以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、エンジンEが右ブラケット100Rを介して防振装置Fに支持された状態について説明する。
図1(a)は、本発明の一実施の形態における右ブラケット100Rの側面図であり、図1(b)は、本発明の一実施の形態における右ブラケット100Rの上面図である。なお、図1(a)では、右ブラケット100RがエンジンEと防振装置FとへボルトB及びナットNにより締結される前の状態を図示している。
また、図1(a)及び図1(b)において、矢印Uは車体Gの上方向を、矢印Dは車体Gの下方向を、矢印Lは車体Gの左方向を、矢印Rは車体Gの右方向を、矢印Fは、車体Gの前方向を、矢印Bは、車体Gの後方向をそれぞれ示している。なお、請求項1に記載した車体左右方向は、矢印L及び矢印Rが示す方向に対応し、請求項1に記載した車体前後方向は、矢印F及び矢印Bが示す方向に対応する。
また、図2から図7に示す矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bは、図1(a)及び図1(b)に示す矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bが示す方向に対応する。
なお、本実施の形態ではエンジンEが右ブラケット100R及び左ブラケットを介して左右の防振装置Fに支持されている。これら右ブラケット100R及び左ブラケットは、左右対称に構成されているので右ブラケット100Rの構成について説明し、左ブラケットの構成についての説明は省略する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、右ブラケット100Rは、アルミニウム合金材料から構成される鋳物であり、防振装置FとエンジンEとにボルトB及びナットNを介して締結されており、エンジンEを防振装置Fに対して支持するものである。
また、アルミニウム合金は、鉄より共振点(固有振動値)が高いので、右ブラケット100Rを鉄にて構成した場合に比べて、共振点を高周波側に移行させることができる。よって、右ブラケット100Rの共振が防振装置Fの防振性能に悪影響を与えることを防止することができる。なお、右ブラケット100Rの詳細な構成については、図2から図7を参照して後述する。
図1(a)に示すように、防振装置Fは、液体封入式の防振装置であり、車体Gに螺合されるおねじYが凸設された上金具F1と、右ブラケット100Rに螺合されるおねじY(図示せず)が凸設された下金具F2とを備えており、それらおねじYがナットNに螺合されることで、右ブラケット100Rを介してエンジンEが防振装置Fによって支持される。なお、防振装置Fは公知の構成であるため、その詳細な内部構成については図示および説明を省略する。
また、エンジンE及び防振装置Fとの間に介設された右ブラケット100Rには、例えば、車体Gの加減速によりエンジンEが車体G(防振装置F)に対して矢印B又は矢印F方向へ相対移動されることで、車体前後方向の力が入力され、車体Gの旋回によりエンジンEが車体G(防振装置F)に対して矢印L又は矢印R方向へ相対移動されることで、車体左右方向の力が入力され、車体Gの旋回に伴う車体GのロールとによりエンジンEが車体G(防振装置F)に対して矢印U又は矢印D方向へ相対移動されることで、車体上下方向の力が入力され、車体Gの悪路走行における車体Gの上下動によりエンジンEが車体G(防振装置F)に対して矢印U又は矢印D方向へ相対移動されることで、上下方向の力が入力される。即ち、右ブラケット100Rには、車体前後方向、車体左右方向および車体上下方向の力が作用することとなる。
次に、図2から図7を参照して、右ブラケット100Rの詳細な構成について説明する。図2は、右ブラケット100Rの上面図であり、図3は、右ブラケット100Rの底面図である。なお、図3では、理解を容易とするために、防振装置側連結部11とエンジン側連結部12との境界、エンジン側連結部12と連成部13との境界、エンジン前側連結部14とエンジン中間連結部16との境界およびエンジン中間連結部16とエンジン後側連結部15との境界を2点鎖線にて示している。
また、図4から図7は、右ブラケット100Rの側面図であり、図4は、車体G後側から見た矢印F方向視における右ブラケット100Rの後側面図であり、図5は、車体G前側から見た矢印B方向視における右ブラケット100Rの前側面図であり、図6は、車体G右側から見た矢印L方向視における右ブラケット100Rの右側面図であり、図7は、車体G左側から見た矢印R方向視における右ブラケット100Rの左側面図である。
なお、図6では、理解を容易とするために、エンジン側連結部12と連成部13との境界を2点鎖線にて示している。
図2から図7に示すように、右ブラケット100Rは、エンジンE(図1(a)参照)を車体Gの右側(図1(a)矢印)から支持するものであり、ブラケットベース10と、そのブラケットベース10から立設されるリブ群20と、そのリブ群20によって区画される区画面30とを備えている。そのため、ブラケットベース10を薄肉として、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
ブラケットベース10は、直方体形状に構成された防振装置側連結部11と、その防振装置側連結部11の長辺より長い長辺を有する直方体形状に構成されたエンジン側連結部12と、そのエンジン側連結部12と防振装置側連結部11とを連設する上面視(図2紙面垂直方向視)台形形状の立体として構成された連成部13とを備えている。
図2から図6に示すように、防振装置側連結部11は、ボルトB(図1(a)参照)を介して防振装置F(図1(a)参照)と連結される部位であり、装置側座部11aと、装置側孔11bと、装置側壁部11cと、装置側溝11dとを備えている。
