JP2007091922A - ガソリン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エタノール含有量が0.1〜3.0容量%、エタノール以外のアルコール含有量がエタノール含有量の0.003倍(容量比)以下、オレフィン含有量が9.0容量%以上であり、かつ、次式で表される蒸気圧抑制指数Crが50以上であるガソリン組成物、
Cr=8×ET+7×C4−0.3×CP−0.3×C7A+3×C9A+1.4×Cn
(式中、ET、C4、CP、C7A、C9A、及びCnは、それぞれエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)含有量(容量%)、炭素数4の炭化水素含有量(容量%)、パラフィン含有量(容量%)、炭素数7の芳香族含有量(容量%)、炭素数9の芳香族含有量(容量%)、及びナフテン含有量(容量%)を示す。)
【選択図】なし
Description
エタノール含有量が0.1〜3.0容量%、エタノール以外のアルコール含有量がエタノール含有量の0.003倍(容量比)以下、オレフィン含有量が9.0容量%以上であり、かつ、次式で表される蒸気圧抑制指数Crが50以上であるガソリン組成物である。
Cr=8×ET+7×C4−0.3×CP−0.3×C7A+3×C9A+1.4×Cn 式中、ET、C4、CP、C7A、C9A、及びCnは、ガソリン組成物全体からエタノール含有量(容量%)を差し引いたものを100容量%としたときの各成分の含有量(容量%)を示し、すなわち、ETはETBE含有量(容量%)、C4は炭素数4の炭化水素の含有量(容量%)、CPはパラフィン含有量(容量%)、C7Aは炭素数7の芳香族の含有量(容量%)、C9Aは炭素数9の芳香族の含有量(容量%)、Cnはナフテン含有量(容量%)をそれぞれ示す。
本発明のガソリン組成物は、さらに好ましくは、37.8℃における蒸気圧(RVP)が65kPa以下、かつ、オレフィン含有量が10.0容量%以上である。
通常、ガソリン組成物を構成するガソリン基材としては、原油を蒸留して得た直留ナフサ、それを水素化脱硫後、蒸留分離することにより得た脱硫直留軽質ナフサ(DS−LG)、及び脱硫直留重質ナフサなどが挙げられる。脱硫直留軽質ナフサを異性化処理して得たオクタン価を向上した異性化ガソリンもガソリン基材として有用である。前記脱硫直留重質ナフサからは、固体改質触媒により改質して改質ガソリンを得ることができ、改質ガソリンをそのまま、蒸気圧を調整する程度で、ガソリン基材として用いることができる。さらに、改質ガソリンを蒸留して得られた特定の炭素数のアロマリッチな改質ガソリン留分(AC7、AC9など)も挙げられる。さらに、軽油から減圧軽油までの石油留分の他、重油間接脱硫装置から得られる間脱軽油、重油直接脱硫装置から得られる直脱重油、常圧残さ油などを接触分解して、通常はシリカアルミナ触媒又はゼオライト触媒を用い、流動床式分解装置で得られた接触分解油(流動接触分解ガソリン)、さらにこれを蒸留して適宜の沸点範囲に調整した留分、例えば、軽質流動接触分解ガソリン(FC−LG)などを用いることもできる。
さらに、上記の炭化水素系のガソリン基材は、ガソリンを調合する際のフレキシビリティを向上するために、あるいはより高品質のガソリン組成物を調製するために、さらに脱硫、異性化、分留などの処理をして、硫黄分、リサーチ法オクタン価(RON)、沸点範囲などを調整して、用いることもできる。この炭化水素系のガソリン基材は、本発明のガソリン組成物を構成する基本的なガソリン成分である。
このガソリンに用いる含酸素化合物は、原料や精製過程で混入する不純物含有量の低い方が望ましく、硫黄分が2質量ppm以下、排気ガスの触媒被毒防止から、好ましくは1質量ppm以下、リード蒸気圧が40kPa以下、ガソリンの蒸気圧低減効果から好ましくは30kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下である。
上記ガソリン基材を、適宜選択し、適宜の割合で配合して、本発明のガソリン組成物を調製することができる。但し、本発明のガソリン組成物において、上記のように、エタノール含有量は0.1〜3.0容量%、エタノール以外のアルコール含有量はエタノール含有量の0.003倍(容量比)以下とする。
