JP4939084B2 - 燃料電池用触媒材料、その製造方法、触媒膜、電極膜接合体および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用触媒材料、その製造方法、触媒膜、電極膜接合体および燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料として純水素、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メタノールまたは化石燃料からの改質水素などを直接用い、空気や酸素を酸化剤とする燃料電池に関するものであり、特に固体高分子型燃料電池において用いられる触媒材料、電極膜接合体および燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、イオン伝導体すなわち電解質が固体で、かつ高分子である点に特徴を有する燃料電池であるが、その固体高分子電解質としては、具体的にイオン交換樹脂が使用され、この電解質をはさんで負極および正極の両電極を配置し、例えば、負極側に燃料として水素を、正極側に酸素または空気を供給することによって電気化学反応を起こさせ、電気を発生させるものである。
すなわち、水素を燃料とした場合、負極では次式の反応が起こり、
2→2H++2e-
また、酸素を酸化剤とした場合、正極では次式の反応が起こり、水が生成される。
1/2O2+2H++2e-→H2
上記の反応を円滑に進行させ、燃料電池の性能を最大限に発揮させるためには、電極触媒層中で、プロトン伝導体であるイオン交換樹脂、電子伝導体であるカーボン担体および反応ガスが同時に接触する三相界面に、触媒(白金等)が存在する必要がある。そのため、これまでにも触媒層構造を高機能化して、三相界面に存在する触媒量を増やそうとする試みが行われてきた。例えば、固体高分子電解質としてスルホン化フッ素樹脂の一種であるナフィオン117(ナフィオン:登録商標)(Du Pont社製)を用い、その内表面に白金等を担持した貴金属触媒を用い、さらに、触媒層の反応サイトを三次元化して作用面積を向上させる手法が開示されている(非特許文献1)。この手法によると、電解質と膜の接触面のみならず、触媒層内部の触媒も利用できるようになり、この触媒層により白金の利用率を向上させることができる。
また、より高機能な電極設計の基礎として、電極構造の細孔分布について検討がなされ、触媒層は、直径0.04〜1.0μmの細孔部を有し、この細孔部にプロトン伝導性電解質を分布させることが有効であることが記載されている(特許文献1)。
さらに、これらの触媒層は、直径0.04μmを境に細孔が変化しており、直径0.02μm〜0.04μmの細孔を1次細孔、直径0.04μm〜1μmの細孔を2次細孔とされている(非特許文献2)。すると、ナフィオンのようなフッ素系高分子は、その分子量の大きさから直径0.04μm以下のような細孔に進入できず、そのような細孔中の触媒粒子は三相界面が形成されないため、反応場にならない。
そこで、上記で述べた様な、固体高分子電解質が進入するのが困難な、孔の小さい(例えば、直径0.04μm以下)細孔中に存在する触媒粒子を有効に利用する方法が種々検討されている。例えば、水素を燃料とする燃料電池のカソード触媒材料の作製方法として、触媒担体であるカーボンブラックの表面にスルホン酸部位あるいはスルホン酸基含有ポリマーをグラフトすることで、一次細孔中にもプロトン伝導部位を導入し、一次細孔中の触媒粒子に三相界面を形成させる方法が開示されている(非特許文献3)。しかし、非特許文献3において、グラフトされるポリマーの重量が多くなると、グラフトポリマーがカーボン細孔を埋めて酸素透過性が低下し、高電流密度領域にて出力が低下するため、導入可能なプロトン伝導部位の量が制限されるといった問題が存在する。
「電気化学」第53巻第10号(1985)、812〜817頁 J. Electrochemical Society 第142巻 第2号 463頁 Journal of Power Sources 138巻、25頁 (2004年) 特許第3275652号公報
電極触媒を高性能化するためには、触媒担体であるカーボンブラックの細孔中に、プロトンと酸素を効果的に供給する必要がある。しかし、前述のように、プロトン伝導性向上のためにイオン官能基含有ポリマーを多くグラフトすると、酸素透過性が低下するため出力が上がらないといった問題があった。カーボン細孔中でのプロトン伝導性と酸素透過性の向上を両立することが本件の課題である。
1つのイオン官能基含有ポリマーを、少なくとも2点以上の連結点によってカーボン材料と連結させることにより、イオン官能基含有ポリマーがカーボン材料の細孔中で広がるのを抑止し、カーボン表面の近傍に配置させることが可能になった。これにより酸素透過性を維持しつつ、プロトン伝導性を向上させることが可能になった。
具体的には、下記手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)カーボン材料と、該カーボン材料の表面と少なくとも2点以上の点で、耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基を介して連結している、イオン性官能基を有する耐加溶媒分解性および耐熱性ポリマー(X)とを含む、燃料電池用触媒材料。
(2)前記ポリマー(X)が、同一構造の連結基を介して、少なくとも2点以上の点で、前記カーボン材料の表面と連結している、(1)に記載の燃料電池用触媒材料。
(3)前記ポリマー(X)が、異なる構造の連結基を介して、少なくとも2点以上の点で、前記カーボン材料の表面と連結している、(1)に記載の燃料電池用触媒材料。
(4)前記カーボン材料が電極触媒を含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(5)前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(6)前記連結基の少なくとも1種が下記式(1)で表される連結基である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
式(1)
Figure 0004939084
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ2〜4価の連結基を表し、Ar1は芳香族炭化水素および/またはヘテロ環を含む2〜6価の連結基を表し、n1、n2およびn3はそれぞれ0以上の整数であり、n1とn2とn3との和は1以上の整数である。n4は1〜10の整数であり、n5は1〜3の整数である。Lcはカーボン材料側と連結する連結箇所を、Lpは前記ポリマー(X)側と連結する連結箇所を表す。)
(7)前記ポリマー(X)は、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
(上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
(8)前記ポリマー(X)の主鎖部分が、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、ポリフェニレンスルフィド系化合物、ポリフェニレンエーテル系化合物、ポリスルホン系化合物またはポリエーテルケトン系化合物である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(9)前記ポリマー(X)の主鎖部分が、下記式(6)で表される繰り返し単位を含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環に、下記式(7)で表される部分構造および/または下記式(8)で表される部分構造が結合している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
Figure 0004939084
(式(6)中、W11、W12およびW13はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。式(7)中、B3は単結合または2〜6価の連結基を表し、A2はイオン性官能基を表し、n7は1〜5の整数である。式(8)中、E2は酸素透過性の高い置換基を表す。)
(10)少なくとも2つ以上のラジカル発生基を有するポリマーからラジカルを発生させ、カーボン材料に前記ラジカルを捕捉させることにより、ポリマー−カーボン材料間を少なくとも2点以上で連結させることを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料の製造方法。
(11)耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基を有するポリマーを、該連結基を介してカーボン材料に連結させ、前記ポリマーに少なくとも1つ以上のラジカル発生基を導入してラジカルを発生させ、前記カーボン材料に前記ラジカルを捕捉させることにより、ポリマー−カーボン材料間を少なくとも2点以上で連結させることを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料の製造方法。
(12)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料と、固体電解質を含む触媒膜。
(13)第一の燃料電池用触媒材料と、第二の燃料電池用触媒材料と、固体電解質を含む触媒膜であって、前記第一の燃料電池用触媒材料は、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料であり、前記第二の燃料電池用触媒材料は、カーボン表面に、イオン性官能基を有する耐加溶媒分解性および耐熱性ポリマーを有さない燃料電池用触媒材料である、触媒膜。
(14)前記固体電解質が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーを含む、(12)または(13)に記載の触媒膜。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
(上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
(15)多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒膜と、該触媒膜に接して設けられた固体電解質膜とを有し、かつ、前記触媒膜が、(12)〜(14)のいずれか1項に記載の触媒膜である、電極膜接合体。
(16)前記固体電解質膜が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーを含む、(15)に記載の電極膜接合体。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
(上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
(17)(15)または(16)に記載の電極膜接合体を有する、燃料電池。
本発明により、高い触媒活性と高い耐久性を両立した燃料電池用触媒材料を製造することが可能になった。電極膜接合体が容易に作製でき、高い性能を有する燃料電池の作製が可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明における各種物性値は、特に述べない限り室温(例えば、25℃)における状態のものを示している。また、本発明における重合には、いわゆる共重合も含む趣旨である。従って、本発明でいう重合体には、共重合体も含む趣旨である。さらに、本願明細書において、アセチル基をAc、エチル基をEt、メチル基をMe、フェニル基またはフェニレン基をPhと示すことがある。
加えて、本発明における「膜」には、板状や平板状のもの等を含む趣旨である。
(1)本発明の燃料電池用触媒材料は、カーボン材料と、該カーボン材料の表面と、少なくとも2点以上の点で、耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基を介して連結している、イオン性官能基を有する耐加溶媒分解性および耐熱性ポリマー(X)とを含む。
ここで、少なくとも2点以上の点で連結しているとは、1つのポリマー(X)が、カーボン材料の表面と2箇所以上で繋がっていることをいう。尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、これ以外の連結態様でカーボン材料の表面と連結しているポリマーが存在することを排除するものではない。
ここで、1つのポリマー(X)とカーボン材料をつなぐ連結基部分の構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、連結基の一部は、カーボン材料またはポリマー(X)と兼ねる構成(例えば、カーボン材料またはポリマー(X)との連結点を含めて連結基となる構成)であってもよい。
耐加溶媒分解性を有する基とは、燃料電池の実働環境下における高温・強酸性条件下において加溶媒分解され易い(例えば、100℃、pH2以下の条件で、10%以上が加溶媒分解される)結合、例えば、エステル結合、アミド結合およびシロキサン結合などを含まない基を意味する。このような耐加溶媒分解性を有する連結基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、
Figure 0004939084
からなる群から選ばれる1つ以上の組み合わせからなる基が挙げられる。
ここで、脂肪族炭化水素基は飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、また、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。さらに、水素原子が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましい。脂肪族炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、イソブチレン基、−(CH2)nCH=CH−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である。)、−CH2CH2CH=CH−、C((CH2) n−)4(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)、−C((CH2n−)3(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)、−CH((CH2n−)2(nは、整数であり、好ましくは0〜6の整数である)が好ましい。
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環状の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。芳香族炭化水素基としては、トリフェニレン環、ピレン環、アントラセン環、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基が好ましく、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基がより好ましく、ベンゼン環を有する基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、3〜16が好ましく、3〜12がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。ヘテロ環基としては、具体的には、ピリジン環、フラン環、チエテン環、トリアジン環を有する基が好ましく、トリアジン環を有する基がさらに好ましい。
