JP4917889B2 - アミロイド関連疾患を処置するための組成物及びその使用方法 - Google Patents

アミロイド関連疾患を処置するための組成物及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、アミロイド原繊維形成を予防するための化合物、それを含有する組成物、及びそれを使用する方法に関する。特に、本発明は、アミロイド関連疾患の処置のためのフェノールレッドの如き高分子芳香族化合物及びその新規な誘導体の使用に関する。
アミロイド物質沈着(これはまたアミロイド斑形成とも呼ばれる)は、アルツハイマー病、プリオンに関連した脳障害、II型糖尿病、家族性アミロイドーシスおよび軽鎖アミロイドーシスを含む、関連性のない様々な病理学的状態の中心的な特徴である。
アミロイド物質は、直径が約80Å〜100Åである一定しない長さの堅い非分岐タンパク質性原繊維の密な網状構造から構成される。アミロイド原繊維は、その長軸が原繊維の長軸に直交する逆平行β−プリーツシートに配置されたポリペプチド鎖のコア構造を含有する[Both他(1997)、Nature、385:787〜93;Glenner(1980)、N.Eng.J.Med.、302:1283〜92]。
約20個のアミロイド原繊維タンパク質がこれまでにインビボで同定され、特異的な疾患と相関づけられている。これらのタンパク質は互いにアミノ酸配列相同性を全く有さないか又はほとんど有していないが、アミロイド原繊維のコア構造は本質的には同じである。アミロイド原繊維のこの共通するコア構造、およびアミロイド沈着物における共通物質の存在は、アミロイド物質の特定の形態を特徴づけるデータが、アミロイド物質の他の形態にもまた関係することがあり、従って、II型糖尿病、アルツハイマー痴呆、またはプリオンに関連した脳障害などのアミロイド関連疾患に対する薬物を開発するための鋳型設計において具体化され得ることを示唆している。
さらに、アミロイド沈着物は、インビボでは不活性ではないようであり、むしろ、代謝回転の動的状態にあり、そして、原繊維の形成が停止される場合、退行することさえもあり得る[Gillmore他(1997)、Br.J.Haematol.、99:245〜56]。
従って、アミロイドポリペプチド産生を阻害するか、またはアミロイドーシスを阻害するために設計された治療は、アミロイド関連疾患を処置するために有用であり得る。
アミロイドポリペプチド産生の阻害−アミロイドポリペプチドの産生の直接的な阻害が、例えば、ヒト小島アミロイドポリペプチドのメッセンジャーRNA(mRNA)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用によって達成され得る。インビトロでは、小島アミロイドポリペプチドのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの添加またはアンチセンス相補的DNAの発現は、細胞のインスリンのmRNA含有量およびタンパク質含有量を増大させており、これにより、この方法の潜在的な有効性が明らかにされている[Kulkarni他(1996)、J.Endocrinol.、151:341〜8;Novials他(1998)、Pancreas、17:182〜6]。しかしながら、そのようなアンチセンス分子のインビボ有効性を明らかにする実験結果は何ら明らかにされていない。
アミロイド原繊維の形成の阻害−小島アミロイドを含むアミロイドは、血清アミロイドP成分、アポリポタンパク質Eおよびパールカンなどの潜在的な安定化物質または保護物質を含有する。発達中のアミロイド原繊維に対するそれらの結合を阻止することにより、アミロイド形成タンパク質の特定部分に対して特異的な抗体による処置[Solomon他(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:4109〜12]が可能であるように、アミロイド形成を阻害することができる[Kahn他(1999)、Diabetes、48:241〜53]。
下記には、アミロイド構造を脱安定化する能力を有する薬物を操作するための現在の試みがまとめられている。
脱安定化化合物−ヘパリン硫酸がすべてのアミロイドの成分として同定されており、ヘパリン硫酸はまた、炎症に関連するアミロイド誘導のごく初期段階においても関係している。Kisilevskyおよび共同研究者(Nature Med.、1:143〜148、1995)は、ヘパリン硫酸が炎症関連のアミロイド前駆体およびアルツハイマー病(AD)のβ−ペプチドと相互作用することを妨害する低分子量のアニオン性のスルホネート化合物またはスルフェート化合物の使用を記載した。ヘパリン硫酸は、アミロイドタンパク質の折りたたみパターンに特徴的な増大したβ−シート構造を受け入れるために可溶性アミロイド前駆体(SAA2)に特異的な影響を及ぼす。これらのアニオン性のスルホネート化合物またはスルフェート化合物は、電子顕微鏡写真によってモニターされたとき、ヘパリンにより加速されるAβ原繊維形成を阻害することが示され、また、事前に形成された原繊維をインビトロで分解することができた。さらに、これらの化合物は、急性モデルおよび慢性モデルにおいてインビボで、マウスの脾臓での炎症関連のアミロイドの進行を実質的に停止させた。しかしながら、最も強力な化合物[すなわち、ポリ(ビニルスルホネート)]は急性毒性を示した。類似する毒性が、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス(AL)患者においてアミロイド再吸収を誘導することが認められている別の化合物IDOX(アントラサイクリン 4’−ヨード−4’−デオキシドキソルビシン)に関して観測されている[Merlini他(1995)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA]。
脱安定化抗体−抗β−アミロイドモノクローナル抗体が、インビトロでβ−アミロイド斑を脱凝集し、β−アミロイド斑の形成を予防することにおいて効果的であることが示されている(米国特許第5688561号)。しかしながら、そのような抗体のインビボでの有効性を明らかにする実験結果は何ら明らかにされていない。
小分子−アミロイドポリペプチドと結合し、かつタンパク質の本来の折りたたみを安定化させる小分子の使用の可能性が、トランスチレチン(TTR)タンパク質の場合に試みられている[Peterson(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:12965〜12960;Oza(1999)、Bioorg.Med.Chem.Lett.、9:1〜6]。これまでに、チロキシンおよびフルフェナム酸などの分子が、アミロイド形成をもたらす立体配座変化を妨げることができることが明らかにされている。しかしながら、動物モデルにおけるこれらの化合物の使用は、未だ立証されておらず、また、これらのリガンドと結合することができる、TTR以外のタンパク質が血液中に存在するために損なわれ得る。
抗酸化剤−別の提案された治療は、酸化ストレスを回避し、アミロイドタンパク質をその還元状態(すなわち、モノマーおよびダイマー)で維持するために抗酸化剤を摂取することであった。亜硫酸塩の使用は、TTRのより安定なモノマーをインビトロおよびインビボの両方でもたらすことが示されていた[Altland(1999)、Neurogenetics、2:183〜188]。しかしながら、抗酸化作用の完全な特徴づけは依然として得られておらず、可能な治療法に関する結果の解釈は困難なままである。
脱安定化ペプチド−β−プリーツシートを破壊する合成ペプチド(「β−シート破壊剤」)を加えることにより、原繊維が解離し、アミロイドーシスが妨げられたという発見[Soto他(1998)、Nat.Med.、4:822〜826]は、臨床的観点から特に有望である。簡単に記載すると、5残基のペプチドにより、アミロイドβ−タンパク質の原繊維形成が阻害され、事前に形成された原繊維がインビトロで分解され、そして、細胞培養において原繊維により誘導されるニューロンの死が妨げられた。さらに、このβ−シート破壊剤ペプチドは、アミロイドβ−タンパク質の沈着をインビボで著しく減少させ、そしてアミロイドーシスのラット脳モデルにおいてアミロイド原繊維の形成を完全に阻止した。
緑茶抽出物−公開No.20020086067及び20020151506を有する米国特許出願は、アミロイド疾患を処置するための緑茶抽出物の様々な成分の使用を教示する。これらの特許出願は、これらの成分がアミロイド原繊維形成を阻害することを教示するが、それらはこれらの緑茶成分にかかる活性を与える機構も共通の構造的特徴も教示できていない。
本発明者は、芳香族相互作用が、分子認識及び自己会合を指示する構造的かつ機能的要素として作用することによってアミロイド原繊維形成において重要な役割を果すことを以前に示した。
それゆえ、本発明を考えながら、かかる芳香族相互作用に関与しうる複数(例えば二つ以上)の芳香族部分を有する化合物がアミロイド原繊維形成の阻害剤として有効に作用しうることを想像した。
本発明を実施に移しているとき、本発明者は、アミロイド形成がフェノールレッド(PR)の如き高分子芳香族化合物によって強く阻害されうることを実際に明らかにし、それはアミロイド関連疾患の処置におけるこれらの化合物の使用を示唆する。
本発明の一つの側面によれば、アミロイド関連疾患の処置のために特定される薬剤の製造のための、下記一般式Iを有する化合物、その薬学的に受容可能な塩またはそのプロドラッグの使用が提供される:
式中、X,Y及びZは各々独立して、炭素、酸素、硫黄、CR1112またはR1314C−CR1516からなる群から選択されるが、X,Y及びZの少なくとも一つは酸素または硫黄であり;
−R16は各々独立して、水素、孤立電子対、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、フェニル、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、フェノール、ヒドロキシフェノール、ジヒドロキシフェノール、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、C−カルボキシ、O−カルボキシ、チオカルボキシ、カルボニル、オキソ、チオカルボニル、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選択されるか、または不存在であるか、またはR−Rの少なくとも二つ及び/又はR−R16の少なくとも二つは少なくとも一つの五員または六員芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ脂環式環を形成し;
−Rの少なくとも一つはヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、O−カルボキシ及びO−チオカルボキシからなる群から選択され、及び/又はR−R16の少なくとも一つはフェノール、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、ヒドロキシフェノール及びジヒドロキシフェノールを含む。
