JP4938755B2 - 衝撃吸収柵 - Google Patents

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Description

本発明は落石、雪崩、崩落土砂、走行車両等の衝撃を吸収する衝撃吸収柵に関し、特に地球温暖化現象の一因である二酸化炭素(CO2)の削減と、木質系の廃棄物の有効活用との両立を図る衝撃吸収柵に関するものである。
地球温暖化現象の一因である二酸化炭素の排出削減が国際レベルで求められている。
特に、大量の二酸化炭素を発生する廃棄物の焼却処理施設や自動車分野では、その対策技術が提案されている(特許文献1,2)。
その一方で、林業分野で発生する間伐材や建築分野で発生する廃棄木材等の木質系の廃棄物は、その大半を埋設処分、又は焼却処分している。
前者の処分方法は処分場の飽和化により処分量に限界があり、又、後者の処分方法は二酸化炭素の発生を助長するといった難点がある。
また、木質系の廃棄物を焼却せずに建材として活用する方法や(特許文献3)、チップ化して舗装材に活用する方法(特許文献4)も提案されているが、これらの活用技術は二酸化炭素の削減に貢献するものではない。
また、植物が二酸化炭素を吸収し、植物を燃焼、腐朽することで固定化した二酸化炭素を排出する植物のライフ循環システムにおいて、大気中の二酸化炭素は増加しないという「カーボンニュートラル化」を実現することが、地球温暖化の防止に役立つとの提唱がなされている。
「カーボンニュートラル化」は二酸化炭素の排出量と吸収量を均等に保つことで、二酸化炭素を増加させないという考え方である。
しかしながら、二酸化炭素の吸収量が最も多い森林は、一部の地域で植林や植樹が進められているものの、世界規模でみると森林面積の減少量が増加量を約5倍上回っており,減少の一途を辿っている。
二酸化炭素の排出量が森林による吸収量と比べて多い現状においては、大気中における二酸化炭素の増加を抑えることが難しい。
河川や湖の枯渇化と大規模水害、永久氷塊の溶解、動植物の生態環境の破壊等のように、地球温暖化に起因した被害が深刻化する現在、大気中の二酸化炭素の削減を図りつつ、大量に発生する木質系の廃棄物の有効活用の両立が図れる技術の提案が切望されている。
殊に京都議定書の削減約束の期限までに数値目標の達成が困難な現状において、各国家や各企業ごとに定めた温室効果ガスの排出枠を取引する排出量取引制度による対処を余儀なくされており、二酸化炭素の削減技術は国家レベルでの大きな課題となっている。
またその一方で、落石等の危険を回避する衝撃吸収柵が種々提案されている。
衝撃吸収柵としては、例えば剛性の支柱間にロープ製や金網製の防護ネットを横架して構成するタイプ(特許文献5)や、支柱上部に防護ネットをカーテン式に吊り下げるタイプ(特許文献6)等が知られている。
さらに防護ネットの一部や支柱に多数の緩衝装置を設置して柵の衝撃吸収性を高めることも知られている。
従来の衝撃吸収柵は衝撃吸収性能を高くすると柵のコストが高くなり、衝撃吸収柵のコストを優先して低コストにおさえると衝撃吸収性能が低くなるといった背反の関係にあることが一般に知られている。
昨今の厳しい経済環境に鑑み、衝撃の吸収性能の向上と低コスト化の両立化が図れる衝撃吸収柵の提案が切望されている。
特開2004−313961号公報 特開平11−57646号公報 特開2006−231885号公報 特開2008−75394号公報 特開2008−150867号公報 特開2008−88704号公報
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、本発明の目的とするところは大気中の二酸化炭素の削減を図りつつ、大量に発生する木質系の廃棄物の有効活用の両立が図れる衝撃吸収柵を提供することにある。
本発明のつぎの目的は、二酸化炭素の固定化を促進しつつ、高いエネルギー吸収性能を発揮できる衝撃吸収柵を提供することにある。
