JPH10183636A - 護岸法面などの緑化工法 - Google Patents

護岸法面などの緑化工法

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JPH10183636A
JPH10183636A JP35767196A JP35767196A JPH10183636A JP H10183636 A JPH10183636 A JP H10183636A JP 35767196 A JP35767196 A JP 35767196A JP 35767196 A JP35767196 A JP 35767196A JP H10183636 A JPH10183636 A JP H10183636A
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soil
fiber mat
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slope
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Masanori Ono
正紀 斧
Hideo Nakamura
英雄 中村
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Fujikoo KK
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Fujiko KK
Fujikoo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 護岸法面または道路の擁護壁面に木本類や草
木類を植栽し、海岸・河岸・湖岸や堤防,道路や造成地
の切土法面,防災を要する自然法面などにおいて自然景
観を維持する。 【解決手段】 護岸法面などの緩勾配地をコンクリート
枠体で区画して一連の型枠部を組み立て、型枠部ごとに
石詰めを行い、さらに詰石を繊維マットで覆った後に表
面ネットをかぶせて固定し、次に各型枠部の繊維マット
内に客土を注入して植栽表土を形成し、この植栽表土に
木本類または草木類を植え付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海岸・河岸・湖岸
や堤防の護岸法面または道路の擁護壁面などにヤナギ類
などの木本類や草木類を植栽する工法に関し、海岸・河
岸・湖岸や堤防,道路や造成地の切土法面,防災を要す
る自然法面などにおいて自然景観を維持できる緑化工法
に関する。
【0002】
【従来の技術】日本の河川改修は、これまで治水一辺倒
であるコンクリート護岸が主流であり、洪水に対する安
全性の回復に重点を置いていた。河川におけるコンクリ
ート護岸は、波浪や水流による湖岸や河岸の浸食防止の
点では優れているが、少なくとも周囲の自然景観とは適
合せず、自然景観を破壊することになるため、河川工事
の反対運動が繰り返されている。
【0003】 コンクリート護岸による問題として、河
川から多様な生態系が失われ、河川が本来持っている自
浄機能が減少することが指摘されている。つまり、コン
クリート護岸により、河川への地下水の流入が遮断さ
れ、多様な種類を有する水域から陸域への移行帯樹林が
喪失するとともに、野生動物の河川への入り込みや河川
からの脱出が不可能になり、見晴らしの良化による河川
内の野生動物の生態が暴露されて危険度が増し、さらに
人が河川へ転落する危険性も増すことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】建設省は、コンクリー
ト護岸の問題を重視してコンクリートの使用をやめ、自
然型工法を採用するように方針を転換している。自然型
工法では、護岸や川底などにコンクリートを使わず、植
物や木材などの代替素材で河岸・湖岸・海岸や堤防を保
護する必要がある。護岸法面などの緩勾配地においてヤ
ナギ類などを植栽する場合に、石やコンクリートブロッ
クなどを空積みして流水による植栽地への浸食を防止す
るか、または樹木が十分に生育するまで何らかの材料で
植栽地の表面を覆う必要がある。この目的に沿って、法
面保護に使うブロックマットでヤナギ苗木の植栽面を覆
う工法が提案されているが、このブロックマットを用い
ると、苗木の生育の点で満足できる結果を得ることがで
