JP3680954B2 - 無鉛ガソリン基材 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガソリンエンジン用燃料油に用いられる新規なガソリン基材に関し、さらに詳しくは、オクタン価が高く、ベンゼン含有量が少ない上記ガソリン基材に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
オクタン価向上剤としての鉛化合物添加規制以降、無鉛高オクタン価ガソリンの開発が望まれており、これについて種々の提言がなされている。特に、近年、高オクタン価基材として、アルコール,エーテルなどの含酸素化合物を用いたガソリンに関する提案が見られるが、これら含酸素化合物はガソリン中においては、その占める割合は小さく、燃料油として使用する際は依然としてナフサ接触改質装置からの留出油である改質ガソリンの使用が必要とされている。
しかしながら、上記ナフサ接触改質装置で高オクタン価のガソリン基材を製造するには、通常反応塔温度を高くする必要があるが、反応塔温度を高くすることは、一般に反応触媒の寿命の短縮、副生留分等の発生量の増加などに繋がり好ましくない。また、このようなナフサ接触改質装置における脱水素反応、環化反応等により、改質ガソリン中にはベンゼン等の芳香族分や低オクタン価の飽和炭化水素分などが存在しているが、上記ベンゼン等の芳香族分については人体に有害である点から、また上記飽和炭化水素分についてはオクタン価向上の点から、これらを低減することが望まれている。
【0003】
このような状況下で、本発明者等は基材として用いられる改質ガソリンの各成分におけるオクタン価分布に着目し検討を行い、改質ガソリンのうち炭素数7又は8の飽和炭化水素分にオクタン価の低い成分が含まれ、一方で高沸点側に高いオクタン価を有する成分が存在することを見出した。
本発明は上記知見に基づいてなし遂げられたものである。即ち、本発明は、高いオクタン価を有し、ベンゼン含有量の低いガソリン基材を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究の結果、上記改質ガソリンのオクタン価の低い成分を含む留分を除いた残りの留分を高オクタン価基材としてガソリンに用いることにより、上記本発明の目的を効果的に達成できることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、ナフサの接触改質法により得られる改質ガソリンを、軽質改質ガソリン、トルエンを0.5〜3.0容量%含有する中質改質ガソリン及び重質改質ガソリンに蒸留分離した後、上記軽質改質ガソリンと重質改質ガソリンとを混合してなる、ベンゼンを0.5容量%以下含有する無鉛ガソリン基材、を提供するものである。
【0005】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の無鉛ガソリン基材は、ナフサの接触改質法により得られる改質ガソリンを、特定の条件下で軽質改質ガソリン(L・PG)、中質改質ガソリン(M・PG)及び重質改質ガソリン(H・PG)に蒸留分離した後、上記L・PGとH・PGとを混合してなるものである。
本発明において、上記接触改質法により得られる改質ガソリンとは、分留範囲約40〜230℃の重質ナフサを水素気流中で、高温、高圧下で異性化、脱水素、環化、水素化分解などの改質反応を行わせしめ得られるものであり、本発明においては、その目的からリサーチ法オクタン価(RON)93〜98、炭素数7の飽和炭化水素分が10〜20容量%、更にベンゼン含有量が3〜6容量%のものを使用することが好ましい。
【0006】
上記接触改質法に用いられる反応触媒としては、白金系又は白金にレニウム、イリジウム、ゲルマニウムなどの金属を加えたバイメタリック触媒がある。反応は通常、反応温度450〜540℃、反応圧力7〜50kg/cm2 程度の条件で行うことができる。主な接触改質プロセスとしては、プラットフォーミング法、ウルトラフォーミング法、レニフォーミング法、パワーフォーミング法、マグナフォーミング法、フードリフォーミング法等が挙げられる。
【0007】
前述のように、本発明は上記改質ガソリンをL・PG,M・PG及びH・PGの3つの留分に分け、L・PGとH・PGとを混合して高オクタン価基材(L+H)PGを得るものであるが、この際、M・PGにはトルエンを0.5〜3.0容量%含有することが必要である。
即ち、改質ガソリンにはトルエン,キシレンなどの高オクタン価成分が多く含まれているが、炭素数7又は8の飽和炭化水素分にオクタン価の低い成分が含まれ、一方で高沸点側にはリサーチ法オクタン価が100以上の高いオクタン価を有する芳香族分が集中している。このことから、改質ガソリンの高沸点留分(H・PG)を高オクタン価基材として用いることも可能であるが、H・PGのみでは沸点が高いという欠点を有している。従って、本発明においては、上記オクタン価の低い成分を含む中間留分(M・PG)を除いた残りの留分、即ち(L+H)PGを高オクタン価基材として使用することを見出したものである。
【0008】
上記高オクタン価基材〔(L+H)PG〕は、具体的には、先ず前記改質ガソリンを初留点から沸点80℃、好ましくは70℃迄の留分、即ち軽質改質ガソリン(L・PG)とその他の留分に分留し、次いでL・PG以外の他の留分を、更に中質改質ガソリン(M・PG)と重質改質ガソリン(H・PG)に分留した後、得られたL・PGとH・PGを混合することにより高オクタン価ガソリンを得るものであるが、本発明においては、上記M・PGとH・PGへの分留は、M・PG中のトルエン含有量が0.5〜3.0重量%の値となるような条件で行われる。M・PG中のトルエン含有量が0.5容量%未満である場合は、オクタン価の低い炭素数7及び8の飽和炭化水素の抜き出し濃度が少なくなり好ましくない。本発明においては、上記の理由からM・PG中のトルエン含有量は0.5〜3.0容量%の範囲にあることが好ましい。
【0009】
このような方法により得られる(L+H)PGは元の改質ガソリンに比較して、リサーチ法オクタン価が5以上高いものであり、またベンゼンを0.5容量%以下の低い値で含有するものである。
