JP4692150B2 - 光変調素子及び光変調素子の製造方法 - Google Patents
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この技術を用い、隣接する液晶ドロップを密着させると共に液晶ドロップを多面体構造とすることにより、反射率を向上させることが可能と考えられる。
(4)上記(1)から上記(3)の何れか1項に記載の光変調素子の製造方法において、前記ゼラチンを架橋しうる架橋剤がグリオキサールであることを特徴とする。
また、本発明の光変調素子に用いる液晶はコレステリック液晶、ネマチック液晶、ゲスト・ホスト液晶など、特に制限なく用いられるが、以下ではコレステリック液晶を例にとって説明する。
―支持基板―
支持基板は、絶縁性を有する、ガラス、及びシリコーン、またはポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどの高分子フィルムを用いて形成され、少なくとも一方、特に視認される側の支持基板(表示面基板を構成する支持基板)は、入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成される。また必要に応じて、支持基板の表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
電極は、導電性を有する、金やアルミなどの金属薄膜、酸化インジウムや酸化スズなどの金属酸化物、またはポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリンなどの導電性有機高分子を用いて形成され、少なくとも表示面側にある電極は、入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。また必要に応じて、その表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
調光層は、液晶による液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを、ゼラチン中に、分散保持し、架橋剤によってゼラチン分子間を架橋した構造からなる。調光層の層厚は、大きすぎると電極間に印加する駆動電圧を高くする必要があり、小さすぎると光変調素子のコントラストが低下することから、駆動電圧を低く且つコントラストを高くするために、1μm〜100μmであることが好ましい。
本発明の光変調素子の調光層は、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが単層で構成されていても、複層で構成されていてもよいが、調光層の凹凸を抑制するために、単層であることが好ましい。
本発明において用いることができる液晶材料としては、屈折率異方性があり、電圧印加によって配向が変化するものであればどのような液晶材料であってもよいが、好ましくは、コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶を含む)が挙げられる。
本発明の調光層に用いられるゼラチンとしては、ゼラチンの物性として、ゼリー強度が大きく、ゾル粘度が低いものが好ましい。
本発明の調光層用塗布液に含有され、ゼラチンを架橋しうる架橋剤としては、ゼラチンとの関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、ゼラチン分子間で架橋を形成し、ゼラチンを難溶化するものが好ましく、例えば、アルデヒド系化合物(アルデヒド基を有する化合物)のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、及びグリオキサールや、多価金属塩化合物のカリミョウバン水和物、あるいはアジピン酸ジヒドラジド、メラミンホルマリンオリゴマ、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリカルボジイミド等を挙げることができる。
OHC―(CH2)n―CHO 一般式(1)
接着層は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂など、熱や圧力によって調光層と遮光層を密着させることができる材料を用いる。なお、接着層を挿入する位置はこの実施形態に限らず、電極と調光層の間、電極と遮光層の間とすることもできる。電極と調光層の間に接着層を形成する場合は、少なくとも入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。
