JP4928923B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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車両用空調装置は、冷房運転時には冷却器によって空調空気を冷却することによって車室内に冷風を送出し、車室内雰囲気温度を低下させる。また、車両用空調装置は、暖房運転時にはヒータによって空調空気を加熱することによって車室内に温風を送出し、車室内雰囲気温度を上昇させる。
ここで、冷却器としては、動力源によって駆動される冷凍サイクル装置のエバポレータが用いられる。冷却器は、空調空気を冷却することで、空調空気に含まれる水分を凝集させて回収し、空調空気の湿度を低下させる能力(除湿能力)も有している。
また、車両の動力源が、内燃機関のような発熱量の大きい装置である場合には、ヒータとして、動力源の排熱を空調空気の加熱に利用する装置が用いられる。一方、車両の動力源が、燃料電池や電気モータのような発熱量の小さいものである場合には、例えば電熱式のヒータが用いられる。
すなわち、車両用空調装置では、内外気切換ダンパによって外気取入口と内気取入口とのうちのいずれか一方を閉塞した状態でブロワを作動させることで、外気のみを空調空気として利用する動作モード(外気モード)と、内気のみを空調空気として利用する動作モード(内気循環モード)とを切換えることができるようになっている。
一方、暖房運転時には、車室内雰囲気温度よりも車両の窓ガラスの温度が低いため、車室内の湿度が高い場合には、窓ガラスに結露が生じて乗員の視界を妨げてしまう可能性がある。また、車室内の湿度が非常に高い場合には、車室内にダニやカビが発生するおそれがある。
このため、車両用空気調和装置には、車室内雰囲気の湿度が適正範囲内となるよう、車室内雰囲気の湿度を制御する機能が求められている。
特許文献1には、車室内空気湿度認識手段と、車室内空気湿度認識手段の検出値が車室内空気湿度目標値に近づくように冷却器の冷却能力(すなわち除湿能力)を制御する冷却器能力調節手段とを設けた車両用空調装置が開示されている。
特許文献2には、車内湿度検出手段と、車内湿度検出手段の検出値が所定値以上である場合にエバポレータ(冷却器)の温度を低下させる空調装置制御手段とを設けた車両用空調装置が開示されている。
特許文献3には、車両窓ガラスを直接加熱する電気発熱体と、車室内湿度が快適範囲より低いか否かを判定する快適性判定手段と、快適性判定手段により車室内の湿度が快適範囲より低いと判断された時に、内外気切換手段(内外気切換ダンパ)を内気主体の吸入モード(内気モード)に設定する内外気制御手段と、車両窓ガラスの曇りを判定する曇り判定手段と、曇り判定手段により車両窓ガラスの曇りが判定されると電気発熱体に通電する通電制御手段とを設けた車両用空調防曇制御装置が開示されている。
特に、燃料電池自動車や電気自動車は、暖房運転時に動力源の動力を利用してヒータ等の熱源装置を駆動する必要があり、暖房運転時には燃費が顕著に悪化するので、暖房運転時の動力源の負担を極力低減することが求められている。
また、特許文献1及び特許文献2には、車室内雰囲気の湿度を低下させる方法のみ開示されており、車室内雰囲気の湿度を高める方法については一切の記載がない。このため、特許文献1に記載の車両用空調装置や特許文献2に記載の車両用空調装置では、車室内雰囲気の乾燥を防止する手立てがない。
この特許文献3に記載の車両用空調防曇制御装置では、車室内湿度の制御は、乗員の快適性を優先して行われるので、車室内雰囲気の湿度は、車両窓ガラスに結露が生じる程度まで上昇する場合がある。
そこで、特許文献3に記載の車両用空調防曇制御装置では、車両窓ガラスに結露が生じると、この結露を検出して、電気発熱体によって車両窓ガラスを加熱したり、蒸発器(冷却器)によって除湿された空調風を窓ガラスに向けて吹き付けたりして、窓ガラスの曇りを解消する構成とされている。
