JP3661787B2 - ガソリンエンジン用燃料油 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規なガソリンエンジン用燃料油に関する。さらに詳しくは、自動車の運転性能に優れ、かつ低公害性の無鉛高オクタン価ガソリンエンジン用燃料油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オクタン価向上剤として四エチル鉛などの鉛化合物を添加することが規制されて以来、無鉛高オクタン価ガソリンの開発が積極的になされ、種々の無鉛高オクタン価ガソリンが提案され、上市されてきた。さらに、最近、高オクタン価基材として、アルコール類やエーテル類などの含酸素化合物を添加した無鉛高オクタン価ガソリンが提案されている。
このような高オクタン価ガソリンとしては、例えば接触改質ガソリン及び接触分解ガソリンに、あるいはこれらにアルキレートを配合したものに、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)を添加してなるガソリン(特開平3−93894号公報)、特定の蒸留性状及び成分組成を有するガソリン基材に、MTBEを配合してなるガソリン(特開平3−263493号公報)、ブタン−ブテン留分,脂肪族炭化水素成分及び芳香族炭化水素成分を一定の割合で配合した基材油に、MTBEを添加してなるリサーチ法オクタン価105以上の燃料油組成物(特開平3−229796号公報)が知られている。
しかしながら、ガソリンのオクタン価を上げるためにMTBEの添加量を増やすと、密度低下による燃費の低下や排気ガス中のNOxが増加する。また、ガソリンの主要基材の一つである接触分解ガソリンは、他の基材に比べて硫黄分が多く、これが排気ガス中のSOx増加をもたらす。またガソリン中の硫黄分が多いと、触媒の被毒によって三元触媒の活性が低下し、その結果排気ガス中のNOxが増加することとなる。
このように、今までに提案されているMTBEを配合した無鉛高オクタン価ガソリンは、いずれもオクタン価や運転性の向上を目指すものであって、排気ガス中のNOxやSOxの量の低減が不充分であって、公害防止の観点からみると必ずしも満足すべきものではなかった。
また、ガソリン中にベンゼンが多いとガソリン自体が人体に悪影響を及ぼすうえ、排気ガス中にベンゼン分が多くなり、環境汚染をもたらすなどの問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、高速耐ノック性,加速性,燃焼性運転性などの自動車の運転性能に優れるとともに、排気ガス中のベンゼン分や、NOx,SOxなどの少ない低公害性で、かつ無鉛高オクタン価のガソリンエンジン用燃料油を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、運転性能に優れ、かつ低公害性の無鉛高オクタン価ガソリンエンジン用燃料油を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の蒸留性状を有し、各留分のリサーチ法オクタン価が70以上であり、かつ特定の式で表される排気ガス指数、ベンゼン含有量及び硫黄分が特定の値以下であって、リサーチ法オクタン価が89〜92の範囲にあるガソリンエンジン用燃料油が、その目的に適合しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(1)沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,及び沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%であること、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価が70以上であること、(3)式(I)
Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.C9 +A+0.005〔100−(BZ+TO+EB+XY+C9 +A)〕
・・・(I)
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルべンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9 +Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下であること、(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、かつ硫黄分が30ppm以下であること(5)リサーチ法オクタン価が89〜92であること、及び(6)ガソリン基材の一つとして、第1スプリッター及び第2スプリッターを用いて、改質ガソリンからベンゼン留分を取り除くことにより得られた、ベンゼン含有量が0〜0.5容量%の脱ベンゼン改質ガソリンを用いることを特徴とするガソリンエンジン用燃料油を提供するものである。