きない。
【0005】 ヤナギ苗木などの植栽面を覆うマット
は、その樹木が十分に生育するまで流水や波浪による植
栽地の浸食を防止することはもとより、苗木や枝木が成
長するのに妨げになってはならない。この点について、
前記のブロックマットやビニルシートは不適当であり、
スパンボンドのような合成繊維製の不織布なども好まし
くない。
【0006】 本発明者らは、護岸の自然型工法に関し
て種々実験を重ね、栗石などを空積みして流水による植
栽地への浸食を防止しても表土が存在しないと苗木の生
育は著しく悪く、一方、単に客土を栗石の上に盛土して
マットで覆っても、その客土が雨水,波浪や水流によっ
て短期間に流出してしまうことを見出した。特に、栗石
だけを護岸法面などの緩勾配地に空積みすると、その栗
石自体が次第に底地へずり落ちてしまうことも見出し
た。このような実験結果から、緩勾配地では客土と栗石
を何らかの手段で所定位置に保持することが必要であ
り、この手段としてネットと繊維マットを併用するもの
である。
【0007】 したがって、本発明は、周囲の自然景観
と適合するとともに河川から多様な生態系を喪失させな
いために、護岸法面などにヤナギ類などの木本類や草木
類を植え付ける工法を提供することを目的とする。本発
明の他の目的は、危険防止のためにコンクリート打設を
要する道路の擁護壁面などにおいて、自然景観を復元す
るための緑化工法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る緑化工法は、護岸法面などの緩勾配地
(図1参照)をコンクリート枠体で区画し、図7に例示
するような一連の型枠部を組み立ててもよい。用いるコ
ンクリート枠体は例えば板状であり、多数本のコンクリ
ート法枠で一連の型枠部を一般に幅1〜2mの正方形に
構成するが、三角や亀甲形平面などに組み立てることも
可能である。この方法で施工可能な緩勾配地は、平坦地
から傾斜角度(1:1.5)つまり35°前後までの法
面であり、一連の型枠部は多数本のアンカー棒などを緩
勾配地中へ挿入して静止させることを要する。また、篭
ネットの積み重ねを行えば、傾斜角度は60°前後まで
の法面に施工可能となる。
【0009】 図4から図6を参照すると、この工法で
はさらに前記の型枠部ごとに石詰めを行い、さらに詰石
を繊維マットで覆った後に表面ネットをかぶせて固定
し、次に各型枠部の繊維マット内に客土を注入する。各
型枠部に詰める石は、栗石,割石,ごろた石,コンクリ
ート片,ポーラスコンクリート殻のいずれでもよく、任
意に形状や大きさを選択可能であり、これによって多様
な多孔質空間を創出する。本発明で用いるネットは、ワ
イヤネットまたはプラスチックネットのいずれでもよ
く、強度とコストの点から一般にワイヤネットを用いる
と好ましい。
【0010】 詰石を覆う繊維マットは、主として動物
性繊維,植物性繊維または再生繊維からなり、厚さが約
3〜10mmのニードルパンチフェルトであって、自然
環境下において繊維集合体の構造が2年から4年程度で
分解すると好ましい。注入客土には、通常の土壌のほか
に適量の肥料と流動性改良材を添加し、添加材の量は土
質や土地の傾斜角度などに依存する。形成した植栽表土
には、挿し木,種子吹き付けまたは人工張り芝などで木
本類を植え付け、一般にはコリヤナギ,イヌコリヤナ
ギ,ネコヤナギなどの木本類を挿し木や苗木植えするけ
れども、種子吹き付け,人工張り芝などで草木類を植え
付けることも当然可能である。
【0011】 本発明の緑化工法は、図1から図6に示
すように、護岸法面などの緩勾配地をネットで区画して
一連の型枠部を組み立て、型枠部ごとに繊維マットを敷
設してから石詰めを行ってもよい。ネットで区画する一
連の型枠部は、一般に縦横1〜2mの矩形平面である
が、三角や亀甲形平面などに組み立てることも可能であ
る。この場合、一連の型枠部は、図1のように下方ブロ
ックに係止させるかまたはアンカーピンなどを緩勾配地
中へ差し込んで静止させることを要する。
【0012】 本発明工法の変形例を図8に示し、この
工法では、道路擁壁などの勾配面に複数本のアンカーボ
ルトを所定間隔を置いて立設し、該アンカーボルトに撓
み防止材を取り付けて例えば格子状に一連の型枠部を組
み立て、下側に補強ネットを介在させてから繊維マット
で覆った後に表面ネットをかぶせて固定する。用いるア