耐加溶媒分解性を有する基の好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、−CH2−O−(CH2n−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、−CH2CH=CH−、−CH2CH2CH=CH−、C((CH2) n−)4(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−C((CH2n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−CH((CH2n−)2(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、ならびに、これら(前記基を2以上組み合わせた基を含む)と−CO−、−SO−、−CS−、−SO2−、
Figure 0004939084
の1つ以上との組み合わせが挙げられる。
耐熱性を有する基としては、燃料電池の実働環境下における高温条件下(例えば、100℃以上)でも安定に存在する基を意味する。例えば、イオン性官能基がスルホ基の場合において、スルホ基が芳香族環に直接結合していると、このスルホ基は解離平衡状態にあるため、高温下において経時で脱離することが知られており(Coll.Czech.Chem.Commun.、第9巻、465頁(1937))、芳香族環への単結合は耐熱性を有しているとは言えない。よって、ここで耐熱性を有する基としては、芳香族環への単結合を除く全ての有機基のことを表す。ただし、芳香族環へ単結合を介しスルホ基が連結している場合でも、該芳香族環に電子吸引性基が存在する場合には、スルホ基の耐熱性が向上することが知られている(NEDO成果報告書100004243 「平成15年度成果報告書 固体高分子形燃料電池システム技術開発事業 固体高分子形燃料電池要素技術開発等事業 固体高分子形燃料電池用高耐久性炭化水素系電解質膜の研究開発」)。よって、芳香環へ単結合を介しスルホ基が連結している場合でも、該芳香環上の該スルホ基を除く置換基の置換基定数σの和がある値以上であれば、そのスルホ基は耐熱性を有するとみなすことができる。耐熱性を有するための該置換基定数σの和は0.3以上であることが好ましく、0.35以上であることがさらに好ましく、0.4以上であることが最も好ましい。なお、スルホ基に対しオルト位に位置する置換基の置換基定数は、パラ位の値を代用するものとする。
以下、上記の耐熱性を有する連結基の条件を満たすものを、条件Bということがある。
耐熱性を有する連結基の好ましい例としては、前記耐加溶媒分解性を有する連結基の好ましい例中から、芳香族基に単結合を介してイオン性官能基が連結する場合(上記置換基定数σに関する条件を満たすものは含まない)を除いたものが挙げられる。
(2)本発明の燃料電池用触媒材料に用いられるカーボン材料(触媒担持カーボン材料)は、特に定めるものではなく、公知のカーボン材料を用いることができ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン(CNH)、フラーレン、黒鉛が好ましく用いられる。カーボンブラックおよびカーボンナノチューブは、表面上に存在する官能基を起点としてイオン性官能基を導入できるため、特に好ましく用いることができる。
カーボンブラック
本発明で用いられるカーボンブラックは、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する微粉であって、球状または鎖状の炭素であり、製法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどがある。これらは、それぞれ粒子サイズ、酸素含有量、揮発成分、比表面積、微細構造などが異なり、最新カーボンブラック技術大全集、第四章(2005年 技術情報協会刊)に記載がある。本発明においては上記のカーボンブラックの1種または2種以上を使用可能であり、また、ケッチェンブラック、Vulcan XC−72などの市販品も使用することができる。
カーボンブラック表面には、フェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン型カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が存在し、これらの官能基を利用してカーボンブラック表面上にポリマーを導入することができる。これらの官能基は、元々カーボンブラック表面に存在するものに加え、酸化処理を施すことによって、その数を増やすことができる。酸化処理の方法としては、コロナ放電、プラズマ処理、気相酸化、液相酸化などが挙げられ、これらの方法から1つ以上の方法を用いて酸化処理を行い、カーボンブラック表面の官能基数を増やすことが好ましい。気相酸化における酸化剤としては、分子状酸素、原子状酸素、オゾン、乾燥空気、湿潤空気が挙げられ、可能な限りこれらを2種類以上組み合わせて使用してもよい。液相酸化における酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリウム、亜塩素酸、塩素酸および過塩素酸の各ナトリウム塩、酸素飽和水、オゾン水溶液、臭素水溶液、次亜塩素酸ナトリウム、クロム酸カリウムとリン酸の混合水溶液、重クロム酸銀と硫酸の混合物などが挙げられる。
カーボンブラック表面のカルボキシル基、ラクトン基に関しては、そのままの形では、耐熱性・耐加溶媒分解性の小さいエステル結合やアミド結合を介したポリマー導入しか行えないため、還元してヒドロキシメチル基とし、該ヒドロキシメチル基を利用して上記セグメントを導入することが好ましい。
また、カーボンブラックは強力なラジカル捕捉剤として作用することが知られており(例えば、N.Tsubokawaらの研究報告、J. Polym. Sci., Part A:Polym. Chem., 36巻、3165頁(1998年)など)、例えばアゾ基の熱分解などで生じた炭素ラジカルを捕捉し、耐加溶媒分解性および耐熱性に優れる炭素−炭素結合あるいは炭素−酸素結合を形成する。よってこのようなラジカル捕捉性を利用してポリマーを導入することもできる。
カーボンナノチューブ
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、その表面にカルボキシル基を有し、このカルボキシル基を起点としてカーボンナノチューブ表面にイオン性官能基を導入することができる。また、酸化処理により表面上のカルボキシル基の数を増やすことができるため、本発明に用いる場合には酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理の方法としては、硝酸による酸化反応を用いるのが好ましい。
カーボンナノチューブ表面のカルボキシル基は、そのままの形では、耐熱性・耐加溶媒分解性の小さいエステル結合やアミド結合を介したポリマー導入しか行えないため、還元してヒドロキシメチル基とし、該ヒドロキシメチル基を利用してポリマーを導入することが好ましい。
また、カーボンナノチューブもラジカル捕捉剤として作用することが知られており(例えば、A.Adronovらの研究報告、Macromolecules、 38巻、1172頁(2005年)など)、例えばアゾ基の熱分解などで生じた炭素ラジカルを捕捉し、耐加溶媒分解性および耐熱性に優れる炭素−炭素結合あるいは炭素−酸素結合を形成する。よってこのようなラジカル捕捉性を利用して親水性セグメントおよび疎水性セグメントを導入することもできる。
(4)耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基の詳細な説明
前記耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基は、式(1)で表される連結基であることが好ましい。
式(1)
Figure 0004939084
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ2〜4価の連結基を表し、Ar1は芳香族炭化水素および/またはヘテロ環を含む2〜6価の連結基を表し、n1、n2およびn3はそれぞれ0以上の整数であり、n1とn2とn3との和は1以上の整数である。n4は1〜10の整数であり、n5は1〜3の整数である。Lcはカーボン材料側と連結する連結箇所を、Lpは前記ポリマー(X)側と連結する連結箇所を表す。)
ここで、式(1)中、R1およびR2はそれぞれ、脂肪族炭化水素基、−O−、
Figure 0004939084
からなる群から選ばれる1以上の組み合わせからなる基であることが好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、また、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。さらに、水素原子が、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜24が好ましく、1〜6がより好ましい。
1およびR2の好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、イソブチレン基、−CH2−O−(CH2n−(nは、0以上の整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、C((CH2) n−)4(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−C((CH2n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−CH((CH2n−)2(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、ならびに、これら(前記基を2以上組み合わせた基を含む)と、−O−、−CO−、−SO−、−CS−、−SO2−、
Figure 0004939084
の1つ以上との組み合わせが挙げられる。
1およびR2は特に好ましくは、−O−、−CH2−、−O(CH2n−、−O(CH2nO−、−SO2−、−CO−または、これらの2以上の組み合わせからなる基である。
式(1)中、Ar1は、好ましくは、芳香族炭化水素基またはヘテロ環基、ならびにこれらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CS−、−SO2−の1つ以上の組み合わせから構成される基である。
ここで、芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
Ar1としては、具体的には、トリフェニレン環、ピレン環、アントラセン環、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基、ならびにこれらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CS−、−SO2−の1つ以上からなる組み合わせ、または、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、トリアジン環を有する基を有する基、ならびにこれらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CS−、−SO2−の1つ以上からなる組み合わせが好ましい。
式(1)中、n1、n2およびn3はそれぞれ0〜5の整数であることが好ましく、それぞれ0または1であることがさらに好ましい。n1とn2とn3の和は、1〜10の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがさらに好ましく、1〜3の整数であることが特に好ましい。n1、n2またはn3が2以上である場合、2以上のR1、Ar1およびR2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(1)中、n4は、1〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましい。n4が2以上の場合、2以上のR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
5は1または3が好ましい。n5が2以上の場合、2以上のR1、Ar1およびR2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
尚、Lcは、該連結基とカーボン材料との連結箇所を表す記号であり、具体的な基が存在するわけではない。同様に、Lpは該連結基とポリマーとの連結箇所を表す記号であり、具体的な基が存在するわけではない。
連結基とカーボン材料との連結部は、炭素原子、酸素原子または硫黄原子を介して連結していることが好ましく、耐加溶媒分解性および耐熱性を有する化学結合により構成されていることが好ましい。耐加溶媒分解性および耐熱性を有する化学結合としては、炭素−炭素単結合、エーテル結合、炭素−SO2結合、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合およびチオエーテル結合が好ましく、炭素−炭素単結合、エーテル結合および炭素−SO2結合がさらに好ましい。
より具体的には、本発明で採用するカーボン材料がカーボンブラックの場合には、カーボンブラック表面上に存在するフェノール性水酸基由来の酸素原子と式(1)中のR1由来の炭素原子で形成されるエーテル結合、該フェノール性水酸基のオルト位の炭素原子とR1の炭素原子とで形成される単結合、カーボンブラック上のカルボキシル基を還元することで得られるヒドロキシメチル基由来の酸素原子とR1の炭素原子とで形成されるエーテル結合、カーボンブラック表面上に存在するキノン性カルボニル酸素原子と式(1)中のR1由来の炭素原子とで形成されるエーテル結合、カーボンブラック上の炭素原子とR1の炭素原子とで形成される単結合が特に好ましい。カーボン材料がカーボンナノチューブの場合には、カーボンナノチューブ上のカルボキシル基を還元することで得られるヒドロキシメチル基由来の酸素原子とR1の炭素原子とで形成されるエーテル結合が特に好ましい。
また、カーボン材料とR1を連結する際には、カーボン材料に存在する炭素原子を介してR1と連結する方法と、カーボン材料に存在する酸素原子を介してR1と連結する方法の2通りの方法が存在するが、本発明においては、いずれの方法も好ましく用いることができる。
式(1)で表される連結基の総炭素数は、0〜60が好ましく、0〜50がより好ましく、0〜40がさらに好ましい。
また、本発明の燃料電池用触媒材料中には、式(1)で表される連結基が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
以下に、式(1)で表される連結基を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
Figure 0004939084
Figure 0004939084
(5)ポリマー(X)のカーボン材料への連結方法
ポリマー(X)をカーボン材料へ連結する際には、大別して以下の3つの反応が用いられる。
(1)求核置換反応
カーボン材料表面に存在するフェノール性水酸基を塩基性条件下で反応させ、エーテル結合を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入する方法が採用できる。
(2)求電子芳香核置換反応
カーボン材料表面に存在する芳香族性C−H結合を有する部位をルイス酸触媒下で反応させ、種々の結合様式を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入する方法が採用できる。
(3)ラジカルトラッピング反応
カーボンブラックやカーボンナノチューブなどのカーボン材料は、強力なラジカル捕捉剤として作用することが知られており(例えば、N.Tsubokawaらの研究報告、J. Polym. Sci., Part A:Polym. Chem., 36巻、3165頁(1998年)など)、これを連結反応に用いることができる。すなわち、カーボン材料表面に存在する芳香族性C−H結合を有する部位およびキノン性カルボニル部位と、ポリマー(X)上で発生させたラジカルを反応させ、種々の結合様式を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入することができる。反応後にはカーボン材料の不対電子密度が増加し、ESRスペクトル面積が反応前に比べ増加することが知られており(例えば、Chemistry and Industry,1961, 1532−1533)、ESRスペクトル測定により反応の進行が確認できる。
