JP2006310159A - 固体電解質、電極膜接合体、燃料電池、および固体電解質の製造方法。 - Google Patents
固体電解質、電極膜接合体、燃料電池、および固体電解質の製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
Description
固体電解質、特にプロトン伝導能を持つ固体電解質、電極膜接合体、燃料電池および固体電解質の製造方法に関する。
近年、携帯機器等の電源として利用できるリチウムイオン電池、燃料電池が活発に研究されており、その部材であるリチウムイオン伝導材料、プロトン伝導材料といった固体電解質についても活発な研究が行われている。
また、電源は同一出力であれば小型であることが好ましい。中でも燃料電池は、エンジン等の内燃機関に対して静粛、排ガスがクリーンである等の特徴および、内燃機関を上回る高エネルギー効率の可能性があることから、活発に検討されている。
一般に、プロトン伝導材料としてナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられているが、イオン伝導度がまだ充分ではない。プロトン伝導度を上げるために高分子構造中のスルホン酸基量を増やすと、機械的強度の低下や水性溶媒への可溶化を引き起こしてしまう。また、高温状態(例えば、100℃以上)では軟化するためプロトン伝導度が低下してしまうため、高温域(例えば、120〜140℃)での使用に問題がある。さらに、使用するモノマーが高価であり、製造方法が複雑なため製造コストが高くなるという問題も残る。
一般に、プロトン伝導材料としてナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられているが、イオン伝導度がまだ充分ではない。プロトン伝導度を上げるために高分子構造中のスルホン酸基量を増やすと、機械的強度の低下や水性溶媒への可溶化を引き起こしてしまう。また、高温状態(例えば、100℃以上)では軟化するためプロトン伝導度が低下してしまうため、高温域(例えば、120〜140℃)での使用に問題がある。さらに、使用するモノマーが高価であり、製造方法が複雑なため製造コストが高くなるという問題も残る。
近年、剛性の高い高分子素材を使用した固体電解質の開発例が多く見られる中、高分子素材の中でも耐溶媒性の高い樹脂材料を用いた固体電解質の研究は以前から行われている。スルホン化ポリスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンを主体とした固体電解質が開発されている(特許文献1〜5、非特許文献1)。しかしながら、未だ十分なプロトン伝導度及び耐久性を有する固体電解質が得られていないのが現状である。
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、高いイオン伝導性能および機械的強度を有する固体電解質を提供することである。また、スルホン基量が制御でき、さらには望む芳香族化合物にスルホン酸基が2個以上確実に導入された高分子構造を構築することができる固体電解質の製造方法について提供する。
本発明では、2個以上のスルホン酸基が導入されたスルホン化モノマーをあらかじめ合成しておき、これを用いた縮合重合反応によりエンジニアプラスチック由来の固体電解質を合成した。この固体電解質は、スルホン基量が制御でき、さらには望む芳香族化合物にスルホン酸基が2個以上確実に導入された高分子構造を構築することができるため、高い親疎水性相互作用により、高いイオン伝導性および機械的強度が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、以下の手段により達成された。
(1)下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を含む固体電解質。
一般式(1−1)
(一般式(1−1)中、X1は、−C(R5R6)−、−O−、−CO−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表す。n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Q1は2価の連結基を表す。)
一般式(1−2)
(一般式(1−2)中、X2は、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を表す。n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。A1およびA2はそれぞれ独立にイオン性基であり、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n2≧2である。n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。Q2は2価の連結基を表す。)
(2)前記一般式(1−2)中において、A1およびA2がそれぞれ酸残基である、(1)に記載の固体電解質。
(3)電極用である、(1)または(2)に記載の固体電解質。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質を含むことを特徴とする電極膜接合体。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質を電極に含むことを特徴とする電極膜接合体。
(6)(4)または(5)に記載の電極膜接合体を含む燃料電池。
(7)下記一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物および一般式(4) で表される化合物を重合する工程を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
一般式(2)
(一般式(2)中、X1は、−C(R5R6)−、−O−、−CO−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表す。n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Z1およびZ2はそれぞれ独立に水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、ニトロ基を表す。)
一般式(3)
(一般式(3)中、X2は、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を表す。n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。A1およびA2はそれぞれ独立にイオン性基であり、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n2≧2である。n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。Z3およびZ4はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、またはニトロ基を表す。)
一般式(4)
(一般式(4)中、Y1およびY2は、それぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。Qは2価の連結基を表す。)
具体的には、以下の手段により達成された。
(1)下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を含む固体電解質。
一般式(1−1)
一般式(1−2)
(2)前記一般式(1−2)中において、A1およびA2がそれぞれ酸残基である、(1)に記載の固体電解質。
(3)電極用である、(1)または(2)に記載の固体電解質。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質を含むことを特徴とする電極膜接合体。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質を電極に含むことを特徴とする電極膜接合体。