ンカーボルトは、図8に示すような特殊形状であり、繊
維マットは天然繊維シートと合成繊維シートとの間に多
孔アルミ箔を貼着した構造であると好ましい。この繊維
マット内に客土を注入して植栽表土を形成し、該植栽表
土に苗木植えなどで木本類,種子吹き付けまたは人工張
り芝などで草木類を植え付ける。
【0013】 図8に例示の工法は、通常、前述した緩
勾配地よりも傾斜角度の大きく最大で垂直面までの法面
について実施し、勾配面へのコンクリートの打設工事と
同時または既設のコンクリート面に対して植栽表土を形
成することができる。この工法では、複数本のアンカー
ボルトを所定間隔を置いて立設し、該アンカーボルトに
撓み防止材を取り付けて一連の型枠部を組み立てる。
【0014】 この急勾配の工法では、一連の型枠部を
構成する撓み防止材の撓みをさらに軽減するため、別に
埋設したロックボルトまたはコンクリート法枠から引き
出した番線で撓み防止材を締着すると好ましい。この工
法において、注入客土に通常の土壌のほかに適量の肥料
と固結材を添加することにより、その客土の自立を促進
させると好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係る緑化工法は、図1に
示すように、海岸・河岸・湖岸や堤防において傾斜角度
(1:1.5)前後までの法面に施工し、篭ネットの積
み重ねであれば傾斜角度が60°前後までの法面に施工
可能となる。図7に例示するように、多数本のアンカー
鋼棒1を緩勾配地2において縦横等間隔に垂直に埋設
し、それぞれ2本の鋼棒間に細長い板状のコンクリート
枠体3を縦横に配置する。1本のアンカー鋼棒1を取り
囲む4本のコンクリート枠体3は、その前端部の斜め側
面が相互に接触することにより、この状態でアンカー鋼
棒1,1間で静止する。多数本のコンクリート枠体3で
一連の型枠部4を組み立てることができ、該型枠部は幅
1〜2mの正方形である。
【0016】 コンクリート枠体3は、長さに比べてあ
まり高くなく、その上方中間部に凹み5を設けたほぼ三
角形断面を有する。次に石詰めを行い、各型枠部4に収
納するた詰石の高さは、コンクリート枠体3よりも高く
なるように定める。石詰め作業を行う際に、客土注入用
のパイプ(図示しない)を各型枠部4の四隅の位置に埋
設しておく。
【0017】 図示しないけれども、一連の型枠部4内
の詰石を平坦な繊維マットで覆ってから、ワイヤネット
などの表面ネットをかぶせる。この繊維マットは、例え
ば厚さ5mmのニードルパンチフェルトであり、自然環
境下において羊毛繊維の構造が2年から4年程度で分解
する。この後に、直線状の保持用棒材6を各コンクリー
ト枠体3の凹み5上を通過するように交差させ、交差点
をワイヤで止着すると望ましい。さらに保持用棒材6
は、地中へ差し込む多数本の補助アンカー鋼棒7によっ
て固定する。客土の注入以降の工程は、図6に関する下
記の説明と同一である。
【0018】 また、図1から図6に示す緑化工法にお
いて、一般に矩形平面の広いネット8は、図2に例示す
るように緩勾配地2上に載置し、該ネットは比較的太い
ワイヤからなる。ワイヤネット8は、下方に係止できる
コンクリートブロック9などがあれば単に載置するだけ
でよく、下方に係止可能な部材がない場合にはアンカー
ピン10などを緩勾配地2内に差し込んで静止させる。
ワイヤネット8は、その周囲および内部を縦横方向の垂
直ネット部11,12で区画し、例えば縦1m、横2m
である一連の型枠部13を組み立てる。各型枠部13は
木材で仮組みしてから組み立てることを要する。
【0019】 図3に示すように、繊維マット14を型
枠部13ごとに敷設する。繊維マット14は、例えば厚
さ5mmのニードルパンチフェルトであり、型枠部13
の底面から四周の上端に達する大きさであることを要す
る。繊維マット14の敷設の後に、図4のように栗石な
どの詰石15で各型枠部13内に石詰めを行う。図4で
は、型枠部13は、詰石15の上方に空間があるけれど
も、実際にはこの空間を生じない程度の深さであると好
ましい。
【0020】 さらに図5に示すように、平坦な繊維マ
ット16で詰石15を覆った後に、表面ネット17をか
ぶせて型枠部13ごとに固定する。表面ネット17と繊
維マット16は、各型枠部13において垂直ネット部1
1,12の上端部にワイヤで止着すればよい。繊維マッ
