JP4936420B2 - 徐放性顆粒剤 - Google Patents
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Description
(1)素顆粒全重量に対し、50重量%以上のステアリン酸またはステアリン酸金属塩、および30重量%以上の水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体を含有することを特徴とする素顆粒。
(2)素顆粒全重量に対し、50〜69.5重量%のステアリン酸またはステアリン酸金属塩、および30〜49.5重量%の水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体を含有することを特徴とする上記(1)記載の素顆粒。
(3)ステアリン酸金属塩がステアリン酸マグネシウムである上記(1)または(2)記載の素顆粒。
(4)素顆粒製造時の練合度が30%以上である上記(1)から(3)のいずれかに記載の素顆粒。
(5)水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムから選択される1または2以上である上記(1)から(4)のいずれかに記載の素顆粒。
(6)水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体がメチルセルロースである上記(5)記載の素顆粒。
(7)薬物として、ベラドンナ総アルカロイドを含有する上記(1)から(6)のいずれかに記載の素顆粒。
(8)素顆粒全重量に対し、0.05〜0.5重量%のベラドンナ総アルカロイドを含有する上記(7)記載の素顆粒。
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載の素顆粒を、疎水性高分子で被覆した徐放性顆粒剤。
(10)疎水性高分子がエチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートおよびカルボキシメチルエチルセルロースから選択される1または2以上である上記(9)記載の徐放性顆粒剤。
(11)疎水性高分子がアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマーである上記(9)記載の徐放性顆粒剤。
(12)上記(9)から(11)のいずれかに記載の徐放性顆粒剤、および速放性顆粒剤を混合した顆粒剤。
(13)上記(9)から(11)のいずれかに記載の徐放性顆粒剤、および速放性顆粒剤を充填したカプセル剤。
[素顆粒の製造法]
(実施例1製剤の製造方法)
賦形剤としてはステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)、結合剤としてはメチルセルロース(信越化学工業社製、15cps、25cps)、薬物としては、ベラドンナ総アルカロイド(アルプス薬品工業社製)を用いた。
試製をおこなう処方を表1にしめす。製造方法としては、ステアリン酸マグネシウム62.152重量%および25cpsのメチルセルロース35.5重量%(粉添加)をハイスピードミキサーで混合し、そこに15cpsのメチルセルロースの50%水溶液 631.6mL(15cpsのメチルセルロースとして2.1重量%)、ベラドンナ総アルカロイドの75%エタノール溶液 200mL(ベラドンナ総アルカロイドとして0.248重量%)を加え、ハイスピードミキサーで練合した。練合後の湿潤物を押し出し造粒機(0.45mm径、Asahi Seiki社製)で造粒し、乾燥、20メッシュ篩で整粒、30、100メッシュ篩で分級し、素顆粒を製造した。
分級時において、素顆粒の30メッシュ残留量、30〜100メッシュ残留量、100メッシュ通過量を測定し、以下の式で30メッシュ残留率、30〜100メッシュ残留率、100メッシュ通過率を算出した。
上記それぞれの残留率または通過率(%)
=(上記それぞれの残留量または通過量/篩過した顆粒剤の全量)×100
グラノ硬度計を用い、400μm/秒のスピードで顆粒を押さえつけて、破壊されたときの圧力値を計測する
練合度=(篩上残量/サンプル全量)×100(%)
(比較例1)
(比較例1製剤の製造方法)
賦形剤を硬化ヒマシ油(川研ファインケミカル社製)に変更した以外は、実施例1と同じである。試製をおこなった処方を表1にしめす。
(比較例2)
(比較例2製剤の製造方法)
賦形剤であるステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)の配合量を35.5重量%とし、結合剤であるメチルセルロース(信越化学工業社製)の配合量を62.152重量%とした以外は、実施例1と同様である。試製をおこなった処方を表1にしめす。
(比較例3)
(比較例3製剤の製造方法)
結合剤であるメチルセルロース(信越化学工業社製)を結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製)とした以外は、実施例1と同様である。試製をおこなった処方を表1にしめす。
(実施例1と比較例1の素顆粒表面の比較)
賦形剤をステアリン酸マグネシウムおよび硬化ヒマシ油とした場合の素顆粒表面を図1に示す。その結果、比較例1の硬化ヒマシ油の場合、素顆粒表面に凹凸がみられたが、実施例1のステアリン酸マグネシウムの場合、素顆粒表面に凹凸がほとんどみられなかった。素顆粒表面に凹凸がある場合、素顆粒表面に被覆する疎水性高分子の被膜量の均一性が確保できず、徐放性を制御することができない。したがって、賦形剤としてステアリン酸マグネシウムを選択した。
賦形剤をステアリン酸マグネシウムの配合量を変更後、素顆粒の30、100メッシュの篩で分級した場合の30メッシュ残留品および30〜100メッシュ品の収率を比較した。その結果、表2に示したように、ステアリン酸マグネシウムの配合量を減少させた比較例2では、実施例1に比べ30メッシュ残留品が増え、30〜100メッシュ品の収率が低下し、凝集した顆粒剤の量が増加した。
