JP5509563B2 - 高分子重合体多孔質膜および電池用セパレーター - Google Patents

高分子重合体多孔質膜および電池用セパレーター Download PDF

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Description

本発明は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる高分子重合体多孔質膜およびそれを用いた電池用セパレーターに関する。
従来、高分子重合体多孔質膜として、例えば特許文献1にはポリオレフィンなどと炭酸カルシウムを溶融混練した後、延伸して多孔質フィルムを得る方法が開示されている。しかし、このような、粒子を混練して延伸を行うことにより、粒子の周りに空孔を生じさせる方法では、厚み方向で隣接する空孔と連絡する穴は多く出来るが、面方向で隣接する空孔と連絡する穴は少ないため、連絡経路が直線的で枝分かれが少なく、加工時の変形で厚み方向に圧縮されたとき、その体積変動がすべて経路を細くする方向に働くため、透過性が著しく低下する。
また、芳香族ポリアミド多孔質膜としては、例えば特許文献2〜4には全芳香族ポリアミド繊維からなる不織布または紙状シート開示されている。しかし、不織布または紙状シートでは、十分な強度を有したまま、しかも繊維などの有無などによる局部的な不均一が無いように50μm以下の厚みにすることは難しい。目付量の低い不織布を用いて、高圧にてプレスすることにより厚みを薄くすることは可能であるが、空孔率が低下するため、ガス、液体等の透過性が低下してしまう。加工時に更なる圧力を受けると、実用的な透過度を失う場合がある。
さらに、特許文献5では、ポリマー溶液に金属酸化物微粒子を分散させたものをキャストし膜を得た後、金属酸化物微粒子を溶解除去することを特徴とする、芳香族ポリアミド多孔質フィルムが開示されている。しかし、このフィルムでは、金属酸化物微粒子同士が接触している部分が微細な穴となり、空孔と空孔とを連絡することにより連続孔を形成するため、電池セパレーターとして使用される場合、加工時のロール搬送や巻き工程、電池使用時の充放電に伴う電極の膨張により圧縮されたとき、面方向へ連絡している穴が閉塞してしまい、孔の連続性が失われてしまい、透過性が低下する。
特開平8−225680号公報 特開平5−335005号公報 特開平7−78608号公報 特開平7−37571号公報 特開2001−98106号公報
本発明は、上記した従来の問題を解決し、薄膜化適性に優れ、厚み方向の変形に対して良好な透過性を維持する高分子重合体多孔質膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、厚みが1〜50μmであり、空孔率が40〜95%であり、厚み方向に30%圧縮を行ったときのガーレ値の増加が、圧縮前のガーレ値に対し80%以下であり、厚み方向に30%圧縮を行った後のガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccである芳香族ポリアミド多孔質膜であることを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、薄膜化適性に優れ、所望の空孔率、ガーレ値を有しつつ、厚み方向の圧縮に対して良好な透過性を維持する高分子重合体多孔質膜が得られ、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる。
本発明において用いる、高分子重合体(以下、単にポリマーということがある)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、フッ素系樹脂などを用いることができる。これらポリマーは単独で使用しても、数種の混合物であっても構わない。耐熱性に優れ、高強度であり、薄膜化が可能であることから、芳香族ポリアミドがより好ましい。
芳香族ポリアミドとしては、次の化学式(1)および/または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好適である。
化学式(1):
Figure 0005509563
化学式(2):
Figure 0005509563
ここで、Ar、Ar、Arの基としては、例えば、次の化学式(3)〜(7)
化学式(3)〜(7):
Figure 0005509563
などが挙げられ、X、Yの基は、
A群: −O−、−CO−、−CO−、−SO−、
B群: −CH−、−S−、−C(CH
などから選択することができる。
さらに、これら芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシなどのアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
本発明において芳香族ポリアミドを用いる場合は、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上を占めていることが好ましく、より好ましくは90モル%以上を占めていることである。ここでいうパラ配向性とは、芳香核上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満の場合、多孔質膜の剛性および耐熱性が不十分となる場合がある。さらに、芳香族ポリアミドが下記化学式(8)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場合、延伸性及び多孔質特性が特に優れることから好ましい。