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、Xは炭素であり、YはR1314C−CR1516であり、Zは酸素である。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、Rはオキソであり、R10は不存在である。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、R13−R16の少なくとも一つはアルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、フェノール、ヒドロキシフェノール及びジヒドロキシフェノールからなる群から選択される。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、R及びRの各々はヒドロキシである。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、R13−16の少なくとも一つはアルキルである。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは炭素または硫黄であり、R及びRの少なくとも一つはオキソである。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、R及びR10の少なくとも一つはアルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、フェノール、ヒドロキシフェノール及びジヒドロキシフェノールからなる群から選択される。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、上記化合物はフェノールレッド、ジメトキシフェノールレッド、メトキシフェノールレッド、ジアセトキシフェノールレッド、アセトキシフェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、フェノールフタレイン、カテキン、エピガロカテキンガラート、エピカテキンガラート、エピカテキン、エピガロカテキン、エリオジクチオール(eriodictyol)、ケルセチン、プロシアニジン、ヒドロキシフェニル、トコフェロール及びブロモフェノールレッドからなる群から選択される。
本発明の別の側面によれば、包装材料と包装材料内に含有されるアミロイド関連疾患を処置するために特定される薬学的組成物を含む製品であって、薬学的組成物が有効成分としての上記化合物、及び薬学的に受容可能なキャリアを含む製品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、対象のアミロイド関連疾患を処置する方法であって、その必要性のある対象に治療的に有効な量の上記化合物を投与し、それによって対象のアミロイド関連疾患を処置することを含む方法が提供される。
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、投与は4mg/kg体重/時を越えない化合物の濃度で実施される。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、投与は経口的に実施される。
本発明のさらに別の側面によれば、治療有効量の上記化合物及び薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物が提供される。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、薬学的組成物は抗アミロイド薬をさらに含む。
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、抗アミロイド薬はアミロイド脱安定化抗体、アミロイド脱安定化ペプチド及び抗アミロイド小分子からなる群から選択される。
本発明のさらに別の側面によれば、下記一般式IIを有する新規化合物、その薬学的に受容可能な塩又はそのプロドラッグが提供される:
式中、Q及びQは各々独立して、酸素及び硫黄からなる群から選択され、
及びAは各々独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びカルボニルからなる群から選択され、
及びQが各々酸素であるとき、A及びAの一方は水素であり、他方はアルキル、シクロアルキル、アリール及びカルボニルからなる群から選択され、好ましくはメチル又はアセチルである。
本発明は、アミロイド原繊維形成を予防するための組成物及びそれを使用する方法を提供することによって現在知られている構成の欠点を首尾よく対処する。
本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、特に断らない限り、本発明の属する技術分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているのと類似の又は均等の方法と材料は本発明を実施又は試験するのに使用できるが、適切な方法と材料は以下に述べる。争いが生じた場合、定義を含めて本特許明細書が基準である。さらに、本明細書の材料、方法及び実施例は例示することだけを目的とし本発明を限定することを意図しない。
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細を示す試みはされていないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実際に具体化する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1a−bはフェノールレッドの存在下でのhIAPPコアアミロイド形成ペプチド(hIAPP22−29及びhIAPP20−29)凝集の阻害を示すグラフである。1mMペプチドはTris緩衝液(pH7.2)及び4%DMSOに溶解された。フェノールレッド阻害剤は同じ緩衝条件で10mMの最終濃度に溶解された。各試料について濁度は560nmで連続的に測定された。図1a−hIAPP22−29(NFGAILSS)凝集。図1b−コントロールとしてフェノールフタレインを用いたhIAPP20−29(SNNFGAILSS)凝集。緩衝液及びフェノールレッドのバックグラウンド値は関連測定から引かれた。
図2a−bは円偏光二色性を使用して測定された、フェノールレッドの不存在(図2a)又は存在(図2b)下のhIAPP1−37ペプチドの二次構造変移を示すグラフである。ヒトhIAPP1−37はHFIPに溶解され、酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に希釈され、40μMフェノールレッドのあり又はなしで4μMの最終濃度及び1%HFIPにされた。不溶解性ペプチドは遠心分離を使用して除去された。阻害剤の不存在(図2a)下では、hIAPP1−37は6時間内で無秩序なコイル立体構造からの変移を示し、この変移は26時間内に最大値に達することに注意されたい。しかしながら、40μMフェノールレッド阻害剤の存在(図2b)下では、βシート立体構造への変移の明らかな阻害がある(218nmピーク)。
図3a−cはチオフラビンT蛍光アッセイによって測定された、ヒトIAPP1−37原繊維形成のフェノールレッドの効果を示すグラフである。図3a−ヒトIAPP1−37はHFIPに溶解され、酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に希釈され、40μMフェノールレッドのあり又はなしで4μMの最終濃度及び1%HFIPにされた。不溶解性ペプチドは遠心分離を使用して分離された。蛍光値は各試料に3μM Thtを添加した後に測定された。約20時間の遅延段階後、蛍光値はフェノールレッド阻害剤の存在下での一定の低いレベルとは対照的に阻害剤なしで有意に増大したことを注意されたい。図3b−図3aのようにフェノールレッドの段階的な濃度のみをより敏感な蛍光計とともに使用し、それは測定された試料における最大フェノールレッド量が4μMを越えないように試料の希釈度を10倍にすることを可能にした。示されるように用量依存阻害は2.5μMの〜IC50で明らかであった。図3c−5日間のインキュベーション後の図3bの試料の終点蛍光を示す。
図4a−cはフェノールレッド及びフェノールフタレイン阻害剤の不存在又は存在下のhIAPP22−29,hIAPP20−29ペプチド、及びhIAPP1−37の形態を示す顕微鏡写真である。hIAPP22−29及びhIAPP20−29ペプチドは図1a−cに記載されるように作られ、hIAPP1−37は図3a−cに記載されるように作られた。試料は酢酸ウラニルで10μl試料を染色することに生成され、次いで80kVで操作するJEOL 1200EX電子顕微鏡で観察された。全てのペプチドに対して明確な形態上の差異は明白であり、それはフェノールレッドによる原繊維形成の速動性阻害効果を示した。逆に、フェノールフタレイン分子による阻害効果は明白でなかった(図4b)。
図5a−bはThT蛍光アッセイによって測定された、緑茶ポリフェノールによるhIAPP原繊維形成の阻害を示すヒストグラムである。図5aについての色コード:青色−48時間、赤色3日間、黄色8日間、緑色12日間。緑茶ポリフェノールの存在下での3日間のインキュベーション後の阻害効果の詳細な観察(図5b)はガラート群について高い効力を示した。
図6はThT蛍光アッセイによって測定された、ピロカテコールバイオレットによるhIAPP1−37原繊維形成の阻害を明らかにする比較プロットを与える(四角は阻害剤の添加なしを示し、三角は4μMピロカテコールの添加を示し、円は40μMピロカテコールバイオレットの添加を示す)。
図7は阻害剤フェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、フェノールフタレイン、ジアセトキシフェノールレッド(PF3)及びジメトキシフェノールレッド(PF4)の化学構造(2D)を与える。
図8a−bはチオフラビンT蛍光アッセイによって測定された、PF3及びPF4によるhIAPP1−37原繊維形成の阻害を示すヒストグラムである。試料はhIAPPストック溶液の希釈直後に遠心分離されるか(図8a)又は遠心分離されないままであった(図8b)。
図9はhIAPP1−37の存在下でインキュベートされたPC12細胞についてフェノールレッドの用量依存救助的効果を示す棒グラフである。値は平均±SD(n=4)である。
図10a−hはhIAPP凝集の存在下でインキュベートされた膵β細胞についてのPRの救助的効果を示す。βTC−tet齧歯類β細胞はフェノールレッドあり又はなしの血清不含DMEMにおいて4μM hIAPP1−37で24時間インキュベートされた。MTT還元は一晩インキュベーションした後に測定された。図10aはフェノールレッドあり又はなしのそれぞれの培地においてhIAPPの不存在下でインキュベートされた細胞と比較した細胞生存性を示す。値は平均±SD(n=4),*p=0.03,**p<0.005。図10b−hは同じ条件下で顕微鏡カバースリップ上で増殖されたβ細胞のSEM分析を示す顕微鏡写真である。図10b−dはhIAPP単独の添加後の細胞を示す。これらの細胞は膜ブレブ形成及び崩壊を示す。図10e−fは増殖培地において40μMフェノールレッドの存在下でhIAPPで処理された細胞を示す。図10g−hはhIAPPで処理されていないコントロール細胞を示す。
本発明は、例えば糖尿病の如きアミロイド関連疾患の処置に使用されることができる芳香族化合物に関する。
本発明の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示すかまたは実施例に例証される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、限定的であると見なすべきでないことを理解しなければならない。
アミロイド原繊維形成を妨げるか、またはアミロイド物質を分解するための数多くの治療方法が従来技術に記載されている。しかしながら、現在の治療方法は、細胞毒性、非特異性および送達といった壁によって制限されている。
本発明者は、芳香族相互作用が分子認識及び自己会合を指示する構造的かつ機能的要素として作用することによってアミロイド原繊維形成において重要な役割を果すことを以前に示した[Azriel及びGazit(2001)J.Biol.Chem 276:34156−34161;Gazit(2002)FASEB J.16:77−83]。結果として、芳香族ペプチドはアミロイド原繊維形成を阻害することが示された。
本発明を実施に移しているとき、本発明者は、アミロイド形成がフェノールレッド(PR)の如き芳香族化合物によって強く阻害されうることを明らかにし、それはアミロイド関連疾患の処置におけるこれらの化合物の使用を示唆する。
後述する実施例の節で示されるように、フェノールレッド及びその誘導体(例えばジアセトキシフェノールレッド及びジメトキシフェノールレッド)、緑茶ポリフェノール、及びピロカテコールバイオレットの如き本発明の芳香族化合物は多数の生化学的かつ微細構造形態分析によって測定されるようにアミロイドペプチド(hIAPP22−29)の凝集を効果的に阻害した。これと一致して、膵β細胞に対するhIAPP1−37原繊維細胞毒性における顕著な阻害はフェノールレッドの存在下で明らかであり(後述する実施例の節の実施例8−9参照)、本発明の芳香族化合物をII型糖尿病の如きアミロイド関連疾患を処置するための有望なツールにさせる。
