以下、本発明のバルブ構造を図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器のピストン部の一部における縦断面図である。図2は、一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器のピストン部の横断面図である。図3は、一実施の形態の緩衝器のバルブ構造が具現化した緩衝器における減衰特性を示す図である。図4は、他の実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器のピストン部の一部における縦断面図である。図5は、別の実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器のピストン部の一部における縦断面図である。
一実施の形態における緩衝器のバルブ構造は、図1に示すように、緩衝器のピストン部の伸側および圧側の両方の減衰バルブに具現化されており、緩衝器内に一方室41と他方室42とを隔成するとともに上記一方室41と他方室42とを連通する一方側のポート2aおよび他方側のポート2bとを備えたバルブディスクたるピストン1と、ピストン1の一方室側面に積層されて一方側のポート2aを開閉する一方側のリーフバルブ10aと、ピストン1の他方室側面に積層されて他方側のポート2bを開閉する他方側のリーフバルブ10bと、他方室42と一方側のポート2aの上流とを連通する一方側の流路7と、一方室41と他方側のポート2bの上流とを連通する他方側の流路8と、一方側の流路7の途中に設けられ流路面積を減じることが可能な弁体12を備えた一方側の絞り弁11と、他方側の流路8の途中に設けられ流路面積を減じることが可能な弁体14を備えた他方側の絞り弁13と、一方室41および他方室42へ連通されるとともに内部の圧力で流路面積を減じない方向に一方側の絞り弁11における弁体12を附勢する一方側の圧力室34と、一方室41および他方室42へ連通されるとともに内部の圧力で流路面積を減じない方向に他方側の絞り弁13における弁体14を附勢する他方側の圧力室35と、一方室41と一方側の圧力室34との間に設けられて他方室42の圧力の作用によって開弁する一方側のリリーフ弁31と、他方室42と他方側の圧力室35との間に設けられて一方室41の圧力の作用によって開弁する他方側のリリーフ弁32と、を備えて構成されており、一方側のリリーフ弁31が開弁動作すると一方側の圧力室34内が減圧されて弁体12が作動して一方側の絞り弁11が流路7の流路面積を減じ、他方側のリリーフ弁32が開弁動作すると他方側の圧力室35内が減圧されて弁体14が作動して他方側の絞り弁13が流路8の流路面積を減じるようになっている。
なお、本書においては、各部の説明を容易とするため、一方側のポート2aが開放されるときに機能する部材については一方側の部材とし、他方側のポート2bが開放されるときに機能する部材については他方側の部材として、同一名称の部材を区別してある。
他方、バルブ構造が具現化される緩衝器は、周知であるので詳細には図示して説明しないが、具体的にたとえば、シリンダ40と、シリンダ40の上端を封止するヘッド部材(図示せず)と、ヘッド部材(図示せず)を摺動自在に貫通するピストンロッド5と、軸部材を形成するピストンロッド5の先端5aが挿通されて上記先端5aに固定されるピストン1と、シリンダ40内にピストン1で隔成される図1中上方側の一方室41と下方側の他方室42と、シリンダ40の下端を封止する封止部材(図示せず)と、シリンダ40から出没するピストンロッド5の体積分のシリンダ内容積変化を補償する図示しないリザーバあるいはエア室とを備えて構成され、シリンダ40内には流体、具体的には作動油が充填されている。
そして、上記バルブ構造にあっては、シリンダ40に対してピストン1が図1中上下方に移動して、一方室41と他方室42とをポート2a,2bを介して作動油が交流するときに、その作動油の流れに対しそれぞれ対応するリーフバルブ10a,10bで抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて、緩衝器に所定の減衰力を発生させる減衰力発生要素として機能する。
以下、このバルブ構造について詳しく説明すると、バルブディスクたるピストン1は、環状に形成されて、作動油が他方室42から一方室41へ通過することを許容する一方側のポート2aと、逆に作動油が一方室41から他方室42へ通過することを許容する他方側のポート2bと、各ポート2a,2bの出口端にそれぞれ連なる窓3a,3bと、各ポート2a,2bの出口端となる窓3a,3bの外周側に形成される環状の弁座1a,1bとを備えている。
さらに、各ポート2a,2bの開口端には、ピストン1に積層される各リーフバルブ10a,10bによって閉塞されないように開口窓6a,6bが設けられ、またさらには、このピストン1は、開口窓6bとピストン1の内周とを連通する通孔4aと、開口窓6aとピストン1の内周とを連通する通孔4bとを備えている。
そして、上述のように、ピストン1の内周側には緩衝器のピストンロッド5の先端5aが挿通され、ピストンロッド5の先端5aはピストン1の図1中下方側に突出させてある。また、ピストンロッド5の先端5aの外径は、先端5aより図1中上方側の外径より小径に設定され、上方側と先端5aとの外径が異なる部分に段部5bが形成されている。
