JP2007280946A - 膜/電極接合体および燃料電池 - Google Patents

膜/電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態において出力特性に優れる膜/電極接合体を提供する。
【解決手段】少なくとも、一対の電極と、該電極の間に設けられたイオン交換膜とを有する膜/電極接合体であって、前記イオン交換膜は、式(I)で表される繰り返し単位を含み、かつ、該膜/電極接合体の80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下であり、120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下である、膜/電極接合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料として純水素、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メタノールまたは化石燃料からの改質水素などを直接用い、空気や酸素を酸化剤とする燃料電池に関するものであり、具体的には、固体高分子型燃料電池において用いられる膜/電極接合体に関する。また、該膜/電極接合体を用いた燃料電池に関する。
近年、次世代の電源として利用できる燃料電池が活発に研究されている。その部材としてイオン交換膜について活発な研究が行われている。
固体高分子型燃料電池はイオン交換膜の両面に一対の電極を設けて水素ガスを燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として他方の電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。この起電力を左右する要因として、水素ガスの燃料極上での酸化反応によるプロトン生成過程、生成されたプロトンが燃料極からイオン交換膜を経て空気極に到達するまでの伝導過程、空気極上でのプロトンと酸素のよる水の生成過程、が挙げられる。プロトンの伝導過程については、電極中の触媒からバインダーへのプロトン伝導、バインダーからイオン交換膜へのプロトン伝導、イオン交換膜内のプロトン伝導に区分される。
一般に、イオン交換膜としてナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が用いられているが、プロトン伝導度がまだ十分ではなく、プロトン伝導度を上げるため高分子構造中のスルホン酸基量を上げると、機械的強度の低下および水性溶媒への可溶化を引き起こしてしまう。また高温状態(100℃以上)では軟化が起こり、また必然的に低加湿状態となるためにプロトン伝導度が低下してしまう。そのため高温(100℃以上)での使用に問題があり、固体高分子型燃料電池システムの運転温度が低温領域(80〜85℃以下)に限定されている。固体高分子型燃料電池システムとして、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの熱利用効率の向上や燃料電池搭載自動車のラジエーター小型化のためには高温・低加湿に対応可能なプロトン伝導材料およびそれを用いた膜/電極接合体の開発が強く望まれている。さらに使用するモノマーが比較的高価であり、また製造方法が複雑なため製造コストが高くなるといった問題も残る。
燃料電池における新たな関心および高温での難題のために、ナフィオンに代わる可能性があるものとして、新しい膜材料が開発されている。以前の研究は、スルホン化ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはポリ(アリーレンエーテル)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))に集中している。典型的には、これらの重合体は、全て、ポストスルホン化重合体修飾反応により製造されていたが、この場合、そのスルホン酸基は、既に形成された重合体骨格に結合されている。
特許文献1および非特許文献1には、スルホン化活性化芳香族モノマーおよび非スルホン化活性化芳香族モノマーと適切なコモノマー(例えば、ビスフェノール)とを重合させてスルホン化芳香族共重合体を生成する方法が記載されているが、特に固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態において出力特性に優れる膜/電極接合体に関する手段や方法についての記載はない。
特許文献2には、スルホン酸基の代わりにスルホアルキル基を側鎖に導入した芳香族炭化水素系化合物を電極触媒用バインダーおよび/またはイオン交換膜に用いることにより、フッ素系高分子と同等以上、もしくは実用上十分な耐劣化特性に優れる膜/電極接合体が得られる方法について開示されているが、特に固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態において、良好な密着性を有さず、且つ出力特性に問題があった。また、特許文献3には、プロトン伝導性芳香族高分子電解質膜の一方の面に触媒膜を有するアノード電極および他方の面に触媒膜を有するカソード電極を備え、前記触媒膜は側鎖にイオン交換基を有するπ共役系芳香族高分子と触媒を有することを特徴とする膜/電極接合体により密着性が高く、且つ界面抵抗が低く、さらに電圧−電流特性の高い高性能な固体高分子型燃料電池が得られる方法について開示されているが、特に固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態においての出力特性は満足できるものではなかった。
特表2004−509224号公報 特開2002−110174号公報 特開2005−197071号公報 Polymer Preprints(2000),41(1),237
本発明は従来技術の課題を背景になされたものであり、特に固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態において出力特性に優れる膜/電極接合体を提供することを目的とする。
発明者は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物(以下、「スルホン化芳香族系高分子」ということがある)を含むイオン交換膜を用いた膜/電極接合体であって、該膜/電極接合体の80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下であり、かつ120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下である膜/電極接合体を用いると、特に固体高分子型燃料電池用途にて、高温(120℃以上)低湿(50%以下)における出力特性が優れることが明らかになった。
具体的には、下記手段により達成された。
(1)少なくとも、一対の電極と、該電極の間に設けられたイオン交換膜とを有する膜/電極接合体であって、前記イオン交換膜は、式(I)で表される繰り返し単位を含み、かつ、該膜/電極接合体の80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下であり、120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下である、膜/電極接合体。
式(I)
Figure 2007280946
(式(I)中、mおよびnはそれぞれ正の整数であり、n/n+mは0.001〜1の範囲であり、Yはそれぞれ−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(
O)(C65)−およびそれらの組合せからなる群から選択され、Zは単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−および−P(O)(C65)−からなる群から選択され、Aはそれぞれスルホネート基および式(II)で表される基からなる群より選択される。)
式(II)
Figure 2007280946
(式(II)中、B1およびB2はそれぞれ連結基を表し、Xはイオウ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表す。)
(2)前記式(I)において、n/n+mは0.1〜0.8の範囲であり、Yは−S(O)2−または−C(O)−であり、Zは単結合または−C(CF32−である、(1)に記載の膜/電極接合体。
(3)前記スルホネート部分がプロトン型、ナトリウム型またはカリウム型である、(1)または(2)に記載の膜/電極接合体。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体であって、80℃における内部抵抗の最小値が90mΩ・cm2以下であり、かつ120℃における内部抵抗の最小値が550mΩ・cm2以下である、膜/電極接合体。
(5)前記一対の電極の少なくとも一方が、触媒金属の微粒子を含む炭素材からなる導電材料とバインダーとを含み、かつ、該バインダーが、少なくとも1個のイオン交換基を含有する芳香族系高分子である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。(6)前記バインダーの80℃水中におけるイオン伝導度が0.1S/cm以上である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
(7)前記バインダーが、前記式(I)で表される繰り返し単位を含む、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
(8)前記バインダーが、体積平均粒径が1nm〜200nmであるイオン性ポリマー粒子を含む分散液を用いた、(7)に記載の膜/電極接合体。
(9)前記バインダーが、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレンおよびポリフェニレンからなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の膜/電極接合体を含む燃料電池。
本発明の膜/電極接合体を用いることにより、固体高分子型燃料電池用途にて高温(120℃以上)低湿(50%以下)状態における出力特性に優れた膜/電極接合体を得ることが可能になった。
さらに、バインダーに特定のものを採用することにより、触媒膜中の触媒からバインダーへのプロトン伝導、バインダーからイオン交換膜へのプロトン伝導、イオン交換膜内のプロトン伝導が改善され、より出力特性に優れた膜/電極接合体を得ることが可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書における「膜」とは、何らかの支持体上に設けられた「層」も含む趣旨である。
本発明で用いるイオン交換膜は、式(I)で表される繰り返し単位を含む。
式(I)
Figure 2007280946