(6)(4)または(5)に記載の電極膜接合体を含む燃料電池。
(7)下記一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物および一般式(4) で表される化合物を重合する工程を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
一般式(2)
一般式(3)
一般式(4)
本発明の固体電解質は、高いイオン伝導性および高い機械的強度を有する。さらに、本発明の製造方法では、固体電解質のスルホン基量が制御でき、さらには望む芳香族化合物にスルホン酸基が2個以上確実に導入された高分子構造を構築することができるという効果を有する。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書では、膜状の固体電解質を、固体電解質膜ということがある。
1.固体電解質
本発明の固体電解質は、一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする。
一般式(1−1)
(一般式(1−1)中、X1は、−C(R5R6)−、−O−、−CO−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表す。n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Q1は2価の連結基を表す。)
一般式(1−2)
(一般式(1−2)中、X2は、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を表す。n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。A1およびA2はそれぞれ独立にイオン性基であり、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n2≧2である。Q2は2価の連結基を表す。)
本発明の固体電解質は、一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする。
一般式(1−1)
一般式(1−2)
ここで、R5およびR6は、一般式(1−1)と一般式(1−2)において同義であり、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子(以下C数という)1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、メトキシエチル基)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、アリール基(好ましくはC数6〜26のアリール基、例えば、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ナフチル基)、ハロゲン置換アルキル基(好ましくはC数1〜20のハロゲン置換アルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ジフルオロメチル基、クロロメチル基)を表す。
X2は、より好ましくは、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−を表す。
X1は、より好ましくは、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−を表す。
X2は、より好ましくは、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−を表す。
X1は、より好ましくは、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−O−、−S−を表す。
R1〜R4は、それぞれ独立に置換基を表す。その置換基としては、アルキル基(好ましくはC数1〜20のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ベンジル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、カルボキシメチル基)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(好ましくはC数6〜20のアリール基、例えば、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ニトロフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20のヘテロ環基、例えば、ピリジル環基、チエニル環基、フリル環基、チアゾリル環基、イミダゾリル環基、ピラゾリル環基、ピロリジノ環基、ピペリジノ環基、モルホリノ環基)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、1,3−ブタジイニル基、2−フェニルエチニル基)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20のアシル基、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、サリチロイル基、ピバロイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20のアルキルスルホニル基、例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンンスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20のスルファモイル基、例えばスルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20のアシルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、イミノ基(好ましくはC数2〜20のイミノ基、例えばフタルイミノ基)、アシルオキシ基(好ましくはC数の1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20のカルバモイルアミノ基、例えばカルバモイルアミノ基、N−メチルカルバモイルアミノ基、N−フェニルカルバモイルアミノ基)、シリル基、シリルアルキル基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、チオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イミノ基、シリル基、シリルアルキル基である。さらに好ましくは、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホン酸基、アルキルチオ基、チオ基、アシル基、アルコキシ基、シリル基、シリルアルキル基、アルキル基またはニトロ基である。
R1およびR2が2以上存在する場合、それぞれのR1およびR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましい。
R3およびR4が2以上存在する場合、それぞれのR3およびR4は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましい。
A1およびA2はそれぞれイオン性基を表し、酸残基が好ましく、pKaが5以下の酸残基がより好ましく、pkaが2以下の酸残基がさらに好ましい。具体的には、スルホン酸残基、ホスホン酸残基、カルボン酸残基が好ましく、スルホン酸残基がさらに好ましい。A1およびA2が2以上存在する場合、それぞれのA1およびA2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、塩を形成する場合、酸残基のプロトンが以下のカチオンに置換されているものが好ましく、その置換比(カチオン/酸残基比)は0〜1の数字であって、固体電解質合成の過程では特に制限はないが、固体電解質として用いる場合は0.1以下のものが好ましい。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体が好ましく、アルカリ金属カチオンおよびアンモニウムカチオンがさらに好ましく、アルカリ金属カチオンが特に好ましい。
