JP4939084B2 - 燃料電池用触媒材料、その製造方法、触媒膜、電極膜接合体および燃料電池 - Google Patents
燃料電池用触媒材料、その製造方法、触媒膜、電極膜接合体および燃料電池 Download PDFInfo
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Description
すなわち、水素を燃料とした場合、負極では次式の反応が起こり、
H2→2H++2e-
また、酸素を酸化剤とした場合、正極では次式の反応が起こり、水が生成される。
1/2O2+2H++2e-→H2O
さらに、これらの触媒層は、直径0.04μmを境に細孔が変化しており、直径0.02μm〜0.04μmの細孔を1次細孔、直径0.04μm〜1μmの細孔を2次細孔とされている(非特許文献2)。すると、ナフィオンのようなフッ素系高分子は、その分子量の大きさから直径0.04μm以下のような細孔に進入できず、そのような細孔中の触媒粒子は三相界面が形成されないため、反応場にならない。
具体的には、下記手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)カーボン材料と、該カーボン材料の表面と少なくとも2点以上の点で、耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基を介して連結している、イオン性官能基を有する耐加溶媒分解性および耐熱性ポリマー(X)とを含む、燃料電池用触媒材料。
(2)前記ポリマー(X)が、同一構造の連結基を介して、少なくとも2点以上の点で、前記カーボン材料の表面と連結している、(1)に記載の燃料電池用触媒材料。
(3)前記ポリマー(X)が、異なる構造の連結基を介して、少なくとも2点以上の点で、前記カーボン材料の表面と連結している、(1)に記載の燃料電池用触媒材料。
(4)前記カーボン材料が電極触媒を含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(5)前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(6)前記連結基の少なくとも1種が下記式(1)で表される連結基である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
式(1)
(7)前記ポリマー(X)は、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(8)前記ポリマー(X)の主鎖部分が、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、ポリフェニレンスルフィド系化合物、ポリフェニレンエーテル系化合物、ポリスルホン系化合物またはポリエーテルケトン系化合物である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(9)前記ポリマー(X)の主鎖部分が、下記式(6)で表される繰り返し単位を含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環に、下記式(7)で表される部分構造および/または下記式(8)で表される部分構造が結合している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料。
(10)少なくとも2つ以上のラジカル発生基を有するポリマーからラジカルを発生させ、カーボン材料に前記ラジカルを捕捉させることにより、ポリマー−カーボン材料間を少なくとも2点以上で連結させることを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料の製造方法。
(11)耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基を有するポリマーを、該連結基を介してカーボン材料に連結させ、前記ポリマーに少なくとも1つ以上のラジカル発生基を導入してラジカルを発生させ、前記カーボン材料に前記ラジカルを捕捉させることにより、ポリマー−カーボン材料間を少なくとも2点以上で連結させることを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料の製造方法。
(12)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料と、固体電解質を含む触媒膜。
(13)第一の燃料電池用触媒材料と、第二の燃料電池用触媒材料と、固体電解質を含む触媒膜であって、前記第一の燃料電池用触媒材料は、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒材料であり、前記第二の燃料電池用触媒材料は、カーボン表面に、イオン性官能基を有する耐加溶媒分解性および耐熱性ポリマーを有さない燃料電池用触媒材料である、触媒膜。
(14)前記固体電解質が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーを含む、(12)または(13)に記載の触媒膜。
(15)多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒膜と、該触媒膜に接して設けられた固体電解質膜とを有し、かつ、前記触媒膜が、(12)〜(14)のいずれか1項に記載の触媒膜である、電極膜接合体。
(16)前記固体電解質膜が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーを含む、(15)に記載の電極膜接合体。
本発明における各種物性値は、特に述べない限り室温(例えば、25℃)における状態のものを示している。また、本発明における重合には、いわゆる共重合も含む趣旨である。従って、本発明でいう重合体には、共重合体も含む趣旨である。さらに、本願明細書において、アセチル基をAc、エチル基をEt、メチル基をMe、フェニル基またはフェニレン基をPhと示すことがある。
加えて、本発明における「膜」には、板状や平板状のもの等を含む趣旨である。
ここで、少なくとも2点以上の点で連結しているとは、1つのポリマー(X)が、カーボン材料の表面と2箇所以上で繋がっていることをいう。尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、これ以外の連結態様でカーボン材料の表面と連結しているポリマーが存在することを排除するものではない。
ここで、1つのポリマー(X)とカーボン材料をつなぐ連結基部分の構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、連結基の一部は、カーボン材料またはポリマー(X)と兼ねる構成(例えば、カーボン材料またはポリマー(X)との連結点を含めて連結基となる構成)であってもよい。
耐加溶媒分解性を有する基とは、燃料電池の実働環境下における高温・強酸性条件下において加溶媒分解され易い(例えば、100℃、pH2以下の条件で、10%以上が加溶媒分解される)結合、例えば、エステル結合、アミド結合およびシロキサン結合などを含まない基を意味する。このような耐加溶媒分解性を有する連結基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環状の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。芳香族炭化水素基としては、トリフェニレン環、ピレン環、アントラセン環、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基が好ましく、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基がより好ましく、ベンゼン環を有する基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、3〜16が好ましく、3〜12がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。ヘテロ環基としては、具体的には、ピリジン環、フラン環、チエテン環、トリアジン環を有する基が好ましく、トリアジン環を有する基がさらに好ましい。