従って、本発明は、対象のアミロイド関連疾患を処置する方法を提供する。
本発明による好ましい個体対象は、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びウシの如き哺乳類である。好ましくは本発明による個体対象はヒトである。
用語「処置する」は、アミロイド斑形成を減少させるか、もしくは予防すること、または、罹患組織における斑の出現を実質的に減少させることを示す。表現「アミロイド斑」は、原繊維アミロイド、ならびに、凝集したが、原繊維ではないアミロイド(以降、「プロト原繊維アミロイド」、これもまた病原性であり得る)を示す[Anaguiano他(2002)、Biochemistry、41:11338〜43参照]。
本発明に従って処置されるアミロイド関連疾患には、II型糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、前徴アルツハイマー病、パーキンソン病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様ガン、大動脈の医学的ガン腫、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症アミロイドーシス、ハンチントン病、老年性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイドーシス、家族性英国痴呆、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス[Gazit(2002)、Curr.Med.Chem.、9:1667〜1675]、そして、プリオン病(ヒツジおよびヤギのスクレイピー、ならびに、ウシ類のウシ海綿状脳症(BSE)を含む)[WilesmithおよびWells(1991)、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、172:21〜38]、そして、ヒトのプリオン病(これには、(i)クールー、(ii)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、(iii)ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)および(iv)致死性家族性不眠症(FFI)が含まれる)[Gajdusek(1977)、Science、197:943〜960;Medori、Tritschler他(1992)、N Engl J Med、326:444〜449]が含まれるが、これらに限定されない。
本発明による方法は、その必要性のある対象に、治療的有効量の下記一般式Iを有する化合物、その薬学的に受容可能な塩又はそのプロドラッグを投与することによって実施される:
式中、X,Y及びZは各々独立して、炭素、酸素、硫黄、CR1112またはR1314C−CR1516からなる群から選択されるが、X,Y及びZの少なくとも一つは酸素または硫黄であり;
−R16は各々独立して、水素、孤立電子対、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、フェニル、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、フェノール、ヒドロキシフェノール、ジヒドロキシフェノール、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、C−カルボキシ、O−カルボキシ、チオカルボキシ、カルボニル、オキソ、チオカルボニル、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選択されるか、または不存在であるか、またはR−Rの少なくとも二つ及び/又はR−R16の少なくとも二つは少なくとも一つの五員または六員芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはへテロ脂環式環を形成し;
−Rの少なくとも一つはヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、O−カルボキシ及びO−チオカルボキシからなる群から選択され、及び/又は
−R16の少なくとも一つはフェノール、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、ヒドロキシフェノール及びジヒドロキシフェノールを含む。
それゆえ本発明の化合物は少なくとも一つのフェノール部分(好ましくは少なくとも二つのフェノール部分)を含む。以下にさらに定義されるように、フェノール部分の各々は、好ましくは一つ以上のヒドロキシ基(従ってヒドロキシフェノール又はジヒドロキシフェノール)によって置換又は非置換されてもよい。フェノール部分の各々は以下に表わされるように、それ自体、即ちヒドロキシフェニル部分として、又はアルコキシル化又はカルボキシル化フェノール部分として、即ちアルコキシフェニル又はカルボキシフェニル部分として本発明の化合物内で存在させることができる。
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を示す。好ましくは、アルキル基は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。さらに好ましくは、アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。最も好ましくは、他に示さない限り、アルキル基は、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は以下で定義される)。
「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は以下で定義される)。
「ヒドロキシ」基は、−OH基を示す。
「アルケニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなる上で定義されたようなアルキル基を示す。
「アルキニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなる上で定義されたようなアルキル基を示す。
「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルがある。アリール基は、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
本発明による置換されたアリールの好ましい例はフェノールである。
本明細書中で使用される用語「フェノール」は、ヒドロキシ基によって置換されたフェニルを示す。フェノール基は置換または非置換でありうる。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
本発明による置換されたフェノールの好ましい例はヒドロキシフェノールである。
本明細書中で使用される用語「ヒドロキシフェノール」は、用語「ジヒドロキシフェノール」も包含するが、上で定義されたようなフェノールを示し、それは一つ以上の追加のヒドロキシ基によってさらに置換される。追加のヒドロキシ基はフェノールのヒドロキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。ヒドロキシフェノールはさらに置換又は非置換であるうる。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
本発明による置換されたアリールの別の好ましい例は、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル及びチオアリールオキシフェニルを含む。
本明細書中で使用される用語「アルコキシフェニル」は、本明細書中で定義されるアルコキシ基によって置換されたフェニルを示す。アルコキシ基の代表例はメトキシである。
用語「チオアルコキシフェニル」は、本明細書中で定義されるチオアルコキシ基によって置換されたフェニルを示す。
用語「アリールオキシフェニル」は、本明細書中で定義されるアリールオキシ基によって置換されたフェニルを示す。
用語「チオアリールオキシフェニル」は、本明細書中で定義されるチオアリールオキシ基によって置換されたフェニルを示す。
アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル及びチオアリールオキシフェニル基の各々は、置換又は非置換でありうる。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル及びチオアリールオキシフェニル基の好ましい置換基は、アルコキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ及び/又はチオアリールオキシ基を含み、従って好ましい置換されたアルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル及びチオアリールオキシフェニルの例はジアルコキシフェニル、ジチオアルコキシフェニル、ジアリールオキシフェニル及びジチオアリールオキシフェニル、及び他の組み合わせを含む。
本明細書中で使用される用語「ジアルコキシフェニル」は、上で定義されたアルコキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のアルコキシ基によってさらに置換される。追加のアルコキシ基はアルコキシフェニルのアルコキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
用語「ジチオアルコキシフェニル」は、上で定義されたチオアルコキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のチオアルコキシ基によってさらに置換される。追加のチオアルコキシ基はチオアルコキシフェニルのチオアルコキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
用語「ジアリールオキシフェニル」は、上で定義されたアリールオキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のアリールオキシ基によってさらに置換される。追加のアリールオキシ基はアリールオキシフェニルのアリールオキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
用語「ジチオアリールオキシフェニル」は、上で定義されたチオアリールオキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のチオアリールオキシ基によってさらに置換される。追加のチオアリールオキシ基はチオアリールオキシフェニルのチオアリールオキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
ジアルコキシフェニル、ジチオアルコキシフェニル、ジアリールオキシフェニル及びジチオアリールオキシフェニルの各々は、さらに置換又は非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
本発明による置換されたアリールの別の好ましい例はカルボキシフェニル及びチオカルボキシフェニルを含む。
本明細書中で使用される用語「カルボキシフェニル」は、本明細書中で定義されたO−カルボキシ基によって置換されたフェニルを示す。O−カルボキシ基の代表例はO−アセトキシである。
用語「チオカルボキシフェニル」は、本明細書中で定義されたチオカルボキシ基によって置換されたフェニルを示す。
カルボキシフェニル及びチオカルボキシフェニルは置換又は非置換でありうる。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