さらに、このピストンロッド5の先端5aの外周には、上下に順に配置される四つの環状溝15,16,17,18が形成され、環状溝15と環状溝16とは同じく先端5aの外周に形成した縦溝19によって連通され、環状溝17と環状溝18とは同じく先端5aの外周に形成した縦溝20によって連通され、さらには、先端5aの図1中最下方の外周には螺子溝5cが形成されている。
また、ピストン1の図1中上下に積層されるリーフバルブ10a,10bは、環状に形成された板を複数枚積層して積層リーフバルブとして構成されており、一方側のリーフバルブ10aは、ピストン1に形成の弁座1aに当接させて、一方側のポート2aの出口端を閉塞し、他方側のリーフバルブ10bは、ピストン1に形成の弁座1bに当接させて、他方側のポート2bの出口端を閉塞している。この実施の形態においては、リーフバルブ10a,10bは、積層リーフバルブとして構成されているが、上記環状の板の枚数は、本バルブ構造で実現する減衰特性(ピストン速度に対する減衰力の関係)によって任意とされてよく、緩衝器に発生させる減衰特性によって複数枚とされても一枚のみでも差し支えなく、また、緩衝器に発生させる減衰特性によって各リーフの外径を異なるように設定することができる。
なお、一方側のリーフバルブ10aの積層リーフバルブを構成する板と板との間の一箇所に肉厚のリングrが介装されており、このリングrによって図1中上方側に積層される板群に初期撓みを与えられるようになっている。そして、リングrの厚みで初期撓みの撓み量を調節でき、この撓み量の設定によって、リーフバルブ10aが弁座1aから離れてポート2aを開放する時の開弁圧を調節することができるようになっている。このリングrは、他方側のリーフバルブ10bに適用されてもよいことは当然である。
さらに、詳しくは図示しないが、弁座1a,1bに着座するリーフバルブ10a,10bの外周に形成した切欠あるいは弁座1a,1bに打刻されて形成される周知のオリフィスが設けられている。
つづいて、一方側のリーフバルブ10aより図1中上方には、間座21、仕切部材22、他方側のリリーフ弁32を備えた保持部材23および環板状のストッパ24が積層され、さらに、仕切部材22の図1中上方には他方側の絞り弁13における筒状の弁体14が、上記保持部材23の外周に摺動自在に装着されるとともに、当該弁体14と仕切部材22との間に介装したスプリング25によってによって図1中上方へ附勢されて、その上端がストッパ24に当接してそれ以上の上方側への移動が規制されている。
他方、他方側のリーフバルブ10bより図1中下方には、間座26、仕切部材27、一方側のリリーフ弁31を備えた保持部材28および環板状のストッパ29が積層され、さらに、仕切部材27の図1中下方には一方側の絞り弁11における筒状の弁体12が、上記保持部材28の外周に摺動自在に装着されるとともに、当該弁体12と仕切部材27との間に介装したスプリング30によって図1中下方へ附勢されて、その上端がストッパ29に当接してそれ以上の下方側への移動が規制されている。
そして、ストッパ24、保持部材23、弁体14、スプリング25、仕切部材22、間座21、一方側のリーフバルブ10a、ピストン1、他方側のリーフバルブ10b、間座26、仕切部材27、保持部材28、スプリング30、弁体12およびストッパ29のこれら各部材は、順にピストンロッド5の先端5aに組み付けられ、上記先端5aに設けた螺子溝5cに螺着されるピストンナット33とピストンロッド5の段部5bとで挟持されてピストンロッド5に固定される。
すなわち、このバルブ構造にあっては、ピストン1の上方側に配置される間座21、仕切部材22、保持部材23、弁体14およびストッパ24の構成と、下方側に配置される間座26、仕切部材27、保持部材28、弁体12およびストッパ29の構成とは、ピストン1を境にして天地逆とした線対称の関係にある。
ピストン1の図1中上方に配置される仕切部材22は、底部22aと筒部22bとを備えて有底筒状とされ、その底部22aにはピストンロッド5の先端5aの挿入が可能な孔22cが設けられるとともに、底部22aを貫通する通孔22dが設けられ、また、筒部22bには、筒部22bを貫通する通孔22eが設けられている。そして、仕切部材22は、それぞれ筒部22bをピストン1の外周に嵌合させるようにして積層され、ピストン1との間に部屋R1を一方室41から仕切っており、また、部屋R1は他方側のポート2bの上流に連通されている。
他方、ピストン1の図1中下方に配置される仕切部材27も、同様に、底部27aと筒部27bとを備えて有底筒状とされ、その底部27aにはピストンロッド5の先端5aの挿入が可能な孔27cが設けられるとともに、底部27aを貫通する通孔27dが設けられ、また、筒部27bには、筒部27bを貫通する通孔27eが設けられている。そして、仕切部材27は、それぞれ筒部27bをピストン1の外周に嵌合させるようにして積層され、ピストン1との間に部屋R2を他方室42から仕切っており、また、部屋R2は一方側のポート2aの上流に連通されている。