上記のような課題を解決するために、本願の第1発明は、防護ネットを具備した防護柵本体と、防護ネットの受撃面に付設した複数のエネルギー吸収体とにより構成する衝撃吸収柵であって、前記エネルギー吸収体は木質系の廃棄物を熱処理して炭素を固定化した複数の炭化物と、前記炭化物を充満させて収容する袋状の被覆材とを具備し、前記エネルギー吸収体が二酸化炭素の固定作用と、衝撃の吸収作用を併有することを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本願の第2発明は、前記第1発明において、接着剤を介して前記複数の炭化物に自己接着性を付与し、前記複数の炭化物相互間に空隙を形成しつつ、炭化物相互間を固着して、前記袋状の被覆材に収容可能な形状に成形したことを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本願の第3発明は、前記第2発明において、接着剤が、先行して炭化物にコーティングする液状の下地固結材と、その後に炭化物にコーティングする粉状の表層固結材であることを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本願の第4発明は、前記第2発明において、接着剤が、炭化物にコーティングするペースト状のセメント系固結材であることを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本願の第5発明は、前記第1乃至第4発明の何れかにおいて、防護柵本体が間隔を隔てて立設した複数の支柱と、支柱間に横架したロープ製の防護ネットとを具備することを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本願の第6発明は、前記第1乃至第4発明の何れかにおいて、防護ネットの受撃面に付設した複数のエネルギー吸収体と、防護ネットにまたがって保護シートで被覆したことを特徴とする、衝撃吸収柵を提供する。
本発明は少なくとも次のひとつの効果を得ることができる。
(1)木質系の廃棄物の炭化物を主体とする複数のエネルギー吸収体を防護ネットに付設するだけの構成で、防護柵本体の衝撃吸収性能を格段に向上できるだけでなく、二酸化炭素の固定化を図ることができる。
(2)エネルギー吸収体は、大気中の二酸化炭素を吸収しつつ炭素を内部に蓄積しながら成長した樹木を伐採して炭化したものであるから、エネルギー吸収体に大量の炭素成分をクレジットすることができる。
したがって、大気中の二酸化炭素の削減を図りつつ、大量に発生する木質系の廃棄物の有効活用の両立を図ることができる。
(3)エネルギー吸収体を構成する炭化物は、衝撃が作用したときに炭化物が圧縮破壊されて衝撃が保有するエネルギーを効率よく吸収することができる。
(4)炭化物を覆う被覆材が炭化物を拘束するので、炭化物単独の場合と比べてエネルギーの吸収性能が高くなる。
(5)防護ネットの受撃面に付設した複数のエネルギー吸収体と、防護ネットにまたがって保護シートで被覆することで、衝撃吸収柵全体としての衝撃の吸収効率がさらに高くなる。
(6)防護ネットに複数のエネルギー吸収体を付設するだけであるので、公知の各種防護柵本体に適用できて汎用性に富む。
以下、図面を参照しながら本発明に係る衝撃吸収柵について説明する。
[実施例1]
(1)衝撃吸収柵の概要
図1に衝撃吸収柵の一例を示す。衝撃吸収柵は防護柵本体10と、防護柵本体10に付設したエネルギー吸収体30とにより構成する。
本発明が前提とする防護柵本体10は、間隔を隔てて立設した複数の支柱20と、支柱20間に横架した防護ネット25とを具備する。
支柱20は例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱、又は弾性支柱等で、その下端部を地中に直接埋設するか、基礎コンクリートに埋設している。
支柱20の安定性を確保するため、支柱20の周辺に設けたアンカー11と支柱20の上部間、及びアンカー11と支柱20の下部間に控えロープ12を配設している。
本例では支柱20間に横架した複数のロープ材26と、ロープ材26に付設した金網等のネット27とにより防護ネット25を構成する場合について説明するが、公知の各種の防護ネットを適用できる。
各ロープ材26と端末の支柱20の間、およびロープ26の途中には、摩擦抵抗式の緩衝装置28が介装してあり、ロープ材26に設定値以上の張力が作用したときに、ロープ材26が摺動して衝撃エネルギーを吸収するようになっている。
緩衝装置28は必須ではなく、省略される場合ある。
(2)エネルギー吸収体
図1に示すように、防護ネット25の山側には円柱状を呈する複数のエネルギー吸収体30が配置されている。
エネルギー吸収体30は防護ネット25の受撃面に対して、一列に配置する形態に限定されず、複数列を形成するように配置してもよく、またエネルギー吸収体30は縦横方向に交差させて配置してもよい。