式(I)中、mおよびnはそれぞれ正の整数であり、n/n+mは0.001〜1の範囲であり、Yはそれぞれ−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C65)−およびそれらの組合せからなる群から選択され、Zは単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−および−P(O)(C65)−からなる群から選択され、Aはそれぞれスルホネート基および式(II)で表される基からなる群より選択される。
式(II)
Figure 2007280946
式(II)中、B1およびB2は、それぞれ、連結基を表し、Xはイオウ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表す。
ここで、n/n+mは、0.1〜0.8が好ましく、0.3〜0.7がより好ましい。
Yは、それぞれ、−S(O)2−または−C(O)−が好ましく、−S(O)2−がさらに好ましい。
Zは、単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(O)−、−S(O)2−が好ましく、単結合または−C(CF32−が特に好ましい。
Aは、酸形態(−SO3H、スルホン酸)または塩形態(−SO3M、Mはカチオン)のいずれかであり、プロトン型、ナトリウム型、カリウム型がさらに好ましい。
本発明で用いる式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物は、例えば、少なくとも1個のスルホネート基および少なくとも2個の脱離基を有するモノマーと、少なくとも2個の脱離基を有するコモノマーとを反応させて、少なくとも1個のスルホネート基および少なくとも2個の脱離基を有するモノマーおよびコモノマーを縮合させることにより製造できる。
ここで、少なくとも1個のスルホネート基および少なくとも2個の脱離基を有するモノマーとして、例えば、3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを用いることができる。また、少なくとも1個のスルホネート基および少なくとも2個の脱離基を有するモノマーとして、0.001〜0.999の範囲のモル比で、3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホンおよび4,4'−ジクロロジフェニルスルホンの混合物を用いてもよい。
上記少なくとも2個の脱離基を有するコモノマーは、4,4'−ビフェノール、ヒドロキノン、6F−ビスフェノールおよびフェニルホスフィンオキシドビスフェノールからなる群から選択されるものが好ましい。上記少なくとも2個の脱離基を有するコモノマーは、より好ましくは、4,4'−ビフェノールである。上記スルホネート基は、スルホン酸基であってもよいし、その塩型であってもよい。
式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物のうち、例えば、スルホン化ポリスルホンは、スルホンモノマーのスルホン官能基に隣接した芳香環に少なくとも1個のスルホネート基または式(II)で表される基を結合した上記スルホンモノマーとコモノマーとを縮合して形成することができる。この場合、0.001〜0.999の範囲のモル比で、3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホンおよび4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを混合して用いることが好ましい。
また、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物は、スルホネート基の位置を制御することができる。例えば、後述するスキーム1で図示するように、ビスフェノールポリ(アリーレンエーテルスルホン)のポスト重合スルホン化により、その活性化環のスルホン化が得られる。このスルホン化モノマーを使って出発し、続いて直接重合することにより、スルホン化は、下記構造2で示すように、この非活性化環で維持される。このポリマー中のスルホネート基の濃度および位置を制御することにより、得られる膜の種々の特性(例えば、伝導性および含水量)が制御され得る。スルホン化モノマーの直接重合により、ポストスルホン化反応により合成されたイオン交換膜は、明確なイオン伝導体位置、高いプロトン伝導率および高い安定性を得ることができる。
構造2
Figure 2007280946
本明細書中で使用する「スルホネート」または「スルホン化」は、スルホネート基、すなわち、SO3を意味し、これは、酸形態(−SO3H、スルホン酸)または塩形態(−SO3M、Mはカチオン)のいずれかである。この塩形態のカチオンは、アルカリ金属類(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム)、アルカリ土類金属類(カルシウム、マグネシウム等)または他の金属、無機カチオンまたは有機カチオン(アンモニウム等)であることが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム塩がより好ましい。また、原料あるいは合成、製膜の過程で混入したアニオン類(臭化物イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン等)が含まれていてもよい。
一般式(I)のAは、一般式(II)で表される基であることが好ましい。
一般式(II)
Figure 2007280946
一般式(II)中、B1およびB2はそれぞれ連結基を表す。連結基としては、好ましくはアルキレン基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリーレン基、例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、4−フェニレンメチレン基、1,4−ナフチレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニレン基、例えばエテニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基)、アルキニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニレン基、例えば、エチニレン基、プロピニレン基)、アミド基、エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基(好ましくは炭素原子数1〜26のヘテリレン基、例えば、6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)、または、これらの2以上組み合わせて構成される炭素原子数0〜100(より好ましくは炭素原子数1〜20)の連結基を表す。これらの基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していてもよいが、置換基を有さない方が好ましい。これらの中でもより好ましくは、アルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基、チオエーテル基、エーテル基を含む基であり、さらに好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、チオエーテル基、エーテル基を含む基である。
一般式(II)中、Xは、1つまたは2つ以上のイオウ原子を含む基であり、イオウ原子のみから構成されていてもよいし、イオウ原子と他の原子から構成されていてもよい。好ましくは、−S−、−SO−および−SO2−の少なくとも1つを含む基である。
一般式(II)中、Mは、カチオンを表し、好ましくはプロトン、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体からなる群から選択され、より好ましくはプロトンである。
一般式(II)中、m1は1以上の整数を表し、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
一般式(II)が塩を形成する場合、酸残基のプロトンが以下のカチオンに置換されているものが好ましく、その置換比(カチオン/酸残基比)は0〜1であって、固体電解質の合成の過程では特に制限はないが、燃料電池用の固体電解質として用いる場合は0.1以下のものが好ましい。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体が好ましく、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンがさらに好ましく、アルカリ金属カチオンが特に好ましい。
以下に一般式(II)の例を示すが、本発明で採用することができる一般式(II)の構造はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007280946
本明細書において「重合体」との用語は、広義に使用されており、単独重合体、ランダム共重合体およびブロック共重合体を含む。
本発明で用いるイオン交換膜は、導電性を有し、良好な機械的強度を有することが好ましい。芳香族系高分子(例えば、ポリ(アリーレンエーテルスルホン))は、典型的には、優れた熱的特性および機械的特性、ならびに酸化および酸触媒加水分解に対する耐性を有する。これらの特性は、典型的には、脂肪族単位の数が少なくなると、より向上する傾向にある。
また、本発明で用いられる式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物は、スルホン化活性化芳香族モノマー、非スルホン化活性化芳香族モノマーおよびコモノマー(例えば、ビスフェノール)を直接重合してスルホン化芳香族系高分子を形成することによっても得られる。これらのモノマーの活性化基としては、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−および−P(O)(C65)−が挙げられる。これらのモノマーは、ジハライド形態またはジニトロ形態であり得る。ハライドには、Cl、FおよびBrが挙げられるが、これらに限定されない。
このスルホン化活性化芳香族ジハライドは、当業者に公知のスルホン化方法により、対応する活性化芳香族ジハライドをスルホン化することにより、調製することができる。このスルホン化活性化芳香族ジハライドは、次いで、このスルホン化芳香族系高分子の形成で使用できる。このスルホン化芳香族系高分子を形成する一般反応スキームは、以下のスキーム1に示される。
スキーム1
Figure 2007280946