しかしながら、このように電気発熱体や蒸発器を利用して窓ガラスの曇りを除去する場合には、これら電気発熱体や蒸発器を駆動するために、車両の動力源を利用することになるので、車両の燃費が悪化してしまう。このため、特許文献3に記載の構成も、車両の燃費向上の観点からは好ましくない。
すなわち、本発明は、下流部を車室内に接続された空調空気流路と、該空調空気流路内の空調空気を前記空調空気流路の上流側から下流側へと送出するブロワと、前記空調空気流路内の前記空調空気を冷却する冷却器と、前記空調空気流路内の前記空調空気を加熱するヒータとを有し、前記空調空気流路の上流側には、車両外の空気を取り込む外気取入口と、前記車室内の空気を取り込む内気取入口とが設けられ、前記外気取入口の開度及び前記内気取入口の開度を制御する内外気切換ダンパと、該内外気切換ダンパの動作及び前記冷却器の動作を制御する空調制御装置とを有する車両用空調装置において、前記車室内の雰囲気の湿度を検出する車室内湿度検出器と、前記車室内の雰囲気の温度を検出する車室内温度検出器と、前記車室外の雰囲気温度を検出する外気温度検出器とが設けられ、前記空調制御装置は、予め設定されている数式と車室内温度検出器及び外気温度検出器の検出値に基づいて曇り発生湿度範囲HFを予測するとともに、予め設定されている数式と車室内湿度検出器の検出値を用いて、前記曇り発生湿度範囲HFよりも低い値とされる車室内目標湿度HTを予測することに加え、順次基準値が大きくされている外気切換基準湿度HO、除湿基準湿度HD及び除湿レベルの異なる複数の基準湿度が設定されており、暖房運転時、前記冷却器を停止させた状態で運転するとともに、前記車室内湿度検出器によって検出された前記車室内の湿度HCと前記車室内の目標湿度HTとを比較し、前記車室内の湿度HCが前記目標湿度HTよりも低い場合(HC<HT)には、前記内外気切換ダンパの動作を制御して前記内気取入口の開度を増加させて加湿モードとし、前記車室内の湿度HCが前記目標湿度HTよりも高い、HT<HC<HOの場合は、前記内外気切換ダンパの動作を制御して前記外気取入口の開度を前記加湿モードよりも増加させて半内気モードとし、前記車室内の湿度HCが更に高くなり、外気切換基準湿度HO以上(HO≦HC)となった場合は、前記内外気切換ダンパを外気モードに切換える構成とされている車両用空調装置を提供する。
空調制御装置は、暖房運転時において、車室内湿度検出器によって検出された車室内の湿度が目標湿度を下回った場合には、内外気切換ダンパの動作を制御して、内気取入口の開度を増加させる。
これにより、車両用空調装置から車室内に供給される空調空気のうち、内気取入口から空調空気流路内に取り入れられた車室内雰囲気(内気)の占める割合が増加する。すると、車室内雰囲気の水分の車室外への排出量が低減されるとともに、乗員が発する水分のうち、車室内に残留する割合が多くなるので、車室内雰囲気の湿度が高められる。
一方、車室内湿度検出器によって検出された車室内の湿度が目標湿度よりも高い場合には、空調制御装置が、内外気切換ダンパの動作を制御して、外気取入口の開度を増加させる。
これにより、車両用空調装置から車室内に供給される空調空気のうち、外気取入口から空調空気流路内に取り入れられた外気の占める割合が増加する。すると、車室内雰囲気の水分の車室外への排出量が増加するとともに、乗員が発する水分のうち、車室内に残留する割合が少なくなるので、車室内雰囲気の湿度が低減される。
すなわち、この車両用空調装置では、暖房運転時における車室内湿度が、常に目標湿度に近付くように制御される。
さらに、この車両用空調装置では、ヒータや冷却器等、車両の動力源に負担のかかる装置を用いることなく、内外気切換ダンパの動作を制御することのみによって車室内雰囲気の湿度を目標湿度に保つ構成とされている。このため、この車両用空調装置では、車両の動力源の燃費の悪化を抑えつつ、車室内雰囲気の湿度を適正範囲内に保つことができる。
