレン(methoprene)のような幼若ホルモン様化合物、クロマフェノジドのような脱皮ホルモン様化合物、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroxymate)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、アセキノシル(acequinocyl)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、フルベンジアミド(flubendiamide)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、エトキサゾール(ethoxazole)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(c1othianidin)、ピメトロジン(pymetrozine)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、フロニカミド(flonicamid)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfene )、インドキサカルブ(indoxacarb)、ピリダリル(pyridalyl)、又はスピノサド(spinosad)、アベルメクチン(avermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、有機金属系化合物、ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物のような化合物が挙げられる。
更にまた、本発明による組成物は、BT剤、昆虫病原ウイルス剤などのような微生物農薬と、混用又は併用することもできる。
用いられる殺菌剤は、例えば、アゾキシストルビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxym-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)などのストロビルリン系化合物、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、プロクロラズ(prochloraz)、シメコナゾール(simeconazole)のようなアゾール系化合物、キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物、マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンコゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、プロビネブ(propineb)のようなジチオカーバメート系化合物、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物、ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、カーベンダジム(carbendazole)のようなベンズイミダゾール系化合物メタラキシル(metalaxyl)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフラセ(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラン(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物、ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物、水酸化第二銅(copper hydroxide)、オキシキノリン銅(oxine-copper)のような銅系化合物、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)のようなイソキサゾール系化合物、ホセチルアルミニウム(fosetyl-aluminium)、トルクロホス−メチル(tolclofos-methyl)のような有機リン系化合物、キャプタン(captan)、カプタホール(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物、プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinchlozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物、フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)のようなベンズアニリド系化合物、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)のようなモルフォリン系化合物、水酸化トリフェニルスズ(fenthin hydroxide)、酢酸トリフェニルスズ(fenthin acetate)のような有機スズ系化合物、フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物、その他フサライド(fthalide)、フルアジナム(fluazinam)、シモキサニル(cymoxanil)、トリホリン(triforine)、 ピリフェノックス(pyrifenox)、フェナリモル(fenarimol)、フェンプロピディン(fenpropidin)、ペンシクロン(pencycuron)、シアゾファミド(cyazofamid)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、又はベンチアバリカルブイソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
製剤例1〔水和剤〕
本発明化合物(化合物1) 30重量%
クレー 30重量%
ケイソウ土 35重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 4重量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1重量%
上記成分を均一に混合し、粉砕して水和剤を得た。
製剤例2〔粉剤〕
本発明化合物(化合物1) 2重量%
クレー 60重量%
タルク 37重量%
ステアリン酸カルシウム 1重量%
上記成分を均一に混合して粉剤を得た。
製剤例3〔乳剤〕
本発明化合物(化合物1) 20重量%
N,N−ジメチルホルムアミド 20重量%
ソルベッソ150(エクソンモービル有限会社) 50重量%
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10重量%
上記成分を均一に混合、溶解して乳剤を得た。
製剤例4〔粒剤〕
本発明化合物(化合物1) 5重量%
ベントナイト 40重量%
タルク 10重量%
クレー 43重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 2重量%
上記成分を均一に粉砕混合し、水を加えてよく練合した後、造粒乾燥して粒剤を得た。
製剤例5〔フロアブル剤〕
本発明化合物(化合物1) 25重量%
POEポリスチリルフェニルエーテル硫酸塩 5重量%
プロピレングリコール 6重量%
ベントナイト 1重量%
キサンタンガム1%水溶液 3重量%
PRONAL EX−300(東邦化学工業株式会社) 0.05重量%
ADDAC 827(ケイ・アイ化成株式会社) 0.02重量%
水 加えて100重量%
上記配合からキサンタンガム1%水溶液と適当量の水を除いた全量を予備混合した後、湿式粉砕機にて粉砕した。その後、キサンタンガム1%水溶液と残りの水を加え100重量%としてフロアブル剤を得た。