Figure 0004939084
(上式中、CBはカーボン材料の一部を表す。)
上記反応はいずれも好ましく用いることができる。特に、一度の反応にてポリマー(X)−カーボン材料間に複数の連結点を形成する場合、カーボン材料の表面上の反応サイト数が多く、かつ反応の活性化エネルギーの小さいラジカルトラッピング反応が好ましく用いられる。
ポリマー(X)を複数の連結点を介してカーボン材料の表面に連結する方法としては、具体的には、以下の2つの方法が存在する。
(方法α)
ポリマー(X)に複数の連結部位を導入後、カーボン材料と反応させ、一度に複数の連結基を介してカーボン材料に連結する方法である。
(方法β)
ポリマー(X)とカーボン材料を一つの連結基を介して連結させ、連結されたポリマー(X)にさらに複数の連結部位を導入し、2段目の反応によりさらに複数の連結点を形成する方法である。
方法αを用いることにより、簡便にポリマー(X)を複数の連結基を介しカーボン材料に導入することができる。また、方法βを用いることで反応のステップ数が増えるものの、確実で且つより多くの連結点でポリマー(X)を連結することができる。これらの方法はそれぞれ一長一短があり、状況に応じて適宜使い分けることが好ましい。また、方法βにおいて、一段目の反応と二段目の反応とで、同種の連結反応を用いても、異種の反応を用いてもいずれでもよいが、異種の反応を用いる方が、二段目の反応に用いられるカーボン材料上の反応サイト数が多く、より好ましい。
(6)ポリマー(X)
本発明のポリマー(X)は耐加溶媒分解性および耐熱性を有する基およびイオン性官能基を有する。耐加溶媒分解性および耐熱性は、上記連結基におけるこれらと同義であり、具体例その他も同様である。
本発明の、イオン性官能基部位を除いたポリマー骨格は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、−O−、
Figure 0004939084
からなる基から選ばれる1つ以上の組み合わせから構成されることが好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、また、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。さらに、水素原子が、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜24が好ましく、1〜6がより好ましい。
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピレニル基、アントラニル基、フルオレニル基、フェナントロニル基が好ましく、ナフチル基、ビフェニル基がさらに好ましく、フェニル基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、 置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
ヘテロ環基は、ピリジル基、フリル基、チエニル基が好ましく、トリアジニル基がさらに好ましい。
本発明で用いるポリマー(X)における、イオン性官能基は、カチオン性またはアニオン性のいずれでもよいが、アニオン性のイオン官能基であることが好ましい。
カチオン性のイオン官能基としては、スルホニウム基、ヨードニウム基、チオロニウム基、ホスホニウム基、ピリジル基、アンモニウム基が好ましく、ピリジル基、アンモニウム基がより好ましい。ピリジル基、アンモニウム基の具体的な例としては、−(ジメチルセチル)アンモニウム基、−(ベンジルジブチル)アンモニウム基、−(ベンジルジエチル)アンモニウム基、−(ジメチルドデシル)アンモニウム基、−(ジデシルメチル)アンモニウム基、−(ステアリルジメチル)アンモニウム基、−(ラウリルジメチル)アンモニウム基、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基、−(トリヘプチル)アンモニウム基、−(ブチルジエチル)アンモニウム基、−(フェニルジエチル)アンモニウム基、−(2−メチル)ピリジル基、−(3−メチル)ピリジル基、−(4−メチル)ピリジル基が好ましく、−(ステアリルジメチル)アンモニウム基、−(ラウリルジメチル)アンモニウム基、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基、−(トリヘプチル)アンモニウム基、−(ブチルジエチル)アンモニウム基、−(フェニルジエチル)アンモニウム基、−(2−メチル)ピリジル基、−(3−メチル)ピリジル基、−(4−メチル)ピリジル基がより好ましく、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基が特に好ましい。
また、対アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオンが好ましく、水酸化物イオンが特に好ましい。
アニオン性のイオン官能基としては、パーフルオロスルホ基、スルホ基、ホスホン酸基、カルボン酸基が好ましく、スルホ基、ホスホン酸基がより好ましい。
また、対カチオンとしては、カルシウムイオン、バリウムイオン、四級アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、プロトンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、プロトンがさらに好ましく、プロトンが特に好ましい。
イオン性官能基は、ポリマー(X)の繰り返し単位1つにつき、少なくとも1つ以上存在することが好ましく、繰り返し単位1つにつき、2つ以上存在することがさらに好ましい。
ポリマー(X)の重量平均分子量は500〜100万であることが好ましく、1000〜20万であることがさらに好ましく、3000〜10万であることが特に好ましい。
ポリマー(X)中のイオン官能基濃度はイオン交換容量として測定することができ、0.1〜7meq/gが好ましく、0.5〜5meq/gがより好ましく、1〜3meq/gがさらに好ましい。イオン官能基濃度を、0.1meq/g以上とすることにより、プロトン伝導性をより高めることができ、7meq/g以下とすることにより、耐久性および機械的強度をより高めることができる。
本発明で採用するポリマー(X)は、主鎖部分が式(2)で表される繰り返し単位を含み、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が、前記主鎖の芳香環に結合していることが好ましい。以下、このようなポリマーをポリマー系列Aとする。
ここで、ポリマー系列Aにおいて、式(2)で表される繰り返し単位は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。式(3)、式(4)および式(5)の部分構造についても、それぞれ、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
ポリマー系列Aは、例えば、式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造を主鎖の芳香環に導入する、または、下記式(13)で表される化合物と、下記式(14)で表される化合物と、下記式(15)で表される化合物の少なくとも1種を重合することにより得られる。
式(13)
Figure 0004939084
(式(13)中、X4は単結合または2価の連結基であり、R6およびR7はそれぞれ芳香環を含む基を表す。B6およびB7はそれぞれ単結合または2〜6価の連結基を表す。A5およびA6はそれぞれイオン性官能基である。n19およびn20はそれぞれ1〜5の整数を表し、n21およびn22はそれぞれ0〜4の整数を表し、n21とn22の和は2以上の整数である。Z1およびZ2は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。)
式(14)
Figure 0004939084
(式(14)中、Z3およびZ4は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表し、R8は芳香環を含む基を表す。)
式(15)
Figure 0004939084
(式(15)中、X5は単結合または2価の連結基であり、R9およびR10はそれぞれ芳香環を含む基を表す。E6、E7およびE8はそれぞれ酸素透過性の高い置換基を表す。n23、n24およびn25はそれぞれ0〜4の整数を表し、n23とn24とn25の和は1以上である。Z5およびZ6は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。)
また、ポリマー(X)は、主鎖部分が式(6)で表される繰り返し単位を有し、式(7)または式(8)が、主鎖の芳香環に結合していることが好ましい。以下、このようなポリマーをポリマー系列Bとする。
ポリマー系列Bは、例えば、式(6)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される少なくとも1つの部分構造を主鎖の芳香環に導入する、または、下記式(16)で表される化合物と、下記式(17)で表される化合物を重合することにより得られる。
Figure 0004939084
(式(16)および(17)中、W21、W22、W23、W24、W25およびW26はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、B8は単結合または2〜6価の連結基を表し、A7はイオン性官能基を表し、n26は1〜5の整数を表し、n27は1〜5の整数を表す。E10は酸素透過性の高い置換基を表し、n28は1〜5の整数を表す。)
以下、両ポリマー系列の繰り返し単位およびこれらを形成するための化合物について詳細に説明する。
ポリマー系列Aの構造
Figure 0004939084
Figure 0004939084
(上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
式(2)中、R3は芳香環を構成する炭素原子の総数は1〜50が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。また、芳香環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。また、R3の芳香環は、ベンゼン環およびベンゼン環が縮環したものからなることが好ましい。
以下にR3の好ましい構造を例示する。これらの中で、(C−1)、(C−2)、(C−4)、(C−5)、(C−8)、(C−12)が好ましく、(C−1)、(C−4)がさらに好ましい。
Figure 0004939084
式(2)中、X1は、−C(R91101)−、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−からなる群より選ばれる基の1つ以上からなる2価の基を表す。ここで、R91およびR101はそれぞれ、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、メトキシエチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル基、アリル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26、例えばフェニル基、2−ナフチル基)を表し、これらに含まれる水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
91およびR101は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ネオペンチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ネオペンチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、フェニル基がさらに好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基がさらに好ましい。
1の好ましい例としては、−C(tert−Bu)2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−が挙げられる。
式(2)で表される繰り返し単位としては、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、ポリフェニレンスルフィド系化合物、ポリフェニレンエーテル系化合物、ポリスルホン系化合物またはポリエーテルケトン系化合物より構成されていることが好ましい。これらの中でも、酸化耐性に優れるポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリスルホン系化合物由来であることが特に好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖において、式(2)で表される繰り返し単位で表される繰り返し単位の総数は、2〜1000が好ましく、10〜500がより好ましく、10〜200が特に好ましい(以下、条件「A」ということがある)。
以下に、式(2)で表される繰り返し単位の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。なお、化合物群中、nは各化合物の繰り返し単位数を表し、nの好ましい範囲は、条件「A」に記載の好ましい範囲に該当するよう適宜定められる。
Figure 0004939084
式(3)中、B1は、単結合または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、−O−、
Figure 0004939084
からなる群から選ばれる1つ以上の組み合わせからなる基が好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、水素原子は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がさらに好ましい。
芳香族炭化水素基は、環上の水素原子が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピレニル基、アントラニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェニル基が好ましく、ナフチル基、ビフェニル基、フェニル基がさらに好ましく、フェニル基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、環上の水素原子が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピリジル基、フリル基、チエニル基、トリアジニル基が好ましく、トリアジニル基がさらに好ましい。
1が単結合の場合は、耐熱性の観点から、上述した条件「B」に記載の好ましい条件を満たしている必要がある。
1の好ましい例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、−CH2−O−(CH2)n−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、−CH2CH=CH−、−CH2CH2CH=CH−、C((CH2) n−)4(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−C((CH2n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−CH((CH2n−)2(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、ならびに、これら(前記基を2以上組み合わせた基を含む)と−CO−、−SO−、−CS−、−SO2−、−O−、
