JP4917692B1 - 切削装置用の歯科用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 充填材と樹脂マトリックスを含む歯科用組成物において、前記歯科用組成物のペースト時の操作性を向上させ、前記歯科用組成物で形成された歯科用補綴物の機械的強度を改良する。
【解決手段】少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含み、前記の少なくとも1種の充填材が粒子であり、前記粒子の平均粒径が110〜500μmであり、最大粒径が前記平均粒径の1.4倍未満であり、および粒径分布のD30が前記平均粒径の0.9倍以上である、歯科用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科分野で用いられる組成物に関する。本発明は、前記組成物により形成された人工歯等の歯科用補綴物にも関する。
充填材および樹脂マトリックスを含む歯科用組成物は、歯牙欠損部の修復、人工歯等の歯科用補綴物の作製に多用される歯科用材料である。前記の歯科用材料は、硬化後には天然歯に相当する機械的強度、硬度および色調適合性、ならびに口腔内での噛み合わせに対する耐摩耗性等に関する患者の要求がある。加えて、硬化前のペースト状態では、歯科医師や技工士等の術者が扱いやすい適度な安定性、付形性および金型への充填性、ならびに硬化後には、天然歯に相当する切削感および研磨性に関する術者の要求もある。
さらに、歯科用材料は、例えば、口腔内での歯牙欠損部の充填および形成の後、または口腔外での歯科用補綴物の形成の後に、重合硬化によりペーストから硬化物へと変化する。この変化において重要なことは、重合硬化に伴う体積の収縮である。すなわち、重合硬化に伴う体積の収縮の程度(以下、「重合収縮率」と称する)が大きいと、歯牙と歯科用材料の界面において、または歯科用補綴物の内部において、大きな歪みや間隙が生じ、結果として密着性や機械的強度に劣ることとなる。
従来型の歯科用材料は、比較的大きな石英(約150μm)を含有していた。前記のような比較的大きな充填材を含有する歯科用材料は、硬化物の機械的強度および硬化に伴う重合収縮率は実用的なものであるが、切削感および研磨性に対する術者の要求ならびに耐磨耗性に対する患者の要求に関して満足のいくものではなかった。
粒径0.01〜0.05μmの超微粒子シリカを充填材として含有する歯科用材料も開発された。前記のような超微粒子充填材を含有する歯科用材料は、その硬化物における研磨性が優れ、容易に滑沢面を得ることができる。しかしながら、前記歯科用材料はペースト状態において粘度が上るために、前記の超微粒子充填材の配合量には限界があった。このため、得られる硬化物の機械的強度、耐磨耗性および重合収縮率は好ましいものではなかった。前記2つのタイプの歯科用材料の長所をあわせもつ、ハイブリッド型の歯科用材料も開発された(特開昭63−88110号公報)。
歯科用材料は、上記したような術者や患者の様々な要望に応えるため、歯科用材料の樹脂マトリックスにおける重合性単量体および重合開始剤も改良された。樹脂マトリックスの改良に伴って、重合剤にも改良が加えられ、新しい材質が開発された。サブミクロンの平均粒径を有する充填材も開発され、歯科用材料に用いられた。
特開昭63−88110号公報
従来の歯科用材料は、術者が歯科用ルーターを用いて手作業で切削することを前提として開発されてきたために、充填材の粒径は、約150μmからサブミクロンへと移行してきた。しかしながら、サブミクロンの充填材を含有する歯科用材料により得られる硬化物は、患者の要求する耐磨耗性を満足するには十分ではなかった。
本発明者らは、硬い硬化物を与える歯科用材料を鋭意検討した。その結果、本発明者らは、平均粒径が大きい充填材を含有する歯科用材料から得られた硬化物を、術者の手作業に拠らず切削装置により切削した場合に、切削後の硬化物の機械的強度および耐磨耗性が優れることを見出した。
本発明の1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含む歯科用組成物であって、前記の少なくとも1種の充填材は第一の粒子を含み、前記第一の粒子は、その平均粒径が110〜500μmであり、その最大粒径が前記平均粒径の1.4倍未満であり、およびその粒径分布のD30が前記平均粒径の0.9倍以上である、歯科用組成物を提供する。
本発明の好ましい態様において、前記の歯科用組成物が含有する第一の粒子の材料は、無機材料、有機材料、または有機無機複合材料のいずれであってよい。
本発明の他の実施形態において、本発明は、少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含む歯科用組成物であって、前記の少なくとも1種の充填材が第一の無機粒子を含み、前記第一の無機粒子の平均粒径は110〜500μmであり、好ましくは200μm〜500μmであり、より好ましくは300μm〜500μmであり、さらに好ましくは400μm〜500μmであり、前記第一の無機粒子の最大粒径は前記平均粒径の1.4倍未満であり、および前記第一の無機粒子の粒径分布のD30は前記平均粒径の0.9倍以上である、歯科用組成物を提供する。