R1およびR2が2以上存在する場合、それぞれのR1およびR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましい。
R3およびR4が2以上存在する場合、それぞれのR3およびR4は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましい。
A1およびA2はそれぞれイオン性基を表し、酸残基が好ましく、pKaが5以下の酸残基がより好ましく、pkaが2以下の酸残基がさらに好ましい。具体的には、スルホン酸残基、ホスホン酸残基、カルボン酸残基が好ましく、スルホン酸残基がさらに好ましい。A1およびA2が2以上存在する場合、それぞれのA1およびA2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、塩を形成する場合、酸残基のプロトンが以下のカチオンに置換されているものが好ましく、その置換比(カチオン/酸残基比)は0〜1の数字であって、固体電解質合成の過程では特に制限はないが、固体電解質として用いる場合は0.1以下のものが好ましい。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体が好ましく、アルカリ金属カチオンおよびアンモニウムカチオンがさらに好ましく、アルカリ金属カチオンが特に好ましい。
n1およびn2はそれぞれ0〜4の整数を表し、n1+n2≧2であり、n1+n2は2または3であることが好ましい。
n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。
n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。
Q1およびQ2は、それぞれ、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団であることが好ましく、芳香族基を含む有機原子団であることがより好ましく、フェニレン基を含む有機原子団であることがさらに好ましい。
脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団は、アルキレン基(より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基)および/または芳香族基(より好ましくは、フェニレン基)からなるもの、ならびに、これらと、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−の1つ以上との組み合わせからなるものが好ましい。これらは、さらに、置換基を有していてもよい。R5およびR6は、上記一般式(1−1)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同義である。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、ナフチル基、ビフェニレン基、−O−(CH2)n−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、ならびに、これらと単結合、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−1つ以上との組み合わせが挙げられる。
Q1およびQ2は、それぞれ、ベンゼン環のいずれの位置と結合していてもよいが、好ましくはX1またはX2とパラ位となる位置で結合している場合である。
また、一般式(1−1)の左側(すなわちR1を置換基として有していてもよい方の環)は、他の繰り返し単位/結合子といずれの位置で結合していてもよいが、好ましくは、X1とパラ位となる位置で結合していることが好ましい。同様に、一般式(1−2)の左側(すなわちR3を置換基として有していてもよい方の環)は、他の繰り返し単位/結合子といずれの位置で結合していてもよいが、好ましくは、X2とパラ位となる位置で結合していることが好ましい。
脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団は、アルキレン基(より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基)および/または芳香族基(より好ましくは、フェニレン基)からなるもの、ならびに、これらと、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−の1つ以上との組み合わせからなるものが好ましい。これらは、さらに、置換基を有していてもよい。R5およびR6は、上記一般式(1−1)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同義である。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、ナフチル基、ビフェニレン基、−O−(CH2)n−(nは、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、ならびに、これらと単結合、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−1つ以上との組み合わせが挙げられる。
Q1およびQ2は、それぞれ、ベンゼン環のいずれの位置と結合していてもよいが、好ましくはX1またはX2とパラ位となる位置で結合している場合である。
また、一般式(1−1)の左側(すなわちR1を置換基として有していてもよい方の環)は、他の繰り返し単位/結合子といずれの位置で結合していてもよいが、好ましくは、X1とパラ位となる位置で結合していることが好ましい。同様に、一般式(1−2)の左側(すなわちR3を置換基として有していてもよい方の環)は、他の繰り返し単位/結合子といずれの位置で結合していてもよいが、好ましくは、X2とパラ位となる位置で結合していることが好ましい。
本発明の固体電解質は、一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位をそれぞれ、複数種類ずつ含んでいてもよい。
さらに、本発明の固体電解質は、例えば、一般式(1−1)で表される繰り返し単位または一般式(1−2)で表される繰り返し単位において、ベンゼン環部分が、2以上のベンゼン環(縮環しているものを含む)から構成されている2価の芳香族基であるものも採用できる。2価の芳香族基としては、ビフェニレン基およびナフタレン基が例示される。この場合、R1〜R4で表される基およびA1およびA2は、該2価の芳香族基のいずれの位置に結合していてもよい。
本発明の主鎖に用いる高分子芳香族化合物としては、ポリエーテルスルホン系高分子化合物、ポリエーテルエーテルスルホン系高分子化合物、ポリエーテルエーテルケトン系高分子化合物、ポリフェニレンスサルファイド系高分子化合物、ポリフェニレンエーテル系高分子化合物、ポリスルホン系高分子化合物またはポリエーテルケトン系高分子化合物がより好ましい。
以下に、本発明の好ましい主鎖構造を構成する、一般式(1−1)で表される繰り返し単位を含む主鎖構造の一部分の例示、一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む主鎖構造の一部分の例示、その他、本願発明で採用することができる主鎖構造の一部分を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明の好ましい主鎖構造を構成する、一般式(1−1)で表される繰り返し単位を含む主鎖構造の一部分の例示、一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む主鎖構造の一部分の例示、その他、本願発明で採用することができる主鎖構造の一部分を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の固体電解質は中のスルホン酸基濃度はイオン交換容量として測定することができ、0.1〜7meq/gが好ましく、0.5〜5meq/gがより好ましく、1〜3meq/gがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、プロトン伝導性がより高く、より耐久性および機械的強度に優れ、水溶性が高くなり過ぎない固体電解質が得られる。
