JP4933036B2 - 差動容量素子、差動アンテナ素子及び差動共振素子 - Google Patents

差動容量素子、差動アンテナ素子及び差動共振素子 Download PDF

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本発明は、差動容量素子、差動アンテナ素子及び差動共振素子に関し、より特定的には、半導体基板上に形成される差動容量素子、差動アンテナ素子及び差動共振素子に関する。
近年、半導体プロセスの微細化及び高周波化が進み、差動発振回路が半導体に集積されるようになってきた。図17は、一般的な差動発振回路7の構成を示す模式図である。図17において、差動発振回路7は、発振用の第1及び第2のトランジスタ1001及び1002と、差動容量素子を構成しかつ直流成分をカットするための第1及び第2の容量素子1003及び1004と、共振用の第1及び第2の可変容量素子1005及び1006と、共振用の第1及び第2のインダクタンス1007及び1008と、定電流源1009とを備える。
上記差動発振回路7には、Vcc端子を介して、第1及び第2のインダクタンス1007及び1008に直流電流が与えられる。直流電流は、第1及び第2のトランジスタ1001及び1002に与えられ、その後、定電流源1009を通じてグランドに流れる。第1のトランジスタ1001は、正帰還がかかるよう接続されており、第1の可変容量素子1005及び第1のインダクタンス1007の回路定数で決まる発振周波数を有する差動信号を構成する同相信号及び逆相信号の一方を生成する。第2のトランジスタ1002は、第1のトランジスタ1001と同様に動作するが、同相信号及び逆相信号の他方を生成する。生成された正相信号は、Vo+端子及びVo−端子のいずれか一方から、生成された逆相信号はいずれか他方から出力される。
しかしながら、上記差動発振回路7では、発振周波数が高くなればなるほど、第1の容量素子1003の寄生容量Cpa及び寄生抵抗Rpa(図17の点線部分参照)の影響が大きくなり、その結果、第1の可変容量素子1005及び第1のインダクタンス1007による共振の鋭さが鈍くなる。つまり、共振の鋭さを示す指標であるQ値が悪くなるという問題点があった。なお、第2の可変容量素子1006及び第2のインダクタンス1008による共振の鋭さも同様に鈍くなる。
ここで、図18Aは、半導体基板上に集積された差動容量素子(第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004)の構造を示す上面図である。また、図18Bは、図18Aに示す鉛直面A−A’で第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004を切断した時の断面図である。図18A及び図18Bにおいて、第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004は、P型シリコンに代表される半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、層間膜1019は典型的には酸化シリコンからなる。より具体的には、第1の容量素子1003は、典型的にはアルミニウムからなるメタル配線で形成された上部電極1015及び下部電極1016を含む。これら上部電極1015及び下部電極1016は、鉛直方向に所定の間隔を空けて平行に配置される。第2の容量素子1004は、第1の容量素子1003と同じ材質からなり、上部電極1015及び下部電極1016を予め定められた鉛直面B−B’を基準として対称な位置に形成される上部電極1017及び下部電極1018を含む。
上記第1の容量素子1003及び上記第2の容量素子1004では、層間膜1019において、下部電極1016及び1018のそれぞれと半導体基板1020との間に、上述したような寄生容量が発生する。さらに、半導体基板1020には、上述のような寄生抵抗が発生する。これら寄生成分の内、特に、半導体基板1020に発生する寄生抵抗が、共振回路のQ値に影響を与える。
以上の寄生抵抗を抑えるために、下記のような差動容量素子(以下、従来の差動容量素子と称する)が提案されている。図19Aは、従来の差動容量素子の構造を模式的に示す上面図である。また、図19Bは、図19Aに示す鉛直面A−A’で第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004を切断した時の断面図である。図19A及び図19Bにおいて、従来の差動容量素子は、シールド板1021をさらに備える点で、図18A及び図18Bに示されるものと相違する。それ以外に、両差動容量素子の間に相違点は無いので、図19A及び図19Bにおいて、図18A及び図18Bに示されるものに相当する構成には同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
シールド板1021は、アルミニウムに代表される導電性の材料からなる板状の構造部材であって、下部電極1016及び1018と半導体基板1020の間に配置される。より具体的には、下部電極1016及び1018の双方をシールド板1021に鉛直上方向から投影した場合に、投影された下部電極1016及び1018がシールド板1021の外形線内に含まれるような形状を、シールド板1021は有する。また、シールド板1021は、前述の鉛直面B−B’を基準として対称な形状を有している。以上のようなシールド板1021により、層間膜1019の寄生容量は増加するが、半導体基板1020の寄生抵抗は減少する(例えば特許文献1を参照)。
以上の従来の差動容量素子を図17の差動発振回路7に応用すると、各共振回路による共振の鋭さを改善することができる。具体的には、図20の等価回路に示すように、下部電極1016とシールド板1021の間の寄生容量Cpa1、下部電極1018とシールド板1021の間の寄生容量Cpa2と、シールド板1021と半導体基板1020の間の寄生容量Cpcと、半導体基板1020の寄生抵抗Rpcが差動発振回路7には現れる。ここで、第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004のいずれか一方には正相信号が与えられ、いずれか他方には逆相信号が与えられるので、寄生容量Cpa1及びCpa2の接続点は、交流信号に対して見かけ上のグランド(以下、仮想グランドと称する)になる。その結果、寄生容量Cpc及び寄生抵抗Rpcの共振回路に対する影響が低減される。
また、差動アンテナ素子もまた、半導体に集積されるようになってきている。ここで、図21は、従来の平面型の差動アンテナ素子7001の構成を示す斜視図である。図21に示す差動アンテナ素子7001において、2枚の平板アンテナ素子7002及び7003は、半導体基板の一例としてのシリコン基板7004上に所定の間隔を空けて配置され、互いに同じ電力であるが180°の位相差がある同相信号及び逆相信号を出力する。これによって、差動アンテナ素子7001は、広帯域な信号を受信可能になる(例えば非
特許文献1を参照)。
また、図22は、従来の差動共振素子を備える平衡型高周波デバイス8001の構成を示す模式図である。図22において、平衡型高周波デバイス8001は、信号が入力される入力端子INと、同相信号及び逆相信号を出力する出力端子OUT1及びOUT2とを有する平衡型素子8002と、差動共振素子の一例としての1/2波長共振素子8003とを備える。1/2波長共振素子8003は、所定の周波数を有する信号が入力されると共振し、平衡型素子8002から出力端子側をみた同相信号成分のインピーダンスを、平衡型素子8002から出力端子側をみた差動信号成分のインピーダンスよりも低くする。これによって、平衡型高周波デバイス8001は、同相信号成分を抑圧し、出力信号の平衡度を向上させる(例えば特許文献2を参照)。
特開2003−037180号公報 特開2003−338724号公報 「Broad−Band Dual−Polarized Patch Antennas Fed by Capacitively Feed and Slot−Coupled Feed」"Kin−Lu Wong,Tzung−Wern Chiou, IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION,VOL.50,No.3,MARCH 2002 pp346−pp351"
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の差動容量素子を差動発振回路7に応用した場合、寄生容量Cpa1及びCpa2(図20参照)は、第1の可変容量素子1005及び第2の可変容量素子1006と並列接続されることと等価になる。しかも、寄生容量Cpa1及びCpa2は固定値であるため、見かけ上、第1の可変容量素子1005及び第2の可変容量素子1006の容量変化量がそれぞれの諸元よりも小さくなり、その結果、差動発振回路7の発振周波数の範囲が狭くなるという問題点がある。