ト16は、繊維マット14と同じ素材でよく、各マット
14,16は型枠部内部に注入する客土を長期間保持す
るために敷設する。表面ネット17は、各型枠部13を
構成するワイヤネット8と同じ素材でよく、各ネット
8,17は型枠部内部の詰石15を保持するとともに、
繊維マット14,16の脱離を防止する。
【0021】 図6から明らかなように、適宜のコンク
リートポンプ車またはモルタル吹き付け機(図示しな
い)を用いて泥状の客土18を繊維マット14,16内
へ圧入し、この圧入は前記の注入用パイプを介して行
い、詰石15の空隙まで充填すると好ましい。客土18
の注入量は、各型枠部13の繊維マット14,16が図
6のように若干膨れ上がる程度である。用いる客土18
として、現地採取土,鋼土,マサ土のような通常の土壌
に適量の肥料と流動性改良材を添加し、さらに水を加え
てミキサ(図示しない)で撹拌して泥状とする。流動性
改良材とは、作業性を良化するためのバーク土,粒状土
のような改良土である。注入した客土18が乾燥して固
化すると植栽表土を形成し、この植栽表土において例え
ばヤナギなどの木本類20を挿し木すればよい。
【0022】 図8および図9には本発明工法の変形例
を示し、この工法では、コンクリート面や岩盤などの急
傾斜の勾配面22にアンカーボルト24を立設して植栽
表土26を保持し、図1から図6で説明した工法で緑化
する緩勾配地よりも傾斜角度の大きく最大で垂直面まで
の法面について実施できる。この工法は、勾配面へのコ
ンクリートの打設工事と同時または既設のコンクリート
面に対して植栽表土26を形成することができる。この
工法では、植栽表土26の干天下の乾燥を防ぐために、
あらかじめ多数本の送水パイプ(図示しない)をコンク
リート打設の前に擁壁裏込め土25から擁壁30内まで
ほぼ水平に通し、土中に埋設した集水シートの谷部にパ
イプ後端部を配置してもよい。
【0023】 この急勾配の工法を現場打ちのコンクリ
ート法面工事と同時に施工する場合、図示しないけれど
も、コンクリート法枠となる型枠内に中抜け防止用の棒
鋼材をラス金網上に格子状に組み、複数本のアンカーボ
ルトをあらかじめ法枠用の主鉄筋に所定間隔を置いて結
束してからコンクリートを打設する。コンクリートの硬
化後、各アンカーボルトに撓み防止材を取り付け、専用
金具で固定して格子状に一連の型枠部を組み立てる。ま
た、前記の中抜け防止用の棒鋼材から番線を引き出し、
これらの番線で撓み防止材を締着する。
【0024】 また、コンクリート法面工事の時に、ビ
ニル筒被覆の抜きボルトを複数本あらかじめ型枠内に取
り付けてもよい。この場合、コンクリートの打設・硬化
後に型枠を解体し、ついで抜きボルトとビニル筒を抜き
取って取付孔を形成する。この取付孔には、アンカーボ
ルトをモルタル充填して挿入することにより、アンカー
ボルトをコンクリート法枠に立設する。
【0025】 この篭ネットの積み重ねを行えば、傾斜
角度は60°前後までの法面に施工可能となる。工法を
既設のコンクリート面に施工する際には、コンクリート
法枠ごとに電気ドリルで所定間隔を置いて削孔を設け、
各削孔にアンカーボルトをモルタル充填して挿入するこ
とにより、アンカーボルトをコンクリート法枠に立設す
る。一方、別個の削孔をコンクリート法枠内部ごとに設
け、各削孔にロックボルトをモルタル充填して挿入す
る。各アンカーボルトに撓み防止材を取り付けて格子状
に一連の型枠部を組み立て、さらに各ロックボルトから
番線を放射状に引き出し、これらの番線で撓み防止材を
締着する。
【0026】 図9には、この工法で用いるアンカーボ
ルト24の一例を示し、該アンカーボルトによって1枚
または複数枚の補強ネット32を張設して固定する。各
補強ネット32は非腐食性であり、アンカーボルト24
によってそれぞれ間隔を保っている。アンカーボルト2
4において、ボルト本体33の頭部はここの補強ネット
32の位置の高さに定め、該頭部をねじ切りして押さえ
平ナット34をねじ込んで壁接触ネット32aを張設す
るとともに、カップラボルト36を締着して接続する。
カップラボルト36は、大径の平らな円盤部からなり、
該円盤部の中心下方に雌ねじを刻設した接続スリーブ部
を垂直に立設するとともに、該円盤部の中心上方に雄ね
じを刻設したボルト部を立設する。
【0027】 植栽表土26において、壁接触ネット3