遮光層は、絶縁性を有する、カドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系などの無機顔料、またはアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系などの有機染料や有機顔料、あるいはこれらをゼラチンに分散した材料を用いて形成され、少なくとも反射光に対して、光吸収性を有するように構成する。
光導電層は、a−Si:H、a−Se、Te−Se、As2Se3、CdSe、CdS
などの無機光導電体、あるいはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール顔料、インジゴ顔料、アントロン顔料などの電荷発生材料とアリールアミン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、PVKなどの電荷輸送材料を組合せた有機光導電体などにより構成する。
本発明の光変調素子の作成方法は、表面に電極を有する支持基板としての非表示面基板上に遮光層を積層し、また、表面に電極を有する支持基板としての表示面基板上に調光層を積層した後に、接着層を介して、表面に電極を有する支持基板としての表示面基板を電極が形成された側と表面に電極を有する支持基板としての非表示面基板の電極が形成された面とが対向するように重ね合わせて接着することにより作製される。
なお、説明を簡略化するために、調光層を表示面基板上に形成するものとして説明する。
まず、調光層用塗布液の調整について詳細に説明する。
本発明の調光層用塗布液は、ゼラチン、ゼラチンを架橋するための架橋剤、及び液体を含有する溶液に、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを分散することによって調整される。
まず、液晶ドロップ及び液晶マイクロカプセルの調製方法について説明する。
液晶ドロップエマルジョンは、少なくともコレステリック液晶からなる分散相を、分散相と相溶しない連続相、例えば、水相中にドロップ状に乳化分散させることにより調製される。乳化する手段として、分散相と連続相を混合した後、ホモジナイザ−などの機械的なせん断力で分散相を微小な液滴として分散させる方法や、分散相を連続相中に多孔質膜を通して押出し、微小な液滴として分散させる膜乳化法などを用いることができる。特に膜乳化法は乳化液滴の粒径ばらつきが小さくなるため、均一な粒径の液晶ドロップを形成することができるため好ましい。なお、乳化時の連続相中に、乳化を安定させるための界面活性剤や保護コロイドを微量混合しておいてもよい。
高分子シェル内にコレステリック液晶が内包された液晶マイクロカプセルの調製には、公知の液晶マイクロカプセル化手法、例えば、相分離法、界面重合法、in situ重合法を用いることができる。具体的には、前記のごとくして作製した液晶ドロップを、高分子シェル材料を含む溶液中に分散させ、または前記材料に応じて熱硬化などさせ、液晶ドロップの周囲に高分子シェルを形成する。また、ウレタン・ウレア系の高分子シェルを作る場合には、あらかじめ液晶ドロップに多価イソシアネート化合物を含ませておき、液晶ドロップを、多価アルコールを含む溶液中に添加してウレタン・ウレア生成反応を起こさせることが好ましい。
上記工程後の液晶ドロップエマルジョン、または液晶マイクロカプセルスラリーの不揮発分濃度が低く、塗布時の調光層用塗布液で必要となる不揮発分濃度に調整できない場合は濃縮を行う。液晶ドロップ、または液晶マイクロカプセルと連続相の比重差を利用して、静置や遠心分離によって沈殿、あるいは沈降させて分離した連続相を除去する方法や、メンブランフィルタで濾過する方法などを用いる。
前記のごとくして得られた液晶ドロップエマルジョンまたは液晶マイクロカプセルスラリーを、ゼラチン、ゼラチンを架橋するための架橋剤、及び溶媒を含む溶液に分散することにより調光層用塗布液を調製する。
本発明では、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを支持基板上に塗布する。そこで、密度計や比重計を用いて、前記液晶ドロップエマルジョンまたは液晶マイクロカプセルスラリー内の各成分の含有量を測定し、調光層用塗布液のゼラチン、溶媒及び液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルの混合割合を調整する。
AL=(3/2)・(tW・Sr・Lr/DL)…式(1)
となる。そして、ALが、
0.8<AL<1.0…式(2)
の範囲になるように塗布調光層用塗布液を調整することが好ましい。