図2から図5に示すように、装置側座部11aは、防振装置F(図1(a)参照)に連結される部位であり、防振装置側連結部11の防振装置F側に配設されると共に平板形状に構成され、防振装置Fに当接される平面である装置側座部下面11fと、ボルトBの座面が当接される平面である装置側座部上面11gとを備えている。
図4及び図5に示すように、装置側座部11aの厚さ(装置側座部下面11fと装置側座部上面11gとの車体上下方向(図4矢印UD方向)の間隔寸法値)は、t1に設定されている。
図2から図5に示すように、装置側孔11bは、おねじY(図1(a)参照)が挿通されるための孔であり、車体上下方向(図4、図5及び図6の矢印UD方向)に貫通形成されており、装置側座部下面11fと装置側座部上面11gとに開口している。また、装置側孔11bは、防振装置側連結部11の車体前後方向(図2矢印FB方向)の中央の位置に配設されている。
よって、装置側孔11bに挿通されたおねじY(図1(a)参照)をナットN(図1(a)参照)で締結することで、ナットNと防振装置Fとで装置側座部下面11fと装置側座部上面11gとを狭持して防振装置側連結部11を防振装置Fに固定することができる。
図2、図4、図5及び図6に示すように、装置側壁部11cは、装置側座部11aの強度を確保するためのものであり、装置側座部11aから車体上方向(図4、図5及び図6の矢印U方向)に向けて突設され上面視(図2紙面垂直方向視)コの字形状に構成されている。また、装置側壁部11cの先端には、壁部上部先端面11eが平面状に形成されている。
図2に示すように、装置側壁部11cは、装置側孔11bの周りを囲うように延設され、装置側壁部11cのコの字形状の開口は、車体左方向(図2矢印L方向)に向かって配設されている。
よって、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向と防振装置側連結部11に入力される車体左右方向との力であってボルトB(図1(a)参照)を介して装置側孔11bに作用する力および防振装置側連結部11に入力される車体上下方向の力であってボルトBの座面を介して装置側座部上面11gに作用する力に対する防振装置側連結部11の強度を確保することができる。
図2から図5に示すように、装置側壁部11cの車体前側(図2矢印F方向側)の側面と車体後側(図2矢印R方向側)の側面とには、それぞれ装置側溝11dが凹設されている。
装置側溝11dは、車体上下方向(図4及び図5矢印UD方向)に延設されており、車体上側端部(図4及び図5矢印U側端部)が装置側壁部11cの壁部上部先端面11eに連成され、車体下側端部(図4及び図5矢印U側端部)が装置側座部11aの装置側座部下面11fに連成されている。
図2に示すように、装置側溝11dは、装置側孔11bよりエンジン側連結部12側(図2矢印L側)に寄って配設されているので、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向(図2矢印FB方向)の力が右ブラケット100Rに作用した場合には、装置側溝11d自体が車体上下方向(図2矢印UD方向)に直交する方向(図2矢印LR方向)に湾曲変形されることで、右ブラケット100Rに掛かる力を分散させて、右ブラケット100Rの破断を防ぐことができる。
図2から図7に示すように、エンジン側連結部12は、エンジンE(図1(a)参照)と連結される部位であり、エンジン前側連結部14と、エンジン後側連結部15と、エンジン前側連結部14とエンジン後側連結部15とを連接するエンジン中間連結部16とを備えている。
なお、エンジン前側連結部14とエンジン後側連結部15とは、エンジン前側連結部14の配設位置が車体Gの前側(図2矢印F方向側)であり、エンジン後側連結部15の配設位置が車体Gの後側(図2矢印B方向側)であるという違いと、エンジン前側連結部14のエンジン前側孔14bから防振装置側連結部11の装置側孔11bまでの寸法値がエンジン後側連結部15のエンジン後側孔15bから防振装置側連結部11の装置側孔11bのまでの寸法値より大きな寸法値であるという違いとは有るがその他の構成は同一であるので、エンジン前側連結部14の構成に関して説明し、エンジン後側連結部15の構成の説明は省略する。
図2、図3、図5及び図7に示すように、エンジン前側連結部14は、ボルトB(図1(a)参照)を介してエンジンE(図1(a)参照)と締結される部位でありエンジン前側座部14aと、エンジン前側孔14bとを備えている。エンジン前側座部14aは、エンジンEに連結される部位であり、エンジンEに当接される平面であるエンジン前側座部下面14fと、ボルトBの座面が当接される平面であるエンジン前側座部上面14gとを備えている。
図5に示すように、エンジン前側座部14aの厚さt2(エンジン前側座部下面14fとエンジン前側座部上面14gとの車体上下方向(図4矢印UD方向)の間隔寸法値)は、装置側座部11aの厚さt1より3倍以上で6倍未満の大きさの値に設定されている。
図2、図3、図5及び図7に示すように、エンジン前側孔14bは、ボルトB(図1(a)参照)が挿通されるための孔であり、車体上下方向(図4、図5及び図6の矢印UD方向)に貫通形成されており、エンジン前側座部下面14fとエンジン前側座部上面14gとに開口している。
また、エンジン前側孔14bは、エンジン前側孔14bから装置側孔11bまでの寸法値(請求項1に記載の「エンジン側第1貫通孔と防振装置側貫通孔との距離」に対応する。)L1がエンジン後側孔15bから装置側孔11bのまでの寸法値(請求項1に記載の「エンジン側第2貫通孔と防振装置側貫通孔との距離」に対応する。)L2より大きな寸法値になる位置に配設されている(L1>L2)。
よって、エンジン前側孔14bに挿通されたボルトB(図1(a)参照)を締結することで、ボルトBとエンジンE(図1(a)参照)とでエンジン前側座部下面14fとエンジン前側座部上面14gとを狭持してエンジン側連結部12をエンジンEに固定することができる。