好ましい置換基は追加のO−カルボキシ又はチオカルボキシ基を含み、従って好ましい置換されたカルボキシフェニル及びチオカルボキシフェニルの例はジカルボキシフェニル及びジチオカルボキシフェニルを含む。
本明細書中で使用される用語「ジカルボキシフェニル」は、上で定義されたカルボキフェニル、例えばアセトキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のカルボキシ基によってさらに置換される。追加のカルボキシ基はカルボキシフェニルのカルボキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
用語「ジチオカルボキシフェニル」は、上で定義されたチオカルボキシフェニルを示し、それは一つ以上の追加のチオカルボキシ基によってさらに置換される。追加のチオカルボキシ基はチオカルボキシフェニルのチオカルボキシ基に対してパラ、オルト及び/又はメタ位置であることができる。
ジカルボキシフェニル及びジチオカルボキシフェニルの各々はさらは置換又は非置換でありうる。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素および硫黄などの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接原子対を共有する環)基を示す。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
「ヘテロ脂環」基は、例えば、窒素、酸素および硫黄などの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を示す。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。ヘテロ脂環基は、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホニウム、ケトエステル、カルボニル、チオカルボニル、エステル、エーテル、カルボキシ、チオカルボキシ、チオエーテル、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、グアニル、グアニジノ、およびアミノであり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。代表例はピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルフォリノなどである。
「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素又は沃素を示す。
「アルコキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を示す。
「アリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を示す。
「チオヒドロキシ」基は−SH基を示す。
「チオアルコキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を示す。
「チオアリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を示す。
「オキソ」基は、=O基を示す。
「カルボニル」基は、本明細書中で定義されるように、−C(=O)−R′基(式中、R′は、水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、(環の炭素を通して結合された)ヘテロアリール、または(環の炭素を通して結合された)ヘテロ脂環である)を示す。
「チオカルボニル」基は−C(=S)−R′基(式中、R′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「C−カルボキシ」基は−C(=O)−O−R′基(式中、R′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「O−カルボキシ」基はR′′C(=O)−O−基(式中、R′′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「チオカルボキシ」基はR′′C(=O)−S−基(式中、R′′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「スルフィニル」基は−S(=O)−R′′基(式中、R′′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「スルホニル」基は−S(=O)−R′′基(式中、R′′は本明細書中で定義される通りである)を示す。
「トリハロメチル」基は−CX基(式中、Xは本明細書中で定義されるようなハロ基である)を示す。
「トリハロメタンスルホニル」基はXCS(=O)−基(式中、Xは本明細書中で定義されるようなハロ基である)を示す。
「S−スルホンアミド」基は−S(=O)−NR′R′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「N−スルホンアミド」基はR′S(=O)−NR′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「トリハロメタンスルホンアミド」基はXCS(=O)NR′−基(式中、R′及びXは各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「O−カルバミル」基は−OC(=O)−NR′R′′−基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「N−カルバミル」基はR′′OC(=O)−NR′−基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「O−チオカルバミル」基は−OC(=S)−NR′R′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「N−チオカルバミル」基はR′′OC(=S)NR′−基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「アミノ」基は−NR′R′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「C−アミド」基は−C(=O)−NR′R′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「N−アミド」基はR′C(=O)−NR′′−基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「尿素」基は−NR′C(=O)−NR′′R′′′基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りであり、R′′′はR′またはR′′のいずれかとして定義される)を示す。
「グアニジノ」基は−R′NC(=N)−NR′′R′′′基(式中、R′,R′′及びR′′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「グアニル」基はR′R′′NC(=N)−基(式中、R′及びR′′は各々本明細書中で定義される通りである)を示す。
「ニトロ」基は−NO基を示す。
「シアノ」基は−C≡N基を示す。
「アゾ」基は−N=N基を示す。
用語「ホスホニル」は−O−P(=O)(OR′)(OR′′)基を示し、式中、R′及びR′′は各々上述の通り定義される。
用語「ホスフィニル」は−PR′R′′基(式中、R′及びR′′は各々上述の通り定義される)を示す。
それゆえ本発明による好ましい化合物は、例えばフェノールレッド及びその類似体を含み、従って上の式においてXは炭素であり、Yは酸素であり、Zは炭素又は硫黄であり、R及びRの少なくとも一つはオキソであり、この用語は上で定義された通りである。かかる化合物は、フェノールで縮合され、かつさらに一つ以上のフェノール又はフェニル基によって置換される複素環式環を含み、従って、R−R10の少なくとも一つは上で定義されたようなフェノール又はヒドロキシフェノールである。R−R10の少なくとも一つ、好ましくは二つがヒドロキシフェノールである、かかる化合物は例えばピロカテコールバイオレット及びその類似体を含む。
Zが硫黄である、この範ちゅうの化合物は典型的にはフェノールレッド類似体であり、Zが炭素である化合物は典型的にはフェノールフタレイン類似体である。フェノールレッド、ピロカテコールバイオレット及びフェノールフタレインの化学構造は図7に示されている。
本発明によるさらにより好ましい化合物は、Xが炭素であり、YがR1314C−CR1516であり、Zが酸素である上の式を有する化合物を含む。かかる化合物はそれゆえフェニルに縮合されたテトラヒドロピランを含む。
この範ちゅうの化合物の好ましい例は例えばエピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガラートなどのカテキンの類似体及び誘導体を含み、全ては上の式においてR及びR位置に二つのヒドロキシ基を含み、R13−R16位置の一つ以上にテトラヒドロピラン環に直接的又は間接的に結合されたヒドロキシフェノール又はジヒドロキシフェノール基を含む。
以下の実施例の節で示されるように、追加のフェノール部分を含むカテキンガラートは、極めて可能性のある阻害剤であり、従って化合物中のフェニル部分の数の重要な役割を示すことが見出された。
これらの化合物の追加の好ましい例は、Rがオキソであり、R10が不存在である、フェニル縮合された酸化テトラヒドロピラン環を含む。
この範ちゅうのさらに追加の好ましい化合物はトコフェロール及びその類似体を含み、それはR13−R16位置に一つ以上のアルキル基を含み、そのアルキル基は8個より多い炭素原子を有するアルキル及び/又は低級アルキル(例えばメチル)を含むことができる。
さらに本発明によれば、上記化合物の各々はさらに、二量体の形態であることができる。かかる二量体の形態は上記式を有する二つの部分を含み、それらの間にR−R16を介して直接的又は間接的に結合されている。
それゆえ本発明に従って使用されうる化合物の例は、限定されないが、フェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、フェノールフタレイン、カテキン、エピガロカテキンガラート、エピカテキンガラート、エピカテキン、エピガロカテキン、エリロジクチオール、ケルセチン、ピロシアニジン、ヒドロキシフェニル、トコフェロール、ブロモフェノールレッド、その類似体、その誘導体及びその組み合わせを含む。
本発明による現在最も好ましい化合物はフェノールレッド、ピロカテコールバイオレット及びカテキンガラートファミリーの化合物(さらなる詳細について以下の実施例の節を参照)である。
しかしながら、本発明に従って使用されることができる追加の好ましい化合物は上で掲載された化合物のモノ−、ジ−、トリ−及びテトラ−アルコキシ(例えばメトキシ)又はカルボキシ(例えばアセトキシ)誘導体を含む。かかる誘導体は、フェノール又はヒドロキシフェノール部分中の一つ以上のヒドロキシ基が例えばアルキル又はアシル基によって誘導体化され、アルコキシフェニル部分、ジアルコキシフェニル部分、カルボキシフェニル部分又はジカルボキシフェニル部分を生じる化合物を含むことを意味される。
アルコキシフェニル部分、ジアルコキシフェニル部分、カルボキシフェニル部分又はジカルボキシフェニル部分、並びにその類似体(例えば、上で示したようにアリールオキシフェニル、チオアルコキシフェニルなど)による一つ以上のフェノール部分の置換を生じるヒドロキシ基のかかる誘導体化は極めて有利である。なぜならば、それは化合物の親水性を低下し、従って腸におけるそれらの吸収を増大するからである。
業界で良く知られているように、親水性化合物は典型的には、ヒトの腸上皮の劣った透過性による相対的に低い吸収を特徴とする。これらの低い吸収パラメータのため、親水性化合物での処置は経口投与時に高い用量の投与を必要とする。従って、上記化合物の親水性の低下は特に腸におけるその増大した吸収を与え、その効果的な経口投与を可能にする。化合物の親水性をそれらの吸収時に低下する効果は、Caco−2細胞及び平行人工膜透過アッセイ(parallel artificial membrane permeation assay(PAMPA))を含む幾つかのモデルで明らかに示された。これらの研究は増大した疎水性が小さな有機化合物の透過性を有意に改良することを示した[Ano(2004)Bioorg Med Chem.12:257−264;Ano(2004)12:249−255]。
