JP4929649B2 - 光変調素子の製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、コレステリック光変調素子は無電源で表示を保持できるメモリ性を有すること、偏光板を使用しないため明るい表示が得られること、カラーフィルターを用いずにカラー表示が可能なことなどの特長を有することから近年注目を集めている。
層間膜は、基板間に印加された電圧によって調光層内に発生する電界が層間膜を設けることにより減少することを抑制するために、基板の厚みに対して薄くすることが要求される。このため、層間膜の形成には、層間膜として機能する材料を溶媒に溶かした溶液を調光層上に塗布することによって形成する方法が用いられる場合がある。
しかし、このように層間膜を形成するための溶液が調光層に塗布されると、図11に示すように、溶液に含まれる溶媒が、調光層中の高分子バインダーに吸収されて高分子バインダーが膨潤することで、PDLC構造が崩壊し、液晶ドロップの割れや合一が生じるという問題があった。
また、図1には、複数の調光層として2層の調光層301及び調光層302が層間膜34を介して積層されている場合を示したが、本発明の光変調素子10における調光層の積層数は2層に限られるものではなく、3層以上であってもよい。この場合、各調光層30は、層間膜34を介して積層されていればよい。本発明を実施するための最良の形態では、説明を簡略化するために、光変調素子10は、2層の調光層301及び調光層302が層間膜34を介して積層されているものとして説明する。
OPC層25は、電荷発生層20と電荷発生層24との間に、電荷輸送層22を挟持するように構成されている。
―支持基板―
支持基板16、及び支持基板38は、支持基板16と支持基板38との間に各機能層を保持し、光変調素子10の構造を維持するための基板であり、外力に耐えうる強度を有するシート状の物質で有る必要がある。一対の支持基板の内の、少なくとも一方、特に視認される側の支持基板38(表示面基板側の支持基板)は、書込み光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成される。また必要に応じて、支持基板16及び支持基板38の表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、光変調素子内へのガスの混入を防止するためのガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
支持基板16及び支持基板38は、絶縁性を有する、ガラス及びシリコーン等の無機シート、またはポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、及びポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを用いて形成される。
支持基板16及び支持基板38の厚みは、30μm〜2000μmの範囲内であることが好ましい。
電極18及び電極36は、書込装置から印加された電圧を、光変調素子10内の各機能層へ面均一に印加するためのものである。
電極18及び電極36は、導電性を有する、金やアルミなどの金属薄膜、酸化インジウムや酸化スズなどの金属酸化物、またはポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリンなどの導電性有機高分子を用いて形成され、少なくとも表示面側の電極36は、書込み光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。また必要に応じて、その表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
また、OPC層及び書込み光を用いずにコレステリック液晶の配向状態を制御する駆動方式としては、表示面基板14側の電極36と非表示面基板12側の電極18の一方を光変調素子に表示する画像の各画素に共通の電極とし、他方を各画素に個別の電極とするセグメント駆動方式、表示面基板14側の電極36と非表示面基板12側の電極18を互いに直交する方向に各々ストライプ状に形成して、互いに対峙する位置を1つの画素に対応する領域とする単純マトリクス駆動方式、表示面基板14側の電極36と非表示面基板12側の電極18の一方を各画素に共通の電極とし、他方を互いに直交するストライプ状の走査電極及び信号電極からなるものとして、これにTFTやMIN等の能動素子を設けるアクティブマトリックス駆動方式、等のいずれであってもよい。
調光層30は、特定の色光の反射・透過状態を変調し、電極18及び電極36に電圧が印加されることにより基板間に形成された電界によって、特定の色光の反射状態を変化させることができ、変化された状態が無電場で保持される。
本発明において用いることができる液晶材料としては、屈折率異方性があり、電圧印加によって配向が変化し、結果的に入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調しうるものであればどのような液晶材料であってもよいが、好ましくは、コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶を含む)が挙げられる。