【0005】
本発明の燃料油は、(1)蒸留性状として、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,及び沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%である。沸点25℃以上75℃未満の留分,沸点75℃以上125℃未満の留分及び沸点125℃以上175℃未満の留分が、それぞれ上記の範囲にあれば、運転性及び加速性が優れたものとなる。いずれか一つでも上記範囲を逸脱すると運転性が低下したり、加速性が低下したりする。
【0006】
本発明の燃料油においては、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価(RONと略記する場合がある。)が70以上、好ましくは75以上である。この値が70未満では、バランスのよいアンチノック性が得られない。
なお、上記蒸留性状は後述のようにガスクロマトグラフ法により求め、また各留分のRONは後述のようにこのガスクロマトグラフ法の結果より求めた。
さらに、(3)式(I)
Figure 0003661787
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルべンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9 +Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3.5以下である。該指数Yは、燃料油がエンジンで燃焼した際に生じる排気炭化水素中に含まれるベンゼンの割合を示すものであり、各係数は、排気炭化水素中のベンゼン含有量(重量%)/燃料油中の各成分の含有量(容量%)の値である。すなわち、この値はベンゼンが最も大きく、次いでモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼンと、ベンゼン環の置換基が多くなるほど小さくなる。また、パラフィン及びオレフィンはそれぞれ0.005と極めて小さい。
〔100−(BZ+TO+EB+XY+C9 +A)〕は燃料油中の芳香族分以外の成分を表す。上記式(I)で表される排気ガス指数Yが5を超えると、排気ガスの低公害化が充分に達せられない。なお、各芳香族分の含有量は、ガスクロマトグラフ法による燃料油の全組成分析(石油学会法JPI−5S−90に準拠)から算出した値である。
【0007】
本発明の燃料油においては、(4)ベンゼン含有量が1.0容量%、好ましくは0.5容量%以下であり、かつ硫黄分が30ppm以下である。ベンゼン含有量が1.0容量%を超えると、燃料油自体が人体に悪影響を及ぼしたり、また排気ガス中のベンゼン含有量が多くなって、環境汚染をもたらすおそれが生じる。硫黄分が30ppmを超えると、排気ガス中のSOxが増加するとともに、触媒の被毒によって三元触媒の活性が低下し、その結果排気ガス中のNOxも増加することとなる。なお、硫黄分の含有量は、JIS K−2541に従って微量電量滴定酸化法により測定した値である。
さらに、本発明の燃料油においては、(5)リサーチ法オクタン価が89〜92、好ましくは90〜91の範囲にある。
【0008】
本発明の燃料油は、上記(1)〜(5)の条件を満たすものであればよく、その起源については特に制限はないが、例えば次に示すガソリン基材を用いて、該(1)〜(5)の条件を満たすように適宜配合することにより、調製することができる。該ガソリン基材としては、例えば原油の常圧蒸留によるナフサ留分を分留して得られる軽質ナフサ、接触分解法や水素化分解法などで得られる分解ガソリン、接触改質法などで得られる改質ガソリンから後述の方法でベンゼン留分を取り除いた残りの留分、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加(アルキル化)することにより得られるアルキレート、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレート、脱n−パラフィン油、及びこれらの特定範囲の留分や芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0009】