スキーム1では、Yは、脱離基Xを活性化する任意の基であり、具体的には、それぞれ、−S−、S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C65)−およびそれらの組合せからなる群から選択される。このYを含む、スルホン化モノマーの活性化基は、非スルホン化モノマーの活性化基と同一であっても異なっていてもよい。
Xは、任意の活性化脱離基(例えば、ジハライド基またはジニトロ基)である。好ましいジハライド基には、Cl、FまたはBrが挙げられるが、これらに限定されない。
Zは単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−および−P(O)(C65)−からなる群から選択される。
活性化芳香族モノマーに対するスルホン化活性化芳香族モノマーのモル比は、0.001〜0.999であることが好ましい。活性化芳香族モノマー(例えば、ビスフェノール)は、このスルホン化共重合体を生成するために、十分に化学量論的な量で使用される。
式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物は、スルホネート部分が存在している芳香環が、スルホン基に近接しているために、スルホン化反応には非活性化されている。この非活性化芳香環に対するスルホン化は、対応するモノマーをスルホン化することに続いて重合してポリスルホンを形成することにより、達成される。このようにして、この非活性化環のスルホン化は、維持される。
本発明で用いるスルホン化芳香族系高分子の形成は、所望のスルホン化モノマー(これは、典型的には、ジハライドの形態である)を選択または作製することにより行うことができる。このスルホン化モノマーは、次いで、適切なコモノマー(例えば、ビスフェノール)と縮合されて、スルホン化芳香族系高分子を形成する。このスルホン化モノマーは、単独で、または非スルホン化モノマーと共に添加することができる。1つの特に有用なスルホン化モノマーには、3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(SDCDPS)があり、これは、下記構造3で示される。また、構造3中の塩素原子が、他のハロゲン原子(例えば、フッ素原子)等であってもよい。
構造3
Figure 2007280946
先に述べたように、非スルホン化モノマーは、スルホン化モノマーと共に添加されて、スルホン化芳香族系高分子を形成することができる。この非スルホン化モノマーは、得られるスルホン化芳香族系高分子、さらには、イオン交換膜の所望の特性に依存して、適宜変更することができる。3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを使用するとき、1つの有用な非スルホン化モノマーには、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)がある。非スルホン化モノマーに対するスルホン化モノマーの相対モル比は、その材料の所望の特性に依存して、適宜定めることができ、例えば、0.001〜1、好ましくは、0.3〜0.6の範囲とすることができる。
本発明で用いるスルホン化芳香族系高分子を形成するのに使用されるコモノマーもまた、得られる膜の所望の特性および用途に応じて、適宜、定めることができる。
例えば、コモノマーとして、ビスフェノールを使用することができる。機械的強度および耐熱性が重要なイオン交換膜には、このコモノマーとして、4,4'−ビフェノール、ヒドロキノン、6F−ビスフェノール、フェニルホスフィンオキシドビスフェノールまたは他の芳香族ビスフェノールを使用するのが好ましい。さらに、このビスフェノールは、追加脂肪族置換基または芳香族置換基を含有していてもよい。
また、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物である、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)は、スキーム2で示すように、3,3'−ジスルホン化4,4'−ジクロロジフェニルスルホンおよびジクロロジフェニルスルホンと4,4'−ビフェノールとを直接縮合して、形成することもできる。
スキーム2 スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)の合成
Figure 2007280946
スキーム2は、4,4'−ビフェノールと縮合するSDCPDSおよびDCPDSを示している。1個またはそれ以上の芳香族基および1個またはそれ以上のスルホネート部分(これは、この芳香族環上に位置している)を含有する任意の芳香族スルホン化モノマーを考慮しており、このモノマーは、縮合反応により任意のコモノマー(特に、ビスフェノールが挙げられるが、これに限定されない)の対応する脱離基と反応する脱離基を含む。このコモノマーは、それ自体、スルホネート部分で置換され得る。生成する重合体は、活性化芳香族モノマーに対するスルホン化活性化芳香族モノマーのモル比が、例えば、0.001〜1、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
本発明において、スルホン酸基導入前の高分子化合物を合成する方法の一例として、下記式(III)で表される化合物と、下記式(IV)で表される化合物とを重合(好ましくは、重縮合)させる製造方法が挙げられる。
式(III)
Figure 2007280946
式(III)中、X1は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)またはニトロ基を表す。2つのX1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(IV)
Figure 2007280946
式(IV)中、Aは、上記式(II)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同義である。mは0、1または2である。RおよびRiは、それぞれ、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基あるいはエチル基が好ましい。sおよびsiは0〜4の整数であり、0または1が好ましい。
式(III)で表される化合物の具体例としては、以下に表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007280946
これらの化合物は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
また前記式(IV)で表される化合物の具体例としてはハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−プロピルハイドロキノン、2−ブチルハイドロキノン、2−ヘキシルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2−デカニルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの芳香族ジオール類は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記式(III)で表される化合物とおよび式(IV)で表される化合物の好ましい配合割合は、式(IV)で表される化合物1モルに対して、式(III)で表される化合物が0.7〜1.3モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルであることがより好ましく、0.95〜1.05モルであることがさらに好ましい。
前記式(III)で表される化合物と前記式(IV)で表される化合物とを重縮合して本発明のプロトン酸基含有ポリスルホン(固体電解質)を合成する場合、塩基性化合物存在下で重縮合させる方法が好適に用いられる。
塩基性化合物の種類や反応条件等は特に規定されることはなく、公知の塩基性化合物や反応条件等を適用できる。塩基性化合物としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属などの塩基性金属化合物、各種金属の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、有機塩基などが挙げられる。
これら塩基性化合物の使用量は、式(IV)で表される芳香族ジオール類1モルに対して、0.05〜10.0モルが好ましく、0.1〜4.0モルがより好ましく、0.5〜2.5モルがさらに好ましい。
本発明の固体電解質に用いる高分子化合物を製造する反応は、好ましくは溶媒中で行う。好ましい溶媒としては、下記のようなものが挙げられる。
1)エーテル系溶媒
エーテル系溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
2)非プロトン性アミド系溶媒
非プロトン性アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等が挙げられる。
3)アミン系溶媒
アミン系溶媒としては、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等が挙げられる。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いることができる。また、下記5)項に示す溶媒をさらに混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなくて不均一であっても差し支えない。
これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、重合濃度と称する。)については、なんら制限はない。
上記の溶媒中で、式(IV)で表される化合物と式(III)で表される化合物を反応させることによって、プロトン酸基含有ポリスルホンが得られる。この反応でより好ましい溶媒は、上記2)項の非プロトン性アミド系溶媒と4)項のジメチルスルホキシドである。
雰囲気は特に定めるものではないが、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の雰囲気が好ましく用いられ、不活性気体がより好ましく、窒素やアルゴン雰囲気がさらに好ましい。
さらに、反応によって生成する水を系外に除くために、別の溶媒を共存させることもできる。ここで用いられる溶媒としては、下記5)項のようなものが挙げられる。
5)ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエンおよびp−ブロモトルエンなどが挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
