JP4925087B2 - オゾン発生器 - Google Patents
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Description
一方、オゾン発生効率は放電空間内の放電ギャップ長の精度に大きく影響されるため、オゾン発生器の放電空間には均一な放電ギャップ長が必要とされる。しかし、オゾン発生器を構成する個々の部材を積層し、固定しようとすると、放電空間を形成する部材を高精度に加工し、放電ギャップ長の精度を補償しなければならないので、コストや加工安定性の面で大きな障害があり、実用上困難であった。
また、放電電極を埋設したセラミックスによる誘電体部が対向して配置され、その間に放電空間を形成し、セル部上にはセラミックスによる保護部を積層し、セル部と保護部間に冷却水導入溝を形成することにより、放電空間の冷却を可能とし、セラミックスグリーンシートを用い、オゾン発生器のコンパクト化を提案している(例えば、特許文献2参照)。
また、放電空間を形成するために、形状保持部材を対向する誘電体部に配置し、セラミックス部を焼成した後に形状保持部材を抜き取り、放電空間を形成するという複雑な工程が必要となるという問題がある。
また、この放電空間形成方法では、結局形状保持部材の加工精度により放電ギャップ長が決定されるため、0.1mm未満の放電ギャップ長を高精度に形成することは困難であるという問題がある。
また、冷却水を多孔質・吸水性を有するセラミックス内を流通させているため、冷却水の流出、滲み出しにより、原料ガスのガス露点上昇によるオゾン発生特性の低下、また高電圧機器に対する安全上の問題がある。
図1は、この発明の実施の形態1に係わるオゾン発生器の電極部の断面図である。
この発明の実施の形態1に係わるオゾン発生器の電極部1は、図1に示すように、一対として扱われ、互いに所定の距離だけ離間する接地電極2および高圧電極3、接地電極2と高圧電極3の相対する面に配設される誘電板4、5を有し、平行平板型の構造である。そして、誘電板4、5の相対する面は、所定の空隙長dだけ離れており、この空隙長dを放電ギャップ長、この放電ギャップ長を有する空間を放電空間6と称す。この放電ギャップ長dは、放電空間6内に形成されたスペーサ7により保持される。
なお、誘電板4は必ずしも必要ではなく省略してもよい。
ヒートシンク9、10は、例えばステンレスなどの金属により形成されており、オゾン発生器の動作中に冷却水が流出・滲み出すことはない。
なお、ベローズ弾性体12は、ヒートシンク9の下側に設置してもよく、また、電極部1の熱応力を緩和できる程度の弾性が備わっていれば、ベローズだけでなく、皿ばねなどの弾性体を使用してもよい。
半導体・液晶製造プロセスにおけるオゾン利用では、プロセスの微細化・集積化が進むに従ってより高濃度のオゾンガスが要求される。従来、ガス濃度200g/Nm3程度のオゾンガスがCVD(Chemical Vapor Deposition)プロセスなどに応用されてきた。しかし、近年、ALD(Atomic Layer Deposition)プロセスなどの次世代プロセスへ高濃度オゾンガスの利用が検討され、ガス濃度350g/Nm3以上の超高濃度オゾンガスが必要とされるようになってきた。
セラミックスグリーンシートは、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト、窒化ケイ素または炭化ケイ素などのセラミックス粉末を樹脂バインダと一緒にビヒクル中に分散してスラリーを作製し、このスラリーをテープキャスティング法などによりシート状に成形されたものである。
また、セラミックスグリーンシートの原材料に焼成助材として酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムまたは酸化ケイ素などを添加することにより、セラミックス層の熱伝導率を向上することができる。
また、低温で電極モジュール17を焼結させる必要がある場合、ガラス粉末とセラミックス粉末との混合物を原材料としてもよい。
導体ペーストの材料としては、タングステン、モリブデンおよびレニウム等を主成分とした高融点金属を用いることができる。また、低温焼結型の場合、銅や銀などを主成分としたいわゆる回路基板に用いられる材料を導体用として使用することができる。
なお、接地電極2、スペーサ7および高圧電極3などの導体の形成には、スクリーン印刷法ではなく、例えば蒸着やCVDなどにより形成してもよい。
接地電極2、スペーサ7および高圧電極3などの導体の厚さは、各々0.1mm以下で良く、特に0.05mm以下の厚さにしたとき、厚さの精度が良好になり、経済的に形成できる。
また、テープキャスティング法によりシート化されたセラミックスグリーンシートの厚さのばらつきが数μm程度と小さく、これを用いるので形成される放電ギャップ長dの精度が高い。
また、セラミックスグリーンシートの焼成により形成されるセラミックス層は極めて緻密であり、絶縁性能に優れている。
S101で、図2(a)に示すように、第2のセラミックスグリーンシート31の中央に電極モジュール17のオゾンガス排出口15となるビアホール32を形成する。
S102で、図2(b)に示すように、ビアホール32を形成した第2のセラミックスグリーンシート31の一方の面に接地電極2、他方の面にスペーサ33を形成する。このとき、接地電極2はビアホール32を除くようにして形成される。
S103で、図2(c)に示すように、第1のセラミックスグリーンシート34の一方の面に高圧電極3、他方の面に第2のセラミックスグリーンシート31上のスペーサ33と同じパターンのスペーサ35を形成する。