上記改質ガソリンのL・PGとその他の留分への分留は、例えば塔頂温度76〜89℃、圧力2.4〜2.5kg/cm2の条件下で行うことができる。また、上記L・PG以外のその他の留分をM・PGとH・PGに分留する際には、上記のようにM・PG中のトルエン含有量が0.5〜3.0容量%となるような条件で行えばよいが、具体的にはその分留は、好ましくは温度100〜104℃、圧力0.77〜0.83kg/cm2の条件下で行うことができる。上記条件範囲を逸脱する場合は、M・PG中のトルエン含有量が所定の値を超える場合がある。
【0010】
本発明において、改質ガソリンから除かれる上記M・PGは、トルエンを0.5〜3.0容量%含有するものであるが、その際更にベンゼン回収率を95容量%以上含有することが好ましい。即ち、M・PG中にベンゼンを上記量含有することにより、得られるガソリン基材のベンゼン含有量を著しく低減することができ、また、この結果、オクタン価の低い炭素数7又は8の飽和炭化水素分を多量に抜き出すことができ、高オクタン価のガソリン基材を得ることが可能となる。
また、本発明におけるM・PGには、上記成分に更に炭素数5又は6の飽和炭化水素分及びその他の成分が本発明の目的を阻害しない範囲で含有されていることも任意である。
【0011】
本発明の無鉛ガソリン基材は、原油の常圧蒸留によるナフサ留分を分留して得られる軽質ナフサ,重質ナフサ、これらを水素化精製して得られる脱硫軽質ナフサ、脱硫重質ナフサ、流動接触分解法,水素化分解法などを用いて得られる分解ガソリン、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加(アルキル化)することにより得られるアルキレート、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレートまたはこれらの特定沸点範囲の留分や芳香族炭化水素、メチル・ターシャリー・ブチルエーテル(MTBE)などの基材を配合することにより、無鉛ガソリンとして調製することができる。
【0012】
上記無鉛ガソリンには、必要に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。
このような添加剤としては、例えばメチルターシャリーアミルエーテル(MTAE),エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE),エチルターシャリーアミルエーテル(ETAE)などの含酸素化合物、フェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド,ポリアルキルアミン,ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール及びエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩,高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸のエステルなどの錆止剤,キリザニン,クマリンなどの識別剤,天然精油,合成香料などの着臭剤,アゾ染料などの着色剤など公知の燃料油添加剤が挙げられ、これらを一種あるいは二種以上添加することができる。これらの添加剤の添加量は状況に応じて適宜選定することができる。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、燃料油の性状及びその成分は次の方法に従って求めた。
(1)オクタン価(RON)
JIS K−2280に準拠して求めた。
(2)成分組成
ガスクロマトグラフィー法によるガソリン全組成分析(石油学会法JPI−5S−90に準拠)により燃料油中の各炭化水素の含有量を求める。値は各炭化水素の密度を用いて容量%に換算した。この分析法による各成分は沸点順に出てくる。
【0014】
実施例1及び比較例1
第1表に示す性状及び成分を有する、接触改質法により得られた改質ガソリン(PG)を、第1分留塔において温度82℃、圧力 2.4kg/cm2 の条件でL・PGとその他の留分に分留し、更に得られたL・PG以外の留分を第2分留塔にて第1表に示す条件でM・PG中のトルエン含有量が第1表に示す値になるように分留し、第1表に示す性状及び成分を有するM・PGとH・PGを得た。次いで、上記得られたL・PGとH・PGを混合してガソリン基材(L+H)PGを得た。得られた(L+H)PGの性状及び成分を調べた結果を第1表に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0003680954
【0016】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、改質ガソリンから特定成分組成を有する中質改質ガソリン留分を抜き出し、残りの軽質改質ガソリンと重質改質ガソリンとを混合することにより高いオクタン価を有し、ベンゼン含有量の低いガソリン基材を提供することができる。また、上記ガソリン基材を用いることにより、高オクタン価で、ベンゼン排出量を低減しうる無鉛ガソリンを得ることができる。

Claims (2)

  1. ナフサの接触改質法により得られる改質ガソリンを、軽質改質ガソリン、トルエンを0.5〜3.0容量%含有する中質改質ガソリン及び重質改質ガソリンに蒸留分離した後、上記軽質改質ガソリンと重質改質ガソリンとを混合してなる、ベンゼンを0.5容量%以下含有する無鉛ガソリン基材。
  2. ナフサの接触改質法により得られる改質ガソリンを、軽質改質ガソリンとその他の留分とに分留し、次いで上記軽質改質ガソリン以外の他の留分を、更にトルエンを0.5〜3.0容量%含有する中質改質ガソリンと重質改質ガソリンとに分留した後、得られた軽質改質ガソリンと重質改質ガソリンを混合してなる、ベンゼンを0.5容量%以下含有する無鉛ガソリン基材。
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