反応温度、反応時間および反応圧力には特に制限はなく、公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、50℃〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、130〜250℃がさらに好ましい。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類および反応温度等により適宜定めることができるが、1〜72時間が好ましく、3〜48時間がより好ましく、5〜24時間がさらに好ましい。反応圧力については加圧下、減圧下でもよく、常圧でもよい。
本発明において、スルホン酸基導入前の高分子化合物にスルホン酸基を導入する方法としては、以下のような導入方法を用いることができる。また、該高分子化合物にスルホン酸基を直接導入する方法のほか、モノマーに導入後に高分子化してもよい。
例えば、B1がメチル基の場合には後記するクロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化ポリスルホンとした後、チオエーテル結合をアルキル鎖に含んだ化合物、例えば下記の3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムや2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを反応させる方法などが挙げられる。
Figure 2007280946
本発明において、ハロゲノアルキル基としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、ヨードエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、ヨードプロピル基、クロロブチル基、ブロモブチル基、ヨードブチル基、クロロペンチル基、ブロモペンチル基、ヨードペンチル基、クロロヘキシル基、ブロモヘキシル基、ヨードヘキシル基等の炭素原子数1〜6のハロゲノアルキル基が挙げられ、ハロゲノメチル基が好ましい。
本発明において好ましいハロゲノメチル基を芳香環に導入(芳香環のハロゲノメチル化反応)するには、公知反応が広範囲に使用できる。例えばクロロメチル化剤として、クロロメチルメチルエーテル、1,4−ビス(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−クロロブタンなどを用い、触媒として塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化チタンなどのルイス酸やフッ化水素酸などを用いてクロロメチル化反応を行うことにより、芳香環にクロロメチル基を導入することができる。溶媒には、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを用い、均一系で反応を行うことが好ましい。また、パラホルムアルデヒドと塩化水素、もしくは臭化水素などを用いてハロゲノメチル化反応を行うこともできる。
上記のようにして得られる、上記高分子化合物中のスルホン酸基量は、重合体を構成する単位(B)の1ユニットに対して、好ましくは0.05〜2個、より好ましくは0.3〜1.5個である。0.05個以上とすることにより、固体電解質のプロトン伝導性がより高くなり、一方2個以下とすることにより、親水性が向上して水溶性ポリマーとなってしまったり、また水溶性に至らずとも耐久性が低下したりするのを、より効果的に抑止できる。
また、このようにして得られる本発明で用いる高分子化合物のスルホン化前の前駆体のポリマーの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜200,000である。1,000以上とすることにより、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不充分となるのをより効果的に抑止でき、また強度的性質をより効果的に高めることができる。一方、1,000,000以下とすることにより、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題をより効果的に抑止できる。
本発明で用いるイオン交換膜は、当業者に公知の方法により、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物から製造することができる。イオン交換膜を形成する1方法は、このスルホン化芳香族系高分子を適切な溶媒(例えば、DMAC)に溶解する工程に続いてガラス基材上に直接注型する工程を包含する。
燃料電池の発電特性は構成されるセルの内部抵抗に大きく依存する。燃料電池の内部抵抗を測定する方法には、おもに電流遮断法と交流インピーダンス法の2種類がある。電流遮断法は、燃料電池セルにある一定電流を通電しておき、瞬間的に電流を遮断し、そのときの電圧変化から抵抗分極による内部抵抗を求める方法である。電流遮断法が直流電流に対する電圧応答測定であるのに対して交流インピーダンス法は、交流電流に対する電圧応答により抵抗分極による内部抵抗のみならず活性化分極や拡散分極に起因する抵抗分析が可能である。本発明に関わる内部抵抗とは抵抗分極を意味する。
燃料電池の作動温度は、重要である。作動温度が高いと、その電極触媒の一酸化炭素毒作用が低下する。しかしながら、この温度が高くなるにつれて、燃料電池の膜を水和状態に保つことが困難となる。脱水した膜は、イオン伝導性を失い、結果として、収縮が原因で、燃料電池部品間の接触が乏しくなり得る。本発明の燃料電池は、例えば、室温〜120℃で、作動させることも可能である。
本発明で用いるイオン交換膜は、上記スルホン化芳香族系高分子とヘテロポリ酸(HPA)とを組み合わせたナノ複合材料膜としてもよい。このヘテロポリ酸は、このナノ複合材料膜に非常によく分散されて、実質的に透明な膜が得られる。ヘテロポリ酸を含有するイオン交換膜は、この燃料電池を100℃より高い温度で運転でき、その水吸収を少なくしつつ、この膜のプロトン伝導性を向上させることができる。この結果は、殆どのスルホン酸ベースの膜のプロトン伝導性が、典型的には、膜含水量に直接関係しているので、予想外である。さらに、ヘテロポリ酸を備えたナフィオンベースのシステムでは、そのヘテロポリ酸の分散が低く、また、導電性が低い。
無機ヘテロポリ酸は、典型的には、低レベルの水和でプロトン伝導性を高めるために、局所規模で膜内に水を保持するのを助けるように、添加されている。
使用する「ヘテロポリ酸」、「無機ヘテロポリ酸」および「HPA」は、当業者に公知の意味を有し、特に、Katsoulis,D.E.,「A Survey of Applications of Polyoxometalates」Chemical Reviews,1巻、359〜387ページ(1998)(本明細書中において、その全体が具体的に参考として援用される)で述べられている。
本発明で用いるナノ複合材料を含むイオン交換膜は、スルホン化芳香族系高分子およびヘテロポリ酸の混合物を溶液注型することにより、形成することができる。スルホン化芳香族系高分子に対するヘテロポリ酸の重量比は、10%〜60%の範囲であることが好ましい。この比は、使用するスルホン化重合体の種類およびヘテロポリ酸の種類に応じて適宜調整することができる。使用され得る種類の本発明におけるスルホン化芳香族系高分子のなかから適宜選択することができる。
ヘテロポリ酸の種類には、リンタングステン酸、リンモリブデン酸およびリン酸水素ジルコニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
上記のようにして得られる、本発明で用いるイオン交換膜のスルホン酸基量は、重合体を構成する単位(B)の1ユニットに対して、通常、0.05〜6個、好ましくは0.3〜4個である。0.05個以上とすることにより、プロトン伝導性が高くなる傾向にあり好ましく、6個以下とすることにより、親水性が向上して水溶性ポリマーとなってしまったり、水溶性に至らずとも耐久性が低下してしまうのをより効果的に抑止できる。
また、本発明で用いる式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物のスルホン化前の前駆体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜200,000である。1,000以上とすることにより、成形フィルムにクラックが発生するのをより抑止できる傾向にあり、また、塗膜性がより良好になる傾向にあり、また、強度的性質も向上する傾向にあり好ましい。一方、1,000,000以下とすることにより、溶解性がより良好な傾向にあり、また溶液粘度が高くなりすぎず、加工性が不良になるなどの問題を抑止できる傾向にあり好ましい。
なお、本発明で用いる式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物の構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
次に、本発明で用いるイオン交換膜は、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを含んでいてもよい。
製膜工程においては、原料となる重合体を融点より高い温度に保持した液体、または溶媒を用いて溶解した液体を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの液体をキャスト、または塗布して製膜してもよい。これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうことができ、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
さらに製膜工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削、除去、コーティング処理を行なってもよく、これらは電極との密着を改良できることがある。
本発明で用いるイオン交換膜は、成形した時点で膜状であっても良いし、バルク体に成形した後に、切断して膜状に加工することもできる。
本発明で用いるイオン交換膜は、多孔質基材の細孔に含浸させることにより形成してもよい。細孔を有する基材上に、上述したような原料を含む反応液を塗布含浸させるか、基材を反応液に浸漬し、細孔内に該反応液を満たしてイオン交換膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
イオン交換膜の他の成分
本発明で用いるイオン交換膜には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量はイオン交換膜の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価ないし二価のイオウ系、三価および五価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平10−312815号公報、特開2000−231928号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等からなる微粒子が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平6−111834号公報、特開2003−178777号公報、特開2004−217921号公報に記載の微粒子が挙げられる。
