JP2021130991A - 法面用植生基盤材 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工完了後の構造物が産業廃棄物となってしまうことのない法面用植生基盤材を提供する。【解決手段】植生基盤材料を固定するための固化材料を酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの混合物とし、さらに真砂土、木質チップの燃焼後に発生する灰を混合した自然物由来の材料とすることで、緑化が完了するまでの期間、植生基盤材料を固定する材料として機能しつつ、再施工時においても産業廃棄物とならない。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば山林部など斜面を含んだ場所での道路建設や土地造成時に形成される山腹の法面などに適用される、法面保護用植生基盤材に関するものである。
山林を通過する道路では、斜面の一部を掘削し、所定の幅をもつ平坦な領域を作ることにより施工される道路が存在する。このような道路では、その両側、あるいはどちらか一方が急峻な斜面となることから、表面を補強し、崩落が起こらないようにして道路を保護する必要がある。
法面の保護としては、金属などの枠を表面に配置し、モルタル等を吹き付けて表面を固める工法や、金網等で保護して崩落を防止する処置をする、などの工法が用いられるが、法面の保護に加え、その表面に植物の種子を含む植生材料を吹き付ける等の工法を施すことによって、植物を生育させる緑化工法も行われている。
法面保護工事において、表面に植生材料を吹き付ける工法が広く行われているが、植生材料を内部に含んだ植生基盤材を法面に貼り付けて緑化を行う工法は、施工後の生育環境が安定することから、工期の短縮や地盤の保護の面で有望である。
植生基盤材を用いる法面保護工事では、植生基盤材の一部の領域が、固化される材料を含むことで、金属枠等が不要になる技術が開示されている。例えば、先行特許文献1(特開2017−198050)に記された植生基盤材では、一定の間隔で法面高さ方向に配置された、ポルトランドセメント及び砂を充填した固化袋をアンカーにより法面に固定し、表面から水を散布することにより固化袋の内容物を固化させることによって、法面を保護する構造を形成する。
だが、ポルトランドセメントは、施工時の水分散布のみならず、大気中の水分とも反応して固化する可能性があり、意図しないセメントの固化を防止するために、植生マットを保存する間、セメントが含まれる固化袋に接するように乾燥剤を配置し、保護する必要がある。
ポルトランドセメントは各種建築材料として広く使われることから、安価に入手できる利点を有する。その一方で、大気中の水分とも反応して固化する可能性があることから、保存についての管理が複雑であること、緑化基盤として構成要件に乾燥剤を同梱する必要があるという欠点もあり、先行文献の技術としては、製造ならびに管理コストが大きくなるという欠点が存在する。
また、ポルトランドセメントは土壌によっては固化反応の過程で六価クロムが析出し、環境的に悪影響を及ぼす可能性もあり得るため、工法を用いる上での事前の調査が必要となることから、施工完了までの工期が延びる可能性も存在する。
植生基盤材の固化材料としてポルトランドセメントを用いることは、工事を実施するまでの保管の面でも、施工後の環境に与える影響においても望ましくないと考えられる。
本発明では、植生基盤材の固化材料として自然由来の材料を用いること、ならびに、植生基盤材を構成する材料を生分解性材料とすることにより、施工後の法面が時間の経過とともに自然な状態に戻ることを意図することで材料選択を行った。
古くから、土間の施工や、堤防など土木構造物として土と酸化マグネシウム、塩化マグネシウムによる「三和土」(たたき)による工事が行われてきている。この材料に含まれる酸化マグネシウムおよび塩化マグネシウムは海水から塩を煮詰める際に生成されるにがりを由来とする材料であり、これと真砂土等を混合することで出来上がる固化材料は産業廃棄物とならない。
酸化マグネシウムおよび塩化マグネシウムの混合材料からなる固化材料は、水分を含ませるだけでは固化せず、酸化マグネシウムが水と反応して水酸化マグネシウムになる反応を経て、最終的に水和物による固化状態の土壌を形成する。
本発明では、土壌並びに種子を含んだ緑化基盤材の表面ならびに酸化マグネシウム、および塩化マグネシウムを含む固化材料を封入する固化袋は紙、あるいは不織布によって形成されており、時間が経過すると分解されるため、環境に対する親和性を実現する。
本発明の請求項1では、その特徴として「固化袋の内部には、酸化マグネシウムおよび塩化マグネシウムから形成される固化材料ならびに、真砂土、木質チップ燃料の燃焼残渣である灰が充填されている」ことが記載される。
この特徴により、固化材料は施工後、植生基盤材内に含まれる種子が生育し、植物として定着する数年間の期間、法面の地盤を保護する構造を維持するとともに、自然由来の材料であることから最終的には分解され、土壌に還元されることになる。
ポルトランドセメントを固化材料に用いる場合とは違い、大気中の湿気では固化反応が進行しないため、保存時に乾燥剤は同梱不要であり、また、植生基盤材に含まれる種子を保護するよう、基盤材の土壌材料は適度な水分を保有させることに差し支えはない。
さらに、固化材料は不織布で形成された袋に収納されることで、植生基盤材の表面に施されたネットとの組み合わせにより位置固定が容易となり、施工が簡単になる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明で採用する植生基盤材料の概略として、(a)に平面図を、(b)に断面図を示したものである。
11、12は固化袋であり、不織布によって細長い袋状に形成されており、内部には酸化マグネシウム、塩化マグネシウムの混合物からなる固化材料、および、真砂土、灰が混合されて充填されている。
