JP4939171B2 - 熱源機および熱源システム - Google Patents
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Description
このような回転数可変とされた電動式ターボ圧縮機に用いられるインバータ装置は、IGBT等のパワーデバイスを備えており、これらパワーデバイスには、電動モータが要求するトルクに応じて大きな電流が流れる。
これら過負荷保護や電子サーマルは、インバータ装置のインバータ制御部によって演算され、インバータ制御部の判断によって冷凍機とは独立してインバータ装置の停止が行われる。インバータ装置が停止すると、電動式圧縮機が動作しなくなるので、これに伴い冷凍機も停止する。
このように、インバータ装置が冷凍機の運転状態にかかわらず停止してしまうと、冷熱出力や温熱出力を要求する需要者に対して不利益を招いてしまう。また、冷凍機の制御装置からみると、冷凍機制御装置では把握していない予期しない突然の停止となるので、一連のシーケンスに則った停止動作を行わせることができず、冷凍機の各機器に対して不具合を生じさせるおそれがある。
すなわち、本発明にかかる熱源機は、インバータ装置によって駆動され、冷媒を圧縮する電動式圧縮機と、該電動圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器によって凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、冷熱出力および/または温熱出力を制御する制御装置と、所定演算に基づき機器保護のために前記インバータ装置を停止する保護機能を有し、前記制御装置の指示に基づき、前記電動式圧縮機の回転数を制御するインバータ制御部と、を備えた熱源機において、前記制御装置は、前記インバータ制御部の前記保護機能の演算結果を推定するインバータ保護機能推定部を備えていることを特徴とする。
熱源機としては、例えば、ターボ冷凍機やスクリューチラー等が挙げられる。
インバータ装置の負荷を制限するために熱源機を制御する方法としては、例えば、電動式圧縮機の吸込冷媒流量を調整する入口ベーンの開度を制限すること、電動式圧縮機の吐出冷媒の一部を取り出し、凝縮器および蒸発器をバイパスして電動式圧縮機の吸込側へバイパスするバイパス流路に設けられたホットガスバイパス弁の開度を制限すること、電動式圧縮機の回転数を制限することが挙げられる。
図1には、本発明のターボ冷凍機(熱源機)1の概略構成が示されている。
図1に示されているように、ターボ冷凍機1は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機5と、後述する凝縮器、蒸発器および膨張弁を収納した本体胴6と、ターボ冷凍機1の運転を制御する制御装置1aとを備えている。
インバータ装置3には、インバータ制御部3aが設けられている。このインバータ制御部3aは、ターボ冷凍機1の制御装置1aと通信が行われるようになっており、制御装置1aの指示に基づき、電動モータ7の回転数を制御するようになっている。また、インバータ制御部3aは、各種の保護機能を備えており、例えば、出力電流およびIGBT等のパワーデバイス近傍の温度からパワーデバイス内部の温度を計算する過負荷保護や、出力電流によって電動モータの保護を行う電子サーマルによるモータ保護が設けられている。
本体胴6には、外部負荷に冷水を供給する冷水管15,17が接続されている。往用冷水管17から冷水が負荷側に供給され、外部負荷にて利用された後の冷水が還用冷水管15を介して本体胴6へと戻ってくる。
同図には、冷却水管13a,13bが接続された凝縮器13と、冷水管15,17が接続された蒸発器8と、凝縮器13と蒸発器8との間に設けられた膨張弁30とを備えている。
膨張弁30の開度は、制御装置1a(図1参照)によって制御されるようになっている。
ターボ圧縮機5は、電動モータ7によって駆動され、制御装置1aからに指示に基づいてインバータ装置3により所定周波数で回転させられる。入口ベーン35は、制御装置1aによって、設定温度(例えば、冷水出口温度7℃)を達成するようにその開度が調整される。
また、ターボ圧縮機5から吐出された高温高圧のガス冷媒は、その一部がホットガスバイパス管14aを通りホットガスバイパス弁14で冷媒流量が調整された後、ターボ圧縮機5へと導かれるようになっている。
凝縮器13において、冷却塔(図示せず)からの冷却水によって高温高圧のガス冷媒は略等圧に冷却され、高圧高温の液冷媒となる。高圧高温の液冷媒は、冷媒配管39bを通り膨張弁30へと導かれ、この膨張弁30によって等エンタルピー的に膨張させられる。このように膨張させられた冷媒は、蒸発器8において蒸発し、冷水管15,17から熱を奪う。これにより、12℃で流入した冷水は7℃で外部負荷側に返送されることになる。
蒸発器8において蒸発した低圧ガス冷媒は、ターボ圧縮機5へと導かれ、再び圧縮される。
インバータ保護機能推定部は、過熱保護や電子サーマルといったインバータ制御部3aで独自に行われている演算を、ターボ冷凍機1の制御装置1aにおいて並列的に演算するものである。
以下に、電動モータ7の保護を行う電子サーマルを例として説明する。