Figure 0004939084
の1つ以上との組み合わせが挙げられる。
式(3)中、A1は、上述のイオン性官能基の記載と同義であり、好ましい範囲も同義である。
式(3)中、n6は、1〜3が好ましい。n6が2以上のとき、それぞれのA1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(3)のポリマー主鎖への導入量は、導入されたイオン性官能基の含量が、0.1meq/g〜7meq/gとなる量であることが好ましく、0.5meq/g〜4meq/gとなる量であることがさらに好ましく、1meq/g〜3meq/gとなる量であることが特に好ましい。
以下に、式(3)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004939084
式(4)中、B2は、式(3)のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
式(4)中、Dが有する、イオン性官能基は、上述のイオン性官能基と同義であり、好ましい範囲も同義である。また、ラジカル重合性モノマーの重合物とは、2以上のラジカル重合性モノマーが重合して得られる重合体をいう。Dの好ましい例としては、式(6)で表される繰り返し単位を持つ主鎖を有し、式(7)または式(8)が、側鎖として、主鎖の芳香環に結合した重合物(Y)が挙げられる。B2が3価以上の連結基の場合、Dは複数の箇所において、B2と結合していてもよいし、Dが複数存在していてもよい。
Dの主鎖への導入量としては、導入されたイオン性官能基の含量が、0.1meq/g〜7meq/gとなる量であることが好ましく、0.5meq/g〜4meq/gとなる量であることがさらに好ましく、1meq/g〜3meq/gとなる量であることが特に好ましい。
式(5)中、E1は酸素透過性の高い置換基を表す。ここで、酸素透過性の高い置換基とは、置換基のパーマコール値が負である置換基のことをいう。置換基のパーマコール値については、M.Salame著 ACS Polymer Preprints 8,137(1967)などに記載されている。E1のパーマコール値は−10/N以下であることが好ましく、−20/N以下であることがさらに好ましく、−50/N以下であることが特に好ましい。ここで、Nはポリマー主鎖を構成する構成単位の総数を表し、上記文献に記載のNと同義である。より具体的には、E1は3つ以上の炭素原子により構成されているものが好ましい。また、E1は、低極性の置換基であることが好ましく、ケイ素原子、フッ素原子を含むものが特に好ましい。2つの繰り返し単位上に存在するE1の総炭素数は、3〜60が好ましく、5〜40がさらに好ましく、6〜30が特に好ましい。
1は、例えば、アルキル基(n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ベンジル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシペンチル基)、アルコキシ基(エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基)、アルケニル基(アリル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ニトロフェニル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基)、アルキニル基(2−プロピニル基、1,3−ブタジイニル基、2−フェニルエチニル基)、ならびにこれらとメチロール基の1つ以上の組み合わせであり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、メチルオキシアルキル基、メチルオキシアルケニル基、メチルオキシシクロアルキル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、メチルオキシアルキル基、メチルオキシシクロアルキル基が特に好ましく、これらの置換基のメチレン鎖中にエーテル構造またはケイ素原子が含まれる物(エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、3−トリメチルシリルプロピル基、2−トリメチルシリルエチル基、6−トリエチルシリルヘキシル基、トリエチルシリルプロピル基)はとりわけ好ましい。
これらの置換基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンンスルホニル基)が挙げられる。
ポリマー系列Aのポリマーの重量平均分子量は、500〜20万であることが好ましく、1000〜10万であることがさらに好ましく、1500〜5万であることが特に好ましい。
ポリマー系列Aの製造方法およびカーボン材料への導入法
ポリマー系列Aの製造方法としては、1.式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(3)、式(4)および/または式(5)で表される部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法(以後この方法を方法A−1とする。)、および2.式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物の少なくとも1種を重合させる工程を含む方法(以後この方法を方法A−2とする。)が好ましい。また、ポリマー系列Aのカーボン材料への連結法は、ポリマー系列Aの製造方法としてA−1を用いる場合とA−2を用いる場合では異なる。以下、ポリマー系列Aの製造方法A−1、製造方法A−2およびそれぞれの製法を用いた際のポリマー系列Aのカーボン材料への連結法について詳しく説明する。
方法A−1
方法A−1は、式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法である。ここで、主鎖部分の形成方法としては、"第四版 実験化学講座、29巻、4.1 耐熱性材料"にあるような公知の方法を用いることが好ましい。また、市販のポリマーを主鎖として利用することもできる。
式(3)で表される部分構造の主鎖への導入法としては、例えば、イオン官能基がスルホ基の場合には、後述するクロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化ポリマーとし、次いでハロゲン部位をアセチルチオ化した後、酸化してスルホ基にする方法、またはハロゲノメチル化ポリマーと亜硫酸ナトリウムを反応してスルホ基にする方法などが挙げられる。また、より炭素数の多いスルホアルキル基の場合には例えばCl−(CH2n−COCl(nは例えば2〜6)で示されるクロロ置換酸クロライドで常法、例えば塩化アルミニウムや塩化鉄などのルイス酸を用いたフリーデルクラフツ反応によりクロロ置換アシル基を導入し、次いでジメチルチオエーテルとチオ硫酸ナトリウムで、クロロ原子をスルホ基とした後、カルボニル基をヒドラジンで還元する方法またはJ.Org.Chem.45.2717(1980)に記載されている方法に準じて、芳香環の水素をリチウム化し、次いでジハロゲノアルカンでハロゲノアルキル化し、その後は上記の方法でクロロ原子をスルホ基に変換する方法などが挙げられる。
本発明において好ましいハロゲノメチル基を芳香環に導入(芳香環のハロゲノメチル化反応)するには、公知反応が広範囲に使用できる。例えば、クロロメチル化剤として、クロロメチルメチルエーテル、1,4−ビス(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−クロロブタンなどを用い、触媒として塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化チタンなどのルイス酸やフッ化水素酸などを用いてクロロメチル化反応を行うことにより、芳香環にクロロメチル基を導入することができる。溶媒には、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを用い、均一系で反応を行うことが好ましい。また、パラホルムアルデヒドと塩化水素または臭化水素などを用いてハロゲノメチル化反応を行うこともできる。
さらにスルホ基の導入方法としては、一般的な方法としては例えば下記に示されるようなスルトン類とルイス酸(例えば、AlCl3)を用いたフリーデルクラフツ反応(Journal of Applied Polymer Science, Vol. 36, 1753−1767, 1988)もまた用いることができる。
Figure 0004939084
フリーデルクラフツ反応を行う場合は、溶媒としては炭化水素(ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン、アセトフェノン等)、ハロゲン化アルキル(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン等)等を用いることができる。反応温度は、室温(例えば、18℃)から250℃の範囲で選べばよい。これらの反応において溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明のスルホン基含有高分子化合物の構造は、主鎖がポリスルホンの場合、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
式(4)で表される部分構造の主鎖への導入方法で、イオン官能基がスルホ基以外の場合には、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化ポリマーとし、ウィリアムソンエーテル合成を用い、各イオン性官能基含有成分をエーテル結合を介して導入する公知の方法が好ましく用いられる。
式(4)で表される部分構造の主鎖への導入法としては、主鎖に連結基を介してラジカル重合開始点を形成し、該開始点を利用して、式(16)および/または式(17)で表されるスチレン誘導体をモノマーに用いた、原子移動ラジカル重合あるいは安定フリーラジカル重合を行う方法が好ましく用いられる。連結基およびラジカル重合開始点は、前記記載の主鎖芳香族環のハロゲノアルキル化など、公知の方法を用いて形成することができる。
原子移動ラジカル重合の開始点としては、ハロゲノアルキル、ハロゲノベンジル、α−ハロケトン、α−ハロニトリル、スルホニルハライドなどが挙げられ、スルホニルハライド、ハロゲノベンジルが特に好ましい。「安定フリーラジカル重合の開始点」としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジニルオキシアルキル、N,N−ジ−tert−ブチルアミノオキシアルキル、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−オキシアルキル、N−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)アミノオキシアルキルなどが挙げられ、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキルが特に好ましい。
以下に、該連結基およびラジカル重合開始点の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。なお、化合物中Lpはポリマー主鎖との連結箇所を表す。
Figure 0004939084
ラジカル重合を行う際の溶媒としては以下のようなものが挙げられる。
1)エーテル系溶媒
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等。
2)非プロトン性アミド系溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等。
3)アミン系溶媒
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等。
上記の溶媒中で、特に好ましい溶媒は、上記2)項の非プロトン性アミド系溶媒と4)項のジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられ、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランは特に好ましい。また、これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
反応の雰囲気は窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンが用いられ特に制限はないが、不活性気体である窒素やアルゴンが特に好ましい。
式(5)で表される部分構造の主鎖への導入法としては、主鎖芳香族環のハロメチル化後、ウィリアムソンエーテル合成を用いる公知の方法を利用することができる。
方法A−1を用いてポリマー系列Aを合成する場合、カーボン材料へのポリマー連結法としては、例えば、(方法A1−1)〜(方法A1−3)で表される3通りの方法が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。以下、(方法A1−1)〜(方法A1−3)について詳細に説明する。
(方法A1−1)
方法A1−1は、前記方法にてポリマー主鎖の形成および式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造、およびカーボン材料との連結部位を導入し、該ポリマーをカーボン材料に連結する方法である。
(方法A1−2)
方法A1−2は、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行い、ポリマー主鎖を一つの連結点によってカーボン材料に連結後、カーボン材料との連結部位をさらに導入して二段目の連結反応を行い、その後式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造を導入する方法である。
(方法A1−3)
方法A1−3は、カーボン材料存在下で、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行うことにより、ポリマー主鎖の形成と1つの連結点によるカーボン材料への連結を同時に行い、その後、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造、およびカーボン材料との連結部位を導入し、二段目の連結反応を行う方法である。
方法A−2
方法A−2は、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を重合させる工程を含む方法である。ここで、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。これらの化合物について説明する。
式(13)
Figure 0004939084
(式(13)中、X4は単結合または2価の連結基であり、R6およびR7はそれぞれ芳香環を含む2〜6価の連結基を表す。B6およびB7はそれぞれ単結合または2〜6価の連結基を表す。A5およびA6はそれぞれイオン性官能基である。n19およびn20はそれぞれ1〜5の整数を表し、n21およびn22はそれぞれ0〜4の整数を表し、n21とn22の和は2以上の整数である。Z1およびZ2は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。)
式(13)中、X4は、好ましくは、単結合、または、−C(Q101202)−、−O−、−CO−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択される1つ若しくは2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。Q101およびQ202は、それぞれ、水素原子または置換基を表し、置換基としては、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、フェニル基が好ましい例として挙げられる。Q101とQ202は同一ある方が好ましい。