上記改質ガソリン(ベンゼン4〜10容量%)中のベンゼン量低減化方法としては、例えば、(イ)接触改質装置の運転条件の変更、(ロ)原料の脱硫重質ナフサ中のC6留分の蒸留による除去方法、(ハ)改質ガソリンからベンゼン留分を蒸留により取り除く方法、(ニ)触媒反応により、改質ガソリン中のベンゼン分を水素化処理してシクロヘキサン等に転化し、更にこれを異性化装置に導いて高オクタン価の異性体に異性化処理する方法、(ホ)触媒反応により、改質ガソリン中のベンゼン分をアルキル化し、高オクタン価のアルキル芳香族分に転化する方法、及び(ヘ)上記(ロ)の方法で除去分離したベンゼン分を、エチレン等を多量に含有するFCC(流動接解分解装置)オフガスによりアルキル化して、高オクタン価のアルキル芳香族分に転化する方法などがある。
上記(イ)の方法は、反応温度を低くする方法であるが、原料の脱硫重質ナフサ中のC6ナフテンの脱水素反応が律速であり、改質ガソリン中のベンゼン含有量を4容量%以下にするのは困難であり、また、(ロ)の方法では、原料の脱硫重質ナフサ中の軽質留分(C6が主体)を45容量%程度カットしても、改質ガソリン中のベンゼン含有量は1.5容量%程度が限界である。これは、炭素数7以上の炭化水素からもベンゼンが生成するためである。したがって、改質ガソリンのベンゼン量低減化方法としては、上記(ハ)の方法を用いる。この方法は、通常第1スプリッター及び第2スプリッターを用いて、改質ガソリンからベンゼン留分を取り除く方法であり、得られる脱ベンゼン改質ガソリン中のベンゼン含有量は0〜0.5容量%程度にまで低下する。また、ベンゼン分は、精製してベンゼン製品化やシクロヘキサン,スチレンモノマー等の原料化等、石油化学原料用として利用することができる。さらに、このベンゼンをアルキル化すればトルエン,キシレン等のアルキルベンゼンに転化することができる。また、シクロヘキサンを異性化すればメチルシクロペンタンに転化することができる。
上記(ニ)及び(ホ)の方法は、触媒反応のために更に新たな処理装置の設置が必要となるが、抽出したベンゼン分の利用方策がない場合、及び該装置から得られる新規留分が、ガソリン製造基材や石油化学原料用等として利用可能な場合においては、上記(ハ)の方法に比較して更に効率的なベンゼン低減方法となり得る。
その他に、ベンゼン留分の水素化処理法やベンゼン抽出法などがある。ここでベンゼン留分の水素化処理法では、まずベンゼン先駆物質を含む留分を蒸留により分離し、残りの留分を接触改質装置にかけ、生成したリフォーメートはスプリッターへ導入してベンゼン留分を分離し、これを水素処理飽和化する。さらに三成分を再びブレンドして混合リフォーメートにする。一方、ベンゼン抽出法では、水素化脱硫ナフサを蒸留して、i−C5〜n−C6留分を分離し、70℃+留分を接触改質装置にかけ、スプリッターでC5留分,ベンゼントルエン留分(BT留分)及びリフォーメート留分に分離する。このうちBT留分は抽出装置へ導入し、ベンゼン(B),トルエン(T)及びラフィネートに分離する。ベンゼンは石油化学原料に利用し、リフォーメート高沸点留分はそのままC5留分,トルエン及びラフィネートと混合して混合リフォーメートにする。
【0010】
次に、上記▲4▼の方法について、更に詳細に説明する。この方法では、改質ガソリン(リフォーメート)を蒸留してC5,C6留分を含むライトリフォーメート留分をカットした後、これを水素化処理して留分中のベンゼンをシクロヘキサンに転化し、更にこのシクロヘキサンを異性化装置に導入して、メチルシクロペンタン及びn−ヘキサンに開環するとともに、n−ヘキサンは更に高オクタン価の異性体に変換する。この方法は、これらの諸反応を二塔式あるいは一塔式で行う二種のプロセスに大別することができる。
このうち二塔式のプロセスの概略は以下の通りである。まず、原料油と水素が熱交換器で予熱された後、加熱炉で昇温され、水素化反応塔(第1反応塔)へ導入される。水素化反応塔は発熱反応であるため触媒層は水素ガスにより冷却され、反応温度が制御される。温度上昇を抑えることにより水素化分解が抑制されるので、液収率を上げることができる。水素化反応塔から出た処理油は、ゼオライト系異性化触媒が充填されている異性化反応塔(第2反応塔)へ導入される。この第2反応塔は、第1反応塔とほぼ同じ温度で運転されることから、何ら熱交換器を必要としない。この異性化反応塔を出た反応生成物は、分離塔へ送られ、気・液分離される。水素は反応塔へリサイクルされ、液相部はスタビライザーへ送られ、オフガスが分離される。
次に、一塔式のプロセスは、水素化反応と異性化反応を同一反応塔で実施するために、温度制御は極めて細心の注意を払って行われる。冷却水素は反応塔の各段へ供給される。下流部分は上記二塔式のプロセスとほぼ同じ構成になっている。いずれの方式も通常の異性化反応に適用される反応条件(温度,圧力)は、温和な条件で行われ、いずれも接触改質において発生した水素を使用する。
