JP2008027890A - 固体電解質、電極膜接合体、および燃料電池 - Google Patents

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Masayuki Kaneko
昌之 金子
Masayuki Harada
昌之 原田
Kimiatsu Nomura
公篤 野村
Takayuki Ito
孝之 伊藤
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Abstract

【課題】高いイオン伝導性能を有する固体電解質を提供する。
【解決手段】芳香環構造を有し、下記一般式(1)で表されるスルホン酸基が、前記芳香環と結合している、固体電解質。
一般式(1)
Figure 2008027890

(一般式(1)中、B1およびB2は、それぞれ、連結基を表し、且つB1およびB2の少なくとも1つは、フッ素化されたアルキレン基を含む連結基を表し、Xはヘテロ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表し、m2は0または1の整数であり、n1は1〜20の整数を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料として純水素、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メタノールまたは化石燃料からの改質水素などを直接用い、空気や酸素を酸化剤とする燃料電池に関するものであり、特に固体高分子型燃料電池において用いられる材料、電極膜接合体および燃料電池に関する。
近年、次世代の電源として利用できる、燃料電池が活発に研究されており、その部材である、プロトン伝導材料である固体電解質についても活発な研究が行われている。
一般に、プロトン伝導材料としてナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が用いられているが、プロトン伝導度がまだ十分ではなく、プロトン伝導度を上げるため高分子構造中のスルホン酸基量を上げると、機械的強度の低下および水性溶媒への可溶化を引き起こしてしまう。また高温状態(100℃以上)では軟化が起こりプロトン伝導度が低下してしまうため、高温域(100〜140℃以上)での使用が問題となる。さらに使用するモノマーが比較的高価であり、また製造法が複雑なため製造コストが高くなるといった問題も残る。
近年、剛性の高い高分子素材を使用した固体電解質の開発例が多く見られるが、高分子素材の中でも耐溶媒性の高い樹脂材料を用いた固体電解質の研究は以前から行われており、特許文献1〜5では、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルケトンを主体とした固体電解質が開発されている。しかしながら、本発明者が検討したところ、スルホン酸基が高分子主鎖の芳香族環と直接結合しているため、高い作動温度によって徐々にスルホン酸基の脱離が起こり電池性能が低下してしまうという問題がある。またスルホン酸基が高分子主鎖に直接結合しているため、疎水部である主鎖と親水部であるスルホン酸基の距離が短く水分子を必要以上に吸収するため低いスルホン酸基の導入量で水性溶媒に可溶してしまう問題が生じる。
また、特許文献6では、重縮合で合成された高分子主鎖の芳香族環にアルキル基を介してスルホン酸基を結合させ固体電解質を作製している。この方法においては、スルホン酸基をメチレン鎖を介して主鎖と結合させることにより、主鎖の疎水部とスルホン酸基の付いた側鎖の親水部を比較的距離を置いて分離させることにより、プロトン伝導度および機械的強度の向上をめざしている。しかしながら実際のところ、反応効率が非常に低いためスルホン酸基の導入量が少なく、主鎖の疎水部とスルホン酸基の付いた側鎖の親水部が十分に分離されていないのが現状である。
また上記の通り、高分子主鎖の芳香族環にアルキル基を介してスルホン酸基が結合しているが、特性上、高温、低湿の条件下では、極端にプロトン伝導度が下がってしまうという問題がある。
特許文献7では、高分子主鎖の芳香族環にフッ素化アルキル基を介してスルホン酸基を結合させ固体電解質を作製している。しかしこの方法では、側鎖にベンゼン環とフッ素化アルキルを含む構造をもつため、主鎖間にこれらの基が高密度で入り混じるため、十分なプロトン伝導経路が構築されず、スルホン酸基量の割には、プロトン伝導度が上がらないと推察できる。
さらにまた、前述のスルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルケトンを主体とした固体電解質であるが、電極膜接合体(MEA、membrane−electrode assembly)の作製において膜−バインダーの接合性が高まるため、触媒層用バインダーとして膜と同種、同系統の高分子材料が好ましいわけだが、バインダーとしても前述の内容の問題が依然生じている。
特開平6−49202号公報 特開平6−93114号公報 特開平8−20716号公報 特開平9−245818号公報 特開平10−21943号公報 特許登録第3607862号公報 特開平2005−314452号公報
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、高いイオン伝導性能を有する固体電解質を提供することである。
本発明ではスルホン酸基の導入方法として、スルホン酸基を高分子主鎖の芳香族環と直接結合させるのではなく、ヘテロ原子を含んだフッ素化されたアルキレン鎖を介してスルホン酸基を結合させることにより、高い作動温度においてスルホン酸基の脱離が起こらず、さらに超強酸である特性上、高温、高湿の条件下でも電池性能が低下しないことを見出した。
さらに、ヘテロ原子を含んだフッ素化されたアルキレン鎖を介してスルホン酸基を結合させることにより、プロトン伝導度を上げるためスルホン酸基をこれまで以上に増加させても固体電解質が水溶化せず、電池性能が向上できることを見出した。
また、本発明の固体電解質を触媒用バインダーに用いると、固体電解質と同種の材料となるため、固体電解質と触媒層との電気化学的密着性が高まり、電池性能が向上できることを見出した。また、高分子主鎖の芳香族環にヘテロ原子を含んだフッ素化されたアルキレン鎖を介してスルホン酸基を結合させることにより、アルキレン鎖によって高分子主鎖間が広がり、触媒層中での燃料である酸素および水素の拡散性能が上がるため、電池性能が向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記手段により達成された。
(1)芳香環構造を有し、下記一般式(1)で表されるスルホン酸基が、前記芳香環と結合している、固体電解質。
一般式(1)
Figure 2008027890
(一般式(1)中、B1およびB2は、それぞれ、連結基を表し、且つB1およびB2の少なくとも1つは、フッ素化されたアルキレン基を含む連結基を表し、Xはヘテロ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表し、m2は0または1の整数であり、n1は1〜20の整数を表す。)
(2)一般式(1)において、Xが、O、SまたはNを含む、(1)に記載の固体電解質。
(3)一般式(1)において、m1が、1〜6の整数である、(1)または(2)に記載の固体電解質。
(4)一般式(1)において、B1が、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、アルキル置換アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、アルキル置換アリーレン基、アルケニレン基、ハロゲン置換アルキニレン基、アルキル置換アルキニレン基、アルキニレン基、アミド基、エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基を1つまたは2つ以上を組み合わせて構成される炭素原子数0〜100の連結基である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の固体電解質。