[参考例](±)−アラントリピノン
〈1〉
Figure 0004939956
50mLのナスフラスコにアントラニル酸(Anthranilic acid)(100 mg, 0.729 mmol)、グリシンエチルエステル(glycine ethyl ester)(75 mg, 0.729 mmol)及び、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(スキーム中EDClと略記;154 mg, 0.802 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、トリエチルアミンを加えて室温(rt)にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、化合物101(113.4 mg, 70%)を無色固体として得た。
〈2〉
Figure 0004939956
500mLのナスフラスコに化合物101(2.14 g, 9.66 mmol)、N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)- L -アラニン(スキーム中Fmoc-L-Ala-OHと略記;3.61 g, 11.6 mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(スキーム中EDClと略記;2.41 g, 12.6 mmol)を量り採り、アセトニトリルに溶解させ室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣に水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、クロロホルムより再結晶することにより、化合物102を白色固体(4.39 g, 87%)(mp 182-184 ℃)として得た。
〈3〉
Figure 0004939956
50mLのナスフラスコに化合物102(75 mg, 0.146 mmol)、トリフェニルホスフィン(スキーム中Ph3Pと略記;190 mg, 0.728 mmol)、ヨウ素(181 mg, 0.712 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(スキーム中EtN(i-Pr)2と略記;0.26 mL, 1.469 mmol)を加えて室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、炭酸ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン = 5:5:0.2)にて精製し、化合物103(57.4 mg, 79%)を白色固体として得た。
〈4〉
Figure 0004939956
200mLのナスフラスコに化合物103(1.5 g, 3.01 mmol)を量り採り、ジクロロメタンに溶解させ、ピペリジン(piperidine)(21.4 mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、1.0規定塩酸を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール = 50:48:2)にて精製し、化合物104(450 mg, 65%)を白色固体として得た。
〈5〉
Figure 0004939956
200mLのナスフラスコに化合物104(450 mg, 1.75 mmol)、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(スキーム中Et3O+・BF4 -と略記)(500 mg, 2.62 mmol)、炭酸ナトリウム(1.11 g, 10.5 mmol)、を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、室温にて24時間攪拌した。24時間後、水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1 → ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール = 50:48:2)にて精製し、化合物105(304 mg, 60%)を無色固体として得、化合物104(110 mg, 24%)を回収した。
〈6〉
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物105(120 mg, 0.446 mmol)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(スキーム中DDQと略記)(127 mg, 0.560 mmol)を量り採り、ベンゼン(benzene)に溶解させ30分間加熱還流(reflux)した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を塩基性アルミナを通して濾過し、濾液を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1)にて精製し、化合物106(95.6 mg, 80%)を黄色固体として得た。
〈7〉
Figure 0004939956
300mLのナスフラスコにイサチン(Isatin)(1 g, 6.80 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下でジエチルエーテルに溶解させ-78℃に冷却した。1.0mol/Lトリメチルシリルメチルマグネシウムクロリド(スキーム中TMSCH2MgClと略記)ジエチルエーテル溶液(13.6 mL, 13.6 mmol)を加え、-78℃にて15分間攪拌し、更に室温にて18時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、メタノールを加え、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物107(1.23 g, 77%)を黄色固体として得た。
〈8〉
Figure 0004939956
200mLのナスフラスコに化合物107(1.23 g, 5.23 mmol)を量り採り、ジクロロメタンに溶解させ-78℃に冷却した。トリフルオロボロンエーテレート(スキーム中BF3・OEt2と略記3.31 mL, 26.1 mmol)を加え、-78℃にて2時間、0℃にて1時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。反応溶液を室温まで昇温し、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、化合物108(750 mg, quant)を黄色固体として得た。
〈9〉
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物106(50 mg, 0.196 mmol)及び、化合物108(145 mg, 0.979 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ室温にて攪拌した。TLCにて化合物106の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物109(低極性成分)41 mg(52%)、化合物110(高極性成分)14 mg(18%)を黄色アモルファスとして得た。
〈10〉
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物109(30 mg, 0.075 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAc)5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより(±)-アラントリピノン(Alantrypinone)(111)(20 mg, 74%)を白色固体として得た。