電子サーマルでは、インバータ装置3の出力電流値Aと、極性判別値に基づいて演算された積算値Sを用いる。この積算値Sが100%に到達した時に、トリップと判断し、インバータ装置3を停止するようになっている。極性判別値は、出力電流が所定値(例えば定格の105%)以上となったときに正となり、所定値を下回ったときに負となるものである。
積算値Sの演算は以下の通りである。
i)極性判別値が正の場合(すなわち出力電流値が定格105%以上の場合)
S(i+1)=S(i)+f(A)×t
ii)極性判別値が負の場合(すなわち出力電流値が定格105%未満の場合)
S(i+1)=S(i)−g(A)×t
ここで、iは各演算周期の時系列番号を示し、f(A)及びg(A)は電流値Aの時の関数(%/sec)を示し、tは演算周期(sec)を示す。
上式からわかるように、積算値Sは、極性判別値を超えると加算され、極性判別値を下回ると減算されるものである。
同図に示すように、積算値Sは、極性判別値である出力電流値105%を超えると加算され、これを下回ると減算されるようになっている。また、制御装置1aでは、インバータ制御部3が用いる極性判別値を予めまたは通信により取得して、インバータ制御部3と同一の極性判別値を用いるようになっている。
ステップ20にて積算値Sを制御周期ごとに読出し、積算値Sが強制制限値Scrを超えたか否かを判断する(ステップS21)。強制制限値Scrを超えている場合には、ステップS22へと進み、ターボ冷凍機1の能力を強制的に制限してインバータ装置3の負荷を減少させるように、入口ベーン35を強制的に閉じる。これにより、積算値Sの加算が緩和または減少され、インバータ装置3の停止タイミングを遅らせることができる。
一方、積算値Sが対応上限値Ssdを超えた場合には(ステップS23)、ターボ冷凍機1を停止する。この停止動作は、予め決められた一連のシーケンスに則って行われるものであり、この停止シーケンスは、ターボ冷凍機1の各機器の損傷がないように考慮されたものとなっている。そして、ステップS25にて、トリップ信号を出力する。
ターボ冷凍機1の制御装置1aのインバータ保護機能推定部にて演算される積算値Sが負荷制限閾値Stを下回る場合には、通常制御として、一定温度の冷水を供給するように入口ベーン35の開度が制御される(ステップS1)。
積算値Sが負荷制限閾値Stを超えると(ステップS2)、インバータ装置3の負荷の制限を行うために入口ベーン35の制御を行うか否かの判断が以下のように行われる。
インバータ装置3からの出力電流値が定格電流の100%を下回るとき(ステップS3)は、特別に負荷制限のための制御は行わず、再びステップS2に戻り、積算値の監視を行う。
インバータ装置3からの出力電流値が定格電流の100%を超え(ステップS3)、かつ、定格電流の105%を下回る場合(ステップS4)には、ターボ冷凍機1の出力(能力)の上昇を制限するために、入口ベーン35の開度を開禁止とし、現時点以上に開度を上げないようにする。これにより、インバータ装置3の負荷が制限され、増大することがない。
そして、ステップS11へと進み、積算値Sが負荷制限閾値Stを超えている場合には、ステップS6へと進み、ターボ冷凍機1の出力を強制的に減少させるために、入口ベーン35を強制的に閉じる。ステップS11にて、積算値が負荷制限閾値Stを超えていないと判断された場合には、ステップS7へと戻り、再び出力電流値の監視を行う。
インバータ制御部3aの保護機能による演算結果を、ターボ冷凍機1の制御装置1aに設けたインバータ保護機能推定部で推定することにより、インバータ装置3の保護機能による停止を予測することができ。したがって、ターボ冷凍機1の制御装置1aが把握しているターボ冷凍機1の状態にかかわらずインバータ制御部3aの独自の判断によりインバータ装置3が停止して、結果的にターボ冷凍機1の制御装置1aが予期しない停止を回避できる。
また、負荷制限閾値Stを設け、この値を超えた場合には、積算値Sが対応上限値Ssdに近づくことが予想されるので、ターボ冷凍機1の出力を制限または減少させることとした。これにより、出力電流をなるべく極性判別値以下にして積算値が減少するようにして、積算値が上限値に到達してターボ冷凍機1が停止してしまうタイミングを遅らせることができ、可及的にターボ冷凍機1の安定運転時間の拡大を図ることができる。
また、ターボ冷凍機1の制御装置1aにて用いる対応上限値Ssdを、インバータ制御部3aにて用いる上限値よりも小さい値としたので、インバータ装置3の停止動作よりも先にターボ冷凍機1の停止動作を行うことになり、ターボ冷凍機側の所定のシーケンスによる安定的な停止動作を確保することができる。
また、積算値Sによる制御とは別に、または、これと組み合わせて、インバータ装置3の出力電流値によってターボ冷凍機1の出力制限または出力減少を行うこととしたので、さらにターボ冷凍機1の安定運転時間を拡大することができる。
また、ターボ冷凍機の出力を制限し、また減少させるために、入口ベーンを制御することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ホットガスバイパス弁14を開けて冷凍機出力ないしインバータ装置負荷を減少させるようにしてもよく、また、電動モータ7の回転数を減少させて冷凍機出力ないしインバータ装置負荷を減少させるようにしても良い。