(5)一般式(1)において、B2がハロゲン置換アルキレン基、ハロゲン置換アリーレン基、ハロゲン置換アルキニレン基を1つまたは2つ以上を組み合わせて構成される炭素原子数0〜100の連結基である、(1)〜(4)のいずれかに記載の固体電解質。
(6)前記芳香環構造が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の固体電解質。
一般式(2)
Figure 2008027890
(一般式(2)中、R1は、下記式(6)〜(25)で表される構造のいずれかであり、
Figure 2008027890
Figure 2008027890
Figure 2008027890
Figure 2008027890
式(6)〜(8)中、S1〜S12は、それぞれ水素原子または置換基を表す。式(24)中、Q1は、−O−または−S−を表す。式(25)中、Q2は、−O−、−CH2−、−CO−または−NH2−を表す。)、
Xは、単結合、−C(R56)−、−O−、−S−、−CO−、−SO−若しくは−SO2−、またはこれらの2以上の組み合わせであり、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはハロゲン置換アルキル基を表す。)
(7)膜状である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の固体電解質。
(8)(7)に記載の固体電解質と、該固体電解質を介して両側に配置された一対の電極を有するガス拡散電極とを含む、電極膜接合体。
(9)前記ガス拡散電極が、触媒金属の微粒子を炭素材を含む導電材の表面にバインダーによって担時された電極である、(8)に記載の電極膜接合体。
(10)前記バインダーが、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の固体電解質を含む、(8)または(9)に記載の電極膜接合体。
(11)(8)〜(10)のいずれか1項に記載の電極膜接合体を含む、燃料電池。
(12)前記ガス拡散電極を挟むように設置されたガス不透過性の一対のセパレータをさらに有する、(11)に記載の燃料電池。
(13)固体電解質とセパレータとの間に配置された一対の集電材をさらに有する、(12)に記載の燃料電池。
本発明では、イオン導電性に優れた固体電解質を用いた固体電解質膜、およびイオン導電性とガス拡散性に優れた固体電解質を用いた触媒層用バインダーの提供が可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。尚、本明細書において、A置換B基とは、Aで置換されたB基のことをいう。例えば、ハロゲン置換アルキル基とは、ハロゲン原子で置換されたアルキル基をいう。また、置換基を有することが明記されていない「基」も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していてもよい。
本発明は、芳香環構造を有し、一般式(1)で表されるスルホン酸基が、前記芳香環と結合していることを特徴とする。特に、芳香環構造が主鎖であり、該主鎖の芳香環に、一般式(1)で表されるスルホン酸基が結合しているものが好ましい。
本発明の固体電解質は、燃料電池用として好ましく用いることができる。
ここで、本発明における一般式(1)は、ヘテロ原子を含み、かつ、フッ素化されたアルキレン基を有しているスルホン酸基である。
一般式(1)
Figure 2008027890
(一般式(1)中、B1およびB2は、それぞれ、連結基を表し、且つB1およびB2の少なくとも1つは、フッ素化されたアルキレン基を含む連結基を表し、Xはヘテロ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表し、m2は0または1の整数であり、n1は1〜20の整数を表す。)
一般式(1)中、B1およびB2はそれぞれ連結基を表し、B1およびB2の少なくとも1つは、フッ素化されたアルキレン基を含む連結基を表し、B2が少なくともフッ素化されたアルキレン基を含むことが好ましい。
1の連結基としては、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、アルキル置換アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、アルキル置換アリーレン基、アルケニレン基、ハロゲン置換アルキニレン基、アルキル置換アルキニレン基、アルキニレン基、アミド基、エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基を1つまたは2つ以上を組み合わせて構成される基であることが好ましい。また、B1は炭素原子数0〜100の連結基であることが好ましく、炭素原子数1〜50であることがより好ましく、炭素原子数1〜30であることがさらに好ましい。
より好ましくは、B1の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基)、ハロゲン置換アルキレン基(好ましくはC数1〜20のハロゲン置換アルキレン基、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ジフルオロエチレン基、ジフルオロプロピレン基、テトラフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロヘキシレン基、テトラフルオロヘキシレン基、ジクロロンメチレン基)、アリーレン基(好ましくはC数6〜26のアリーレン基、例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、4−フェニレンメチレン基、1,4−ナフチレン基)、ハロゲン置換アリーレン基(好ましくはC数6〜26のハロゲン置換アリーレン基、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3,4,5,6−テトラブロモフェニレン基)、アルケニレン基(好ましくはC数2〜20のアルケニレン基、例えばエテニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基)、ハロゲン置換アルキニレン基(好ましくはC数2〜20のハロゲン置換アルキニレン基、例えば、ジフルオロエテニレン基、テトラフルオロプロペニレン基、ジクロロエテニレン基)、アルキニレン基(好ましくはC数2〜20のアルキニレン基、例えば、エチニレン基、プロピニレン基)、アミド基、エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基(好ましくはC数1〜26のヘテリレン基、例えば、6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)、または、これらの2以上組み合わせて構成される炭素原子数0〜100以下(より好ましくは1〜20)の連結基を表す。これらの中でもより好ましくは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、アルキニレン基、ハロゲン置換アルキニレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、チオエーテル基、エーテル基であり、さらに好ましくは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、チオエーテル基、エーテル基を含む基である。
2の連結基としては、好ましくはハロゲン置換アルキレン基(好ましくはC数1〜20のハロゲン置換アルキレン基、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ジフルオロエチレン基、ジフルオロプロピレン基、テトラフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロヘキシレン基、テトラフルオロヘキシレン基、ジクロロンメチレン基)、ハロゲン置換アリーレン基(好ましくはC数6〜26のハロゲン置換アリーレン基、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3,4,5,6−テトラブロモフェニレン基)、ハロゲン置換アルキニレン基(好ましくはC数2〜20のハロゲン置換アルキニレン基、例えば、ジフルオロエテニレン基、テトラフルオロプロペニレン基、ジクロロエテニレン基)、または、これらの2以上組み合わせて構成される炭素原子数0〜100(より好ましくは炭素原子数1〜20)の連結基を表す。これらの中でもより好ましくは、ハロゲン置換アルキレン基、ハロゲン置換アリーレン基である。