吸水剤(親水性物質)としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には特開平7−135003号公報、特開平8−20716号公報、特開平9−251857号公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、二価アルコールエステル系化合物、オキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、カーボネート類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には特開2003−197030号公報、特開2003−288916号公報、特開2003−317539号公報に記載の可塑剤が挙げられる。
さらに本発明のイオン交換膜には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明で用いるイオン交換膜と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらの2以上の重合体が好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いるイオン交換膜の特性としては、以下の諸性能を持つものが好ましい。
イオン伝導度は例えば25℃95%RHにおいて、0.005S/cmであることが好ましく、0.01S/cm以上であるものが特に好ましい。
強度としては例えば引っ張り強度が10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であるものが特に好ましい。使用形態における貯蔵弾性率は500MPa以上であることが好ましく、1000MPa以上であるのが特に好ましい。
本発明で用いるイオン交換膜は安定した吸水率および含水率を持つものが好ましい。また、アルコール類、水およびこれらの混合溶媒に対し、溶解度は実質的に無視できる程度である物が好ましい。また上記溶媒に浸漬した時の重量減少、形態変化も実質的に無視できる程度である物が好ましい。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましいが、ランダムであっても良い。
本発明で用いるイオン交換膜が膜状に形成された場合、その厚みは10〜300μmが好ましい。厚みが小さいほどイオン抵抗が小さく好ましいが、それにつれて強度が低下するため、20〜200μmの範囲がさらに好ましく、30〜100μmの範囲が特に好ましい。
本発明のイオン交換膜の耐熱温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上がさらに好ましく、300℃以上が特に好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
さらに、本発明で用いるイオン交換膜には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、イオン交換膜中に浸透した燃料が他方極に到達すること無くイオン交換膜中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
燃料電池
本発明の膜/電極接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)は、燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の膜/電極接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、イオン交換膜11と、それを挟んで対向する電極(アノード電極12及カソード電極13)を備える。
これらの電極は、好ましくは、触媒膜12b、13bと、導電層12a、13aから構成される。
一方、触媒膜12b、13bは、好ましくは、触媒金属の微粒子を含む炭素材からなる導電材料およびバインダーを含む。ここで、触媒金属の微粒子を含む炭素材は、炭素材に白金などの活性金属粒子を担持した触媒であることが好ましい。活性金属粒子として白金以外に金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム等の金属や合金あるいは化合物を用いることができる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲である。粒子サイズを10nm以下とすることにより、単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であり、2nm以上とすることにより、より分散しやすくなるため好ましい。炭素材料としては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックやカーボンナノチューブ等の繊維状炭素あるいは活性炭、黒鉛等を用いることができ、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
ここで、バインダーとしては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、イオン交換膜に用いられる酸残基を有する高分子化合物、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載のものが挙げられる。
バインダーのイオン伝導度は80℃水中において0.07S/cm以上であることが好ましく、0.10S/cm以上であることが特に好ましい。
また、式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物を触媒膜に用いると、イオン交換膜と同種の材料となるため、イオン交換膜と触媒膜との電気化学的密着性が高まりより有利である。
一方、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレンおよびポリフェニレンからなる群から選択されるπ共役系芳香族高分子いずれか1種以上を用いることも好ましい。バインダーとπ共役系芳香族高分子は混合して用いることができ、固形分重量比でバインダー/π共役系芳香族高分子が100/1〜1/100が好ましく、10/1〜1/10がより好ましい。本発明で用いるπ共役系芳香族高分子の分子量は重量平均分子量で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜200,000である。
また、バインダーがスルホン化ポリスルホンの場合、体積平均粒径が1nm〜200nmであるイオン性ポリマー粒子を含む分散液を用いることが好ましい。
イオン性ポリマー粒子分散液の調製方法の一例を説明する。
イオン性ポリマー粒子分散液は、イオン性ポリマーが難溶である貧溶媒と、貧溶媒と混和性を有し、かつ、イオン性ポリマーが易溶である良溶媒にイオン性ポリマーを溶解させたイオン性ポリマー溶液とを連続的に混合することにより生成することができる。ここで、連続的に混合とは、貧溶媒とイオン性ポリマー液がそれぞれ流動した状態で混合することを意味し、時間ともに新しい混合が生まれ続いている状態を表す。
ここで、本発明におけるイオン性ポリマーが難溶である貧溶媒とは、例えば、イオン性ポリマーの溶解度が10mg/mL以下のものをいう。貧溶媒は、1種類または2種類以上を混合してもよい。本発明で用いる貧溶媒としては、水が好ましい。
良溶媒としては、イオン性ポリマーを溶解しかつ貧溶媒と混和する溶媒であれば、特に定めるものではなく、2種類以上の良溶媒の混合溶媒であってもよい。本発明で用いる良溶媒は、イオン性ポリマー粒子分散液から、容易に除去が可能な有機溶媒が好ましい。斯かる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、n−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルフォルムアミド、エチレンジアミン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキサイド、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミドが挙げられる。
また、例えば、1〜200nmのサブミクロンオーダーのイオン性ポリマー粒子を含有するためには、貧溶媒とイオン性ポリマー溶液を混合する際、貧溶媒と良溶媒の体積流量比(貧溶媒:良溶媒)を1:1〜100:1に設定するのが好ましく、5:1〜100:1に設定するのがより好ましく、10:1〜100:1に設定するのがさらに好ましい。さらに、貧溶媒とイオン性ポリマー溶液を混合により、より粒径が小さく、分散安定性に優れたイオン性ポリマー粒子分散液を得るためには、貧溶媒またはイオン性ポリマー溶液に、分散安定剤を含有させるのが好ましい。
触媒膜12b、13bは、触媒金属の微粒子を含む炭素材とバインダーの固形分重量比(炭素材/バインダー)が10/1〜1/10であることが好ましく、5/1〜1/5であることがより好ましい。
触媒金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。触媒金属を担持する炭素材の量は、触媒金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、触媒金属担持炭素材の質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
触媒膜はさらに撥水剤を含むものが好ましく、撥水剤としては、撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましく、耐熱性および耐酸化性に優れたものがより好ましい。特にカソード極触媒膜13bは撥水性粒子を含むことが好ましい。撥水性粒子はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の絶縁性物質を用いることができる。撥水性粒子に導電性をもたせるために炭素系の撥水材料を用いることができる。導電性をもつ炭素系の撥水材料として、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維を用いることが可能で、具体的には特開2005−276746号公報に記載のものが挙げられる。
触媒金属を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられる(例えば、国際公開WO2002/054514号パンフレットなど)。