本発明の固体電解質の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、1,000〜1,000,000が好ましく、1,500〜200,000がより好ましい。1,000以上とすることにより、成形フィルムにクラックが発生するなど塗膜性が不充分となるのをより効果的に抑止し、また、強度的性質が高まる。一方、1,000,000以下とすることにより、溶解性がより充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題をより効果的に抑止できる。
前記の一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を合成する方法の一例として、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物および下記一般式(4)で表される化合物を重縮合する製造工程が挙げられる。ここで、一般式(2)〜(4)で表される化合物はそれぞれ1種類のみを用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
一般式(2)
(一般式(2)中、X1は、−C(R5R6)−、−O−、−CO−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表す。n3およびn4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Z1およびZ2はそれぞれ独立に水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、ニトロ基を表す。)
一般式(2)における、X1、R5、R6、R1、R2、n3、n4は、それぞれ、一般式(1−1)におけるそれらと同義であり好ましい範囲も同義である。
Z1およびZ2は、それぞれ独立に水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、ニトロ基を表す。
また、一般式(2)において、X1が単結合のものも本発明で用いることができる。
一般式(3)
(一般式(3)中、X2は、−C(R5R6)−、−O−、−S−および−SO−からなる群から選択される1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる2価の基である。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R3およびR4はそれぞれ独立に置換基を表す。n5およびn6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n5およびn2+n6はそれぞれ4を超えることはない。A1およびA2はそれぞれ独立にイオン性基であり、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n1+n2≧2である。Z3およびZ4はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、またはニトロ基を表す。)
一般式(3)におけるX2、R3、R4、R5、R6、A1およびA2は、それぞれ、一般式(1−2)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(4)
(一般式(4)中、Y1およびY2は、それぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基またはニトロ基を表す。Qは2価の連結基を表す。)
Y1およびY2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
Qは、Q1およびQ2と同義であり、好ましい範囲も同義である。
Z1およびZ2は、それぞれ独立に水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、ニトロ基を表す。
また、一般式(2)において、X1が単結合のものも本発明で用いることができる。
一般式(3)
一般式(3)におけるX2、R3、R4、R5、R6、A1およびA2は、それぞれ、一般式(1−2)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(4)
Y1およびY2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
Qは、Q1およびQ2と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(2)で表される化合物およびその他本発明で用いることができる化合物の具体例としては、以下に表される化合物を挙げることができる。
これらの化合物は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
一般式(3)で表されるスルホン化化合物の具体例としては、以下に表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−プロピルハイドロキノン、2−ブチルハイドロキノン、2−ヘキシルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2−デカニルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,2'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−フルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジフルオロフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジフルオロフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、パーフルオロビフェニル等が挙げられる。これらの化合物は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
2.固体電解質の製造方法
本発明の固体電解質の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の方法を広く採用できる。
スルホン化反応
一般式(3)で表される化合物のように、化合物にスルホン酸基を導入する方法としては、上記の他に以下のような導入方法を用いることができる。
スルホン化剤としては、例えば「第3版 新実験化学講座14巻 有機化合物の合成と反応」(日本化学会編)に記載のスルホン化剤が使用できる。好ましくは、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、アミド硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄錯体(例えば、SO3−DMF、SO3−THF、SO3−ジオキサン、SO3−ピリジンなど)が挙げられる。好ましくは、クロロスルホン酸または、三酸化硫黄錯体、発煙硫酸である。
本発明の固体電解質の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の方法を広く採用できる。
スルホン化反応
一般式(3)で表される化合物のように、化合物にスルホン酸基を導入する方法としては、上記の他に以下のような導入方法を用いることができる。