本発明の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含む歯科用組成物であって、前記の少なくとも1種の充填材が、第一の粒子および第二の粒子を含み、前記第一の粒子は、その平均粒径が110〜500μmであり、好ましくは200μm〜500μmであり、より好ましくは300μm〜500μmであり、さらに好ましくは400μm〜500μmであり、その最大粒径が前記平均粒径の1.4倍未満であり、およびその粒径分布のD30が前記平均粒径の0.9倍以上であり、前記第一の粒子に対する前記第二の粒子の平均粒径の比(=[第二の粒子の平均粒径]/[第一の粒子の平均粒径])が0.1〜0.3であり、好ましくは0.15〜0.25であり、ならびに前記第一の粒子に対する前記第二の粒子の配合量の比(質量比)(=[第二の粒子の配合量(質量)]/[第一の粒子の配合量(質量)])が0.05〜0.5であり、好ましくは0.05〜0.3であることを特徴とする、歯科用組成物をさらに提供する。
本発明の好ましい態様において、前記の歯科用組成物が含有する第一の粒子の材料は、無機材料、有機材料または有機無機複合材料のいずれであってもよく、かつ前記の歯科用組成物が含有する第二の粒子の材料は、無機材料、有機粒子材料または有機無機複合材料のいずれであってもよい。
さらに、本発明は、少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含む歯科用組成物であって、前記の少なくとも1種の充填材が、第一の無機粒子および第二の無機粒子を含み、前記第一の無機粒子の平均粒径は110〜500μmであり、好ましくは200μm〜500μmであり、より好ましくは300μm〜500μmであり、さらに好ましくは400μm〜500μmであり、前記第一の粒子の最大粒径は前記平均粒径の1.4倍未満であり、および前記第一の粒子の粒径分布のD30は前記平均粒径の0.9倍以上であり、前記第一の無機粒子に対する前記第二の無機粒子の平均粒径の比が0.1〜0.3であり、好ましくは0.15〜0.25であり、ならびに前記第一の無機粒子に対する前記第二の無機粒子の配合量の比(質量比)が0.05〜0.5であり、好ましくは0.05〜0.3であることを特徴とする、歯科用組成物をさらに提供する。
本発明にかかる1つの実施形態において、プログラム制御された自動切削装置により切削することで、耐磨耗性、機械的強度および滑沢性に優れた硬化物が提供される。本発明にかかる他の実施形態において、前記硬化物を形成する歯科用組成物が提供される。また、本発明にかかる1つの実施形態において、安定性に優れ、金型への充填性に優れたペーストを与える歯科用組成物が提供される。
図1aは、粒子試料中の粒子のヒストグラム。x軸は、粒径を表す階級の代表値[μm]を示す。y軸は粒子の個数を表す。wは、階級の幅を示す。図1bは、粒子試料中の粒径の相対度数曲線および累積相対度数曲線を示すグラフ。x軸は粒子の粒径[μm]を示す。第一縦軸(左)は相対度数[%]を示す。第二縦軸(右)は累積相対度数[%]を示す。ダイアモンド(◆)は、粒子試料中の粒子の相対度数を示す。白丸(○)は、粒子試料中の粒子の累積相対度数を示す。破線は、粒子試料中の粒子の相対度数曲線(R)を示す。実線は、粒子試料中の粒径の累積相対度数曲線(C)を示す。 本発明の歯科用組成物で形成された硬化物の断面の模式図。a1は、歯科用ルーターを備えたCAD/CAMシステムにより切削した、硬化物の切削面を示す。b1は、硬化物中の第一の無機粒子を示す。c1は、硬化物中の第二の無機粒子を示す。d1は、硬化物における樹脂マトリックスを示す。 本発明の歯科用組成物で形成された硬化物の断面の模式図。a2は、術者が歯科用ルーターを用いて手作業で切削した、硬化物の切削面を示す。b2は、硬化物中の第一の無機粒子を示す。c2は、硬化物中の第二の無機粒子を示す。d2は、硬化物における樹脂マトリックスを示す。
本明細書において、「歯科用組成物」は、歯科分野で用いることができる組成物を意味する。本発明にかかる歯科用組成物は、少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスを含む。
本発明の1つの実施形態において、本発明にかかる歯科用組成物が含有する少なくとも1種の充填材の材料は、無機材料、有機材料または有機無機複合材料であってよい。したがって、本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物が含有する少なくとも1種の充填材は、無機充填材、有機充填材または有機無機複合充填材であってよい。本発明の好ましい実施形態において、本発明にかかる歯科用組成物が含有する少なくとも1種の充填材は、無機充填材である。