空調制御装置は、車室内温度検出器の検出値及び外気温度検出器の検出値に対応する曇り発生湿度範囲を逐次演算によって求める演算装置を有する構成とされていてもよい。
空調制御装置は、予め求められた複数の条件下での曇り発生湿度範囲の情報が格納された記憶装置を有し、この記憶装置から、車室内温度検出器の検出値及び外気温度検出器の検出値に対応する曇り発生湿度範囲を読み出して、上記の車両内の湿度制御に利用する構成とされていてもよい。
また、曇り発生湿度範囲は、車室内温度検出器の検出値及び外気温度検出器の検出値に加えて、車両の速度(車速)などの他の要素を考慮して求めてもよい。
この場合には、暖房運転時に車室内の湿度が目標湿度を超えて曇り発生湿度に近付いた場合には、空調制御装置によって冷却器が動作させられて、空調空気の除湿が行われる。
これにより、乗員から発せられる水分量が多い場合や、車室内温度に比べて外気温度が大幅に低い場合など、空調空気に占める外気の割合の調整のみによっては窓ガラスの曇りを防止することが困難な場合にも、車室内の湿度を速やかに低下させて、窓ガラスの曇りを効果的に防止することができる。
このため、この車両用空調装置は、燃料電池自動車や電気自動車など、暖房運転時の動力源の負担を極力低減することが求められる車両に用いられる車両用空調装置としては好適である。
図1に示すように、本実施形態にかかる車両用空調装置1は、図示せぬ車両に搭載されるものであって、下流部を車室内に接続された空調空気流路3と、空調空気流路3内の空調空気を空調空気流路3の上流側から下流側へと送出するブロワ5と、空調空気流路3内の空調空気の冷却や除湿を行う冷却器7と、空調空気流路3内の空調空気を加熱するヒータ9と、車両用空調装置1の動作を制御するメインコントローラ(空調制御装置)11とを有している。
本実施形態では、車両用空調装置1を、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)を動力源とする車両に搭載した例を示す。
空調空気流路3の上流側には、車両外の空気を取り込む外気取入口3aと、車室内の空気を取り込む内気取入口3bとが設けられている。また、空調空気流路3の下流側には、車室内の乗員頭部に対向する位置に開口するフェイス吹出口3cと、車室内の乗員脚部に対向する位置に開口するフット吹出口3dと、車両の窓ガラス内面に対向する位置に開口するデフロスト吹出口3eとが設けられている。
内外気切換ダンパ21は、空調空気流路3の内壁のうち外気取入口3aと内気取入口3bとの間に位置する部位にヒンジを介して取り付けられて、このヒンジを支点として外気取入口3aを閉塞する位置と内気取入口3bを閉塞する位置との間で変位可能とされたドアと、このドアの位置を調整するアクチュエータとを有している。内外気切換ダンパ21は、アクチュエータによってドアの位置を調整することで、外気取入口3aの開度及び内気取入口3bの開度を連続的または段階的に調整するものである。
フェイス/フットダンパ23は、空調空気流路3の内壁のうちフェイス吹出口3cとフット吹出口3dとの間に位置する部位にヒンジを介して取り付けられて、このヒンジを支点としてフェイス吹出口3cを閉塞する位置とフット吹出口3dに通じる流路を閉塞する位置との間で変位可能とされたドアと、このドアの位置を調整するアクチュエータとを有している。フェイス/フットダンパ23は、アクチュエータによってドアの位置を調整することで、フェイス吹出口3cの開度及びフット吹出口3dの開度を制御するものである。
デフロストダンパ25は、空調空気流路3の内壁にヒンジを介して取り付けられて、このヒンジを支点としてデフロスト吹出口3eを閉塞する位置とデフロスト吹出口3eを開放する位置との間で変位可能とされたドアと、このドアの位置を調整するアクチュエータとを有している。デフロストダンパ25は、アクチュエータによってドアの位置を調整することで、デフロスト吹出口3eの開度を制御するものである。