前記Srは、調光層用塗布液Xccから溶媒を蒸発させた場合に残る不揮発成分がYccの場合、Sr=Y/Xを意味し、また不揮発成分YccにZccの液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが含まれる場合Lr=Z/Yを意味する。
算出した混合割合に基づき、液晶ドロップエマルジョン、または液晶マイクロカプセルスラリーに対する、ゼラチン、溶媒、及び架橋剤の混合量を調整して塗布調光層用塗布液を作製する。ここで、増粘剤、濡れ性改善剤、乾燥速度調整剤など、公知の調光層用塗布液特性改質剤を微量添加してもよい。
本発明の調光層用塗布液に含有される溶媒としては、ゼラチンを溶解し、液晶ドロップの場合は液晶を溶解させないものが用いられ、液晶マイクロカプセルを用いる場合は少なくとも液晶マイクロカプセルの高分子シェルを溶解させないものが用いられる。
このような溶媒としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水等の水、水溶性有機溶媒、あるいはイオン交換水、蒸留水、水道水等の水と水溶性有機溶媒を混合した液体、非水溶性有機溶媒、及びイオン性液体等が用途や使用条件等に応じて適宜選択される。
次に本発明の光変調素子の調光層を設ける工程について説明する。
本発明の光変調素子の調光層を設ける工程は、光変調素子の調光層を設ける工程が、非表示面基板上に、ゼラチン、ゼラチンを架橋しうる架橋剤、及び溶媒を含む溶液に液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが分散された調光層用塗布液を塗布する第1の塗布工程と、基板上に塗布された調光層用塗布液によって形成された塗布層中の溶媒をゼラチンの凝固点より高い温度で揮発させて乾燥させると共に調光層用塗布液中に含まれるゼラチンを架橋剤によって架橋する架橋乾燥工程と、ゼラチンを膨潤させるための液体を架橋乾燥工程により乾燥及び架橋された塗布層に塗布する第2の塗布工程と、塗布層中の液体をゼラチンの凝固点以下の温度で揮発させて乾燥させる乾燥工程と、を有している。
この調光層を設ける工程について、以下に詳細に説明する。
前記のごとく濃度調製を行った調光層用塗布液の非表示面基板への塗布は、アプリケータ、エッジコータ、スクリーンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、ダイコータなど所望のウェット厚に塗布できる公知の装置を用いて行う。
次に、前記塗布工程により表示面基板上に形成された塗布層を密閉容器の中に保持し、且つ表示面基板上への加熱を継続することにより塗布層を融点より高い温度に加熱して、40〜60℃の温度となるような状況下に塗布層を保持し、且つ、塗布層を、塗布層中の飽和蒸気圧と同一またはこの溶媒の飽和蒸気圧に近い雰囲気中で、5〜25分間加熱処理を続けることによって、塗布層中の溶媒を揮発させて乾燥させると共に、塗布膜中のゼラチンを架橋剤によって架橋する架橋乾燥工程を行う。
なお、塗布層温度は、20℃〜80℃、特に好ましくは、30℃〜70℃、更に好ましくは40℃〜60℃となるように調整することが好ましい。80℃以上であると液晶化合物の組成比が揮発により変化してしまうという問題がり、20℃未満であると塗布層中の粘性が低いため流動性が低く液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが稠密に配置しにくくなるため好ましくない。
なお、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルの動きが不十分な場合、乾燥架橋工程の一部または全部において、前記塗布層に振動、例えば超音波振動子などによる機械的な振動を加えれば、溶剤が完全に揮発したときに、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが単層稠密に配置し、表面凹凸が小さく、フラットな高分子分散型の調光層を得ることができる。
次に、表示面基板を冷却することによって塗布層中のゼラチンをゼラチンの凝固点以下の温度に冷却し、このゼラチンの凝固点以下の温度下で、上記架橋乾燥工程によってゼラチンが架橋ゾル状態とされた塗布層に、塗布層中に含有されるゼラチンを膨潤させるための液体を塗布する。
表示面基板を冷却するための冷却装置としては、ペルチェなどを用いた冷却プレート、冷風ブロー装置等を用いることができる。
さらに、増粘剤、濡れ性改善剤、乾燥速度調整剤など、公知の溶液特性改質剤を微量添加してもよい。