本発明の一態様において、本発明の歯科用組成物が含有する充填材の無機材料は、限定するものではないが、一般に歯科用組成物として使用できるいずれの無機材料であってよい。そのような無機材料の例としては、限定するものではないが、石英、無定形シリカ、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、種々のガラス類(溶融法によるガラス、ゾル−ゲル法による合成ガラスなどを含む)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、ゼオライト等が挙げられる。好ましくは、ナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属および/またはフッ素を含むアルミノシリケートガラス、ボロシリケート、アルミノボレート、ボロアルミノシリケートガラス等のガラス類である。これらの無機材料は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の他の態様において、本発明の歯科用組成物が含有する無機充填材は、気相法により生成したアエロジルまたはゾル−ゲル反応等の溶液中から生成したシリカージルコニア酸化物粒子等の無機超微粒子を凝集させた凝集性無機充填材等であってもよい。これらの無機充填材は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物が含有する充填材の無機材料は、ガラスである。本発明の好ましい態様において、前記の充填材の無機材料はアルミノシリケートガラスである。本発明のさらに好ましい態様において、本発明に用いられるガラスの組成は、SiOがガラス組成物に対して60〜90質量%、Alがガラス組成物に対して5〜20質量%およびその他の無機酸化物がガラス組成物に対して3〜20質量%である。その他の無機酸化物の例としては、限定するものではないが、アルカリ金属酸化物、着色顔料等が挙げられる。本発明にかかるガラスは、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、およびバリウムの酸化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含んでいてよい。
本発明の一態様において、本発明の歯科用組成物が含有する充填材の材料は、歯科材料として使用可能な公知の有機樹脂を用いることができる。そのような有機樹脂の例としては、限定するものではないが、(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリレート」または「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル基含有重合性単量体とメタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
本発明の一態様において、本発明の歯科用組成物が含有する充填材の有機材料としては、限定するものではないが、単官能性単量体:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物、芳香族系二官能性単量体:2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等、脂肪族系二官能性単量体:2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等、三官能性単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等、四官能性単量体:ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の、単重合体または共重合体等が挙げられる。
本発明の一態様において、本発明の歯科用組成物が含有する充填材の材料は、歯科材料として使用可能な公知の有機無機複合材料を用いることができる。本発明で用いられる有機無機複合材料は、無機充填材を重合性単量体に分散させた混合物を、重合化した後に粉砕して得られる粉末であってよい。前記の有機無機複合材料は、重合性単量体で構成される高分子マトリックス中に、前記の無機充填材が分散した状態にある。本発明の1つの実施形態において、本発明の歯科用組成物に用いられる有機無機複合材料を構成する無機充填材の材料は、本発明の歯科用組成物に無機充填材として用いられる上記の材料であってよい。そのような無機充填材としては、限定するものではないが、コロイダルシリカ(商品名:アエロジルR972、アエロジル200、アエロジル380、アエロジル50、日本アエロジル社製)であってよい。また、本発明の1つの実施形態において、本発明の歯科用組成物に用いられる有機無機複合材料を構成する高分子マトリックスは、本発明の歯科用組成物に無機充填材として用いられる上記の材料であってよい。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、第一の粒子を含み、前記第一の粒子の平均粒径は110〜500μmであり、前記第一の粒子の最大粒径は前記平均粒径の1.4倍未満であり、および前記第一の粒子の粒径分布のD30は前記平均粒径の0.9倍以上である。