つづいて、保持部材23は、図1および図2に示すように、小径部23aと大径部23bとを備えて筒状に形成されるとともに、大径部23bの外周に設けた環状溝23cと、環状溝23cと大径部側の端部とを連通する通路23dと、小径部23aの外周から開口して中間が小径部23aの内周に開口するバルブ孔23eとを備え、仕切部材22に積層されてピストンロッド5の先端5aに固定されてピストン1に対して軸方向に移動不能とされた状態で通路23dと仕切部材22の通孔22dとが通じるようになっている。なお、通路23dは、詳しくは、大径部23bの下端に設けた環状溝(符示せず)と、符示しない環状溝と環状溝23cとを連通する孔(符示せず)とで構成されており、保持部材23を仕切部材22に積層した際に確実に環状溝23cと通孔22dとの連通が実現されるようになっている。
したがって、部屋R1は、仕切部材22の通孔22eと、通路23dおよび通孔22dと、筒部22bとピストン1との間の隙間および開口窓6bと、を介して一方室41へ連通され、この実施の形態では、通孔22e、筒部22bとピストン1との間の隙間および開口窓6bでメイン流路を構成し、通路23dおよび通孔22dでサブ流路を構成し、これらメイン流路とサブ流路とで他方側の通路8を形成している。
弁体14は、筒部14aと、筒部14aの図1中上端内外周のそれぞれに設けたフランジ14b,14cとを備えて構成され、フランジ14bの内周を保持部材23の小径部23aの外周に、筒部14aの内周を保持部材23の大径部23bの外周にそれぞれ摺接させて保持部材23の外周に摺動自在に装着されている。また、弁体14は、保持部材23の小径部23aの外周と大径部23bの図1中上端と弁体14の内周およびフランジ14bで他方側の圧力室35を隔成し、圧力室35は弁体14の筒部14aに設けたオリフィス孔14dによって一方室41へ連通されて、一方室41内の圧力が導かれるようになっている。
さらに、弁体14は、当該弁体14と仕切部材22との間に介装したスプリング25によって、図1中上方側へ附勢されて、何ら他に力が作用しない状態ではストッパ24で規制する図中最上方に配置される。すなわち、弁体14は、図1中上面を受圧面積として作用する一方室41の圧力によって下方へ附勢され、反対に、筒部14aの図1中下面およびフランジ14cの図1中下面を受圧面積として作用する一方室41の圧力と、圧力室35の断面積を受圧面積として作用する圧力室35の圧力と、スプリング25のバネ力によって上方へ附勢されている。
そして、この他方側の絞り弁13は、弁体14とスプリング25とを備えて構成されており、弁体14がスプリング25の附勢力に抗して、図1中下方へ移動すると、筒部14aの下端が保持部材23の大径部23bの外周に設けた環状溝23cに対面してサブ流路における流路面積を減じ、完全に筒部14aで環状溝23cを閉塞するとサブ流路を閉塞して、他方側の流路8の流路面積を、筒部22bとピストン1との間の隙間が開口窓6bに対向する面積と通孔22eの開口面積との合算した面積であるメイン流路面積にまで減少させるようになっている。
戻って、保持部材23におけるバルブ孔23eは、上記した圧力室35に対向し、このバルブ孔23e内には、バルブ孔23eに嵌着される筒状のプラグ32aと、プラグ32aの端部に着座する球状弁体32bと、球状弁体32bをプラグ32aへ向けて附勢するスプリング32cとを備えて構成される他方側のリリーフ弁32が設けられ、保持部材23がピストンロッド5の先端5aに固定された状態でバルブ孔23eはピストンロッド5に設けた環状溝15に連通される。
すなわち、バルブ孔23eは、圧力室35を介して一方室41へ連通されるとともに、縦溝19、環状溝16および通孔4bを介して他方室42に連通されるようになっている。
そして、上記リリーフ弁32にあっては、上記したところから理解できるように、圧力室35と他方室42との間に設けられており、一方室41の圧力が導かれる圧力室35内の圧力によって球状弁体32bをプラグ32aから後退させる力がスプリング32cおよび他方室42の圧力による球状弁体32bをプラグ32a側へ押し付ける力に打ち勝つことによって開弁するようになっている。
転じて、ピストン1の図1中下方へ配置される一方側の保持部材28および一方側の絞り弁11は、上記した他方側の保持部材22および他方側の絞り弁13を天地逆向きとした構成とされている。
詳しく説明すると、保持部材28は、小径部28aと大径部28bとを備えて筒状に形成されるとともに、大径部28bの外周に設けた環状溝28cと、環状溝28cと大径部側の端部とを連通する通路28dと、小径部28aの外周から開口して中間が小径部28aの内周に開口するバルブ孔28eとを備え、仕切部材27に積層されてピストンロッド5の先端5aに固定されてピストン1に対して軸方向に移動不能とされた状態で通路28dと仕切部材27の通孔27dとが通じるようになっており、さらに、バルブ孔28eはピストンロッド5に設けた環状溝18に連通される。なお、通路28dは、詳しくは、大径部28bの下端に設けた環状溝(符示せず)と、符示しない環状溝と環状溝28cとを連通する孔(符示せず)とで構成されており、保持部材28を仕切部材27に積層した際に確実に環状溝28cと通孔27dとの連通が実現されるようになっている。