〈11〉
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物110(15 mg, 0.038 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより(±)-エピアラントリピノン(epi-Alantrypinone)(112)(10 mg, 71%)を白色固体として得た。
[合成例1]化合物1及び2
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに5-クロロ-アントラニル酸(5-Cl-Anthranilic acid )(50 mg, 0.291 mmol)及びグリシンエチルエステル(glycine ethyl ester)(30 mg, 0.291 mmol)1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(スキーム中EDClと略記;61 mg, 0.320 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、トリエチルアミン(0.04 mL, 0.291 mmol)を加えて室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 2:1)にて精製し、化合物113(44.7 mg, 60%)を無色固体として得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物113(50 mg, 0.195 mmol)、N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)- L -アラニン(スキーム中Fmoc-L-Ala-OHと略記)(72 mg, 0.234 mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(スキーム中EDClと略記;49 mg, 0.254 mmol)を量り採り、アセトニトリルに溶解させ室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣に水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、クロロホルムにて再結晶することにより、化合物114を白色固体(90.7 mg, 85%)(mp 194-196 ℃)として得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物114(50 mg, 0.091 mmol)、トリフェニルホスフィン(スキーム中Ph3Pと略記;120 mg, 0.455 mmol)、ヨウ素(113 mg, 0.446 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(スキーム中EtN(i-Pr)2と略記;0.16 mL, 0.919 mmol)を加えて室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、炭酸ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン = 5:5:0.2)にて精製し、化合物115(23.8 mg, 49%)を白色固体として得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物115(150 mg, 0.282 mmol)を量り採り、ジクロロメタンに溶解させ、ピペリジン(piperidine)(2 mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、1.0規定 塩酸を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物116(67 mg, 90%)を紫色固体として得た。
化合物116の合成(別法)
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに5-クロロ-アントラニル酸(5-Cl-Anthranilic acid )(100 mg, 0.583 mmol)、及びN-t-ブトキシカルボニル-L-アラニン(スキーム中N-BOC-L-Ala-OHと略記;110 mg, 0.583 mmol)を量り採り、ピリジン(pyridine)に溶解させ、トリフェニルホスファイト(スキーム中P(OPh3)と略記)(0.168 mL, 0.641 mmol)を加え、55℃にて16時間攪拌した。16時間後、反応溶液を室温まで冷却し、グリシンメチルエステル(Gly-methyl ester)(73 mg, 0.583 mmol)を加え、マイクロウエーブ(microwave)を照射して220℃にて1.5分攪拌した。反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物116(95 mg, 57%)を白色固体として得た。
Figure 0004939956
200mLのナスフラスコに化合物116(450 mg, 1.71 mmol)、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(スキーム中Et3O+・BF4 -と略記)(486 mg, 2.56 mmol)、炭酸ナトリウム(1.09 g, 10.2 mmol)、を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、室温にて24時間攪拌した。24時間後、水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物117(415 mg, 83%)を無色固体として得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物117(50 mg, 0.171 mmol)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(スキーム中DDQと略記)(47 mg, 0.210 mmol)を量り採り、ベンゼン(benzene)に溶解させ30分間加熱還流(reflux)した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を塩基性アルミナを通して濾過し、濾液を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1)にて精製し、化合物118(37.5 mg, 76%)を黄色固体として得た。
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物118(60 mg, 0.207 mmol)、化合物108(150 mg, 1.035 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ室温にて攪拌した。TLCにて化合物118の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物119(31 mg, 34%)、120(23 mg, 25%)を黄色アモルファスとして得た。
化合物1の合成
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物119(20 mg, 0.046 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)3mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより化合物1(9-クロロ-アラントリピノン;9Cl-Alantrypinone)(11.5 mg, 62%)を白色固体として得た。