2aの張設は任意であり、この張設を省略する場合には
平ナット34のねじ込みは不要である。また、壁接触ネ
ット32aは、保水性の2層表土を形成するために、撓
み防止材で構成する一連の型枠部とコンクリート法枠と
の間に張設してもよい。保水性の2層表土では、壁接触
ネット32aの上側には通常の客土を注入し、一方、該
ネット32aとコンクリート面との間に保水剤を多量に
混合した客土を注入する。
【0028】 アンカーボルト24で1枚または複数枚
の補強ネット32を保持し、さらに上方の補強マット3
2bを繊維マット38で覆った後に、耐候性の表面ネッ
ト40をかぶせる。表面ネット40は、より大径の押さ
え平ナット42をねじ込んで張設・固定する。繊維マッ
ト38は、例えば、上側が種子が活着しやすい腐食性の
天然繊維シートからなり、植物の根の貫通が可能で自然
崩壊せずに表土保持強度を有する化学繊維シートを下側
に配置し、両シートの間に植物の根の貫通が可能な多孔
アルミ箔を貼着した構造である。
【0029】 泥状の客土は、改良土,硬化剤,保水
剤,補強繊維などを採取土に添加し、ミキサで混練して
からポンプで圧入する。この客土に石灰を混合すると、
該客土の固化を促進するとともに、酸性雨による表土2
6の酸性化を防ぐので好ましい。また、急傾斜の表土2
6の干天下の乾燥を防ぐために、客土用の採取土として
保水性の高い鋼土などの粘性土を用いると好ましく、粘
性土が入手できない場合にはベントナイトやセルロース
系の保水剤を使用する。保水剤の安価な代用品として、
廃棄された紙おむつをリサイクルしてもよい。
【0030】 形成した植栽表土26は、アンカーボル
ト24の直径,本数および長さによって層厚を任意に設
定できる。植栽表土26は、該表土の中に補強ネット3
2が介在し、且つ注入客土の中に土壌と固結材を添加し
ているので急勾配または直立でも安定・自立し、コンク
リート壁面22に長期間にわたって十分に密着し、植栽
した木本類や草木類が成長しても壁面22から脱落する
ことが殆ど発生しない。植栽表土26には、挿し木,苗
木植えなどで木本類または種子吹き付け,人工張り芝な
どで草木類を植え付け、特に人工張り芝による赤松種子
による緑化が好適である。
【0031】 この急勾配の工法により、コンクリート
擁壁の法面を木本類や草木類で覆い隠すことができる。
コンクリート擁壁は、急傾斜地の法面崩壊や地滑りの防
止または道路・宅地開発の切り上げ法面の保護として施
工されることが殆どであるため、人の目に触れる機会が
多く、自然景観の復元を強く印象づけることになる。こ
の工法で植え付けた木本類や草木類は、コンクリート壁
面にプラスチック製型枠で模様を施す方法や、間伐材の
張り詰めによる目隠し方法などに比べていっそう良く自
然景観にとけ込んでいる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例 本発明方法の実験は、兵庫県加古川水系の河川改良工事
において行う。図2に示すように、矩形平面の広いワイ
ヤネット8を傾斜度約30°の緩勾配地2上に載置し、
該ネットは下方のコンクリートブロック9に係止させ
る。ワイヤネット8には、その上方に木材で仮組みし
て、その周囲および内部を高さ320mmの垂直ネット
部11,12で縦10列,横3列に区画し、総計30個
の型枠部13を組み立てる。
【0033】 次に、図3に示すように、繊維マット1
4を型枠部13ごとに敷設し、該型枠部についてその底
面から四周の上端に達するように袋状に取り囲む。繊維
マット14は、再生羊毛のフェルトマット1(商品名:
フジロン1000S2−C、フジコー製)であり、厚さ
5mm,幅2m,重さ750g/m2,のニードルパン
チフェルトであり、使用する場合の強度を考慮して裏側
に荒いジュートの基布を介在させる。繊維マット14
は、自然環境下において羊毛繊維の基本的構造が2年か
ら4年程度で分解する。
【0034】 繊維マット14の敷設後に、図4のよう
に平均掌大の栗石15で各型枠部13内に石詰めを行
い、詰石15で型枠部13を完全に充填するように垂直
ネット部11,12の高さまで送入する。石詰め作業
は、パワーショベルなどを用い、袋状に拡げた繊維マッ
ト14の中に栗石15を投入していけばよく、この際に
客土注入用のパイプ(図示しない)を各型枠部13の四
隅の位置に垂直に埋設し、パイプ上端を型枠部13の外