以下、上記の耐熱性を有する連結基の条件を満たすものを、条件Bということがある。
耐熱性を有する連結基の好ましい例としては、前記耐加溶媒分解性を有する連結基の好ましい例中から、芳香族基に単結合を介してイオン性官能基が連結する場合(上記置換基定数σに関する条件を満たすものは含まない)を除いたものが挙げられる。
本発明で用いられるカーボンブラックは、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する微粉であって、球状または鎖状の炭素であり、製法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどがある。これらは、それぞれ粒子サイズ、酸素含有量、揮発成分、比表面積、微細構造などが異なり、最新カーボンブラック技術大全集、第四章(2005年 技術情報協会刊)に記載がある。本発明においては上記のカーボンブラックの1種または2種以上を使用可能であり、また、ケッチェンブラック、Vulcan XC−72などの市販品も使用することができる。
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、その表面にカルボキシル基を有し、このカルボキシル基を起点としてカーボンナノチューブ表面にイオン性官能基を導入することができる。また、酸化処理により表面上のカルボキシル基の数を増やすことができるため、本発明に用いる場合には酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理の方法としては、硝酸による酸化反応を用いるのが好ましい。
前記耐加溶媒分解性および耐熱性を有する連結基は、式(1)で表される連結基であることが好ましい。
ここで、式(1)中、R1およびR2はそれぞれ、脂肪族炭化水素基、−O−、
ここで、脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、また、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。さらに、水素原子が、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜24が好ましく、1〜6がより好ましい。
R1およびR2の好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、イソブチレン基、−CH2−O−(CH2)n−(nは、0以上の整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、C((CH2) n−)4(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−C((CH2)n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−CH((CH2)n−)2(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、ならびに、これら(前記基を2以上組み合わせた基を含む)と、−O−、−CO−、−SO−、−CS−、−SO2−、
R1およびR2は特に好ましくは、−O−、−CH2−、−O(CH2)n−、−O(CH2)nO−、−SO2−、−CO−または、これらの2以上の組み合わせからなる基である。
ここで、芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
Ar1としては、具体的には、トリフェニレン環、ピレン環、アントラセン環、ナフタレン環、ビフェニレン環、ベンゼン環を有する基、ならびにこれらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CS−、−SO2−の1つ以上からなる組み合わせ、または、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、トリアジン環を有する基を有する基、ならびにこれらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CS−、−SO2−の1つ以上からなる組み合わせが好ましい。
n5は1または3が好ましい。n5が2以上の場合、2以上のR1、Ar1およびR2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
尚、Lcは、該連結基とカーボン材料との連結箇所を表す記号であり、具体的な基が存在するわけではない。同様に、Lpは該連結基とポリマーとの連結箇所を表す記号であり、具体的な基が存在するわけではない。
より具体的には、本発明で採用するカーボン材料がカーボンブラックの場合には、カーボンブラック表面上に存在するフェノール性水酸基由来の酸素原子と式(1)中のR1由来の炭素原子で形成されるエーテル結合、該フェノール性水酸基のオルト位の炭素原子とR1の炭素原子とで形成される単結合、カーボンブラック上のカルボキシル基を還元することで得られるヒドロキシメチル基由来の酸素原子とR1の炭素原子とで形成されるエーテル結合、カーボンブラック表面上に存在するキノン性カルボニル酸素原子と式(1)中のR1由来の炭素原子とで形成されるエーテル結合、カーボンブラック上の炭素原子とR1の炭素原子とで形成される単結合が特に好ましい。カーボン材料がカーボンナノチューブの場合には、カーボンナノチューブ上のカルボキシル基を還元することで得られるヒドロキシメチル基由来の酸素原子とR1の炭素原子とで形成されるエーテル結合が特に好ましい。
また、本発明の燃料電池用触媒材料中には、式(1)で表される連結基が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
ポリマー(X)をカーボン材料へ連結する際には、大別して以下の3つの反応が用いられる。
(1)求核置換反応
カーボン材料表面に存在するフェノール性水酸基を塩基性条件下で反応させ、エーテル結合を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入する方法が採用できる。
(2)求電子芳香核置換反応
カーボン材料表面に存在する芳香族性C−H結合を有する部位をルイス酸触媒下で反応させ、種々の結合様式を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入する方法が採用できる。
(3)ラジカルトラッピング反応
カーボンブラックやカーボンナノチューブなどのカーボン材料は、強力なラジカル捕捉剤として作用することが知られており(例えば、N.Tsubokawaらの研究報告、J. Polym. Sci., Part A:Polym. Chem., 36巻、3165頁(1998年)など)、これを連結反応に用いることができる。すなわち、カーボン材料表面に存在する芳香族性C−H結合を有する部位およびキノン性カルボニル部位と、ポリマー(X)上で発生させたラジカルを反応させ、種々の結合様式を介してポリマー(X)をカーボン材料へ導入することができる。反応後にはカーボン材料の不対電子密度が増加し、ESRスペクトル面積が反応前に比べ増加することが知られており(例えば、Chemistry and Industry,1961, 1532−1533)、ESRスペクトル測定により反応の進行が確認できる。
(方法α)
ポリマー(X)に複数の連結部位を導入後、カーボン材料と反応させ、一度に複数の連結基を介してカーボン材料に連結する方法である。
(方法β)
ポリマー(X)とカーボン材料を一つの連結基を介して連結させ、連結されたポリマー(X)にさらに複数の連結部位を導入し、2段目の反応によりさらに複数の連結点を形成する方法である。
本発明のポリマー(X)は耐加溶媒分解性および耐熱性を有する基およびイオン性官能基を有する。耐加溶媒分解性および耐熱性は、上記連結基におけるこれらと同義であり、具体例その他も同様である。
本発明の、イオン性官能基部位を除いたポリマー骨格は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、−O−、