上記式(1)中、Xは、ヘテロ原子を含む基であり、1つまたは2つ以上のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子のみから構成されていてもよいし、ヘテロ原子と他の原子から構成されていてもよい。好ましくは、ヘテロ原子のみから構成される基である。本発明でいうヘテロ原子には、例えば、O、S、Nが含まれ、OまたはSが好ましい。
Xとしては、例えば、−O−、−S−、−SO−、−SO2−であり、好ましくは−O−、−S−または−SO2−であり、より好ましくは−S−または−O−であり、さらに好ましくは−O−である。
一般式(1)中、Mは、カチオンを表し、好ましくはプロトン、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体からなる群から選択され、より好ましくはプロトンである。
一般式(1)中、m1は、好ましくは、1〜6の整数であり、より好ましくは、1〜3の整数であり、さらに好ましくは1または2である。
一般式(1)中、nは1〜20の整数であり、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。
一般式(1)が塩を形成する場合、酸残基のプロトンが以下のカチオンに置換されているものが好ましく、その置換比(カチオン/酸残基比)は0または1であって、固体電解質の合成の過程では特に制限はないが、燃料電池用の固体電解質として用いる場合は0.1以下のものが好ましい。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)カチオン、アルカリ土類金属(カリウム、ストロンチウム、バリウム)カチオン、第四級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム)カチオン、有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、メチルイミダゾール、モルホリン、トリブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン)のプロトン化体が好ましく、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンがさらに好ましく、アルカリ金属カチオンが特に好ましい。
以下に一般式(1)の例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008027890
本発明で採用する固体電解質の主鎖は、一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましく、一般式(2)で表される繰り返し単位から構成されることがより好ましい。以下、一般式(2)について説明する。
Figure 2008027890
一般式(2)中、R1は、下記式(6)〜(25)で表される構造のいずれかであり、(6)〜(11)が好ましく、(6)〜(9)がさらに好ましい。
(9)〜(14)、(17)〜(21)、(23)および(24)の結合子はいずれの位置で結合していてもよいが、好ましくは、隣接する基同士がパラの位置となるように結合していることが好ましい。
Figure 2008027890
Figure 2008027890
Figure 2008027890
Figure 2008027890
式(6)〜(8)中、S1〜S12は、それぞれ水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アリール基、アルキニル基、ハロゲン置換アルキニル基、水酸基、カルボニル基、スルホン酸、カルボキシル基、リン酸基、チオエーテル基、エーテル基等が例示される。
式(24)中、Q1は、−O−または−S−を表す。
式(25)中、Q2は、−O−、−CH2−、−CO−または−NH−を表す。
Xは、単結合、−C(R56)−、−O−、−S−、−CO−、−SO−若しくは−SO2−、またはこれらの2以上の組み合わせであり、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ベンジル基等)、アルケニル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基)を表し、より好ましくは、−C(CH32−、−C(CF32−、−O−、−S−、−CO−または−SO2−を表す。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、それぞれ、1種類ずつのみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
以下に、本発明で採用する高分子化合物の主鎖を例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。下記のうち、(3−1)から(3−7)を含むものが好ましい。
Figure 2008027890
ここで、R13およびR14は、それぞれ、C数1〜10のアルキル基またはC数6〜12のフェニル基である。
イオウ原子を含む基を介してスルホン酸は、上記主鎖の芳香環のいずれの位置に結合していてもよいが、ビスフェノールを構成する芳香環上、または電子吸引性基が結合した芳香環上に結合していることがさらに好ましい。
本発明において、スルホン酸基導入前の高分子化合物を合成する方法の一例として、下記式(26)で表される化合物と、下記式(27)で表される化合物とを重合(好ましくは、重縮合)させる製造方法が挙げられる。
式(26)
Figure 2008027890
式(26)中、X1は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)またはニトロ基を表す。2つのX1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(27)
Figure 2008027890
式(27)中、Aは、上記式(2)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同義である。mは0、1または2である。RおよびRは、それぞれ、C数1〜10のアルキル基であり、メチル基またはエチル基が好ましい。sおよびsは0〜4の整数であり、0または1が好ましい。
式(26)で表される化合物の具体例としては、以下に表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008027890
これらの化合物は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
また前記式(27)で表される化合物の具体例としてはハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−プロピルハイドロキノン、2−ブチルハイドロキノン、2−ヘキシルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2−デカニルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラブロモ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3',5,5'−テトラフルオロ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの芳香族ジオール類は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記式(26)で表される化合物とおよび式(27)で表される化合物の好ましい配合割合は、式(27)で表される化合物1モルに対して、式(26)で表される化合物は、0.7〜1.3モルが好ましく、0.9〜1.1モルがより好ましく、0.95〜1.05モルがさらに好ましい。