また、エンジン前側孔14bと同様に、エンジン後側孔15bに挿通されたボルトB(図1(a)参照)を締結することで、ボルトBとエンジンE(図1(a)参照)とでエンジン後側座部下面15fとエンジン後側座部上面15gと狭持してエンジン側連結部12をエンジンEに固定することができる。
エンジン中間連結部16は、ボルトB(図1(a)参照)を介してエンジンE(図1(a)参照)と締結される部位でありエンジン中間座部16aと、エンジン中間孔16bとを備えている。
図2から図5及び図7に示すように、エンジン中間座部16aは、エンジンE(図1(a)参照)に連結される部位であり、エンジン前側座部14aとエンジン後側座部15aとの間に配設され、エンジンEに当接される平面であるエンジン中間座部下面16fを備えている。エンジン中間孔16bは、ボルトB(図1(a)参照)が螺合されるための有底のねじ孔であり、エンジン中間座部下面16fに開口している。
また、エンジン中間孔16bは、エンジン中間孔16bからエンジン前側孔14bまでの寸法値(請求項1に記載の「エンジン側第1貫通孔とエンジン側中間孔との距離」に対応する。)L3がエンジン中間孔16bからエンジン後側孔15bのまでの寸法値(請求項1に記載の「エンジン側第2貫通孔とエンジン側中間孔との距離」に対応する。)L4より大きな寸法値になる位置に配設されている(L3>L4)。
よって、エンジン中間孔16bに螺合されたボルトB(図1(a)参照)を締結することで、エンジンE(図1(a)参照)にエンジン中間座部下面16fを押圧してエンジン側連結部12をエンジンEに固定することができる。
図3、図4及び図5に示すように、エンジン前側座部下面14f、エンジン後側座部下面15f及びエンジン中間座部下面16fの防振装置側連結部11側(図3、図4及び図5矢印R方向側)の縁部からは、後述する連成部下面13fに連成される湾曲壁面12aが形成されている。
湾曲壁面12aは、防振装置側連結部11側に向かって凹設された曲面であり、エンジン側連結部12側に窪んだ形状に構成されている。よって、エンジン前側座部下面14f、エンジン後側座部下面15f及びエンジン中間座部下面16fの面積を確保すると共にエンジン側連結部12の体積を減らして、右ブラケット100Rの取付剛性の確保と右ブラケット100Rの軽量化を両立させることができる。また、湾曲壁面12aが曲面で構成されているので、防振装置側連結部11に作用する車体上下方向の力によって湾曲壁面12aの内面に応力が発生した場合には、湾曲壁面12aの面内に発生した応力を分散させて、右ブラケット100Rが湾曲壁面12aから破損することを防止することができる。
図2から図6に示すように、連成部13は、装置側座部下面11fと湾曲壁面12aとに連成される平面である連成部下面13fと、その連成部下面13fに対して車体上方向(図4及び図5矢印U方向)に位置する連成部上面13eとを備えている。また、連成部上面13eには、後述するリブ群20の一部が立設され、後述する区画面30の一部が配設されている。
図2、図4、図5及び図6に示すように、リブ群20は、ブラケットベース10の強度を確保するためのものであり、前側リブ21と、後側リブ22と、中間リブ23と、補強リブ24と、前側円弧リブ25と、後側円弧リブ26とを備えている。
図2及び図5に示すように、前側リブ21は、装置側孔11bとエンジン前側孔14bとを結ぶ方向に延設されると共に後述する前側円弧リブ25に連成されている。また、前側リブ21の立設高さ(図5矢印UD方向寸法値)は、装置側孔11bからエンジン前側孔14bに向かう方向に増加して形成されている。なお、補強リブ24の最下部が連成部上面13eに連成され、補強リブ24の最上部が前側円弧リブ25に連成されている。
図2及び図4に示すように、後側リブ22は、装置側孔11bとエンジン後側孔15bとを結ぶ方向に延設されると共に後述する後側円弧リブ26に連成されている。また、後側リブ22の立設高さ(図4矢印UD方向寸法値)は、装置側孔11bからエンジン後側孔15bに向かう方向に増加して形成されている。なお、後側リブ22の最下部が連成部上面13eに連成され、後側リブ22の最上部が後側円弧リブ26に連成されている。
図2及び図4に示すように、中間リブ23は、装置側孔11bとエンジン中間孔16bとを結ぶ方向であって、エンジン前側孔14bとエンジン後側孔15bとの間を越えてエンジン側連結部12の車体左側(図2矢印L側)端部にまで延設されている。また、中間リブ23の立設高さ(図4矢印UD方向寸法値)は、装置側孔11bからエンジン中間孔16bに向かう方向に増加して形成されている。なお、中間リブ23の最下部が連成部上面13eに連成されている。
よって、例えば、エンジン前側連結部14、エンジン後側連結部15及びエンジン中間連結部16からなるエンジン側取付部に対して防振装置側連結部11からなる防振装置側取付部を車体前後方向へ相対変位させる車体前後方向(図2矢印FB方向)の力、エンジン側取付部に対して防振装置側取付部を車体左右方向へ相対変位させる車体左右方向(図2矢印LR方向)の力、或いは、エンジン側取付部に対して防振装置側取付部を車体上下方向へ相対変位させる車体上下方向(図2矢印UD方向)の力に対して、効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
即ち、エンジン側取付部と防振装置側取付部とを結ぶ車体左右方向(図2矢印LR方向)にリブ群20が延設されているので、右ブラケット100Rの防振装置側連結部11に入力される3方向の力(車体前後方向の力、車体左右方向の力および車体上下方向の力)に対して、効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