かかる誘導体の代表例は、限定されないが、フェノールレッドにおける一つのフェノール部分がそれぞれメトキシフェニル又はアセトキシフェニル部分によって置換されるメトキシフェノールレッド及びアセトキシフェノールレッド、フェノールレッドにおける二つのフェノール部分がそれぞれ二つのメトキシフェニル又はアセトキシフェニル部分によって置換されるジメトキシフェノールレッド(明細書中でPF4としても言及される)及びジアセトキシフェノールレッド(明細書中でPF3としても言及される)を含む。PF3及びPF4の化学構造は図7に与えられる。
フェノールレッドのモノ誘導体、即ちメトキシフェノールレッド及びアセトキシフェノールレッド及びその類似体は特に重要である。これらのモノ誘導体は、上で詳述したように、(i)ヒドロキシ基の存在による増大した阻害活性;(ii)その部分的な親水性による増大した経口生物学的利用率;及び(iii)その部分的な疎水性による増大した吸収率を同時に与える。
化合物の阻害活性に対するヒドロキシ基の効果は、以下の実施例の節において示されている(例えば実施例5参照)。経口生物学的利用率に対する化合物の親水性の効果は、業界で良く知られており、例えばHite他(2003)Part 1.Oral Delivery of Poorly Soluble Drugs.PMPS Summer pp:38−40に示されている。
従って、本発明のフェノールレッドモノ誘導体は、増大した阻害活性、増大した経口生物学的利用率及び増大した吸収率を組み合わせることによって極めて有利である。
二つのヒドロキシ基がアルキル又はアシル基によって誘導体化される幾つかのフェノールレッド誘導体は知られているが、これらの化合物はアミロイド原繊維形成を阻害するために今まで使用されていなかった。さらに、上述のフェノールレッドのモノ誘導体の選択的合成はこれまで実施されてこなかった。
従って、本発明の別の側面によれば、以下のような一般式IIを有する新規なフェノールレッド誘導体が提供される:
式中、Q及びQは各々独立して、酸素及び硫黄からなる群から選択され;
及びAは各々独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びカルボニルからなる群から選択され、
及びQが各々酸素であるとき、A及びAの一方は水素であり、他方はアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択される。
それゆえ、これらのフェノールレッド誘導体は例えば、Q及びQが各々酸素であり、A及びAの一方が水素であり、他方がアルキル、好ましくはメチルであるメトキシフェノールレッド、及びQ及びQが各々酸素であり、A及びAの一方が水素であり、他方がカルボニル、好ましくはアセチル(C(=O)CH基)であるアセトキシフェノールレッドを含む。
上記化合物は、そのまま又はその薬学的に受容可能な塩又はプロドラッグとして投与されることができるか又は本発明のこの及び他の側面に利用されることができる。
用語「プロドラッグ」は、インビボで活性化合物(活性親ドラッグ)に変換される薬剤を示す。プロドラッグは典型的には、親ドラッグの投与を容易にするために有用である。それらは例えば経口投与によって生物学的利用可能であればよく、親ドラッグはそうでなくてもよい。プロドラッグはまた、薬学的組成物において親ドラッグと比較して改良された溶解性を有してもよい。プロドラッグはまた、インビボでの活性化合物の徐放性を達成するために使用されることが多い。プロドラッグの限定されない例は一つ以上のフェノール部分を有する本発明の化合物であり、それはエステル(「プロドラッグ」)として投与される。かかるプロドラッグはインビボで加水分解され、それによって遊離化合物(親ドラッグ)を与える。選択されたエステルはプロドラッグの加水分解速度と溶解性の両方に影響を与えうる。
語句「薬学的に受容可能な塩」は、親化合物の電荷を有する種及びその対イオンを示し、それは典型的には投与された化合物の生物学的活性及び特性をなくさずに、親化合物の溶解性を変更したり及び/又は親化合物による生物体に対する有意な刺激を減らすために使用される。薬学的に受容可能な塩の限定されない例は、アンモニウム、ナトリウム、カリウムなどのフェノールアニオン及びカチオンであるだろう。
上記化合物はさらに、水和物として、即ち化合物と水分子の間で形成される変化可能な化学量論(例えば、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−など)の錯体として利用または投与されることができる。
好ましくは、本発明の化合物は4mg/kg×hrを越えない濃度で投与される。
本発明の化合物は、そのものとして、または、薬学的に受容可能なキャリアと混合される薬学的組成物の一部として個体に与えることができる。
本明細書で使用する「薬学的(医薬)組成物」は、本明細書に記載される活性成分の1つまたは複数と、他の化学成分(例えば生理学的に適切なキャリアおよび賦形剤)との製剤を指す。薬学的組成物の目的は処置される対象への化合物の投与を容易にすることである。
本明細書において「活性成分(有効成分)」という用語は、生物学的効果を説明できる化合物を指す。
以下、交互に用いられる「生理学的に受容可能なキャリア」および「薬学的に受容可能なキャリア」という用語は、対象に対して著しい刺激の原因にならず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を抑止しないキャリアまたは希釈剤を指す。本発明の薬学的組成物の好ましいキャリアは、限定されないが、例えばポリエチレングリコール(PEG)、有機媒体および水性媒体の両方で広範囲の可溶性を有する生物適合ポリマーを含む[Mutter他(1979)]。
本明細書において「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに容易にするために薬学的組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例には炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類、様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールなどがあるが、これらに限定されない。
薬物の製剤および投与に関する技術は「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.(ペンシルバニア州イーストン)の最新版に見いだすことができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。
適当な投与経路としては、例えば経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に経鼻腔送達、腸管送達または腸管外送達(筋肉内注射、皮下注射、および骨髄内注射、ならびに髄腔内注射、直接脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注入、または眼内注射を含む)などを挙げることができる。
あるいは、全身的な方法よりもむしろ、例えば患者の身体の特定の領域に直接製剤を注射する局所的な方法で製剤を投与してもよい。
本発明の薬学的組成物は当技術分野で周知の方法により、例えば通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥法などを利用して製造することができる。
本発明に従って使用される薬学的組成物は、活性成分を薬学的に使用できる製剤に加工しやすくする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に受容可能なキャリアを使って、常法により製剤化することができる。適切な製剤は選択した投与経路に依存する。
注射の場合は、水性溶液(好ましくはハンクス液、リンゲル液または生理食塩水緩衝液などの生体適合緩衝液)に、本発明の活性成分を製剤化することができる。経粘膜投与の場合は、浸透される壁に適切な浸透剤を製剤中に添加する。そのような浸透剤は当技術分野では広く知られている。
経口投与の場合は、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアと混合することにより、化合物を容易に製剤化することができる。かかるキャリアを使用することにより、本発明の化合物を、患者による経口摂取用の錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化することができる。経口用医薬品は固形の賦形剤を使用し、随意に、得られた混合物を粉砕し、所望により適当な補助剤を添加してから、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の核錠を得ることによって、製造することができる。適切な賦形剤には、充填剤、例えば乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類、セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理的に受容可能なポリマーがある。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)などの崩壊剤を添加してもよい。
糖衣錠の核錠には適当なコーティングが施される。この目的には濃厚な糖溶液を使用することができ、その糖溶液は、所望により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含むことができる。識別のためまたは活性化合物用量の様々な組合わせを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠剤皮に染料または顔料を加えてもよい。
経口使用が可能な薬学的組成物には、ゼラチン製の押込み式カプセル剤ならびにゼラチンと可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)とでできた軟密封カプセル剤が含まれる。押込み式カプセル剤は、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および所望により安定剤と混合した活性成分を含むことができる。軟カプセル剤の場合は、活性効成分を適当な液体(脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁することができる。さらに安定剤を加えてもよい。経口投与用製剤は全て、選択した投与経路に適した投与量でなければならない。
経口腔粘膜投与の場合、本組成物は常法によって製剤化された錠剤または口中錠の形態をとることができる。
鼻腔吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための活性成分は、適当な噴射剤(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素)を使って、加圧容器または噴霧器から、エアロゾルスプレーの形で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、バルブを設けて、計量した量を送達することによって、決定することができる。本化合物と適当な粉末基剤(乳糖またはデンプンなど)との粉末混合物を含む、ディスペンサーに使用するための(例えばゼラチン製)カプセルおよびカートリッジを処方することもできる。
本明細書に記載の製剤は、例えばボーラス注射または持続注入などによる非経口投与用に製剤化することもできる。注射用製剤は、例えばアンプルなどに一回量型として、または多用量容器に入れて、所望により保存剤を添加して提供することができる。本組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションであることができ、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの調剤用薬剤を含んでもよい。