上記液体の塗布層への塗布は、アプリケータ、エッジコータ、スクリーンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、ダイコータ等の所望の量を塗布できる公知の装置を用いて行う。第2の塗布工程では、ゼラチンが架橋ゾル状態にある塗布層に液体を塗布することにより、塗布層中のゼラチンが液体を吸収して膨潤すると共に、この第2の塗布工程は、ゼラチンの凝固点以下の温度下において行われるので、塗布層中のゼラチンが架橋ゲル状態となる。
最後に、上記第2の塗布工程により表示面基板上に形成された塗布層をゲル状態に維持したまま、塗布層中のゼラチンに吸収されている液体を、ゼラチンの凝固点以下の温度下で揮発させて乾燥させる。
ゼラチンはコラーゲンの熱変性物であるため、ゾル状態で乾燥させたゼラチンの分子構造はランダムコイル状となっているが、ゲル状態で乾燥させたゼラチンは、分子の一部が元のコラーゲンのらせん構造をとりネットワークが形成されている。ゼラチンがゾル状態からゲル状態へと変化すると体積収縮が生じると考えられる。そのため、塗布層を、ゾルーゲル変化をさせずにゾル状態のまま乾燥しただけでは、塗布層中の液体の揮発に伴うゼラチンの体積収縮が生じないことから、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを扁平化し、多面化することは困難であると考えられる。
(調光層用塗布液の調整)
ネマチック液晶(E7、メルク社製)77.5質量%、カイラル剤1(CB15、メルク社製)18.8質量%、カイラル剤2(R1011、メルク社製)3.7質量%と、を混合して、グリーンの色光を選択反射するコレステリック液晶を調整した。
4.2μm計のセラミック多孔質膜をセットした膜乳化装置(マイクロキット、SPGテクノ社製)を用いて、窒素圧力0.07kgf/cm2の条件下で前記コレステリック液晶を0.25質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液中で乳化した。得られたエマルジョンは、コレステリック液晶ドロップの粒子径平均が14.8μm、粒子径標準偏差が1.72μmで、ほぼ単分散に近い状態であった。
<第1の塗布工程>
60℃に加熱してゼラチンをゾル状態にした架橋剤が添加された調光層用塗布液を、表示面基板として、ITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET支持基板(ハイビーム、東レ社製)の上に、塗布後のウェット膜厚が90μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。塗布直後の透過顕微鏡像を図6(A)に示す。液晶ドロップは均一に分散された状態になっていた。
続いて、調光層用塗布液を塗布した表示面基板を50℃のホットプレート上にのせ、ポリスチレンケースでカバーをして15分間保持した。コレステリック液晶ドロップがお互いの位置関係を少しずつ変えながら、稠密状態へと次第に変化していった。さらに溶媒の揮発が進み、完全に塗膜が乾燥すると、ゼラチンが架橋されるとともに、乾燥時の厚み方向への膜収縮によって液晶がプレーナ配向し、グリーン色の選択反射光を示した。乾燥後の透過顕微鏡像を図6(B)に示すとおり、コレステリック液晶ドロップは稠密に配列されているが、球形に保持されていることが分かる。
コレステリック液晶ドロップが稠密状態になった塗布層上に、ゾルーゲル変化させるための液体を塗布した。該液体には、粘度を調整するためにポリビニルアルコールを1質量%添加した。塗布後のウェット膜厚が50μmになるようにギャップ調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。図6(C)の透過顕微鏡像が示すように、塗布層上に該液体を塗布した直後は、塗布層中のゼラチンが該液体によって膨潤した状態になっているが、ゼラチン分子間で架橋が形成されているため、コレステリック液晶ドロップはゼラチン分子間で保持されており、合体などは生じていない。
続いて、塗布層中からゾルーゲル変化させるための液体を23℃付近の室温で揮発させた。図6(D)の透過顕微鏡像が示すように、該液体が揮発した後の塗布層すなわち調光層は、ゲル乾燥のゼラチン中に多面体化された液晶ドロップが稠密に配列された調光層となった。なお、図6(D)に示すように、該液体が揮発した後の調光層では、図6(B)に示されるゾル−ゲル変化させる液体が塗布されていない調光層(ゾル乾燥の調光層)に比べて、液晶ドロップ間の隙間が少ないことから、多面体化への変形度が高いと言える。
実施例1において、架橋剤を含めないように調光層用塗布液を調整したこと以外は同様の手法で行った。具体的には下記方法により調光層を作製した。
調光層塗布液は、架橋剤を含めないようにしたこと以外は、実施例1と同様の手法で得た。