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピレニル基、アントラニル基、フルオレニル基、フェナントロニル基が好ましく、ナフチル基、ビフェニル基がさらに好ましく、フェニル基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子のいずれかを含むものが好ましく、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましい。また、ヘテロ環基が有する炭素数は、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。ヘテロ環基の環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、 置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
ヘテロ環基は、ピリジル基、フリル基、チエニル基が好ましく、トリアジニル基がさらに好ましい。
カチオン性のイオン官能基としては、スルホニウム基、ヨードニウム基、チオロニウム基、ホスホニウム基、ピリジル基、アンモニウム基が好ましく、ピリジル基、アンモニウム基がより好ましい。ピリジル基、アンモニウム基の具体的な例としては、−(ジメチルセチル)アンモニウム基、−(ベンジルジブチル)アンモニウム基、−(ベンジルジエチル)アンモニウム基、−(ジメチルドデシル)アンモニウム基、−(ジデシルメチル)アンモニウム基、−(ステアリルジメチル)アンモニウム基、−(ラウリルジメチル)アンモニウム基、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基、−(トリヘプチル)アンモニウム基、−(ブチルジエチル)アンモニウム基、−(フェニルジエチル)アンモニウム基、−(2−メチル)ピリジル基、−(3−メチル)ピリジル基、−(4−メチル)ピリジル基が好ましく、−(ステアリルジメチル)アンモニウム基、−(ラウリルジメチル)アンモニウム基、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基、−(トリヘプチル)アンモニウム基、−(ブチルジエチル)アンモニウム基、−(フェニルジエチル)アンモニウム基、−(2−メチル)ピリジル基、−(3−メチル)ピリジル基、−(4−メチル)ピリジル基がより好ましく、−(トリメチル)アンモニウム基、−(トリエチル)アンモニウム基、−(トリn−ブチル)アンモニウム基が特に好ましい。
また、対アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオンが好ましく、水酸化物イオンが特に好ましい。
アニオン性のイオン官能基としては、パーフルオロスルホ基、スルホ基、ホスホン酸基、カルボン酸基が好ましく、スルホ基、ホスホン酸基がより好ましい。
また、対カチオンとしては、カルシウムイオン、バリウムイオン、四級アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、プロトンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、プロトンがさらに好ましく、プロトンが特に好ましい。
ここで、ポリマー系列Aにおいて、式(2)で表される繰り返し単位は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。式(3)、式(4)および式(5)の部分構造についても、それぞれ、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
式(13)
式(14)
ポリマー系列Bは、例えば、式(6)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される少なくとも1つの部分構造を主鎖の芳香環に導入する、または、下記式(16)で表される化合物と、下記式(17)で表される化合物を重合することにより得られる。
以下にR3の好ましい構造を例示する。これらの中で、(C−1)、(C−2)、(C−4)、(C−5)、(C−8)、(C−12)が好ましく、(C−1)、(C−4)がさらに好ましい。
R91およびR101は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ネオペンチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ネオペンチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、フェニル基がさらに好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基がさらに好ましい。
X1の好ましい例としては、−C(tert−Bu)2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、環上の水素原子が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピレニル基、アントラニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェニル基が好ましく、ナフチル基、ビフェニル基、フェニル基がさらに好ましく、フェニル基が最も好ましい。
ヘテロ環基は、環上の水素原子が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよく、ピリジル基、フリル基、チエニル基、トリアジニル基が好ましく、トリアジニル基がさらに好ましい。
B1が単結合の場合は、耐熱性の観点から、上述した条件「B」に記載の好ましい条件を満たしている必要がある。
B1の好ましい例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、−CH2−O−(CH2)n−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、−CH2CH=CH−、−CH2CH2CH=CH−、C((CH2) n−)4(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、CH3C((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、EtC((CH2) n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−C((CH2)n−)3(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、−CH((CH2)n−)2(nは、それぞれ0以上の整数であり、好ましくはそれぞれ0〜6の整数である)、ならびに、これら(前記基を2以上組み合わせた基を含む)と−CO−、−SO−、−CS−、−SO2−、−O−、
式(3)中、n6は、1〜3が好ましい。n6が2以上のとき、それぞれのA1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(3)のポリマー主鎖への導入量は、導入されたイオン性官能基の含量が、0.1meq/g〜7meq/gとなる量であることが好ましく、0.5meq/g〜4meq/gとなる量であることがさらに好ましく、1meq/g〜3meq/gとなる量であることが特に好ましい。
以下に、式(3)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
式(4)中、Dが有する、イオン性官能基は、上述のイオン性官能基と同義であり、好ましい範囲も同義である。また、ラジカル重合性モノマーの重合物とは、2以上のラジカル重合性モノマーが重合して得られる重合体をいう。Dの好ましい例としては、式(6)で表される繰り返し単位を持つ主鎖を有し、式(7)または式(8)が、側鎖として、主鎖の芳香環に結合した重合物(Y)が挙げられる。B2が3価以上の連結基の場合、Dは複数の箇所において、B2と結合していてもよいし、Dが複数存在していてもよい。
Dの主鎖への導入量としては、導入されたイオン性官能基の含量が、0.1meq/g〜7meq/gとなる量であることが好ましく、0.5meq/g〜4meq/gとなる量であることがさらに好ましく、1meq/g〜3meq/gとなる量であることが特に好ましい。