S104で、図2(d)に示すように、第3のセラミックスグリーンシート36の第1のセラミックスグリーンシート34に形成された高圧電極3の一端部に重畳する位置にビアホール37を形成し、そのビアホール37を給電部材38で埋める。
S105で、図2(e)に示すように、第2のセラミックスグリーンシート31、第1のセラミックスグリーンシート34および第3のセラミックスグリーンシート36を位置合わせして積層して積層体39を作製する。
S106で、この積層体39を加熱・加圧して一体焼成し、電極モジュール17が形成される。
なお、積層体39の一体化は、一般的な焼成・焼結の他に、例えばHIP(Hot Isostatic Pressing)拡散接合やホットプレスにても実施できる。
すなわち、数kV〜10kV程度の高圧交流電圧が印加されるオゾン発生器においては、誘電体バリヤとして10kV/mm程度の絶縁性能を有した誘電体バリヤが採用されることが多い。
また、冷却水を経由する電気的短絡を防止するために、20kV/mm程度の絶縁性能が要求される。したがって、第3のセラミックスグリーンシート36の厚さは、第1のセラミックスグリーンシート34の厚さに対して少なくとも2倍以上であることが必要である。
また、スペーサ33とスペーサ35が接合されるため、スペーサ33、35の厚さの合計が放電ギャップ長dとなる。スペーサ33、35は、概ねヒートシンク9、10のリブの位置に合致するように配置されるのが好ましい。
また、高圧電極3は、第3のセラミックスグリーンシート36に形成してもよい。
ヒートシンク9、電極モジュール17、ヒートシンク10、ベローズ弾性体12を、図4に示すように積層する。
ヒートシンク9、10とベローズ弾性体12は、加圧・加熱によるHIP拡散接合またはホットプレスにて電極モジュール17と一体化され、一体の電極部1が形成される。
このような接合においては、構成部材に均等に加圧・加温がなされるため、局所溶接などの加工のように部材に歪を与えることなく、高精度に一体化することが可能となり、極めてコンパクトな電極部1を形成することができる。
所定のオゾン発生量に従い、電極部1を複数個積層または並行して圧力容器内に設置することにより、小容量から大容量に至るすべてのオゾン発生量に容易に対応することができる。
図5は、この発明の実施の形態2に係わるオゾン発生器の電極モジュールの断面図である。
この発明の実施の形態2に係わるオゾン発生器の電極モジュール17Bは、図5に示すように、実施の形態1に係わるオゾン発生器の電極モジュール17とスペーサ7Bの材質が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態2に係わるスペーサ7Bは、実施の形態1に係わるスペーサ7が導電材料からできているのに対して、焼成後誘電体バリヤの機能を果たすセラミックスグリーンシートの主成分であるセラミックスからできている。そして、このことに関連して、第1のセラミックスグリーンシート34Bの表面に焼成後スペーサとなる凸部40を形成する製造工程が電極モジュール17Bの製造方法に追加されている。なお、焼成後スペーサ7Bとなる凸部40を第2のセラミックスグリーンシート31の接地電極2を形成する面の反対の面に形成してもよい。
S201で、図6(a)に示すように、第2のセラミックスグリーンシート31の中央に電極モジュール17Bのオゾンガス排出口15となるビアホール32を形成する。
S202で、図6(b)に示すように、ビアホール32を形成した第2のセラミックスグリーンシート31の一方の面に接地電極2を形成する。このとき、接地電極2はビアホール32を除くようにして形成される。
S203で、図6(c)に示すように、第1のセラミックスグリーンシート34Bの一方の面を加工してスペーサ7Bに対応する位置に凸部40を形成する。
S204で、図6(d)に示すように、第1のセラミックスグリーンシート34Bの凸部40が形成された面の反対の面に高圧電極3を形成する。
S205で、図6(e)に示すように、第3のセラミックスグリーンシート36の第1のセラミックスグリーンシート34Bに形成された高圧電極3の一端部に重畳する位置にビアホール37を形成し、そのビアホール37を給電部材38で埋める。
S206で、図6(f)に示すように、第2のセラミックスグリーンシート31、第1のセラミックスグリーンシート34Bおよび第3のセラミックスグリーンシート36を位置合わせして積層して積層体39Bを作製する。
S207で、この積層体39Bを加熱・加圧して一体焼成し、電極モジュール17Bが形成される。
このように一体焼成された電極モジュール17Bでは、誘電板4、スペーサ7B、誘電板5は一体のセラミックス層になる。
図8は、この発明の実施の形態3に係わるオゾン発生器の電極部の製造の様子を示す図である。図8では、電極部1の構成部材を離して図示してあるが、実際は接している。
実施の形態3に係わるオゾン発生器の電極部1Cは、実施の形態1に係わるオゾン発生器の電極部1と構成は同じであるが、製造方法が異なっている。電極部1Cの構成部材には実施の形態1と同様な番号を付記して説明は省略する。
実施の形態1においては、電極部1をまず電極モジュール17を先に作製し、その後ヒートシンク9、10などを用いて電極部1を作製しているが、実施の形態3においては、電極モジュール17を構成する部材とヒートシンク9、10、ベローズ弾性体12を所定の順に積層し、1回の加熱・加圧により電極部1Cを形成する。
