JP4925687B2 - 高純度無機酸の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属イオンを含有する無機酸排液から高純度の無機酸を回収する方法に関するものであり、特には、低純度のフッ酸水溶液から高純度のフッ酸水溶液を回収する方法に関する。
現在、半導体製造工程や金属材料の酸洗工程では、フッ酸水溶液が広く使用されている。このような工程で使用され、回収された使用済みのフッ酸排液は、金属イオンを含有している。従って、このような使用済みのフッ酸排液を再利用するために、金属イオンの濃度を低減し高純度化したフッ酸水溶液にすることが求められている。
従来、フッ酸水溶液の処理方法としては、消石灰などを用いた凝集沈殿処理が一般に採用されており、アルミニウム・鉄系の凝集剤を大量に使用することで廃液中のフッ酸の除去を図ってきたが、環境問題などからの近年における規制強化などに伴い、より高度なフッ酸水溶液の処理方法が求められている。また、凝集沈殿処理で発生する汚泥量の削減などの見地から、このような凝集沈殿処理を行わず、回収された使用済みフッ酸の再利用が検討されているのが実状である。
上記のような観点から、電気透析により、金属イオンを不純物として含むフッ酸排液から金属イオンを除去した高純度のフッ酸を回収する方法が検討されている。
フッ酸含有排液の回収方法として、金属イオンを含む酸排液をアルカリで中和し、含有している金属イオンを沈殿させ、この沈殿物をフィルター等で取り除き、得られた金属イオン含有量の少ない塩溶液をバイポーラ膜、アニオン交換膜、カチオン交換膜を用いた電気透析装置に供給し、塩溶液から酸を回収する方法が提案されている。しかしながら、上記のようなバイポーラ膜、アニオン交換膜、カチオン交換膜を用いた電気透析装置を用いた方法では低純度の酸をアルカリで中和する必要があり、また沈殿物を分離する工程が必要となる。従って薬品を消費し、処理工程が増加することから、効率的な高純度の酸回収法とは言い難い。
特公平7−112558
本発明の目的は、バイポーラ膜を用いて構成された電気透析装置を使用し、このような電気透析装置を用いての電気透析によって、金属イオン濃度が低減された高純度のフッ酸水溶液を回収する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、フッ酸に限らず、他の無機酸についても金属イオン濃度を著しく低減し得る高純度無機酸の回収方法を提供することにある。
本発明によれば、正極と負極との間にバイポーラ膜とアニオン交換膜とが配置され、上記バイポーラ膜の間をアニオン交換膜によって仕切ることにより形成された、バイポーラ膜をそれぞれ片壁とする、正極側室と負極側室とを備えた電気透析装置を使用し、該負極側室に、金属イオン含有のフッ酸排液を処理液として供給し、該正極側室に水または高純度フッ酸水溶液からなる回収媒体液を供給し、この状態で電気透析を行うことにより、負極側室から正極側室に共役塩基を選択的に移行させて回収媒体液中のフッ酸濃度を上昇させ、正極側室から回収媒体液を高純度のフッ酸水溶液として回収することを特徴とする高純度フッ酸の回収方法が提供される。
本発明の方法としては、
(1)バイポーラ膜の間を複数のアニオン交換膜によって仕切り、前記正極側室と負極側室との間に少なくとも一つの中間室を形成された電気透析装置を使用すること、
(2)前記処理液中のフッ酸濃度を0.25mol/L以上の濃度に維持しながら電気透析を行うこと、
(3)前記フッ酸濃度を0.25〜10mol/Lの範囲に維持して電気透析を行うこと、
が好適である。
本発明方法は、バイポーラ膜を用いて構成された電気透析装置を使用するものであるが、特に重要な特徴は、処理すべき無機酸排液に含まれる金属イオンを除去するのではなく、処理すべき無機酸排液に含まれる共役塩基を回収媒体液である水または高純度の無機酸水溶液中に移動させることにより、回収媒体液を高純度の無機酸水溶液として回収した点にあり、これにより、金属イオン濃度が低減された高純度の無機酸水溶液を回収することができ、さらに、高い電流効率で電気透析を実行することができる。