化学式(8):
Figure 0005509563
ここで、p、qの値としては0〜4の整数が挙げられるが、p+qの値が1以上が好ましい。p+qの値が0であると、ポリマーの溶解性の低下及び、ポリマー溶液が液晶性を有することがあり、その時得られる多孔質膜は、芳香族ポリアミドの針状結晶や短繊維が多く含まれる、紙状シートに近い物となる場合がある。
本発明の膜の厚みは、1〜50μm、好ましくは5〜40μmである。1μm未満であると、強度が不足し、不均一に圧力を受けたときに膜の破れが起きやすくなる。50μmを超えると、曲げ変形時の表面の変形が大きくなり、曲率の大きい曲げや、曲げ伸ばしを繰り返したりすると、多孔質膜の平面性が悪化することがある。
本発明の高分子重合体多孔質膜の空孔率は、40〜95%、好ましくは60〜90%である。空孔率が40%未満であると、空孔の連続性に乏しく、また、空孔と空孔の連絡部分の穴も小さく、少しの変形で大きくガーレ値が増加してしまうことがある。95%を超えると、膜の形態を維持することが困難になり、圧力をかけてガスを透過したり、液体を含浸させて保持したりすると、破れが起きやすくなる。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、厚み方向に30%圧縮を行ったとき、圧縮前のガーレ値に対し、ガーレ値の増加が100%以下、好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下であると、厚み方向の変形に対して良好な透過性を維持できる。100%を超えると、膜を支持体で挟み固定するだけで、ガーレ値が大きく変動してしまう。増加の下限は、圧縮により多孔質膜の伸びや破れが無ければ言うまでもなく0%である。なお、上記した30%の圧縮とは、厚み方向の長さ(厚み)について30%圧縮するとの意味である。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、ガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccであることが好ましい。ガーレ値が0.5sec/100ccより小さいと、強度が著しく低下し、ガーレ値が1,000sec/100ccより大きいと、通気、通液の抵抗が大きく、フィルターやセパレーター等に現実的に使用することが困難となる。なお、上記したガーレ値の好ましい範囲は30%の圧縮を行う前の値として示しているが、もちろん30%の圧縮を行った後の値としても好ましい範囲である。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、長さ方向、幅方向とも、破断伸度が5%以上であることが好ましい。破断伸度が5%未満であると、局部的に圧縮や変形があった場合、隣接する多孔質膜が追従して変形することなく、界面に裂け、割れが生じることがある。上限は特に定めることはないが、多孔質膜であれば一般的に100%程度が限界である。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、少なくとも1方向の破断強度が20MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは50MPa以上である。破断強度が20MPa未満であると、加工する場合、工程中での突起や張力の変動により容易に破断してしまうことがある。上限は特に定めることはないが、多孔質膜であれば一般的に1GPa程度が限界である。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、少なくとも1方向のヤング率が300MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは500MPa以上である。ヤング率が300MPa未満であると、ガスや液体を透過させる時の圧力変動で変形してしまう。上限は特に定めることはないが、多孔質膜であれば一般的に10GPa程度が限界である。
次に本発明の高分子重合体多孔質膜の製造方法について、代表例として、芳香族ポリアミドを高分子重合体として用いた例を説明する。もちろん、本発明が本例に限定されるものではない。
まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な撹拌手段をとることが好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損なう恐れのある時は、適当に調整することができる。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加してもよい。
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、多孔質膜の湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリンなどを重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
多孔質膜を得るためにはポリマーの固有粘度ηinh(重合体1の0.5gを98重量%硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5(dl/g)以上であることが多孔質膜にしたときのハンドリング性が良くなるので好ましい。