非経口投与用の薬学的組成物として、水溶性活性製剤の水溶液が挙げられる。さらに、活性成分の懸濁液を適当な油性または水性注射懸濁液として調製することもできる。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルなどの合成脂肪酸エステル、トリグリセリドまたはリポソームなどがある。水溶性注射懸濁剤は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含んでもよい。所望により、懸濁剤は、高濃度溶液の調製物を得ることができるように、活性成分の溶解度を増加させる適当な安定化剤または化合物をさらに含んでもよい。
あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば滅菌パイロジェンフリー水に基づく溶液)で構成させる粉末の形態をとってもよい。
本発明の製剤は、例えば通常の坐剤用基剤(カカオ脂または他のグリセリドなど)を使って、坐剤または停留浣腸剤などの直腸用組成物に製剤化することもできる。
本発明で使用するのに好適な薬学的組成物は、活性成分が意図した目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を含む。より具体的には、治療有効量とは、病気の症状を予防、緩和または改善するのに有効な、あるいは処置される対象の生存を延長させるのに有効な活性成分の量を意味する。
治療有効量の決定は当業者の能力の範囲内でよい。
本発明の方法において使用される製剤に関して、治療有効量または用量は、まずインビトロアッセイによって推定することができる。例えば、用量を、動物モデルで策定することができ、そのような情報を使って、ヒトで有効な用量をより正確に決定することができる。
本明細書に記載する活性成分の毒性および治療効力は、標準的なインビトロ薬学的手法により、細胞培養または実験動物で決定することができる。これらのインビトロ、細胞培養アッセイおよび動物実験で得られたデータは、ヒトに使用する用量範囲の策定に利用することができる。投与量は、利用する投与経路及び使用する投与形態に依存して変動しうる。個々の医師は患者の状態を考慮して正確な処方、投与経路および投与量を選択することができる(例えば「The Pharmacological Basis of Therapeutics」(1975)第1章、第1頁のFingl他の記事を参照されたい)。
処置すべき状態の重症度および反応性に応じて、投与は単回投与または複数回投与とすることができる。この場合、処置は数日〜数週間または治癒が達成されるかもしくは疾患状態の軽減が達成されるまで持続する。
投与すべき組成物の量は、当然ながら、処置対象、病気の重症度、投与方法、処方医の判断などに依存するだろう。
また、適合する医薬キャリア中に調剤された本発明の製剤を含む組成物を製造し、適当な容器に入れ、表示された状態の処置に関する表示を与えることができる。
本発明の組成物は、所望により、活性成分を含む1つまたは複数の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサー装置、例えばFDA認可キットとして提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックのように金属箔またはプラスチック箔からなってもよい。パックまたはディスペンサー装置には、投与上の注意を添付してもよい。パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指定された形式で容器に添付された、組成物の形状またはヒトもしくは動物への投与に関する当局の認可を示す通知を載せてもよい。そのような通知は、例えば処方薬に関して米国食品医薬品局によって許可されたラベリング、または許可された添付書類であることができる。
本発明に従ったアミロイド関連疾患の処置は業界で知られた他の処置方法と組み合わせてもよいことは認識されるだろう(即ち、組み合わせ処置)。従って、本発明の化合物は追加の抗アミロイド薬と共に(同時に又は別個に)投与されてもよい。かかる抗アミロイド薬の例は、限定されないが、アミロイド脱安定化抗体、アミロイド脱安定化ペプチド及び抗アミロイド小分子(かかる薬剤のさらなる詳細は前述の背景技術で与えられる)を含む。
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様及び側面の各々は下記実施例の実験によって支持されている。
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
本明細書で使用される用語と本発明で利用される実験方法には、分子、生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
材料および方法
ペプチド合成:
固相法を使用するペプチド合成を、hIAPP22−29(配列番号1)およびhIAPP20−29(配列番号2)に対してPeptron,Inc(Taejeon、韓国)によって、hIAPP1−37(配列番号3)に対してCalbiochem(CalBiochem CA、米国)によって行なった。ペプチドの正体はイオンスプレー質量分析法によって確認され、ペプチドの純度は逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)によって確認された。hIAPP22−29およびhIAPP20−29に対するストック溶液は、50mMの濃度でMeSO(DMSO)にペプチドの凍結乾燥形態を溶解することによって調製された。hIAPP1−37のストック溶液は、400μMの濃度で3,3,3,3′,3′,3′−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)にペプチドの凍結乾燥された形態を溶解することによって調製された。いかなる事前の凝集も避けるためにストック溶液は各実験前に2分間超音波処理された。
材料−フェノールレッドはSigma(Rehovot、イスラエル)から購入された。ピロカテコールバイオレットはRiedel−de Haeen(Seelze、ドイツ)から購入された。ジアセトキシフェノールレッド(PF3)およびジメトキシフェノールレッド(PF4)はTAMI institute for Research & Development Ltd.(Haifa、イスラエル)によって合成され、エピガロカテキンガラート、ガロカテキンガラート、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンおよびコンゴーレッドはSIGMA(Rehovot、イスラエル)から購入され、エピカテキンガラートおよびエピカテキンはICN Biomedicalsから購入された。
速動性凝集アッセイ:
hIAPP22−29およびhIAPP20−29ペプチドのストック溶液は、凍結乾燥されたペプチドを10mM Tris−HCl(pH7.2)緩衝液に希釈して1mMペプチドおよび4%DMSOの最終濃度にすることによって調製された。濁度データは室温で405または560nmで収集された。試験された試料と同じ量のDMSOを含有する緩衝溶液はブランクとして使用された。濁度は使い捨てUVetteキュベット(Eppendorf、ドイツ)およびScinco S−3100分光光度計を使用して測定された。
チオフラビンT蛍光アッセイ:
hIAPP1−37の原繊維化はチオフラビンT色素結合アッセイによってモニターされた。hIAPP1−37ストック溶液は阻害剤ありまたはなしで10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)において4μMの最終濃度に、そして1%(vol)の最終HFIP濃度に希釈された。希釈直後、試料を4℃で20000gで20分間遠心分離し、上澄み画分を蛍光測定のために使用した。各測定ごとに、ThTを添加して3μMの最終濃度にし、測定をPerkin Elmer(励起450nm,2.5nmスリット;発光480nm,10nmスリット)を使用して実施した。フェノールレッド濃度依存阻害実験に対して、試料を、最大フェノールレッド濃度が4μMを越えないように10倍希釈し、Jobin Yvon Horiba Fluoromax 3蛍光計(励起450nm,2.5nmスリット;発光482nm,5nmスリット)を使用して測定した。バックグラウンドは全ての試料から差し引かれた。
円偏光二色性分光分析:
二次構造形成を追及するために、hIAPP1−37(4μM)を、阻害剤(40μM)ありまたはなしで上述のように調製した。スペクトルは、AVIV 202 CD分光計を使用して、1nm間隔および4秒平均化時間で、200−250nmで25℃で記録された。最終走査値はベースラインの減算を表わし(hIAPPの場合の緩衝液、及び阻害アッセイについてはフェノールレッドを有する緩衝液)、AVIV CDS version 2.73ソフトウェアを使用して平滑化した。
透過電子顕微鏡観察:
凝集アッセイからのhIAPP22−29またはhIAPP20−29、および蛍光アッセイからのhIAPP1−37の10μL試料を、400メッシュの銅グリッド(SPI supplies,West Chester PA)上に置き、カーボン安定化ホルムバールフィルムによって覆った。1分後、過剰な液体を除き、グリッドを2%酢酸ウラニル水溶液でさらに2分間ネガティブ染色した。試料を80kVで操作するJEOL 1200EX電子顕微鏡で観察した。
MTTアッセイ−βTC−tet細胞[Fleischer,N.,Chen C.,Surana,M.,Leiser, M.,Rossetti,L.,Pralong, W.およびEfrat,S.(1998)Functional analysis of a conditionally transformed pancreatic beta−cell line,Diabetes 47,1419−1425]またはPC12細胞(ATCC# CRL−1721)を、それぞれ24ウェルプレート(2×10/ウェル)または96ウェルプレート(1×10/ウェル)に置き、24時間接着させた。合成hIAPP1−37ストック溶液を希釈してフェノールレッドありまたはなしのDMEMを含有する血清不含増殖培地[Fleischer(1998)Supra]において4μMの最終濃度にした。希釈直後、試料を20000gで20分間4℃で遠心分離し、上澄みを30分間窒素で泡立たせて残留HFIPを蒸発した。細胞をPBSで二回洗浄し、24時間上澄みでインキュベートした。MTT(Sigma M−2128)を次いで3時間添加した後、溶解緩衝液を添加して一晩インキュベートした。アッセイは製造者の指示に従って実施された。試料は570nmで読まれた。細胞生存率はフェノールレッドありまたはなしのそれぞれの培地においてhIAPPの不存在下でインキュベートされた細胞と比較して計算された。
走査電子顕微鏡観察:細胞を、MTTアッセイと同じ条件下でガラス顕微鏡カバースリップ上で増殖した。hIAPPでのインキュベーション直後、細胞を2%グルタルアルデヒド(v/v)で固定し、4℃で24時間貯蔵した。細胞はエタノールの濃度の増加(30%,50%,70%,90%,95%,100%)とともに連続的に脱水され、臨界点乾燥器で乾燥された。標本カバースリップをコロイド金で被覆し、25kVで操作するJOEL JSM 840A顕微鏡を使用して観察した。
実 施 例 1
hIAPPのコアアミロイド形成フラグメントの凝集についてのフェノールレッドの効果
hIAPP(hIAPP22−29,hIAPP20−29)のコアアミロイド形成フラグメントは水溶液で凝集する。かかる凝集挙動はアミロイド形成のための予備アッセイとして役立った。
フェノールレッドのアミロイド形成を阻害する能力を評価するために、1mM hIAPP22−29およびhIAPP20−29(それぞれ配列番号1および配列番号2)の凝集は40mMフェノールレッドの不存在または存在下で調査された。hIAPPコアペプチドに対するフェノールレッド分子の特異性を同定するため、極めて小さい分子−スルホン基の不足によってのみ異なるフェノールフタレインはコントロールとして使用された(図7)。