高分子バインダーは、上記液晶ドロップ32または液晶マイクロカプセルを保持し、光変調素子の変形による液晶ドロップ32または液晶マイクロカプセルの流動を抑制する。高分子バインダーは、液晶材料に溶解せず、また液晶ドロップ32または液晶マイクロカプセルと相溶しない液体を溶剤とする高分子材料であり、且つ外力に耐えうる強度を持ち、少なくとも反射光及び入射光に対して高い透過性を有する材料であれば特に制限はなく、例えば、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等が好適に挙げられる。
中でも、表面凹凸を小さくでき、フラットな調光層が得られるという観点から、ゼラチンが特に好ましい。
このようなゼラチンとしては、α鎖の多量体である高分子量のβ鎖・γ鎖や、α鎖の主鎖が途中で切れた低分子量成分が少なく、α鎖残量の多いものが適している。牛骨を酸処理して製造されたゼラチン材料は、この条件を満たし、とくにゼリー強度が大きく、ゾル粘度が低いため好ましい。また、原料のコラーゲンを加水分解する際に最初に抽出される第一抽出品がよい。なお、液晶材料のイオン汚染を防止するため、ゼラチン中に残留するイオン成分をイオン交換樹脂など公知の手法を用いて除去してもよい。
本発明の光変調素子10の調光層30の高分子バインダーは、架橋剤によって架橋されている。この高分子バインダーを架橋する架橋剤としては、高分子間で架橋が形成され、高分子を硬膜化、難溶化、あるいは不溶化するものであればよく、高分子バインダーとの相溶性、液晶材料に対する反応性や、光変調素子の電気特性への影響に基づいて選択される。
OHC―(CH2)n―CHO 一般式(1)
本発明の光変調素子10で用いられる層間膜34として機能する材料としては、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを溶解しない特性を有する材料であれば特に制限はないが、誘電率ができるだけ大きいことが好ましい。本発明で用いうる層間膜34としては、例えば、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等が好適に挙げられる。
中でも、液晶材料との反応性がほとんどないという点で、ポリビニルアルコールが好ましい。
ラミネート層28は、着色層26と調光層30とを接着すると共に接着面の凹凸を吸収する。ラミネート層としては、ガラス転移点の低い高分子材料で、熱や圧力が加えられる事により調光層30と着色層26とを密着且つ接着可能な材料であり、且つ、少なくとも入射光及び反射光に対して透過性を有する材料であれば特に制限はまい。
ラミネート層としては、例えば、粘着性の高分子材料(例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の粘着性の高分子材料が挙げられる。
着色層26は、表示面基板14側からOPC層25へ入射される光と、光照射部から照射される書込み光とを光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐ。着色層26は、少なくともOPC層25を構成する電荷発生層の吸収波長域の光を吸収する材料であれば特に制限は無く、例えば、無機顔料(たとえばカドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系)、または有機染料や有機顔料(アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系)、あるいはこれらを高分子バインダー(たとえばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂)に分散した材料等が好適に挙げられる。
着色層の層厚は、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
OPC層(光導電体層)25は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じて
インピーダンス特性が変化する特性を有する層である。AC動作が可能であり、アドレス
光に対して対称駆動になることが好ましく、電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL
)の上下に積層された3層構造が好適である。本実施形態では、OPC層25として、図
1における上層から順に上側の電荷発生層24、電荷輸送層22および下側の電荷発生層
20が積層されてなる。OPC層の層厚は、0.1μm〜40μmであることが好ましい。
電荷発生層20及び電化発生層24は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層20が表示基板側の透明電極36から書き込み面側の透明電極18の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層22が非表示基板側の透明電極18から表示基板側の透明電極36の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層20、24としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、電荷発生層内部、または電荷発生層/電荷輸送層界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
電荷発生層の層厚は、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
電荷輸送層は、電荷発生層で光キャリアが発生すると、発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする。電荷輸送層の層厚は、0.1μm〜10μmであることが好ましい。