したがって、部屋R2は、仕切部材27の通孔27eと、通路28dおよび通孔27dと、筒部27bとピストン1との間の隙間および開口窓6aと、を介して他方室42へ連通され、この実施の形態では、通孔27e、筒部27bとピストン1との間の隙間および開口窓6aでメイン流路を構成し、通路28dおよび通孔27dでサブ流路を構成し、これらメイン流路とサブ流路とで一方側の通路7を形成している。
弁体12は、筒部12aと、筒部12aの図1中下端内外周のそれぞれに設けたフランジ12b,12cとを備えて構成され、フランジ12bの内周を保持部材28の小径部28aの外周に、筒部12aの内周を保持部材28の大径部28bの外周にそれぞれ摺接させて保持部材28の外周に摺動自在に装着されている。また、弁体12は、保持部材28の小径部28aの外周と大径部28bの図1中下端と弁体12の内周およびフランジ12bで一方側の圧力室34を隔成し、圧力室34は弁体12の筒部12aに設けたオリフィス孔12dによって他方室42へ連通されて、他方室42内の圧力が導かれるようになっている。
さらに、弁体12は、当該弁体12と仕切部材27との間に介装したスプリング30によって、図1中下方側へ附勢されて、何ら他に力が作用しない状態ではストッパ29で規制する図中最上方に配置される。すなわち、弁体12は、図1中下面を受圧面積として作用する他方室42の圧力によって上方へ附勢され、反対に、筒部12aの図1中上面およびフランジ12cの図1中上面を受圧面積として作用する他方室42の圧力と、圧力室34の断面積を受圧面積として作用する圧力室34の圧力と、スプリング30のバネ力によって下方へ附勢されている。
そして、この一方側の絞り弁11は、弁体12とスプリング30とを備えて構成されており、弁体12がスプリング30の附勢力に抗して、図1中上方へ移動すると、筒部12aの下端が保持部材28の大径部28bの外周に設けた環状溝28cに対面してサブ流路における流路面積を減じ、完全に筒部14aで環状溝23cを閉塞するとサブ流路を閉塞して、一方側の流路7の流路面積を、筒部27bとピストン1との間の隙間が開口窓6aに対向する面積と通孔27eの開口面積との合算した面積であるメイン流路面積にまで減少させるようになっている。
戻って、保持部材28におけるバルブ孔28eは、上記した圧力室34に対向し、このバルブ孔28e内には、バルブ孔28eに嵌着される筒状のプラグ31aと、プラグ31aの端部に着座する球状弁体31bと、球状弁体31bをプラグ31aへ向けて附勢するスプリング31cとを備えて構成される一方側のリリーフ弁31が設けられている。
すなわち、バルブ孔28eは、圧力室34を介して他方室42へ連通されるとともに、環状溝18、縦溝20、環状溝17および通孔4aを介して一方室41に連通されるようになっている。
そして、上記リリーフ弁31にあっては、上記したところから理解できるように、圧力室34と一方室41との間に設けられており、他方室42の圧力が導かれる圧力室34内の圧力によって球状弁体31bをプラグ31aから後退させる力がスプリング31cおよび一方室41の圧力による球状弁体31bをプラグ31a側へ押し付ける力に打ち勝つことによって開弁するようになっている。
整理すると、上記各部材がピストンロッド5に固定された状態で、ピストン1の内周に開口する通孔4aがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝17に対向し、保持部材28の内周に開口するバルブ孔28eがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝18に対向し、通孔4a、環状溝17、縦溝20、環状溝18、バルブ孔28eおよび圧力室34を介して一方室41と他方室42とが連通され、さらに、圧力室34と一方室41との間に他方室42の圧力の作用によって開弁する一方側のリリーフ弁31が設けられている。
他方、ピストン1の内周に開口する通孔4bがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝16に対向し、保持部材23の内周に開口するバルブ孔23eがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝15に対向し、通孔4b、環状溝16、縦溝19、環状溝15、バルブ孔23eおよび圧力室35を介して一方室41と他方室42とが連通され、さらに、圧力室35と他方室42との間に一方室41の圧力の作用によって開弁する他方側のリリーフ弁32が設けられている。
つづいて、上述のように構成されたバルブ構造の作用について説明する。まず、ピストン1がシリンダ40に対して図1中下方側に移動すると、他方室42内の圧力が高まり、他方室42内の作動油は開口窓6aおよび一方側のポート2aを通過して一方室41内に移動しようとする。
そして、緩衝器の伸縮速度となるピストン速度が低速領域にある場合、作動油は、上述の弁座1aに着座するリーフバルブ10aの外周に設けた切欠あるいは弁座1aに打刻によって形成されるオリフィスを通過し、その後のピストン速度が上昇して中速領域に達すると、作動油は、リーフバルブ10aの外周を撓ませて、リーフバルブ10aと弁座1aと間の隙間を通過する。