また、インバータ制御部3aから積算値をターボ冷凍機1の制御装置1aが直接取得するようにしても良い。これにより、制御装置1aでの推定演算を省略することができる。
また、本実施形態では、ターボ冷凍機1を1台の場合として説明したが、実際の適用では、熱需要に応じてターボ冷凍機1が複数台接続された熱源システム(図示せず)を構成する。このような場合には、負荷が増大するにつれて、1台運転から複数台運転に移行するので、先に起動しているターボ冷凍機1は大きな負荷が常に要求されることになり、インバータ装置3ないし電動モータ7が過負荷になりやすい。このような場合に、ターボ冷凍機側でインバータ装置3の保護機能を把握することにより、インバータ制御部3aによるインバータ装置3の先行するトリップを回避して、安定運転時間を拡大することができるという利点がある。
また、本実施形態では、冷凍運転を行うターボ冷凍機を用いて説明したが、ヒートポンプ運転も可能なヒートポンプ式ターボ冷凍機に本発明を適用しても良い。
1a 制御装置
3 インバータ装置
3a インバータ制御部
5 ターボ圧縮機(電動式圧縮機)
7 電動モータ
8 蒸発器
13 凝縮器
14 ホットガスバイパス弁
35 入口ベーン
S 積算値
St 負荷制限閾値
Scr 強制制限値
Ssd 対応上限値
Claims (11)
- インバータ装置によって駆動され、冷媒を圧縮する電動式圧縮機と、
該電動圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
該凝縮器によって凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、
該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
冷熱出力および/または温熱出力を制御する制御装置と、
所定演算に基づき機器保護のために前記インバータ装置を停止する保護機能を有し、前記制御装置の指示に基づき、前記電動式圧縮機の回転数を制御するインバータ制御部と、を備えた熱源機において、
前記制御装置は、前記インバータ制御部の前記保護機能の演算結果を推定するインバータ保護機能推定部を備えていることを特徴とする熱源機。 - 前記制御装置は、前記インバータ保護機能推定部によって、前記インバータ制御部の前記保護機能による停止動作に近づいていると判断された場合には、前記インバータ装置の負荷を低減させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
- 当該熱源機の容量制御を行うことにより、前記インバータ装置の負荷を低減させることを特徴とする請求項2に記載の熱源機。
- 前記インバータ制御部の前記保護機能の所定演算は、前記インバータ装置から前記電動式圧縮機に出力される出力電流が極性判別値を上回ると加算され、該出力電流が極性判別値を下回ると減算され、これらの積算値が上限値に達するとインバータ停止条件となるものとされ、
前記インバータ保護機能推定部は、前記インバータ装置から前記出力電流値および前記極性判別値を取得して、前記加算および前記減算を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱源機。 - 前記インバータ保護機能推定部は、前記インバータ装置の前記上限値に対応する対応上限値に前記積算値が到達する前に、前記制御装置によって当該熱源機を制御することにより前記インバータ装置の負荷を制限する負荷制限閾値を備えていることを特徴とする請求項4に記載の熱源機。
- 前記インバータ保護機能推定部は、前記負荷制限閾値と前記対応上限値との間に、当該熱源機の能力を強制的に減じる強制制限値を備えていることを特徴とする請求項5に記載の熱源機。
- 前記対応上限値は、前記インバータ装置の前記上限値よりも小さい値とされ、該対応上限値に到達した場合に、当該熱源機の停止動作を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の熱源機。
- 前記制御装置は、前記電動式圧縮機を駆動する前記インバータ装置の出力電流値が第1閾値を超えた場合に、当該熱源機を制御することにより前記インバータ装置の負荷を制限することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱源機。
- 前記制御装置は、前記出力電流値が前記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた場合に、当該熱源機の能力を強制的に減じることを特徴とする請求項8に記載の熱源機。
- 前記インバータ保護機能推定部は、前記インバータ制御部から前記保護機能の演算結果を取得することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の熱源機。
- 前記電動式圧縮機を駆動する前記インバータ装置と、
請求項1から10のいずれかに記載された複数台の熱源機とを備えていることを特徴とする熱源システム。
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