図2及び図5に示すように、補強リブ24は、中間リブ23のエンジン中間孔16b側から前側リブ21の延設方向の中程の位置に向かう方向であって、連成部13の連成部上面13eから車体上方向(図5矢印U方向)の立設高さ(図5矢印UD方向寸法値)が前側リブ21から中間リブ23の端部(図2矢印L方向側)に向かう方向に増加して形成されると共にエンジン前側孔14bとエンジン後側孔15bとの間を越えてエンジン側連結部12の車体左側(図2矢印L側)端部にまで延設されている。また、中間リブ23の車体左側(図2矢印L側)端部と、補強リブ24の車体左側(図2矢印L側)端部とが連成されている。
よって、エンジン前側連結部14、エンジン後側連結部15及びエンジン中間連結部16からなるエンジン側取付部に対して防振装置側連結部11からなる防振装置側取付部を車体前後方向へ相対変位させる車体前後方向(図2矢印FB方向)の力、エンジン側取付部に対して防振装置側取付部を車体左右方向へ相対変位させる車体左右方向(図2矢印LR方向)の力によって前側リブ21と中間リブ23との相対位置が車体前後方向および車体左右方向に変位されることを規制して、効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
なお、補強リブ24による右ブラケット100Rの補強の詳細については、図8から図10を参照して後述する。
図2、図5、図6及び図7に示すように、前側円弧リブ25は、エンジン前側座部14aの強度を確保するためのものであり、エンジン前側座部14aから車体上方向(図5、図6及び図7矢印U方向)に立設され一部がエンジン前側孔14bを中心とした円弧形状に湾曲される上面視(図2紙面垂直方向視)C型形状に構成されている。
よって、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向と車体左右方向との力であってボルトB(図2(a)参照)とエンジン前側孔14bとの間に作用する力および防振装置側連結部11に入力される車体上下方向の力であってボルトBの座面とエンジン前側座部上面14gとの間に作用する力に対するエンジン前側座部14aの強度を確保することができる。
また、エンジン前側座部14aの部位でありエンジン前側孔14bと前側円弧リブ25との間に介在する部位を薄肉として、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ、右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
例えば、エンジン前側孔14bにボルトB(図2(a)参照)が挿通された場合には、ボルトBの座面が前側円弧リブ25に囲まれたエンジン前側座部上面14gを押さえつけるので、前側リブ21のみを備える構成では、エンジン前側座部上面14gに伝えられる力が前側リブ21の一端(前側円弧リブ25側に位置する端部)に集中するという不具合があった(図2(a)参照)。
これに対し、本実施の形態によれば、前側円弧リブ25は、エンジン前側孔14bと同心の円弧形状に延設されると共に前側円弧リブ25に連成されているので、エンジン前側座部上面14gに伝えられる力が前側円弧リブ25の円弧全体を介して前側リブ21から伝えられる。
よって、エンジン前側孔14bに伝えられる力がエンジン前側座部上面14gを介して前側円弧リブ25の円弧全体から伝達され、エンジン前側孔14bに伝えられる力が前側リブ21の一端(前側円弧リブ25側に位置する端部)に集中することを防ぐことができる。その結果、前側リブ21の一端での歪み量が抑えられ右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
図2、図4、図6及び図7に示すように、後側円弧リブ26は、前側円弧リブ25と同様にエンジン後側座部15aの強度を確保するためのものであり、エンジン後側座部15aから車体上方向(図4、図6及び図7矢印U方向)に立設され一部がエンジン後側孔15bを中心とした円弧形状に湾曲される上面視(図2紙面垂直方向視)C型形状に構成されている。
よって、前側円弧リブ25と同様に防振装置側連結部11に入力される車体前後方向と防振装置側連結部11に入力される車体左右方向との力であってボルトBとエンジン後側孔15bとの間に作用する力および防振装置側連結部11に入力される車体上下方向の力であってボルトBとエンジン後側座部上面15gとの間に作用する力に対するエンジン後側座部15aの強度を確保することができる。
また、前側円弧リブ25と同様に、エンジン後側座部15aの部位でありエンジン後側孔15bと後側円弧リブ26との間に介在する部位を薄肉として、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ、右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
また、前側円弧リブ25と同様に、エンジン後側孔15bに伝えられる力がエンジン後側座部上面15gを介して後側円弧リブ26の円弧全体から伝達され、エンジン後側孔15bに伝えられる力が後側リブ22の一端(後側円弧リブ26側に位置する端部)に集中することを防ぐことができる。その結果、後側リブ22の一端での歪み量が抑えられ右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
よって、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向と防振装置側連結部11に入力される車体左右方向との力であってボルトB(図2(a)参照)を介してエンジン後側孔15bに作用する力および防振装置側連結部11に入力される車体上下方向の力であってボルトBの座面を介してエンジン後側座部上面15gに作用する力に対するエンジン後側座部15aの強度を確保することができる。
また、後側円弧リブ26には、後側リブ22及び中間リブ23が連成されているので、後側リブ22と中間リブ23との相対位置が防振装置側連結部11に入力される車体前後方向と防振装置側連結部11に入力される車体左右方向との力によって変位することを規制して、効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