触媒膜の厚さは5〜200μmが好ましく、10〜100μmが特に好ましい。
一方、導電層(電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれる)は、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。
導電層は、好ましくは、カーボンペーパーやカーボンクロス又は炭素繊維を素材とする不織布などであり、厚みは100〜500μmが好ましく、150〜400μmが特に好ましい。撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータからなる集電体17およびガスケット14とを有する。アノード極側の集電体17にはアノード極側給排気口15が設けられ、カソード極側の集電体17にはカソード極給排気口16設けられている。アノード極側給排気口15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側給排気口16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料に一酸化炭素を含む化石燃料改質ガスを用いる燃料電池においては、COによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
電極の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンをイオン交換膜に輸送すること、である。(1)のために触媒膜は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。
(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく上記で述べた炭素材が担う。(4)の機能を果たすために、触媒膜に上記バインダーを混在させることが好ましい。
電極の作製方法について説明する。ナフィオンに代表されるプロトン伝導材料を溶媒に溶解し、触媒金属を担持した触媒材料と混合した分散液を分散する。分散液の溶媒はヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でもヘテロ環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散方法は、攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液はカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等の塗布法を用いて塗布することができる。
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャストまたは塗布して製膜してもよい。この場合の支持体は特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると直接触媒電極が作製できる。
これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。この他の方法として、上記のようにペースト状にした電極触媒を通常のスプレー等を用いて高分子電解質膜に直接噴霧して触媒膜を形成する方法等も用いることができる。噴霧時間と噴霧量を調節することで均一な電極触媒膜を形成することができる。
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は短時間であるほうが生産性の観点から好ましいが、あまり短時間であると気泡、表面の凹凸等の欠陥の原因となる。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がより好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。また湿度の制御も重要であり、25〜100%RHが好ましく、50〜95%RHがさらに好ましい。
塗布工程における塗布液(分散液)中には金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、中でも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。遷移金属イオンの含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低い物が好ましい。
さらに塗布工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削処理、除去処理、コーティング処理を行なってもよく、これらはイオン交換膜あるいは導電層との密着を改良できることがある。
次に、触媒膜とイオン交換膜の密着方法について説明する。上記方法等により、導電層に触媒膜を塗設したものを、イオン交換膜にホットプレス法(好ましくは120〜250℃、2〜100 kg/cm2)で圧着する。また、適当な支持体(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等)に触媒膜を塗設したものを、イオン交換膜に転写しながら圧着した後、導電層を挟み込む方法を採用してもよい。
MEAの作製には、具体的には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担炭素材、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)をイオン交換膜の両側に直接塗布し、多孔質導電シート(導電層)を熱圧着(ホットプレス)して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒膜を形成させた後、イオン交換膜と熱圧着(ホットプレス)し、5層構成のMEAを作製する。塗布の支持体が異なる以外は上記(1)と同様である。
(3)Decal法:触媒ペーストを支持体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等)上に塗布し、触媒膜を形成させた後、イオン交換膜に触媒膜のみを熱圧着(ホットプレス)により転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持炭素材をプロトン伝導材料とともに混合したインクをイオン交換膜、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該イオン交換膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒膜を形成させる。触媒膜を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
上記ホットプレスの温度は、高分子電解質膜の種類によるが、通常は100℃以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上である。
イオン交換膜はスルホン酸を置換基として持つプロトン型でもよいし、特開2004−165096号公報、特開2005−190702号公報に記載されているように、スルホン酸が塩形態である塩型であっても良い。塩型である場合のスルホン酸のカウンターカチオンは、1価もしくは2価のカチオンが好ましく、1価のカチオンがさらに好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウムが好ましく、これらのカチオンおよびプロトンの群から複数の物を採用してもよい。ナトリウム塩、カリウム塩である物が特に好ましい。
上記塩を用いる場合にはさらに以下の工程が必要である。
燃料電池用途として使用するには、本発明で用いるイオン交換膜がプロトン伝導性を有する必要性がある。そのために、酸との接触によって、本発明で用いるイオン交換膜の塩置換率を接触する前の99%以下にする。電極触媒と本発明で用いるイオン交換膜を接合した後に酸と接触させることによって、電極接合時に受ける熱履歴による膜の含水率およびイオン伝導性の低下を回復させることができる。
酸と接触させる方法としては、塩酸、硫酸、硝酸、有機スルホン酸のような酸性水溶液に浸漬または酸性水溶液を噴霧する公知の方法を使用することができる。使用する酸性水溶液の濃度は、イオン伝導性の低下状況、浸漬温度、浸漬時間等にも依存するが、例えば、0.0001〜5規定の酸性水溶液を好適に用いることができる。浸漬温度は多くの場合は室温であれば十分に転化することができ、浸漬時間を短縮する場合は、酸性水溶液を加温してもよい。浸漬時間は、酸性水溶液の濃度および浸漬温度に依存するが、概ね10分間〜24時間の範囲で好適に実施することができる。
燃料電池運転の際に、イオン交換膜の内部を移動するプロトンが酸として機能することによって置換したカチオンが洗い流され、より高いイオン伝導性を発現させる方法等も用いることができる。
このようにして製造された膜/電極接合体を用いて燃料電池を製造する方法を説明する。
固体高分子電解質型燃料電池は、MEA、集電体、燃料電池フレーム、ガス供給装置等より構成される。このうち、集電体(バイポーラプレート)は、表面等にガス流路を有するグラファイト製または金属製の流路形成材兼集電体である。こうした集電体の間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池スタックを作製することができる。
燃料電池の作動温度は、高温であるほど触媒活性が上がるために好ましいが、通常は水分管理が容易な50℃〜120℃で運転させる。酸素や水素の供給圧力は、高いほど燃料電池出力が高まるため好ましいが、膜の破損等によって両者が接触する確率も増加するため適当な圧力範囲例えば1気圧から3気圧の範囲に調整することが好ましい。
本発明の膜/電極接合体の内部抵抗は単セルとして測定される。前述のように膜/電極接合体および集電体よりなる単セル、燃料電池フレーム、ガス供給装置より構成される固体高分子型燃料電池において単セルの内部抵抗は供給されるアノード極の水素ガス、カソード極の空気または酸素ガス各々のガス流量、ガス供給圧力、ガス供給湿度により変化する。固体高分子型燃料電池の単セルの80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下が好ましく、90mΩ・cm2以下がより好ましく、80mΩ・cm2以下がさらに好ましい。また、120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下が好ましく、550mΩ・cm2以下がより好ましく、500mΩ・cm2以下がさらに好ましい。