これらポリマー溶液は、そのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸などの無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜30質量%が好ましい。薄く、安定した多孔質特性の多孔質膜を効率良く得られることから、より好ましくは8〜25質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。また、水を吸収させた際、速やかにポリマーが析出されるため、混合される水溶性アルコール類は2〜40質量%が好ましい。より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは、10〜25質量%である。
上記のようにして調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法により多孔質膜化が行われる。溶液製膜法には乾湿式法、湿式法、析出法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、多孔質膜の内部構造を任意に制御しやすいことから析出法がより好ましい。
析出法で多孔質膜を製造する場合、溶液をガラス板や、ドラム、エンドレスベルト等の支持体上に流延することによって、膜形状とした後、水を吸収させることにより、ポリマーを析出させる。この時、水を吸収させる方法は、霧状の水を付着させる方法、水中に導入する方法、調湿空気中に導入する方法、いずれの方法でも差し支えないが、水の吸収速度、量を細かくコントロール可能である調湿空気中へ導入する方法が好適に用いられる。
調湿雰囲気下で吸湿させて多孔質膜を製造する方法では、雰囲気の温度を0〜50℃、相対湿度を55〜95%RHとすることが好ましい。温度が3℃未満では、絶対湿度が低いため吸湿が進まず、ポリマーの溶解性が低下しないことから、多孔質構造が形成されないことがあり、50℃を超えると表層のポリマーの溶解性が急激に低下して、表面に緻密な層ができ、多孔質構造が形成されないことがある。また、相対湿度が55%未満では、吸湿が進まず、ポリマーの溶解性が低下しないことから、孔構造が形成されないことがあり、95%RHを超えると表層のポリマーの溶解性が急激に低下して、表面に緻密な層ができ、多孔質構造が形成されないことがある。本発明の多孔質構造がより速やかに形成されることから、温度は3〜40℃、相対湿度は60〜95%RHであることがより好ましく、温度は5〜30℃、相対湿度は65〜90%RHであることがさらに好ましい。
また、高温高湿下においては、空孔率は小さく、個々の空孔径は大きい貫通孔を有した多孔質膜が得られ、低温低湿下においては、空孔率が大きく、空孔径の小さい繊維状の高分子が三次元網目状に接合している多孔質膜が得られる。
ポリマー析出を終えた溶液(高分子膜)は、次の湿式工程の湿式浴に導入され、脱溶媒が行われる。この時、支持体から剥離し湿式浴へ導入してもよいし、支持体と共に湿式浴へ導入した後、剥離を行っても構わない。浴組成は、高分子に対する溶解度が低ければ特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いるのが、経済性、取扱いの容易さから好ましい。また、湿式浴中には無機塩が含まれていてもよい。
この際、多孔質膜中の不純物を減少させるために、浴組成(質量基準)は有機媒/水=70/30〜20/80、浴温度40℃以上であることが好ましい。さらに、最後に40℃の水浴に通すことが有効である。
脱溶媒を終えた多孔質膜は、テンター内で乾燥、熱処理が行われる。乾燥時の温度は、多孔質膜の構造間に含まれる湿式浴の液の蒸発に伴う膜厚減少を極力少なく押さえるため、より低温で行われることが好ましい。最後に水浴に通した場合、水の沸点を超えない程度、室温〜100℃で多孔質膜の構造間にある水を乾燥させることが好ましい。また、その後100〜120℃にて多孔質膜の構造内に含まれる水を完全に乾燥させてから熱処理に移行すると、更に好ましい。熱処理時の温度は、高温時の寸法安定性が向上するため、より高温にて行われることが好ましいが、用いたポリマーの熱分解温度以下で行う必要がある。芳香族ポリアミドにおいては、350〜400℃において熱分解が行われるため、それ以下の温度で熱処理が行われる。好ましくは150〜320℃である。更に好ましくは150〜250℃である。また、このとき幅方向への延伸が施されてもよい。
このような傾向を踏まえ、適宜条件を変更して、目的の特性、特に30%圧縮後のガーレ値の増加が100%以下である多孔質膜を得ることができる。
次に上記条件を組み合わせることによって得られる高分子膜の傾向を例を挙げて説明するが、もちろん、本発明が以下の例に限定されるものではない。
製膜原液のポリマー濃度を低く、例えば8質量%とし、温湿度条件を低温低湿度、例えば5℃65%RHにて多孔質構造を形成させることにより、空孔率が80%を超えるような、非常に空孔率が大きく、表面と支持体に接する面、また厚み方向のどの部分においても、ほぼ同様な形状の、繊維状の高分子が三次元網目状に接合する構造を持つ膜が得られる。このような構造であると、厚み方向の圧力(圧縮)に対して容易に変形するが、空孔率が大きく多方向に空孔が連続しているため、圧縮後においても良好な透過性を維持することが可能であり、30%圧縮後のガーレ値の増加を100%以下に制御することが可能となる。