ブロワ5は、図示せぬ電源から送風機電圧コントローラ5aを介して電力を供給されている。ブロア5は、送風機電圧コントローラ5aから供給される電圧に応じて送風量が変化する構成とされている。送風機電圧コントローラ5aは、メインコントローラ11によってその動作が制御されるようになっている。
冷凍サイクル装置31は、冷媒が循環流通される冷媒流路上に、冷媒流路内に冷媒を圧送するコンプレッサ31aと、コンプレッサ31aから吐出された冷媒を凝集・液化させるコンデンサ31bと、コンデンサ31bによって液化させられた冷媒を一時的に貯留するレシーバ31cと、コンデンサ31bによって液化された冷媒を膨張・気化させる膨張弁31dと、膨張弁31dで膨張させられて低温となった冷媒と空調空気流路3内の空調空気との間で熱交換を行うエバポレータ(すなわち冷却器7)とを有している。なお、冷凍サイクル装置31では、冷却器7を通過した冷媒は、コンプレッサ31aに送り込まれて、再度冷媒として利用される。
クラッチ31eは、クラッチコントローラ31fによって動作を制御されている。クラッチコントローラ31fは、動力源の動作を制御する動力源制御装置(ECU: Engine Control Unit)33によってその動作が制御されるようになっている。動力源制御装置33は、メインコントローラ11の指示に基づいてクラッチコントローラ31fの動作を制御する構成とされている。
空調空気流路3のうち、冷却器7とヒータ9との間には、エアミックスダンパ35が設けられている。エアミックスダンパ35は、空調空気流路3において上流側から見てヒータ9全体を覆った状態とヒータ9の一部または全体を露出させた状態との間で変位可能なドア35aと、このドア35aの位置を調整するエアミックスダンパアクチュエータ35bとを有している。
エアミックスダンパ35は、エアミックスダンパアクチュエータ35bの動作を制御して、ドア35aの位置を調整することで、空調空気流路3の上流側に対するヒータ9の露出量を制御するものである。このように空調空気流路3の上流側に対するヒータ9の露出量を制御することで、ヒータ9の下流側に到達した空調空気のうち、ヒータ9を通過した空調空気(ヒータ9に加熱された空気)とヒータ9を迂回した空気(ヒータ9に加熱されなかった空気)との混合割合を制御して、空調空気の温度をコントロールすることができる。ここで、エアミックスダンパ35の動作制御は、車室内の雰囲気温度がメインコントローラ11に入力された目標車室内温度に保たれるよう、メインコントローラ11によって自動的に制御されるようになっている。
メインコントローラ11は、動力源制御装置33から車両の速度情報を受け取る構成とされている。また、車室内には、車内操作パネル51が設けられており、メインコントローラ11は、乗員が車内操作パネル51に入力した各種動作指令(動作のON/OFF指令、車内目標温度設定指令、風量設定指令、動作モードの切換指令等)に基づいて、車両用空調装置1の動作を制御する構成とされている。
車両用空調装置1は、暖房運転時の動作モードとして、一般的な車両用空調装置と同様に冷却器7及びヒータ9を用いて車内温度及び車内湿度を制御するオリジナル制御モードと、動力源の発する動力の利用を最小限にしつつ車室内の湿度を適正に維持する省動力モードとを有している。
そこで、暖房運転時には、まず、省動力モードに移行するかどうかが選択される(ステップS1)。
この動作モードの選択は、例えば、乗員が車内操作パネル51を操作することによって行われる。
車両用空調装置1は、省動力モードに移行しない選択が行われると、オリジナル制御モードで動作し(ステップS2)、省動力モードに移行する選択が行われると、省動力モードへの移行して(ステップS3)、車室内の湿度に応じて、さらに細かい動作モードへの切換を行う。