尚、エネルギー吸収体30は防護ネット25に立て掛けるだけでもよいが、図示しないロープやベルトを使って防護ネット25に結束しておくことが望ましい。
衝撃力を吸収する部材としては各種の弾力性の部材が知られているが、本発明で使用するエネルギー吸収体30は木質系の廃棄物の炭化物32を主体とするものである。
エネルギー吸収体30の外周全面は、袋状、または筒状の被覆材31で覆い、炭化物32の耐候性を確保するとともに、炭化物を拘束してエネルギーの吸収性能の向上を図っている。
被覆材31は非伸縮性の布、樹脂製シート、塩化ビニル製のパイプ、金属製のパイプ等を使用できる。
(3)エネルギー吸収体の製造方法
図3〜図5を基づいてエネルギー吸収体30の製法について説明する。
(3−1)木質系の廃棄物の炭化工程(図4a)
木質系の廃棄物を熱処理して炭化物32を得る。
木質系の廃棄物とは例えばつぎのものを含む。
a)林業分野で発生する間伐材、打ち枝材、倒木(竹を含む)等。
b)建築分野で発生する住宅の解体木材、工事現場で使用済みの木製資材等。
c)自然災害で発生する折れた樹木、流木等。
d)リサイクルが困難な木製の家具や調度品。
上記に例示した木質系の廃棄物以外に、他の木材そのもの、或いは木製の加工品を含むものである。
熱処理は公知の炭化窯や炭化施設の内部に木質系廃棄物を搬入し、空気を遮断した環境下において高温加熱して行なう。
高温とは木質系廃棄物の種類により若干相違するが、望ましくは700℃以上の温度が望ましい。
木質系の廃棄物を高温するのは、炭化物32の内部に炭素を固定化するためと、無機化して腐朽させないためである。
木質系の廃棄物は炭素、酸素、水素を主成分とする。
この木質系の廃棄物を外部の空気が入り込まない環境下で熱処理して炭化する。
そのため、木質系の廃棄物の内部に含まれた炭素のうち、一部の炭素は炭化過程で失うものの、大半の炭素は外部に放出されずに炭化物32の内部に固定化することができる。
炭素の固定化を実証するために、杉材を用いて以下のような実験を行った。
杉材100kgを高温過熱して炭化すると、約30.7kgの炭化物32が得られた。
このうち炭化物32の成分を分析すると、91%に相当する27kgの炭素が固定化されていた。
すなわち、木材の炭化前と炭化後における重量変化と炭素量の変化について調べたところ、炭化後の重量は炭化前と比べて1/3ほど軽くなり、炭化後の炭素量は炭化前のほぼ90%の炭素を保持していることが確認できた。
このことから、炭化物32に固定した炭素量は熱処理前の廃棄物の総重量を基に正確に算出することができる。
一般に炭化物32の物性として、燃焼すれば大気中に炭素が放出され、また炭化物32の強度は炭化前と比べて著しく低下して脆弱化することが知られている。
本発明はこのような炭化物32の物性を踏まえて成されたものであり、以降に説明するように炭素を固定化したまま、炭化物32に強度を付与してエネルギー吸収体を得る発明である。
また、木質系の廃棄物の炭化物32をエネルギー吸収体に用いるにあたり、炭化物32は熱処理したときのサイズで用いてもよいが、使途に応じた最適な寸法に小片化してもよい。
炭化物32を小片化するには、熱処理前に木質系廃棄物を小片化しておく方法と、熱処理後に炭化物32を小片化する方法がある。
(3−2)液状固結材の被膜の形成工程(図4b)
つぎに木質系の廃棄物の炭化物32の表面に液状の下地固結材33の被膜を形成する。
炭化物32の表面に液状の下地固結材33の被膜を形成するには、例えば撹拌機内に炭化物32と液状の下地固結材33を投入して撹拌混合したり、或いは炭化物32を液状の下地固結材33に含浸させたり、炭化物32の表面に液状の下地固結材33を吹き付ける等して行なう。
液状の下地固結材33は、炭化物32相互間を固着するための下地用接着剤で、例えばつぎのような高分子系樹脂接着剤が使用可能である。
高分子系樹脂接着剤としては、エチレン酢酸ビニルエマルジョンと水を主剤とした市販の接着剤を使用することが好適である。
炭化物32に付着した余分な液状の下地固結材33は、例えば炭化物32に強制回転を与えて遠心除去したり、漉し網で濾過する等して除去する。
(3−3)粉状固結材のコーティング工程(図4c)
つぎに液状の下地固結材33が硬化する前に、炭化物32の表面全体に粉状の表層固結材34を均等に付着させる。
炭化物32の表面に粉状の表層固結材34を付着させるには、例えば撹拌機内に炭化物32と粉状の表層固結材34を投入して撹拌混合したり、或いは炭化物32に粉状の表層固結材34に吹付ける等して行なう。
