JP4920185B2 - ガソリン組成物 - Google Patents

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本発明は、芳香族分とオレフィン分の含有量を低減させ、オクタン価を92以上に高めたガソリン組成物に関する。
ガソリンは、通常、接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、アルキレートガソリン、ライトナフサ、異性化ガソリン等の各種石油系炭化水素の基材をブレンドして製造され、数百種類の化合物の混合物である。これらの化合物は、大きくは飽和分、オレフィン分、芳香族分に分類でき、オクタン価を高くするため、芳香族分、オレフィン分を適当量含むように製造される。
ところで、地球温暖化対策が世界的な課題で、二酸化炭素の削減が急務となっており、自動車の燃費改善のためガソリンのオクタン価を上げることが要望されている。このオクタン価を上げる方法として、トルエン等の芳香族分やオレフィン分の配合割合を増やすことが一般的であるが、芳香族分はオクタン価は高いが、燃焼性が悪く、エンジン内のデポジットの原因になることが知られている。また、オレフィン分もオクタン価が高いが、安定性が悪く、ガム状物質を増加させ、インジェクターを詰まらせる等の不具合が発生する可能性があると指摘されている。
また、エタノールやその誘導体であるエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、或いはメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)の含酸素化合物を配合することにより、重質留分、芳香族分やオレフィン分等をある程度低減させてもオクタン価を維持したガソリンが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−244532公報 特開2004−292510公報 特開2004−292511公報
しかし、これらの含酸素化合物を単に配合するだけではオクタン価を高めて芳香族分やオレフィン分を大幅に減らすことは容易ではなかった。
すなわち、本発明はかかる課題を解決するもので、本発明の目的は芳香族分やオレフィン分を大幅に低減できて、なおオクタン価を高めたガソリン組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定の飽和分とトリメチルペンタンを所定量含み、この成分の比がある範囲になるようにして、含酸素化合物を配合することにより、芳香族分とオレフィン分を大幅に低減できるとの知見を得て、本発明に想到した。
本発明の第1の態様によるガソリン組成物は、15℃における密度が0.70〜0.78g/cm3、リサーチ法オクタン価が94〜96、蒸気圧が44〜93kPaであって、含酸素化合物を酸素元素換算で1〜1.3質量%含有し、かつイソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン及びノルマルヘキサンの各成分の総和成分1を9〜14容量%並びに2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン及び2,3,4−トリメチルペンタンの各成分の総和成分2を5〜15容量%、好ましくは10〜15容量%含み、前記総和成分1/総和成分2の比が0.5〜2.0からなるものである。
本発明の第2の態様によるガソリン組成物は、15℃における密度が0.70〜0.78g/cm3、リサーチ法オクタン価が98〜101、蒸気圧が44〜93kPaであって、含酸素化合物を酸素元素換算で1〜4.5質量%、好ましくは1〜1.3質量%又は2.5〜4.5質量%含有し、イソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン及びノルマルヘキサンの各成分の総和成分1を14〜19容量%並びに2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン及び2,3,4−トリメチルペンタンの各成分の総和成分2を10〜15容量%含み、前記総和成分1/総和成分2の比が0.5〜2.0からなるものである。
本発明のガソリン組成物は、現在市販のレギュラーグレードガソリンに対してはリサーチオクタン価(RON)を高くできるので、燃費が向上でき、二酸化炭素の削減に有効であり、かつ芳香族分とオレフィン分の含有量を低減できるので、燃焼性が良好となり、エンジン内でのデポジットの生成を抑制できるとともに、安定性も良好となり、ガム状物質の生成によるインジェクター閉塞等の不具合発生の可能性がなくなる等、格別の効果を奏する。
また、現在の市販のプレミアムグレードガソリンに対しては、RONをほぼ維持し、かつ芳香族分、オレフィン分を同時に減らすことができるため、上記と同様に燃焼性、安定性ともに優れたものにできるという格別の効果を奏する。
