JP4923411B2 - 芳香族ポリアミド多孔質フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる芳香族ポリアミド多孔質フィルムに関する。
従来、芳香族ポリアミド多孔質フィルムは、全芳香族ポリアミド繊維からなる不織布または紙状シートを電池用セパレーターに使用することなどがその用途として開示されている(特許文献1〜3等)。しかし、不織布または紙状シートでは、実質的に50μm以下の薄い厚みで、なおかつ十分な強度を有し、しかも繊維などの有無などによる局部的な不均一が無く、変形時に繊維の離脱が無いものを工業的に製造することは困難であった。
さらに、特許文献4では、ポリマー溶液に金属酸化物微粒子を分散させたものをキャストし膜を得た後、金属酸化物微粒子を溶解除去することを特徴とする、芳香族ポリアミド多孔質フィルムが開示されている。しかし、このフィルムでは、金属酸化物微粒子どうしが接触している部分が微細な穴となり、空孔と空孔とを連絡することにより連続孔を形成するため、空孔率の制御と孔の連続性が一定の範囲に限られることになり、空孔率と通気性とを個々に制御することが困難であった。
特開平5−335005号公報 特開平7−78608号公報 特開平7−37571号公報 特開2001−98106号公報
本発明は、上記した従来の問題を解決し、薄膜化に優れ、安定した多孔質特性を容易に制御しうる芳香族ポリアミド多孔質フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、芳香族ポリアミドを含む繊維体が接合部を介して接合され、前記接合部には少なくとも3個の繊維体が接合している構造(以下、三次元網目構造という)を有し、繊維体の平均径が0.03〜1μmであり、接合部の内接円直径について、全接合部の50%以上が、当該接合部に接合する繊維体の径の平均値の1.2〜200倍の範囲にあり、芳香族ポリアミドが以下に示される繰り返し単位を60モル%以上含有している芳香族ポリアミド多孔質フィルムを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、所望の空孔率、ガーレ値を有しつつ、高強度であり、薄膜化が可能な芳香族ポリアミド多孔質フィルムが得られ、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる。
本発明に使用される芳香族ポリアミドとしては、例えば次の式(1)及び/又は式(2)で表される繰り返し単位を有するものを用いることができる。
式(1):
式(2):
ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、
等が挙げられ、X、Yの基は、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−、等から選ばれる。
更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めていることが好ましい。ここでいうパラ配向性とは、例えば芳香核上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分となる場合がある。更に、芳香族ポリアミドが式(3)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場合、延伸性及び多孔質特性が特に優れることから好ましい。
式(3):
本発明の芳香族ポリアミド多孔質フィルム(以下、単に多孔質フィルムということがある)は、上記芳香族ポリアミドを含む繊維体が接合部を介して接合され、前記接合部には少なくとも3個の繊維体が接合している構造(以下、三次元網目構造という)を有している。
図1に接合部の概略図を示す。
本発明における多孔質フィルムを構成する繊維体の平均径は、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.02〜5μm、更に好ましくは0.03〜1μmである。繊維体の平均径が0.01μm未満では多孔質フィルムの強度が低くなる傾向にある。また、平均径が10μmより大きければ、多孔質フィルムとしたとき、厚いフィルムしかできず、細密な孔を構成することが困難となる。また、繊維体の平均径の分布は狭いことが好ましい。なお、繊維体の平均径の測定方法については後述する。
また、上記接合部の内接円直径は、当該接合部に接合する繊維体の径の平均値の1.2〜200倍であることが好ましく、より好ましくは1.5〜100倍である。上記の値が1.2倍未満では多孔質フィルムの変形が起きたとき応力が集中する接合部から破断や裂けが生じるため、耐屈曲性が低下しやすい。また、200倍より大きければ、細密な孔を形成することが困難となる。
また、上記のような接合部と繊維体の径の平均値との関係は、全接合部の50%以上について成立していることが好ましく、より好ましくは65%以上、更に好ましくは80%以上である。50%未満では、破断や裂けが発生した場合、隣接する接合部へ伝搬しやすく、多孔質フィルムの耐屈曲性が低下する傾向にある。