6およびR7は、芳香環を含む2〜6価の連結基であり、芳香環を構成する炭素原子の総数は1〜50が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。また、該芳香環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
以下にR6およびR7の好ましい構造を例示する。ここで、−B6−(A5)n19および−B7−(A6)n20との連結部位については特に構造式中に記載していないが、芳香環上のいずれかの位置で所望の個数が連結されていてもよいものとし、下記構造式においては2価の連結基の構造として示す。ここで、−B6−(A5)n19または−B7−(A6)n20はそれぞれ1〜4個連結しているのが好ましく、1〜2個連結しているのがさらに好ましく、1個連結しているのが特に好ましい。
これらの中で、(A−2)、(A−5)、(A−8)、(A−12)がさらに好ましく、(A−1)、(A−4)が特に好ましい。
Figure 0004939084
1およびZ2はそれぞれ水酸基、フッ素原子、塩素原子、メタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が好ましい。
6およびB7は、それぞれ、式(3)中のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
5およびA6は、式(3)中のA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
19およびn20は、好ましくは、それぞれ1〜4の整数を表し、n21およびn22は、好ましくは、それぞれ、1〜3の整数を表す。n21とn22の和は、好ましくは、2〜4である。n19〜n22が2以上であって、B6、B7、A5および/またはA6が2以上存在する場合、これらのB6、B7、A5および/またはA6は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
以下に、式(13)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
Figure 0004939084
Figure 0004939084
式(14)
Figure 0004939084
(式(14)中、Z3およびZ4は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表し、R8は芳香環を含む基を表す。)
式(14)中、R8は、好ましくは、芳香環を含む2価の連結基であり、式(2)中のR3と同義であり、好ましい範囲も同義である。
3およびZ4はそれぞれ水酸基、フッ素原子、塩素原子、メタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が好ましい。
式(14)で表される化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−プロピルハイドロキノン、2−ブチルハイドロキノン、2−ヘキシルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2−デカニルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,2'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−フルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジフルオロフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、パーフルオロビフェニル、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3'−ジフルオロベンゾフェノン、3,3'−ジクロロベンゾフェノン、3,3'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロ−3,3'−ジメチルベンゾフェノン、4,4'−ジクロロ−3,3'−ジメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
式(15)
Figure 0004939084
(式(15)中、X5は単結合または2価の連結基であり、R9およびR10はそれぞれ芳香環を含む基を表す。E6、E7およびE8はそれぞれ酸素透過性の高い置換基を表す。n23、n24およびn25はそれぞれ0〜4の整数を表し、n23とn24とn25の和は1以上である。Z5およびZ6は、それぞれ、水酸基、ハロゲン基、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。)
式(15)中、X5は式(2)のX1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
9およびR10は、好ましくは、芳香環を含む2〜6価の連結基であり、式(13)中のR6およびR7と同義であり、B6−(A5)n19およびB7−(A6)n20との連結部位をE6およびE8との連結部位に置き換えた他は、好ましい範囲もR6およびR7と同義である。
5およびZ6はそれぞれ水酸基、フッ素原子、塩素原子、メタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が好ましい。
23、n24およびn25はそれぞれ0〜4の整数を表し、n23とn24とn25の和は1以上である。
6、E7およびE8はそれぞれ酸素透過性の高い置換基を表し、それぞれ式(5)のE1に同義であり、好ましい範囲も同義である。
23、n24またはn25が2以上の場合、それぞれのE6、E7またはE8は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
以下に、式(15)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
Figure 0004939084
方法A−2を用いてポリマー系列Aを合成する場合、カーボン材料へのポリマー系列A連結法としては、例えば、(方法A2−1)および(方法A2−2)で表される2通りの方法が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。以下、(方法A2−1)および(方法A2−2)について詳細に説明する。
(方法A2−1)
方法A2−1は、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行った後、ポリマー系列A中にカーボン材料との連結部位を複数導入し、ポリマー系列Aをカーボン材料に複数の連結点を介して連結する方法である。
(方法A2−2)
方法A2−2は、カーボン材料存在下で、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行うことにより、ポリマー主鎖の形成と1つの連結点によるカーボン材料への連結を同時に行った後、ポリマー系列A中にカーボン材料との連結部位を複数導入し、二段目の反応でポリマー系列Aをカーボン材料に複数の連結点により連結する方法である。
ポリマー系列A中のカーボン材料との連結部位、および連結部位のポリマー系列Aへの導入法
ポリマー系列A中のカーボン材料との連結部位、および該連結部位のポリマー系列Aへの導入法としては、大別して以下の通りである。
(1)ハロゲノベンジル部位
ハロゲノベンジル部位はカーボン材料中の水酸基と求核置換により反応し、カーボン材料と連結する。また、ハロゲノベンジル部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990 に記載の触媒)存在下で炭素ラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
ハロゲノベンジル部位については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化することによって得られる。
(2)スルホニルハライド部位
スルホニルハライド部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990 に記載の触媒)存在下でラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
スルホニルハライド部位の導入法については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環にクロロスルホン酸などを作用させることによって得られる。
(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位
2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体のような、安定フリーラジカル重合に用いる開始剤を導入すれば、加熱により炭素ラジカルが発生し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。上記誘導体の好ましい例は、上述の「安定フリーラジカル重合の開始点」の好ましい例と同義である。
上記誘導体部位の導入法については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化し、求核置換反応によって上記誘導体を導入することができる。
(4)ジアゾニウム塩部位
カーボン材料存在下、アニリン誘導体よりジアゾニウム塩を形成すると、ジアゾニウム塩の分解により生じたラジカルがカーボン材料にトラップされることでカーボン材料と連結する。ジアゾニウム塩の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化し、求核置換反応によってアニリン誘導体を導入後、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法、または、ニトロ基を有するモノマーを用いてポリマー系列Aの主鎖形成を行い、酸性条件下で鉄によりニトロ基をアニリンに還元し、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法が挙げられる。
(5)過酸エステル部位
過酸エステルを加熱すると、脱炭酸反応と共に炭素ラジカルが生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。過酸エステルの導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖にカルボン酸を導入し、塩化チオニルにより酸塩化物を形成後、tert−ブチルハイドロパーオキシドなどの過酸化物と反応させる方法が挙げられる。
(6)アゾ化合物誘導体部位
アゾ化合物も加熱により分解して炭素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。アゾ化合物の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をハロゲノメチル化し、4、4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)などのアゾ化合物誘導体と反応させる方法が挙げられる。
(7)ヒドロキシル基含有部位
ヒドロキシル基含有部位は、酸性条件下、四価のセリウムイオンと反応して炭素ラジカル、または酸素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ヒドロキシル基含有部位の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をヒドロキシメチル化する方法が挙げられる。
上記連結基を反応形式で分類すると、求核置換反応による連結部位が(1)ハロゲノベンジル部位、ラジカルトラッピングによる連結部位が(1)ハロゲノベンジル部位、(2)スルホニルハライド部位、(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位、(4)ジアゾニウム塩、(5)過酸エステル、(6)アゾ化合物誘導体、(7)ヒドロキシル基含有部位であり、これらはいずれも好ましく用いることができる。また、(1)〜(7)の部位はいずれも容易にラジカルを生成することができ、以後(1)〜(7)の部位をラジカル発生基ということがある。(1)〜(7)の部位の導入量としては、式(2)で表される繰り返し単位8つに対し1つ以上導入されることが好ましく、式(2)で表される繰り返し単位4つに対し1つ以上導入されることがさらに好ましく、式(2)で表される繰り返し単位2つに対し1つ以上導入されることが特に好ましい。
ポリマー系列Bの構造
Figure 0004939084
(式(6)中、W11、W12およびW13はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。式(7)中、B3は単結合または2〜6価の連結基を表し、A2はイオン性官能基を表し、n7は1〜5の整数である。式(8)中、E2は酸素透過性の高い置換基を表す。)
式(6)中、W11、W12およびW13はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基が好ましい。
11、W12およびW13がハロゲン原子の場合、それぞれ、塩素原子またはフッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
11、W12およびW13がアルキル基の場合、それぞれ、直鎖、分岐鎖または環状アルキル基のいずれでもよく、その炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜6である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
11、W12およびW13がアリール基の場合、それぞれ、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。
11、W12およびW13がヘテロ環基の場合、それぞれ、置換もしくは無置換のへテロ6員環(例えばピリジル基、モルホリノ基等)、置換もしくは無置換のヘテロ5員環(フリル基、チオフェン基等)等が好ましい例として挙げられる。
式(10)で表される繰り返し単位は、1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。
式(6)の繰り返し単位数は、2〜2000であることが好ましく、5〜1000であることがさらに好ましく、10〜400であることが特に好ましい。
式(7)中、B3は式(3)のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
2はイオン性官能基を表し、式(3)のA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。n6が2以上の場合、2以上のA2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(7)のポリマー主鎖への導入量は、導入されたイオン性官能基の含量が、0.1meq/g〜7meq/gとなる量であることが好ましく、0.5meq/g〜4meq/gとなる量であることがさらに好ましく、1meq/g〜3meq/gとなる量であることが特に好ましい。
式(8)中、E2は酸素透過性の高い置換基であり、式(5)のE1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
ポリマー系列Bのポリマーの重量平均分子量は、500〜20万であることが好ましく、1000〜10万であることがさらに好ましく、1500〜5万であることが特に好ましい。
ポリマー系列Bの製造方法およびカーボン材料への導入法