化合物2の合成
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物120(18 mg, 0.041 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより化合物2(9-クロロ-エピ-アラントリピノン;9Cl-epi-Alantrypinone)(9.8 mg, 60%)を白色固体として得た。
同様の方法で、化合物3、4、5、6、7、8、31、32を合成した。
[合成例2]化合物9及び10
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコにアントラニル酸(Anthranilic acid)(100 mg, 0.729 mmol)、及びN-t-ブトキシカルボニル-L-フェニルアラニン(スキーム中N-Boc-L-Phe-OHと略記;193 mg, 0.729 mmol)を量り採り、ピリジン(pyridine)に溶解させ、トリフェニルホスファイト(スキーム中P(OPh3)と略記;0.210 mL, 0.802 mmol)を加え、55℃にて16時間攪拌した。16時間後、反応溶液を室温まで冷却し、グリシンメチルエステル(Gly-methyl ester)(91 mg, 0.729 mmol)を加え、マイクロウエーブ(microwave)を照射して220℃にて1.5分攪拌した。反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物121(114 mg, 51%)を白色固体として得た。
Figure 0004939956
50mLのナスフラスコに化合物121(50 mg, 0.164 mmol)、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(スキーム中、Et3O+・BF4 -と略記;41 mg, 0.246 mmol)、炭酸ナトリウム(104.3 mg, 0.984 mmol)、を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、室温にて24時間攪拌した。24時間後、水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1 → ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物122(33 mg, 60%)を無色固体として得、化合物121(21 mg, 40%)を回収した。
Figure 0004939956
200mLのナスフラスコに化合物122(200 mg, 0.600 mmol)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQと略記;103 mg, 0.720 mmol)を量り採り、ベンゼン(benzene)に溶解させ30分間加熱還流(reflux)した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を塩基性アルミナを通して濾過し、濾液を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1)にて精製し、化合物123(135 mg, 68%)を黄色固体として得た。
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物123(50 mg, 0.151 mmol)、化合物108(33 mg, 0.227 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ室温にて攪拌した。TLCにて化合物123の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物124をジアステレオマーの混合物(110 mg)として得た。
化合物9、化合物10の合成
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物124(110 mg)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより化合物9(30 mg, 17%(2ステップ))、化合物10(26 mg, 32%(2ステップ))を白色固体として得た。
[合成例3]化合物11及び12
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコにアントラニル酸(Anthranilic acid)(100 mg, 0.729 mmol)、及びN-t-ブトキシカルボニル-L-バリン(スキーム中N-BOC-L-Val-OHと略記;158 mg, 0.729 mmol)を量り採り、ピリジン(pyridine)に溶解させ、トロフェニルホスファイト(スキーム中P(OPh)3と略記;0.210 mL, 0.802 mmol)を加え、55℃にて16時間攪拌した。16時間後、反応溶液を室温まで冷却し、グリシンメチルエステル(Gly-methyl ester)(91 mg, 0.729 mmol)を加え、マイクロウエーブ(microwave)を照射して220℃にて1.5分攪拌した。反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物125(70 mg, 40%)を白色固体として得た。
Figure 0004939956
300mLのナスフラスコに化合物125(600 mg, 2.332 mmol)、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(スキーム中Et3O+・BF4 -と略記;664 mg, 3.498 mmol)、炭酸ナトリウム(1.48 g, 14.0 mmol)、を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジクロロメタンに溶解させ、室温にて24時間攪拌した。24時間後、水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1 → ジクロロメタン:酢酸エチル:メタノール= 50:48:2)にて精製し、化合物126(320 mg, 48%)を無色固体として得、化合物125(150 mg, 25%)を回収した。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物126(50 mg, 0.175 mmol)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(スキーム中DDQと略記;48 mg, 0.210 mmol)を量り採り、ベンゼン(benzene)に溶解させ30分間加熱還流(reflux)した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を塩基性アルミナを通して濾過し、濾液を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1)にて精製し、化合物127(34 mg, 69%)を黄色固体として得た。
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物127(60 mg, 0.212 mmol)、化合物108(46.2 mg, 0.318 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ室温にて攪拌した。TLCにて化合物127の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物128をジアステレオマーの混合物(100 mg)として得た。
化合物11、化合物12の合成