即ち、カチオンである金属イオンを除去することにより、高純度の無機酸を回収する場合には、一対のバイポーラ膜の間にカチオン交換膜が配置された電気透析装置を使用し、正極側室(酸室)に処理すべき無機酸排液を供給し、この状態で電気透析を行うことにより、無機酸排液中の金属イオンがカチオン交換膜を透過して負極側室(塩基室)に移行する。この結果として、正極側室に供給された無機酸排液から金属イオンが除去され、この無機酸水溶液の純度を高め、高純度の無機酸水溶液として回収されることとなる。しかしながら、かかる手段では、無機酸の乖離によりHが金属イオンと比較すると多量に存在するため、特に金属イオンが微量で存在するような液中から該金属イオンを移動させるには電流効率が著しく低くなってしまう。例えば、後述する比較例1では、Feの電流効率は約0.03%であり、このため、金属イオン濃度を効率的に低減させることは極めて困難となる。
しかるに、本発明においては、金属イオンではなく共役塩基を回収室としての正極側室に移動させることにより、高純度の無機酸水溶液を回収するため、一対のバイポーラ膜の間に、カチオン交換膜ではなくアニオン交換膜が配置された電気透析装置を使用するものである。また、負極側室に処理すべき無機酸排液を供給し、正極側室には回収媒体液である水または高純度の無機酸水溶液を供給し、この状態で電気透析を行い、負極側室の無機酸水溶液中から共役塩基を、アニオン交換膜を介して正極側室に移動させる。従って、正極側室の回収媒体液中の無機酸濃度が増大し、金属イオンには負極室側から正極室側に移動させる電気力は作用せず、しかも、金属イオンの移動はアニオン交換膜によって制限されるため、負極側室から正極側室への金属イオンの移動による回収媒体液の金属イオン濃度の上昇は極めて微量である。この結果として、回収媒体液を高純度の無機酸水溶液として回収することができるのである。
また、本発明では、無機酸であれば制限されないが、特に、フッ酸、塩酸、硝酸、バッファードフッ酸などの無機酸および混合無機酸の排液を処理液として用いられる。
かかる本発明においては、無機酸の中でもフッ酸が最も好適である。即ち、フッ酸水溶液中では、フッ酸(HF)が解離してFが生成するが、このFの一部がHFと水素結合し、HF として挙動する。また、フッ酸は弱酸であるため、正極側室(酸室)中に乖離するH量が少なく、アニオン交換膜を通して負極側室へリークし難い。このため、フッ酸を用いた場合には、Fの電流効率が100%以上、特に約200%もの高い電流効率で電気透析を行うことが可能となる。
本発明を、以下添付図面に基づく具体例によって詳細に説明する。
図1は、本発明に用いる電気透析装置の概略構造を示す図であり、
図2は、本発明に用いる電気透析装置の他の態様を示す概略構造を示す図であり、
更に、図3は、図1の電気透析装置により行われる電気透析の原理を説明するための模式図である。
図1において、本発明で用いる電気透析装置は、陽極1を備えた陽極室3と、陰極5を備えた陰極室7との間にバイポーラ膜Bとアニオン交換膜Aとが配置され、陰極5側から陽極1側に向かって負極側室11と正極側室12とが交互に形成された構造を有している。図1の例では、6枚のバイポーラ膜Bと5枚のアニオン交換膜Aとが交互に配置され、それぞれ5つの正極側室12と負極側室11とが交互に配列されているが、このようにして形成される正極側室12及び負極側室11の数nは、これに限定されるものではなく、通常は、数nは1〜100程度の範囲である。また、図1では省略されているが、バイポーラ膜Bの陽極1側の面は、アニオン交換膜で形成され、陰極5側の面はカチオン交換膜で形成されている。また、図1では、正極室3および負極室7と接している膜はバイポーラ膜であるが、使用形態によりアニオン交換膜やカチオン交換膜も適宜用いられる。
このような電気透析装置においては、陽極室3及び陰極室7に、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の電解質の塩が溶解した電解質水溶液が極液として収容され、或いは循環供給される。本発明は、このような電気透析装置を使用し、後述する金属イオン含有の無機酸排液を処理液として負極側室11に供給し、且つ水または高純度無機酸水溶液を回収媒体液として正極側室12に供給し、この状態で陽極1と陰極5との間に所定の電圧を印加することにより電気透析を行うものであり、これにより、正極側室12内の回収媒体液を高純度の無機酸水溶液として回収することが可能となる。
また、本発明で用いる電気透析装置は、図2に示すように、バイポーラ膜Bの間を複数のアニオン交換膜Aによって仕切り、前記正極側室12と負極側室11との間に少なくとも一つの中間室13を形成した構造を採用することもできる。かかる構造とすることにより、負極側室11よりリークする金属イオンのリークを、アニオン交換膜により複数段にわたって減少せしめることができ、好適である。かかる中間室13の厚みは、前記正極側室12と負極側室11の厚みより薄くし、槽電圧の上昇を防止することが好ましい。