ポリマー系列Bの製造方法としては、例えば、1.式(6)からなる繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法(以後この方法を方法B−1とする。)、および2.式(16)で表される化合物、および式(17)で表される化合物を重合させる工程を含む方法(以後この方法を方法B−2とする。)が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。また、ポリマー系列Bのカーボン材料への導入方法は、ポリマー系列Bの製造方法としてB−1を用いる場合とB−2を用いる場合では異なる。以下、ポリマー系列Bの製造方法B−1、B−2およびそれぞれの製法を用いた際のポリマー系列Bのカーボン材料への導入法について詳しく説明する。
方法B−1
方法B−1は、式(6)よりなる繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される部分構造を、該主鎖の芳香環に導入する方法である。ここで、主鎖部分の形成方法としては、スチレン誘導体をモノマーに用いたラジカル重合、カチオン重合またはアニオン重合など、公知の方法を用いることができる。
式(7)で表される部分構造の主鎖への導入法としては、スルトン類のフリーデルクラフツ反応、主鎖芳香族環のハロメチル化後、亜硫酸ナトリウムによるスルホン化反応、主鎖芳香族環のハロメチル化後、ウィリアムソンエーテル合成によるスルホ基の導入など、公知の方法を用いることができる。
式(8)で表される部分構造の主鎖への導入法としては、主鎖芳香族環のハロメチル化後、ウィリアムソンエーテル合成を用いる公知の方法を利用することができる。
方法B−1を用いてポリマー系列Bを合成する場合、カーボン材料へのポリマー連結法としては、例えば、(方法B1−1)および(方法B1−2)で表される2通りの方法が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。以下、(方法B1−1)および(方法B1−2)について詳細に説明する。
(方法B1−1)
方法B1−1は、ポリマー主鎖形成時に例えば4−クロロメチルスチレンなどを共重合して連結部位を複数導入し、ポリマー系列Bを複数の連結点を介してカーボン材料に連結後、式(7)または式(8)で表される部分構造を導入する方法である。
(方法B1−2)
方法B1−2は、カーボン材料にラジカル重合の開始点を形成し、該開始点を利用してスチレン誘導体をモノマーに用いた、原子移動ラジカル重合あるいは安定フリーラジカル重合を行うことで、ポリマー主鎖の形成・1つの連結点によるカーボン材料への連結・二段目の連結反応に用いる連結部位の導入を同時に行い、二段目の連結反応により複数の連結点を介してカーボン材料に連結後、カーボン材料にグラフトされたポリマー主鎖に式(7)または式(8)で表される部分構造を導入する方法である。
以下に、カーボン材料に形成されるラジカル重合の開始点、およびカーボン材料との連結基の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。なお、化合物中LCはカーボン材料との連結箇所を表す。
Figure 0004939084
方法B−2
方法B−2は、式(16)で表される化合物および式(17)で表される化合物を重合させる工程を含む方法である。式(16)で表される化合物および式(17)で表される化合物は、それぞれ、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。以下、これらの化合物について説明する。
Figure 0004939084
(式(16)および(17)中、W21、W22、W23、W24、W25およびW26はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、B8は単結合または2〜6価の連結基を表し、A7はイオン性官能基を表し、n26は1〜5の整数を表し、n27は1〜5の整数を表す。E10は酸素透過性の高い置換基を表し、n28は1〜5の整数を表す。)
式(16)および式(17)中、W21、W22、W23、W24、W25およびW26は、それぞれ、式(6)におけるW11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
8は式(3)のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
7はイオン性官能基を表し、式(3)におけるA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
10は酸素透過性の高い置換基を表し、式(5)におけるE1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
26は、好ましくは1〜4の整数である。n27およびn28は、好ましくは、それぞれ、1〜3の整数である。
26、n27、n28が2以上であって、A7、B8および/またはE10が2以上存在する場合、それぞれのA7、B8および/またはE10は同一であってもよいし、異なっていてもよい、
式(16)および式(17)の好ましい例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004939084
Figure 0004939084
式(16)および式(17)で表される化合物の重合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合が好ましく用いられ、ラジカル重合またはカチオン重合がより好ましく、ラジカル重合がさらに好ましい。ラジカル重合の中でも、原子移動ラジカル重合、安定フリーラジカル重合のようなリビングラジカル重合が最も好ましい。重合は、ランダム共重合でもブロック共重合でも好ましく用いられる。 生成ポリマー中に含まれる式(16)で表される化合物由来の成分と式(17)で表される化合物由来の成分の組成比Xは、0〜10であることが好ましく、0〜5であることがさらに好ましく、0〜2であることが特に好ましい。
Figure 0004939084
方法B−2を用いてポリマー系列Bを合成する場合、カーボン材料へのポリマー導入法として(方法B2−1)および(方法B2−2)がある。以下、これらについて説明する。
(方法B2−1)
方法B2−1は、カーボン材料にラジカル重合の開始点を形成し、該開始点を利用して式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物および4−クロロメチルスチレンをモノマーに用いた、原子移動ラジカル重合または安定フリーラジカル重合を行うことで、ポリマー系列Bの主鎖の形成・1点によるカーボン材料への連結・二段目の連結反応に用いる連結部位の導入を同時に行い、二段目の連結反応により複数の連結点を介してカーボン材料に連結させる方法である。ここで、カーボン材料に形成されるラジカル重合の開始点、およびカーボン材料との連結基としては前記に示した化合物を利用することが好ましい。
(方法B2−2)
方法B2−2は、式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物および4−クロロメチルスチレンなどを共重合してポリマー主鎖形成および複数の連結部位の導入を行い、ポリマー系列Bを複数の連結点を介してカーボン材料に連結する方法である。
ポリマー系列B中のカーボン材料との連結部位、および連結部位のポリマー系列Bへの導入法
ポリマー系列B中のカーボン材料との連結部位、および該連結部位のポリマー系列Bへの導入法としては、大別して以下の通りである。
(1)ハロゲノベンジル部位
ハロゲノベンジル部位はカーボン材料中の水酸基と求核置換により反応し、カーボン材料と連結する。また、ハロゲノベンジル部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990に記載の触媒)存在下で炭素ラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ハロゲノベンジル部位の導入法としては、例えば4−クロロメチルスチレンを共重合する方法が挙げられる。
(2)スルホニルハライド部位
スルホニルハライド部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990に記載の触媒)存在下でラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
スルホニルハライド部位の導入法については、例えば、p−スチレンスルホン酸を共重合し、塩化チオニルにより処理する方法が挙げられる。
(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位
2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体のような、安定フリーラジカル重合に用いる開始剤を導入すれば、加熱により炭素ラジカルが発生し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。上記誘導体の好ましい例は、上述の「安定フリーラジカル重合の開始点」の好ましい例と同義である。
上記誘導体部位の導入法については、例えば4−クロロメチルスチレンを共重合し、求核置換反応によって上記誘導体を導入することができる。
(4)ジアゾニウム塩部位
カーボン材料存在下、アニリン誘導体よりジアゾニウム塩を形成すると、ジアゾニウム塩の分解により生じたラジカルがカーボン材料にトラップされることでカーボン材料と連結する。ジアゾニウム塩の導入法としては、例えば、4−クロロメチルスチレンを共重合し、求核置換反応によってアニリン誘導体を導入後、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法が挙げられる。
(5)過酸エステル部位
過酸エステルを加熱すると、脱炭酸反応と共に炭素ラジカルが生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。過酸エステルの導入法としては、例えば、4−ビニル安息香酸を共重合し、塩化チオニルにより酸塩化物を形成後、tert−ブチルハイドロパーオキシドなどの過酸化物と反応させる方法が挙げられる。
(6)アゾ化合物誘導体部位
アゾ化合物も加熱により分解して炭素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。アゾ化合物の導入法としては、例えば、4−クロロメチルスチレンを共重合し、4、4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)などのアゾ化合物誘導体と反応させる方法が挙げられる。
(7)ヒドロキシル基含有部位
ヒドロキシル基含有部位は、酸性条件下、四価のセリウムイオンと反応して炭素ラジカル、または酸素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ヒドロキシル基含有部位の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をヒドロキシメチル化する方法が挙げられる。
上記連結基を反応形式で分類すると、求核置換反応による連結部位が(1)ハロゲノベンジル部位、ラジカルトラッピングによる連結が(1)ハロゲノベンジル部位、(2)スルホニルハライド部位、(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位、(4)ジアゾニウム塩部位、(5)過酸エステル部位、(6)アゾ化合物誘導体部位、(7)ヒドロキシル基含有部位であり、これらはいずれも好ましく用いることができる。また、(1)〜(7)の部位はいずれも容易にラジカルを生成することができ、以後(1)〜(7)の部位をラジカル発生基ということがある。(1)〜(7)の部位の導入量としては、式(6)で表される繰り返し単位20つに対し1つ以上導入されることが好ましく、式(6)で表される繰り返し単位10つに対し1つ以上導入されることがさらに好ましく、式(2)で表される繰り返し単位5つに対し1つ以上導入されることが特に好ましい。
(7)触媒粒子の担持方法
本発明の燃料電池用触媒材料は、白金粒子等の触媒金属(電極触媒)の担体として好ましく用いられる。触媒金属を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられる(例えば、国際公開WO2002/054514号パンフレットなど)。
本発明において、燃料電池用触媒材料の作製方法としては、カーボン材料にイオン官能基を導入後、触媒金属を担持する方法と、カーボン材料に触媒金属を担持した後にイオン官能基を導入する方法があるが、いずれの方法も好ましく用いられる。また、市販の触媒担持カーボン材料(例えば、白金担持ケッチェンブラック、田中貴金属工業(株)製、または、白金担持XC−72、E−TEK社製など)にイオン官能基を導入することによっても得られる。
燃料電池用触媒材料に触媒金属を担持後にイオン官能基を導入する場合、または市販の触媒担持カーボン材料にイオン官能基を導入する場合には、反応を無酸素条件下で行う方法、反応を難燃性溶媒中で行う方法、または反応系中に難燃剤を添加する方法が安全上好ましい。反応を無酸素条件下で行う方法としては、反応を不活性ガス雰囲気下で行う方法が挙げられ、不活性ガスとしてはヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素などが挙げられ、アルゴン、窒素が特に好ましい。
不燃性溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、水などが挙げられる。これらは、反応試薬の溶解性・反応の温度・溶媒の沸点などを考慮して適宜選択して用いられる。また、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
難燃剤としては、ヘキサメチルホスホルアミド、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ヒドロキノールビス(ジフェニル)ホスフェート、フェニルジキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル系の難燃剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。これらの難燃剤を添加する割合は反応溶媒に対して5%以上であることが好ましく10%以上であることがさらに好ましく、15%以上であることが特に好ましい。また、上記難燃剤の中で液体のものについては反応溶媒として使用してもよい。
また、本発明の燃料電池用触媒材料は、ポリマー(X)を複数の連結点を介してカーボン材料の表面に導入した触媒材料(以後このような触媒材料を触媒材料Aと記載する)のみで構成されていても良いし、上記触媒材料Aと、表面にポリマー(X)を有していない触媒材料(以後このような触媒材料を触媒材料Bと記載する)の混合物を用いてもよい。触媒材料Aと触媒材料Bの混合物を利用すると、触媒材料Bの犠牲的腐食によって触媒材料Aの腐食を抑制し、耐久性により優れたものが得られる。触媒材料Aと触媒材料Bの混合物を利用する場合、触媒材料Aの含有量は、50〜95重量%が好ましく、70〜95重量%がさらに好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
(8)燃料電池