さらに、本発明のガソリン組成物は、オレフィン含有量が9.0容量%以上になるよう調整することが必要である。オレフィン含有量が多いと水曇り性が改善されるため、10.0容量%以上が好ましく、さらには12.0容量%以上が好ましい。しかしながら、オレフィン含有量が多くなりすぎると、一般に酸化安定性が悪化し、ガム質を生成して吸気弁の汚れに繋がる傾向がある。このため、オレフィン含有量は25容量%以下が好ましく、さらには20容量%以下が好ましい。
なお、水曇り性は、ガソリン組成物に含まれる水分量に大きく影響される。上記オレフィン含有量との関係は、水分が500〜10,000質量ppm程度含有される一般的な場合に基づく。水曇り防止の観点から水分量は好ましくは500〜6,000ppm、さらに好ましくは500〜3,000ppmである。
Cr=8×ET+7×C4−0.3×CP−0.3×C7A+3×C9A+1.4×Cn
式中の各記号(ET、C4、CP、C7A、C9A、及びCn)は、全組成からエタノールの含有量(容量%)を除く組成物を100容量%としたとき、次の各成分の含有量(容量%)であり、ETはETBE含有量、C4は炭素数4の炭化水素含有量、CPはパラフィン含有量、C7Aは炭素数7の芳香族含有量、C9Aは炭素数9の芳香族含有量、Cnはナフテン含有量をそれぞれ示す。
蒸気圧抑制指数Crは、蒸気圧上昇抑制の観点から、好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上、特に好ましくは62以上である。蒸気圧抑制指数Crを大きくするには、炭素数4の炭化水素含有量(C4)を多くし、パラフィン含有量(CP)と炭素数7の芳香族含有量(C7A)を少なくして、炭素数9の芳香族含有量(C9A)及びナフテン含有量(Cn)を多くする。さらに必要に応じてエチルターシャリブチルエーテル(ETBE)を混合、ないし混合量を多くすることも効果的である。なお、オレフィンは蒸気圧抑制にも有効であるが、水曇り性改善効果を発現する為に9.0容量%以上となるようにすることで、オレフィンの蒸気圧抑制効果は他組成に比べて影響が小さくなる。
本発明のガソリン組成物は、レギュラーガソリン及びプレミアムガソリンのいずれにも用いることができる。レギュラーガソリンとして使用する場合、RONは93〜97が好ましく、燃費(効率)向上効果から好ましくは94以上、さらに好ましくは95以上である。また、プレミアムガソリンとして使用する場合、RONは98〜110が好ましく、燃費向上効果から好ましくは99以上、さらに好ましくは100以上である。RONを高めるとき、通常アロマ分の増加を伴う。これによって、排気ガス性状が悪化し、蒸留性状が重質化して冷機時の運転性が悪化することから105以下が好ましく、特に好ましくは104以下である。
本発明のガソリン組成物は、上記のガソリン基材を適宜選択して、適宜の割合で混合して調製することができ、前記のガソリン組成物の規定を満足しさえすればよい。すなわち、本発明のガソリン組成物の調製に用いるガソリン基材の種類、配合量、配合の順序は特に限定するものではないが、具体的には、例えば次のようにして本発明のガソリン組成物を調製することができる。
ガソリン全体におけるエタノールの含有量は0.1〜3.0容量%、好ましくは0.2〜2.5容量%、さらに好ましくは0.3〜2.0容量%、特に好ましくは0.4〜1.5容量%である。したがって、本発明のガソリン組成物は、比較的純度が高い市販のエタノールを前記の含有量になるように配合して調製すればよい。
また、レギュラーガソリン及びプレミアムガソリンともに、他のガソリン基材として、異性化ガソリンを0〜20容量%、より好ましくは2〜15容量%、イソペンタンを0〜20容量%、好ましくは2〜15容量%、トルエンを0〜40容量%、好ましくは10〜38容量%、より好ましくは20〜37容量%、アルキレートガソリンを0〜30容量%、好ましくは5〜28容量%、より好ましくは10〜25容量%、アスファルトを熱分解したガソリン、あるいはまたナフサを熱分解したガソリンを0〜20容量%、好ましくは1〜15容量%用いることが好ましい。