本発明のガソリン組成物は、15℃における密度が0.70〜0.78g/cm3、好ましくは0.71〜0.76g/cm3、特に好ましくは0.72〜0.75g/cm3である。この密度が0.70g/cm3以上であると燃費が良く、また0.78g/cm3以下にすると加速性能が良く、プラグのくすぶりを生じることがない。
この密度は、JIS K 2249で規定された方法により測定されるものである。
RONは燃費の向上の観点から94〜96又は98〜101のもので、前者については、好ましくは95〜96、このRONは、JIS K 2280に規定された方法により測定されるものである。
蒸気圧は低温始動性やベーパーロックなどによる運転性の不具合防止の点から、37.8℃の蒸気圧が44〜93kPa、好ましくは44〜78kPaとしたもので、特に、夏季においては44〜65kPa、さらには44〜60kPaとすることが好ましい。この蒸気圧は、JIS K 2258に規定された方法で測定されるものである。
含酸素化合物は酸素元素換算で1〜4.5質量%させたものである。この含酸素化合物の量を酸素元素換算で1質量%以上含有させることにより、芳香族分及びオレフィン分の含有量を低減でき、また、排出ガス中の窒素酸化物(NOx)増加の抑制の観点から4.5質量%以下にする。RONが94〜96のガソリン組成物においては、この含酸素化合物の含有量は酸素元素換算で1〜1.3質量%、好ましくは1.2〜1.3質量%である。また、RONが98〜101のガソリン組成物については、酸素元素換算で1〜4.5質量%、好ましくは1〜1.3又は2.5〜4.5質量%である。
この含酸素化合物としては、例えば、炭素数2〜4のアルコール類、炭素数4〜8のエーテル類が好適であり、具体的には、エタノール、ETBE、MTBE、ターシャリーアミルメチルエーテル(TAME)、ターシャリーアミルエチルエーテル等を挙げることができる。
本発明においては、イソペンタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、ノルマルヘキサンの総和成分1はRONが94〜96のガソリン組成物については9〜14容量%である
なお、RONが98〜101のガソリン組成物については、この総和成分114〜19容量%である
このイソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ノルマルヘキサンの各成分は、JIS K 2536(ガスクロマトグラフ法)に規定される方法により測定されるものである。
さらに本発明においては、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタンの総和成分2、RONが94〜96のガソリン組成物については5〜15容量%であり、好ましくは10〜15容量%であり、RONが98〜101のガソリン組成物については、この総和成分2は10〜15容量%である
これらの各成分は、JIS K 2536(ガスクロマトグラフ法)に規定される方法により測定されるものである。
本発明においては、上記総和成分1と総和成分2の比0.5〜2.0である。この範囲の比にすることにより、ガソリン中に含まる特定成分をバランスよく配合することになり、この結果、芳香族炭化水素とオレフィン分を同時に低減できる。
又、RONが94〜96のガソリン組成物については総和成分1を9〜14容量%の範囲で、総和成分2を10〜15容量%の範囲で選定するとことが、さらに好ましい。
以上のように、含酸素化合物を特定量含有させ、総和成分1と総和成分2とを特定量及び比で含有させた本発明は、RONが94〜96のガソリン組成物においては、芳香族分を20容量%以下、特には15容量%以下に、またオレフィン分を10容量%以下にしても、またRONが98〜101のガソリン組成物においては、芳香族分を25容量%以下、特には15容量%以下に、またオレフィン分を10容量%以下にしても、そのRONを確保できる。従って、この芳香族分及びオレフィン分をこれらの量以下で、できるだけ少なくなるように、各種のガソリン基材を配合することが好ましい。
なお、この芳香族分及びオレフィン分はJIS K 2536(蛍光指示薬吸着法)に規定される方法で測定するものである。
本発明によるガソリン組成物は、含酸素化合物基材、流動接触分解ガソリン基材、接触改質ガソリン基材、アルキレートガソリン基材、直留ナフサを脱硫・異性化した基材を適宜配合することにより製造することができる。
製造するに当たっては、上記基材の密度、RON、蒸気圧及びイソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ノルマルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン等の各成分の含有量を予め測定しておき、上記特定の範囲になるよう各種基材を配合することにより、比較的容易に製造できる。
なお、好ましい配合量としては、流動接触分解ガソリン基材を30〜50容量%、特には40〜50容量%、接触改質ガソリン基材を0〜30容量%特には0〜20容量%、アルキレートガソリン基材を0〜40容量%特には20〜31容量%、異性化ガソリン(ISOMA)を0〜30容量%特には5〜25容量%、ETBEを7〜25%である。