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物128(100 mg)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)5mL、1.0規定 塩酸 1mLを加え、室温にて5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより化合物11(23 mg, 27%(2ステップ))、化合物12(57 mg, 68%(2ステップ))を白色固体として得た。
同様の方法で、化合物13、14を合成した。
[合成例4]化合物15
Figure 0004939956
10mLのナスフラスコに参考例〈9〉で得られた化合物109(20 mg, 0.050 mmol)、水素化ナトリウム(2.4 mg, 0.100 mmol)を量り採り、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0℃に冷却した後、ベンジルブロマイド(スキーム中BnBrと略記;12μL, 0.100 mmol)を加え、室温にて3.5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1.5:1)にて精製し、化合物129(20.4 mg, 83%)を白色アモルファスとして得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物129(20 mg, 0.041 mmol)を量り採り、酢酸エチル 5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて3.5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をメタノールにて洗浄することにより化合物15(16.4 mg, 86%)を白色固体として得た。
同様の方法で、化合物16、19、20を合成した。
[合成例5]化合物17
Figure 0004939956
10mLのナスフラスコに化合物15(15 mg, 0.032 mmol)、水素化ナトリウム(1.0 mg, 0.039 mmol)を量り採り、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0℃に冷却した後、ヨウ化メチル(2.4μL, 0.039 mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物17(10.5 mg, 69%)を白色固体として得た。
同様の方法で、化合物18、21、22、23を合成した。
[合成例6]化合物24、化合物25、化合物26
Figure 0004939956
50mLのナスフラスコに化合物106(100 mg, 0.392 mmol)及びN-フェニルマレイミド(化合物130)(100 mg, 0.580 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ、10時間加熱還流した。TLCにて化合物106の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)にて精製し、化合物131[低極性成分(less polar);シス-エクソ/エンドメジャーアダクト(cis-exo/endo major adduct)](106 mg, 63%)、132[高極性成分(more polar);シス-エクソ/エンドマイナーアダクト(cis-exo/endo minor adduct)](10 mg, 6%)を無色アモルファスとして得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物131(20 mg, 0.047 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)5mL、1.0規定 塩酸 0.5mLを加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール = 20:1)にて精製し、化合物24(15.4 mg, 82%)を白色固体として得た。
25mLのナスフラスコに化合物132(100 mg, 0.234 mmol)を量り採り、酢酸エチル(スキーム中EtOAcと略記)10mL、1.0規定 塩酸 1mLを加え、室温にて3時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール= 10:1)にて精製し、化合物25(60 mg, 65%)を白色固体として得た。
Figure 0004939956
10mLのナスフラスコに化合物24(20 mg, 0.050 mmol)、水素化ナトリウム(1.5 mg, 0.060 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0℃に冷却した後、ヨウ化メチル(3μL, 0.060 mmol)を加え、0℃にて3.5 時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をヘキサンにて洗浄することにより化合物26(18.7 mg, 94%)を白色固体として得た。
[合成例7]化合物27
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物133(0.25 mL, 2.85 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(スキーム中Pd(PPh32Cl2と略記)(10 mg, 0.014 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、テトラヒドロフランに溶解させ、0℃にて35分間攪拌した後、トリブチルスズヒドリド(スキーム中Bu3SnHと略記)(0.84mL, 3.135 mmol)を加え、0℃にて10分攪拌した。10分後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をペンタンに溶解させ、アセトニトリル、 水、飽和食塩水にて洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 50:1)にて精製し、化合物134(1.08 g, quant)を無色油状物質として得た。
Figure 0004939956
30mLのナスフラスコにヨードベンゼン(Iodobenzene)(0.045 mL, 0.405 mmol)、化合物134(380 mg, 1.013 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(スキーム中Pd(PPh34と略記)(47 mg, 0.0405 mmol)、ヨウ化銅(58 mg, 0.304 mmol)を量り採り、アルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、室温にて48時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、ジエチルエーテルを加えて希釈した。反応液をセライトろ過し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 10:1)にて精製し、化合物135(51 mg, 78%)を無色油状物質として得た。
Figure 0004939956
100mLのナスフラスコに化合物106(210 mg, 0.822 mmol)、135(200 mg, 1.233 mmol)を量り採り、クロロホルムに溶解させ27時間加熱還流(reflux)した。TLCにて化合物106の消失を確認した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1)にて精製し、化合物136をジアステレオマー混合物として得た。