上記したような三次元網目構造は、多孔質フィルムの少なくとも一方の面に露出していることが好ましい。これにより、フィルム全体の変形を抑制出来ることに加え、電池セパレーターであれば、電極材、フィルターであれば濾別対象物や溶液など、外部との接触による破れや裂けを低減することができる。
次に本発明の多孔質フィルムの製造方法について、以下説明するが、これに限定されるものではない。
まず芳香族ポリアミドであるが、例えば酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成する。単量体として酸クロリドとジアミンを使用するとポリマ溶液中で塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用するとよい。また、イソシアネートとカルボン酸との反応から芳香族ポリアミドを得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行うことができる。
本発明の多孔質フィルムを得るためにはポリマの固有粘度ηinh(ポリマ0.5gを98重量%硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5(dl/g)以上であることが多孔質フィルムにした時のハンドリング性が良くなるので好ましい。
製膜原液には溶解助剤として無機塩、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。また、製膜原液としては、中和後のポリマー溶液に、水溶性アルコール類を混合して用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、非プロトン性有機極性溶媒に再溶解し、水溶性アルコール類を混合して用いてもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜30重量%程度が好ましい。薄く、安定した多孔質特性の多孔質フィルムを効率良く得られることから、より好ましくは8〜25重量%、さらに好ましくは12〜20重量%である。また、水を吸収させた際、速やかにポリマーが析出されるため、混合される水溶性アルコール類は2重量%〜40重量%が好ましい。より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは、10〜25重量%である。
上記のようにして調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法により多孔質フィルム化が行われる。溶液製膜法には乾湿式法、湿式法、析出法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、多孔質フィルムの内部構造が均一のものが得られることから析出法がより好ましい。
析出法で多孔質フィルムを製造する場合、溶液をガラス板や、ドラム、エンドレスベルト等の支持体上に流延することによって、膜形状とした後、水を吸収させることにより、ポリマーを析出させる。この時、水を吸収させる方法は、霧状の水を付着させる方法、水中に導入する方法、調湿空気中に導入する方法、いずれの方法でも差し支えないが、水の吸収速度、量を細かくコントロール可能である調湿空気中へ導入する方法が好適に用いられる。
膜形状とした溶液を調湿空気中へ導入する場合、相対湿度で5〜100%に調湿された空気中にて、ポリマーを析出させることが好ましい。この時の温度は−30℃〜80℃であると好適である。湿度、温度、溶液の組成、導入する時間など各種の条件によって一概には限定できないが、条件により得られる多孔質フィルムの特徴の一例を挙げると、高温高湿下においては、繊維体の平均径が大きく、空孔径の大きい孔を有した多孔質フィルムが得られ、低温低湿下においては、繊維体の平均径が小さく、空孔径の小さい孔を有した多孔質フィルムが得られるため、このような傾向を踏まえ、適宜条件を変更して、目的の特性を有する多孔質フィルムを得ることが可能である。
ポリマー析出を終えた溶液は、次の湿式工程の湿式浴に導入され、脱溶媒が行われる。この時、支持体から剥離し湿式浴へ導入しても良いし、支持体と共に湿式浴へ導入した後、剥離を行っても構わない。浴組成は、芳香族ポリアミドに対する溶解度が低ければ特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いるのが、経済性、取扱いの容易さから好ましい。また、湿式浴中には無機塩が含まれていてもよい。
この際、多孔質フィルム中の不純物を減少させるために、浴組成は有機媒/水=70/30〜20/80、浴温度40℃以上であることが好ましい。さらに、最後に40℃以上の水浴に通すことが有効である。
脱溶媒を終えた多孔質フィルムは、熱処理が行われる。この時の温度は、高温時の寸法安定性が向上するため、より高温にて行われることが好ましいが、用いたポリマーの熱分解温度以下で行う必要がある。芳香族ポリアミドにおいては、350〜400℃において熱分解が行われるため、それ以下の温度で熱処理が行われる。好ましくは250〜320℃である。