結合剤をメチルセルロースから結晶セルロースに変更後、素顆粒の100メッシュ通過品の収率を比較した。その結果、表3に示したように、結合剤を結晶セルロースに変更した比較例3では、実施例1に比べ100メッシュ通過品の量が増加した。また、比較例3では、素顆粒の強度が低下し、疎水性高分子を被覆する際、素顆粒が粉化する恐れがある。また、練合時の練合度も実施例1に比べ、比較例3で低下した。比較例3について、練合度が低下したのは、比較例3の製剤中に結晶セルロースを配合しており、その結晶セルロースが保水性を有し、結合水不足となってしまうためであると考えられる。一方、実施例1の製剤中にメチルセルロースを配合しており、このメチルセルロースはは水に溶解し、このことが練合度に影響したのではないかと推測される。
(徐放性顆粒剤の製造法)
上記実施例1の素顆粒を、表4に示す徐放性基剤の混液で被覆した。徐放性基剤としては、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー(オイドラギッドRS30D、Rohm GmbH社製)を、可塑剤としてはクエン酸トリエチル(森村商事社製)、滑沢剤としてはタルク(富士タルク社製)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を使用した。徐放性基剤の混液で被覆する方法としては、流動層造粒機(フロイント社製)によって、下記の条件で被覆した。
流動層造粒機の被覆条件
給気温度:40℃
スプレー速度:15〜30g/分
スプレー圧 :0.15Mpa
排気温度 :20〜35℃
(速放性顆粒剤の製造法)
賦形剤としてはD−マンニトール(東和化成工業社製)、結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC、日本曹達社製)、薬物としては、ベラドンナ総アルカロイド(アルプス薬品工業社製)およびd−マレイン酸クロルフェニラミンを用いた。
試製をおこなう処方を表5にしめす。製造方法としては、D−マンニトール(東和化学工業社製)75.57重量%、結晶セルロース(アビセルPH101、旭化成ケミカルズ社製)13.40重量%およびd−マレイン酸クロルフェニラミン8.93重量%をハイスピードで混合し、そこにヒドロキシプロピルセルロースの水溶液458mL(ヒドロキシプロピルセルロースとして1.76重量%)、ベラドンナ総アルカロイドの50%エタノール溶液60mL(ベラドンナ総アルカロイドとして0.14重量%)を加え、ハイスピードミキサーで練合した。練合後の湿潤物を押し出し造粒機(0.45mm径、Asahi Seiki社製)で造粒し、乾燥、20メッシュ篩で整粒、30、100メッシュ篩で分級し、素顆粒を製造した。
破砕した顆粒試料にエタノール、0.1%リン酸溶液を加え、50℃で50分間かき混ぜた後、高速液体クロマトグラフでベラドンナ総アルカロイド(対象は主成分ヒヨスチアミン)を別途作成した定量済みのベラドンナ総アルカロイド標準溶液と比較することにより、定量した。
・高速液体クロマトグラフ試験の条件
検出器:紫外吸光光度計(島津製作所社製)
測定波長:210nm
カラム:カプセルパック SCXUG80
移動相:リン酸二水素カリウム水とアセトニトリル 1:1溶液
流量:1.2ml/分
該当顆粒を水溶液中で、JP14(日本薬局方第14改正)溶出試験法第2法により、37℃にて溶出試験を行った。試験開始後、定期的に試験溶液を採取し、溶液中のベラドンナ総アルカロイド(対象は主成分ヒヨスチアミン)を定量することにより、溶出率を求めた。
溶出試験に供試した顆粒剤は、実施例2の徐放性顆粒剤、実施例1の徐放性顆粒剤の素顆粒および参考例1の速放性顆粒剤である。
溶出試験における溶出挙動のグラフを図2にしめす。その結果、速放性顆粒剤、徐放性顆粒剤の素顆粒、徐放性顆粒剤の順に溶出性が抑制された。徐放性顆粒剤の素顆粒は、疎水性高分子で被覆されていないものの、速放性顆粒剤にくらべ、溶出性が抑制された。
Claims (13)
- 素顆粒全重量に対し、50重量%以上のステアリン酸またはステアリン酸金属塩、および30重量%以上の水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体を含有することを特徴とする素顆粒。
- 素顆粒全重量に対し、50〜69.5重量%のステアリン酸またはステアリン酸金属塩、および30〜49.5重量%の水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体を含有することを特徴とする請求項1記載の素顆粒。
- ステアリン酸金属塩がステアリン酸マグネシウムである請求項1または2記載の素顆粒。
- 素顆粒練合時において、JIS標準篩 目開き6.5メッシュに素顆粒を300g入れた後、20回のタッピングを行なった場合の当該篩上の残量百分率が30%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の素顆粒。
- 水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムから選択される1または2以上である請求項1〜4のいずれかに記載の素顆粒。
- 水溶性セルロースまたは水溶性セルロース誘導体がメチルセルロースである請求項5記載の素顆粒。
- 薬物として、ベラドンナ総アルカロイドを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の素顆粒。
- 素顆粒全重量に対し、0.05〜0.5重量%のベラドンナ総アルカロイドを含有する請求項7記載の素顆粒。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の素顆粒を、疎水性高分子で被覆した徐放性顆粒剤。
- 疎水性高分子がエチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートおよびカルボキシメチルエチルセルロースから選択される1または2以上である請求項9記載の徐放性顆粒剤。
- 疎水性高分子がアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマーである請求項9記載の徐放性顆粒剤。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の徐放性顆粒剤、および速放性顆粒剤を混合した顆粒剤。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の徐放性顆粒剤、および速放性顆粒剤を充填したカプセル剤。
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