Figure 0004939956
25mLのナスフラスコに化合物136(ジアステレオマー混合物, 170 mg, 0.407 mmol)を量り採り、酢酸エチル 10mL、1.0規定 塩酸 1mLを加え、室温にて3.5時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、反応溶液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 10:1)にて精製し、化合物27(低極性成分)(53.4 mg, 34%)、化合物28(高極性成分)(68.2 mg, 43%)を白色固体として得た。
同様の方法で、化合物29、30を合成した。
得られた化合物1〜32のNMRデータを表3〜9に示す。
Figure 0004939956
Figure 0004939956
Figure 0004939956
Figure 0004939956
Figure 0004939956
Figure 0004939956
Figure 0004939956
[試験例]
試験例1:4’-エチニル-4-n-プロピルビシクロオルソベンゾエート(EBOB)結合阻害活性
[イエバエ神経膜画分を用いたγ-アミノ酪酸(GABA)受容体阻害試験]
本実施例では、先に合成した化合物1、化合物3、化合物5、化合物9、化合物11を用いて、以下の手順に従って、GABA受容体阻害試験を実施した。
イエバエ成虫頭部を0.25 mol/L スクロース/10 mmol/L Tris-HCl 緩衝液(pH7.5)(緩衝液A)中でガラス−テフロン(登録商標)ホモジナイザーを用いて磨砕し、2重にした64 μmナイロンメッシュでろ過した後、ろ液を500×gで5分間遠心分離した。上清を再度同様にろ過し、25,000×gで30分間遠心分離した後、沈殿を緩衝液A中に懸濁し、氷冷下30分間放置した。この懸濁液を再び25,000×gで30分間遠心分離し、沈殿を300 mmol/L NaCl/10 mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)(緩衝液B)中に懸濁し、ただちに以下の実験に用いた。(1)供試化合物、(2)[3H]EBOB(最終濃度0.5 nmol/L;パーキンエルマー社製)、及び(3)上記イエバエ頭部磨砕懸濁液(200 μgタンパク質)の混合物を全量1.0 mLとし 22℃で70分間インキュベートした。供試化合物はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、その4 μLを反応液に加えて所定の最終濃度になるようにした。インキュベーション後、神経膜画分をGF/Bガラス繊維濾紙(ワットマン社製)上に24穴セルハーベスター(ブランデル社製)を用いてろ集し、5 mLの冷(10℃)緩衝液Bですばやく2回洗浄した。濾紙上の膜画分に結合した[3H]EBOBの放射能を液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて測定し、供試化合物添加区の結合量(dpm)を求めた。供試化合物を用いない区(DMSO 4 μL添加)を対照区(全結合)(dpm)とし、非特異的結合量(dpm)は、上記条件下1 μMの非放射能標識α-エンドサルファンを添加して求めた。
上記膜画分に対する[3H]EBOBの特異的結合量を次式に従い求めた。
特異的結合量(dpm) = 全結合量(dpm) − 非特異的結合量(dpm)
供試化合物の[3H]EBOB 特異的結合阻害度(%)を次式に従い求めた。
3H]EBOB特異的結合阻害度(%)
= {1−(各供試化合物処理区の特異的結合(dpm)/対照区の特異的結合(dpm))}×100
いずれの化合物においても、10μmol/Lで80%以上の阻害活性を示した。
試験例2:ワタアブラムシに対する殺虫試験
本実施例では、先に合成した化合物1、化合物5、化合物7、化合物8、化合物13、化合物14、化合物19、化合物21、化合物24、化合物25、化合物26を用いて、以下の手順に従って、ワタアブラムシに対する殺虫試験を実施した。
ポット栽培したキュウリから直径2.0 cmのリーフディスクを切り抜き、5.0 cmシャーレに入れた。これにワタアブラムシ成虫を4頭放飼した。その1日後、成虫を取り除いた。リーフディスクに産まれた1令幼虫の数を10頭に調整し、これに50%アセトン水(0.05% Tween20 加用)となるように調製した所定濃度の薬液を散布した。風乾後、シャーレに蓋をして、25℃の恒温室(16時間明期−8時間暗期)に放置した。放飼3日後に虫の生死を観察し、次式に従って死虫率を算出した。
死虫率(%)={死亡虫数/(生存虫数十死亡虫数)}×100
いずれの化合物においても、200ppmで死虫率40%以上を示した。
本発明の新規PF1198A誘導体は、害虫に対して優れた効果を有し、新規有害生物防除剤として有用である。

Claims (3)

  1. 式(1):
    Figure 0004939956
    [式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
    は、炭素数1〜6のアルキル基又はベンジル基であり、
    Xは、水素原子又はハロゲン原子であって、
    (I)Rは、水素原子であり、
    及びRは、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2):
    Figure 0004939956
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はベンジル基であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はアミノ基である)で表される基であるか、
    (II)Rは、水素原子であり、
    は、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン、及び炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選択された1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
    は、基−COOR(Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)であるか、
    (III)Rは、水素原子であり、
    及びRは、各々が結合する−CH−CH−と一緒になって、式(3):
    Figure 0004939956
    で表される基であるか、
    (IV)Rは、水素原子であり、
    は、基−COOR(Rは、前記と同じ意味である)であり、
    は、水素原子、メチル基、フェニル基、又はクロル基である(但し、Rが水素原子であり、R及びRが、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2)(式中、R及びYが共に水素原子である)で表される基であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、Xが水素原子である場合を除く)]
    で表される化合物。
  2. 前記式(1)において、R及びRが水素原子であり、R及びRが、各々が結合する炭素原子と一緒になって、式(2)(式中、R及びYが共に水素原子である)で表される基であり、Rがメチル基であり、Xがハロゲン原子である、請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の式(1)で表される化合物を有効成分として含んでなる、有害生物防除剤。
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