しかしながら、上記非特許文献1に開示されたような平板アンテナ素子7002及び7003をシリコン基板7004上に形成する場合、配線とシリコン基板7004との間に生じる寄生容量による結合し、さらにはシリコン基板7004上の寄生抵抗の影響による損失が生じ、その結果、差動アンテナ素子7001の利得が劣化するという問題点がある。
しかしながら、上記特許文献2に開示された1/2波長共振素子8003もまた、半導体基板の一例としてのシリコン基板上に形成される場合、1/2波長共振素子8003とシリコン基板との間に生じる寄生容量による結合し、さらにはシリコン基板上の寄生抵抗の影響による損失が生じ、その結果、1/2波長共振素子8003の通過損失が大きくなるという問題点がある。
それ故に、本発明の第1の目的は、差動発振回路への寄生容量及び寄生抵抗の影響を抑えることが可能な差動容量素子を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、寄生容量及び寄生抵抗の影響を抑えることが可能な差動アンテナ素子を提供することである。
また、本発明の第3の目的は、寄生容量及び寄生抵抗の影響を抑えることが可能な差動共振素子を提供することを目的とする。
上記第1の目的を達成するために、本発明の第1の局面は、差動容量素子であって、鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備える。ここで、複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の容量素子と実質的に対称な位置に形成される。また、差動容量素子はさらに、各下部電極と、半導体基板との間に配置されるシールド板を備える。ここで、各下部電極を鉛直方向からシールド板に投影した時、投影された各下部電極は、シールド板と部分的に重なりを持つ。
好ましくは、投影された各下部電極において、シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各下部電極が有する面積の70%以上である。さらに好ましい例として、投影された各下部電極は、シールド板からはみ出ている。他の好ましい例として、シールド板にはスリットが形成されている。ここで、さらに好ましくは、スリットは、第1の鉛直面と交差する。
また、好ましくは、シールド板には複数の貫通孔が形成されている。さらに好ましい例として、複数の貫通孔は、所定の2方向に実質的に等しい間隔に配列されている。複数の貫通孔において、互いに隣り合うもの同士の間隔は、シールド板を伝搬する定在波の半波長の整数倍に実質的に等しい。また、さらに好ましい例として、シールド板において、所定の2辺から第1の鉛直面までの長さは、定在波の半波長の整数倍と、定在波の4分の1波長との和に実質的に等しい。
また、好ましくは、複数の容量素子において、所定の2方向に隣り合う2個の容量素子の一方には、差動信号を構成する同相信号が与えられ、他方には、差動信号を構成する逆相信号が与えられる。
また、好ましくは、シールド板は、インダクタンス及び/又は抵抗素子を介して、グランドに接続される。他の好ましい例として、シールド板において、第1の鉛直面と交差する部分がグランドと接続される。
また、好ましくは、第1の下部電極又は第1の上部電極、及び第2の下部電極及び第1の上部電極のそれぞれには、少なくとも1個の可変容量素子が接続される可変容量回路に用いられる。さらに好ましくは、可変容量回路の容量変化比、及び容量素子のQ値に基づいて、投影された各下部電極において、シールド板と重なりを持つ部分の面積は定められる。
また、例示的には、差動容量素子は差動発振回路に用いられる。他の例として、差動容量素子は、第1の下部電極及び第2の下部電極のそれぞれには、少なくとも1個のスイッチ素子が接続されるスイッチ回路に用いられる。ここで、より好ましくは、スイッチ回路がオフの時のアイソレーション、及び各容量素子のQ値に基づいて、投影された各下部電極において、シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各下部電極が有する面積は定められる。また、他の例として、差動容量素子は、差動スイッチ回路に用いられる。
また、好ましくは、複数の容量素子の1つ目は、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、基準となる容量素子と実質的に対称な位置に形成される。また、複数の容量素子の2つ目は、半導体基板上において、第1の鉛直面に直交する第2の鉛直面を基準として、基準となる容量素子と実質的に対称な位置に形成される。さらに、複数の容量素子の3つ目は、半導体基板上において、第1及び第2の鉛直面の交線を基準として、対称な位置に形成される。
ここで、より好ましくは、複数の容量素子の内、基準となるもの及び3つ目の双方には、差動信号を構成する同相信号及び逆相信号のいずれか一方が与えられ、1つ目及び2つ目の双方には、同相信号及び逆相信号のいずれか他方が与えられる。
また、より好ましくは、シールド板には、所定の2方向に実質的に等しい間隔で配列される複数の貫通孔が形成されており、複数の貫通孔において、互いに隣り合うもの同士の間隔は、シールド板を伝搬する定在波の半波長の整数倍に実質的に等しい。さらに、シールド板は長方形状の形状を有しており、所定の2辺から第1の鉛直面までの長さ、及び他の2辺から第2の鉛直面までの長さはそれぞれ、定在波の半波長の整数倍と、定在波の4分の1波長との和に実質的に等しい。
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の第2の局面は、差動アンテナ素子であって、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、互いに実質的に対称な位置に形成される複数のアンテナ素子と、各アンテナ素子と、半導体基板との間に配置されるシールド板とを備える。ここで、各アンテナ素子を鉛直方向からシールド板に投影した時、投影された各アンテナ素子は、シールド板と部分的に重なりを持つ。
好ましくは、投影された各アンテナ素子は、シールド板からはみ出ている。他の好ましい例として、シールド板にはスリットが形成されている。ここで、さらに好ましくは、スリットは、第1の鉛直面と交差する。
また、好ましくは、シールド板には複数の貫通孔が形成されている。
また、好ましくは、複数のアンテナ素子において、所定の2方向に隣り合う2個のアンテナ素子の一方には、差動信号を構成する同相信号が与えられ、他方には、差動信号を構成する逆相信号が与えられる。
また、好ましくは、シールド板は、インダクタンス及び/又は抵抗素子を介して、グランドに接続される。他の好ましい例として、シールド板において、第1の鉛直面と交差する部分がグランドと接続される。
また、上記第3の目的を達成するために、本発明の第3の局面は、半導体基板上に形成される差動共振素子であって、第1の鉛直面を基準として、互いに実質的に対称な形状を有し、さらに、互いに実質的に対称な位置に2個の端子を有する少なくとも1個の誘電性平板と、少なくとも1個の平板と半導体基板との間に配置されるシールド板とを備える。ここで、少なくとも1個の平板を鉛直方向からシールド板に投影した時、投影された平板は、シールド板と部分的に重なりを持つ。
好ましくは、投影された少なくとも1個の平板は、シールド板からはみ出ている。他の好ましい例として、シールド板にはスリットが形成されている。ここで、さらに好ましくは、スリットは、第1の鉛直面と交差する。
また、好ましくは、シールド板には複数の貫通孔が形成されている。
また、好ましくは、少なくとも1個の平板において、一方端には、差動信号を構成する同相信号が与えられ、他方端には、差動信号を構成する逆相信号が与えられる。
また、シールド板は、インダクタンス及び/又は抵抗素子を介して、グランドに接続される。他の好ましい例として、シールド板において、第1の鉛直面と交差する部分がグランドと接続される。
また、例示的には、差動共振素子は、フィルタ回路に用いられる。
上記第1の局面によれば、自身の寄生容量及び寄生抵抗が差動発振回路に与える影響を低減することが可能な差動容量素子を提供することが可能となる。また、上記第2及び上記第3の局面によれば、寄生容量及び寄生抵抗の影響を低減することが可能な差動アンテナ素子及び差動共振素子を提供することが可能となる。
(第1の実施形態)