本発明の燃料電池用触媒材料は、燃料電池用電極、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、固体電解質膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。ここでいう固体電解質膜11はナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載の膜が挙げられる。これらの中でも、ナフィオン112、ナフィオン1135、ナフィオン115、ナフィオン117、特開2002−110174号公報に記載の膜および、前記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、前記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーよりなる膜が特に好ましい。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えば、カーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、本発明の触媒膜を用いることができる。ここで、本発明の触媒膜は、例えば、白金粒子等の触媒金属を担持した本発明の燃料電池用触媒材料を、固体電解質に分散させた分散物からなる。
電極の作製方法について説明する。ナフィオンに代表される固体電解質を溶媒に溶解し、触媒金属を担持した本発明の燃料電池用触媒材料と混合した分散液を分散する。分散液の溶媒はヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でもヘテロ環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散方法は、攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液はカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等の塗布法を用いて塗布することができる。
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャストまたは塗布して製膜してもよい。この場合の支持体は特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると直接触媒電極が作製できる。
これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は短時間であるほうが生産性の観点から好ましいが、あまり短時間であると気泡、表面の凹凸等の欠陥の原因となる。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がより好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。また湿度の制御も重要であり、25〜100%RHが好ましく、50〜95%RHがさらに好ましい。
塗布工程における塗布液(分散液)中には金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、中でも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。遷移金属イオンの含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低い物が好ましい。
さらに塗布工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削処理、除去処理、コーティング処理を行なってもよく、これらは固体電解質膜あるいは多孔質導電体との密着を改良できることがある。
本発明の電極膜接合体が有する触媒層の厚さは5〜200μmが好ましく、10〜100μmが特に好ましい。
触媒層12b、13bを固体電解質膜11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗布(塗設)したものを、固体電解質膜11にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100 kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質膜11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般が好ましく用いられる。
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口16設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
アノード電極およびカソード電極には、本発明の燃料電池用触媒材料が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、好ましくは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズを小さくすることにより、単位質量当りの表面積を大きくでき、活性がより高まり有利であり、また、ある程度大きくすることにより、凝集して分散しにくくなるのをより効果的に抑止できる。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を好ましく用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を好ましく用いることができる。
活性金属を担持させるカーボン材料としては、本発明の燃料電池用触媒材料が好ましく用いられる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを固体電解質に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく本発明の燃料電池用触媒材料が担う。(4)の機能は本発明の燃料電池用触媒材料が担うが、充分な機能を果たすためには、触媒層に固体電解質を混在させることが好ましい。
触媒層の固体電解質としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンなどが挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載のポリマーが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン、特開2002−110174号公報に記載のポリマーおよび、前記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、前記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーが特に好ましい。固体電解質膜11と同種の材料を用いると、固体電解質膜11と触媒層との電気化学的密着性が高まりより有利である。
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持する燃料電池用触媒材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。触媒層の固体電解質の量は、本発明の燃料電池用触媒材料の質量に対して、0.1〜0.7倍が好ましく、0.3〜3倍がより好ましい。
電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにPTFE処理を施したものを使用することもできる。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)触媒層塗布法:本発明の燃料電池用触媒材料、触媒層用の固体電解質および溶媒を含む触媒層塗布液(インク)を固体電解質膜11の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒層塗布液を多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質膜11と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒層塗布液をPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質膜11に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持の本発明の燃料電池用触媒材料を触媒層用の固体電解質とともに混合した触媒層塗布液を固体電解質膜11、多孔質導電シートまたはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
本発明の燃料電池用触媒材料を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられ、水素、メタノールが特に好ましい。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、これらを組み合わせることも可能である。高出力が得られるアクティブ型が好ましい。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレータを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。後者は、熱効率が高く、電池がコンパクトになるため燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、運輸用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、例えば、好ましく適用できる運輸用途としては、自動車(乗用車、貨物車、二輪車、個人用ビーグル)、船舶、家庭用としてはコジェネシステム、掃除機、ロボット、携帯機器としては携帯電話、ノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、などが挙げられる。さらに、ポータブル発電機、野外照明機器などにも用いることができる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池、キャパシタの充電用電源としても有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1 燃料電池用触媒材料の作製(1)
[カーボン材料 M−1の作製]
(カーボン材料の改質)
カーボン材料として、カーボンブラック(商品名:カーボンECP、ケッチェン・ブラックインターナショナル社製)を用い、以下のスキーム1に従って反応を行った。(下記スキーム1中、CBはカーボンブラックの一部を示しており、1つのカーボンブラックの表面の任意2点を特記している。以下、CBについて同じ。)
Figure 0004939084
所定量の上記カーボンブラック、N,N−ジメチルホルムアミド、ジブロモペンタン、炭酸カリウムを加え、窒素気流下で攪拌しながら110℃で24時間反応した。反応後、生成物を水、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥して、ブロモペンチル基を導入したカーボン材料c−1を得た。
(イオン官能基含有ポリマーの合成)
公知の方法に従い、所定量の炭酸カリウム、N−メチル−2−ピロリドン、トルエンに、ビスフェノールAと3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン二ナトリウム塩とを20:19の割合で加え、窒素気流下200℃の油浴中で8時間攪拌した。反応後、反応液を大過剰のアセトニトリル中に注ぐと沈殿が得られた。上澄みを除去して沈殿をアセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥し、ポリマー末端にフェノール基を有するスルホ基含有ポリマーp−1を得た。
(カーボン材料へのイオン官能基含有ポリマーの導入)
スキーム(2)に従って反応した。すなわち、所定量のカーボン材料c−1、スルホ基含有ポリマーp−1、N,N−ジメチルアセトアミド、炭酸カリウムを加え、窒素気流下110℃で36時間攪拌した。反応後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥して、(B−9)で表される連結基を介してスルホ基含有ポリマーを導入したカーボン材料c−2を得た。
Figure 0004939084
(ポリマーの多点連結形成)
スキーム(3)に従って行った。すなわち、所定量の前記カーボン材料c−2に塩化チオニルを加え、窒素気流下で24時間還流した。反応後、減圧して塩化チオニルを除去したのち、所定量のN−メチル−2−ピロリドン、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジンを加え、窒素気流下、150℃の油浴中で15時間反応した。反応後、系中に水を加え、100℃の油浴でさらに2時間攪拌したのち、生成物を濾別した。得られた固体を水、次いでアセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−9)で表される連結基、および(B−70)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−1を得た。なお、M−1とc−2のESRスペクトルを測定したところ、M−1の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−70)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
尚、スキーム(3)中、M−1のグラフト鎖は、グラフト鎖の繰り返し単位1つごとに1つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−70)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできなかった。但し、ESR測定により、少なくとも1つ以上の(B−70)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
[カーボン材料 M−2の作製]
スキーム(4)に従って行った。すなわち、所定量のカーボン材料c−2、塩化スズ、クロロメチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラクロロエタンを加え、窒素気流下110℃で24時間攪拌した。反応後、生成物を濾別し、得られた粉体をクロロホルム、アセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。得られた粉体に、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下で160℃の油浴中で10時間攪拌した。その後、反応系中にハイドロキノンを加えてさらに2時間攪拌した。反応後、生成物をN,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−9)で表される連結基、および(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−2を得た。
なお、M−2とc−2のESRスペクトルを測定したところ、M−2の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
尚、スキーム(4)中、M−2のグラフト鎖は、グラフト鎖の繰り返し単位1つごとに1つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−43)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできなかった。但し、ESR測定により、少なくとも1つ以上の(B−43)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
[カーボン材料 M−3の作製]
(グラフトポリマーの合成)
公知の方法に従い、所定量の炭酸カリウム、N−メチル−2−ピロリドン、トルエンに、ビスフェノールAと4,4'−ジクロロジフェニルスルホンとを20:19の割合で加え、窒素気流下200℃の油浴中で8時間攪拌した。反応後、反応液を大過剰のアセトニトリル中に注ぐと沈殿が得られた。上澄みを除去して沈殿を水で洗浄後、減圧乾燥し、ポリマー主鎖p−2を得た。