上記▲4▼の方法では、二塔式や一塔式のプロセスのいずれを問わず、そこで使用される水素化反応触媒は、白金/アルミナ系であり、高活性でしかも安定性があり、液収率が高い。異性化反応触媒は、ゼオライトをベースにした触媒であり、水素化反応とほぼ同じ温度で通油されることから、熱交換や冷却システムが簡素化され、建設費が安価であって経済的であり、また温和な運転条件により、触媒寿命を延ばすことも可能である。この運転条件の一例を挙げれば、水素化反応を圧力29.6atm(絶対圧),入口温度180〜250℃,液時空間速度(LHSV)4〜6hr-1で行い、異性化反応を圧力29.6atm(絶対圧),入口温度240〜270℃,液時空間速度(LHSV)1〜3hr-1で行うことができる。
なお、単にベンゼン分を低減化するだけであれば、ベンゼン濃度30容量%以下のC5〜C6留分を各種の貴金属触媒を使用して水素化処理することによって、効率よくシクロヘキサンに転化でき、副反応を極力抑制することができる。
【0011】
続いて、上記▲6▼の方法について、更に詳細に説明する。この方法は、下記の方法Iと方法IIの二つに大別される。
まず方法Iでは、はじめにC5以上のリフォーメート留分を蒸留によってC5留分,ベンゼンを含む留分およびC7 +重質リフォーメートの三留分に分離する。FCCオフガスはアミン洗浄して硫化水素を除去した後、直ちにベンゼン低減化装置(例えば、モービル社製,MBR装置)へ導入する。FCCオフガスは大部分がエチレンであるが、5〜10%程度のプロピレンを含有する。なお、ベンゼン低減化装置にはZSM−5触媒が使用され、流動床式反応塔とスリップストリーム型再生装置が組合されている。導入される希釈ベンゼンの半分がアルキル化され、高オクタン価のアルキルベンゼンが生成される。希釈ベンゼンのアルキル化はエチレンの利用に好適であり、C5〜C7オレフィンが共存しても問題はない。ベンゼンのアルキル化により、ベンゼンの減少に対してオクタン価の増加が認められる。
次に方法IIでは、ベンゼン前駆体である環状C6化合物が接触改質装置へ供給されると、シクロヘキサンやメチルシクロペンタンからベンゼンが合成される。従って、ナフサスプリッターを事前に配置して、ベンゼン前駆体をサイドカットする必要がある。この方法IIでは、サイドカットした環状C6化合物が接触改質装置をバイパスし、ベンゼン低減化装置へ導入される。大部分の環状C6留分が改質用原料から除かれるため、低オクタン価のライトリフォーメートが若干少なくなり、C5 +リフォーメートベンゼンが約10容量%まで増加する。ライトリフォーメートもまたストリッパーで分離されベンゼン低減化装置へ導入される。この方法では接触改質装置から生成する水素量が少なくなるが、この減少量はベンゼンを飽和化するプロセスで使用される水素量より少ない。環状C6留分をバイパスさせることにより、リフォーメートベンゼンは1/2から3/4少なくなり、残留ベンゼンはベンゼン低減化装置でFCCオレフィンガスによりアルキル化される。同時にベンゼン低減化装置は極端に低オクタン価のC6 +直鎖パラフィンを分解し、環状C6留分やリフォーメートベンゼンとともに留出される。直鎖C6留分はプロパン,ブタンおよびライトオレフィンに分解される。生成したライトオレフィンの大部分はガソリンに転化される。FCCオフガスのエチレンおよびプロピレンのエチルベンゼンやクメンへの転化率は高く、ベンゼンのアルキル化およびC6 +パラフィンの分解により、リサーチおよびモーターオクタン価が大きく増加する。この方法によれば、FCCオフガス燃料の過剰生成、あるいはFCCガスプラントのプロピレン量の不足等の束縛条件を緩和することができるので、これを採用することにより、FCCの運転条件をより苛酷にすることが可能である。
さらに、これらの変法として、ベンゼンリッチ留分にライトオレフィン(例えばプロピレン)を混合通油して反応させるベンゼンのアルキル化プロセスを、既設固定床リフォーマーのセパレーターとスタビライザーの間に組み込むことによっても、ベンゼンの低減化を計ることができる。
【0012】
また、FCC(流動接触分解装置)ガソリン(ベンゼン0.9〜1.6容量%)、軽質FCCガソリン(ベンゼン1〜2容量%)及び脱硫重質ナフサ(ベンゼン0.9〜1.3容量%)は、通常経済性の点から脱ベンゼン処理せずに使用されるが、もちろん脱ベンゼン処理して使用してもよい。この場合、FCCガソリンのベンゼン量低減化は、例えば供給原料や運転条件を制御することによって行うことができ、また、軽質FCCガソリンのベンゼン量低減化は、FCCガソリンの分留時のカット温度の制御によって行うことができる。
また、脱硫重質ナフサのベンゼン量低減化はナフテン系原油の混合量を減らすことによって行うことができる。
【0013】
次に、燃料油中の硫黄分を30ppm以下に抑えるためには、ガソリン基材の中で特に硫黄分の多い接触分解ガソリン中の硫黄分を低下させることが肝要である。そのためには、接触分解の原料油を水添処理によって脱硫して、接触分解装置に通油し、さらには生産された接触分解ガソリンをマーロックス装置などの脱硫装置に導入して脱硫を行うことが好ましい。
【0014】