スルホン化剤としては、例えば「第3版 新実験化学講座14巻 有機化合物の合成と反応」(日本化学会編)に記載のスルホン化剤が使用できる。好ましくは、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、アミド硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄錯体(例えば、SO3−DMF、SO3−THF、SO3−ジオキサン、SO3−ピリジンなど)が挙げられる。好ましくは、クロロスルホン酸または、三酸化硫黄錯体、発煙硫酸である。
このスルホン化の反応条件としては、一般式(3)で表される化合物のスルホン化前駆体を、無溶剤下または溶剤存在下で、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、好ましくは−50℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜100℃である。また、反応時間は、好ましくは0.5〜1000時間、より好ましくは1〜200時間である。
また、SH基および−(S)p−(pは2から4の整数)基は、酸化剤によって酸化されてスルホン酸基に変換しうる基である。反応に用いる酸化剤としては、「実験科学講座」(丸善(株))に記載されている硫黄化合物を酸化可能な酸化剤が挙げられる。酸化剤の例としては、ヨウ素、臭素等のハロゲン化合物、過酢酸、3−クロロ−過安息香酸、モノ過フタル酸等の有機過酸、過酸化水素、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。好ましくは、水溶性の酸化剤であり、例えば、過酸化水素、過酢酸等である。
前記一般式(2)で表される化合物と、前記一般式(3)で表される化合物と、前記一般式(4)で表される化合物を重合(重縮合)して本発明の固体電解質を合成する場合、塩基性触媒存在下で重縮合させる方法が好適に用いられる。
反応剤の種類や反応条件等は特に規定されることはなく、公知の触媒や反応条件等を適用できる。反応剤としてはアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)、酸化亜鉛などの塩基性金属化合物、各種金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム)、酢酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム)、水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム)、第四級アンモニウム塩(トリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)などが挙げられる。
これら触媒の使用量は、一般式(3)で表される化合物または一般式(4)で表される化合物1モルに対して、0.05〜10.0モルが好ましく、0.1〜4.0モルより好ましく、0.5〜2.5モルがさらに好ましい。
本発明のプロトン酸基含有ポリスルホンを製造する反応は、好ましくは、溶媒中で行う。好ましい溶媒としては、下記のようなものが挙げられる。
1)エーテル系溶媒
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等。
2)非プロトン性アミド系溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等。
3)アミン系溶媒
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等。
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等。
2)非プロトン性アミド系溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等。
3)アミン系溶媒
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等。
上記の溶媒中で、で特に好ましい溶媒は、上記2)項の非プロトン性アミド系溶媒と4)項のジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられ、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランは特に好ましい。
これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。また、下記5)項に示す溶媒を用いて、それら1種または2種以上とを更に混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えない。また、反応濃度、反応液粘度の調整のために反応途中で溶媒を溜去、添加しても良い。濃度プロファイルは、仕込み時は溶解のために低濃度とし、中期は反応促進のために高濃度とし、終期は流動化のために再び低濃度とすることが好ましい。
これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、重合濃度と称する。)は、なんら制限はないが、低濃度では反応速度が低下し、高濃度では粘度が高くなりすぎ攪拌が困難になる。適当な濃度は固形分濃度として1%〜100%(無溶媒)であり、好ましくは5%から70%であり、特に好ましくは10%〜50%である。
雰囲気は空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が用いられ、不活性気体である窒素やアルゴンが好ましい。
さらに、反応によって生成する水を系外に除く為に、別の溶媒を共存させることもできる。ここで用いられる溶媒としては、下記5)が挙げられる。
5)共沸用溶媒
ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエンおよびp−ブロモトルエンなどが挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
5)共沸用溶媒
ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエンおよびp−ブロモトルエンなどが挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
また、上記1)〜5)項に示す溶媒の1種または2種以上を混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えない。それら脱水剤の使用量は、なんら制限はない。
反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、50℃〜300℃が好ましく、100℃〜270℃がより好ましく、130℃〜250℃がさらに好ましい。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類、および反応温度により異なるが、1〜72時間が好ましい。より好ましくは3時間〜60時間であり、さらに好ましくは、5時間〜48時間である。反応圧力については加圧下、減圧下でもよいが、常圧で構わない。
また、前記一般式(1−1)で表される繰り返し単位と、前記一般式(1−2)で表される繰り返し単位の割合は、一般式(1−1)が1に対して、一般式(1−2)の割合は、0.1〜10モルが好ましく、0.2〜5モルがより好ましく、0.8〜2.0モルがさらに好ましい。
なお、本発明のスルホン基含有高分子化合物の構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
得られた固体電解質をプロトン伝導材料として使用する場合、プロトン型に変換する必要がある。この工程は固体電解質を酸性溶液に浸漬することで行なう。酸性溶液としてはプロトン酸溶液が好ましく、このプロトン酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸、固体酸(タングストリン酸、タングステンペルオキソ錯体等)等、スルホン酸類(例えば、炭素数1〜15のスルホン酸類であり、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等)が挙げられる。これらを2種以上併用することも可能である。特に塩酸、硝酸が好ましい。この工程における温度は10〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。反応時間は0.1〜24時間が好ましく、0.5から12時間がより好ましい。酸溶液の濃度は0.1〜10規定が好ましく、0.5〜5規定がより好ましい。