次に所定量のポリマーp−2を導入したカーボン材料、塩化スズ、クロロメチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラクロロエタンを加え、窒素気流下110℃で6時間攪拌した。反応後、生成物をクロロホルム、アセトニトリルで洗浄して側鎖にクロロメチル基を有するポリマーp−3を得た。
(グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入)
触媒担持カーボン材料として、白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)(a)を用い、スキーム(5)に従って反応を行った。すなわち、所定量のカーボンブラック(a)、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、ポリマーp−3、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下、150℃の湯浴中で6時間攪拌した。反応液を室温に戻したのち、反応液を濾別し、得られた粉体をアセトニトリルで洗浄してカーボン材料c−3を得た。
次にN,N−ジメチルホルムアミド中に3−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩、水素化ナトリウムを加え、室温で30分攪拌後、カーボン材料c−3を添加して、80℃で12時間攪拌した。その後、反応液を濾別し、得られた粉体を水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥して、スルホ基含有ポリマーが(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−3を得た。なお、M−3とカーボンブラック(a)のESRスペクトルを測定したところ、M−3の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
尚、スキーム(5)中、M−3のグラフト鎖は、グラフト鎖の繰り返し単位2つごとに2つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−43)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできなかった。但し、ESR測定により、少なくとも2つ以上の(B−43)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
[カーボン材料 M−4の作製]
(グラフトポリマーの合成)
カーボン材料M−3の作製におけるグラフトポリマーの合成中、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを4,4'−ジフルオロベンゾフェノンに置き換えた他は同様にしてポリマーp−4を得た。
(グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入)
カーボン材料M−3の作製における、グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入中、ポリマーp−3をポリマーp−4に置き換えた他は同様にしてカーボン材料M−4を得た。なお、M−4とカーボンブラック(a)のESRスペクトルを測定したところ、M−4の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
M−4のグラフト鎖は、グラフト鎖の繰り返し単位2つごとに2つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−43)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできなかった。但し、ESR測定により、少なくとも2つ以上の(B−43)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
[カーボン材料 M−5の作製]
(イオン官能基含有ポリマーの合成)
カーボン材料M−1の作製におけるイオン官能基含有ポリマーの合成中、ビスフェノールAを4,4'−ジヒドロキシビフェニルに置き換えた以外は同様にして、スルホ基含有ポリマーp−5を得た。
(カーボン材料へのイオン官能基含有ポリマーの導入)
前記カーボン材料M−1の作製中、p−1をp−5に置き換えた他は同様にしてイオン官能基含有ポリマーの導入されたカーボン材料c−4を得た。
(ポリマーの多点連結形成)
前記カーボン材料M−1の作製中、c−2をc−4に置き換えた他は同様にしてカーボン材料M−5を得た。なお、M−5とc−4のESRスペクトルを測定したところ、M−5の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−70)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
尚、M−5のグラフト鎖は、グラフト鎖の繰り返し単位1つごとに1つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−70)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできなかった。但し、ESR測定により、少なくとも1つ以上の(B−70)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
[カーボン材料 M−6の作製]
カーボン材料M−2を80重量%、市販の白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)を20重量%の割合で混合し、カーボン材料M−6を得た。
[カーボン材料 M−7の作製]
カーボン材料M−2を90重量%、市販の白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)を10重量%の割合で混合し、カーボン材料M−7を得た。
[カーボン材料 M−8の作製](参考例)
(イオン官能基含有ポリマーの合成)
所定量の過酸化ベンゾイル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、N−メチル−2−ピロリドンに、4−スルホプロピルオキシスチレンリチウム塩、4−クロロメチルスチレンを15:1の割合で加え、窒素気流下にて150℃の湯浴中で24時間攪拌した。室温に戻した後、反応液を大量のアセトニトリル中に注ぎ、得られた沈殿を濾別した。この沈殿をアセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥することで、イオン官能基含有ポリマーp−6を得た。
(イオン官能基含有ポリマーのカーボン表面への導入)
カーボン材料として、カーボンブラック(商品名:カーボンECP、ケッチェン・ブラックインターナショナル社製)を用い、スキーム6に従って反応を行った。すなわち、所定量のカーボンブラック、ポリマーp−6、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下にて150℃の油浴中で6時間攪拌した。室温に戻した後、反応液を濾別し、得られた粉体をN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄後、減圧乾燥することでカーボン材料c−5を得た。
次に所定量のカーボン材料c−5に、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下にて150℃で8時間攪拌した。反応液を濾別し、得られた粉体をアセトニトリル、水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−69)で表される連結基、および(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−8を得た。なお、M−8とc−5のESRスペクトルを測定したところ、M−8の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
Figure 0004939084
尚、M−8のグラフト鎖は、ブロック共重合体であるかのように記述してあるが、実際にはランダム共重合体・ブロック共重合体・交互共重合体のいずれであるか特定していない。また、グラフト鎖の繰り返し単位1つごとに1つのカーボンとの連結点を有するかのように記述されているが、実際には(B−43)で表される連結基による連結はグラフト鎖中のどの位置にどの程度存在するか特定することはできない。但し、ESR測定により、少なくとも1つ以上の(B−43)で表される連結基による連結点が存在することは確認された。
比較例1 単一の連結点によりスルホ基含有ポリマーが連結されたカーボン材料
[カーボン材料 R−1の作製]
前記カーボン材料c−2を1規定の硫酸水溶液に室温で30分含侵後、水洗し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、カーボン材料R−1を得た。
Figure 0004939084
実施例2 燃料電池の作製
[作製方法1]
前記実施例1の触媒担持カーボンを用い、燃料電池を作製した。各触媒担持カーボン材料2gと、バインダーとしてのナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜き、触媒膜を作製した。
固体電解質膜としてはナフィオン117膜を用い、ナフィオン117膜の両面に上記で得られた触媒膜を塗布面がナフィオン117膜に接するように張り合わせ、ホットプレスにより熱圧着し、MEAを作製した。
[作製方法2]
作製方法1において、固体電解質膜およびバインダーを、下記繰り返し単位より構成される高分子E−1より作製した他は同様にしてMEAを作製した。尚、高分子E−1は、バインダーとして用いる場合は、重量平均分子量は3〜10万のものを、固体電解質膜として用いる場合は、重量平均分子量は10〜30万のものを用いた。
高分子E−1
Figure 0004939084
[作製方法3]
作製方法1において、固体電解質膜を高分子E−1、バインダーを下記繰り返し単位より構成される高分子E−2より作製した他は同様にしてMEAを作製した。ここで、高分子E−1の重量平均分子量は10〜30万のものを、高分子E−2の重量平均分子量は3〜10万のものを採用した。
高分子E−2
Figure 0004939084
実施例3 燃料電池評価
実施例2で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に水素ガスをフローした。この時カソード側開口部16は大気をフローした。アノード電極12とカソード電極13間に、ポテンシオスタットを接続し400mVにおける電流値を記録した。結果を表1に示した。
Figure 0004939084
本発明の燃料電池用触媒材料は、燃料電池起動時に想定される強酸・高温下の条件においても耐久性を有し、また、高電流密度領域においても高い出力を維持できることが認められた。特に本発明の燃料電池用触媒材料は、バインダーとしての固体電解質として、本発明のポリマー主鎖と同一の主鎖を有するものを採用することにより、より効果的であることが認められた。
本発明の燃料電池用触媒材料は、細孔中へのガス透過性を維持しつつ、高いプロトン伝導性を有しており、高電流密度領域においても高い出力を維持できることが認められた。
本発明の高分子電解質を用いた触媒電極接合膜の構成を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の構造の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・燃料電池電極膜複合体(MEA)
11・・・固体電解質膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ

Claims (9)

  1. カーボン材料と、該カーボン材料の表面と少なくとも2点以上の点で、連結基を介して結合しているポリマーとを有し、
    前記連結基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、
    Figure 0004939084
    からなる群から選ばれる1つ以上の組み合わせからなる基であって、耐熱性を有する基であり、
    前記ポリマーは、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しており(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)、さらに、
    前記カーボン材料とポリマーをつなぐ連結基は、ポリマーの主鎖の芳香環に結合している、燃料電池用金属触媒の担体用材料。
    Figure 0004939084
    Figure 0004939084
    (上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
  2. 前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、請求項1に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料。
  3. 前記ポリマーの主鎖部分が、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、ポリフェニレンスルフィド系化合物、ポリフェニレンエーテル系化合物、ポリスルホン系化合物またはポリエーテルケトン系化合物である、請求項1または2に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料。
  4. 前記ポリマーの主鎖部分が、下記(D−1)で表される繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料。
    Figure 0004939084
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料と、金属触媒と、高分子電解質を含む触媒膜。
  6. 前記高分子電解質が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマー(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)を含む、請求項に記載の触媒膜。
    Figure 0004939084
    Figure 0004939084
    (上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
  7. 多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒膜と、該触媒膜に接して設けられた高分子電解質膜とを有し、かつ、前記触媒膜が、請求項5または6に記載の触媒膜である、電極膜接合体。
  8. 前記高分子電解質膜が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマー(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)を含む、請求項に記載の電極膜接合体。
    Figure 0004939084
    Figure 0004939084
    (上記式(2)中、R3は芳香環を含む2価の基であり、X1は2価の連結基である。式(3)中、B1は単結合または2〜6価の連結基、A1はイオン性官能基を表し、n6は1〜5の整数を表す。式(4)中、B2は単結合または2〜6価の連結基を、Dは少なくとも1つのイオン性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合物を表す。式(5)においてE1は酸素透過性の高い置換基を表す。)
  9. 請求項またはに記載の電極膜接合体を有する、燃料電池。
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