また、表面と支持体と接する面の構造に差を持たせることも可能であり、温湿度条件を低温低湿度と高温高湿度を途中で変更することで、例えば5℃65%RHにて静置した後、40℃95%RHにて多孔質構造の形成を完了させることにより、厚み方向の圧力(圧縮)に対して容易に変形するが、空孔率が大きく多方向に空孔が連続しているため、圧縮後においても良好な透過性を維持できる三次元網目構造を持つ面と、厚み方向に圧力を与えても変形しづらく、透過性の変化が少ない、厚み方向に貫通する孔構造を持つ面とを両方有する膜が得られる。このような構造であると、厚み方向の圧力を三次元網目構造を持つ面で厚み方向の圧力を吸収し、貫通する孔構造を持つ面で透過性を維持することになり、更に厚み方向の圧力に対して透過性の変化を少なくすることが可能となる。
本発明の高分子重合体多孔質膜は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ガーレ値
JIS−P8117(1998年)に規定された方法に従って測定を行った。試料の多孔質膜を直径28.6cm、面積645mmの円孔に締め付ける。内筒により(内筒重量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定し、ガーレ値とした。測定装置として、B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所製)を使用した。
(2)空孔率
高分子重合体の真密度をD(g/cm)、高分子重合体多孔質膜のかさ密度をd(g/cm)とした時に以下の式で算出した。
空孔率(%)=(D−d)/D×100
(3)厚み
関西アンリツ電子株式会社製電子マイクロメーター(検出器型番:K107C、触針半径1.5mm、触針荷重1.5g)を用いて、長さ方向に100mm間隔で5カ所測定した平均値を厚みとした。
(4)多孔質膜の圧縮法
版画用プレス機(新日本造形社製、SNDP−1)を用いて、25℃、相対湿度65%の雰囲気において、多孔質膜の厚みの65%に調整したロール間を通過させることにより圧縮し、1時間静置後、上記(3)に従って厚みの測定を行い、目的の厚みになるまで繰り返した。
(5)破断伸度、破断強度、ヤング率、1%応力
JIS−K7127(1999年)に規定された方法に従って測定を行った。ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて25℃、相対湿度65%において測定した。試験片は幅10mm、長さ100mmで引っ張り速度は300mm/分である。
(5)内部抵抗
圧縮前の多孔質膜(A)と、圧縮前の多孔質膜を上記(4)に従い厚み方向に圧力をかけることにより、30%厚みを圧縮した多孔質膜(B)とを、それぞれ20mm×30mmの大きさに切り出し、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1対1の混合溶媒に、LiBF4 を1mol/Lにて溶解させた電解液を含浸した。厚さ0.2mm、直径17.3mmの白金板2枚を正、負極とし、セパレーターを電極間に鋏み、周波数1kHzにおける、白金板の電極間の内部電気抵抗を測定した。
多孔質膜(B)の内部電気抵抗/多孔質膜(A)の内部電気抵抗の値が、
1.2倍以下 ◎
1.2倍を超え1.6倍以下 ○
1.6倍を超え2倍以下 △
2倍を超える ×
とし、△、○、◎を合格とした。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、ジアミン全量に対し80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、ジアミン全量に対し20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11質量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを10質量%、N−メチル−2−ピロリドン70質量%、ポリエチレングリコール(平均分子量300)20質量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた後ポリエチレングリコール加え、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、10℃、相対湿度70%に調整されたオーブン中に1時間静置し、析出を行い多孔質膜とした。この多孔質膜をガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質膜の厚みは40.7μm、空孔率は75%、ガーレ値173sec/100cc、破断伸度は7.9%、破断強度は26MPa、ヤング率は750MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを28.5μmとした。ガーレ値は339sec/100ccで、ガーレ値の増加は96%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、1.6倍を超え2倍以下であり、△であった。
参考例2)
参考例1と同様にして得たポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、10℃、相対湿度70%に調整されたオーブン中に1時間静置し、析出を行い多孔質膜とした。この多孔質膜をガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、25℃にて3時間乾燥した後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質膜の厚みは45.1μm、空孔率は89%、ガーレ値72sec/100cc、破断伸度は9.5%、破断強度は22MPa、ヤング率は720MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを31.6μmとした。ガーレ値は131sec/100ccで、ガーレ値の増加は82%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、1.2倍を超え1.6倍以下であり、○であった。