へ出しておく。
【0035】 さらに、平坦な繊維マット16で詰石1
5を覆った後に、表面ネット17をかぶせて型枠部13
ごとに固定する。表面ネット17と繊維マット16は、
各型枠部13において垂直ネット部11,12の上端部
にワイヤで止着する。所望に応じて、並行する直線状の
保持用棒材を表面ネット17上で交差させ、交差点をワ
イヤで止着するとともに、各保持用棒材を地中へ差し込
む多数本の補助アンカー鋼棒で固定してもよい。
【0036】 泥状の客土18は、適宜のコンクリート
ポンプ車(図示しない)を用いて繊維マット14,16
内へ圧入し、この圧入は前記の注入用パイプを介して行
う。客土18の注入量は、各型枠部13の繊維マット1
4,16が図6のように若干膨れ上がる程度である。用
いる客土18は、黒土1000リットル,肥料(商品
名:グリーンマップII)4kg,流動性改良材(商品
名:クリコ−トC−710)5kgからなり、水約40
0リットルを加えてミキサ(図示しない)で撹拌して泥
状とする。
【0037】 注入した客土18が乾燥して固化すると
植栽表土を形成し、この植栽表土において木本類20を
所定間隔を置いて挿し木する。供試した木本類20は、
ネコヤナギ,イヌコリヤナギ,タチヤナギ,カワヤナギ
などのヤナギ類である。ヤナギ類は、付近に自生する親
木から、植付けの2日前に1〜3年枝を50〜60cm
の長さに切り取り、乾燥を防いで現地へ運ぶ。ヤナギ類
は、3月に挿し木すると、7月には2m以上に成長して
繁茂する。
【0038】 ヤナギ類を緩勾配地2に植生すると、該
ヤナギ類の根の緊張力によって護岸壁の強度は平張ブロ
ック以上になる。ヤナギ類は樹液が甘く、昆虫類の生息
環境として好適であり、川面に影を落とすとともに落水
昆虫が魚類の餌となり、魚類の生息環境としても好まし
く、理想的な移行帯樹林となる。ヤナギ類は一般に樹高
が低く、特にコリヤナギは幹が柔軟で洪水時に倒伏する
ため、河積阻害も殆ど発生しない。
【0039】
【発明の効果】本発明に係る緑化工法は、多くのコンク
リート護岸によって自然景観が破壊された我が国の海岸
・河岸・湖岸や堤防において、自然景観に合致して我が
国の風土に合った植生護岸をほぼ完全に復元する。植栽
されたヤナギ類などの木本類は、根の伸張によって平張
りブロック工よりも海岸・河岸・湖岸や堤防を強化する
とともに、河川への地下水の流入を遮断することなく、
野生動物の河川への入り込みや河川からの脱出が可能と
なり、漁業資源その他の野生動物に対して多様な生息環
境を提供する。
【0040】 本発明方法では、ヤナギ類などの木本類
である挿し木や苗木植え付け後の初期の活着率が良好で
あり、100%に近い活着率を達成できる。この木本類
の成長は、殆どの場合において自生で測定した数値にほ
ぼ匹敵し、さらに植栽する植物の態様に応じて型枠部の
大きさ、石詰め量、繊維マットの素材や厚み、客土の組
成と注入量などを適宜選択することにより、その作用効
果をいっそう有効にできる。本発明方法で使用する繊維
マットは、植栽した木本類が完全に活着するまで客土を
保持するという機能を有し、しかも木本類が活着して客
土を保持する必要がない段階に至ると消失し、該木本類
の成長を阻害することがない。
【0041】 本発明方法では、他方において、コンク
リートの打設と同時または打設済みのコンクリート壁面
に木本類や草木類を植え付けることができる。本発明方
法により、急勾配面または垂直面でも木本類や草木類の
植え付けが可能であり、多くの道路擁壁などについてコ
ンクリート法面を木本類や草木類で覆い隠して自然景観
を復元できる。この場合に、植栽表土はコンクリート壁
面に長期間にわたって十分に密着しており、植栽した木
本類や草木類が成長しても、植栽表土が壁面から脱落す
ることが殆どなく、長期間にわたって安全で優美な自然
景観を現出させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る緑化工法の一例で用いるネット
型枠部を示す概略断面図であり、各型枠部を実際よりも
深く図示している。
【図2】 緩傾斜地に敷設した一連のネット型枠部の概
略正面図である。
【図3】 図1のネット型枠部内に繊維マットを敷設し
た状態を示す概略断面図である。
【図4】 一連の型枠部内にそれぞれ石詰めした状態を
示す概略断面図である。