粉状の表層固結材34としては、セメントに代表されるセメント系接着剤が好適である。
粉状の表層固結材34は、炭化物32の表面を覆った液状の下地固結材33に付着して水分を取り込むことで、自己接着性が発揮される。
本実施例が液状の下地固結材33と粉状の表層固結材34とを組み合わせたのは以下の理由による。
炭化物32は炭化されると内部に多数の微孔が形成されるため、炭化物32の表面を液状の下地固結材33単独で覆っただけでは、液状の下地固結材33が多数の微孔に入り込むために、炭化物32の表面に十分な接着能力を付与することが難しい。
また、液状の下地固結材33を使用せずに、粉状の表層固結材34を単独で炭化物32の表面に付着させることはできない。
そこで、本実施例では、水分を含む液状の下地固結材33に粉状の表層固結材34を付着させることで、微細な孔を無数に有する炭化物32の表面に、十分な接着能力を付与することが可能となる。
さらに、液状の下地固結材33と粉状の表層固結材34とを組み合わせて構成した接着剤で以って炭化物32を被覆するもうひとつの理由は、個々の炭化物32の硬度を高めるためである。
(3−4)成形工程
多数の炭化物32を撹拌混合した後、所定の形状に成形してエネルギー吸収体30を得る。
またエネルギー吸収体30は自己接着性を有する複数の炭化物32の集合体で構成するから、エネルギー吸収体30の寸法や形状は使途に応じて任意に形成することが可能である。
炭化物32は自己接着性を有するから、図5に拡大して示すように相互に各炭化物32の接触箇所が固着して固着部35を形成するとともに、各炭化物32の間に緩衝用の空隙36が形成される。
エネルギー吸収体30は炭化物32の間を隙間なく固着するのではなく、多数の空隙36を有するポーラス構造に成形することが肝要である。
被覆材31が塩化ビニル製のパイプ、金属製のパイプ等の強度部材で形成した場合は、筒状の被覆材31の内部に炭化物32を投入して円柱状のエネルギー吸収体30を製造する。
また被覆材31が非伸縮性の布、樹脂製シートである場合は、予め炭化物32を円柱状に成形しておき、その後に筒状の被覆材31を外装して円柱状のエネルギー吸収体30を製造する。
(4)衝撃吸収柵による炭素削減機能
本願発明に係る衝撃吸収柵は、炭化物32を主体としたエネルギー吸収体30を具備している。
エネルギー吸収体30は、木質系の廃棄物を炭化した複数の炭化物32で構成するものであるから、処分に困っていた大量の木質系の廃棄物をエネルギーの吸収部材として有効に活用することができるだけでなく、以下に説明するように大気中の二酸化炭素濃度の削減にも貢献する。
図6は植樹と腐朽を繰り返すことで二酸化炭素の排出量と二酸化炭素の吸収量を均等に保ったときの「カーボンニュートラル」の状態を示す。
この「カーボンニュートラル」においては、二酸化炭素の排出量と二酸化炭素の吸収量が均等に保たれるから、大気中の二酸化炭素の濃度は一定である。
つまり、「カーボンニュートラル」において、樹木が成長して腐朽するまでの循環サイクルのなかで二酸化炭素は増減せずに循環するだけである。
図7は本発明におけるエネルギー吸収体30を使用した場合における二酸化炭素の吸収量と濃度の関係を示す説明図である。
エネルギー吸収体30は、大気中の二酸化炭素を吸収しつつ炭素を内部に蓄積しながら成長した樹木を伐採して炭化したものである。
木質系カーボンの成分は、90%以上が炭素であり、無機物であるため腐朽せず、そのままの状態で炭素が放出されることもない。
大量の炭素を蓄えて生長した樹木を炭化すると約70%の炭素を放出するが、約30%は木質系カーボンとして炭素成分をクレジットすることが可能である。
すなわち、エネルギー吸収体30は永続的に二酸化炭素を固定化(炭素クレジット(Carbon Credit))することができる。
したがって、樹木が成長して腐朽するまでの循環サイクルのなかでエネルギー吸収体30の設置量が増えることにより、二酸化炭素の排出量は二酸化炭素の濃度を同時に削減することが可能となって、地球温暖化防止の貢献度が大きい。
(5)衝撃吸収柵による衝撃吸収作用
図1に示すように、防護ネット25の受撃面に多数のエネルギー吸収体30が配列されている。
エネルギー吸収体30は間伐材と比べて自重が軽いため、防護ネット25の大きな負荷にならない。