なお、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、エチルセカンダリーブチルエーテル(ESBE)、ターシャリーアミルエチルエーテル(TAEE)、メタノール等の含酸素ガソリン基材を、RONの向上、資源の有効利用等の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
また、ガソリン基材は、硫黄分が10質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは2質量ppm以下、特には1質量ppm以下であることが好ましい。
さらに、本発明のガソリン組成物には、当業界で公知の燃料油添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計配合量を0.1質量%以下に維持することが好ましい。本発明のガソリン組成物に使用可能な燃料油添加剤として、フェノール系、アミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール又はそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。特に、エタノールが酸化安定性に劣る場合、ガソリンへの混合量により酸化防止剤を適宜添加することが有効である。
また、表2に示すように炭化水素系のガソリン基材を用意し、表3の上部に示す混合割合(容量%)でブレンドして実施例、比較例のエタノール混合前のガソリン基材となるベースガソリンA〜Cを調製した。
また、表4で中国産エタノールを所定比率でベースガソリンに混合し、実施例1〜12、比較例1〜5となるガソリン組成物を調製し、蒸気圧の変化、水曇り性、水分離性などを試験し、評価した。その結果を表4に示す。
なお、用いた表2に示すガソリン基材は、次のように調製された。
いわゆるブタン留分であり、脱硫液化石油ガスを蒸留分離することにより炭素数4の炭化水素を95%以上含有し、ノルマルブタンを73容量%含有する留分を得た。
DS−LG:
脱硫直留軽質ナフサであり、中東系原油のナフサ留分を水素化脱硫後、その軽質分を蒸留分離することにより得た。
ALKG:
アルキレートガソリンであり、ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分を硫酸触媒により反応させて、イソパラフィン分の高い炭化水素を得た。
脱硫軽油及び脱硫重油を固体触媒により流動床式反応装置を用いて分解することによりオレフィン分の高い炭化水素、すなわち流動接触分解ガソリン(FCCG)を得た。
FC−LG:
前記のFCCGを軽質留分と重質留分に蒸留分離して得た軽質留分(FC−LG)である。
トルエン:
99.5%純度の試薬品(和光純薬工業(株)製)を用いた。
前記脱硫直留軽質ナフサ(DS−LG)を得る際に、脱硫後、重質留分(脱硫直留重質ナフサ)が蒸留分離される。この脱硫直留重質ナフサを貴金属系の固体触媒により移動床式反応装置を用いて改質反応させることにより、芳香族分の高い炭化水素、すなわち改質ガソリンを得た。これを蒸留分離することにより炭素数7の芳香族炭化水素を72%以上含有する留分(AC7)を得た。
AC9:
さらに上記の改質ガソリンを蒸留分離して、炭素数11以上の炭化水素が5容量%以下、炭素数9及び10の炭化水素が90容量%以上の重質改質ガソリン留分(AC9)を得た。
ETBE:
95%純度の試薬品(和光純薬工業(株)製)を用いた。
蒸留性状:
JIS K 2254「石油製品−蒸留試験法」により測定した。
蒸気圧(RVP):
JIS K 2258「原油及び燃料油−蒸気圧試験方法−リード法」に準じて、リード法により37.8℃における絶対蒸気圧を測定した。
リサーチ法オクタン価(RON):
JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」のリサーチ法オクタン価試験方法により測定した。
硫黄分:
JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」の微量電量滴定式酸化法に準拠して、小数点以下2桁まで求めた。
密度:
JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法」により測定した。