本発明の燃料油は、前記(1)〜(5)の条件を満たすとともに、通常、次の組成及び性状を有している。すなわち、通常MTBEやメチルターシャリーアミルエーテル(MTAE),エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE),エチルターシャリーアミルエーテル(ETAE)などの含酸素化合物含有量が0〜15容量%、好ましくは2〜15容量%、より好ましくは4〜10容量%、芳香族分含有量が10〜40容量%、好ましくは15〜35容量%であって、炭素数9以上の芳香族分含有量が10容量%以下、好ましくは8容量%以下、オレフィン分含有量2〜30容量%、好ましくは5〜30容量%で、また、〔リサーチ法オクタン価(RON)+モーター法オクタン価(MON)〕/2の値が85以上で、かつリード蒸気圧が0.4〜0.8kg/cm2である。
【0015】
上記含酸素化合物は、オクタン価を向上させる作用を有し、その含有量が15容量%を超えると、エンジン排ガス中のNOxが増加する傾向がみられる。また、芳香族分含有量が10容量%未満では、得られる燃料油のオクタン価が充分に向上せず、オクタン価を向上させるために該含酸素化合物を多量に加えた場合、上述したように排気ガス中のNOxが増加するなど好ましくない事態を生じる。逆に40容量%を超えると燃料系統に使用されている各種機器のゴムが劣化したり、排気ガス中の有害成分が増加する傾向がみられる。さらに、この芳香族分のうち、炭素数9以上の芳香族分含有量が10容量%を超えると、中間気温(15〜25℃)での運転性、特に加速応答性が低下する傾向がみられる。なお、芳香族分含有量はJIS K−2536に準じて測定した値であり、また、炭素数9以上の芳香族分含有量は、ガスクロマトグラフによるガソリンの全組成分析(石油学会法JPI−5S−90に準拠)から算出した値である。
【0016】
次に、オレフィン分含有量が上記範囲を逸脱すると、燃料油の安定性の面で問題が生じる。なお、ここでオレフィン分は、通常炭素数4〜11のオレフィンを主成分とするものである。また、このオレフィン分含有量はJIS K−2536に準じて測定した値である。
(RON+MON)/2の値が85未満では、高走耐ノック性が不充分となるおそれがある。
また、燃料油中における炭素数9以上の芳香族分を10容量%以下に抑制するためには、各ガソリン基材について、ガスクロマトグラフで全組成分析を行い、炭素数9以上の芳香族分が10容量%以下になるようにすればよい。この際、当然に炭素数9以上の芳香族分以外の成分組成や性状(例えば、RON,蒸留性状,芳香族分及びオレフィン分など)についても、適正な範囲に入るように、上記全組成分析から判断すべきである。ここで、炭素数9以上の芳香族分を10容量%以下になるように調節するための具体的方法は、様々に考えられるが、下記の(a)〜(e)の方法を好適なものとして挙げることができる。
【0017】
(a)接触改質ガソリン中の炭素数9以上の芳香族分の含有量を下げること。このためには、(i) 原料重質ナフサから重質分を除いて軽質化する、(ii)改質ガソリンから重質分を除去する、(iii) 接触改質装置の運転条件を調整するなどの手法がある。
(b)燃料油を調製するにあたって、接触改質ガソリンの混合割合を下げること。
(c)接触分解ガソリンから重質分を除いて軽質化すること。
(d)改質ガソリンから石油化学原料としてのBTX(ベンゼン,トルエン,キシレン)を抜き取った後の炭素数9以上の芳香族分を使用しないこと。
(e)改質ガソリンの代わりにトルエンを使用すること。
【0018】
本発明の燃料油には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。
このような添加剤としては、例えばフェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド,ポリアルキルアミン,ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール及びエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩,高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルこはく酸のエステルなどの錆止め剤、キリザニン,クマリンなどの識別剤、天然精油,合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など、公知の燃料油添加剤が挙げられ、これらを一種あるいは二種以上添加することができる。また、これらの添加剤の添加量は状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は添加剤の合計量として燃料油の0.1重量%以下とすることが望ましい。