図1a−bに示されるように、hIAPP20−29凝集速度はhIAPP22−29より低く、全ての試料においてほぼ2時間の遅延時間が明らかであった。フェノールフタレインを使用する阻害効果は全く明らかでなく、その凝集曲線は3時間後に劇的に増大したhIAPP20−29凝集と同様であった(図1b)。阻害剤としてフェノールレッドを使用することは凝集を減少させ、それは3時間のインキュベーション後の凝集レベルにおいて極めて小さい上昇を示した。
図1aに示されるようにhIAPP22−29は数秒内に凝集し、その濁度は10分のインキュベーション後に平坦域に達した。しかしながら、フェノールレッドの存在下では、hIAPP22−29の凝集は実質的に終結され、ずっと低い速度および濁度の一定レベルを示した。
実 施 例 2
円偏光二色性(CD)を使用する二次構造評価
野生型hIAPP1−37(配列番号3)は原繊維化プロセス内で無秩序なコイル立体構造からβシートへの変移を受ける。この二次構造の変移はフェノールレッドの存在または不存在下で行なわれる。hIAPP1−37はHFIPに溶解され、酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に希釈されて1% HFIPおよび4μMの最終濃度にされた。ペプチドの二次構造の変化は96時間モニターされた。
図2aに示されるように、フェノールレッドの不存在下では、hIAPP1−37は6時間内でβシート構造への初期変移および24時間内で最大楕円率(218nm、それはβシート構造に相当する)を示した。これらの構造は96時間相対的に安定したままであった。
10モル比のフェノールレッドを添加すると、βシート立体構造への変移は有意に阻害され(図2b)、218nmの楕円率の初期の極めて低いレベルは46時間後に測定され、極めて遅い増大が96時間後に示された。
実 施 例 3
チオフラビンT蛍光によるアミロイド原繊維形成
チオフラビンT(ThT)はアミロイド形成のレベルを検出するために一般に使用される。hIAPP1−37溶液は上記のように調製された。フェノールレッドの存在または不存在下でのインキュベーションおよび各試料への3μM ThTの添加後、蛍光を測定した。
図3aに示されるように、フェノールレッドの不存在下では、hIAPP1−37は約20時間の遅延段階を示し、その後蛍光レベルが迅速に増大した。40μMのフェノールレッドの存在下では、極めて低くかつ一定のレベルの蛍光がアッセイ全体に対して検出された。hIAPPペプチドの凝集についてのフェノールレッドの用量依存阻害効果は図3b−cに示される。高いフェノールレッド濃度(hIAPPに対して4倍より高いフェノールレッド)は24時間後、一定の低い蛍光レベルを示した。一週間のインキュベーション後であっても、濃度依存阻害は同様であり(図3c)、約90%の阻害レベルは20μM以上のフェノールレッド濃度に対して達成された。これらの結果はフェノールレッドがアミロイド原繊維形成の潜在的な阻害剤であることを実証する。
実 施 例 4
TEMによって測定されるフェノールレッドを有するhIAPP原繊維の形態
(実施例3に記載される)凝集アッセイからとったhIAPP22−29およびhIAPP20−29の試料を透過電子顕微鏡を使用して視覚化した。図4aに示されるように、hIAPP22−29ペプチドの両試料において凝集の開始後3および72時間で明瞭で良く規定されたアミロイド繊維が観察され、72時間後繊維密度および幅において小さな増加があった。対照的に、フェノールレッドの存在下では、3時間後に繊維は全く観察されなかったが、72時間後に異なる形態を有するほんの少量の原繊維が観察された。同じ結果はフェノールレッド阻害剤の存在下の24時間インキュベーション後のhIAPP20−29ペプチド(図4b)で得られた。同じ条件下でフェノールフタレインを使用して阻害は全く観察されず、原繊維構造はTEMグリッド上で明白であった。
図4cに示されるように、hIAPP1−37アミロイド−シスの阻害剤としてフェノールレッドを使用するとき、同じ阻害傾向が観察された。繊維形成における有意な速動性阻害は繊維形成の第一段階において存在し(約30時間)、そこではフェノールレッドの存在下では繊維は全く存在しなかった。
実 施 例 5
緑茶ポリフェノールでのIAPP原繊維形成の阻害
ThTはhIAPP1−37原繊維形成についての緑茶ポリフェノール化合物の阻害効果を決定するために使用された(実施例3参照)。
結果:
図5aに示されるように、全てのポリフェノール化合物はhIAPP単独と比較してhIAPP1−37原繊維形成について長期間阻害効果を有していた。この阻害はコンゴーレッドの阻害効果に類似していた。IAPP単独の蛍光値は48時間後、増大したが、阻害剤の存在下のhIAPP1−37蛍光の初期増加は72時間後のみ検出可能であった。
阻害効果のより詳細な観察はガラート基を有する全てのポリフェノール(即ち、追加のフェノール環を含有する)は良好な阻害剤であることを示した(図5b)。これは阻害効果について追加の芳香族環に対する重要性があることを示唆しうる。この結果はβ−アミロイドについてのアポモルフィンの阻害効果およびスクレピー−関連プリオンタンパク質についての種々のポリフェノールの阻害効果を記載する二つの他のグループ[LashuelらJ.Biol. Chem.2002 277:42881−90;KociscoらJ.Virol.2004 77:10288−10294]によって独立して確認された。
実 施 例 6
ピロカテコールバイオレットによるヒト小島アミロイドポリペプチド原繊維形成の用量依存阻害
実験手順
チオフラビンT蛍光アッセイ:hIAPP1−37の原繊維化は40μMまたは4μMの阻害剤濃度を使用して、上記のように、チオフラビンT(ThT)色素結合アッセイによってモニターされた。
結果
図6に示されるように、ThTアッセイで得られた結果はピロカテコールバイオレットがhIAPP1−37によるアミロイド形成を効果的に阻害することを明らかに示す。ピロカテコールバイオレットのないhIAPPは蛍光レベルにおいて急速な増加を示したが、第一時間ポイント(2.6時間)で既にピーク値によって示されるように、4μMピロカテコールバイオレットの追加はアッセイ全体にわたって有意に低いレベルの蛍光を生じ、40μMピロカテコールバイオレットの追加でさらに強い阻害効果が検出された。
実 施 例 7
フェノールレッド誘導体によるIAPP原繊維形成の阻害
フェノールレッドと比較して原繊維形成を阻害するための上記のフェノールレッド誘導体PF3(ジアセトキシフェノールレッド、図7)およびPF4(ジメトキシフェノールレッド、図7)の能力を評価するために、蛍光ThT速動性アッセイを実施した。
結果
図8a−bから明らかなように、PF3およびPF4(40μM)分子の両方はフェノールレッド分子に対して低下した阻害効果を示した。PF3分子は安定していないことが見出され、数分内の可溶化で破粋する傾向を示した。PF4分子の相対的な阻害効果は、特に試料が遠心分離されないとき、より明白であった(図8b)。
実 施 例 8
フェノールレッドはhIAPPで処理されたPC12細胞についての生存効果を導き出す
hIAPP1−37凝集体によって誘導された細胞毒性についてのフェノールレッドの効果を研究するために、PC12細胞系を使用した。細胞は、新鮮なhIAPP1−37を増殖培地に加えながら、フェノールレッドの段階的濃度ありまたはなしで96ウェルプレートで増殖された。24時間のインキュベーション後、細胞生存率は、IAPP試料吸光度を、同じフェノールレッド濃度を含有する非IAPPコントロールで置換することによって計算された。図9から明らかなように、MTT細胞生存率アッセイはフェノールレッドによる細胞の濃度依存救助を示した。
実 施 例 9
フェノールレッドは膵β細胞についてのアミロイド凝集体の細胞毒性効果を阻害する
培養物中の膵β細胞についてのhIAPPアミロイド集合体の細胞毒性効果を調整するためのフェノールレッドの能力を取扱った。グルコースに対して通常のインシュリン分泌応答を有する高度に分化されたマウスβ細胞系(βTC−tet Fleischer 1998 SUpra)を使用した。細胞はフェノールレッドありまたはなしで増殖され、新鮮なhIAPPを増殖培地に添加した。MTT細胞生存性アッセイは、培地中のフェノールレッドの存在がβ細胞をhIAPP集合体の細胞毒性効果から保護し、細胞生存性を50%から80%へ増大する(p<0.05)(図10a)ことを明らかに示した。hIAPPの存在下で増殖されたβ細胞の走査電子顕微鏡(SEM)分析はhIAPP細胞毒性について前に報告したように広範な膜ブレブ形成[Saafi,E. L.,Konarkowska,B.,Zhang,S.,Kistler,J.and Cooper,G.J.(2001)Ultrastructural evidence that apoptosis is the mechanism by which human amylin evokes death in RINm5F pancreatic islet beta−cells,Cell.Biol.Int.25,339−350]、および細胞の大多数の典型的な細胞形態の崩壊(図10d)を示した。他方、未処理細胞(図10h)とhIAPPおよびフェノールレッドの存在下で増殖された細胞(図10f)の間で実際に有意な差は全く観察されることができなかった。両方の場合において、細胞のほとんどは通常の形態を維持した。目に見えるブレブ形成は全くなく、微小突起および葉状仮足の膜範囲が存在していた。さらに、低倍率のSEM検査で、β細胞の通常のアレイはフェノールレッドで保護された細胞およびコントロール細胞(それぞれ図10eおよび10g)で観察されることができた。著しく対照的に、フェノールレッド保護のないIAPPインキュベーションでは単離されかつ形態変更された細胞だけが観察されることができた。
これらの結果を総合すると、フェノールレッドが細胞、特に膵β細胞についてのhIAPP1−37原繊維の細胞毒性効果を阻害することを示す。
分かりやすくするため別個の実施態様で説明されている本発明のいくつもの特徴は、組み合わせて単一の実施態様にして提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡略化するため単一の実施態様で説明されている本発明の各種特徴は、別個に又は適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明を、その具体的実施態様とともに説明してきたが、多くの変形と変更が当業技術者には明らかであることは明白である。したがって、本発明は、本願の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入っているこのような変形と変更をすべて包含することが意図される。本明細書に記載のすべての刊行物、特許及び特許願は、あたかも、個々の刊行物、特許又は特許願の各々が、本願に具体的にかつ個々に参照して示されているのと同程度に、全体を本願に援用するものである。さらに、本願における任意の文献の引用もしくは確認は、このような文献が本発明に対する従来技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