E1は、例えば、アルキル基(n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ベンジル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシペンチル基)、アルコキシ基(エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基)、アルケニル基(アリル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ニトロフェニル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基)、アルキニル基(2−プロピニル基、1,3−ブタジイニル基、2−フェニルエチニル基)、ならびにこれらとメチロール基の1つ以上の組み合わせであり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、メチルオキシアルキル基、メチルオキシアルケニル基、メチルオキシシクロアルキル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、メチルオキシアルキル基、メチルオキシシクロアルキル基が特に好ましく、これらの置換基のメチレン鎖中にエーテル構造またはケイ素原子が含まれる物(エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、3−トリメチルシリルプロピル基、2−トリメチルシリルエチル基、6−トリエチルシリルヘキシル基、トリエチルシリルプロピル基)はとりわけ好ましい。
これらの置換基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンンスルホニル基)が挙げられる。
ポリマー系列Aの製造方法としては、1.式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(3)、式(4)および/または式(5)で表される部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法(以後この方法を方法A−1とする。)、および2.式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物の少なくとも1種を重合させる工程を含む方法(以後この方法を方法A−2とする。)が好ましい。また、ポリマー系列Aのカーボン材料への連結法は、ポリマー系列Aの製造方法としてA−1を用いる場合とA−2を用いる場合では異なる。以下、ポリマー系列Aの製造方法A−1、製造方法A−2およびそれぞれの製法を用いた際のポリマー系列Aのカーボン材料への連結法について詳しく説明する。
方法A−1は、式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法である。ここで、主鎖部分の形成方法としては、"第四版 実験化学講座、29巻、4.1 耐熱性材料"にあるような公知の方法を用いることが好ましい。また、市販のポリマーを主鎖として利用することもできる。
1)エーテル系溶媒
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等。
2)非プロトン性アミド系溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等。
3)アミン系溶媒
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等。
方法A1−1は、前記方法にてポリマー主鎖の形成および式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造、およびカーボン材料との連結部位を導入し、該ポリマーをカーボン材料に連結する方法である。
(方法A1−2)
方法A1−2は、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行い、ポリマー主鎖を一つの連結点によってカーボン材料に連結後、カーボン材料との連結部位をさらに導入して二段目の連結反応を行い、その後式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造を導入する方法である。
(方法A1−3)
方法A1−3は、カーボン材料存在下で、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行うことにより、ポリマー主鎖の形成と1つの連結点によるカーボン材料への連結を同時に行い、その後、式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造、およびカーボン材料との連結部位を導入し、二段目の連結反応を行う方法である。
方法A−2は、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を重合させる工程を含む方法である。ここで、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物および式(15)で表される化合物は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。これらの化合物について説明する。
R6およびR7は、芳香環を含む2〜6価の連結基であり、芳香環を構成する炭素原子の総数は1〜50が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。また、該芳香環上の水素原子は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基(例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子など)で置換されていてもよい。
以下にR6およびR7の好ましい構造を例示する。ここで、−B6−(A5)n19および−B7−(A6)n20との連結部位については特に構造式中に記載していないが、芳香環上のいずれかの位置で所望の個数が連結されていてもよいものとし、下記構造式においては2価の連結基の構造として示す。ここで、−B6−(A5)n19または−B7−(A6)n20はそれぞれ1〜4個連結しているのが好ましく、1〜2個連結しているのがさらに好ましく、1個連結しているのが特に好ましい。
これらの中で、(A−2)、(A−5)、(A−8)、(A−12)がさらに好ましく、(A−1)、(A−4)が特に好ましい。
B6およびB7は、それぞれ、式(3)中のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
A5およびA6は、式(3)中のA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
n19およびn20は、好ましくは、それぞれ1〜4の整数を表し、n21およびn22は、好ましくは、それぞれ、1〜3の整数を表す。n21とn22の和は、好ましくは、2〜4である。n19〜n22が2以上であって、B6、B7、A5および/またはA6が2以上存在する場合、これらのB6、B7、A5および/またはA6は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
以下に、式(13)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Z3およびZ4はそれぞれ水酸基、フッ素原子、塩素原子、メタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が好ましい。
R9およびR10は、好ましくは、芳香環を含む2〜6価の連結基であり、式(13)中のR6およびR7と同義であり、B6−(A5)n19およびB7−(A6)n20との連結部位をE6およびE8との連結部位に置き換えた他は、好ましい範囲もR6およびR7と同義である。
Z5およびZ6はそれぞれ水酸基、フッ素原子、塩素原子、メタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が好ましい。
n23、n24およびn25はそれぞれ0〜4の整数を表し、n23とn24とn25の和は1以上である。