防護柵本体10へ向けて落石等の落下物が落下した場合、落下物は複数のエネルギー吸収体30に衝突する。
衝撃吸収柵は次記するエネルギー吸収体30による衝撃吸収作用と、防護柵本体10による本来の衝撃吸収作用によって落下物を捕捉する。
(5−1)エネルギー吸収体による衝撃吸収作用
エネルギー吸収体30は永続的に二酸化炭素を固定化するだけでなく、衝撃の吸収材としても機能する。
図8aに断面形状が円形を呈するエネルギー吸収体30のモデル図を示す。
エネルギー吸収体30は複数の炭化物32の集合体で構成されていて、各炭化物32の間は固着部35を介して結合され、また各炭化物32の間に緩衝用の空隙36が形成されている。
図8bに示すようにエネルギー吸収体30に外部から衝撃Fが加わると、衝撃Fの作用した部位から順に押し潰され、炭化物32が押し潰されるときの抵抗で以って衝撃Fが保有するエネルギーが吸収される。
より詳しく説明すると、炭化物32そのものが圧縮破壊されるときの破壊抵抗と、炭化物32の固着部35が破壊されるときの破壊抵抗により衝撃Fが保有するエネルギーが吸収される。
特に、炭化物32はその内部に下地固結材33が浸透して炭化物32の硬度が高められていることと、炭化物32群の外周を被覆材31が拘束して炭化物32群の圧縮強度が格段に高くなっていることにより、エネルギー吸収体30は衝撃Fを効率よく吸収することができる。
以上のように、エネルギー吸収体30の片側からその中心部へ向けて炭化物32を構成するの多数の炭化物32の組織破壊が進行する。
落下物が衝突した複数のエネルギー吸収体30で以って、上記した衝撃の吸収作用が進行する。
(5−2)防護柵本体による衝撃吸収作用
エネルギー吸収体30に作用した衝撃は、図1の防護ネット25を通じて支柱20へ伝えられる。防護ネット25と支柱20は柵本来の衝撃吸収作用を発揮する。
防護ネット25と支柱20による柵本来の衝撃吸収作用は公知であるから、詳しい説明を省略する。
そのため、本発明はエネルギー吸収体30を設けない防護柵本体と比べて、防護ネット25と支柱20の設計強度を低く設定することが可能となる。
[実施例2]
前記実施例1では、液状の下地固結材33と粉状の表層固結材34とを組み合わせて接着剤で炭化物32をコーティングした場合について説明した。
図9に示すように、炭化物32に自己接着性を付与する他の手段として、セメント系固結材を使用することも可能である。
セメント系固結材はセメントに加水して混練したセメントペースト、モルタルペースト等を使用することができる。
木質系の廃棄物を炭化して炭化物32を得る工程や、炭化物32に自己接着性を付与した後に成形してエネルギー吸収体30を得ることは実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
また他の接着剤としては、漆(好適には人工漆)に酵素を加えた接着剤や、米と石膏を混合した接着剤を用いることも可能である。
[実施例3]
先の実施例1では防護ネット25の受撃面に複数のエネルギー吸収体30を配置した場合について説明したが、図10に示すように複数のエネルギー吸収体30と防護ネット25を保護シート37でまとめて覆うようにしてもよい。
保護シート37は耐候性と遮光性に優れたシートで、例えば合成ゴムシートを使用することができる。
複数のエネルギー吸収体30と防護ネット25に跨って保護シート37を被せ、保護シート37の両端部を重ね合わせて公知の固定具38で固定する。
本例にあっては、保護シート37を設けない場合と比べて、複数のエネルギー吸収体30の安定性と衝撃の吸収効率を改善することができる。
特に、保護シート37が衝撃の分散伝達作用を発揮することと、複数のエネルギー吸収体30の拘束作用を発揮するので、衝撃の吸収効率が高くなる。
[実施例4]
既述した実施例では、接着剤を介して多数の炭化物32相互間を固着して成形した炭化物32の集合体と、この集合体を覆う被覆材31とによりエネルギー吸収体30を構成する場合について説明した。
本実施例では、接着剤を使用せずに、図11aに示すように木質系の廃棄物を炭化した複数の炭化物32を直接、袋状、又は筒状の被覆材31内に収容してエネルギー吸収体30を構成し、これら複数のエネルギー吸収体30を図1,10に示した防護ネット25の受撃面に配設して衝撃吸収柵を構成するものである。
本実施例にあっては、複数の炭化物32の拘束効果を高めるため、複数の炭化物32を袋状、又は筒状の被覆材31内の隅々まで充満するように収容することが肝要である。
