JP2021179138A - 法面用植生基盤材 - Google Patents

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泰典 幡野
Taisuke Hatano
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Abstract

【課題】法面などに種子類を含む植生マットを用いて緑化工事を行うにあたり、生育間もない植物が、鹿などによって食害されないような法面用植生基盤材を提供する。【解決手段】植生マット30は、所定の間隔で並べられた固化袋11,12、13を備えており、法面に施工すると袋の内容物が固化することで地面からのスペースを確保する。この固化袋の上を覆うように、生分解性を有するネット40を緩く張ることによって、鹿などの動物が歩くことを妨げ、食害による被害を避けられる程度まで植生マットに含まれる植物を育成できる。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば山林部など斜面を含んだ場所での道路建設や土地造成時に形成される山腹の法面などに適用される、法面保護用植生基盤材に関するものである。
山林を通過する道路では、斜面の一部を掘削し、所定の幅をもつ平坦な領域を作ることにより施工される道路が存在する。このような道路では、その両側、あるいはどちらか一方が急峻な斜面となることから、表面を補強し、崩落が起こらないようにして道路を保護する必要がある。
法面の保護としては、金属などの枠を表面に配置し、モルタル等を吹き付けて表面を固める工法や、金網等で保護して崩落を防止する処置をする、などの工法が用いられるが、法面の保護に加え、その表面に植物の種子を含む植生材料を吹き付ける等の工法を施すことによって、植物を生育させる緑化工法も行われている。
法面保護工事において、表面に植生材料を吹き付ける工法が広く行われているが、植生材料を内部に含んだ植生基盤材を法面に貼り付けて緑化を行う工法は、施工後の生育環境が安定することから、工期の短縮や地盤の保護の面で有望である。
ところで近年では、ニホンジカの個体数が増加し、活動範囲が山の奥だけではなく、人里に近いところでも観測されるようになってきている。
道路工事などを含む法面の保全は、人里に近い場所での施工であることから、法面で緑化工事を行った際、施工された植生基盤材の発芽間もない芽が被害にあい、工事の意図通り緑化が行われない恐れがある。
植生基盤材の上にコイルばねなどを配置し、その上に施されるネットを浮かせることで、シカがその上を歩かないようにする技術が提示されている。
特開2005−137258
先行技術文献では、ネットを浮かせるための手段としてコイルばねを配置することが特徴であることが記されている。コイルばねの設置コストが高いことに加えて、コイルばねそのものが人工物であることから、植物が充分育った後に放置されることで、自然への負担がありうることが考えられる。
特許文献1には、獣害を防止するための網と植生マットとの離間高さは、数mm〜100mm程度の範囲であると記されている。一般的には、植生マットと網が2cm程度離れていれば食害にあう時期を回避することができるとされており、設置コストとしては安全側に振りすぎている可能性がある。
植生基盤材の表面に、酸化マグネシウム及び塩化マグネシウムの混合物からなる固化袋を一定の間隔で配置することで、植生マットからのその上に積載させるネットとの距離が確保される。
さらに、固化袋と固化袋の間に、肥料を充填した肥料袋を配置する。これによってネットが完全に固定するのではなく、シカがネット上に足をのせたときの不安定さが提示される。
このような構成により、簡略的かつ低コストで、大型草食動物による緑化施工箇所の食害を防止することができ、構成する材料が自然由来のものから形成されているため、長期的に見た場合、自然環境への負担は少なくなる。
本発明の請求項1では、緑化基盤材の表面に、酸化マグネシウムおよび塩化マグネシウムから形成される固化材料、真砂土、木質チップ燃料の燃焼残渣である灰を充填した固化袋を配置したことを特徴とする。
このことによって、施工時に固化袋の体積分の高さを確保することができると同時に、構成物が自然由来の材料であることから、最終的には分解され、土壌に還元される。
さらに、固化袋の他肥料を充填した肥料袋を固化袋と固化袋の間に、所定の間隔をもって配置している。肥料袋は柔らかく構成されており、緑化基盤材上のネットに力がかかった際、肥料袋が変形することで不安定さを演出する。