また、後側円弧リブ26の両端部の内のエンジン中間連結部16側の端部は、エンジン側連結部12の車体左側(図2矢印L側)の端部にまで延設されており、中間リブ23の車体左側(図2矢印L側)端部と、補強リブ24の車体左側(図2矢印L側)端部とに連成され、それら後側円弧リブ26、中間リブ23及び補強リブ24の端部が連接された連設部分は上面視(図2紙面垂直方向視)台形の形状に構成されている。
よって、エンジン中間孔16bを形成するための肉厚部を別に設ける場合に比べて、補強のための連接部分にエンジン中間孔16bを形成するので、余分な肉厚部を省略して右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
図2に示すように、区画面30は、第1区画面31と、第2区画面32と、第3区画面33と、第4区画面34と、第5区画面35とを備えている。
第1区画面31は、前側リブ21と補強リブ24とによって区画され前側リブ21の車体前側に配設される面であり、連成部上面13eに連成されている。第2区画面32は、後側リブ22と前側円弧リブ25とによって区画され後側リブ22の車体前側に配設される面であり、連成部上面13eに連成されている。
第3区画面33は、後側リブ22と中間リブ23と前側円弧リブ25とによって囲われた面である。第4区画面34は、前側リブ21と中間リブ23と後側円弧リブ26とによって囲われた面である。
第5区画面35は、前側リブ21と補強リブ24と前側円弧リブ25とによって区画された面であり、防振装置側連結部11側に向かって上昇傾斜して形成されている(h1>h2>h3)(図8参照)。また、第5区画面35の最も高い部位(防振装置側連結部11側の部位)の配設高さ(図8矢印UD方向寸法値)は、第1区画面31、第2区画面32、第3区画面33及び第4区画面34より低く設定されている。なお、前側円弧リブ25の内側には、エンジン前側孔14bが配設されている。
即ち、第5区画面35の両側(図2矢印FB方向両側)には、前側円弧リブ25と後側円弧リブ26が配設されると共に中間リブ23及び補強リブ24が延設されており、車体左右方向(図2矢印LR方向)に直交する前側円弧リブ25と後側円弧リブ26との間の断面の面積が十分に確保されているのに加え、エンジン前側孔14b及びエンジン後側孔15bが配設されているので、防振装置側連結部11に入力される3方向の力(車体前後方向の力、車体左右方向の力および車体上下方向の力)による応力を発生し難くすることができる。そのため、第5区画面35の配設高さを第3区画面33の配設高さ及び第4区画面34の配設高さより低くすることで右ブラケット100Rの体積を削減して、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ、右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
また、図2のVIIIa−VIIIa線における第1区画面31、第2区画面32、第3区画面33及び第4区画面34の配設高さ(図8矢印UD方向寸法値)は、第1区画面31及び第2区画面32の配設高さが第3区画面33及び第4区画面34の配設高さより高く設定されている(図8参照)。
よって、図2のVIIIa−VIIIa線における連成部13の厚さ寸法値は、右ブラケット100Rの外縁側が内部に比べて大きくなる。そのため、右ブラケット100Rの外縁側の断面積を右ブラケット100Rの内部に比べて大きくして、エンジン前側連結部14、エンジン後側連結部15及びエンジン中間連結部16からなるエンジン側取付部に対して防振装置側連結部11からなる防振装置側取付部を車体前後方向へ相対変位させる車体前後方向(図2矢印FB方向)の力による回転モーメントに対して効率良く右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
なお、この場合の回転モーメントは、装置側孔11bの貫通方向(図2矢印UD方向)に沿った仮想直線がエンジン前側孔14bとエンジン後側孔15bとの中間位置に配設された場合に、その仮想直線を中心とした回転モーメントを示している。
ここで、図8、図9及び図10を参照して、補強リブ24による右ブラケット100Rの補強について詳細に説明する。図8(a)は、図2のVIIIa−VIIIa線における右ブラケット100Rの断面図であり、図8(b)は、図2のVIIIb−VIIIb線における右ブラケット100Rの断面図であり、図8(c)は、図2のVIIIc−VIIIc線における右ブラケット100Rの断面図である。
また、図面の簡略化のため、図8(b)及び図8(c)では矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bの図示を省略しており、図8(a)に示す矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bは、図8(b)及び図8(c)における方向を示している。
なお、図8(a)に示す1点鎖線は、エンジン前側座部下面14f、エンジン後側座部下面15f及びエンジン中間座部下面16fの配設高さを仮想的に示す仮想線である。また、図8(a)から図8(c)では、理解を容易とするために、補強リブ24の断面のハッチングをエンジン側連結部12及び連成部13の断面のハッチングと違えて図示している。
まず、図8(a)から図8(c)を参照して、補強リブ24の断面積の変化と右ブラケット100Rの強度との関係について説明する。
図8(a)から図8(c)に示すように、図8(a)に示す補強リブ24の第3区画面33からの立設高さH1は、図8(b)に示す補強リブ24の第3区画面33からの立設高さH2より低く、図8(b)に示す補強リブ24の第3区画面33からの立設高さH2は、図8(c)に示す補強リブ24の第3区画面33からの立設高さH3より低く設定されている。なお、図8(a)に示す断面、図8(b)に示す断面、図8(c)に示す断面の順で、防振装置側連結部11に近い位置での断面とされている。