ここで用いる灰は、木質チップ燃料の残渣として生成されるものが用いられており、自然物由来の材料であることを固化袋の材料として採用するものである。
実際の植生基盤材は、幅1m、長さ5mを基本サイズとして設定しており、固化袋は一定の間隔をもって、多数繰り返し配置されている。
固化袋11、12の間に配置される21、22は、固化袋と同様に不織布によって形成された袋の内部に、肥料及び土壌改良剤を充填させた肥料袋である。ここで用いる肥料については持続的な特性を有しており、施工後、種子から発芽した植物が充分成長した時点でも効果がある特性を備える。ここで、肥料袋も、固化袋と同様に固化袋の間に多数繰り返し配置されるものとする。
固化袋、肥料袋の裏側全面には、内部に土壌、種子、肥料が含まれたマット状の植生基盤材料30が配置される。植生基盤材料の裏面については不織布によって保護された構造を有する。また、肥料袋21等に含まれる持続性の肥料とは違い、植生基盤材料30に含まれる肥料は即効性を有し、植生基盤材料30に含まれる種子の発芽を促進する。
植生基盤材料30、固化袋11、12、肥料袋21、22の表側には、複数の縦糸40および横糸50を一定間隔で網目として配置したネットが設けられている。網目の間隔は4cmで形成されており、図1の配置によれば、固化袋と肥料袋の間隔は20cmであり、これが繰り返し配置される。
この構成による植生基盤材は前述したように幅1m、長さ5mのマットとして構成されるため、使用する前の保管時には固化袋並びに肥料袋のある面を表側として、巻き付けることで保管される。
図2は、この植生基盤材を法面に施工する際の施工概略図を示したものである。固化袋11、12、13、肥料袋21、22、が表側になるよう、法面に植生基盤材が広げられ、施工される。
ここで、固化袋11、12、13を貫通するように、固定アンカーボルト61、62、63が表面から打ち込まれる。この工程によって、植生基盤材は法面に固定される。
固定アンカーボルト61、62、63、によって固化袋11、12、13の表面が破れ、不織布自体の透湿性に加え、表面から散水することによる固化袋内容物の固化が促進されることから、施工後の法面補強が早期に完了することになる。
図3は法面に本発明の植生基盤材を施工する際のアンカーボルトの設置位置の概略を示したものである。
固化袋を貫通するように施工されるアンカーボルト61、62は、横方向に25cm間隔で打ち込まれ、植生基盤材の固定を行う。
植生基盤材を法面に施工した後、散水することによって固化袋11、12の内容物である固化材料の反応が進行し、水和物が形成されることで固化袋11、12が硬化し、法面の強度を補うものとなる。
植生基盤材料30に含まれる種子が発芽し、十分生育した状態で法面の緑化が完了するがその概略を示したものが図4である。
固化袋11、12、肥料袋21,22は施工後の時間経過とともに分解され、また、植生基盤材料30内の種子が発芽した後、表面側への生育と同時に、植生基盤材料から地盤側へ根が生育することで、植生基盤材による法面の保護から植物による法面の保護に主体が変化し、植生基盤材を構成する不織布などの材料が分解されることで自然の状態に近い、産業廃棄物となりうる成分を含まない法面の緑化が実現される。
なお、図2ならびに図3に示されるアンカーボルト61、62、63の間隔、本数については一例を示したものであり、発明の趣旨を逸脱しない範囲において変更されることが可能である。
11、12、13 固化袋
21,22 肥料袋
30 植生マット
40 縦糸
50 横糸
61、62、63 アンカーボルト
21,22 肥料袋
30 植生マット
40 縦糸
50 横糸
61、62、63 アンカーボルト
Claims (1)
- 内部に肥料、土壌、種子類を含む植生材料を含み、所定の横幅と、長さを有する長方形状に形成された植生基盤材において、
前記植生基盤材の表面には、不織布によって形成された、細長い形状の固化袋を複数備え、さらにその上に縦、横所定の間隔で施された紐状の材料で形成されたネットを備え、前記ネットにより、前記固化袋の位置が固定され、
前記固化袋は、前記植生基盤材の横幅と同等の長さを有し、前記固化袋は、一定の間隔ごとに配置され、前記固化袋の内部には、酸化マグネシウムおよび塩化マグネシウムから形成される固化材料ならびに、真砂土、木質チップ燃料の燃焼残渣である灰が充填されていることを特徴とする植生基盤材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020027694A JP2021130991A (ja) | 2020-02-21 | 2020-02-21 | 法面用植生基盤材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN117468510A (zh) * | 2023-11-01 | 2024-01-30 | 湖南中车环境工程有限公司 | 一种金属矿山酸性废渣的原位阻隔结构及施工工艺 |
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2020
- 2020-02-21 JP JP2020027694A patent/JP2021130991A/ja active Pending
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CN117468510A (zh) * | 2023-11-01 | 2024-01-30 | 湖南中车环境工程有限公司 | 一种金属矿山酸性废渣的原位阻隔结构及施工工艺 |
CN117468510B (zh) * | 2023-11-01 | 2024-04-23 | 湖南中车环境工程有限公司 | 一种金属矿山酸性废渣的原位阻隔结构及施工工艺 |
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