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る差動容量素子1を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図1Bは、図1Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子1を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。図1A及び図1Bには、説明の便宜のため、互いに直交するx軸、y軸及びz軸からなる三次元座標系が示される。ここで、z軸は鉛直上向きを示す。x軸及びy軸は、水平面において、互いに直交する2方向を示しており、y軸は特に、矢印Cの向きに等しく、後述する鉛直面B−B’に平行である。
図1A及び図1Bにおいて、差動容量素子1は、第1の容量素子1003と、第2の容量素子1004と、シールド板1022とを備える。第1及び第2の容量素子1003及び1004はそれぞれ、半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、半導体基板1020及び層間膜1019は、「従来の技術」の欄で説明した通りである。第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004は、典型的にはアルミニウムからなるメタル配線から形成される。また、第1の容量素子1003は、z軸方向(鉛直方向)に所定の間隔を空けて実質的に平行に配置される上部電極1015及び下部電極1016を含む。また、これら上部電極1015及び下部電極1016は、鉛直面B−B’から、x軸の負方向に予め定められた距離だけ離れた位置に形成される。また、第2の容量素子1004は、鉛直面B−B’を基準として、上部電極1015及び下部電極1016と実質的に対称な形状を有する上部電極1017及び下部電極1018を含む。
シールド板1022は、アルミニウムに代表される導電性の材料からなり、鉛直面B−B’に対して水平方向に対称な形状を有する板状の部材である。このようなシールド板1022は、下部電極1016及び1018の双方と半導体基板1020との間に配置される。さらに、下部電極1016及び1018の双方をシールド板1022に鉛直上方向から投影した場合に、投影された下部電極1016及び1018がシールド板1022と部分的にオーバーラップする形状を、シールド板1022は有する。ここで、本実施形態では、投影された下部電極1016及び1018がシールド板1022の外形線からはみ出るような形状を、シールド板1022は有する。なお、以下、下部電極1016及び1018において、投影された下部電極1016及び1018がシールド板1022と重なりを持つ部分をオーバーラップ領域Aoと称し、そうでない部分を非オーバーラップ領域Anと称する。
ここで、図2は、図1の差動容量素子1の等価回路を示す模式図である。なお、図2には、参考のために、鉛直面A−A’で差動容量素子1を切断した時の断面を点線で示している。図2において、第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004は、予め定められた容量Cdを有する。これら第1の容量素子1003及び第2の容量素子1004の一方に同相信号を、それらの他方に逆相信号を与えた場合、下部電極1016及び1018と、シールド板1022との間には、寄生容量Cpa1及びCpa2が発生する。また、シールド板1022と半導体基板1020との間には寄生容量Cpc及び寄生抵抗Rpcが発生する。また、下部電極1016と半導体基板1020との間には、寄生容量Cpb1及び寄生抵抗Rpb1が発生する。さらに、下部電極1018と半導体基板1020との間には、寄生容量Cpb2及び寄生抵抗Rpb2が発生する。
ここで、従来の差動容量素子(図19A及び図19B並びに図20を参照)では、非オーバーラップ領域Anが無いので、下部電極1016とシールド板1021の間に発生する寄生容量Cpa1は大略的には、下部電極1016の面積と、下部電極1016とシールド板1021との間の距離に依存する。この点は、従来の下部電極1018についても同様である。
それに対して、本差動容量素子1(図1A及び図1B並びに図2参照)では、下部電極1016に起因して発生する寄生容量は大略的に、オーバーラップ領域Aoの面積Soと、オーバーラップ領域Aoとシールド板1022の間の距離Doと、非オーバーラップ領域Anの面積Snと、非オーバーラップ領域Anと半導体基板1020の間の距離Dnに依存する。この点は、差動容量素子1の下部電極1018についても同様である。
ここで、従来の下部電極1016(図19Bを参照)の面積と、本実施形態の下部電極1016(図1Bを参照)の面積とは互いに等しいと仮定すると、距離Dnは物理的に距離Doよりも大きくなるので、本差動容量素子1の下部電極1016の単位面積当たりに発生する寄生容量は、従来の下部電極1016のそれよりも小さくなる。この点は、差動容量素子1の下部電極1018について同様である。
また、下部電極1016の単位面積当たりの寄生容量をより小さくするには、オーバーラップ領域Aoの面積を小さくすれば良い。しかしながら、オーバーラップ領域Aoを小さくすると、寄生容量Cpb1が寄生容量Cpa1よりも大きくなり、その結果、寄生抵抗Rpb1の影響を受け、第1の容量素子1003のQ値が大きく劣化する。つまり、下部電極1016の単位面積当たりの寄生容量と寄生抵抗Rpb1との間にはトレードオフの関係が成立する。このように寄生抵抗Rpb1の影響が大きな差動容量素子1を、差動発振回路7(図17を参照)に応用すると、回路全体のQ値が劣化する。
ここで、図3は、本差動容量素子1が応用された差動発振回路7において、第1及び第2の容量素子1003及び1004と、第1及び第2の可変容量素子1005及び1006との部分を示す模式図である。第1の容量素子1003の容量はCdであり、第1の可変容量素子1005の容量はCsとする。なお、図3には、第1の容量素子1003の寄生容量Cpa1及びCpb1及び寄生抵抗Rpb1と、第1の可変容量素子1005の寄生抵抗Rsとが示されている。
以下、図3を参照して、上述のトレードオフの関係について、第1の可変容量素子1005の容量変化比と、図3に示す回路のQ値との観点から説明する。なお、図3において、第1の容量素子1003には正相信号及び逆相信号のいずれか一方が与えられ、第2の容量素子1004にはいずれか他方が与えられる。さらに、差動発振回路7には、交流信号に対する仮想グランドを境(一点鎖線参照)に対称性がある。それゆえ、第2の可変容量素子1006側の容量変化比とQ値とについては、第1の可変容量素子1005側のそれらと同様であるため、説明を省略する。なお、仮想グランドは、図1及び図2においては、シールド板1022において、鉛直面B−B’と交差する部分である。
まず、図3において、節点Aと仮想グランドとの間のアドミッタンスYは、次式(1)で示される。
Figure 0004933036
ここで、fは周波数である。
図4は、1/Yの容量変化、つまり、第1の可変容量素子1005の容量変化比と、第1の可変容量素子1005のQ値を示す特性曲線である。図4において、左側の縦軸はQ値を示し、右側の縦軸は容量変化比を示し、さらに、横軸はオーバーラップ率を示す。ここで、容量変化比は、第1の可変容量素子1005の最大容量値を最小容量値で割り算した値で、単位は[倍]である。また、オーバーラップ率は、下部電極1016の面積をSとし、オーバーラップ領域Aoの面積をSoとした場合、(So/S)×100[%]である。さらに、図4の特性曲線の測定条件は下記の通りである。寄生抵抗Rsは2Ωであり、寄生抵抗Rpb1は150Ωである。また、オーバーラップ率が100%の時、寄生容量Cpa1は0.8pFであり、オーバーラップ率が0%の時、寄生容量Cpb1は0.2pFである。また、第1の可変容量素子1005は、諸元では4pFから2pFの範囲で変化すると仮定する。つまり、第1の可変容量素子1005の容量変化比は2倍である。
図4に示すように、オーバーラップ率を大きくすればするほど、寄生容量Cpb1が寄生容量Cpa1よりも小さくなる。従って、図3に示す回路全体のQ値が良くなる。その結果、寄生抵抗Rpb1が第1の可変容量素子1005に与える影響を小さくすることができ、図3に示す回路全体のQ値の劣化を少なくできる。逆に、オーバーラップ率を小さくすればするほど、第1の可変容量素子1005の容量変化比は2倍に近づく。以上のような2個の特性曲線を参照して、本実施形態では、Q値及び容量変化比双方の劣化度合いが少ない最適なオーバーラップ率は概ね70%に選ばれる。なお、本実施形態では、Q値及び容量変化比双方の劣化度合いを考慮して、オーバーラップ率は概ね70%に選ばれるとしたが、この値に限らず、Q値の劣化度合いを重視するのであれば、70%以上100%未満にしても構わないし、容量変化比の劣化度合いを重視するのであれば、0%超で70%以下にオーバーラップ率を設定しても構わない。