このような電気透析装置においては、金属イオン含有の無機酸排液を処理液として負極側室11に供給し、且つ水または高純度無機酸水溶液を回収媒体液として正極側室12およびアニオン交換膜とアニオン交換膜で仕切られた室13に供給される。
かかる電気透析の原理を、図3に基づいて簡単に説明すると以下の通りである。
即ち、処理液として、Feイオン(Fe2+)を含むフッ酸排液を使用し、且つ回収媒体液としてFeイオンを含まないフッ酸水溶液を用いた場合を例にとると、電圧の印加により、例えばバイポーラ膜Bは水溶液中の水(HO)を取り込んで、アニオン交換膜面側にアニオン(OH)を放出し、バイポーラ膜Bのカチオン交換膜面側にプロトン(H)を放出する。そしてバイポーラ膜Bはアニオン交換膜Aで仕切られているため、負極側室11の処理液中の共役塩基(F)が負極側室11からアニオン交換膜Aを通って正極側室12に移動することとなる。このときには、Feイオンは、そのまま負極側室11内に止まる。従って、このような電気透析を継続して行うことにより、負極側室11の処理液中のフッ酸濃度は次第に低下し、正極側室12内の回収媒体液のフッ酸濃度は次第に上昇することとなる。かくして、ある程度の時間、電気透析を行うことにより、回収媒体液を、より高濃度の高純度のフッ酸水溶液として回収することが可能となるのである。
本発明において、処理液として使用する無機酸水溶液は、例えば半導体製造工程や金属材料の酸洗浄工程などでエッチング液として使用された使用済みの無機酸水溶液であり、ナノフィルター等に透過させたり、精密ろ過器で処理したりして固形分を除去して回収されたものであり、Feイオン等の各種の金属イオンを含有するものである。本発明においては、このような無機酸の水溶液であれば、原理的には無機酸の種類は特に制限されず、回収媒体液として金属イオン含量が低減された高純度の無機酸水溶液を回収することができる。
また、無機酸の中でも特にフッ酸が好適であり、Feイオン等の金属イオンを含有するフッ酸排液を処理液として用いた場合には、最も効率よく高純度のフッ酸水溶液を回収することができる。即ち、フッ酸(HF)は、水中で、下記式で示すように解離し、FがHFと水素結合してHF −1を生成する。
HF=H+F
(解離定数K=[H][F]/[HF]=7.4×10−4
+HF=HF
(解離定数K=[HF ]/[HF][HF]=4.7)
尚、解離定数K、Kは25℃での測定値である。
このことから理解されるように、フッ酸水溶液中では、解離した一部のFがHF として挙動し、HF の形で負極側室11から正極側室12に移動する。即ち、陰イオン1個の移動に対して、F元素が2個移動することとなり、電流効率が見かけ上2倍になる。また、正極側室12側のHFは弱酸であり、正極側室12から負極側室11側に移動するH+は極めて少ない。このため、フッ酸排液を処理液として用いることにより、100%を越える電流効率で電気透析が行われ、しかも回収媒体液中のフッ酸濃度が効率よく上昇し、高純度のフッ酸水溶液として正極側室12から回収することが可能となるのである。
さらに、本発明においては、処理液として金属イオン含有のフッ酸排液を用いたときには、負極側室11内の処理液中のフッ酸濃度を0.25mol/L以上特に2mol/Lの範囲に維持しながら電気透析を行うことが高い電流効率を確保する上で最適である。即ち、図4は、処理液として種々のフッ酸濃度のフッ酸水溶液を負極側室11に供給して電気透析を行ったとき(詳細な条件は後述する実験例1参照)、フッ酸濃度と電流効率との関係を示した図である。この図4によれば、フッ酸濃度が0.25mol/L以上に増大すると、急激に電流効率が上昇し、2mol/L以上になると電流効率は約200%に達することが理解される。
このように、フッ酸濃度を一定の範囲に設定することにより高い電流効率が得られる点について、本発明者等は次のように推定している。