前記式(26)で表される化合物と、前記式(27)で表される化合物とを重縮合して本発明のプロトン酸基含有ポリスルホン(固体電解質)を合成する場合、塩基性化合物存在下で重縮合させる方法が好適に用いられる。
塩基性化合物の種類や反応条件等は特に規定されることはなく、公知の塩基性化合物や反応条件等を適用できる。塩基性化合物としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属などの塩基性金属化合物、各種金属の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、有機塩基などが挙げられる。
これら塩基性化合物の使用量は、式(27)で表される芳香族ジオール類1モルに対して、0.05〜10.0モルが好ましく、0.1〜4.0モルがより好ましく、0.5〜2.5モルがさらに好ましい。
本発明の固体電解質に用いる高分子化合物を製造する反応は、好ましくは、溶媒中で行う。好ましい溶媒としては、下記のようなものが挙げられる。
1)エーテル系溶媒
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等。
2)非プロトン性アミド系溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等。
3)アミン系溶媒
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等。
4)その他の溶媒
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等。
これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いることができる。また、下記5)項に示す溶媒をさらに混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えない。
これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、重合濃度と称する。)は、なんら制限はない。
上記の溶媒中で、式(27)で表される化合物と式(26)で表される化合物を反応させて、プロトン酸基含有ポリスルホンが得られる。この反応でより好ましい溶媒は、上記2)項の非プロトン性アミド系溶媒と4)項のジメチルスルホキシドである。
雰囲気は特に定めるものではないが、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の雰囲気が好ましく用いられ、不活性気体がより好ましく、窒素やアルゴン雰囲気がさらに好ましい。
さらに、反応によって生成する水を系外に除く為に、別の溶媒を共存させることもできる。ここで用いられる溶媒としては、下記5)項のようなものが挙げられる。
5)ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエンおよびp−ブロモトルエンなどが挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。例えば、反応温度は、50℃〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、130〜250℃がさらに好ましい。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類および反応温度等により適宜定めることができるが、1〜72時間が好ましく、3〜48時間がより好ましく、5〜24時間がさらに好ましい。反応圧力については加圧下、減圧下でもよく、常圧でもよい。
本発明において、スルホン酸基導入前の高分子化合物にスルホン酸基を導入する方法としては、以下のような導入方法を用いることができる。また、該高分子化合物にスルホン酸基を直接導入する方法のほか、モノマーに導入後に高分子化してもよい。
例えば、一般式(1)のn1が1、m2が0の場合には後記するクロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化ポリスルホンとした後、チオエーテル結合をアルキル鎖に含み、さらにハロゲン部位を持った化合物(例えば下記の3−メルカプト−1?ジフルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムや3−メルカプト−1,2−ジフルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、)を反応させ、その後塩交換を行いスルホン酸基を導入する方法などが挙げられる。
また、一般式(1)のn1が1、B1がハロゲン置換アルキレン基の場合には後記するクロロメチルメチルエーテル等のハロゲノメチル化剤を用いてハロゲノメチル化ポリスルホンとした後、アルキル鎖の末端にハロゲンが結合し、さらにアルキル鎖がハロゲン化された化合物(例えば下記のテトラフルオロ−2−(テトラフルオロ−2−イオドエトキシ)エタンスルホニルフルオリド)を反応させ、その後加水分解を行いスルホン酸基を導入する方法などが挙げられる。
Figure 2008027890
本発明において、ハロゲノアルキル基としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、ヨードエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、ヨードプロピル基、クロロブチル基、ブロモブチル基、ヨードブチル基、クロロペンチル基、ブロモペンチル基、ヨードペンチル基、クロロヘキシル基、ブロモヘキシル基、ヨードヘキシル基等のハロゲノ(C数1〜6)アルキル基が挙げられ、ハロゲノメチル基が好ましい。
本発明において好ましいハロゲノメチル基を芳香環に導入(芳香環のハロゲノメチル化反応)するには、公知反応が広範囲に使用できる。例えばクロロメチル化剤として、クロロメチルメチルエーテル、1,4−ビス(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−クロロブタンなどを用い、触媒として塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化チタンなどのルイス酸やフッ化水素酸などを用いてクロロメチル化反応を行うことにより、芳香環にクロロメチル基を導入することができる。溶媒には、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを用い、均一系で反応を行うことが好ましい。また、パラホルムアルデヒドと塩化水素、もしくは臭化水素などを用いてハロゲノメチル化反応を行うこともできる。
上記のようにして得られる、上記高分子化合物中のスルホン酸基量は、重合体を構成する単位(B)の1ユニットに対して、好ましくは0.05〜2個、より好ましくは0.3〜1.5個である。0.05個以上とすることにより、固体電解質のプロトン伝導性がより高くなり、一方2個以下とすることにより、親水性が向上して水溶性ポリマーとなってしまったり、また水溶性に至らずとも耐久性が低下したりするのを、より効果的に抑止できる。
また、このようにして得られる本発明で用いる高分子化合物のスルホン化前の前駆体のポリマーの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜200,000である。1,000以上とすることにより、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不充分となるのをより効果的に抑止でき、また強度的性質をより効果的に高めることができる。一方、1,000,000以下とすることにより、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題をより効果的に抑止できる。
なお、本発明で用いる高分子化合物の構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
次に、本発明の固体電解質は、上記高分子化合物を含み、該高分子化合物以外に、硫酸、リン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用しても良い。