本発明の方法によって得られる多孔質フィルムは、ガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccであることが好ましい。本発明の製法によれば、たとえガーレ値が小さくとも、機械強度を維持することが可能であり、また、ガーレ値が大きくとも、好適な空孔率、空孔径を付与することが可能である。ガーレ値が0.5sec/100ccより小さいと、強度が著しく低下し、ガーレ値が1,000sec/100ccより大きいと、フィルターやセパレーター等に現実的に使用することが困難となる。
本発明の芳香族ポリアミド多孔質フィルムは、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)繊維体の平均径
日立株式会社製超高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)S−900Hを用いて、以下の条件で多孔質フィルム表面の任意の部分と、この任意の部分から上下左右に5cm離れた部分の計5カ所観察した。それぞれのSEM像において、図2の繊維概略図に示すSの位置において計測される太さを繊維体の径とし、それぞれのSEM像において5μm四方に相当する範囲で観察される接合部間の繊維体の径を測定し、それら全ての測定値を数平均することにより、繊維体の平均径を求めた。
Sの位置:接合部間に存在する繊維体について、各接合部の内接円の中心を結ぶ線分の垂直二等分線がその繊維体と交差する位置
加速電圧:5kV
観察倍率:30,000倍
(2)接合部の内接円直径、その平均値
上記した(1)において得られたSEM像において、5μm四方に相当する範囲で観察される接合部について、図3の接合部概略図に示す接合部の内接円の直径Kを接合部の内接円直径とし、その全ての測定値を数平均することにより内接円直径平均値を求めた。
(3)接合部存在率
上記した(1)において得られたSEM像において、5μm四方に相当する範囲で観察される、少なくとも3個の繊維体が接合する部分(接合部)について、総数をAとし、その各接合部について、接合部の内接円直径が、当該接合部に接合する繊維体の径の平均値の1.2〜200倍の範囲にあるものの総数をBとしたとき、(B/A)×100により接合部存在率を求めた。
(4)ガーレ値
JIS−P8117に規定された方法に従って、多孔質フィルムの任意の部分、およびこの任意の部分から上下左右に5cm離れた部分の計5カ所について測定を行った。試料の多孔質フィルムを直径28.6cm、面積645mm2の円孔に締め付け、内筒により(内筒重量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させた。空気100ccが通過する時間を測定し、ガーレ値とした。測定装置として、B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所製)を使用した。5カ所の測定値すべてが0.5〜1,000sec/100ccの範囲内であり、かつ5カ所の平均値から±5%以内であれば合格とし、その5カ所の平均値をガーレ値とした。
(5)空孔率
多孔質フィルムを100mm四方の正方形に切り取り、重量W(g)、厚みZ(cm)を測定した。芳香族ポリアミドの比重を1.5(g/cm3)として、次式より空孔率を求めた。
空孔率(%)=100−100×((W/1.5)/(1002×Z))
(6)厚み
関西アンリツ電子株式会社製電子マイクロメーター(検出器型番:K107C、触針半径1.5mm、触針荷重1.5g)を用いて、多孔質フィルムの任意の部分、およびこの任意の部分から上下左右に5cm離れた部分の計5カ所測定し、その平均値を厚みとした。
(7)破断強度
JIS−K7127に規定された方法に従って測定を行った。ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて23℃、相対湿度65%において測定した。試験片は幅10mm、長さ100mmで引っ張り速度は300mm/分である。
(8)耐屈曲性
JIS−C6471 8.2に規定された方法に従って測定を行った。MIT−D(東洋精機社製)を用いて、温度23℃、相対湿度65%において測定した。試験片は幅10mm、屈曲半径0.8mm、荷重は250g/mm2として、フィルムの耐屈曲回数を測定し、以下の基準で評価し、B以上を合格とした。
A:耐屈曲回数が1,000回以上
B:耐屈曲回数が500回以上1,000回未満
C:耐屈曲回数が50回以上500回未満
D:耐屈曲回数が50回未満
(9)電池特性
A.電解液の調製
LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、プロピレンカーボネートを加えて混合し、プロピレンカーボネートとリン酸トリメチルとの体積比が1:2の混合溶媒にLiC49SO3を0.6モル/リットル溶解させた有機電解液を調製した。このようにして得られた有機電解液の引火点を調べるため、この電解液を所定の温度まで加熱して液面近傍に火を近づけ、引火するかどうかを調べた。100℃、150℃、200℃のいずれの温度のテストでも引火せず、この電解液の引火点は200℃以上であることが分かった。
B.電池の作成
リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)に黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを加え、溶剤で分散させたスラリーを、厚さ10μmの正極集電体のアルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の正極を作製した。正極の厚みは40μmであった。
コークスと、粘着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤とし、これを溶剤で分散させてスラリーにした。この負極合剤スラリーを、負極集電体としての厚さが10μmの帯状の銅箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の負極前駆体を作製した。負極前駆体の処理液として、LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、エチレンカーボネートを加えて混合することにより、処理液を調製した。負極前駆体の両側に処理液を含浸させたセパレータを介してリード体を圧着したLiフォイルで鋏み込み、ホルダーに入れ、負極前駆体を正極、Li極を負極として、放電および充電を行った。その後、分解し、負極前駆体をジメチルカーボネートで洗浄し、乾燥して、負極を作製した。負極の厚みは50μmであった。
次に、上記の帯状正極を、各実施例のセパレータ用フィルムを介して、上記シート状負極と重ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極体としたのち、内径13mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った後、有機電解液を電池ケース内に注入した。電池ケースの開口部を封口し、電池の予備充電を行い、筒形の有機電解液二次電池を作製した。
C.電池容量
作成した各二次電池について、35mAで充電4.1V、放電2.7Vで放充電させ、1サイクル目と10サイクル目の放電容量を調べた。1サイクル目の放電容量を基準として、10回目の放電容量が、
A:95%以上
B:90%以上95%未満
C:90%未満
のランクで評価し、ランクB以上を合格とした。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを10重量%、N−メチル−2−ピロリドン70重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量200)20重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた後ポリエチレングリコール加え、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、20℃、相対湿度80%に調整されたオーブン中に1時間静置し、析出を行い多孔質フィルムとした。この多孔質フィルムをガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、3時間風乾後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質フィルムの厚みは、32.1μm、繊維体の平均径は0.03μm、接合部の内接円直径の平均値は0.25μm、接合部存在率は73%、空孔率は65%、破断強度は160MPa、ガーレ値はその平均値と最大値との差が1.4%(以下、単に平均値からの差、という)、平均値342sec/100cc、耐屈曲性は1,000回を超え、Aであった。
得られた多孔質フィルムを用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、98%を維持し、Aであった。
(実施例2〜5)
実施例1と同様にして得たポリマー溶液を用いて、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、表1の条件で析出を行い、多孔質フィルムとした。この多孔質フィルムをガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、3時間風乾後、320℃にて1分間の熱処理を行い、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの物性を表2に示した。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られたポリマーを用いて、ポリマーを2重量%、N−メチル−2−ピロリドン70重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量200)28重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた後ポリエチレングリコール加え、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約100μmの膜状に形成し、20℃、相対湿度80%に調整されたオーブン中に1時間静置し、析出を行い多孔質フィルムとした。この多孔質フィルムをガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、3時間風乾後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質フィルムの厚みは、24.7μm、繊維体の平均径は0.35μm、接合部の内接円直径の平均値は0.8μm、接合部存在率は41%、空孔率は91%、破断強度は33MPa、ガーレ値は平均値からの差2.8%、平均値3.5sec/100cc、耐屈曲性は非常にもろく測定を行うことが出来ず、Dであった。