メインコントローラ11は、例えば、実験等によって得られた車室内温度及び外気温度と曇り発生湿度範囲HFとの相関関係をあらわす数式(またはテーブル)を格納する記憶装置を有し、この数式(またはテーブル)と、車室内温度センサ43の検出値及び外気温度センサ45の検出値とを用いて、実際の曇り発生湿度範囲HFを予測する構成とされる。
そこで、本実施形態では、メインコントローラ11は、曇り発生湿度範囲HFの予測精度をより高めるために、車速も考慮して曇り発生湿度範囲HFを予測する構成とされている。
メインコントローラ11は、例えば、実験等によって得られた車室内温度と乗員が最も快適と感じる湿度との相関関係をあらわす数式(またはテーブル)を格納する記憶装置を有し、この数式(またはテーブル)と車室内温度センサ43の検出値とを用いて、目標湿度HTを予測する構成とされる。
なお、目標湿度HTの決定にあたっては、車室内湿度及び車室内温度に加えて、他のパラメータ(例えば日射センサ47等によって求められた日射量等)を考慮してもよい。
具体的には、メインコントローラ11は、目標湿度HTに加えて、外気切換基準湿度HO、除湿基準湿度HD、除湿能力切換基準湿度HDC、デフロスト基準湿度HDF、及び風量切換基準湿度HBUを設定する。これらの値は、車室内温度及び外気温に依存するものである。図3のグラフに、車室内温度が25°Cである場合の外気温と各基準湿度の値との関係を示す。
各基準湿度は相対湿度で表されるものであって、その大きさは、目標湿度HT<外気切換基準湿度HO<除湿基準湿度HD<除湿能力切換基準湿度HDC<デフロスト基準湿度HDF<風量切換基準湿度HBUとされている。なお、風量切換基準湿度は、曇り発生湿度範囲HFの下限値以下に設定される。
メインコントローラ11は、車室内の湿度HCが目標湿度HTよりも低い場合(HC<HTである場合)には、冷却器7を停止させるとともに、内外気切換ダンパ21の動作を制御して内気取入口3bの開度を増加させる。本実施形態では、加湿モード時には、内気取入口3bは全開とされ、外気取入口3aは全閉とされる。
これにより、車両用空調装置1から車室内に供給される空調空気のうち、内気取入口3bから空調空気流路3内に取り入れられた車室内雰囲気(内気)の占める割合が増加する。すると、車室内雰囲気の水分の車室外への排出量が低減されるとともに、乗員が発する水分のうち、車室内に残留する割合が多くなるので、車室内雰囲気の湿度が高められる。
[半内気モード]
メインコントローラ11は、HT<HC<HOである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aの開度を加湿モード時よりも増加させる(半内気モード)。
これにより、車両用空調装置1から車室内に供給される空調空気のうち、外気取入口3aから空調空気流路3内に取り入れられた外気の占める割合が増加する。すると、車室内雰囲気の水分の車室外への排出量が増加するとともに、乗員が発する水分のうち、車室内に残留する割合が少なくなるので、車室内雰囲気の湿度が低減される。
[外気モード]
メインコントローラ11は、HO≦HC<HDである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aの開度を半内気モード時よりも増加させる(外気モード)。本実施形態では、外気モード時には、外気取入口3aは全開とされ、内気取入口3bは全閉とされる。
これにより、車両用空調装置1から車室内に供給される空調空気が全て外気に占められるので、車室内雰囲気の水分の車室外への排出量が半内気モード時よりも増加するとともに、乗員が発する水分のうち、車室内に残留する割合が半内気モード時よりも少なくなるので、車室内雰囲気の湿度がより効果的に低減される。