E6、E7およびE8はそれぞれ酸素透過性の高い置換基を表し、それぞれ式(5)のE1に同義であり、好ましい範囲も同義である。
n23、n24またはn25が2以上の場合、それぞれのE6、E7またはE8は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
以下に、式(15)の好ましい例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
方法A2−1は、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行った後、ポリマー系列A中にカーボン材料との連結部位を複数導入し、ポリマー系列Aをカーボン材料に複数の連結点を介して連結する方法である。
(方法A2−2)
方法A2−2は、カーボン材料存在下で、前記方法にてポリマー主鎖の形成を行うことにより、ポリマー主鎖の形成と1つの連結点によるカーボン材料への連結を同時に行った後、ポリマー系列A中にカーボン材料との連結部位を複数導入し、二段目の反応でポリマー系列Aをカーボン材料に複数の連結点により連結する方法である。
ポリマー系列A中のカーボン材料との連結部位、および該連結部位のポリマー系列Aへの導入法としては、大別して以下の通りである。
(1)ハロゲノベンジル部位
ハロゲノベンジル部位はカーボン材料中の水酸基と求核置換により反応し、カーボン材料と連結する。また、ハロゲノベンジル部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990 に記載の触媒)存在下で炭素ラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
ハロゲノベンジル部位については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化することによって得られる。
(2)スルホニルハライド部位
スルホニルハライド部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990 に記載の触媒)存在下でラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
スルホニルハライド部位の導入法については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環にクロロスルホン酸などを作用させることによって得られる。
(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位
2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体のような、安定フリーラジカル重合に用いる開始剤を導入すれば、加熱により炭素ラジカルが発生し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。上記誘導体の好ましい例は、上述の「安定フリーラジカル重合の開始点」の好ましい例と同義である。
上記誘導体部位の導入法については、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化し、求核置換反応によって上記誘導体を導入することができる。
(4)ジアゾニウム塩部位
カーボン材料存在下、アニリン誘導体よりジアゾニウム塩を形成すると、ジアゾニウム塩の分解により生じたラジカルがカーボン材料にトラップされることでカーボン材料と連結する。ジアゾニウム塩の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖の芳香環を、クロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化し、求核置換反応によってアニリン誘導体を導入後、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法、または、ニトロ基を有するモノマーを用いてポリマー系列Aの主鎖形成を行い、酸性条件下で鉄によりニトロ基をアニリンに還元し、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法が挙げられる。
(5)過酸エステル部位
過酸エステルを加熱すると、脱炭酸反応と共に炭素ラジカルが生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。過酸エステルの導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖にカルボン酸を導入し、塩化チオニルにより酸塩化物を形成後、tert−ブチルハイドロパーオキシドなどの過酸化物と反応させる方法が挙げられる。
(6)アゾ化合物誘導体部位
アゾ化合物も加熱により分解して炭素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。アゾ化合物の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をハロゲノメチル化し、4、4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)などのアゾ化合物誘導体と反応させる方法が挙げられる。
(7)ヒドロキシル基含有部位
ヒドロキシル基含有部位は、酸性条件下、四価のセリウムイオンと反応して炭素ラジカル、または酸素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ヒドロキシル基含有部位の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をヒドロキシメチル化する方法が挙げられる。
W11、W12およびW13がハロゲン原子の場合、それぞれ、塩素原子またはフッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
W11、W12およびW13がアルキル基の場合、それぞれ、直鎖、分岐鎖または環状アルキル基のいずれでもよく、その炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜6である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
W11、W12およびW13がアリール基の場合、それぞれ、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。
W11、W12およびW13がヘテロ環基の場合、それぞれ、置換もしくは無置換のへテロ6員環(例えばピリジル基、モルホリノ基等)、置換もしくは無置換のヘテロ5員環(フリル基、チオフェン基等)等が好ましい例として挙げられる。
式(10)で表される繰り返し単位は、1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。
A2はイオン性官能基を表し、式(3)のA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。n6が2以上の場合、2以上のA2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ポリマー系列Bの製造方法としては、例えば、1.式(6)からなる繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される部分構造を、主鎖の芳香環に導入する方法(以後この方法を方法B−1とする。)、および2.式(16)で表される化合物、および式(17)で表される化合物を重合させる工程を含む方法(以後この方法を方法B−2とする。)が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。また、ポリマー系列Bのカーボン材料への導入方法は、ポリマー系列Bの製造方法としてB−1を用いる場合とB−2を用いる場合では異なる。以下、ポリマー系列Bの製造方法B−1、B−2およびそれぞれの製法を用いた際のポリマー系列Bのカーボン材料への導入法について詳しく説明する。
方法B−1は、式(6)よりなる繰り返し単位を含む主鎖を形成後、式(7)または式(8)で表される部分構造を、該主鎖の芳香環に導入する方法である。ここで、主鎖部分の形成方法としては、スチレン誘導体をモノマーに用いたラジカル重合、カチオン重合またはアニオン重合など、公知の方法を用いることができる。