本発明の燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒膜に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒膜を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、これらを組み合わせることも可能である。前者は、反応ガスの加圧調湿等を行い、高出力化ができる等の利点がある反面、より小型化がし難い欠点がある。後者は、小型化が可能な利点がある反面、高い出力が出にくい欠点がある。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1.2V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、水素型燃料電池は、高出力が得られる利点を活かし、様々な家庭用給湯発電装置、輸送機器の動力、携帯電子機器のエネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる給湯発電装置としては、家庭用、集合住宅用、病院用、輸送機器としては、自動車、船舶、携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。さらに非常用電源の用途も提案されている。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1] 燃料電池の作製
(1)比較用 膜/電極接合体(101)の作製
(1−1) 触媒膜1の作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業(株)製、VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gとナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜1を作製した。
(1−2)膜/電極接合体の作製
イオン交換膜(ナフィオン1135)を、1N食塩水に12時間浸漬、洗浄、乾燥してナトリウム塩型とした後、該イオン交換膜の両面に上記で得られた触媒膜1を塗布面がイオン交換膜に接するように張り合わせ、180℃、3MPa、2分間で熱圧着し、圧力をかけたまま降温した後、触媒膜のベースを剥離した。これを0.5Mの硫酸中に100℃で2時間煮沸して、室温で水洗することで、比較用膜/電極接合体(101)を作製した。
(2)本発明膜/電極接合体(105)の作製
(2−1) スルホン化ポリスルホン1化合物からなるイオン交換膜の作製
(スルホン化ポリスルホン1の合成)
PolymerPreprints(2000),41(1),237を参考に、所望のスルホン化モノマーを調製した。
4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)を発煙硫酸と反応させたのに続いて、塩化ナトリウムおよび水酸化ナトリウムで中和した。この求電子性芳香族置換プロセスにより、スルホニル基がメタ位置にあり塩素基がオルト位置にある誘導体が得られた。この化学構造を、1H−NMRおよびC−NMR、ならびに質量分析法、赤外スペクトルおよび元素分析により確認した。80%近い収率で、予想された構造が得られた。この化合物をSDCDPSと称する。
スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)1を、ジハライド(DCDPS+SDCDPS)の全濃度に対して40%のSDCDPSで、ビフェノールと反応させ合成した。この重合体合成は、上記スキーム1に示すように、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(共沸剤として、トルエンを含有)中にて、制御した量のスルホン化活性化ハライド(SDCDPS)、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンおよびビフェノールを縮合した。置換した活性化ハライドは、明らかに反応性が低く、溶解性が低かった。それゆえ、高分子量化するためには、約190℃の温度を必要とした。これらの重合は、SDCDPSのナトリウム塩形態で行い、そのスルホン酸塩の非常に高い安定性を利用した。以上の操作によりスルホン化ポリスルホン1を得た。得られたスルホン化ポリスルホン1のNMRスペクトルからほぼ仕込み比どおりの共重合体が得られていることが分かった。ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒にてGPCを用いて分子量分布を測定したところ、数平均分子量として76,000、重量平均分子量として211,000の値が得られた。これらのナトリウムスルホネート基の導入は、FT−IRスペクトルでも確認した。FT−IRスペクトルにおいて、1030cm-1および1098cm-1での強力なピークが得られ、これは、SO3Naの対称ストレッチおよび非対称ストレッチに帰属するものであった。
(スルホン化ポリスルホン1の構造)
Figure 2007280946
スルホン化ポリスルホン1をN,N−ジメチルアセトアミドに分散後攪拌することで溶解させ、20重量%のドープを得た。これを平均孔径0.45μmのPTFE製ミクロフィルターでろ過し、ガラス板上に流延、アプリケータ−を用いて展開した。これを室温から徐々に温度を上げて乾燥を行なった。ガラス板から剥離することでスルホン化ポリスルホン1のナトリウム塩型の膜が得られた。これを希塩酸中に浸漬し、プロトン型に変換した後、水洗、乾燥することでプロトン型のスルホン化ポリスルホン1のイオン交換膜を得た。製膜およびプロトン型に交換した後のイオン交換容量は1.28meq/gであった。
(2−2)触媒膜2の作製
上記プロトン型スルホン化ポリスルホン1化合物を5%アルコール水溶液としてバインダー溶液を調製した。白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gと前記バインダー溶液15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜2を作製した。
(2−3)膜/電極接合体の作製
スルホン化ポリスルホン1の塩型のイオン交換膜の両面に上記で得られた触媒膜2を塗布面がイオン交換膜に接するように張り合わせ、190℃、3MPa、2分間で熱圧着し、圧力をかけたまま降温した後、ベースを剥離した。これを0.5Mの硫酸中に室温で24時間浸漬して、室温で水洗することで、本発明膜/電極接合体(105)を作製した。
(3)本発明膜/電極接合体(109)の作製
(3−1) スルホン化ポリスルホン2化合物からなるイオン交換膜の作製
(スルホン化ポリスルホン2)
スルホン化ポリスルホン1におけるビスフェノールを等モル換算で4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールに置き換え、他は同様に行いスルホン化ポリスルホン2を得た。そのNMRスペクトルからほぼ仕込み比どおりの共重合体が得られていることが分かった。DMF溶媒にてGPCを用いて分子量分布を測定したところ、数平均分子量として68,000、重量平均分子量として200,000の値が得られた。ナトリウムスルホネート基の導入は、FT−IRで確認した。製膜およびプロトン型に交換した後のイオン交換容量は1.25meq/gであった。
(スルホン化ポリスルホン2の構造)
Figure 2007280946
(3−2)触媒膜3の作製
上記プロトン型スルホン化ポリスルホン2化合物を5%アルコール水溶液としてバインダー溶液を調製した。白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gと前記バインダー溶液15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜3を作製した。
(3−3)膜/電極接合体の作製
上記(2−3)膜/電極接合体の作製において、触媒膜2を触媒膜3に変え、他は同様に行って、本発明膜/電極接合体(109)を作製した。
(4)本発明膜/電極接合体(112)の作製
(4−1) スルホン化ポリスルホン3化合物からなるイオン交換膜の作製
(スルホン化ポリスルホン3の合成)
モノマーとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−クロロフェニルフェニル)スルホンを用い、丸善:第4版実験化学講座、28巻、高分子合成、P.357に記載の一般的な重合法に従い、ポリスルホンを合成した。
その後、SnCl4を加えたクロロメチルメチルエーテル(ClCH2OCH3)を、前記ポリスルホンを1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶かした溶液に加えた。
カリウム−tert−ブトキシド((CH33COK))および3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(HS−(CH23−SO3Na)を入れ、脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を加えた。上記で合成したクロロメチル化ポリスルホンを脱水DMFに溶かしたものを、上記で作製した溶液が入った三口フラスコに滴下ロートを用いて加え、反応させた。その後、吸引ろ過を行い沈殿部とろ液に分け、沈殿部を乾燥させ、スルホン化ポリスルホン3化合物を得た。
スルホン化ポリスルホン3をN,N−ジメチルアセトアミドに分散後攪拌することで溶解させ、20重量%のドープを得た。これを平均孔径0.45μmのPTFE製ミクロフィルターでろ過し、ガラス板上に流延、アプリケータ−を用いて展開した。これを室温から徐々に温度を上げて乾燥を行なった。ガラス板から剥離することでスルホン化ポリスルホン1のナトリウム塩型の膜が得られた。これを希塩酸中に浸漬し、プロトン型に変換した後、水洗、乾燥することでプロトン型のスルホン化ポリスルホン3のイオン交換膜を得た。製膜およびプロトン型に交換した後のイオン交換容量は1.29meq/gであった。
Figure 2007280946
(4−2)触媒膜3の作製
上記(3−2)触媒膜3の作製に記載される方法により作製した。
(4−3)膜/電極接合体の作製
上記(2−3)膜/電極接合体の作製において、触媒膜2を触媒膜3に変え、他は同様に行って、本発明膜/電極接合体(112)を作製した。
(5)比較用膜/電極接合体(102)、(103)および本発明膜/電極接合体(104)、(106)、(107)、(108)、(110)、(111)の作製
イオン交換膜と触媒膜の組み合わせを表1のように変更した他は、比較用膜/電極接合体(101)および本発明膜/電極接合体(105)、(109)、(112)の作製手順と同様に行い、比較用膜/電極接合体(102)、(103)および本発明膜/電極接合体(104)、(106)、(107)、(108)、(110)、(111)を作製した。
Figure 2007280946
(6)燃料電池特性