このピストン速度が低中速領域にある場合、一方側のリーフバルブ10aがポート2aを開放するので、一方側のリリーフ弁31の球状弁体31bの背面側には一方室41内の圧力が作用し、球状弁体31bの正面側には他方室42内と略同程度の圧力となる圧力室34内の圧力が作用することになるが、他方室42の圧力と一方室41の圧力との差が、球状弁体31bを後退させて一方側のリリーフ弁31の開弁させる開弁圧に達しないので、リリーフ弁31が閉じたままとなって圧力室34内の圧力は他方室42内の圧力と略等しく保たれ、弁体12は、スプリング30の附勢力に抗して図1中上方へ移動することができず、結果、一方側の絞り弁11は、一方側の通路7の流路面積を減じない。
したがって、ピストン速度が低中速領域にある場合には、一方側のリーフバルブ10aのみによる減衰特性(ピストン速度に対する減衰力の関係)を呈することとなる。そして、リーフバルブ10aのバネ剛性を低く設定しておくことにより、図3の実線に示すが如く、ピストン速度が中速領域における減衰特性の傾きを小さくし、従来のバルブ構造に比較して発生減衰力が低くなるよう設定することができる。
他方、ピストン1の速度が高速領域に達して、他方室42内の圧力と一方室41内の圧力との差が大きくとなると、球状弁体31bを後退させる力が大きくなり、上記圧力差がリリーフ弁31の開弁圧に達すると、圧力室34が一方室41に連通されて減圧される。そして、弁体12を図1中下方へ押圧する圧力室34内の圧力の低下によって、弁体12は、図1中下面側から作用する他方室42内の圧力によってスプリング30の附勢力に抗して図1中上方へ押し上げられて、筒部12aが環状溝28cをラップしてサブ流路を閉塞する。なお、弁体12に設けられたオリフィス孔12dは、リリーフ弁31が開放動作したときに、圧力室34と他方室42の圧力に差を生じさせて、圧力室34の減圧を可能としている。
すなわち、ピストン速度が高速領域に達すると、一方側のリリーフ弁31が開弁動作して弁体12がサブ流路を閉塞して通路7の流路面積を減じるため、この高速領域における減衰特性は、図3の実線に示すが如く、減衰係数が大きくなり、ピストン速度が高速領域にある時の発生減衰力を高めることになる。
逆に、ピストン1がシリンダ40に対して図1中上方側に移動する場合には、ピストン1の下方側に配置されるバルブ構造の構成がピストン1の上方側に配置される構成とが互いに天地逆となった構成とされているので、上記した処と同様の作動を呈することになる。
詳しくは、ピストン1がシリンダ40に対して図1中上方側に移動する場合、一方室41内の圧力が高まって、一方室41内の作動油は開口窓6bおよび他方側のポート2bを通過して他方室42内に移動しようとする。そして、緩衝器の伸縮速度となるピストン速度が低速領域にある場合、作動油は、上述の弁座1bに着座する他方側のリーフバルブ10bの外周に設けた切欠あるいは弁座1bに打刻によって形成されるオリフィスを通過する。
その後のピストン速度が上昇して中速領域に達すると、作動油は、リーフバルブ10bの外周を撓ませて、リーフバルブ10bと弁座1bと間の隙間を通過するが、圧力室35を介して球状弁体32bの正面側に作用する一方室41の圧力と球状弁体32bの背面側に作用する他方室42の圧力との差が他方側のリリーフ弁32の開弁圧に達しないので、リリーフ弁32が閉じたままとなって圧力室35内の圧力は一方室41内の圧力と略等しく保たれ、弁体14は、スプリング25の附勢力に抗して図1中下方へ移動することができず、結果、他方側の絞り弁13は、他方側の通路8の流路面積を減じない。
したがって、ピストン速度が低中速領域にある場合には、他方側のリーフバルブ10bのみによる減衰特性(ピストン速度に対する減衰力の関係)を呈することとなる。そして、リーフバルブ10bのバネ剛性を低く設定しておくことにより、図3の破線に示すが如く、ピストン速度が中速領域における減衰特性の傾きを小さくし、従来のバルブ構造に比較して発生減衰力が低くなるよう設定することができる。
つづいて、ピストン1の速度が高速領域に達して、一方室41内の圧力と他方室42内の圧力との差が大きくとなると、球状弁体32bを後退させる力が大きくなり、上記圧力差がリリーフ弁32の開弁圧に達すると、圧力室35が他方室42に連通されて減圧される。そして、弁体14を図1中上方へ押圧する圧力室35内の圧力の低下によって、弁体14は、図1中上面側から作用する一方室41内の圧力によってスプリング25の附勢力に抗して図1中下方へ押し下げられて、筒部14aが環状溝23cをラップしてサブ流路を閉塞する。なお、弁体14に設けられたオリフィス孔14dも、オリフィス孔12dと同様に、リリーフ弁32が開放動作したときに、圧力室35と一方室41の圧力に差を生じさせて、圧力室35の減圧を可能としている。
すなわち、ピストン速度が高速領域に達すると、他方側のリリーフ弁32が開弁動作して弁体14がサブ流路を閉塞して通路8の流路面積を減じるため、この高速領域における減衰特性は、図3の破線に示すが如く、減衰係数が大きくなり、ピストン速度が高速領域にある時の発生減衰力を高めることになる。
したがって、本実施の形態の緩衝器のバルブ構造にあっては、ピストン速度が中速領域における減衰係数を低く設定しながら、ピストン速度が高速領域における減衰係数を大きくすることが可能であるので、ピストン速度に応じて発生される減衰力に過不足が生じず、車両における乗り心地を向上することができるのである。