次に、本発明の固体電解質は、上記スルホン酸基含有共重合体からなるが、上記スルホン酸基含有共重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
得られる固体電解質は電極用電解質膜や、プロトン伝導性電解質膜等に好ましく使用できる。
プロトン伝導性電解質膜に使用する場合、形状は膜状が好ましい。成形した時点で膜状であってもよいし、バルク体に成形した後に、切断して膜状に加工することもできる。製膜工程においては、原料となる高分子化合物を融点より高い温度に保持した液体、または溶媒を用いて溶解した液体を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの液体をキャストまたは塗布して製膜してもよい。これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうことができ、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
さらに製膜工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削、除去、コーティング処理を行なってもよく、これらは電極との密着を改良できることがある。
また、本発明の固体電解質を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明の第二工程終了後の反応液を塗布含浸させるか、基材を反応液に浸漬し、細孔内に固体電解質を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
さらに必要に応じて調湿した環境での加熱処理、放射線(可視光、紫外線、γ線、電子線等)照射処理を行なって改質処理を行なっても良い。また、架橋工程の後に不要な成分を除去することを目的に、水、有機溶媒等による洗浄工程および乾燥工程を追加しても良い。
固体電解質の他の成分
本発明の固体電解質には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量は固体電解質の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明の固体電解質には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量は固体電解質の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価または二価のイオウ系、三価〜五価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平10−312815号公報、特開2000−231928号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等からなる微粒子が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平6−111834号公報、特開2003−178777号公報、特開2004−217921号公報に記載の微粒子が挙げられる。
吸水剤(親水性物質)としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には特開平7−135003号公報、特開平8−20716号公報、特開平9−251857号公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、二価アルコールエステル系化合物、オキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、カーボネート類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には特開2003−197030号公報、特開2003−288916号公報、特開2003−317539号公報に記載の可塑剤が挙げられる。
さらに本発明の固体電解質には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明の固体電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらの2以上の重合体が好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明の固体電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらの2以上の重合体が好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明の固体電解質の特性としては、以下の諸性能を持つものが好ましい。
イオン伝導度は例えば25℃95%相対湿度において、0.005S/cm以上であることが好ましく、0.01S/cm以上であるものがより好ましい。
引っ張り強度としては、1.0kg/mm2以上であることが好ましく、2.0kg/mm2以上であるものがより好ましい。
耐久性については煮沸水中で一定温度での経時前後で、重量、イオン交換容量、酸素拡散係数の変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることが特に好ましい。さらに過酸化水素中における経時前後でも同様に変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることが特に好ましい。また水中で一定温度での体積膨潤率は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
本発明の固体電解質は安定した吸水率および含水率を持つものが好ましい。また、アルコール類、水およびこれらの混合溶媒に対し、溶解度は実質的に無視できる程度である物が好ましい。また上記溶媒に浸漬した時の重量減少、形態変化も実質的に無視できる程度である物が好ましい。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましい。
本発明の固体電解質の耐熱温度は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
本発明の固体電解質は、膜状であることが好ましく、厚さは、下限値としては、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μ以上、さらに好ましくは25μm以上であり、上限値としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは150μm以下である。
イオン伝導度は例えば25℃95%相対湿度において、0.005S/cm以上であることが好ましく、0.01S/cm以上であるものがより好ましい。
引っ張り強度としては、1.0kg/mm2以上であることが好ましく、2.0kg/mm2以上であるものがより好ましい。
耐久性については煮沸水中で一定温度での経時前後で、重量、イオン交換容量、酸素拡散係数の変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることが特に好ましい。さらに過酸化水素中における経時前後でも同様に変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることが特に好ましい。また水中で一定温度での体積膨潤率は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