電荷輸送層22は、電荷発生層20、24からの自由キャリアの注入が効率良く発生し
(電荷発生層20、電化発生層24とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
本発明の光変調素子10の作製方法は、支持基板16上に、電極18をスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、バーコード法、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法、キャスティング法により形成した後に、OPC層25を形成する。OPC層25の形成は、表面に電極18を有する支持基板16上に、電荷発生材料を、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等によって成膜、または電荷発生物質を高分子バインダー中に分散し、バーコード法、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法、キャスティング法等によって塗布した後に、電荷輸送物質、または電荷輸送物質を高分子バインダーに分散し分散した電荷輸送層を積層させた後に、更に電荷発生層を積層させることにより形成される。
更に、OPC層25に、着色層26、及びラミネート層28を順に積層する。
まず、調光層用塗布液の調製について詳細に説明する。
本発明の調光層用塗布液は、高分子バインダーを含有する溶液に、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを分散することによって調製される。
なお、必要であれば、高分子バインダーを架橋させるための架橋剤を添加してもよい。具体的には、調光層用塗布液を塗布することによって形成された調光層上に層間膜を形成する場合には、該層間膜が形成される調光層を形成するために用いられる調光層用塗布液には、架橋剤が添加されるものとする。
まず、液晶ドロップ及び液晶マイクロカプセルの調製方法について説明する。
液晶ドロップエマルジョンは、少なくともコレステリック液晶からなる分散相を、分散相と相溶しない連続相、例えば、水相中にドロップ状に乳化分散させることにより調製される。乳化する手段として、分散相と連続相を混合した後、ホモジナイザ−などの機械的なせん断力で分散相を微小な液滴として分散させる方法や、分散相を連続相中に多孔質膜を通して押出し、微小な液滴として分散させる膜乳化法などを用いることができる。特に膜乳化法は乳化液滴の粒径ばらつきが小さくなるため、均一な粒径の液晶ドロップを形成することができるため好ましい。なお、乳化時の連続相中に、乳化を安定させるための界面活性剤や保護コロイドを微量混合しておいてもよい。
高分子シェル内にコレステリック液晶が内包された液晶マイクロカプセルの調製には、公知の液晶マイクロカプセル化手法、例えば、相分離法、界面重合法、in situ重合法を用いることができる。具体的には、前記のごとくして作製した液晶ドロップを、高分子シェル材料を含む溶液中に分散させ、又は前記材料に応じて熱硬化などさせ、液晶ドロップの周囲に高分子シェルを形成する。また、ウレタン・ウレア系の高分子シェルを作る場合には、あらかじめ液晶ドロップに多価イソシアネート化合物を含ませておき、液晶ドロップを、多価アルコールを含む溶液中に添加してウレタン・ウレア生成反応を起こさせることが好ましい。
なお、液晶マイクロカプセル及び液晶ドロップの体積平均一次粒径は、1〜100μmが好ましく、更に好ましくは、3〜20μm、特に好ましくは、10〜15μmである。液晶マイクロカプセル及び液晶ドロップの体積平均一次粒径が20μm以上であると駆動電圧の上昇を生じ、3μm未満であると充分な反射特性が期待できないおそれがある。
上記工程後の液晶ドロップエマルジョン、または液晶マイクロカプセルスラリーの不揮発分濃度が低く、塗布時の調光層用塗布液で必要となる不揮発分濃度に調製できない場合は濃縮を行う。液晶ドロップ、又は液晶マイクロカプセルと連続相の比重差を利用して、静置や遠心分離によって沈殿、あるいは沈降させて分離した連続相を除去する方法や、メンブランフィルタで濾過する方法などを用いる。
前記のごとくして得られた液晶ドロップエマルジョン又は液晶マイクロカプセルスラリーを、高分子バインダーを含む溶液に分散することにより調光層用塗布液を調製する。
本発明では、液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを表示面基板上に塗布する。そこで、密度計や比重計を用いて、前記液晶ドロップエマルジョン又は液晶マイクロカプセルスラリー内の各成分の含有量を測定し、調光層用塗布液のゼラチン、溶媒及び液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの混合割合を調製する。
AL=(3/2)・(tW・Sr・Lr/DL)…式(1)
そして、ALが、
0.8<AL<1.0…式(2)
前記Srは、調光層用塗布液Xccから溶媒を蒸発させた場合に残る不揮発成分がYccの場合、Sr=Y/Xを意味し、また不揮発成分YccにZccの液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが含まれる場合Lr=Z/Yを意味する。