<第1の塗布工程>
実施例1と同様にして調光層用塗布液を、表示面基板の上に塗布した。塗布後の透過顕微鏡像を図9(A)に示す。コレステリック液晶ドロップは均一に分散された状態になっていた。
続いて、調光層用塗布液を塗布した表示面基板を50℃のホットプレート上にのせ、ポリスチレンケースでカバーをして15分間保持した。コレステリック液晶ドロップがお互いの位置関係を少しずつ変えながら、稠密状態へと次第に変化していった。さらに溶媒の揮発が進み、完全に塗膜が乾燥すると、ゼラチンが架橋されるとともに、乾燥時の厚み方向への膜収縮によって液晶がプレーナ配向し、グリーン色の選択反射光を示した。乾燥後の透過顕微鏡像を図6(B)に示すとおり、コレステリック液晶ドロップは稠密に配列されているが、球形に保持されていることが分かる。
実施例1と同様にして、第2の塗布工程でゾルーゲル変化させるための液体を塗布した。
図9(C)の透過顕微鏡像が示すように、塗布層上に該液体を塗布した直後から、塗布層中のゼラチンが膨潤した状態になっており、ゼラチン分子間で架橋が形成されていないため、コレステリック液晶ドロップの合体が観察された。
実施例1と同様にして調光層を乾燥した。図9(D)の透過顕微鏡像が示すように、乾燥後の塗布層、すなわち調光層には、コレステリック液晶ドロップの合体が生じてPDLC構造の崩れが観測された。
<調光層用塗布液の調整>
調光層塗布液は、実施例1と同様の手法で得た。
実施例1で示したものと同様の手法で表示面基板上へ調光層用塗布液の塗布を行い、実施例1と同様の手法で表示面基板を50℃のホットプレート上で保持した。その後、この50℃のホットプレート上にのせた状態のまま、調光層塗布液中の溶媒が揮発するまで保持した。保持と乾燥時間は合計で15分であった。図13の透過顕微鏡像が示すように、比較例2の方法で作製された調光層は、実施例1に比べて、液晶ドロップは稠密に配列されているが球形であることが分かる。
実施例1及び比較例2の光変調素子の、プレーナ状態における表示特性を、積分球型分光測色計(CM2022型、ミノルタ社製)を用いて測定した。図7(A)に実施例1の光変調素子の反射スペクトルの測定結果を示し、図7(B)に比較例2の光変調素子の反射スペクトルの測定結果を示した。
また、表1に反射スペクトルから求めたプレーナ状態のピーク波長における反射率(Rpeak)を示す。
11、21 支持基板
12、22 電極
30、31 調光層
32 液晶ドロップ
34 ゼラチン
36 液晶マイクロカプセル
37 溶液
39 塗布層
20 表示面基板
13 非表示面基板
Claims (4)
- 少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向し、電極を有する一対の基板間に、液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを含む調光層を有する光変調素子の製造方法であって、前記調光層を設ける工程が、
前記基板上に、ゼラチン、前記ゼラチンを架橋しうる架橋剤、及び溶媒を含む溶液に液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルが分散された調光層用塗布液を塗布する第1の塗布工程と、
前記塗布された調光層用塗布液によって形成された塗布層中の溶媒を前記ゼラチンの凝固点より高い温度で揮発させて乾燥させると共に、該調光層用塗布液中に含まれる前記ゼラチンを前記架橋剤によって架橋する架橋乾燥工程と、
前記ゼラチンを膨潤させるための液体を、前記架橋乾燥工程により乾燥及び架橋された前記塗布層に塗布する第2の塗布工程と、
前記塗布層中の前記液体を、前記ゼラチンの凝固点以下の温度で揮発させて乾燥させる乾燥工程と、を有し、
前記架橋乾燥工程の一部または全部において、前記塗布層を、蒸気圧が前記溶媒の飽和蒸気圧と同一、または前記飽和蒸気圧に近い雰囲気中に保持する、光変調素子の製造方法。 - 少なくとも前記架橋乾燥工程の一部または全部において、前記塗布層に振動を加えることを特徴する請求項1に記載の光変調素子の製造方法。
- 前記ゼラチンを架橋しうる架橋剤がアルデヒド系化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光変調素子の製造方法。
- 前記ゼラチンを架橋しうる架橋剤がグリオキサールであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光変調素子の製造方法。
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