得られた多孔質フィルムを用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、73%まで低下し、Cであった。
(比較例2)
実施例1と同様にして得られたポリマーを用いて、特公昭52−15162号公報に記載の沈殿装置(直径150mm)を用いてフィブリル状芳香族ポリアミド繊維を作製した。このフィブリル状芳香族ポリアミド繊維を特開昭63−35877号公報に記載の方法に準じて処理し、比表面積43m2/gのものとした。
また、同じポリマーを特公昭48−17551号公報に記載の方法に基づいて紡糸、延伸、熱処理し、繊度3deの通常の円形断面繊維を作製した。繊維の強度は6.1g/de、伸度は12%であった。これを長さ5mmに切断し短繊維とした。
上記フィブリル状芳香族ポリアミド繊維と芳香族ポリアミド短繊維を30/70の重量比率で混合して、稀薄水性スラリーを調製し、大形のタッピー型抄紙機を用いて、20g/m2 の湿抄紙とした。
この湿抄紙を、充分に風乾した後、これをカレンダーロール間で温度320℃、線圧50kg/cmで熱圧加工処理し、更に、温度280℃、線圧100kg/cmで熱圧加工処理した。
得られた紙状シートの厚みは、40.0μm、繊維体の平均径は12.2μm、接合部存在率は0%、空孔率は68%、破断強度は28MPa、ガーレ値は平均値からの差16%、平均値78sec/100cc、耐屈曲性は116回にて破断、Cであった。
得られた多孔質フィルムを用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、測定位置により特性が異なり、実用に耐えうるものではなかった。
(比較例3)
実施例1と同様にして得られたポリマーを用いて、このポリマーを5重量%、N−メチル−2−ピロリドン65重量%、ボールミルにて粉砕し、平均粒子径1μmとした炭酸カルシウム粒子30重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた後炭酸カルシウム粒子を加え、均一に粒子が分散したポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、
120℃に調整されたオーブン中で10分間乾燥した。この粒子分散フィルムをガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後、完全に風乾し、320℃に調整されたオーブン中にて、縦1.2倍、横1.2倍に逐次二軸延伸をした後、10%塩酸水溶液中で炭酸カルシウム粒子を溶解除去した。50℃の水浴にて1時間、酸の抽出を行った後、アルミ製の枠に固定し、3時間風乾後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質フィルムの厚みは、26.9μm、表面のSEM像を観察したところ、平面に1〜10μmの穴が点在するものであった。空孔率は56%、破断強度は177MPa、ガーレ値は平均値からの差8.4%、平均値628sec/100cc、耐屈曲性は37回で、Dであった。
得られた多孔質フィルムを用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、初期特性が低く、また79%まで低下し、Cであった。
本発明は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる芳香族ポリアミド多孔質フィルムの製造方法に関するが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本発明における接合部付近の状態を示す概略断面図である。 本発明における繊維体の径の測定法を説明するための概略説明図である。 本発明における接合部の内接円直径を示すための概略説明図である。
符号の説明
1 繊維体
2 接合部
H 接合部間の距離
S 繊維体の径の測定位置
K 接合部の内接円直径

Claims (2)

  1. 芳香族ポリアミドを含む繊維体が接合部を介して接合され、前記接合部には少なくとも3個の繊維体が接合している構造(以下、三次元網目構造という)を有し、繊維体の平均径が0.03〜1μmであり、接合部の内接円直径について、全接合部の50%以上が、当該接合部に接合する繊維体の径の平均値の1.2〜200倍の範囲にあり、芳香族ポリアミドが以下に示される繰り返し単位を60モル%以上含有している芳香族ポリアミド多孔質フィルム。
  2. 三次元網目構造が少なくとも一方の面に露出している、請求項1に記載の芳香族ポリアミド多孔質フィルム。
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