以上のように、本差動容量素子1によれば、シールド板1022を設けて、オーバーラップ率を適切な値に選ぶことにより、差動容量素子1の寄生容量及び寄生抵抗が差動発振回路7に与える影響を低減することが可能となる。つまり、差動発振回路7のQ値の劣化を抑えることが可能となる。さらに、可変容量素子1005及び1006の容量変化比の劣化も抑えることができ、その結果、差動発振回路7の発振周波数範囲の狭小化を抑えることが可能となる。
なお、差動容量素子1は、上述のシールド板1022に代えて、図5A及び図5Bに示すようなシールド板1023を備えていても構わない。ここで、図5Aは、シールド板1023を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図5Bは、図5Aに示す鉛直面A−A’でシールド板1023を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。
図5A及び図5Bにおいて、シールド板1023は、シールド板1022と同様に、導電性の材料からなり、鉛直面B−B’と基準として対称な形状を有する板状の部材である。このようなシールド板1022は、下部電極1016及び1018の双方と半導体基板1020との間に配置される。また、シールド板1023には、1つ以上のスリット10231が形成されている。スリット10231は好ましくは、x軸方向に実質的に平行で、上述の仮想グランドと直交するように形成される。さらに、スリット10231は、Q値及び容量変化比双方の劣化度合いを考慮すると、上述のように定義されるオーバーラップ率が概ね70%になるように形成されることが好ましい。また、スリット10231が複数の場合には、各スリット10231は好ましくは、x軸方向に互いに平行になるように形成される。
なお、各スリット10231は、y軸方向に平行に形成されても良いが、この場合、差動容量素子1からのリーク成分が仮想グランドに到達するまでに時間がかかり、さらに、リーク成分はシールド板1023を概ね渦状に伝搬する。その結果、シールド板1023にインダクタンス成分が発生するので、シールド効果が弱くなってしまう。
また、差動容量素子1は、上述のシールド板1022に代えて、図6A及び図6Bに示すようなシールド板1024を備えていても構わない。ここで、図6Aは、シールド板1024を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図6Bは、図6Aに示す鉛直面A−A’でシールド板1024を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。
図6A及び図6Bにおいて、シールド板1024は好ましくは、シールド板1022と同様に、導電性の材料からなり、鉛直面B−B’を基準として対称な板状の部材である。また、シールド板1024は、x軸方向に平行な辺の長さがLxの略長方形の形状を有する。
さらに、シールド板1024には、Q値及び容量変化比双方の劣化度合いを考慮して、上述のオーバーラップ率が概ね70%になるように、複数の貫通孔10241が形成される。なお、図示の便宜上、図6A及び図6Bでは、一個の貫通孔10241のみが参照符号を付けて示されている。複数の貫通孔10241は好ましくは、x軸方向及びy軸方向の双方に実質的に平行に配列される。y軸方向に平行な貫通孔10241の列(以下、縦列と称する)の数は奇数である(図示は9列)。また、x軸方向に隣り合う2個の貫通孔10241の中心間の距離はΔである。
ここで、差動容量素子1からシールド板1024にも同相信号及び逆相信号がリークしてくる。このようなリーク成分の波長は、同相信号及び逆相信号の周波数に依存するので既知である。ここで、リーク成分の波長をλとすると、シールド板1024においてy軸に平行な2辺から、仮想グランド(鉛直面B−B’)までの各距離が、n・λ/2+λ/4に選ばれる。つまり、Lx=λ(n+1/2)となる。ここで、nは、0以上の整数で、縦列の数である。
また、図7に示すように、シールド板1024上には、波長がλの定在波が伝搬する。このような定在波は、仮想グランドを中心にλ/2毎に節を生じる。各節では定在波の振幅が小さくなるので、各節の位置に各貫通孔10241が形成されること、つまり、Δはλ/2であることが好ましい。これによって、各貫通孔10241から半導体基板1020へと定在波がリークすることを低減することができる。その結果、差動容量素子1のQ値の劣化を抑えることができる。
なお、図6A及び図6Bには、格子状に配列された貫通孔10241を例示したが、これに限らず、複数の貫通孔10241は、仮想グランド上の一点を中心として、同心円上に配列されても構わない。ここで、互いに隣り合う同心円同士の間隔はΔに選ばれる。
また、差動容量素子1において、各シールド板1022、1023及び1024は、それぞれに電荷が溜まることを防止するために、インダクタンス及び/又は抵抗を介して、グランド(図示せず)と接続されても構わない。また、各シールド1022、1023及び1024において仮想グランドとグランド(図示せず)とを電気的に直接接続しても、各シールド1022、1023及び1024に電荷が溜まることを防止することができる。
(第2の実施形態)
図8Aは、本発明の第2の実施形態に係る差動容量素子2を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図8Bは、図8Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子2を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。図8A及び図8Bには、説明の便宜のため、互いに直交するx軸、y軸及びz軸からなる三次元座標系が示される。ここで、z軸は鉛直上向きを示す。x軸及びy軸は、水平面において、互いに直交する2方向を示しており、y軸は特に、矢印Cの向きに等しく、後述する鉛直面B−B’に平行である。
図8A及び図8Bにおいて、差動容量素子2は、第1〜第4の容量素子2001〜2004と、シールド板2005とを備える。第1〜第4の容量素子2001〜2004はそれぞれ、半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、半導体基板1020及び層間膜1019は、「従来の技術」の欄で説明した通りである。第1〜第4の容量素子2001〜2004は、典型的にはアルミニウムからなるメタル配線から形成される。また、第1の容量素子2001は、z軸方向(鉛直方向)に所定の間隔を空けて実質的に平行に配置される上部電極2006及び下部電極2007を含む。また、これら上部電極2006及び下部電極2007は、x軸方向に平行な鉛直面A−A’からy軸の正方向に所定距離だけ離れ、さらに、y軸方向に平行な鉛直面B−B’からx軸の負方向に所定距離だけ離れた位置に形成される。
また、第2の容量素子2002は、鉛直面B−B’を基準として、上部電極2006及び下部電極2007と実質的に対称な形状を有する上部電極2008及び下部電極2009を含む。また、第3の容量素子2003は、上部電極2006及び下部電極2007と、鉛直面A−A’を基準として実質的に対称な形状を有する上部電極2010及び下部電極2011(図示せず)を含む。さらに、第4の容量素子2004は、上部電極2008及び下部電極2009と、鉛直面A−A’を基準として実質的に対称な形状を有する上部電極2012及び下部電極2013(図示せず)を含む。
シールド板2005は、導電性の材料からなり、鉛直面A−A’及び鉛直面B−B’のそれぞれを基準として対称な板状の部材である。より具体的には、シールド板2005は、各辺の長さがLの略長方形の形状を有する。また、シールド板2005は、下部電極2007、2009、2011及び2013の全てと半導体基板1020との間に配置される。
また、シールド板2005には、複数の貫通孔20051が形成される。なお、図示の便宜上、図8A及び図8Bでは、一個の貫通孔20051のみが参照番号を付けて示されている。複数の貫通孔20051は、x軸方向及びy軸方向に配列される。ここで、y軸及びx軸に平行な貫通孔20051の各列の数は奇数である(図示は9列ずつ)。以下、y軸に平行な貫通孔20051の列を縦列と称し、x軸に平行な貫通孔20051の列を横列と称する。また、中央の縦列を構成する各貫通孔20051の中心が、シールド板2005において鉛直面B−B’と交差する線上に一致するように、それら貫通孔20051は配列される。中央の横列を構成する各貫通孔20051の中心が、シールド板2005において鉛直面A−A’と交差する線上に一致するように、それら貫通孔20051は配列される。また、x軸及びy軸の各方向に隣り合う2個の貫通孔20051の中心間距離はΔである。