本発明の好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、前記第一の粒子に加えて、第二の粒子をさらに含んでいてよく、前記第二の粒子は、限定するものではないが、前記第二の粒子の平均粒径は好ましくは20〜112μmであり、前記第二の粒子の最大粒径は前記平均粒径の1.4倍未満であり、および前記第二の粒子の粒径分布のD30は前記平均粒径の0.8倍以上である。
本発明のさらに好ましい態様において、前記の第一の粒子および前記の第二の粒子はそれぞれ、無機粒子である。
本発明の好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、前記第一の粒子および前記第二の粒子を含み、前記第一の粒子の最小粒径が80μmであり、および/または前記第二の粒子の最小粒径が10μmである。
本発明のさらに好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、前記第一の粒子および前記第二の粒子を含み、前記第一の粒子に対する前記第二の粒子の平均粒径の比が0.1〜0.3であり、好ましくは0.15〜0.25であり、ならびに前記第一の粒子に対する前記第二の粒子の配合量の比(質量比)が0.05〜0.5であり、好ましくは0.05〜0.3である。
本発明のよりさらに好ましい態様において、前記の第一の粒子および前記の第二の粒子はそれぞれ、無機粒子である。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材が、前記歯科用組成物において65.0〜99.5質量%であり、好ましくは70〜98質量%であり、より好ましくは80〜95質量%である。本発明の他の態様において、本発明にかかる歯科用組成物は、前記歯科用組成物において65.0〜99.5質量%の少なくとも1種の充填材、および0.5〜35.0質量%の前記樹脂マトリックスを含む。
本発明の他の態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材が、前記第一の粒子、前記第二の粒子および第三の粒子を含む。本発明の好ましい態様において、前記第三の粒子の平均粒径は1nm〜1μmである。本発明のさらに好ましい態様において、前記第三の粒子は、限定するものではないが、コロイダルシリカ(商品名:アエロジルR972、アエロジル200、アエロジル380、アエロジル50、日本アエロジル社製)であってよい。前記第三の粒子の平均粒径は、それぞれ16nm(アエロジルR972)、12nm(アエロジル200)、7nm(アエロジル380)、30nm(アエロジル50)である。
本発明において、「粒径」は個数基準であり、顕微鏡写真撮影を行い、その撮影像から粒子の定方向径(グリーン径)を測定し、粒径を得る。本発明において、「平均粒径」は、粒子試料中の複数個の粒子を測定し、得られた粒径の算術平均値である。前記の平均粒径は、限定するものではないが、粒子試料中の粒子1000個を測定することにより計算される。粒子試料中の複数個の粒子を測定して得られた粒径の最大値および最小値が、それぞれ、粒子試料中の粒子の「最大粒径」および「最小粒径」である。前記の粒子の最大粒径および最小粒径は、限定するものではないが、粒子試料中の粒子1000個を測定することにより決定される。
本明細書中の用語「粒径分布のD30」は、以下の方法で求められる粒子試料の粒径である。粒子試料中の複数個の粒子を測定する。測定した粒子の数(n)から、適当な階級数を設定する。階級数の設定は、限定するものではないが、測定した粒子の数(n)を用いて、平方根則(√n)またはスタージェスの公式(1+logn)により行われる。得られた階級数は、限定するものではないが、四捨五入などにより適当な整数に変更してもよい。そのような適当な階級数は、限定するものではないが、平方根則で得られた階級数であってもよいし、スタージェスの公式で得られた階級数であってもよいし、あるいはそれらの階級数の間のいずれかの整数であってよい。粒子の最大粒径と粒子の最小粒径との差から、粒径の範囲を計算する。計算した粒径の範囲を階級数で割り、粒径を表す階級の幅(w)を求める。求めた階級の幅(w)は、限定するものではないが、四捨五入などにより、適当な数値に変更してもよい。階級の幅(w)は、限定するものではないが、30μm、20μm、15μm、10μm、5μmおよび1μmなどであってよい。決定した階級の幅(w)の階級に、測定した粒径データを振り分け、度数分布を得る。得られた度数分布から、x軸が各階級の代表値のヒストグラムを作成することができる(図1a)。得られた度数分布から、それぞれの度数の相対度数(%)および累積相対度数(%)を得ることができる。得られた相対度数(図1a、ダイアモンド;◆)および累積相対度数(図1a、白丸;○)を、x軸が粒径のグラフに示し(図1b)、それぞれ相対度数曲線(破線;R)および累積相対度数曲線(図1b、実線;C)を得る。得られた累積相対度数曲線(C)において、累積相対度数が30%のときの粒径を表すx座標の値が、「粒径分布のD30」である。前記の粒径分布のD30は、限定するものではないが、粒子試料中の粒子1000個の粒径から決定される。