即ち、フッ酸水溶液中には、3種の解離イオン種、H、F、HF が存在している。このような形態において、フッ酸濃度が0.25mol/Lより低い低濃度領域では、HF が少なく、HとFとの単純解離の状態に近くなる。このため、共役塩基はほとんどFの形で移動することとなり、電流効率は約100%程度となる。一方、フッ酸濃度が0.25mol/L以上の高濃度領域では、HF が支配的となり、2mol/L以上になると、ほとんどの共役塩基がHF となる。このため、電流効率は、フッ酸濃度の増大に伴って200%に近づいていき、2mol/L以上では約200%に達することとなるのである。かくして、本発明においては、フッ酸濃度が上記範囲にあるフッ酸排液を処理液として使用し、電気透析の進行に伴ってフッ酸濃度が低下したときには、適宜処理液(或いはフッ酸)を補給し、処理液中のフッ酸濃度を上記の範囲に維持しながら電気透析を続行することにより、高い電流効率で電気透析を行うことが可能となるのである。
また、本発明においては、フッ酸濃度が必要以上に高くなると、再び電流効率が低下する傾向があるため、フッ酸濃度は、高くとも10mol/L以下とするのがよい。即ち、フッ酸濃度がさらに増大していくと、HFは次第に強力なプロトン供与体となり、水が微量存在する無水に近い状態では、微量の水が理想解離し、以下のようにしてHが生成する。
HF+HO=H+F
HF+HF=H+F
即ち、フッ酸濃度が10mol/Lよりも高くなると、電流効率は再び低下していくこととなる。従って、本発明においては、フッ酸濃度は上記範囲内とすることが、高い電流効率を確保する上で好適となるのである。
尚、本発明において、用いる無機酸排液中の金属イオン濃度は、特に制限されるものではないが、あまり高濃度で金属イオンが含まれる場合には、この金属イオンが正極側室12内にリークするおそれがある。また、負極側室11内でバイポーラ膜から生じた水酸化物イオンと水酸化物を生成し負極側室の流路を閉塞するおそれがある。従って、金属イオン濃度は、一般に1000ppm以下、好ましくは100ppm以下に抑制されていることが好ましい。即ち、処理すべき無機酸排液中に高濃度で金属イオンが含まれているような場合には、イオン交換樹脂などを用いての前処理などにより、予め金属イオン濃度を上記範囲に低減させた後に、本発明による処理を行うことが好適である。
また、本発明において、正極側室12内に供給される回収媒体液としては、水或いは処理液と同種の無機酸の水溶液が使用されるが、特に回収された高純度の無機酸水溶液の再利用性を考えると、処理液と同種の無機酸の水溶液(即ち、未使用の無機酸水溶液)を使用することが好適である。
前述した図1に示す構造の電極透析装置において、電極としては、それ自体公知のものを使用することができる。例えば、陽極1としては、白金、チタン/白金、カーボン、ニッケル、ルテニウム/チタン、イリジウム/チタンなどが使用され、陰極5としては、鉄、ニッケル、白金、チタン/白金、カーボン、ステンレススチールなどが使用される。また、このような電極の構造もそれ自体公知の構造であってよく、例えばメッシュ状、格子状等、任意の構造を有していてよい。
かかる装置に使用されるバイポーラ膜Bも特に限定されず、カチオン交換膜とアニオン交換膜とが貼り合わされた構造を有する公知のバイポーラ膜を使用することができ、既に述べたように、かかるバイポーラ膜Bのカチオン交換膜面が陰極5側に面し、アニオン交換膜面が陽極2側に面するように配置される。
このようなバイポーラ膜Bは、各種の公知の方法で製造される。例えば、このような製造法として、以下の方法を挙げることができる。
カチオン交換膜とアニオン交換膜とをポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で貼り合わせて硬化接着する方法(特公昭32−3962号)、カチオン交換膜とアニオン交換膜とをイオン交換性接着剤で接着する方法(特公昭34−3961号)、カチオン交換膜とアニオン交換膜とを、微粉のイオン交換樹脂、アニオン又はカチオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物の塗布層を挟んで圧着する方法(特公昭35−14531号)、カチオン交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物とからなる糊状物質を塗布し、これに放射線を照射する方法(特公昭38−16633号)、アニオン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着させた後、電離性放射線を照射して架橋させる方法(特公昭51−4113号)、イオン交換膜の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−37190号)、ポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニルベンゼンを含浸して重合させたシート状物をステンレス製の枠に挟みつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外して残りの部分に、クロロメチル化処理し、次いでアミノ化処理する方法(米国特許第3562139号明細書)、特定の金属イオンを、アニオン交換膜及びカチオン交換膜の表面に塗布し、両イオン交換膜を重ね合わせてプレスする方法(エレクトロケミカアクタ31巻、1175〜1176頁、1986年)など。