以上のような構成の差動容量素子2において、差動信号を構成する正相信号は、鉛直面A−A’、鉛直面B−B’及びシールド板2005の交点を基準として、互いに点対称な位置に形成される第1の容量素子2001及び第4の容量素子2004に与えられる。また、上述の交点を基準として、互いに点対称な位置に形成される第2の容量素子2002及び第3の容量素子2003には、逆相信号が与えられる。このように正相信号及び逆相信号を与えることにより、第1の実施形態と同様に、差動容量素子2の寄生容量及び寄生抵抗が差動発振回路7に与える影響を低減することが可能となる。
また、第1の実施形態での説明と同様の観点から、シールド板2005において、y軸に平行な2辺から仮想グランド(鉛直面B−B’)までの各距離、及びx軸に平行な2辺から仮想グランド(鉛直面A−A’)までの各距離は、n・λ/2+λ/4に選ばれる。ここで、nは、0以上の整数で、縦列及び横列の数である。また、第1の実施形態での説明と同様の観点から、Δはλ/2であることが好ましい。
なお、以上の説明では、差動容量素子2では、x軸方向及びy軸方向に2個ずつの容量素子を配列していたが、これに限らず、図9に示すように、x軸方向及びy軸方向に3個以上ずつ容量素子(右下がりの斜線部分)を、上述と同じ要領で配列しても構わない。ここで、x軸及びy軸の各方向に並ぶ2個の仮想グランド間の距離は、n・λに選ばれることが好ましい。
(第3の実施形態)
図10Aは、本発明の第3の実施形態に係る差動容量素子3を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図10Bは、図10Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子3を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。図10A及び図10Bには、説明の便宜のため、互いに直交するx軸、y軸及びz軸からなる三次元座標系が示される。ここで、z軸は鉛直上向きを示す。x軸及びy軸は、水平面において、互いに直交する2方向を示しており、y軸は特に、矢印Cの向きに等しく、後述する鉛直面B−B’に平行である。
図10A及び図10Bにおいて、差動容量素子3は、第1−第4の容量素子3001−3004と、シールド板3005とを備える。第1−第4の容量素子3001−3004はそれぞれ、半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、半導体基板1020及び層間膜1019は、「従来の技術」の欄で説明した通りである。
第1−第4の容量素子3001−3004はそれぞれ、典型的にはアルミニウムからなるメタル配線から形成される。
また、第1の容量素子3001は、第1の電極3015及び第2の電極3016を含む。第1の電極3015は、予め定められた幅wで配列ピッチδの櫛歯電極であり、YZ平面に平行な鉛直面B−B’からX軸の負方向に予め定められた距離だけ離れた位置に形成される。また、説明の都合上、第1の電極3015において櫛歯部分は、鉛直面A−A’と交差すると仮定する。第2の電極3016は、第1の電極3015と実質的に同じ形状を有している。ただし、第2の電極3016は、第1の電極3015とは異なる位置に形成される。具体的には、第2の電極3016は、鉛直面A−A’を基準として第1の電極3015と対称な位置から、X軸の正方向又は負方向に距離d(≒(δ−w)/2)だけ平行移動させた位置に形成される。以上のような配置により、第1の電極3015及び第2の電極3016は噛み合う。これによって、第1の電極3015及び第2の電極3016において、互いに隣り合う櫛歯部分の間にフリンジ容量が発生可能である。
また、第2の容量素子3002は、上述同様の第1の電極3015及び第2の電極3016を含む。ここで、第2の容量素子3002は、基準面A−A’を基準として第1の容量素子3001と実質的に対称な位置から、z軸の負方向に所定距離だけ平行移動させた位置に形成される。これによって、第1の容量素子3001の場合と同様、x軸方向に隣り合う櫛歯部分の間にフリンジ容量が発生する。さらに、第1の容量素子3001及び第2の容量素子3002において、z軸方向に沿って隣り合う櫛歯部分の間にもフリンジ容量が発生可能である。
また、第3の容量素子3003は、鉛直面B−B’を基準として、第1の容量素子3001と実質的に対称な位置に形成される。さらに、第4の容量素子3004は、鉛直面B−B’を基準として、第2の容量素子3002と実質的に対称な位置に形成される。これによって、第3及び第4の容量素子3003及び3004においても、上述と同様のフリンジ容量が発生可能である。
ここで、図11は、図10A及び図10Bに示す差動容量素子3の等価回路を示す模式図である。図11において、櫛歯部分A1は例示的に、第1の容量素子3001において第2の電極3016が有する左端の櫛歯部分であると仮定する。この仮定下では、櫛歯部分A2は、第1の容量素子3001において第2の電極3016が有する櫛歯部分A1の隣の櫛歯部分となる。また、櫛歯部分B1は、第1の容量素子3001において第1の電極3015が有する左端の櫛歯部分となり、櫛歯部分B2は、第1の容量素子3001において第1の電極3015が有する櫛歯部分B1の隣の櫛歯部分となる。
また、櫛歯部分B3は、第2の容量素子3002において、上記櫛歯部分A1とz軸方向に沿って対向する櫛歯部分であり、櫛歯部分B4は、第2の容量素子3002において、上記櫛歯部分A2とz軸方向に沿って対向する櫛歯部分である。
また、櫛歯部分A3は、第2の容量素子3002において、上記櫛歯部分B1とz軸方向に沿って対向する櫛歯部分であり、櫛歯部分A4は、第2の容量素子3002において、上記櫛歯部分B2とz軸方向に沿って対向する櫛歯部分である。
以上のような第1及び第2の容量素子3001及び3002に、差動信号を構成する同相信号又は逆相信号が与えられると、例えば櫛歯部分A1は、櫛歯部分B1との壁面間にフリンジ容量C11を持つ。さらに、櫛歯部分A1及びB3は、櫛歯部分A1の下面と、櫛歯部分B3の上面との間で容量C13を持つ。他の櫛歯部分についても、図示したようなフリンジ容量C21、C22、C33、C34及びC44が発生し、さらに、容量C31、C14及びC42が発生する。従って、櫛歯部分A1−A4及びB1−B4の間の総容量値Ctotalは、次式(2)で表される。
Ctotal=C11+C13+C33+C31+C21+C24+C34+C22+
C42+C44 …(2)
シールド板3005は、アルミニウムに代表される導電性の材料からなり、鉛直面B−B’に対して水平方向に対称な形状を有する板状の部材である。このようなシールド板3005は、第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004の双方と半導体基板1020との間に配置される。さらに、第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004の双方をシールド板3005に鉛直上方向から投影した場合に、投影された第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004がシールド板3005と部分的に重なりを持つような形状を、シールド板3005は有する。なお、従前の実施形態と同様、第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004において、投影された第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004がシールド板3005と重なりを持つ部分をオーバーラップ領域Aoと称する。
以上のような差動容量素子3においても、第2及び第4の容量素子3002及び3004の鉛直真下にシールド板3005を設けることにより、櫛歯部分A3、A4、B3及びB4の下面と、シールド板3005の上面との間に、図12に示すような寄生容量Cpa及びCpb(点線部分参照)が発生する。このような寄生容量Cpa及びCpbは、差動容量素子3を例えば差動発振回路7に組み込んだ場合に、その発振周波数の範囲に影響を与える。一方、シールド板3005を備えない場合、第1の実施形態で説明したのと同じ理由で、差動容量素子3の両側に生じる大きな寄生容量を介して、差動容量素子3と半導体基板1020とが結合され、半導体基板1020に生じる寄生抵抗の影響が顕著となる。その結果、差動容量素子3のQ値は劣化し、これによって、差動発振回路のC/N(Carrier to Noise ratio)に影響を及ぼす。しかしながら、従前の実施形態で説明したのと同様に、本実施形態においても、オーバーラップ率を適切に設定することにより、差動発振回路7の発振周波数範囲の劣化を最小限に抑えることが可能となり、さらに、差動発振回路7のC/Nの劣化を最小限に迎えることが可能となる。なお、本実施形態において、オーバーラップ率は、第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004のそれぞれが有する下面の面積の合計をSとし、第2の容量素子3002及び第4の容量素子3004のそれぞれにおけるオーバーラップ領域Aoの面積の合計をSoとした場合、(So/S)×100[%]となる。