また、本バルブ構造にあっては、リーフバルブ10a,10bを附勢するスプリングが不要で、スプリングの自然長の長大化を招くことが無く、バルブ構造を含んだピストン部の軸方向長さが大型化してしまう不具合が無いため、緩衝器の伸縮可能範囲であるストローク長が短くなる不具合がなく、車両への搭載性が悪化することがない。
さらに、スプリングでリーフバルブ10a,10bの背面を附勢する構成を採用していないので、スプリングの附勢力のバラツキによって製品毎の減衰特性にバラツキが生じてしまうような心配が無く、緩衝器のバルブ構造の信頼性および安定性が向上する。
なお、絞り弁11,13における弁体12,14を附勢するスプリング25,30は、流路7,8を絞った後に、元の位置まで弁体12,14を戻すために設けられているものであり、上記機能を果たせばスプリング25,30のバネ剛性の設定は任意であり、スプリング25,30の長さによってピストン部の全長が長くなってしまうこともない。さらに、図示したところでは、スプリング25,30をコイルスプリングとしているが、これをたとえば、皿バネやリーフスプリングとしたり、ゴム等の弾性体としたりしてもよい。
また、一方側の流路7および他方側の流路8がメイン流路とサブ流路とを備えて、一方側および他方側の絞り弁11,13がサブ流路を閉じる事によって流路面積を減じるようになっているので、流路面積が最小の状態となるときにはメイン流路のみが連通される状態となり、流路7,8の絞り度合で減衰力を設定する必要が無く、この点においても、ピストン速度が高速以上となる場合における減衰特性が安定するとともに、製品毎に減衰特性がばらついてしまうこともない。また、上記したように、流路7,8の絞り度合で減衰力を設定する必要が無いので、スプリング25,30におけるバネ剛性に多少のバラツキがあっても、大きく減衰特性が変わってしまう心配もない。
さらに、仕切部材22,27をバルブディスクたるピストン1に積層するだけでポート2a,2bの上流にメイン流路およびサブ流路を形成することができるので、メイン流路およびサブ流路を備えた通路7,8の形成が容易で、バルブ構造の組立加工も容易となる利点がある。
そして、サブ流路が保持部材23,28における大径部23b,28bの外周から開口して部屋R1,R2へ連通され、弁体12,14で保持部材23,28における大径部23b,28bの外周におけるサブ流路の開口である環状溝23c,28cにラップして流路面積を減少させる絞り弁11,13を構成したので、確実にサブ流路を閉塞することができ、この点においても、ピストン速度が高速以上となったときの減衰特性を安定させることができるとともに、製品毎に減衰特性がばらついてしまう不具合もない。
また、弁体12,14を筒状に形成して、保持部材23,28の外周に摺動自在に装着して圧力室34,35を画成したので、圧力室34,35の形成が容易で、バルブ構造の組立が容易となる。
さらに、リリーフ弁31,32は、保持部材23,38内に内設されるので、予めリリーフ弁31,32を保持部材23,28にアッセンブリしておくことができ、バルブ構造の組立が非常に簡易となる。
なお、本実施の形態では、環状溝16,17をそれぞれピストン1に設けた通孔4a,4bに連通して、リリーフ弁31,32の球状弁体31b,32bの背面にそれぞれ一方室41と他方室42内に圧力を作用させるようにしているが、通孔4a,4bおよび環状溝16,17を廃して直接的に一方室41や他方室42に連通される通路を設けて球状弁体31b,32bの背面にそれぞれ一方室41と他方室42内に圧力を作用させるようにしてもよい。
つづいて、図4に示す他の実施の形態におけるバルブ構造について説明する。この他の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、リリーフ弁の構成が上述の一実施の形態と異なる。なお、その他の構成は一実施の形態のバルブ構造と同様であり、以下では異なる点について説明し、同じ部材については同様の符号を付して説明を省略する。
他の実施の形態におけるバルブ構造が一実施の形態のバルブ構造と異なるのは、具体的には、図4に示したように、一方側および他方側の保持部材50,51と保持部材50,51にそれぞれ収容される一方側および他方側のリリーフ弁の構成である。
保持部材50,51は、ともに、小径部50a,51aと大径部50b,51bと小径部50a,51aから立ち上がるソケット50c,51cとを備えて筒状に形成されるとともに、大径部50b,51bの外周に設けた環状溝50d,51dと、環状溝50d,51dと大径部50b,51bの端部とを連通する通路50e,51eと、小径部50a,51aの外周から開口して小径部50a,51aの端部に連通される通路50f,51fとを備えて構成されている。
そして、保持部材50,51をそれぞれ仕切部材22,27に積層してピストンロッド5の先端5aに固定し、保持部材50,51がピストン1に対して軸方向に移動不能とされた状態で、それぞれ通路50e,51eと通孔22d,27dとが通じてサブ流路を構成するようになっている。