本発明の固体電解質は安定した吸水率および含水率を持つものが好ましい。また、アルコール類、水およびこれらの混合溶媒に対し、溶解度は実質的に無視できる程度である物が好ましい。また上記溶媒に浸漬した時の重量減少、形態変化も実質的に無視できる程度である物が好ましい。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましい。
本発明の固体電解質の耐熱温度は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
本発明の固体電解質は、膜状であることが好ましく、厚さは、下限値としては、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μ以上、さらに好ましくは25μm以上であり、上限値としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは150μm以下である。
本発明の固体電解質は、特に、イオン伝導度、強度、燃料電池特性に優れており、これらは、例えば、以下の方法により測定される。
試験
[イオン伝導度]
固体電解質膜を直径5mmの円形に打ち抜き、25℃95%相対湿度の環境に1時間以上保持する。2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるイオン伝導度を測定する。
[強度]
固体電解質膜を2.5cmx1cmに切り抜き、JIS K 7127に準拠し、幅10mmの短冊状試験片で、チャック間距離50mmにてオートグラフを用い引っ張りによる強度試験を測定する。評価試験片に作用する応力S(kg/mm2)は不可荷重をW(kg)、荷重を付加する前の断面積をA0(mm2)とし、次式より求める。
S=W/A0
[燃料電池作製]
(1) 触媒膜の作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50wt%が担持)2gと固体電解質溶液(5%N−メチルピロリドン水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させる。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、加熱乾燥した後、円形に打ち抜き、触媒膜を作製する。
試験
[イオン伝導度]
固体電解質膜を直径5mmの円形に打ち抜き、25℃95%相対湿度の環境に1時間以上保持する。2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるイオン伝導度を測定する。
[強度]
固体電解質膜を2.5cmx1cmに切り抜き、JIS K 7127に準拠し、幅10mmの短冊状試験片で、チャック間距離50mmにてオートグラフを用い引っ張りによる強度試験を測定する。評価試験片に作用する応力S(kg/mm2)は不可荷重をW(kg)、荷重を付加する前の断面積をA0(mm2)とし、次式より求める。
S=W/A0
[燃料電池作製]
(1) 触媒膜の作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50wt%が担持)2gと固体電解質溶液(5%N−メチルピロリドン水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させる。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、加熱乾燥した後、円形に打ち抜き、触媒膜を作製する。
(2)MEAの作製
ナフィオン117の両面に上記で得られた触媒膜を塗布面がナフィオン117に接するように張り合わせ、125℃、3MPa、2分間で熱圧着しMEAを作製する。
ナフィオン117の両面に上記で得られた触媒膜を塗布面がナフィオン117に接するように張り合わせ、125℃、3MPa、2分間で熱圧着しMEAを作製する。
(3)燃料電池特性
(2)で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に水素ガスをフローする。この時カソード側開口部16は大気をフローする。アノード電極12とカソード電極13間に、ポテンシオスタットを接続し700mVにおける電流値を記録する。
(2)で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に水素ガスをフローする。この時カソード側開口部16は大気をフローする。アノード電極12とカソード電極13間に、ポテンシオスタットを接続し700mVにおける電流値を記録する。
燃料電池
本発明の固体電解質は、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、膜状の固体電解質11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えば、カーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等)をプロトン伝導材料(例えば、ナフィオン等)に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを固体電解質11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11にホットプレス法で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。
本発明の固体電解質は、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、膜状の固体電解質11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えば、カーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等)をプロトン伝導材料(例えば、ナフィオン等)に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを固体電解質11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11にホットプレス法で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。
電極の作製法について説明する。本発明の固体電解質を溶媒に溶解し、白金担持カーボンと混合、分散する。このときの溶媒は複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でも複素環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散法は攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液は上記の塗布法を用いて塗布することができる。
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャスト、または塗布して製膜してもよい。支持体は特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると直接触媒電極が作製できる。
これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は短時間であるほうが生産性の観点から好ましいが、あまり短時間であると気泡、表面の凹凸等の欠陥の原因となる。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がより好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。また湿度の制御も重要であり、25〜100%相対湿度が好ましく、50%〜95%相対湿度がより好ましい。
塗布工程における塗布液中には金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、なかでも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下が特に好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低い物が好ましい。