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態に係る差動スイッチ回路4の構成を示す模式図である。図13において、差動スイッチ回路4は、差動入力端子4001と、制御信号用の入力端子4002と、pチャネルのMOSFET4003と、nチャネルのMOSFET4004及び4005と、従前の実施形態で説明した差動容量素子1−3のいずれかと、差動出力端子4006とを備えている。
差動入力端子4001は、差動信号を構成する同相信号が入力される端子IN+と、逆相信号が入力される端子IN−とを有する。
入力端子4002には、MOSFET4003−4005のオン/オフを切り替えるための2値信号(以下制御信号と称する)Vctlが入力される。
MOSFET4003は、入力端子4002と接続されており、制御信号VctlがHiの場合、オンになる。逆に、制御信号VctlがLoの場合、MOSFET4003はオフになる。
MOSFET4004及び4005は、入力端子4002と接続されており、制御信号VctlがHiの場合、オフになる。逆に、制御信号VctlがLoの場合、MOSFET4004及び4005はオンになる。
差動出力端子4006は、制御信号VctlがHiである間に、差動信号を構成する同相信号を出力する端子OUT+と、逆相信号を出力する端子OUT−とを有する。
以下、以上のような構成の差動スイッチ回路4において、端子IN+及びIN−には、同相信号及び逆相信号が入力される。また、入力端子4002には、Hi又はLoの値を有する制御信号Vctlが入力される。
ここで、制御信号VctlがHiの間、nチャネルのMOSFET4004及び4005はオンになり、pチャネルのMOSFET4003はオフとなるため、端子OUT+及びOUT−からは同相信号及び逆相信号が出力される。
逆に、制御信号VctlがLoの場合、nチャネルのMOSFET4004及び4005はオフになり、pチャネルのMOSFET4003はオンとなるため、端子OUT+及びOUT−は差動スイッチ回路4からほぼ完全に遮断される。その結果、端子OUT+及びOUT−からは、同相信号及び逆相信号は出力されない。
ここで、スイッチとしてのMOSFET4003回路がオフの時のアイソレーション、及び各前記容量素子のQ値に基づいて、差動容量素子1−3において、投影された各下部電極と、シールド板とが重なり合う部分の面積は定められる。
また、MOSFET4003のドレイン及びソースには、制御信号VctlがHiの間、バイアスがかかるが、差動容量素子1−3によって、nチャネルのMOSFET4004及び4005への直流成分をカットすることができる。
ここで、本実施形態の技術的効果を明確にするため、差動容量素子1−3のいずれかの代わりに、従来の差動容量素子をスイッチ回路に組み込んだ場合における問題点を説明する。シールド板を持たない差動容量素子をスイッチ回路に組み込んだ場合、半導体基板に発生する寄生抵抗の影響で、スイッチ回路がオンの間、スイッチ回路を組み込んだことに起因する挿入損失が大きくなり、出力される差動信号の強度が劣化する。また、前述のオーバーラップ率が100%の差動容量素子を組み込んだ場合、各容量素子とシールド板との間に発生する寄生容量により、pチャネルのMOSFET4003がオフになりきらず、差動入力端子4001に入力される差動信号が寄生容量を介してリークする。その結果、nチャネルのMOSFET4004及び4005がオンの間、スイッチ回路の挿入損失が大きくなり、出力される差動信号の強度が劣化する。それに対して、差動容量素子1−3のいずれかの場合、寄生容量を抑えることが可能となるので、上記挿入損失の小さい差動スイッチ回路4を実現することが可能となる。
(第5の実施形態)
図14Aは、本発明の第5の実施形態に係る差動アンテナ素子5を鉛直上方向から見たときの模式図である。また、図14Bは、図14Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子5を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。図14A及び図14Bには、説明の便宜のため、互いに直交するx軸、y軸及びz軸からなる三次元座標系が示される。ここで、z軸は鉛直上向きを示す。x軸及びy軸は、水平面において、互いに直交する2方向を示しており、y軸は特に、矢印Cの向きに等しく、後述する鉛直面B−B’に平行である。
図14A及び図14Bにおいて、差動アンテナ素子5は、第1の平板アンテナ素子5001と、第2の平板アンテナ素子5002と、シールド板5003とを備える。
第1及び第2の平板アンテナ素子5001及び5002はそれぞれ、半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、半導体基板1020及び層間膜1019は、「従来の技術」の欄で説明した通りである。また、第1及び第2の平板アンテナ素子5001及び5002は、典型的には板状の誘電体材料からなる。
第1の平板アンテナ素子5001は、半導体基板1020からz軸の正方向(鉛直上方向)に所定の距離だけ離れており、鉛直面B−B’から、x軸の負方向に所定距離予め定められた距離だけ離れた位置に形成される。
また、第2の平板アンテナ素子5002は、第1の平板アンテナ素子5001と実質的に同じ形状を有しており、鉛直面B−B’を基準として、第1の平板アンテナ素子5001と実質的に対称な位置に形成される。
シールド板5003は、図6A及び図6Bに示すシールド板1024と実質的に同様のものである。このようなシールド板5003は、第1及び第2の平板アンテナ素子5001及び5002の双方と半導体基板1020との間に配置される。
ここで、シールド板が無い差動アンテナ素子では、半導体基板に発生する寄生抵抗に起因する損失の影響で、その差動アンテナ素子の利得が低下する。また、従来の差動アンテナ素子では、シールド板と各平板アンテナ素子との間に発生する寄生容量の影響で、各平板アンテナ素子が送受可能な周波数帯域幅が狭くなってしまう。しかしながら、本実施形態のように、従前の実施形態で説明したオーバーラップ率が最適化されたシールド板5003を採用することにより、第1及び第2の平板アンテナ素子5001及び5002の利得の低下を抑えつつ、第1及び第2の平板アンテナ素子5001及び5002が送受可能な周波数帯域幅の劣化を抑えることが可能となる。
なお、以上の実施形態では、シールド板5003は例示的に、図6A及び図6Bに示すものと同様であるとして説明したが、これに限らず、従前の実施形態で開示されたいずれのシールド板又はその均等物と同様であっても構わない。
(第6の実施形態)
図15は、本発明の第6の実施形態に係るフィルタ回路6の全体的な回路構成を示す模式図である。図15において、フィルタ回路6は、差動入力端子601と、2個の1/2波長共振素子602a及び602bと、2個の容量素子603a及び603bと、差動出力端子604とを備えている。
差動入力端子601は、差動信号を構成する同相信号が入力される端子IN+と、逆相信号が入力される端子IN−とを有する。
2個の1/2波長共振素子602a及び602bはいずれも、端子IN+及びIN−から見て並列に接続される。ここで、図16Aは、図15に示す1/2波長共振素子602a及び602bを鉛直上方向から見たときの模式図である。図16Bは、図16Aに示す鉛直面A−A’で1/2波長共振素子602a及び602bを切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図である。図16A及び図16Bには、説明の便宜のため、互いに直交するx軸、y軸及びz軸からなる三次元座標系が示される。ここで、z軸は鉛直上向きを示す。x軸及びy軸は、水平面において、互いに直交する2方向を示しており、y軸は特に、矢印Cの向きに等しく、後述する鉛直面B−B’に平行である。なお、1/2波長共振素子602a及び602bは互いに同じ構造を有するので、以下の説明では、1/2波長共振素子602aについてのみ説明する。