また、この保持部材50,51の小径部50a,51aの端面には、それぞれ通路50f,50fの開口部を開閉するリーフバルブ52,53が積層されており、このリーフバルブ52,53がそれぞれ一方側および他方側のリリーフ弁を構成している。なお、通路50f,51fの小径部50a,51aの端面側の開口は環状とされている。
さらに、これらリーフバルブ52,53には、それぞれスペーサ54,55が積層され、またさらには、スペーサ54,55と保持部材50,51のソケット50c,51cの端部に当接するストッパ56,57でソケット50c,51c内が封止されている。
そして、この封止された空間R3,R4は、スペーサ54,55に設けた孔54a,55aを介して、それぞれ、ピストンロッド5に設けた環状溝15,18に連通されている。
すなわち、この他の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、ピストン1の内周に開口する通孔4aがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝17に対向し、保持部材51内に区画される空間R4がピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝18に連通するようになっているので、通孔4a、環状溝17、縦溝20、環状溝18、空間R4、通路51fおよび圧力室34を介して一方室41と他方室42とが連通され、さらに、圧力室34と一方室41との間に他方室42の圧力の作用によって開弁するリーフバルブ53でなる一方側のリリーフ弁が設けられている。
他方、ピストン1の内周に開口する通孔4bがピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝16に対向し、保持部材50内に区画される空間R3がピストンロッド5の先端5aに設けた環状溝15に連通するようになっているので、通孔4b、環状溝16、縦溝19、環状溝15、空間R3、通路50fおよび圧力室35を介して一方室41と他方室42とが連通され、さらに、圧力室35と他方室42との間に一方室41の圧力の作用によって開弁するリーフバルブ52でなる他方側のリリーフ弁が設けられている。
したがって、他の実施の形態におけるバルブ構造は、主としてリリーフ弁の具体的構成が一実施の形態におけるバルブ構造と異なるのみであって、作動は一実施の形態におけるバルブ構造と異なるところが無いので、一実施の形態におけるバルブ構造と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、他の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、ピストン速度に応じて発生される減衰力に過不足が生じず、車両における乗り心地を向上することができ、バルブ構造を含んだピストン部の軸方向長さが大型化してしまう不具合が無いため、緩衝器の伸縮可能範囲であるストローク長が短くなる不具合がなく、車両への搭載性が悪化することがない。
そして、この他の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、バルブ構造を構成する各部材を順に積層していくだけでバルブ構造を具現化することができるので、組立加工がさらに簡単となる。
最後に、つづいて、図5に示す別の実施の形態におけるバルブ構造について説明する。この別の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、リリーフ弁の構成が上述の一実施の形態と異なる。なお、その他の構成は一実施の形態のバルブ構造と同様であり、以下では異なる点について説明し、同じ部材については同様の符号を付して説明を省略する。
別の実施の形態におけるバルブ構造が一実施の形態のバルブ構造と異なるのは、図5に示したように、一方側および他方側の保持部材60,61と一方側および他方側のリリーフ弁の構成、および、一方室41と他方室42と圧力室34,35とを連通する通路構成である。
保持部材60,61は、ともに、小径部60a,61aと大径部60b,61bとを備えて筒状に形成されるとともに、大径部60b,61bの外周に設けた環状溝60c,61cと、環状溝60c,61cと大径部60b,61bの端部とを連通する通路60d,61dと、小径部60a,61aの外周から開口して小径部50a,51aの内周に設けた大径孔60e,61eに連通される通路60f,61fと、小径部60a,61aの内周から開口して小径部60a,61aの端部に連通する通路60g,61gとを備えて構成されている。
そして、保持部材60,61をそれぞれ仕切部材22,27に積層してピストンロッド5の先端5aに固定し、保持部材60,61がピストン1に対して軸方向に移動不能とされた状態で、それぞれ通路60d,61dと通孔22d,27dとが通じてサブ流路を構成するようになっている。
さらに、この実施の形態では、ピストンロッド5の先端5aの外周には、上下に配置される環状溝70,71と、環状溝70に通じて図5中下方へ伸びる縦溝72と、環状溝71に通じて図5中上方へ伸びる縦溝73とが形成されている。また、保持部材60における通路60gが環状溝70に連通されるとともに、圧力室35に通じる通路60fが大径孔60eを介して縦溝73に連通される。さらに、保持部材61における通路61gが環状溝71に連通されるとともに、圧力室34に通じる通路61fが大径孔61eを介して縦溝72に連通される。