(実施例3)
参考例1と同様にして得たポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、10℃、相対湿度70%に調整されたオーブン中に30分静置した後、45℃、相対湿度60%に調整されたオーブン中に移し、5分静置し、析出を行い多孔質膜とした。この多孔質膜をガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、25℃にて3時間乾燥した後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質膜の厚みは39.8μm、空孔率は75%、ガーレ値210sec/100cc、破断伸度は8.7%、破断強度は26MPa、ヤング率は850MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを27.7μmとした。ガーレ値は277sec/100ccで、ガーレ値の増加は32%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、1.2倍以下であり、◎であった。
参考例4)
参考例1と同様にして得たポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約50μmの膜状に形成し、5℃、相対湿度65%に調整されたオーブン中に30分静置した後、45℃、相対湿度60%に調整されたオーブン中に移し、10分静置し、析出を行い多孔質膜とした。この多孔質膜をガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、25℃にて3時間乾燥し、110℃にて2分加熱することにより、多孔質膜の構造内に含まれる水を完全に乾燥させた後、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質膜の厚みは17.2μm、空孔率は42%、ガーレ値861sec/100cc、破断伸度は5.1%、破断強度は38MPa、ヤング率は1,120MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを12μmとした。ガーレ値は1,704sec/100ccで、ガーレ値の増加は98%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、1.6倍を超え2倍以下であり、△であった。
(比較例1)
参考例1と同様にして得たポリマー溶液を、バーコーターを用いてガラス板上に約250μmの膜状に形成し、55℃、相対湿度98%に調整されたオーブン中に1時間静置し、析出を行い多孔質膜とした。この多孔質膜をガラス板から剥離し、50℃の水浴にて1時間、溶媒や不純物の抽出を行なった。その後アルミ製の枠に固定し、320℃にて1分間の熱処理を行った。
得られた多孔質膜の厚みは41.3μm、空孔率は39%、ガーレ値955sec/100cc、破断伸度は4.8%、破断強度は47MPa、ヤング率は1390MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを28.9μmとした。ガーレ値は3,810sec/100ccで、ガーレ値の増加は299%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、2倍を超えており、×であった。
(比較例2)
東レ・デュポン製ケブラーパルプ0.8mm50質量部と2mm50質量部を蒸留水中に0.01質量%濃度に分散させ、円網抄紙機によって、目付量10g/m2のアラミドペーパーを得た。このアラミドペーパーを熱ロールでカレンダリングを行った。
得られた多孔質膜の厚みは30.0μm、空孔率は63%、ガーレ値61sec/100cc、破断伸度は3.5%、破断強度は12MPa、ヤング率は220MPaであった。
この多孔質膜を版画用プレス機にて圧縮を行い、厚みを21.0μmとした。ガーレ値は154sec/100ccで、ガーレ値の増加は152%であった。
続いて、内部抵抗の測定を行ったところ、2倍を超えており、×であった。
Figure 0005509563
Figure 0005509563
本発明は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 厚みが1〜50μmであり、空孔率が40〜95%であり、厚み方向に30%圧縮を行ったときのガーレ値の増加が、圧縮前のガーレ値に対し80%以下であり、厚み方向に30%圧縮を行った後のガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccである芳香族ポリアミド多孔質膜。
  2. 圧縮前のガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccである、請求項1に記載の高分子重合体多孔質膜。
  3. 請求項1または2に記載の高分子重合体多孔質膜を用いてなる電池用セパレーター。
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