本発明の1つの実施形態において、本発明にかかる歯科用組成物に用いられる充填材は、通常充填材として使用される市販の原料粒子を加工することなく使用してもよい。所望の平均粒径の粒子を作製する場合は、原料粒子を粉砕することにより得ることができる。前記粉砕は、限定するものではないが、湿式法または乾式法等の、業界で一般に使用されている方法で行うことができる。例えば、ハンマーミルやターボミル等の高速回転ミル、ボールミルや振動ミル等の容器駆動媒体ミル、サンドグラインダーやアトライター等の媒体撹拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。これらは、所望の粒子の平均粒径に応じて、適宜選定することができる。平均粒径の小さい粒子を得るためには、水性媒体中での湿式粉砕法が好ましい態様である。その時に用いる水性媒体としては、水単独または必要に応じて水と相溶するアルコール類、エーテル類およびケトン類等を混合して用いることができる。湿式粉砕条件は粒子の大きさや硬さ、仕込み量、水性媒体の種類や添加量、または粉砕機の種類等により異なるが、所望の粒子の平均粒径に応じて、適宜選ぶことができる。
本発明の好ましい他の態様において、本発明の歯科用組成物に用いられる粒子の充填材は、限定するものではないが、気相法、ゾル−ゲル法、懸濁重合法、または分散重合法等により作製することができる。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物で用いられる粒子の円形度は、0.7〜1.0の範囲であり、好ましくは0.9〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.95〜1.00の範囲にある。
粒子の円形度は、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)の撮影像を画像解析装置で処理することにより求めた。画像処理するサンプル数は50個以上とした。即ち、画像処理で得られた粒子の面積をSとし、粒子の周囲長をLとし、円形度e=(4・π・S)/(L)を算出した。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、屈折率(N)が1.46〜1.58であり、好ましくは1.49〜1.54である。本発明の別の態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材の屈折率は、本発明にかかる樹脂マトリックスの屈折率との差が0.03以内であり、好ましくは0.01以内である。
本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、重合性単量体および重合開始剤を含む。前記の重合性単量体は、限定するものではないが、一般に歯科用組成物に用いられる公知の単官能性および多官能性の重合性単量体を使用することができる。本発明の一態様において、重合性単量体は、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体である。
酸性基を有しない重合性単量体類の例としては、限定するものではないが、単官能性単量体:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物、芳香族系二官能性単量体:2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等、脂肪族系二官能性単量体:2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等、三官能性単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等、四官能性単量体:ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性単量体の例としては、限定するものではないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体とメチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、目的に応じて、上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体、オリゴマーまたはポリマーを用いてもよい。本発明の一態様において、重合性単量体は、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。本発明において、重合性単量体は、単一成分であってもよいし、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物であってもよい。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、当該重合性単量体を低粘度の重合性単量体と組み合わせ、重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。