図16A及び図16Bにおいて、1/2波長共振素子602aは、帯状の平板6021と、シールド板6022とを備える。平板6021は、半導体基板1020上の層間膜1019内に形成される。ここで、半導体基板1020及び層間膜1019は、「従来の技術」の欄で説明した通りである。平板6021は、誘電性を有する材料からなり、半導体基板1020からz軸の正方向(鉛直方向)に所定の距離だけ離れた位置に形成され、鉛直面B−B’に対して対称な形状を有する。また、平板6021において、基準面B−B’を基準として互いに対称な位置には第1の端子6023及び第2の端子6024が形成される。このような平板6021の第1の端子6023は、端子IN+に接続され、その第2の端子6024は端子IN−と接続される。
また、容量素子603aは、節点N1及び節点N2の間に接続される。ここで、節点N1は、端子IN+と、1/2波長共振素子602aとを接続するための節点であり、節点N2は、端子OUT+と、1/2波長共振素子602bとを接続するための節点である。
また、容量素子603bは、節点N3及び節点N4の間に接続される。ここで、節点N3は、端子IN−と、1/2波長共振素子602aとを接続するための節点であり、節点N4は、端子OUT−と、1/2波長共振素子602bとを接続するための節点である。
シールド板6022は、アルミニウムに代表される導電性の材料からなり、鉛直面B−B’に対して水平方向に対称な形状を有する板状の部材である。このようなシールド板6022は、平板6021と半導体基板1020との間に配置される。さらに、平板6021をシールド板6022に鉛直上方向から投影した場合に、投影された平板6021がシールド板6022と部分的にオーバーラップする形状を、シールド板6022は有する。ここで、本実施形態では、シールド板6022は、図6A及び図6Bに示す貫通孔10241と同様の貫通孔を有する。
ここで、再度図15を参照する。差動出力端子604は、差動信号を構成する同相信号を出力する端子OUT+と、逆相信号を出力する端子OUT−とを有する。
以下、以上のような構成のフィルタ回路6においては、所望の周波数を有する差動信号が差動入力端子601に入力された場合、1/2波長共振素子602a及び602bのインピーダンスが非常に高くなり、その結果、差動信号は、差動出力端子604から出力される。
それに対して、所望の周波数以外の差動信号が差動入力端子601に入力された場合、1/2波長共振素子602a及び602bのインピーダンスが非常に小さくなり、その結果、差動出力端子604への出力は抑圧される。
ここで、シールド板が無い1/2波長共振素子をフィルタ回路に応用した場合、半導体基板に発生する寄生抵抗に起因する損失の影響で、フィルタ回路の通過損失が大きくなる。また、オーバーラップ率が100%の1/2波長共振素子をフィルタ回路に応答した場合、シールド板と平板との間に発生する寄生容量の影響で、フィルタ回路の通過周波数帯域幅が小さくなってしまう。しかしながら、本実施形態のように、従前の実施形態で説明したオーバーラップ率が最適化されたシールド板6022を採用することにより、フィルタ回路6の通過損失を抑えつつ、その通過周波数帯域幅の劣化を抑えることが可能となる。
なお、以上の実施形態では、シールド板6022は例示的に、図6A及び図6Bに示すものと同様であるとして説明したが、これに限らず、従前の実施形態で開示されたいずれのシールド板又はその均等物と同様であっても構わない。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
本発明に係る差動容量素子、差動アンテナ素子及び差動共振素子は、寄生容量及び寄生抵抗の影響を抑えることが要求される集積回路などに好適である。
本発明の第1の実施形態に係る差動容量素子1の構造を示す上面図 図1Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子1を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 図1に示す差動容量素子1の等価回路を示す模式図である。 図1に示す差動容量素子1が応用された差動発振回路7の一部の構成を示す模式図 図3に示す第1の可変容量素子1005の容量変化比と、第1の可変容量素子1005のQ値を示す特性曲線を示す図 図1に示すシールド板1022の第1の代替例であるシールド板1023を鉛直上方向から見たときの模式図 図5Aに示す鉛直面A−A’でシールド板1023を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 図1に示すシールド板1022の第2の代替例であるシールド板1024を鉛直上方向から見たときの模式図 図6Aに示す鉛直面A−A’でシールド板1024を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 図6A及び図6Bに示すシールド板1024に伝搬する定在波を示す模式図 本発明の第2の実施形態に係る差動容量素子2を鉛直上方向から見たときの模式図 図8Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子2を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 図8A及び図8Bに示す差動容量素子2の変形例を示す模式図 本発明の第3の実施形態に係る差動容量素子3を鉛直上方向から見たときの模式図 図10Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子3を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 図10A及び図10Bに示す差動容量素子3の等価回路を示す模式図 図10A及び図10Bに示す差動容量素子3で発生しうる寄生容量Cpa及びCpbを示す模式図 本発明の第4の実施形態に係る差動スイッチ回路4の構成を示す模式図 本発明の第5の実施形態に係る差動アンテナ素子5を鉛直上方向から見たときの模式図 図14Aに示す鉛直面A−A’で差動容量素子5を切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 本発明の第6の実施形態に係るフィルタ回路6の全体的な回路構成を示す模式図 図15に示す1/2波長共振素子602a及び602bを鉛直上方向から見たときの模式図 図16Aに示す鉛直面A−A’で1/2波長共振素子602a及び602bを切断した時の断面を矢印Cの方向から見たときの模式図 従来の一般的な差動発振回路7の構成を示す模式図 一般的な差動容量素子の構造を示す上面図 一般的な差動容量素子の構造を示す断面図 従来の差動容量素子の構造を示す上面図 従来の差動容量素子の構造を示す断面図 図19A及び図19Bに示す差動容量素子の等価回路を示す模式図 従来の平面型の差動アンテナ素子7001の構成を示す斜視図 は、従来の差動共振素子を備える平衡型高周波デバイス8001の構成を示す模式図
符号の説明
1,2 差動容量素子
1003,2001,3001 第1の容量素子
1015,2006 上部電極
1016,2007 下部電極
1004,2002,3002 第2の容量素子
1017,2008 上部電極
1018,2009 下部電極
1022,1023,1024,2005,3005 シールド板
10241,20051 貫通孔
1019 層間膜
1020 半導体基板
Ao オーバーラップ領域
An 非オーバーラップ領域
2003,3003 第3の容量素子
2010 上部電極
2011 下部電極
2004,3004 第4の容量素子
2012 上部電極
2013 下部電極
3015 第1の電極
3016 第2の電極
4 差動スイッチ回路
4001 差動入力端子
4002 制御信号用の入力端子
4003 pチャネルのMOSFET
4004,4005 nチャネルのMOSFET
4006 差動出力端子
5 差動アンテナ素子
5001 第1の平板アンテナ素子
5002 第2の平板アンテナ素子
5003 シールド板
6 フィルタ回路
601 差動入力端子
602a,602b 1/2波長共振素子
603a,603b 容量素子
6021 平板
6022 シールド板
6023 第1の端子
6024 第2の端子
604 差動出力端子

Claims (28)

  1. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記上部電極及び前記下部電極のうち、第1の下部電極又は第1の上部電極、及び第2の下部電極又は第2の上部電極のそれぞれには、少なくとも1個の可変容量素子が接続される可変容量回路に用いられる、差動容量素子。
  2. 投影された各前記下部電極は、前記シールド板からはみ出ている、請求項1に記載の差動容量素子。
  3. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記シールド板にはスリットが形成されている、差動容量素子。