表面に載せられるネットは生分解性材料によって構成されており、これについても最終的に分解されることになる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明で採用する植生基盤材料の概略として、(a)に平面図を、(b)に断面図を示したものである。
11、12は固化袋でり、不織布によって細長い袋状に形成されており、内部には酸化マグネシウム、塩化マグネシウムの混合物からなる固化材料、および、真砂土、灰が混合されて充填されている。
ここで用いる灰は、木質チップ燃料の燃焼残渣として生成されるものが用いられており、自然物由来の材料であることを固化袋の材料として採用するものである。
実際の植生基盤材は、幅1m、長さ5mを基本サイズとして設定しており、固化袋は一定の間隔をもって、多数繰り返し配置されている。
固化袋11、12の間に配置される21、22は、固化袋と同様に不織布によって形成された袋の内部に、肥料および土壌改良剤を充填させた肥料袋である。ここで用いる肥料については持続的な特性を有しており、施工後、種子から発芽した植物が充分成長した時点でも効果がある特性を備える。ここで、肥料袋も、固化袋と同様に固化袋の間に多数繰り返し配置されるものとする。
固化袋、肥料袋の下部全面には、内部に土壌、種子、肥料が含まれたマット状の植生基盤材料30が配置される。植生基盤材料30の裏面については不織布によって保護された構造を有する。また、肥料袋21等に含まれる持続性の肥料とは違い、植生基盤材料30に含まれる肥料は即効性を有し、植生基盤材料30に含まれる種子の発芽を促進する。
植生基盤材料30および固化袋11、12、肥料袋21、22の上側に、生分解性のネット40が載せられて施工される。施工前には植生基盤材料30らとネット40は別体となっており、施工時にたるみが発生するよう、緩く張られることで動物が足を踏み込めないような配置とされる。
植生基盤材料30上の固化袋11、12、肥料袋21、22の間隔は、固化袋と肥料袋の間隔20cmをもって繰り返し互い違いに配置される。
図2は、この植生基盤材を法面に施工する際の施工概略図を示したものである。固化袋11、12、13、肥料袋21、22、が表側に来るように植生基盤材が法面上に展開される。
固化袋11、12、13、を貫通するよう、固定アンカーボルト61、62、63によって植生基盤材が固定される。
この時、固定アンカーボルト61、62、63、によって植生基盤材を固定するとき、余裕を持たせた状態でネット40を上側に載せる。
アンカーボルトでネット自体は特定の位置に固定されるものの、肥料袋の上にはアンカーピンを打たないことからネット40はたるみが発生した状態となる。
アンカーボルト61,62の横方向の設置間隔は25cmごととなっているが、ネット40の固定を兼ねるアンカーボルトはそのうちのごく一部であることで、ネットが植生基盤材上である程度動くことを実現する。
植生基盤材を法面に施工後、散水することによって固化袋11、12の内容物である固化材料の反応が進行し、水和物が形成されることで固化袋11、12が硬化し、法面の強度を補う。
肥料袋21、22は水分を吸収することで柔らかい状態を保ち、その上に固定されない状態でネット40が肥料袋上に存在することから、ネットが引っ張られた際の揺れを肥料袋21、22が実現する。
植生基盤材内部の種子が発芽し、ある程度の大きさまで育つと同時にネット40の分解が進行していくため、草食動物の食害に遭遇しやすい発育の初期段階を過ぎた後は、植生基盤材は土壌に還元されていくことになる。
なお、図2に示されるアンカーボルト61、62、63の間隔、本数については一例を示したものであり、発明の趣旨を逸脱しない範囲において変更されることが可能である。
植生基盤材料の(a)平面図および(b)断面図 法面への植生基盤材の施工概略図
11,12,13 固化袋
21,22 肥料袋
30 植生マット
40 ネット
61,62,63 アンカーボルト

Claims (1)

  1. 所定の横幅と、長さを有する長方形状に形成された植生基盤材は、
    内部に肥料、土壌、種子類を含む植生領域と、一定の間隔で酸化マグネシウムと塩化マグネシウムからなる固化材料を封入した固化袋と、
    肥料を封入した肥料袋を備えており、
    さらに、その表面に生分解性を備える繊維材料からなるネットを備え、
    前記ネットは、前記固化袋上の一部のアンカーピンのみで固定されており、緩んだ状態で配置されていることを特徴とする植生基盤材
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