方法B1−1は、ポリマー主鎖形成時に例えば4−クロロメチルスチレンなどを共重合して連結部位を複数導入し、ポリマー系列Bを複数の連結点を介してカーボン材料に連結後、式(7)または式(8)で表される部分構造を導入する方法である。
(方法B1−2)
方法B1−2は、カーボン材料にラジカル重合の開始点を形成し、該開始点を利用してスチレン誘導体をモノマーに用いた、原子移動ラジカル重合あるいは安定フリーラジカル重合を行うことで、ポリマー主鎖の形成・1つの連結点によるカーボン材料への連結・二段目の連結反応に用いる連結部位の導入を同時に行い、二段目の連結反応により複数の連結点を介してカーボン材料に連結後、カーボン材料にグラフトされたポリマー主鎖に式(7)または式(8)で表される部分構造を導入する方法である。
方法B−2は、式(16)で表される化合物および式(17)で表される化合物を重合させる工程を含む方法である。式(16)で表される化合物および式(17)で表される化合物は、それぞれ、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。以下、これらの化合物について説明する。
B8は式(3)のB1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
A7はイオン性官能基を表し、式(3)におけるA1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
E10は酸素透過性の高い置換基を表し、式(5)におけるE1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
n26は、好ましくは1〜4の整数である。n27およびn28は、好ましくは、それぞれ、1〜3の整数である。
n26、n27、n28が2以上であって、A7、B8および/またはE10が2以上存在する場合、それぞれのA7、B8および/またはE10は同一であってもよいし、異なっていてもよい、
式(16)および式(17)の好ましい例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
方法B2−1は、カーボン材料にラジカル重合の開始点を形成し、該開始点を利用して式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物および4−クロロメチルスチレンをモノマーに用いた、原子移動ラジカル重合または安定フリーラジカル重合を行うことで、ポリマー系列Bの主鎖の形成・1点によるカーボン材料への連結・二段目の連結反応に用いる連結部位の導入を同時に行い、二段目の連結反応により複数の連結点を介してカーボン材料に連結させる方法である。ここで、カーボン材料に形成されるラジカル重合の開始点、およびカーボン材料との連結基としては前記に示した化合物を利用することが好ましい。
方法B2−2は、式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物および4−クロロメチルスチレンなどを共重合してポリマー主鎖形成および複数の連結部位の導入を行い、ポリマー系列Bを複数の連結点を介してカーボン材料に連結する方法である。
ポリマー系列B中のカーボン材料との連結部位、および該連結部位のポリマー系列Bへの導入法としては、大別して以下の通りである。
(1)ハロゲノベンジル部位
ハロゲノベンジル部位はカーボン材料中の水酸基と求核置換により反応し、カーボン材料と連結する。また、ハロゲノベンジル部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990に記載の触媒)存在下で炭素ラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ハロゲノベンジル部位の導入法としては、例えば4−クロロメチルスチレンを共重合する方法が挙げられる。
(2)スルホニルハライド部位
スルホニルハライド部位は、ハロゲン化銅(I)の2、2’−ビピリジン錯体など、原子移動ラジカル重合に用いる触媒(例えば、Chem. Rev. 2001,101,2921−2990に記載の触媒)存在下でラジカルを発生するため、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。
スルホニルハライド部位の導入法については、例えば、p−スチレンスルホン酸を共重合し、塩化チオニルにより処理する方法が挙げられる。
(3)2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体部位
2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシアルキル誘導体のような、安定フリーラジカル重合に用いる開始剤を導入すれば、加熱により炭素ラジカルが発生し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。上記誘導体の好ましい例は、上述の「安定フリーラジカル重合の開始点」の好ましい例と同義である。
上記誘導体部位の導入法については、例えば4−クロロメチルスチレンを共重合し、求核置換反応によって上記誘導体を導入することができる。
(4)ジアゾニウム塩部位
カーボン材料存在下、アニリン誘導体よりジアゾニウム塩を形成すると、ジアゾニウム塩の分解により生じたラジカルがカーボン材料にトラップされることでカーボン材料と連結する。ジアゾニウム塩の導入法としては、例えば、4−クロロメチルスチレンを共重合し、求核置換反応によってアニリン誘導体を導入後、亜硝酸ナトリウムと反応させる方法が挙げられる。
(5)過酸エステル部位
過酸エステルを加熱すると、脱炭酸反応と共に炭素ラジカルが生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。過酸エステルの導入法としては、例えば、4−ビニル安息香酸を共重合し、塩化チオニルにより酸塩化物を形成後、tert−ブチルハイドロパーオキシドなどの過酸化物と反応させる方法が挙げられる。
(6)アゾ化合物誘導体部位
アゾ化合物も加熱により分解して炭素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。アゾ化合物の導入法としては、例えば、4−クロロメチルスチレンを共重合し、4、4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)などのアゾ化合物誘導体と反応させる方法が挙げられる。
(7)ヒドロキシル基含有部位
ヒドロキシル基含有部位は、酸性条件下、四価のセリウムイオンと反応して炭素ラジカル、または酸素ラジカルを生成し、ラジカルトラッピング反応によりカーボン材料と連結する。ヒドロキシル基含有部位の導入法としては、ポリマー系列Aの主鎖をヒドロキシメチル化する方法が挙げられる。
本発明の燃料電池用触媒材料は、白金粒子等の触媒金属(電極触媒)の担体として好ましく用いられる。触媒金属を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられる(例えば、国際公開WO2002/054514号パンフレットなど)。
本発明の燃料電池用触媒材料は、燃料電池用電極、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、固体電解質膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。ここでいう固体電解質膜11はナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載の膜が挙げられる。これらの中でも、ナフィオン112、ナフィオン1135、ナフィオン115、ナフィオン117、特開2002−110174号公報に記載の膜および、前記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、前記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマーよりなる膜が特に好ましい。