即ち、補強リブ24の第3区画面33からの立設高さは、防振装置側連結部11側(図8矢印R方向側)に近づくほど低くなる。なお、補強リブ24は、車体前後方向(図8矢印FB方向)の寸法値の変化が補強リブ24の立設高さの変化より小さいので、一定の寸法値として仮定することができる。
そのため、補強リブ24の断面積は、補強リブ24の立設高さの変化に比例して変化するので、防振装置側連結部11(図8矢印R方向側)に近づくほど減少する。よって、回転モーメントに対する右ブラケット100Rの強度を効率よく確保することができる。
ここで、回転モーメントについて簡単に説明する。回転モーメントは、力の作用する点(右ブラケット100Rの防振装置F側の部位)からの距離に比例して大きくなる力である。例えば、物(右ブラケット100R)の両端を回動不能に支持して、その一端を他端に対して相対変位させると、その物に発生する回転モーメントの大きさは、回動不能に支持された両端が最も大きくなる。
しかし、本実施の形態のように、エンジンEに右ブラケット100Rの車体左側(図10矢印L方向側)の部位(エンジンEに固定された部位)が固定され、防振装置Fから右ブラケット100Rの車体右側(図10矢印R方向側)の部位(防振装置Fに固定された部位)に力が入力される場合には、防振装置Fの一部がゴムにて構成されており、そのゴムが変形することで、右ブラケット100Rの車体右側(図10矢印R方向側)の部位の回転モーメントが0になる。
即ち、右ブラケット100Rに作用する力が片持ち梁(構造力学上の呼称)における力の作用と同等となる。そのため、右ブラケット100Rの車体左側(図10矢印L方向側)の部位には回転モーメントが作用し、その右ブラケット100Rの車体左側(図10矢印L方向側)の部位から車体右側(図10矢印R方向側)に向かって連続的に回転モーメントが減少し、右ブラケット100Rの車体右側(図10矢印R方向側)の部位では、回転モーメントが0となる(図10参照)。
上述したように、右ブラケット100Rに作用する回転モーメントは、車体右側(図10矢印R方向側)に向かって連続的に減少している。その回転モーメントの減少に対応して補強リブ24の断面積も減少しているので、余分な断面積を省略して、補強リブ24の体積を減少させることで、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ、右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
図8(a)から図8(c)に示すように、前側リブ21、後側リブ22及び中間リブ23の断面積は、前側リブ21、後側リブ22及び中間リブ23の立設高さの変化に比例して変化するので、防振装置側連結部11側(図8矢印R方向側)に近づくほど減少する。そのため、回転モーメントに対する右ブラケット100Rの強度を効率よく確保することができる。また、その回転モーメントの減少に対応して補強リブ24の断面積も減少している。
よって、余分な断面積を省略して、補強リブ24の体積を減少させることで、右ブラケット100Rの鋳巣の発生の抑制と軽量化とを図りつつ、右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
なお、この場合の回転モーメントは、エンジン前側孔14b(図2参照)とエンジン後側孔15b(図2参照)とを結んだ直線と平行な仮想直線を中心とした回転モーメントを示している。
ここで、図8(a)に示すように、図2のVIIIa線−VIIIa線における前側リブ21と補強リブ24との車体前後方向(図8矢印FB方向)の間隔寸法W1は、図2のVIIIa線−VIIIa線における補強リブ24と中間リブ23との車体前後方向の間隔寸法W2に比べて狭く設定されている。
そのため、連成部13の部位であって車体前後方向(図8矢印FB方向)において前側リブ21と補強リブ24との間に配設される部位(第5区画面35と連成部下面13fとの間の部位)は、連成部13の部位であって車体前後方向(図8矢印FB方向)において補強リブ24と中間リブ23との間に配設される部位(第3区画面33と連成部下面13fとの間の部位)より必要な強度を小さくすることができる。
また、第5区画面35と連成部下面13fとの間隔寸法h4は、第3区画面33と連成部下面13fとの間隔寸法h5より小さく設定されている。よって、連成部13に必要な強度を確保しつつ、右ブラケット100Rの体積を減少させることができる。その結果、右ブラケット100Rの強度を確保しつつ、右ブラケット100Rの軽量化を図ることができる。
また、図8(b)に示すように、図2のVIIIb線−VIIIb線における前側円弧リブ25の車体前後方向(図8矢印FB方向)の幅寸法W3は、図2のVIIIb線−VIIIb線における中間リブ23の車体前後方向の幅寸法W4に比べて大きく設定されている。なお、前側円弧リブ25の高さ方向(図8矢印UD方向)の寸法と中間リブ23との高さ方向の寸法との差は、幅寸法W3と幅寸法W4との差に比べると前側円弧リブ25と中間リブ23との断面積を比較する場合には、ほとんど影響がでない程度の大きさである。
そのため、幅寸法W3が幅寸法W4より大きいと、前側円弧リブ25の断面積が中間リブ23の断面積に比べて大きくなる。よって、エンジン前側連結部14の部位であって車体前後方向(図8矢印FB方向)において前側円弧リブ25と補強リブ24との間に配設される部位(第5区画面35とエンジン前側座部下面14fとの間の部位)は、エンジン中間連結部16の部位であって車体前後方向(図8矢印FB方向)において補強リブ24と中間リブ23との間に配設される部位(第3区画面33とエンジンエンジン中間座部下面16fとの間の部位)より必要な強度を小さくすることができる。