製膜工程においては、原料となる高分子化合物を融点より高い温度に保持した液体、または溶媒を用いて溶解した液体を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの液体をキャスト、または塗布して製膜してもよい。これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうことができ、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
さらに製膜工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削、除去、コーティング処理を行なってもよく、これらは電極との密着を改良できることがある。
得られる固体電解質の形状は、膜状が好ましく、厚さは10〜500μmが好ましく、25〜150μmがより好ましい。成形した時点で膜状であっても良いし、バルク体に成形した後に、切断して膜状に加工することもできる。
本発明の固体電解質を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明の第二工程終了後の反応液を塗布含浸させるか、基材を反応液に浸漬し、細孔内に固体電解質を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
固体電解質の他の成分
本発明の固体電解質には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量は固体電解質の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価または二価のイオウ系、三価および五価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平10−312815号公報、特開2000−231928号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等からなる微粒子が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平6−111834号公報、特開2003−178777号公報、特開2004−217921号公報に記載の微粒子が挙げられる。
吸水剤(親水性物質)としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には特開平7−135003号公報、特開平8−20716号公報、特開平9−251857号公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、二価アルコールエステル系化合物、オキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、カーボネート類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には特開2003−197030号公報、特開2003−288916号公報、特開2003−317539号公報に記載の可塑剤が挙げられる。
さらに本発明の固体電解質には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明の固体電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらの2以上の重合体が好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
また本発明の固体電解質を燃料電池に使用する際には、該固体電解質を支持体と複合化することにより得られる固体電解質複合膜を用いることもできる。ここで、支持体は、本発明の固体電解質を含浸する母材となるものであり、主に本発明の固体電解質の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために使用される。そのため、上記使用目的を満たすものであれば、フィブリル形状や多孔膜形状等、その形状や材質によらず用いることができるが、固体高分子電解質型燃料電池の隔膜として良好に使用することを念頭に置いた場合、多孔膜を用いる事が非常に有効である。
該目的に用いられる多孔膜としては、膜厚が、通常、1〜300μm、好ましくは3〜150μm、さらに好ましくは5〜100μm、孔径は通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜7μm、空隙率は通常20〜98%、好ましくは30〜95%である。多孔性支持膜の膜厚を、1μm以上とすることにより、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより効果的となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくある。また膜厚を100μm以下とすることにより、電気抵抗が高くなすぎず、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜としてより好ましいものとなる。孔径を0.02μm以上とすることにより、固体電解質が含浸しやすくなり、7μm以下とすることにより、固体電解質への補強効果がより強くなる傾向にある。空隙率を20%以上とすることにより、固体電解質膜としての抵抗が大きくなりすぎず、98%以下とすることにより、多孔膜自体の強度が弱くなって補強効果が減少するのをより抑止できる傾向にある。また、多孔性支持膜の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
好適に使用できる脂肪族系高分子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、含フッ素高分子としては、分子内に炭素−フッ素結合を少なくとも1個有する公知の熱可塑性樹脂が使用される。通常は、脂肪族系高分子の水素原子のすべてまたは大部分がフッ素原子によって置換された構造のものが好適に使用される。
好適に使用できる含フッ素高分子を例示すれば、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂は、機械的強度の良好さから平均分子量が10万以上のものが好ましい。
本発明の固体電解質、または固体電解質を含む複合膜を燃料電池に使用する場合、膜の厚みに特に制限はないが、1〜300μmが好ましく、3〜150μmがより好ましく、5〜100μmがさらに好ましい。膜厚が薄すぎると膜強度が低下する傾向にあり、膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。膜厚は、高分子電解質溶液濃度あるいは、高分子電解質溶液の塗工量、多孔性支持膜の厚み、多孔性支持膜への塗布厚を適切に選択することにより制御できる。また、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤などの添加剤も含有し得る。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明の固体電解質の特性としては、以下の諸性能を持つものが好ましい。
プロトン伝導度は例えば80℃、水中において、0.1S/cm以上であることが好ましく、0.2S/cm以上であることがより好ましい。
強度としては、DMA(粘弾性分析)による貯蔵弾性率は、0.5GPa以上であることが好ましく、1.0GPa以上であることがより好ましく、1.5GPa以上であることが特に好ましい。
耐久性については30%過酸化水素中で一定温度での経時前後で、重量、イオン交換容量の変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。さらにイオン交換水中で一定温度での体積膨潤率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。Tg(ガラス転移温度)については、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが特に好ましい。
本発明の固体電解質は安定した吸水率および含水率を持つものが好ましい。また、アルコール類、水およびこれらの混合溶媒に対し、溶解度は実質的に無視できる程度であることが好ましい。また上記溶媒に浸漬した時の重量減少、形態変化も実質的に無視できる程度であることが好ましい。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましい。