(1)触媒層塗布法:本発明の燃料電池用触媒材料、触媒層用の固体電解質および溶媒を含む触媒層塗布液(インク)を固体電解質膜11の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒層塗布液を多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質膜11と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒層塗布液をPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質膜11に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持の本発明の燃料電池用触媒材料を触媒層用の固体電解質とともに混合した触媒層塗布液を固体電解質膜11、多孔質導電シートまたはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
[カーボン材料 M−1の作製]
(カーボン材料の改質)
カーボン材料として、カーボンブラック(商品名:カーボンECP、ケッチェン・ブラックインターナショナル社製)を用い、以下のスキーム1に従って反応を行った。(下記スキーム1中、CBはカーボンブラックの一部を示しており、1つのカーボンブラックの表面の任意2点を特記している。以下、CBについて同じ。)
公知の方法に従い、所定量の炭酸カリウム、N−メチル−2−ピロリドン、トルエンに、ビスフェノールAと3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン二ナトリウム塩とを20:19の割合で加え、窒素気流下200℃の油浴中で8時間攪拌した。反応後、反応液を大過剰のアセトニトリル中に注ぐと沈殿が得られた。上澄みを除去して沈殿をアセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥し、ポリマー末端にフェノール基を有するスルホ基含有ポリマーp−1を得た。
スキーム(2)に従って反応した。すなわち、所定量のカーボン材料c−1、スルホ基含有ポリマーp−1、N,N−ジメチルアセトアミド、炭酸カリウムを加え、窒素気流下110℃で36時間攪拌した。反応後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥して、(B−9)で表される連結基を介してスルホ基含有ポリマーを導入したカーボン材料c−2を得た。
スキーム(3)に従って行った。すなわち、所定量の前記カーボン材料c−2に塩化チオニルを加え、窒素気流下で24時間還流した。反応後、減圧して塩化チオニルを除去したのち、所定量のN−メチル−2−ピロリドン、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジンを加え、窒素気流下、150℃の油浴中で15時間反応した。反応後、系中に水を加え、100℃の油浴でさらに2時間攪拌したのち、生成物を濾別した。得られた固体を水、次いでアセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−9)で表される連結基、および(B−70)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−1を得た。なお、M−1とc−2のESRスペクトルを測定したところ、M−1の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−70)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
スキーム(4)に従って行った。すなわち、所定量のカーボン材料c−2、塩化スズ、クロロメチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラクロロエタンを加え、窒素気流下110℃で24時間攪拌した。反応後、生成物を濾別し、得られた粉体をクロロホルム、アセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。得られた粉体に、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下で160℃の油浴中で10時間攪拌した。その後、反応系中にハイドロキノンを加えてさらに2時間攪拌した。反応後、生成物をN,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−9)で表される連結基、および(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−2を得た。
なお、M−2とc−2のESRスペクトルを測定したところ、M−2の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
(グラフトポリマーの合成)
公知の方法に従い、所定量の炭酸カリウム、N−メチル−2−ピロリドン、トルエンに、ビスフェノールAと4,4'−ジクロロジフェニルスルホンとを20:19の割合で加え、窒素気流下200℃の油浴中で8時間攪拌した。反応後、反応液を大過剰のアセトニトリル中に注ぐと沈殿が得られた。上澄みを除去して沈殿を水で洗浄後、減圧乾燥し、ポリマー主鎖p−2を得た。
次に所定量のポリマーp−2を導入したカーボン材料、塩化スズ、クロロメチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラクロロエタンを加え、窒素気流下110℃で6時間攪拌した。反応後、生成物をクロロホルム、アセトニトリルで洗浄して側鎖にクロロメチル基を有するポリマーp−3を得た。
(グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入)
触媒担持カーボン材料として、白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)(a)を用い、スキーム(5)に従って反応を行った。すなわち、所定量のカーボンブラック(a)、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、ポリマーp−3、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下、150℃の湯浴中で6時間攪拌した。反応液を室温に戻したのち、反応液を濾別し、得られた粉体をアセトニトリルで洗浄してカーボン材料c−3を得た。
次にN,N−ジメチルホルムアミド中に3−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩、水素化ナトリウムを加え、室温で30分攪拌後、カーボン材料c−3を添加して、80℃で12時間攪拌した。その後、反応液を濾別し、得られた粉体を水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥して、スルホ基含有ポリマーが(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−3を得た。なお、M−3とカーボンブラック(a)のESRスペクトルを測定したところ、M−3の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
(グラフトポリマーの合成)
カーボン材料M−3の作製におけるグラフトポリマーの合成中、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを4,4'−ジフルオロベンゾフェノンに置き換えた他は同様にしてポリマーp−4を得た。
(グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入)
カーボン材料M−3の作製における、グラフトポリマーのカーボン表面への導入およびスルホ基の導入中、ポリマーp−3をポリマーp−4に置き換えた他は同様にしてカーボン材料M−4を得た。なお、M−4とカーボンブラック(a)のESRスペクトルを測定したところ、M−4の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
(イオン官能基含有ポリマーの合成)