  4. 前記スリットは、前記第1の鉛直面と交差する、請求項3に記載の差動容量素子。
  5. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記シールド板には複数の貫通孔が形成されている、差動容量素子。
  6. 前記複数の貫通孔は、所定の2方向に実質的に等しい間隔に配列されており、
    前記複数の貫通孔において、互いに隣り合うもの同士の間隔は、前記シールド板を伝搬する定在波の半波長の整数倍に実質的に等しい、請求項5に記載の差動容量素子。
  7. 前記シールド板において、所定の2辺から前記第1の鉛直面までの長さは、前記定在波の半波長の整数倍と、前記定在波の4分の1波長との和に実質的に等しい、請求項6に記載の差動容量素子。
  8. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記複数の容量素子において、互いに隣り合う2個の容量素子の一方には、差動信号を構成する同相信号が与えられ、他方には、前記差動信号を構成する逆相信号が与えられる、差動容量素子。
  9. 前記シールド板は、インダクタンス及び/又は抵抗素子を介して、グランドに接続される、請求項1に記載の差動容量素子。
  10. 前記シールド板において、前記第1の鉛直面と交差する部分がグランドと接続される、
    請求項1に記載の差動容量素子。
  11. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記上部電極及び前記下部電極のうち、第1の下部電極又は第1の上部電極、及び第2の下部電極又は第2の上部電極のそれぞれには、少なくとも1個の可変容量素子が接続される差動発振回路に用いられる差動容量素子。
  12. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記上部電極及び前記下部電極のうち、第1の下部電極及び第2の下部電極にはスイッチ素子が接続されてスイッチ回路に用いられる、差動容量素子。
  13. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記上部電極及び前記下部電極のうち、第1の下部電極又は第1の上部電極、及び第2の下部電極又は第2の上部電極のそれぞれには、少なくとも1個の可変容量素子が接続される差動スイッチ回路に用いられる差動容量素子。
  14. 差動容量素子であって、
    鉛直方向に互いに実質的に平行な上部電極及び下部電極を含む複数の容量素子を備え、
    前記複数の容量素子のいずれかは、半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、他の前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記差動容量素子はさらに、各前記下部電極と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板を備え、
    各前記下部電極を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記下部電極は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記下部電極において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記下部電極が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記複数の容量素子の1つ目は、前記半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、基準となる前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記複数の容量素子の2つ目は、前記半導体基板上において、前記第1の鉛直面に直交する第2の鉛直面を基準として、基準となる前記容量素子と実質的に対称な位置に形成され、
    前記複数の容量素子の3つ目は、前記半導体基板上において、前記第1及び第2の鉛直面の交線を基準として、対称な位置に形成される、差動容量素子。
  15. 前記複数の容量素子の内、基準となるもの及び3つ目の双方には、差動信号を構成する同相信号及び逆相信号のいずれか一方が与えられ、1つ目及び2つ目の双方には、前記同相信号及び逆相信号のいずれか他方が与えられる、請求項14に記載の差動容量素子。
  16. 前記シールド板には、所定の2方向に実質的に等しい間隔で配列される複数の貫通孔が形成されており、前記複数の貫通孔において、互いに隣り合うもの同士の間隔は、前記シールド板を伝搬する定在波の半波長の整数倍に実質的に等しく、
    前記シールド板は長方形状の形状を有しており、所定の2辺から前記第1の鉛直面までの長さ、及び他の2辺から前記第2の鉛直面までの長さはそれぞれ、前記定在波の半波長の整数倍と、前記定在波の4分の1波長との和に実質的に等しい、請求項14に記載の差動容量素子。
  17. 差動アンテナ素子であって、
    半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、互いに実質的に対称な位置に形成される複数のアンテナ素子と、
    各前記アンテナ素子と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板とを備え、
    各前記アンテナ素子を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記アンテナ素子は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記アンテナ素子において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記アンテナ素子が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記シールド板にはスリットが形成されている、差動アンテナ素子。
  18. 前記スリットは、前記第1の鉛直面と交差する、請求項17に記載の差動アンテナ素子。
  19. 差動アンテナ素子であって、
    半導体基板上において、第1の鉛直面を基準として、互いに実質的に対称な位置に形成される複数のアンテナ素子と、
    各前記アンテナ素子と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板とを備え、
    各前記アンテナ素子を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された各前記アンテナ素子は、前記シールド板と部分的に重なりを持ち、
    投影された各前記アンテナ素子において、前記シールド板と重なりを持つ部分の面積は、各前記アンテナ素子が有する面積の70%以上であるとともに、
    前記シールド板には複数の貫通孔が形成されている、差動アンテナ素子。
  20. 半導体基板上に形成される差動共振素子であって、
    第1の鉛直面を基準として、互いに実質的に対称な形状を有し、さらに、互いに実質的に対称な位置に2個の端子を有する少なくとも1個の誘電性の平板と、
    前記少なくとも1個の平板と、前記半導体基板との間に配置されるシールド板とを備え、
    前記少なくとも1個の平板を鉛直方向から前記シールド板に投影した時、投影された平板は、前記シールド板と部分的に重なりを持つ、差動共振素子。
  21. 投影された前記少なくとも1個の平板は、前記シールド板からはみ出ている、請求項20に記載の差動共振素子。
  22. 前記シールド板にはスリットが形成されている、請求項20に記載の差動共振素子。
  23. 前記スリットは、前記第1の鉛直面と交差する、請求項22に記載の差動共振素子。
  24. 前記シールド板には複数の貫通孔が形成されている、請求項20に記載の差動共振素子。
  25. 前記少なくとも1個の平板において、一方端には、差動信号を構成する同相信号が与えられ、他方端には、前記差動信号を構成する逆相信号が与えられる、請求項20に記載の差動共振素子。
  26. 前記シールド板は、インダクタンス及び/又は抵抗素子を介して、グランドに接続される、請求項20に記載の差動共振素子。
  27. 前記シールド板において、前記第1の鉛直面と交差する部分がグランドと接続される、請求項20に記載の差動共振素子。
  28. フィルタ回路に用いられる、請求項20に記載の差動共振素子。
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