本発明の固体電解質が膜状に形成された場合、その厚みは1〜300μmが好ましい。本発明の固体電解質の耐熱温度は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
さらに、本発明の固体電解質を燃料電池に用いる場合、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、固体電解質中に浸透した燃料が他方極に到達すること無く固体電解質中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
燃料電池
本発明の固体電解質は、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、膜状の固体電解質11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えばカーボンペーパー、導電層)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等)をプロトン伝導材料(例えばナフィオン等)に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを固体電解質11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口16が設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
アノード電極およびカソード電極には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子を担持した触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、2nm程度が限度と言われている。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料に一酸化炭素を含む化石燃料改質ガスを用いる燃料電池においては、COによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
活性金属を担持させるカーボン材料としては、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを固体電解質に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく上記で述べたカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層のプロトン伝導材料すなわちバインダーとしては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、固体電解質に用いられる酸残基を有する高分子化合物、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載のものが挙げられる。本発明の固体電解質を触媒層に用いると、固体電解質と同種の材料となるため、固体電解質と触媒層との電気化学的密着性が高まりより有利である。
また、バインダーとしてスルホン化ポリスルホンを用いる場合、体積平均粒子サイズが1nm〜200nmであるイオン性ポリマー粒子を含む分散液を用いることが好ましい。
イオン性ポリマー粒子分散液の調整方法の一例を説明する。
イオン性ポリマー粒子分散液は、イオン性ポリマーが難溶である貧溶媒と、貧溶媒と混和性を有し、かつ、イオン性ポリマーが易溶である良溶媒にイオン性ポリマーを溶解させたイオン性ポリマー溶液とを連続的に混合することにより、イオン性ポリマー粒子を生成することができる。ここで、連続的に混合とは、貧溶媒とイオン性ポリマー液がそれぞれ流動した状態で混合し、時間ともに新しい混合が生まれ続いている状態を表す。
ここで、本発明におけるイオン性ポリマーが難溶である貧溶媒とは、例えば、イオン性ポリマーの溶解度が10mg/mL以下のものをいう。
貧溶媒は、1種類または2種類以上を混合してもよい。本発明で用いる貧溶媒としては、水が好ましい。
良溶媒としては、イオン性ポリマーを溶解しかつ貧溶媒と混和する溶媒であれば、特に定めるものではなく、2種類以上の良溶媒の混合溶媒であってもよい。
本発明で用いる良溶媒は、イオン性ポリマー粒子分散液から、容易に除去が可能な有機溶媒が好ましい。斯かる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、n−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、エチレンジアミン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキサイド、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミドが挙げられる。
また、例えば、1〜200nmのサブミクロンオーダーのイオン性ポリマー粒子を含有するためには、貧溶媒とイオン性ポリマー溶液を混合する際、貧溶媒と良溶媒の体積流量比(前者:後者)を1:1〜100:1に設定するのが好ましく、5:1〜100:1に設定するのがより好ましく、10:1〜100:1に設定するのがさらに好ましい。さらに、貧溶媒とイオン性ポリマー溶液を混合により、より粒子サイズが小さく、分散安定性に優れたイオン性ポリマー粒子分散液を得るためには、貧溶媒またはイオン性ポリマー溶液に、分散安定剤を含有させるのが好ましい。
さらに触媒層のバインダーとしては、燃料が奥まで透過できる性能があることが必要で、酸素透過率(mol/cm・s)としては、75℃において、5〜12Eであることが好ましく、8〜12Eであることがより好ましく、1.2〜11Eであることが特に好ましい。
触媒層にはさらに撥水剤を含むものが好ましく、撥水剤としては、撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましく、耐熱性および耐酸化性に優れたものがより好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を挙げることができる。
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
導電層は、電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
カーボン材料は、白金粒子等の触媒金属(電極触媒)の担体として好ましく用いられ、触媒金属を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられる(例えば、国際公開WO2002/054514号パンフレットなど)。
集電体(バイポーラプレート)は、表面等にガス流路を有するグラファイト製または金属製の流路形成材兼集電体であることが好ましい。こうした集電体の間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池スタックを作製することができる。
電極の作製方法について説明する。ナフィオンに代表されるフッ素樹脂系プロトン伝導材料、あるいは本発明の固体電解質を溶媒に溶解し、触媒金属を担持したカーボン材料と混合した分散液を分散する。分散液の溶媒はヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でもヘテロ環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散方法は、攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液はカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等の塗布法を用いて塗布することができる。
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャストまたは塗布して製膜してもよい。この場合の支持体は特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると直接触媒電極が作製できる。
これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。この他の方法として、上記のようにペースト状にした電極触媒を通常のスプレー等を用いて固体電解質膜に直接噴霧して触媒層を形成する方法等も用いることができる。噴霧時間と噴霧量を調節することで均一な電極触媒層を形成することができる。
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は短時間であるほうが生産性の観点から好ましいが、あまり短時間であると気泡、表面の凹凸等の欠陥の原因となる。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がより好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。また湿度の制御も重要であり、25〜100%RHが好ましく、50〜95%RHがさらに好ましい。
塗布工程における塗布液(分散液)中には金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、中でも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。遷移金属イオンの含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低い物が好ましい。
さらに塗布工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削処理、除去処理、コーティング処理を行なってもよく、これらは固体電解質膜あるいは多孔質導電体との密着を改良できることがある。
本発明の電極膜接合体が有する触媒層の厚さは5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)を固体電解質の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを熱圧着(ホットプレス)して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質と熱圧着(ホットプレス)し、5層構成のMEAを作製する。塗布の支持体が異なる以外は上記(1)と同様である。
(3)Decal法:触媒ペーストを支持体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等)上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質に触媒層のみを熱圧着(ホットプレス)により転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを固体電解質、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
上記、ホットプレスを行なう場合は、以下のものが好ましい。
ホットプレス温度は、固体電解質の種類によるが、通常は100℃以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上である。
固体電解質はスルホン酸を置換基として持つプロトン型でもよいし、特開2004−165096号公報、特開2005−190702号公報に記載されているように、スルホン酸が塩形態である塩型であってもよい。塩型である場合のスルホン酸のカウンターカチオンは、1価または2価のカチオンが好ましく、1価のカチオンがさらに好ましい。具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンが好ましく、これらのカチオンおよびプロトンの群から複数の物を採用してもよい。
上記塩を用いる場合にはさらに以下の工程が必要である。
燃料電池用途として使用するには、固体電解質がプロトン伝導性を有する必要性がある。そのために、酸との接触によって、固体電解質の塩置換率を接触する前の99%以下にする。電極触媒と高分子電解質膜を接合した後に酸と接触させることによって、電極接合時に受ける熱履歴による膜の含水率およびイオン伝導性の低下を回復させることができる。
酸と接触させる方法としては、塩酸のような酸性水溶液に浸漬または酸性水溶液を噴霧する公知の方法を使用することができる。使用する酸性水溶液の濃度は、イオン伝導性の低下状況、浸漬温度、浸漬時間等にも依存するが、例えば、0.0001〜5規定の酸性水溶液を好適に用いることができる。浸漬温度は多くの場合は室温であれば十分に転化することができ、浸漬時間を短縮する場合は、酸性水溶液を加温してもよい。浸漬時間は、酸性水溶液の濃度および浸漬温度に依存するが、概ね10分間〜48時間の範囲で好適に実施することができる。
燃料電池運転の際に、膜の内部を移動するプロトンが酸として機能することによって置換したカチオンが洗い流され、より高いイオン伝導性を発現させる方法等も用いることができる。
燃料電池の作動温度は、高温であるほど触媒活性が上がるために好ましいが、通常は水分管理が容易な50℃〜120℃で運転させる。酸素や水素の供給圧力は、高いほど燃料電池出力が高まるため好ましいが、膜の破損等によって両者が接触する確率も増加するため適当な圧力範囲例えば1気圧から3気圧の範囲に調整することが好ましい。
本発明の固体電解質を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあげられ、これらを組み合わせることも可能である。前者は、反応ガスの加圧調湿等を行い、高出力化ができる等の利点がある反面、より小型化がし難い欠点がある。後者は、小型化が可能な利点がある反面、高い出力が出にくい欠点がある。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1.2V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレータを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、水素型燃料電池は、高出力が得られる利点を活かし、様々な家庭用給湯発電装置、輸送機器の動力、携帯電子機器のエネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる給湯発電装置としては、家庭用、集合住宅用、病院用、輸送機器としては、自動車、船舶、携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。さらに非常用電源の用途も提案されている。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1) 固体電解質の作製
モノマーとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1molに対し、ビス(4−クロロフェニルフェニル)スルホン1molを用い、丸善:第4版実験化学講座、28巻、高分子合成、P.357に記載の一般的な重合法に従い、ポリスルホン(3−1)を合成した。その後クロロメチル化法(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 39, 2943−2950, 2001に記載)により、クロロメチル基を導入した。このクロロメチル化ポリスルホンに、下記スキームのテトラフルオロ−2−(テトラフルオロ−2−イオドエトキシ)エタンスルホニルフルオリドをATRA法により反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのNaOHのエタノール溶液中で5時間攪拌し、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、Journal of the Electrochemical Society 143巻4号1254−1259頁(1996年)に従って測定した。上記固体電解質膜を長さ2cm、幅1cmに切り抜き、Journal of Membrane Science 219巻123−136頁(2003年)記載の伝導度セルに挟み込み、インピーダンスアナライザーとしてソーラトロン製1480型および1255B型を組み合わせて80℃、90%相対湿度の条件にて交流インピーダンス法により測定を行なった。式1に従いイオン伝導度を求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