上記で得られた膜/電極接合体(101)〜(112)に触媒膜と同サイズにカットしたE−TEK製ガス拡散電極を積層し、エレクトロケム社製標準燃料電池試験セルにセットし、試験セルを燃料電池評価システム((株)エヌエフ回路設計ブロック製、As−510)に接続した。アノード側に加湿した水素ガスを、カソード側に加湿した模擬大気を流し、電圧が安定するまで運転した。その後、アノード電極12とカソード電極13間に、負荷をかけて80℃と120℃にて内部抵抗および電流−電圧特性を記録した。内部抵抗は電流遮断法による抵抗値で測定した。いずれのサンプルもセル内の温度80℃においてはセル内の相対湿度100%、水素ガス供給背圧は2気圧、模擬大気ガス供給背圧は2気圧で内部抵抗の最小値が得られた。いずれのサンプルもセル内の温度120℃においてはセル内の相対湿度50%、水素ガス供給背圧は2気圧、模擬大気ガス供給背圧は2気圧で内部抵抗の最小値が得られた。膜/電極接合体(101)〜(112)の80℃100%の内部抵抗値および最大出力、120℃50%の内部抵抗値および最大出力を表2に示した。
Figure 2007280946
[実施例2] 燃料電池の作製
(1)本発明膜/電極接合体(206)の作製
(1−1)スルホン化ポリスルホン1化合物からなるイオン交換膜の作製
実施例1の(2−1)スルホン化ポリスルホン1化合物からなるイオン交換膜の作製と同様にして、スルホン化ポリスルホン1化合物からなるイオン交換膜を作製した。
(1−2)触媒膜4の作製
スルホン化ポリアニリン(アルドリッチ製)5重量%水溶液を濃縮し、n−プロピルアルコールにより溶媒置換して5重量%溶液としてバインダー溶液を調製した。白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gと前記バインダー溶液15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜4を作製した。
(1−3)膜/電極接合体の作製
実施例1の(2−3)膜/電極接合体の作製と同様に行い、本発明膜/電極接合体(206)を作製した。
(2)本発明膜/電極接合体(211)の作製
(2−1)スルホン化ポリスルホン2化合物および膜の作製
実施例1の(3−1)スルホン化ポリスルホン2化合物からなるイオン交換膜の作製と同様にして、スルホン化ポリスルホン2化合物からなるイオン交換膜を作製した。
(2−2)触媒膜5の作製
上記触媒膜4の作製工程にてスルホン化ポリアニリンをスルホン化ポリチオフェンにバインダー液を変更し、他は同様に行って触媒膜5を作製した。
(2−3)膜/電極接合体の作製
実施例1の(2−3)膜/電極接合体の作製と同様に行い、本発明膜/電極接合体(211)を作製した。
(3)本発明膜/電極接合体(216)の作製
(3−1) スルホン化ポリスルホン3化合物および膜の作製
実施例1の(4−1)に記載される方法にしたがってスルホン化ポリスルホン3化合物からなるイオン交換膜を作製した。
(3−2)触媒膜6の作製
上記プロトン型スルホン化ポリスルホン3化合物を5%アルコール水溶液としてバインダー溶液を調製した。白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gと前記バインダー溶液15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜6を作製した。
(3−3)膜/電極接合体の作製
実施例1の(2−3)膜/電極接合体の作製と同様に行い、本発明膜/電極接合体(207)を作製した。
(4)本発明膜/電極接合体(217)の作製
(4−1)スルホン化ポリスルホン3化合物および膜の作製
実施例1の(4−1)に記載される方法にしたがってスルホン化ポリスルホン3化合物からなるイオン交換膜を作製した。
(4−2)触媒膜6の作製
上記プロトン型スルホン化ポリスルホン3化合物を良溶媒であるN−メチルピロリドンに溶解し、3%のイオン性ポリマー溶液を得た。貧溶媒とイオン性ポリマー溶液を連続的に混合してイオン性ポリマー粒子分散液を得た。貧溶媒としては水を使用した。イオン性ポリマー溶液と貧溶媒の供給流量はそれぞれ20ml/minと50ml/minとした。ここで、イオン性ポリマー液の温度は、45℃で、貧溶媒は25℃で、供給した。このイオン性ポリマー粒子分散のイオン性ポリマー粒子の体積平均粒径が170nmであった。上記イオン性ポリマー溶液を濃縮し、n−プロピルアルコールにより溶媒置換して5重量%溶液としてバインダー溶液を調製した。
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gと前記イオン性ポリマー粒子分散液30gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。得られた分散物を補強材入りポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製)上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒膜6を作製した。
(4−3)膜/電極接合体の作製
実施例1の(2−3)膜/電極接合体の作製と同様に行い、本発明膜/電極接合体(217)を作製した。
(5)比較用膜/電極接合体(202)、(203)、(204)、(205)、本発明膜/電極接合体(207)、(208)、(209)、(210)、(212)、(213)、(214)、(215)の作製
上記と同様にして、イオン交換膜種と触媒膜の組み合わせを表3のように変更し、比較用膜/電極接合体(202)、(203)、(204)、(205)、本発明膜/電極接合体(207)、(208)、(209)、(210)、(212)、(213)、(214)、(215)を作製した。
さらに、実施例1の(6)燃料電池特性と同様にして、膜/電極接合体(202)〜(217)の80℃100%の内部抵抗値および最大出力、120℃50%の内部抵抗値および最大出力を測定した。結果を表4に示した。
Figure 2007280946
Figure 2007280946
式(I)で表される繰り返し単位を含むイオン交換膜を用いた膜/電極接合体であって、該膜/電極接合体の80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下であり、且つ120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下である膜/電極接合体を用いると固体高分子型燃料電池用途にて80℃における優れた出力特性を保ちつつ、且つ高温(120℃以上)低湿(50%以下)における出力特性が優れることが認められた。
本発明の膜/電極接合体の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の構造の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・膜/電極接合体(MEA)
11・・・イオン交換膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極導電層
12b・・・アノード極触媒膜
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極導電層
13b・・・カソード極触媒膜
14・・・ガスケット
15・・・アノード極ガス給排口
16・・・カソード極ガス給排口
17・・・集電体

Claims (10)

  1. 少なくとも、一対の電極と、該電極の間に設けられたイオン交換膜とを有する膜/電極接合体であって、前記イオン交換膜は、式(I)で表される繰り返し単位を含み、該膜/電極接合体の80℃における内部抵抗の最小値が100mΩ・cm2以下であり、かつ、120℃における内部抵抗の最小値が600mΩ・cm2以下である、膜/電極接合体。
    式(I)
    Figure 2007280946
    (式(I)中、mおよびnはそれぞれ正の整数であり、n/n+mは0.001〜1の範囲であり、Yはそれぞれ−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C65)−およびそれらの組合せからなる群から選択され、Zは単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−および−P(O)(C65)−からなる群から選択され、Aはそれぞれスルホネート基および式(II)で表される基からなる群より選択される。)
    式(II)
    Figure 2007280946
    (式(II)中、B1およびB2はそれぞれ連結基を表し、Xはイオウ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表す。)
  2. 前記式(I)において、n/n+mは0.1〜0.8の範囲であり、Yは−S(O)2−または−C(O)−であり、Zは単結合または−C(CF32−である、請求項1に記載の膜/電極接合体。
  3. 前記スルホネート部分がプロトン型、ナトリウム型またはカリウム型である、請求項1または2に記載の膜/電極接合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜/電極接合体であって、80℃における内部抵抗の最小値が90mΩ・cm2以下であり、かつ120℃における内部抵抗の最小値が550mΩ・cm2以下である、膜/電極接合体。
  5. 前記一対の電極の少なくとも一方が、触媒金属の微粒子を含む炭素材からなる導電材料とバインダーとを含み、かつ、該バインダーが、少なくとも1個のイオン交換基を含有する芳香族系高分子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
  6. 前記バインダーの80℃水中におけるイオン伝導度が0.1S/cm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
  7. 前記バインダーが、前記式(I)で表される繰り返し単位を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
  8. 前記バインダーが、体積平均粒径が1nm〜200nmであるイオン性ポリマー粒子を含む分散液を用いた、請求項7に記載の膜/電極接合体。
  9. 前記バインダーが、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレンおよびポリフェニレンからなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜/電極接合体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜/電極接合体を含む燃料電池。
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