本実施例に係る衝撃吸収柵にあっても、炭素削減機能と衝撃吸収作用を併有することは先の実施例と同様であるが、先の実施例と比較してエネルギー吸収体30による衝撃吸収作用が少し異なる。
本実施例では図11bに示すようにエネルギー吸収体30に外部から衝撃Fが加わると、衝撃Fの作用した部位の炭化物32が順に押し潰され、炭化物32の組織が押し潰されるときの抵抗で以って衝撃が保有するエネルギーを吸収する。
本実施例では、実施例1のような炭化物32の固着部35の破壊抵抗が存在しない代わりに、図11bに小さな矢印で示したように被覆材31による炭化物32の大きな拘束効果によって、エネルギー吸収体30全体として大きな破壊抵抗を得ることができる。
エネルギー吸収体30を構成する炭化物32の集合体を固着した状態で使用するか、または炭化物32の集合体を固着させずにそのまま使用するかは、予想される衝撃の大きさや落下物の種類等を考慮して適宜選択する。
また、炭化物32の集合体を固着したエネルギー吸収体30と、炭化物32の集合体を固着させないエネルギー吸収体を併用することも勿論可能である。
一部を省略した本発明の実施例1に係る衝撃吸収柵の斜視図 被覆材の一部を破断したエネルギー吸収体の斜視図 エネルギー吸収体の製造方法のフロー図 図4は炭化物の前処理工程の説明図で、図4aは炭化物のモデル図で、図4bは液状の下地固結材をコーティングした炭化物のモデル図、図4cは粉状の表層固結材をコーティングした炭化物のモデル図 エネルギー吸収体の一部を拡大した炭化物のモデル図 カーボンニュートラルにおける二酸化炭素の吸収量と濃度の関係を示す説明図 本発明のエネルギー吸収体を使用した場合における二酸化炭素の吸収量と濃度の関係を示す説明図 図8はエネルギー吸収体による衝撃吸収作用の説明図で、図8aは衝撃の作用前におけるエネルギー吸収体のモデル図、図8bは衝撃の作用時におけるエネルギー吸収体のモデル図 実施例2に係るエネルギー吸収体の製造方法のフロー図 一部を省略した本発明の実施例3に係る衝撃吸収柵の斜視図 本発明の実施例4に係る説明図で、図11aは衝撃の作用前におけるエネルギー吸収体のモデル図、図11bは衝撃の作用時におけるエネルギー吸収体のモデル図
符号の説明
10・・・・・防護柵本体
11・・・・・アンカー
12・・・・・控えロープ
20・・・・・支柱
25・・・・・防護ネット
26・・・・・ロープ材
27・・・・・ネット
30・・・・・エネルギー吸収体
31・・・・・被覆材
32・・・・・炭化物
33・・・・・液状の下地固結材
34・・・・・粉状の表層固結材
35・・・・・固着部
36・・・・・空隙

Claims (6)

  1. 防護ネットを具備した防護柵本体と、防護ネットの受撃面に付設した複数のエネルギー吸収体とにより構成する衝撃吸収柵であって、
    前記エネルギー吸収体は木質系の廃棄物を熱処理して炭素を固定化した複数の炭化物と、
    前記炭化物を充満させて収容する袋状の被覆材とを具備し、
    前記エネルギー吸収体が二酸化炭素の固定作用と、衝撃の吸収作用を併有することを特徴とする、
    衝撃吸収柵。
  2. 請求項1において、接着剤を介して前記複数の炭化物に自己接着性を付与し、前記複数の炭化物相互間に空隙を形成しつつ、炭化物相互間を固着して、前記袋状の被覆材に収容可能な形状に成形したことを特徴とする、衝撃吸収柵。
  3. 請求項2において、接着剤が、先行して炭化物にコーティングする液状の下地固結材と、その後に炭化物にコーティングする粉状の表層固結材であることを特徴とする、衝撃吸収柵。
  4. 請求項2において、接着剤が、炭化物にコーティングするペースト状のセメント系固結材であることを特徴とする、衝撃吸収柵。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項において、防護柵本体が間隔を隔てて立設した複数の支柱と、支柱間に横架したロープ製の防護ネットとを具備することを特徴とする、衝撃吸収柵。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか1項において、防護ネットの受撃面に付設した複数のエネルギー吸収体と、防護ネットにまたがって保護シートで被覆したことを特徴とする、衝撃吸収柵。
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