また、第5区画面35とエンジン前側座部下面14fとの間隔寸法h2は、第3区画面33とエンジン中間座部下面16fとの間隔寸法h6より小さく設定されている。よって、エンジン前側連結部14に必要な強度を確保しつつ、右ブラケット100Rの体積を減少させることができる。その結果、右ブラケット100Rの強度を確保しつつ、右ブラケット100Rの軽量化を図ることができる。
図8(c)に示すように、第5区画面35とエンジン前側座部下面14fとの間隔寸法h3は、第3区画面33とエンジン中間座部下面16fとの間隔寸法h7より小さく設定されている。
また、エンジン前側座部上面14g、第5区画面35及び第3区画面33は、図2のVIIIc線−VIIIc線で且つ車体後方向(図8矢印B方向)に向かって、エンジン前側座部上面14g、第5区画面35、第3区画面33の順番に配設されている。また、第5区画面35とエンジン前側座部下面14fとの間隔寸法h3は、第3区画面33とエンジン中間座部下面16fとの間隔寸法h7より小さく設定されている。
次に、図9を参照して、補強リブ24の配設角度と右ブラケット100Rの強度との関係について説明する。
図9は、右ブラケット100Rの上面図であり、図2の右ブラケット100Rの上面図に対応する。図9では、装置側孔11b、エンジン前側孔14b、エンジン後側孔15b及びエンジン中間孔16bの中心を黒丸で示している。
また、エンジン前側孔14bの中心とエンジン後側孔15bの中心とを結ぶ方向を方向線14Lで示し、エンジン中間孔16bの中心と装置側孔11bの中心とを結ぶ方向を方向線23Lで示し、補強リブ24の延設方向を方向線24Lで示している。
また、図9紙面垂直方向視における方向線23Lに対する方向線24Lの角度をαで示し、同様に、図9紙面垂直方向視における方向線14Lに対する方向線24Lの角度をβで示している。なお、方向線14Lは、車体前後方向(図9矢印FB方向)に平行に配設され、方向線14Lは、方向線23Lに対して図9紙面垂直方向視にて右回り方向に85度傾斜しているため、方向線23Lは、図9紙面垂直方向視における車体左右方向(図9矢印LR方向)に対して図9紙面垂直方向視にて左回り方向に5度傾斜していることとなる。
補強リブ24の配設角度は、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向の力と防振装置側連結部11に入力される車体上下方向の力とに対しての右ブラケット100Rの強度を変化させる設定値である。
例えば、補強リブ24が省略されている場合には、前側リブ21及び中間リブ23は、ブラケットベース10には連成されているが前側リブ21と中間リブ23との連接箇所が一箇所のみであるので、それら前側リブ21と中間リブ23とに対して直交する方向の力(防振装置側連結部11に入力される車体前後方向の力の一部、及び、防振装置側連結部11に入力される車体左右方向の力の一部)に対しては強度を確保することが困難であるという不具合があった。
これに対し、本実施の形態では、図9に示すように、補強リブ24が前側リブ21と中間リブ23との間に配設され、補強リブ24の両側端部が前側リブ21と中間リブ23とに連接されて構成されている。
そのため、前側リブ21、中間リブ23及び補強リブ24の強度を相互に有効に利用することができる。よって、車体前後方向の力と車体上下方向の力とが防振装置側連結部11に入力されても、前側リブ21、中間リブ23及び補強リブ24の相対位置が維持されるので、右ブラケット100Rの変形が抑えられて、右ブラケット100Rの強度が確保される。
図9に示すように、本実施の形態の右ブラケット100Rによれば、角度αが15度、角度βが70度に設定されている。角度α及び角度βは、角度βより角度αが小さく且つ角度αが13度から37度に設定されるのが好ましい。なお、方向線14Lは方向線23Lに対して図9紙面垂直方向視にて右回り方向に85度傾斜しているため、角度βは、85度から角度αの値を差し引いた値となる。
ここで、角度αを好ましい設置値(13°<α°<37°)とした場合には、cos(α°+5°)の計算値は、0.74から0.95となるので、車体前後方向視(図9矢印FB方向視)における車体左右方向(図9矢印LR方向)の補強リブ24の長さL5が補強リブ24の長手方向の長さの74%から95%の長さとなる。
なお、α°に追加されている5°の値は、方向線23Lの車体左右方向(図9矢印LR方向)に対する傾斜角度である。
例えば、角度βより角度αが大きい場合には、角度βより角度αが小さい場合に比べて、車体前後方向視(図9矢印FB方向視)における車体左右方向(図9矢印LR方向)の補強リブ24の長さ(補強リブ24の長手方向の長さ×cos(α°+5°))L5が短くなる。
よって、角度βより角度αが小さい場合(α°<42.5°,β°=85°−α°)に比べて、車体左右方向(図9矢印LR方向)に沿った狭い範囲において補強リブ24の断面積(車体左右方向に直交する面における補強リブ24の断面積)が右ブラケット100Rの断面積として追加される。
即ち、車体前後方向視(図9矢印FB方向視)における車体左右方向(図9矢印LR方向)の補強リブ24の長さが補強リブ24の長手方向の長さの67%未満の長さとなる。
その結果、断面積が追加された部位の強度は向上するが、角度βより角度αが小さい場合に比べて、強度が向上する車体左右方向(図9矢印LR方向)に沿った範囲が狭いので、右ブラケット100Rの強度を確保するには効率的ではないという不具合がある。
また、同様に、角度βより角度αが大きい場合には、角度βより角度αが小さい場合に比べて、補強リブ24の断面積(車体左右方向(図9矢印LR方向)に直交する面における補強リブ24の断面積)が大きくなる。そのため、角度βより角度αが小さい場合に比べて、補強リブ24が追加された範囲の強度が向上され補強リブ24が追加された範囲の変形が抑えられる。