さらに製膜工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削、除去、コーティング処理を行なってもよく、これらは固体電解質膜あるいは多孔質導電体との密着を改良できることがある。
触媒層12b、13bを固体電解質11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11膜にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100 kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般が好ましく用いられる。
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口16設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
活性金属を担持させるカーボン材料としては、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを固体電解質に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく上記で述べたカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層のプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、固体電解質に用いられる酸残基を有する高分子化合物(例えばナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸、側鎖リン酸基ポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性芳香族高分子のスルホン化物など)が好ましく用いられる。本発明の固体電解質を触媒層に用いると、固体電解質と同種の材料となるため、固体電解質と触媒層との電気化学的密着性が高まりより有利である。
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
電極基材、透過層または裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)を固体電解質の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを固体電解質、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)を固体電解質の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを固体電解質、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
本発明の固体電解質を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
固体高分子型燃料電池と同義である直接メタノール型燃料電池では、アノード燃料として、メタノール濃度3〜64質量%のメタノール水溶液が使用される。アノード反応式(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e)により、1モルのメタノールに対し、1モルの水が必要であり、この時のメタノール濃度は64質量%に相当する。メタノール濃度が高い程、同エネルギー容量での燃料タンクを含めた電池の質量および体積が小さくできる利点がある。しかしながら、メタノール濃度が高い程、メタノールが固体電解質を透過しカソード側で酸素と反応し電圧を低下させる、いわゆるクロスオーバー現象が顕著となり、出力が低下する傾向にある。そこで、用いる固体電解質のメタノール拡散性により、最適濃度が決められる。直接メタノール型燃料電池のカソード反応式は、(3/2O2+6H++6e-→H2O)であり、燃料として酸素(通常は空気中の酸素)が用いられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがある。高出力が得られるアクティブ型が好ましい。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、運輸用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、例えば、好ましく適用できる運輸用途としては、自動車(乗用車、貨物車、二輪車、個人用ビーグル)、船舶、家庭用としてはコジェネシステム、掃除機、ロボット、携帯機器としては携帯電話、ノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、などが挙げられる。さらに、ポータブル発電機、野外照明機器などにも用いることができる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池、キャパシタの充電用電源としても有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(固体電解質膜の作製)
得られたポリマーを溶解し、テフロンベース(テフロン:登録商標)上に、テフロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込む。100℃で約2時間溶媒を蒸発し、乾燥する。得られた膜を、3規定塩酸に24時間浸しイオン交換させた後、イオン交換水にて洗浄、乾燥して、不透明、微褐色の固体電解質が得られる。
得られたポリマーを溶解し、テフロンベース(テフロン:登録商標)上に、テフロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込む。100℃で約2時間溶媒を蒸発し、乾燥する。得られた膜を、3規定塩酸に24時間浸しイオン交換させた後、イオン交換水にて洗浄、乾燥して、不透明、微褐色の固体電解質が得られる。
10・・・燃料電池電極膜複合体(MEA)
11・・・固体電解質
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
11・・・固体電解質
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
Claims (7)
- 下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位および一般式(1−2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を含む固体電解質。
一般式(1−1)
一般式(1−2)
- 前記一般式(1−2)中において、A1およびA2がそれぞれ酸残基である、請求項1に記載の固体電解質。
- 電極用である、請求項1または2に記載の固体電解質。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質を含むことを特徴とする電極膜接合体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質を電極に含むことを特徴とする電極膜接合体。
- 請求項4または5に記載の電極膜接合体を含む燃料電池。
- 下記一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物および一般式(4) で表される化合物を重合する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質の製造方法。
一般式(2)
一般式(3)
一般式(4)
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- 2005-04-28 JP JP2005132756A patent/JP2006310159A/ja active Pending
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