Figure 2008027890
(実施例2) 固体電解質の作製
実施例1に従いクロロメチル化ポリスルホンを合成した。このクロロメチル化ポリスルホンを、下記スキームのスルホン酸アルコールをウイリアムソン−エーテル合成法により反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのHClに一晩浸漬させ塩交換を行い、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
(実施例3) 固体電解質の作製
実施例1に従いクロロメチル化ポリスルホンを合成した。このクロロメチル化ポリスルホンに、3−メルカプト−1?ジフルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのHClに一晩浸漬させ塩交換を行い、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
(実施例4) 固体電解質の作製
実施例1に従いクロロメチル化ポリスルホンを合成した。このクロロメチル化ポリスルホンに、3−メルカプト−1,2−ジフルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのHClに一晩浸漬させ塩交換を行い、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
(実施例5) 固体電解質の作製
実施例1に従いクロロメチル化ポリスルホンを合成した。このクロロメチル化ポリスルホンに、テトラフルオロ−1,2−オキサチエタン−2,2−ジオキサイドを反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後60℃の2mol/lの硫酸溶液に入れ反応させ、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
比較例1 スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン
ポリスルホン(Aldrich社試薬)を濃硫酸によりスルホン化して、ビフェニルユニットにスルホン酸基が導入されたポリマーを得た。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのHClに一晩浸漬させ塩交換を行い、スルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
比較例2
実施例1に従いクロロメチル化ポリスルホンを合成した。このクロロメチル化ポリスルホンに、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを反応させた。得られたポリマーをキャスト法にて製膜し、その後1mol/lのHClに一晩浸漬させ塩交換を行い、下記のスルホン化ポリスルホン膜を得た。
得られた膜のイオン伝導度を、実施例1に従い求めた。イオン伝導度およびイオン交換容量の測定結果を表1に示す。
Figure 2008027890
比較例3
特開平2005−314452号公報の実施例1と同様の方法で高分子電解質を合成した。
Figure 2008027890
本発明の固体電解質膜はイオン伝導度が高いことが認められた。
また、本発明の固体電解質膜と同じ固体電解質膜をバインダーとして用いることにより、より高いセル電圧を示すことが認められた。このような、固体電解質は、例えば、燃料電池のプロトン交換膜およびバインダーとして、好ましく利用できる。
本発明の固体電解質を用いた触媒電極接合膜の構成を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の構造の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・・・・電極膜複合体(MEA)
11・・・・・・固体電解質
12・・・・・・アノード電極
12a・・・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・・・アノード極触媒層
13・・・・・・カソード電極
13a・・・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・・・カソード極触媒層
14・・・・・・パッキン
15・・・・・・アノード極側開口部
16・・・・・・カソード極側開口部
17・・・・・・集電体
21,22・・・セパレータ

Claims (9)

  1. 芳香環構造を有し、下記一般式(1)で表されるスルホン酸基が、前記芳香環と結合している、固体電解質。
    一般式(1)
    Figure 2008027890
    (一般式(1)中、B1およびB2は、それぞれ、連結基を表し、且つB1およびB2の少なくとも1つは、フッ素化されたアルキレン基を含む連結基を表し、Xはヘテロ原子を含む基を表し、Mはカチオンを表し、m1は1以上の整数を表し、m2は0または1の整数であり、n1は1〜20の整数を表す。)
  2. 一般式(1)において、Xが、O、SまたはNを含む、請求項1に記載の固体電解質。
  3. 一般式(1)において、m1が、1〜6の整数である、請求項1または2に記載の固体電解質。
  4. 一般式(1)において、B1が、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、アルキル置換アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、アルキル置換アリーレン基、アルケニレン基、ハロゲン置換アルキニレン基、アルキル置換アルキニレン基、アルキニレン基、アミド基、エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基を1つまたは2つ以上を組み合わせて構成される炭素原子数0〜100の連結基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質。
  5. 一般式(1)において、B2がハロゲン置換アルキレン基、ハロゲン置換アリーレン基、ハロゲン置換アルキニレン基を1つまたは2つ以上を組み合わせて構成される炭素原子数0〜100の連結基である、請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
  6. 前記芳香環構造が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質。
    一般式(2)
    Figure 2008027890
    (一般式(2)中、R1は、下記式(6)〜(25)で表される構造のいずれかであり、
    Figure 2008027890
    Figure 2008027890
    Figure 2008027890
    Figure 2008027890
    式(6)〜(8)中、S1〜S12は、それぞれ水素原子または置換基を表す。式(24)中、Q1は、−O−または−S−を表す。式(25)中、Q2は、−O−、−CH2−、−CO−または−NH2−を表す。)、
    Xは、単結合、−C(R56)−、−O−、−S−、−CO−、−SO−若しくは−SO2−、またはこれらの2以上の組み合わせであり、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはハロゲン置換アルキル基を表す。)
  7. 膜状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質。
  8. 請求項7に記載の固体電解質と、該固体電解質を介して両側に配置された一対の電極を有するガス拡散電極とを含む、電極膜接合体。
  9. 請求項8に記載の電極膜接合体を含む、燃料電池。
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