算出した混合割合に基づき、液晶ドロップエマルジョン、又は液晶マイクロカプセルスラリーに対する、ゼラチン、溶媒、及び架橋剤の混合量を調製して塗布調光層用塗布液を作製する。ここで、増粘剤、濡れ性改善剤、乾燥速度調製剤など、公知の調光層用塗布液特性改質剤を微量添加してもよい。
本発明の調光層用塗布液に含有される溶媒としては、高分子バインダーを溶解し、液晶ドロップの場合は液晶を溶解させないものが用いられ、液晶マイクロカプセルを用いる場合は少なくとも液晶マイクロカプセルの高分子シェルを溶解させないものが用いられる。このような溶媒としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水等の水、水溶性有機溶媒、あるいはイオン交換水、蒸留水、水道水等の水と水溶性有機溶媒を混合した液体、非水溶性有機溶媒、及びイオン性液体等が用途や使用条件等に応じて適宜選択される。
次に本発明の光変調素子の調光層を設ける工程について説明する。
本発明の光変調素子の調光層を設ける工程は、表示面基板と非表示面基板との間に層間膜を介して積層される複数の調光層のうち、調光層上に前記層間膜が積層されうる調光層を形成する工程が、表示面基板または層間膜上に、高分子バインダー、該高分子バインダーを架橋しうる架橋剤、及び溶媒を含む溶液に、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが分散された調光層用塗布液を塗布し、調光層用塗布層を形成する塗布工程と、前記調光層用塗布層中の溶媒を前記高分子バインダーの凝固点より高い温度で揮発させて乾燥させると共に、該調光層用塗布層中に含まれる前記高分子バインダーを前記架橋剤によって架橋する架橋乾燥工程と、を有している。
この調光層を設ける工程について、以下に詳細に説明する。
上記のごとく濃度調製を行った調光層用塗布液の表示面基板への塗布は、アプリケータ、エッジコータ、スクリーンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、ダイコータなど所望のウェット厚に塗布できる公知の装置を用いて行う。なお、塗布工程では、架橋剤含有調光層塗布液のゼラチンを融点より高い温度に加熱して流動性のあるゾル状態に保持する必要がある。ゼラチンは、融点以上の温度に温めるとゾル化し、凝固点以下の温度に下げるとゲル化し流動性を失う。ゼラチン水溶液の濃度、pHなどによって変化するが、市販ゼラチンの凝固点は20〜30℃で、融点はそれよりも約5℃高い。
なお、調光層用塗布液の表示面基板への塗布量は、塗布後のウェット膜厚が10〜300μmとなるように調節する。
このようにすることにより、表示面基板上に調光層用塗布層を形成する。
次に、上記調光層用塗布液の塗布工程により表示面基板上に形成された調光層用塗布層中の高分子バインダーをゾル状態に維持したまま、高湿度下において、調光層用塗布層中の溶媒を揮発させて乾燥させると共に、高湿度下で1分以上30分未満加熱を続けることによって高分子バインダーを架橋剤により架橋する架橋乾燥工程を行う。
次に、上記架橋乾燥工程によって高分子バインダーが架橋ゾル状態とされた調光層用塗布層に、層間膜として機能する水溶性高分子を塗布する。
層間膜の塗布工程では、具体的には、層間膜として機能する材料を溶媒に溶解させた液体を、アプリケータ、エッジコータ、スクリーンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、ダイコータなど所望のウェット厚に塗布できる公知の装置を用いて行う。
このようにして、表示面基板上に形成された調光層上に層間膜として機能する水溶性高分子層が形成される。
第2の塗布工程では、層間膜塗布工程によって形成された層間膜上に、濃度調製を行った調光層用塗布液を塗布することによって、第2の塗布層を形成する。このときに使用する調光層塗布液には、架橋剤が添加されていなくてもかまわない。
ただし、この後更に、層間膜及び調光層が形成される場合には、使用する調光層用塗布液には架橋剤が添加されていなければならない。
次に、上記第2の塗布工程により層間膜上に形成された第2の塗布層中の高分子バインダーをゾル状態に維持したまま、高湿度下において、第2の塗布層中の溶媒を揮発させる乾燥工程を行う。
(調光層用塗布液の調製)
形成した調光層上に層間膜を形成する場合において、該調光層を形成するために用いる調光層用塗布液(以下、第1の調光層塗布液と称する)として、ネマチック液晶(E7、メルク社製)74.5質量%、カイラル剤1(CB15、メルク社製)21.3質量%、カイラル剤2(R1011、メルク社製)4.2質量%とを混合して、ブルーの色光を選択反射するコレステリック液晶を調整した。
60℃に加熱してゼラチンをゾル状態にした第1の調光層用塗布液を、ITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET支持基板(ハイビーム、東レ社製)(表示面基板)の上に、塗布後のウェット膜厚が90μmになるようにギャップを調製したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
続いて、第1の調光層用塗布液を塗布した表示面基板を50℃のホットプレート上にのせ、ポリスチレンケースでカバーをして15分間保持した。コレステリック液晶ドロップがお互いの位置関係を少しずつ変えながら、稠密状態へと次第に変化していった。さらに溶媒の揮発が進み、完全に塗膜が乾燥すると、乾燥時の厚み方向への膜収縮によって液晶がプレーナ配向し、ブルーの選択反射光を示した。乾燥後の透過顕微鏡像を図4(A)に示す。液晶ドロップは稠密に配列された状態になっていた。