フェノールレッドの存在下でのhIAPPコアアミロイド形成ペプチド(hIAPP22−29及びhIAPP20−29)凝集の阻害を示すグラフである。 円偏光二色性を使用して測定された、フェノールレッドの不存在(図2a)又は存在(図2b)下のhIAPP1−37ペプチドの二次構造変移を示すグラフである。 チオフラビンT蛍光アッセイによって測定された、ヒトIAPP1−37原繊維形成のフェノールレッドの効果を示すグラフである。 チオフラビンT蛍光アッセイによって測定された、ヒトIAPP1−37原繊維形成のフェノールレッドの効果を示すグラフである。 フェノールレッド及びフェノールフタレイン阻害剤の不存在又は存在下のhIAPP22−29,hIAPP20−29ペプチド、及びhIAPP1−37の形態を示す顕微鏡写真である。 フェノールレッド及びフェノールフタレイン阻害剤の不存在又は存在下のhIAPP22−29,hIAPP20−29ペプチド、及びhIAPP1−37の形態を示す顕微鏡写真である。 フェノールレッド及びフェノールフタレイン阻害剤の不存在又は存在下のhIAPP22−29,hIAPP20−29ペプチド、及びhIAPP1−37の形態を示す顕微鏡写真である。 ThT蛍光アッセイによって測定された、緑茶ポリフェノールによるhIAPP原繊維形成の阻害を示すヒストグラムである。 ThT蛍光アッセイによって測定された、緑茶ポリフェノールによるhIAPP原繊維形成の阻害を示すヒストグラムである。 ThT蛍光アッセイによって測定された、ピロカテコールバイオレットによるhIAPP1−37原繊維形成の阻害を明らかにする比較プロットを与える(四角は阻害剤の添加なしを示し、三角は4μMピロカテコールの添加を示し、円は40μMピロカテコールバイオレットの添加を示す)。 阻害剤フェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、フェノールフタレイン、ジアセトキシフェノールレッド(PF3)及びジメトキシフェノールレッド(PF4)の化学構造(2D)を与える。 チオフラビンT蛍光アッセイによって測定された、PF3及びPF4によるhIAPP1−37原繊維形成の阻害を示すヒストグラムである。 hIAPP1−37の存在下でインキュベートされたPC12細胞についてフェノールレッドの用量依存救助的効果を示す棒グラフである。 hIAPP凝集の存在下でインキュベートされた膵β細胞についてのPRの救助的効果を示す。図10aはフェノールレッドあり又はなしのそれぞれの培地においてhIAPPの不存在下でインキュベートされた細胞と比較した細胞生存性を示す。図10b−dはhIAPP単独の添加後の細胞を示す。 hIAPP凝集の存在下でインキュベートされた膵β細胞についてのPRの救助的効果を示す。図10e−fは増殖培地において40μMフェノールレッドの存在下でhIAPPで処理された細胞を示す。図10g−hはhIAPPで処理されていないコントロール細胞を示す。
配列番号1〜3は合成ペプチドの配列である。

Claims (10)

  1. アミロイド関連疾患の処置のために特定される薬剤の製造のための、下記一般式Iで表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の使用:
    式中、Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは硫黄であり;
    −R 各々独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、フェニル、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、C−カルボキシ、O−カルボキシ、チオカルボキシ、カルボニル、オキソ、チオカルボニル、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選択されるか、またはR−Rの少なくとも二つは少なくとも一つの五員または六員芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはへテロ脂環式環を形成し;
    及びRは各々オキソであり;
    及びR は不存在であり;
    及びR10は各々独立して、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、及び一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニルからなる群から選択され;
    前記アミロイド関連疾患は、II型糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、前徴アルツハイマー病、パーキンソン病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様ガン、大動脈の医学的ガン腫、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症アミロイドーシス、ハンチントン病、老年性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイドーシス、家族性英国痴呆、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、ヒツジおよびヤギのスクレイピー、ウシ類のウシ海綿状脳症(BSE)、ヒトのプリオン病、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)および致死性家族性不眠症(FFI)からなる群から選択される。
  2. 前記化合物はフェノールレッド、ジメトキシフェノールレッド、メトキシフェノールレッド、ジアセトキシフェノールレッド、アセトキシフェノールレッド、ピロカテコールバイオレット及びブロモフェノールレッドからなる群から選択される請求項1に記載の使用。
  3. 包装材料と前記包装材料内に含有されるアミロイド関連疾患を処置するために特定される薬学的組成物を含む製品であって、前記薬学的組成物が有効成分としての下記一般式Iで表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、及び薬学的に受容可能なキャリアを含む製品:
    式中、Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは硫黄であり;
    −R 各々独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、フェニル、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、C−カルボキシ、O−カルボキシ、チオカルボキシ、カルボニル、オキソ、チオカルボニル、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選択されるか、またはR−Rの少なくとも二つは少なくとも一つの五員または六員芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはへテロ脂環式環を形成し;
    及びRは各々オキソであり;
    及びR は不存在であり;
    及びR10は各々独立して、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、及び一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニルからなる群から選択され;
    前記アミロイド関連疾患は、II型糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、前徴アルツハイマー病、パーキンソン病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様ガン、大動脈の医学的ガン腫、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症アミロイドーシス、ハンチントン病、老年性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイドーシス、家族性英国痴呆、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、ヒツジおよびヤギのスクレイピー、ウシ類のウシ海綿状脳症(BSE)、ヒトのプリオン病、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)および致死性家族性不眠症(FFI)からなる群から選択される。
  4. 前記化合物はフェノールレッド、ジメトキシフェノールレッド、メトキシフェノールレッド、ジアセトキシフェノールレッド、アセトキシフェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、及びブロモフェノールレッドからなる群から選択される請求項3に記載の製品。
  5. 治療有効量の下記一般式Iで表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、及び薬学的に受容可能なキャリアを含むアミロイド関連疾患の処置に使用するための薬学的組成物:
    式中、Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは硫黄であり;
    −R 各々独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、フェニル、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、C−カルボキシ、O−カルボキシ、チオカルボキシ、カルボニル、オキソ、チオカルボニル、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選択されるか、またはR−Rの少なくとも二つは少なくとも一つの五員または六員芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ脂環式環を形成し;
    及びRは各々オキソであり;
    及びR は不存在であり;
    及びR10は各々独立して、アルコキシフェニル、チオアルコキシフェニル、アリールオキシフェニル、チオアリールオキシフェニル、カルボキシフェニル、チオカルボキシフェニル、及び一つ以上のヒドロキシ基によって置換されたフェニルからなる群から選択され;
    前記アミロイド関連疾患は、II型糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、前徴アルツハイマー病、パーキンソン病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様ガン、大動脈の医学的ガン腫、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症アミロイドーシス、ハンチントン病、老年性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイドーシス、家族性英国痴呆、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、ヒツジおよびヤギのスクレイピー、ウシ類のウシ海綿状脳症(BSE)、ヒトのプリオン病、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)および致死性家族性不眠症(FFI)からなる群から選択される。
  6. 前記化合物はフェノールレッド、ジメトキシフェノールレッド、メトキシフェノールレッド、ジアセトキシフェノールレッド、アセトキシフェノールレッド、ピロカテコールバイオレット、及びブロモフェノールレッドからなる群から選択される請求項5に記載の薬学的組成物。
  7. 抗アミロイド薬をさらに含む請求項5に記載の薬学的組成物。
  8. 前記抗アミロイド薬はアミロイド脱安定化抗体、アミロイド脱安定化ペプチド及び抗アミロイド小分子からなる群から選択される請求項7に記載の薬学的組成物。
  9. 下記一般式IIで表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩:
    式中、Q及びQは各々独立して、酸素及び硫黄からなる群から選択され、
    及びAは各々独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びカルボニルからなる群から選択され、
    及びQが各々酸素であるとき、A及びAの一方は水素であり、他方はアルキル、シクロアルキル、アリール及びアセチルからなる群から選択される。
  10. 及びQは各々酸素であり、A及びAの一方が水素であり、他方がメチルである請求項9に記載の化合物。
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