メインコントローラ11は、HD≦HC<HDCである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aの開度を増加させるとともに、冷却器7を最大能力よりも低い能力で動作させて、空調空気の除湿を行う(中度除湿モード)。本実施形態では、除湿モード時には、外気取入口3aは全開とされ、内気取入口3bは全閉とされる。
これにより、車室内雰囲気の湿度を、外気モード時よりも速やかに低減することができる。
本実施形態では、車室内湿度が大幅に変動した場合にも、車室内湿度が曇り発生湿度範囲HFに達する前に、後述する強除湿モード、デフロストモード、風量増加モードでの除湿期間を十分確保して、窓ガラスの曇りを防止することができるよう、除湿基準湿度HDの値は、曇り発生湿度範囲HFの下限値に対して相対湿度で10%低い値に設定される。
[強除湿モード]
メインコントローラ11は、HDC≦HC<HDFである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aの開度を増加させるとともに、冷却器7を中度除湿モード時よりも高い能力で動作させて、空調空気の除湿を行う(強除湿モード)。本実施形態では、強除湿モード時には、外気取入口3aは全開とされ、内気取入口3bは全閉とされる。
これにより、車室内雰囲気の湿度を、除湿モード時よりも速やかに低減することができる。
メインコントローラ11は、HDF≦HC<HBUである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aを全開、内気取入口3bを全閉とし、冷却器7を強除湿モード時以上の能力で動作させるとともに、デフロストダンパ25が開かれる(デフロストモード)。本実施形態では、デフロストモード時には、外気取入口3aは全開とされ、内気取入口3bは全閉とされるとともに、デフロストダンパ25が全開とされる。
これにより、車両の窓ガラス内面に乾燥した空調空気が吹き付けられることになり、車両の窓ガラスの曇りが防止される。
[風量増加モード]
メインコントローラ11は、HBU≦HCである場合には、内外気切換ダンパ21の動作を制御して外気取入口3aを全開、内気取入口3bを全閉とし、冷却器7を強除湿モード時以上の能力で動作させ、デフロストダンパ25が開かれるとともに、ブロワ5の風量が増加させられる(風量増加モード)。本実施形態では、風量増加モード時には、外気取入口3aは全開とされ、内気取入口3bは全閉とされるとともに、デフロストダンパ25が全開とされる。
これにより、車室内雰囲気の湿度を、強除湿モード時よりも速やかに低減することができる。
本実施形態では、メインコントローラ11は、図4に示すように、車室内の湿度HCが上昇傾向にある場合は各基準湿度に基づいて動作モードの判定を行い、車室内の湿度HCが下降傾向にある過程では、各基準湿度の値に負のオフセット量Dを加えた値に基づいて動作モードの判定が行われる。
例えば、外気モード時(HO<HC<HDである場合)に、車室内の湿度HCがさらに上昇した場合には、車室内の湿度HCが除湿基準湿度HDに到達した時点で、動作モードが除湿モードに切り換えられる。一方、除湿モード時(HD≦HC<HDCである場合)に、車室内の湿度HCがさらに低下した場合には、車室内の湿度HCが除湿基準湿度HDを下回ってもすぐに動作モードの切換は行われず、車室内の湿度HCが除湿基準湿度HDよりもDだけ低い値(すなわちHC=HD−D)となった時点で、動作モードが外気モードに切り換えられる。
これにより、車室内の湿度HCが基準湿度をまたいで僅かな量だけ変動した場合にも、動作モードの切換が行われないので、乗員に不快感を与えずに済む。特に、外気モードと除湿モードとの切換の際には、冷却器7のON/OFFの切換(すなわちコンプレッサ31aのON/OFFの切換)が行われるが、車室内の湿度HCが除湿基準湿度HDをまたいで僅かな量だけ変動した場合にも、外気モードと除湿モードとの切換が行われず、コンプレッサ31aのON/OFFの切換が行われないので、乗員に不快感を与えずに済む。