JIS K 2536「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィー法により測定した。なお、オレフィン、C4、CP、C7A、C9A、及びCnの含有量は、ガスクロマトグラフィーで得られたそれぞれの成分に該当する炭化水素化合物の含有量を積算して求めた。
水分:
JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」のカールフィッシャー式電量滴定法により測定した。
エタノール及び他のアルコール含有量:
GC−MS、GC−FIDにより測定した。測定条件は次の通りである。
(GC−MS測定条件)
GC装置:Agilent社製 5973N型 四重極質量分析計
カラム:Agilent社製 HP-5MS 0.25mm i.d.×30m、df=0.25μM
カラムオーブン温度:40℃で10分保持、10℃/分で昇温し、300℃で15分保持
注入口温度:290℃、インターフェイス温度:290℃
注入方法:スプリット(50:1)注入量:0.1μl
カラム流量:0.7ml/分(ヘリウム)
(GC−FID測定条件)
GC装置:Hewlett Packard社製 6890型 FID検出器付GC
カラム:Spelco社製 PTE-5 0.25mm i.d.×30m、df=0.25μM
カラムオーブン温度:40℃で10分保持、10℃/分で昇温し、300℃で15分保持
注入口温度:290℃、インターフェイス温度:300℃
注入方法:スプリット(50:1)注入量:0.5μl
カラム流量:0.7ml/分(ヘリウム)
FID検出器:水素40ml、空気450ml、メークアップヘリウム及びキャリアー45ml
水曇り試験として、試料の水曇り点を次の様にして求めた。
水曇り点:室温下で100ml有栓三角フラスコに50mlの試料を採取し、さらにマイクロシリンジで蒸留水を0.025ml混入した後に、振とうして水を完全に溶解させる。但し、水が完全に溶解しない場合は、室温で1日静置し底部に堆積した遊離水を除去した。これを空気浴の低温型恒温槽内に静置した後、一定速度で冷却し、試料温度が1℃降下する毎に試料の状態を目視で観察する。試料に初めて白濁状態が観察されたときの試料温度を測定し、これを水曇り点とする。
JIS K2276の項目6に準拠し、室温で試料80ml、水20mlを所定のガラス容器中に入れ、2分間上下に振り混ぜ5分間静置させ、水層の容量変化を読み取った。また、水分離性試験後のガソリン層中に溶解している水分の量をカールフィッシャー法により測定した。これらの結果を表4に併せて示した。なお、水層の容量変化はゼロに近い方が好ましく、またガソリン層の水分量は、水曇り防止から低い方が好ましい。
Claims (3)
- エタノール含有量が0.1〜3.0容量%、エタノール以外のアルコール含有量がエタノール含有量の0.003倍(容量比)以下、オレフィン含有量が9.0容量%以上であり、かつ、次式で表される蒸気圧抑制指数Crが50以上であることを特徴とするガソリン組成物、
Cr=8×ET+7×C4−0.3×CP−0.3×C7A+3×C9A+1.4×Cn
(式中、ET、C4、CP、C7A、C9A、及びCnは、全組成からエタノールの含有量(容量%)を除く組成物を100容量%としたときの各成分の含有量(容量%)を示し、すなわち、それぞれETはエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)含有量(容量%)、C4は炭素数4の炭化水素含有量(容量%)、CPはパラフィン含有量(容量%)、C7Aは炭素数7の芳香族含有量(容量%)、C9Aは炭素数9の芳香族含有量(容量%)、及びCnはナフテン含有量(容量%)を示す。) - エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を0.1〜20.0容量%含有する請求項1に記載のガソリン組成物。
- オレフィン含有量が10.0容量%以上、及び37.8℃における蒸気圧が65kPa以下である請求項1又は2に記載のガソリン組成物。
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