電極モジュール17を構成する部材は、図2(a)〜図2(d)に示すようにして作製され、図8に示すように、ヒートシンク9の冷却水通路8に近い面上に積層される。そして、電極モジュール17を構成する部材の上にヒートシンク10とベローズ弾性体12とをこの順で積層する。それから、HIP拡散接合またはホットプレスを行って一体化された電極部1Cが作製される。
図9は、この発明の実施の形態4に係わる電極モジュールの部分分解斜視図である。図9では、放電空間6を積層方向に分解した図である。
この発明の実施の形態4に係わる電極モジュール17Dは、実施の形態2に係わる電極モジュール17Bと原料ガスの導入口42およびオゾンガス排出口15Dが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ番号を付記して説明は省略する。
実施の形態4に係わる放電空間6Dは、図9に示すように、外周部で原料ガス導入口42およびオゾンガス排出口15Dを除いてセラミックス層により閉鎖されている。この構造の放電空間6Dを形成するために、高圧電極3を形成する第1のセラミックスグリーンシート34Bの高圧電極3が形成される面の反対の面に凸部40を形成するときに、原料ガス導入口42およびオゾンガス排出口15Dに対応する位置だけを除いて凸部40を形成する。そして、電極モジュール17Dを構成する部材を積層するときに接地電極2が形成された第2のセラミックスグリーンシート31と凸部40が接するので、加熱・加圧処理を施すことにより一体のセラミックス層となり、放電空間6Dがセラミックス層により外部とシールされ、直接放電空間6Dに原料ガスを導入することができる。
Claims (4)
- 平行平板型の接地電極および高圧電極、上記接地電極に面するとともに上記高圧電極に接するように配置される誘電板および上記接地電極と上記誘電板とのギャップ長を規定するスペーサを有する電極モジュールを備え、上記接地電極と上記誘電板とにより形成される放電空間に酸素を含むガスが供給され、上記放電空間内で発生する放電により酸素がオゾンに変えられることによりガス濃度が300g/Nm 3 以上のオゾンを発生するオゾン発生器であって、
上記放電空間の放電ギャップ長は、0.1mm未満であり、該放電ギャップ長の精度は、±0.01mm未満であり、
上記誘電板は、上記高圧電極が一方の面に形成された第1のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる誘電体であり、
上記スペーサは、上記第1のセラミックスグリーンシートの他方の面に形成された導体または上記第1のセラミックスグリーンシートの他方の面が凹凸加工されて形成される凸部が焼成されて得られるセラミックスであるとともに上記導体または上記凸部は上記第1のセラミックスグリーンシートを焼成することにより上記接地電極に接合されていることを特徴とするオゾン発生器。 - 平行平板型の接地電極および高圧電極、上記接地電極と上記高圧電極との間に上記接地電極と上記高圧電極とにそれぞれ接するように配置される2つの誘電板および上記両誘電板のギャップ長を規定するスペーサを有する電極モジュールを備え、上記両誘電板により形成される放電空間に酸素を含むガスが供給され、上記放電空間内で発生する放電により酸素がオゾンに変えられることによりガス濃度が300g/Nm 3 以上のオゾンを発生するオゾン発生器であって、
上記放電空間の放電ギャップ長は、0.1mm未満であり、該放電ギャップ長の精度は、±0.01mm未満であり、
一方の上記誘電板は、上記高圧電極が一方の面に形成された第1のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる誘電体であり、
他方の上記誘電板は、上記接地電極が一方の面に形成された第2のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる誘電体であり、
上記スペーサは、上記第1のセラミックスグリーンシートの他方の面または上記第2のセラミックスグリーンシートの他方の面の少なくともいずれか一方に形成された導体または上記第1のセラミックスグリーンシートの他方の面または上記第2のセラミックスグリーンシートの他方の面の少なくともいずれか一方が凹凸加工されて形成される凸部が焼成されて得られるセラミックスであるとともに上記導体または上記凸部は上記第1のセラミックスグリーンシート及び上記第2のセラミックスグリーンシートを焼成することにより互いに接合されることを特徴とするオゾン発生器。 - 上記高圧電極は、上記第1のセラミックスグリーンシートの上記高圧電極が形成された面に積層された第3のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる絶縁板と上記第1のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる誘電板との間に埋設され、
上記絶縁板の厚さが上記第1のセラミックスグリーンシートが焼成されて得られる誘電板の厚さの2倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載するオゾン発生器。 - 上記電極モジュールが両側から上記電極モジュールを挟持するヒートシンクと一体化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載するオゾン発生器。
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