また、上記のバイポーラ膜Bの基材としては、接合するカチオン交換膜やアニオン交換膜の種類によっても異なるが、一般には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の熱可塑性樹脂のフィルム、ネット、編物、織布、不織布などが用いられる。
バイポーラ膜Bを構成するカチオン交換膜のカチオン交換基は、特に限定されず、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基等の公知のカチオン交換基であってよい。特に本発明におけるバイポーラ膜Bの用途上の観点からは、酸性下にあっても交換基が解離しているスルホン酸基が好ましい。また、バイポーラ膜Bを構成するアニオン交換膜のアニオン交換基も、特に限定されず、例えば、アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等の公知のアニオン交換基であってよい。特に塩基性下においても交換基が解離しているアンモニウム塩基が好適である。
また、電気透析装置に使用されるアニオン交換膜Aも特に制限されず、公知のアニオン交換膜を用いることができる。例えば、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン或いはこれらの共重合体もしくはブレンド物などのポリオレフィンからなる基材シート(不織布、網、多孔性シートなどの形態を有している)に、アニオン交換樹脂を設けたものが使用され、バイポーラ膜Bのアニオン交換膜と同様、アニオン交換基も制限されず、アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等の公知のアニオン交換基であってよい。
また、負極側室11及び正極側室12には、必要により、適度な液透過性が確保されるように、粒状物、不織布、ネットなどの形態を有しているスペーサ部材を設け、バイポーラ膜Bとアニオン交換膜Aとの接触を確実に防止するようにすることもできる。
上記のような電気透析装置を用いての電気透析において、処理液は、分枝管を用いて各負極側室11に供給される。この場合、負極室11に所定量の処理液を供給した状態で、所謂バッチ式で行うこともできるが、一般的には、各負極室11に処理液を循環させながら電気透析を行うのがよい。また、処理液として、フッ酸排液を用いるときには、電気透析の進行に伴うフッ酸濃度の低下に応じて適宜処理液を補充し、前述した所定の範囲にフッ酸濃度を保持しながら電気透析を行うのがよい。
また、電気透析に際しては、陽極室3及び陰極室7中の極液や正極側室12内の回収媒体液は、循環供給するのがよい。
電気透析時における各液の温度は、通常、5〜80℃、特に20〜60℃の範囲であり、電流密度は、特に制限されないが、一般には0.1〜50A/dm、特に1〜20A/dm程度である。
上述した電気透析は、原理的には、長時間実行することにより、処理液中の共役塩基のほとんどを正極側室12内に移動させ、より高濃度で高純度無機酸水溶液を回収することができるが、あまり長時間電気透析を行うと、処理液中の金属イオンが正極側室12内にリークし、金属イオン濃度が許容範囲を超えてしまうおそれがある。従って、回収媒体液中の金属イオン濃度が許容限度に達した時点、或いはその前に電気透析を一旦停止し、正極側室12内から回収媒体液(高純度無機酸水溶液)を回収すべきである。
上記のようにして回収された高純度無機酸水溶液は、金属イオン濃度が著しく低レベルに抑制されているため、金属イオンを嫌うような用途、例えば半導体製造工程や金属材料の酸洗浄工程に再利用することができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、用いた電気透析装置4室セルの仕様は以下の通りである。
4室セル:有効膜面積10cm/枚