さらに、本発明のガソリン組成物には、公知の燃料油添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計配合量を0.1重量%以下に維持することが好ましい。本発明のガソリンで使用可能な燃料油添加剤を例示すれば、フェノール系、アミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール又はそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
表1に示すガソリン基材を次ぎの方法で用意した。
ISOMA:中東系原油のナフサ留分を水素化脱硫、異性化後、5%留出温度が25〜48℃であって、かつ95%留出温度が65〜90℃である異性化ガソリン(ISOMA)を得た。
FCCL:接触分解ガソリンを分留して5%留出温度が25.0〜43.0℃であって、かつ95%留出温度が55〜80℃である軽質接触分解ガソリンを得た。
FCCG:接触分解ガソリンを分留して5%留出温度が80〜120℃であって、かつ95%留出温度が170〜210℃である重質接触分解ガソリンを水素化脱硫によって硫黄分を低減した後、スイートニング処理でチオール低減処理を行い、上述のFCCLとを1:1の割合(容量比)で混合して得た。
ALKG:アルキレートガソリンであり、ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分を硫酸触媒により反応させて、イソパラフィン分の高い炭化水素を得た。90%留出温度が130℃以下になる様に、蒸留分離により重質留分をカットした。
AC−7留分:軽質改質ガソリンであり、重質ナフサを固体触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、芳香族分の高い炭化水素に改質し、蒸留分離することにより得た炭素数7の炭化水素を95%以上含有する留分である。
AC−9留分:重質改質ガソリンであり、重質ナフサを固体触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、芳香族分の高い炭化水素に改質し、蒸留分離することにより得た炭素数9以上の炭化水素を95%以上含有する留分である。
Figure 0004920185
表1で示したガソリン基材を表2の比率で配合して、実施例1〜4となるガソリンを調製した。調整したガソリンの性状・特性を表2に併せて示す。ETBEは、シェブロン化学株式会社より購入したものを用いた。
表1で示したガソリン基材を表3の比率で配合して、実施例5〜8となるガソリンを調製した。調整したガソリンの性状・特性を表3に併せて示す。
Figure 0004920185
Figure 0004920185
この結果から明らかなように、総和成分1及び2の量及び総和成分1/総和成分2の比を、本発明で特定した範囲にしたものは、芳香族分及びオレフィン分が少なくても、高いRONのガソリン組成物とすることができる。
本発明は、含酸素化合物と特定の物質をコントロールすることで、高オクタンでかつ低芳香族、低オレフィン分を同時に達成したガソリン組成物を製造できる。

Claims (5)

  1. 15℃における密度が0.70〜0.78g/cm3、リサーチ法オクタン価が94〜96、蒸気圧が44〜93kPaであって、含酸素化合物を酸素元素換算で1〜1.3質量%含有し、かつイソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン及びノルマルヘキサンの各成分の総和成分1を9〜14容量%並びに2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン及び2,3,4−トリメチルペンタンの各成分の総和成分2を5〜15容量%含み、前記総和成分1/総和成分2の比が0.5〜2.0からなるガソリン組成物。
  2. 総和成分1を9〜14容量%及び総和成分2を10〜15容量%含むことを特徴とする請求項1に記載されたガソリン組成物。
  3. 15℃における密度が0.70〜0.78g/cm3、リサーチ法オクタン価が98〜101、蒸気圧が44〜93kPaであって、含酸素化合物を酸素元素換算で1〜4.5質量%含有し、イソペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン及びノルマルヘキサンの各成分の総和成分1を14〜19容量%並びに2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン及び2,3,4−トリメチルペンタンの各成分の総和成分2を10〜15容量%含み、前記総和成分1/総和成分2の比が0.5〜2.0からなるガソリン組成物。
  4. 含酸素化合物を酸素元素換算で1〜1.3質量%含有させることを特徴とする請求項3に記載されたガソリン組成物。
  5. 含酸素化合物を酸素元素換算で2.5〜4.5質量%含有させることを特徴とする請求項3に記載されたガソリン組成物。
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