その結果、補強リブ24が追加された範囲の変形が抑えられた分、補強リブ24が追加されていない範囲の変形量が大きくなり、補強リブ24が追加されていない範囲から右ブラケット100Rが破損する恐れがある。即ち、右ブラケット100Rの強度バランスが崩れて右ブラケット100Rが破損するという不具合がある。
これに対し、角度α及び角度βを上述した範囲(13°<α°<37°,β°=85°−α°)に設定すると、上述した不具合が解消されて、効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
即ち、角度α及び角度βが上述した範囲(13°<α°<37°,β°=85°−α°)に設定すると、角度βより角度αが大きい場合に比べて、車体前後方向視(図9矢印FB方向視)における車体左右方向(図9矢印LR方向)の補強リブ24の長さL5が長くなる。
よって、角度βより角度αが大きい場合に比べて、車体左右方向(図9矢印LR方向)に沿った広い範囲において補強リブ24の断面積(車体左右方向(図9矢印LR方向)に直交する面における補強リブ24の断面積)が右ブラケット100Rの断面積として追加される。その結果、車体左右方向に沿った広い範囲で強度が向上されるので、防振装置側連結部11に入力される車体前後方向の力および車体左右方向の力に対して効率よく右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
加えて、角度βより角度αが大きい場合に比べて、補強リブ24の断面積(車体左右方向に直交する面における断面積)が小さくなる。そのため、補強リブ24が追加された範囲の強度の向上度合いが抑えられるので、補強リブ24が追加された範囲の変形量を大きくすることができる。
その結果、補強リブ24が追加された範囲の変形量が大きくなった分、補強リブ24が追加されていない範囲の変形量を小さくして、右ブラケット100R全体の強度を確保することできる。
次に、図10を参照して、補強リブ24の配設位置と右ブラケット100Rの強度との関係について説明する。図10は、右ブラケット100Rの側面図であり、エンジンEが右ブラケット100Rを介して防振装置Fに支持されている状態を示している。また、図10の下側には、100R作用する回転モーメントの大きさの車体左右方向への変化を模式的に示したグラフを図示している。
そのグラフに記載される回転モーメントを表示した回転モーメントの表示軸は、図10下方向に向けて増加する表示軸であり、右ブラケット100Rの入力部位(防振装置Fに連結された部位)からの距離を表示した距離の表示軸は、図10左方向に向けて増加する表示軸である。また、グラフに図示される回転モーメントは、右ブラケット100Rの入力部位(防振装置Fに連結された部位)に車体上下方向からの力の入力により発生した回転モーメントである。
なお、グラフに記載される回転モーメントの表示は、右ブラケット100Rの入力部位(防振装置Fに連結された部位)から右ブラケット100Rの固定部位(エンジンEに連結された部位)の間での回転モーメントの変化の傾向を示しており、防振装置Fに連結された部位やエンジンEに連結された部位の詳細な回転モーメントの変化に関しては省略している。
ここで、例えば、補強リブ24が防振装置FからエンジンEに向けて右ブラケット100Rの車体右側の端部から後側リブ22の車体左右方向(図10矢印LR方向)の中央の位置まで伸びている場合には、右ブラケット100RのエンジンE側の部位に補強が施されない。そのため、右ブラケット100Rに作用する回転モーメントに対して効率よく強度を確保することができないという不具合があった。
また、加えて、右ブラケット100Rの防振装置F側(図10矢印R方向側)の部位が補強されて、車体上下方向の力による右ブラケット100Rの防振装置F側の部位の変形量が小さくなると、車体上下方向の力による右ブラケット100RのエンジンE側の部位の変形量が大きくなる。そのため、右ブラケット100Rの防振装置F側の部位の変形が抑えられた分、補強リブ24の両端の内のエンジンE側に配設される端部に掛かる応力が高くなるという不具合があった。
これに対し、本実施の形態では、図10に示すように、補強リブ24は、エンジンEから防振装置F(図9(b)矢印R方向側)に向けて右ブラケット100Rの車体左側の端部から後側リブ22の車体左右方向(図10矢印LR方向)の中央の位置まで伸びているので、右ブラケット100Rに作用する回転モーメントに対して効率よく強度を確保することができる。
また、右ブラケット100RのエンジンE側の部位に補強リブ24が配設されることで右ブラケット100RのエンジンE側の部位が補強され、右ブラケット100Rの防振装置F側の部位には、不要な補強が省略される。
そのため、右ブラケット100Rの防振装置F側の部位が右ブラケット100Rの防振装置F側の端部に入力される車体上下方向の力により適度に変形するので、補強リブ24の両端の内の防振装置F側(図10矢印R方向側)の端部に掛かる応力が高くなることを防ぐことができる。よって、補強リブ24の端部への応力が大きくなることを防いで右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
なお、右ブラケット100Rの防振装置F側の端部に車体前後方向の力が作用した場合でも、車体上下方向の力と同様に、右ブラケット100Rに作用する回転モーメントに対して効率よく強度を確保すると共に補強リブ24の端部への応力が大きくなることを防いで右ブラケット100Rの強度を確保することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、角度αを15度、角度βを70度に構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、角度αを0度より大きく13度以下に設定しても良い。この場合、右ブラケット100Rの防振装置Fに連結された部位側の強度を向上させることができる。