このため、この車両用空調装置1では、車両の動力源の燃費の悪化を抑えつつ、車室内雰囲気の湿度を適正範囲内に保つことができる。すなわち、この車両用空調装置1は、燃料電池自動車や電気自動車など、暖房運転時の動力源の負担を極力低減することが求められる車両に用いられる車両用空調装置としては好適である。
さらに、目標湿度HTは、曇り発生湿度範囲HFよりも低い値に設定されているので、この車両用空調装置1では、暖房運転時における車室内雰囲気が、常に車両の窓ガラスに曇りが発生する湿度範囲よりも低湿度に保たれることになり、窓ガラスの曇りが防止される。
これにより、雨天時など乗員から発せられる水分量が多い場合や、車室内温度に比べて外気温度が大幅に低い場合など、空調空気に占める外気の割合の調整のみによっては車室内の湿度の制御が困難な場合にも、車室内の湿度を速やかに低下させて、窓ガラスの曇りを効果的に防止することができる。
3 空調空気流路
3a 外気取入口
3b 内気取入口
5 ブロワ
7 冷却器
9 ヒータ
11 メインコントローラ(空調制御装置)
21 内外気切換ダンパ
41 車室内湿度センサ(車室内湿度検出器)
43 車室内温度センサ(車室内温度検出器)
45 外気温度センサ(外気温度検出器)
Claims (2)
- 下流部を車室内に接続された空調空気流路と、
該空調空気流路内の空調空気を前記空調空気流路の上流側から下流側へと送出するブロワと、
前記空調空気流路内の前記空調空気を冷却する冷却器と、
前記空調空気流路内の前記空調空気を加熱するヒータとを有し、
前記空調空気流路の上流側には、車両外の空気を取り込む外気取入口と、
前記車室内の空気を取り込む内気取入口とが設けられ、
前記外気取入口の開度及び前記内気取入口の開度を制御する内外気切換ダンパと、
該内外気切換ダンパの動作及び前記冷却器の動作を制御する空調制御装置とを有する車両用空調装置において、
前記車室内の雰囲気の湿度を検出する車室内湿度検出器と、
前記車室内の雰囲気の温度を検出する車室内温度検出器と、
前記車室外の雰囲気温度を検出する外気温度検出器とが設けられ、
前記空調制御装置は、予め設定されている数式と車室内温度検出器及び外気温度検出器の検出値に基づいて曇り発生湿度範囲HFを予測するとともに、予め設定されている数式と車室内湿度検出器の検出値を用いて、前記曇り発生湿度範囲HFよりも低い値とされる車室内目標湿度HTを決定することに加え、順次基準値が大きくされている外気切換基準湿度HO、除湿基準湿度HD及び除湿レベルの異なる複数の基準湿度が設定されており、
暖房運転時、前記冷却器を停止させた状態で運転するとともに、前記車室内湿度検出器によって検出された前記車室内の湿度HCと前記車室内の目標湿度HTとを比較し、前記車室内の湿度HCが前記目標湿度HTよりも低い場合(HC<HT)には、前記内外気切換ダンパの動作を制御して前記内気取入口の開度を増加させて加湿モードとし、
前記車室内の湿度HCが前記目標湿度HTよりも高い、HT<HC<HOの場合は、前記内外気切換ダンパの動作を制御して前記外気取入口の開度を前記加湿モードよりも増加させて半内気モードとし、
前記車室内の湿度HCが更に高くなり、外気切換基準湿度HO以上(HO≦HC)となった場合は、前記内外気切換ダンパを外気モードに切換える構成とされている車両用空調装置。 - 前記空調制御装置は、前記車室内の湿度HCが除湿基準湿度HD以上(HD≦HC)となった場合、除湿モードとすることにより、前記冷却器を動作させて前記空調空気の除湿を行わせ、更に前記車室内の湿度HCが前記除湿基準湿度HDよりも大きい前記除湿レベルの異なる複数の基準湿度以上となる度に、順次除湿能力の高いモードで前記空調空気の除湿を行わせる構成とされている請求項1に記載の車両用空調装置。
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