バイポーラ膜B;株式会社アストム製、ネオセプタBP−1E
アニオン交換膜:株式会社アストム製、AHA
カチオン交換膜:株式会社アストム製、CMB
<実験例1>
4室セルを使用し、下記表1に示すフッ酸濃度のフッ酸水溶液(金属イオン含量:0ppm)を負極側室11に100ml供給した。また、正極側室12にも同液を100ml供給し、さらに陽極室3及び陰極室7には、それぞれ1mol/l水酸化ナトリウムを供給した。
この状態で、表1に示す条件で通電して電気透析を行い、Fについての電流効率を求めた。その結果を表1に併せて示し、またフッ酸濃度と電流効率との関係を図4に示した。尚、電流効率は、以下のようにして求めた。
電流効率:
(通電後の12室のHF量[meq]−通電前の12室のHF量[meq])/(通電によって流した全クーロン量)
Figure 0004925687
上記の結果から、フッ酸濃度が0.25mol/L以上になると、急激に電流効率が増大し、2.0mol/L以上になると、電流効率が約200%に達することが判る。
<実施例1>
電気透析装置として4室セルを使用した。
処理液として、4.82mol/Lのフッ酸水溶液(FeClの形で1.22ppmのFe含有)を負極側室11に100mL供給し、正極側室12には、Feを含有していない4.82mol/Lのフッ酸水溶液(即ち、Fe含量が0ppm)のフッ酸水溶液100mLを回収媒体液として供給した。さらに、実験例1と同様に、陽極室3及び陰極室7に水酸化ナトリウムを供給した。尚、処理液、回収媒体液及び極液の循環供給量は、実験例1と全く同様とした。
この状態で、0.5Aの電流を2時間通電して電気透析を行い、電気透析後、処理液及び回収媒体液のフッ酸濃度並びにFe濃度を測定し、その結果を表2に示した。
また、このときのFeの拡散リーク率(処理液から回収媒体液へのFeの移行割合)は約6%であり、電流効率は約200%であった。
Figure 0004925687
<比較例1>
電気透析装置として、カチオン交換膜がバイポーラ膜の間に設けられている4室セルを使用した。
処理液として、4.78mol/Lのフッ酸水溶液(FeClの形で1.22ppmのFe含有)100mLを正極側室12に供給し、負極側室12には、同じ濃度であるがFeを含有していないフッ酸水溶液100mLを供給した。さらに、実験例1と同様に、陽極室3及び陰極室7に水酸化ナトリウムを循環供給した。尚、電流、通電時間は実験例1と全く同様とした。
この状態で、0.5Aの電流を2時間通電して電気透析を行い、電気透析後、処理液及び負極側室への循環液のフッ酸濃度並びにFe濃度を測定し、その結果を表3に示した。
尚、このときのFeについての電流効率は約0.03%であった。
Figure 0004925687
本発明に用いる電気透析装置の概略構造を示す図。 本発明に用いる電気透析装置の他の態様を示す概略構造を示す図。 図1の電気透析装置により行われる電気透析の原理を説明するための模式図。 処理液として用いたフッ酸水溶液のフッ酸濃度と電流効率との関係を示す図である。
符号の説明
B:バイポーラ膜
A:カチオン交換膜
11:負極側室
12:正極側室
13:中間室

Claims (4)

  1. 正極と負極との間にバイポーラ膜とアニオン交換膜とが配置され、上記バイポーラ膜の間をアニオン交換膜によって仕切ることにより形成された、バイポーラ膜をそれぞれ片壁とする、正極側室と負極側室とを備えた電気透析装置を使用し、該負極側室に、金属イオン含有のフッ酸排液を処理液として供給し、該正極側室に水または高純度フッ酸水溶液からなる回収媒体液を供給し、この状態で電気透析を行うことにより、負極側室から正極側室に共役塩基を選択的に移行させて回収媒体液中のフッ酸濃度を上昇させ、正極側室から回収媒体液を高純度のフッ酸水溶液として回収することを特徴とする高純度フッ酸の回収方法。
  2. 電気透析装置が、バイポーラ膜の間を複数のアニオン交換膜によって仕切り、前記正極側室と負極側室との間に少なくとも一つの中間室を形成した請求項1記載の高純度フッ酸の回収方法。
  3. 前記処理液中のフッ酸濃度を0.25mol/L以上の濃度に維持しながら電気透析を行う請求項に記載の高純度フッ酸の回収方法。
  4. 前記フッ酸濃度を0.25〜10mol/Lの範囲に維持して電気透析を行う請求項に記載の高純度フッ酸の回収方法。
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