カーボン材料M−1の作製におけるイオン官能基含有ポリマーの合成中、ビスフェノールAを4,4'−ジヒドロキシビフェニルに置き換えた以外は同様にして、スルホ基含有ポリマーp−5を得た。
(カーボン材料へのイオン官能基含有ポリマーの導入)
前記カーボン材料M−1の作製中、p−1をp−5に置き換えた他は同様にしてイオン官能基含有ポリマーの導入されたカーボン材料c−4を得た。
(ポリマーの多点連結形成)
前記カーボン材料M−1の作製中、c−2をc−4に置き換えた他は同様にしてカーボン材料M−5を得た。なお、M−5とc−4のESRスペクトルを測定したところ、M−5の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−70)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
カーボン材料M−2を80重量%、市販の白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)を20重量%の割合で混合し、カーボン材料M−6を得た。
カーボン材料M−2を90重量%、市販の白金担持カーボンブラック(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)を10重量%の割合で混合し、カーボン材料M−7を得た。
(イオン官能基含有ポリマーの合成)
所定量の過酸化ベンゾイル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、N−メチル−2−ピロリドンに、4−スルホプロピルオキシスチレンリチウム塩、4−クロロメチルスチレンを15:1の割合で加え、窒素気流下にて150℃の湯浴中で24時間攪拌した。室温に戻した後、反応液を大量のアセトニトリル中に注ぎ、得られた沈殿を濾別した。この沈殿をアセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥することで、イオン官能基含有ポリマーp−6を得た。
カーボン材料として、カーボンブラック(商品名:カーボンECP、ケッチェン・ブラックインターナショナル社製)を用い、スキーム6に従って反応を行った。すなわち、所定量のカーボンブラック、ポリマーp−6、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下にて150℃の油浴中で6時間攪拌した。室温に戻した後、反応液を濾別し、得られた粉体をN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄後、減圧乾燥することでカーボン材料c−5を得た。
次に所定量のカーボン材料c−5に、塩化銅(I)、2,2'−ビピリジン、N−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素気流下にて150℃で8時間攪拌した。反応液を濾別し、得られた粉体をアセトニトリル、水で洗浄し、次いで1規定の硫酸水溶液中に室温で30分浸漬した。その後、生成物を水で洗浄し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、スルホ基含有ポリマーが(B−69)で表される連結基、および(B−43)で表される連結基で連結された触媒担持カーボン材料(燃料電池用触媒材料)M−8を得た。なお、M−8とc−5のESRスペクトルを測定したところ、M−8の方がスペクトル面積が大きいことから、ラジカルトラッピング反応が進行し、(B−43)で表される連結基による連結が進行したことが確認された。
[カーボン材料 R−1の作製]
前記カーボン材料c−2を1規定の硫酸水溶液に室温で30分含侵後、水洗し、減圧乾燥した。次に、得られた固体を、ヘキサアミン白金(IV)塩化物水溶液に室温で1時間浸漬し、洗浄・乾燥後、水素気流中180℃にて還元してカーボン材料に白金を担持した。以上により、カーボン材料R−1を得た。
[作製方法1]
前記実施例1の触媒担持カーボンを用い、燃料電池を作製した。各触媒担持カーボン材料2gと、バインダーとしてのナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜き、触媒膜を作製した。
固体電解質膜としてはナフィオン117膜を用い、ナフィオン117膜の両面に上記で得られた触媒膜を塗布面がナフィオン117膜に接するように張り合わせ、ホットプレスにより熱圧着し、MEAを作製した。
作製方法1において、固体電解質膜およびバインダーを、下記繰り返し単位より構成される高分子E−1より作製した他は同様にしてMEAを作製した。尚、高分子E−1は、バインダーとして用いる場合は、重量平均分子量は3〜10万のものを、固体電解質膜として用いる場合は、重量平均分子量は10〜30万のものを用いた。
作製方法1において、固体電解質膜を高分子E−1、バインダーを下記繰り返し単位より構成される高分子E−2より作製した他は同様にしてMEAを作製した。ここで、高分子E−1の重量平均分子量は10〜30万のものを、高分子E−2の重量平均分子量は3〜10万のものを採用した。
実施例2で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に水素ガスをフローした。この時カソード側開口部16は大気をフローした。アノード電極12とカソード電極13間に、ポテンシオスタットを接続し400mVにおける電流値を記録した。結果を表1に示した。
11・・・固体電解質膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
Claims (9)
- カーボン材料と、該カーボン材料の表面と少なくとも2点以上の点で、連結基を介して結合しているポリマーとを有し、
前記連結基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、
前記ポリマーは、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しており(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)、さらに、
前記カーボン材料とポリマーをつなぐ連結基は、ポリマーの主鎖の芳香環に結合している、燃料電池用金属触媒の担体用材料。
- 前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、請求項1に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料。
- 前記ポリマーの主鎖部分が、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、ポリフェニレンスルフィド系化合物、ポリフェニレンエーテル系化合物、ポリスルホン系化合物またはポリエーテルケトン系化合物である、請求項1または2に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用金属触媒の担体用材料と、金属触媒と、高分子電解質を含む触媒膜。
- 前記高分子電解質が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマー(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)を含む、請求項5に記載の触媒膜。
- 多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒膜と、該触媒膜に接して設けられた高分子電解質膜とを有し、かつ、前記触媒膜が、請求項5または6に記載の触媒膜である、電極膜接合体。
- 前記高分子電解質膜が、下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖構造として含み、かつ、前記主鎖が有する芳香環には、下記式(3)〜(5)より選ばれる少なくとも1つの部分構造が結合しているポリマー(但し、式(3)と式(4)の少なくとも1つの部分構造が結合している)を含む、請求項7に記載の電極膜接合体。
- 請求項7または8に記載の電極膜接合体を有する、燃料電池。
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