また、2サイクルエンジン用として、通常実施されている方法により、エンジンオイルを混合して利用することも可能である。
【0019】
【実施例】
更に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
なお、燃料油の性状及び性能は次の方法に従って求めた。
〔燃料油の性状〕
(1)オクタン価
JIS K−2280に準拠して測定する。
(2)硫黄分
JIS K−2541に従った微量電量滴定酸化法により測定する。
(3)蒸留性状(1)
JIS K−2254に準拠して求める。
(4)全組成ガスクロマトグラフ法
石油学会法JPI−5S−90に準拠して、燃料油中の各炭化水素含有量を求める。値は重量%に近いので、各炭化水素密度から容量%に換算する。この分析法による各成分は沸点順に出てくる。
(イ)蒸留性状(2)
沸点25℃未満に相当する各成分の量(容量%)を積算して算出する。同様にして、各温度範囲に相当する各成分の量を積算して算出し、蒸留性状(2)を求める。
(ロ)各留分のRON
沸点25℃未満に相当する各成分のRONと量(容量%)との積を積算し、これを積算量(容量%)で除して、沸点25℃未満の留分のRONを求める。同様にして、各温度範囲の留分のRONを求める。
なお、一般に混合物のRONは、単純積算RONよりも高い値を示す。この差はブレンドボーナス(又はオクタン価ボーナス)と呼ぶが、ここではそれを無視した。
(ハ)ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,キシレン,炭素数9以上の芳香族分含有量
該ガスクロ分析値を用いる。
(5)組成
JIS K−2536に準じて測定する。
【0020】
〔燃料油の性能〕
(1)中間気温での運転性
EFI仕様の自動車用エンジンを用い、室温(20℃)にて、エンジン回転数700rpmから加速し、2500rpmに到達するまでの時間(秒)で評価した。この時間が短いほど燃料の加速応答性が良好である。なお、ここでは実施例1の結果を基準にして、到達時間を%で表示した。
(2)排気ガス中のベンゼン濃度
TRIAS23−1991の「ガソリン自動車アイドリング、11モード排出ガス試験法」に従い、かつSAE Paper 920320に記載の方法に準拠して排ガス中のベンゼンを分析した。
【0021】
実施例1及び比較例1〜4
第1表に示す性状のガソリン基材を、第2表に示す割合で混合して、燃料油を調製し、その性状及び性能を求めた。その結果を第2表に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003661787
【0023】
【表2】
Figure 0003661787
【0024】
【表3】
Figure 0003661787
【0025】
【発明の効果】
本発明のガソリンエンジン用燃料油は、高速耐ノック性,加速性,燃焼性運転性などの自動車の運転性能に優れるとともに、排気ガス中のベンゼン分や、NOx、SOxなどの少ない低公害性で、かつ無鉛高オクタン価のガソリンである。

Claims (1)

  1. (1)沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,及び沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%であること、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価が70以上であること、(3)式(I)
    Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.03C9 +A+0.005〔100−(BZ+TO+EB+XY+C9 +A)〕
    ・・・(I)
    〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルべンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9 +Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
    で表される排気ガス指数Yが5以下であること、(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、かつ硫黄分が30ppm以下であること(5)リサーチ法オクタン価が89〜92であること、及び(6)ガソリン基材の一つとして、第1スプリッター及び第2スプリッターを用いて、改質ガソリンからベンゼン留分を取り除くことにより得られた、ベンゼン含有量が0〜0.5容量%の脱ベンゼン改質ガソリンを用いることを特徴とするガソリンエンジン用燃料油。
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