コレステリック液晶ドロップが稠密状態になった塗布層上に、層間膜を形成した。層間膜塗布液には、純水に、部分けん化、重合度3500のポリビニルアルコールを溶解したものを用いた。ポリビニルアルコールは、層間膜用塗布液中に対して、3.3質量%になるように調整した。この層間膜用塗布液を、第1の調光層上に、塗布後のウェット厚が100μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
図4(B)の透過顕微鏡像が示すように、ゼラチンが層間膜塗布液によって膨潤した状態の塗布膜は、ゼラチンの膨潤が見られるものの、液晶の均一な配列状態は崩壊せず、且つ各液晶ドロップの合一や崩壊は見られなかった。
更に、塗布されたウェット状態の層間膜を23℃付近の室温に調節した金属プレート上で乾燥した。乾燥させた後の層間膜の厚みを測定したところ、約2μmであった。乾燥後の塗布層は、図4(C)の透過顕微鏡画像が示すように、液晶ドロップの均一な配列状態は崩壊しないまま且つ液晶ドロップが稠密に配列された調光層上に層間膜が形成されていることが分かる。すなわち、PDLC構造が崩壊されず、液晶ドロップの合一や破壊が発生していない事が分かる。
60℃に加熱してゼラチンをゾル状態にした第2の調光層用塗布液を、上記層間膜上に、塗布後のウェット膜厚が90μmになるようにギャップを調製したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
続いて、第2の塗布工程により第2の調光層用塗布液が塗布された表示面基板を50℃のホットプレート上にのせ、ポリスチレンケースでカバーをして15分間保持した。コレステリック液晶ドロップがお互いの位置関係を少しずつ変えながら、稠密状態へと次第に変化していった。さらに溶媒の揮発が進み、完全に塗膜が乾燥すると、乾燥時の厚み方向への膜収縮によって液晶がプレーナ配向し、シアンの選択反射光を示した。乾燥後の透過顕微鏡像を図4(D)に示す。液晶ドロップは稠密に配列された状態になっていた。
さらに、前記着色層の上に、ウレタン系ラミネート剤(LX719/KY−90、大日本インキ化学社製)を1μm厚にスピンコート塗布して、接着層を形成した。
前記のようにして作製した表示面基板と非表示面基板を、調光層と接着層が向かい合うように重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着し、光変調素子を得た。
図5に示すように、第1の調光層塗布液による調光層のみを形成した場合の光変調素子の表示特性を示す線図80に見られる波長のピークと、第2の調光層塗布液による調光層のみを形成した場合の光変調素子の表示特性を示す線図82に示される波長のピークと、の双方のピークを有する線図84が得られ、単層と略同等の特性が得られていることが分かる。
比較例1では、架橋剤を含めない以外は、実施例1と同様の手法で行った。
形成した調光層上に層間膜を形成する場合において、該調光層を形成するために用いる調光層用塗布液(第1の調光層塗布液)として、ネマチック液晶(E7、メルク社製)74.5質量%、カイラル剤1(CB15、メルク社製)21.3質量%、カイラル剤2(R1011、メルク社製)4.2質量%とを混合して、ブルーの色光を選択反射するコレステリック液晶を調整した。
第1の塗布工程において、実施例1と同様にして上記比較例1用に作製した調光層用塗布液を、表示面基板の上に塗布した。さらに、実施例1と同様の手法で、架橋乾燥工程を行った。乾燥後の透過顕微鏡像を図6(A)に示す。コレステリック液晶ドロップは稠密に配列されて状態となっていた。
12 非表示面基板
14 表示面基板
18、36 電極
26 着色層
30、301、302 調光層
32 液晶ドロップ
32a 液晶材料
34 層間膜
36 電極
38 支持基板
Claims (3)
- 少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向し、各々に電極を有する一対の基板間に層間膜を介して積層された複数の調光層を有する光変調素子の製造方法であって、前記複数の調光層のうち、調光層上に前記層間膜が積層されうる調光層を形成する工程が、
前記基板または前記層間膜上に、高分子バインダー、該高分子バインダーを架橋しうる架橋剤、及び溶媒を含む溶液に、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが分散された調光層用塗布液を塗布し、調光層用塗布層を形成する塗布工程と、
前記調光層用塗布層中の溶媒を前記高分子バインダーの凝固点より高い温度で揮発させて乾燥させると共に、該調光層用塗布層中に含まれる前記高分子バインダーを前記架橋剤によって架橋する架橋乾燥工程と、
を有し、
前記層間膜を形成する工程が、前記乾燥された調光層用塗布層上に、前記層間膜を塗布する層間膜塗布工程と、前記層間膜を乾燥する層間膜乾燥工程と、を有する光変調素子の製造方法。 - 前記層間膜を乾燥する層間膜乾燥工程が、前記高分子バインダーの凝固点以下で乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子の製造方法。
- 少なくとも前記架橋乾燥工程の一部または全部において、前記調光層用塗布液に振動を加えることを特徴する請求項1または請求項2に記載の光変調素子の製造方法。
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