つづいて、保持部材60,61の小径部60a,61aの端面には、それぞれ通路60g,61gの開口部を開閉するリーフバルブ62,63が積層されており、このリーフバルブ62,63がそれぞれ一方側および他方側のリリーフ弁を構成している。なお、通路60g,61gの小径部60a,61aの端面側の開口は環状とされている。
さらに、これらリーフバルブ62,63には、それぞれ間座64,65が積層され、またさらには、間座64,65にストッパ66,67が積層されている。そして、ストッパ66は弁体14と協働して小径部60aの図5中上方に空間R5を形成しており、この空間R5はストッパ66に設けた孔66aによって一方室41に連通されている。他方、ストッパ67は弁体12と協働して小径部61aの図5中下方に空間R6を形成しており、この空間R6はストッパ67に設けた孔67aによって他方室42に連通されている。
すなわち、この別の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、他方室42と一方室41とが、圧力室34、通路61f、大径孔61e、縦溝72、環状溝70、通路60gおよび空間R5を介して連通されており、さらに、圧力室34と一方室41との間に他方室42の圧力の作用によって開弁するリーフバルブ62でなる一方側のリリーフ弁が設けられている。したがって、この実施の形態の場合、通路構成のようになっているので、ピストン1の内周に開口する通孔4aは廃止されており、また、一方側のリリーフ弁は一方室41内に配置されている。
さらに、他方室42と一方室41とが、圧力室35、通路60f、大径孔60e、縦溝73、環状溝71、通路61gおよび空間R6を介して連通されており、さらに、圧力室35と他方室42との間に一方室41の圧力の作用によって開弁するリーフバルブ63でなる他方側のリリーフ弁が設けられている。したがって、この実施の形態の場合、通路構成のようになっているので、ピストン1の内周に開口する通孔4bも廃止されており、また、他方側のリリーフ弁は他方室42内に配置されている。
このように、この別の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、圧力室34,35を介して一方室41と他方室42とを連通する通路構成が簡素化され、製造が容易となる利点がある。
そして、別の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、その作動は一実施の形態におけるバルブ構造と異なるところが無いので、一実施の形態におけるバルブ構造と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、他の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、ピストン速度に応じて発生される減衰力に過不足が生じず、車両における乗り心地を向上することができ、バルブ構造を含んだピストン部の軸方向長さが大型化してしまう不具合が無いため、緩衝器の伸縮可能範囲であるストローク長が短くなる不具合がなく、車両への搭載性が悪化することがない。
また、この別の実施の形態におけるバルブ構造にあっては、バルブ構造を構成する各部材を順に積層していくだけでバルブ構造を具現化することができるので、組立加工がさらに簡単となる。
なお、各実施の形態にあっては、リリーフ弁が保持部材22,28に内設あるいは保持部材50,51,60,61に積層して構成されるようになっているが、圧力室34,35を介して一方室41と他方室42とを連通する通路をピストンロッド5内に設ける場合には、リリーフ弁をピストンロッド5内に設置するようにしてもよい。
ちなみに、減衰力を高めるべきピストン速度、つまり、中速と高速との境については、バルブ構造が具現化した緩衝器が搭載される車両に最適となるように設定すればよく、また、上記減衰力を高めるべきピストン速度は緩衝器の伸長時と圧縮時とで一致しなくともよく、上記設定は、スプリング25,30のバネ剛性、圧力室34,35の圧力を弁体12,14に作用させる受圧面積、弁体12,14に設けられるオリフィス孔12a,14aの開口面積、各実施形態のリリーフ弁における開弁圧の調整によって行うことが可能である。
また、上記したところでは、緩衝器のピストン部の伸圧両側の減衰バルブに具現化した例を用いて本発明のバルブ構造を説明しているが、伸側のみ、あるいは、圧側のみの減衰バルブに具現化することも可能で、さらには、ベースバルブ部に具現化することも可能であり、およそ減衰力を発生する減衰力発生要素として機能する緩衝器のバルブに適用することが可能なことは勿論である。すなわち、バルブ構造がベースバルブ部に具現化される場合には、一方室をピストン側室あるいはリザーバ室の一方とし、他方室をピストン側室あるいはリザーバ室の他方とすればよい。
以上で緩衝器のバルブ構造の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。