【図5】 一連の型枠部について、平坦な繊維マットで
詰石を覆った後に表面ネットをかぶせて固定した状態を
示す概略断面図である。
【図6】 一連の型枠部内に泥状の客土を注入し、さら
に木本類を挿し木した状態を示す概略断面図である。
【図7】 緑化工法の他の実施例で用いるコンクリート
型枠部を示す概略平面図である。
【図8】 緑化工法の別の実施例を示す概略縦断面図で
ある。
【図9】 図8に示す緑化工法で形成した植栽表土の要
部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 緩勾配地 3 コンクリート枠体 4 型枠部 8 ワイヤネット 11,12 垂直ネット部 13 型枠部 14 繊維マット 15 詰石 16 繊維マット 17 表面ネット 18 泥状の客土 20 木本類

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 護岸法面などの緩勾配地をコンクリート
    枠体で区画して一連の型枠部を組み立て、型枠部ごとに
    石詰めを行い、さらに詰石を繊維マットで覆った後に表
    面ネットをかぶせて固定し、次に各型枠部の繊維マット
    内に客土を注入して植栽表土を形成し、この植栽表土に
    おいて挿し木,苗木植えなどで木本類または種子吹き付
    け,人工張り芝などで草木類を植え付ける緑化工法。
  2. 【請求項2】 護岸法面などの緩勾配地をネットで区画
    して一連の型枠部を組み立て、型枠部ごとに繊維マット
    を敷設してから石詰めを行い、さらに詰石を繊維マット
    で覆った後に表面ネットをかぶせて型枠部ごとに固定
    し、次に各型枠部の繊維マット内に客土を注入して植栽
    表土を形成し、この植栽表土において挿し木,苗木植え
    などで木本類または種子吹き付け,人工張り芝などで草
    木類を植え付ける緑化工法。
  3. 【請求項3】 一連の型枠部は、多数本のアンカー棒な
    どを緩勾配地中へ挿入したり、または下方ブロックに係
    止させるか止めピンなどを緩勾配地中へ差し込んで静止
    させる請求項1または2記載の緑化工法。
  4. 【請求項4】 注入客土には通常の土壌のほかに、適量
    の肥料と流動性改良材を添加している請求項1または2
    記載の緑化工法。
  5. 【請求項5】 道路擁壁,コンクリート法枠法面.切土
    岩盤法面などの勾配面に複数本のアンカーボルトを所定
    間隔を置いて立設し、該アンカーボルトに撓み防止材を
    取り付けて一連の型枠部を組み立て、下側に補強ネット
    を介在させてから繊維マットで覆った後に表面ネットを
    かぶせて固定し、次に繊維マット内に客土を注入して植
    栽表土を形成し、この植栽表土において挿し木,苗木植
    えなどで木本類または種子吹き付け,人工張り芝などで
    草木類を植え付ける緑化工法。
  6. 【請求項6】 一連の型枠部を構成する撓み防止材の撓
    みをさらに軽減するため、別に埋設したロックボルトま
    たはコンクリート法枠から引き出した番線で板材や棒材
    を締着する請求項5記載の緑化工法。
  7. 【請求項7】 注入客土には通常の土壌のほかに、適量
    の肥料と固結材を添加している請求項5記載の緑化工
    法。
  8. 【請求項8】 繊維マットは、主として動物性繊維,植
    物性繊維または再生繊維からなり、厚さが約3〜10m
    mのニードルパンチフェルトであって、自然環境下にお
    いて繊維集合体の構造が2年から4年程度で分解する請
    求項1,2または5記載の緑化工法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100473235B1 (ko) * 2001-12-14 2005-03-08 삼성에버랜드 주식회사 호안용 섬유돌망태 및 이를 이용한 생물공학적 호안공법
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KR20190085468A (ko) * 2018-01-10 2019-07-18 김병구 식생용 개비온 및 그 시공방법

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