前記の組み合わせにおいて、重合性単量体は、2種類または3種類以上用いてもよい。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、単官能性重合性単量体のみを含んでいてもよく、多官能性重合性単量体をさらに含んでいてもよい。本発明の好ましい態様において、本発明の樹脂マトリックスは、二官能性重合性単量体の芳香族化合物および二官能性重合性単量体の脂肪族化合物を含む。本発明のより好ましい態様において、本発明の樹脂マトリックスは、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)を含む。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、歯質または卑金属接着性を、本発明の歯科用組成物に付与するために、重合性単量体の一部または全部としてリン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有した重合性単量体含んでよい。本発明の別の態様において、貴金属接着を向上させるために、本発明にかかる樹脂マトリックスは、硫黄原子を分子内に含有した重合性単量体を含んでよい。この文脈において、本発明にかかる樹脂マトリックスは、カルボン酸基含有重合性単量体:(メタ)アクリル酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸等;リン酸基含有単量体:2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート等;スルホン酸基含有単量体:2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等;ならびに硫黄原子を含有する重合性単量体:トリアジンチオール基を有する(メタ)アクリレート、メルカプト基を有する(メタ)アクリレート、ポリスルフィド基を有する(メタ)アクリレート、チオリン酸基を有する(メタ)アクリレート、ジスルフィド環式基を有する(メタ)アクリレート、メルカプトジアチアゾール基を有する(メタ)アクリレート、チオウラシル基を有する(メタ)アクリレート、チイラン基を有する(メタ)アクリレートを含んでいてよい。これら重合性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明において、重合開始剤は、限定するものではないが、公知のラジカル発生剤を用いることができる。一般に、重合開始剤は、使用直前に混合することにより重合を開始させる化学重合開始剤、加熱や加温により重合を開始させる熱重合開始剤、光照射により重合を開始させる光重合開始剤に大別される。
本発明の一態様において、化学重合開始剤は、限定するものではないが、有機過酸化物/アミン化合物または有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩、有機過酸化物/アミン化合物/ボレート化合物からなるレドックス型の重合開始剤系、酸素や水と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤系が挙げられる。化学重合開始剤において、スルフィン酸塩類またはボレート化合物類は、酸性基を有する重合性単量体との反応により重合を開始することもできる。
上記有機過酸化物の例としては、限定するものではないが、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられる。上記アミン化合物の例としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが挙げられ、具体的には、限定するものではないが、p−N,N’−ジメチル−トルイジン、N,N’−ジメチルアニリン、N’−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、p−N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−トルイジン、N−メチル−アニリン、p−N−メチル−トルイジン等が挙げられる。上記スルフィン酸塩類の例としては、限定するものではないが、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。上記ボレート化合物の例としては、限定するものではないが、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。また、上記有機金属型の重合開始剤の例としては、限定するものではないが、トリフェニルボラン、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類等が挙げられる。
本発明の一態様において、加熱や加温による熱重合開始剤としては、上記有機過酸化物に加えて、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類を用いることができる。
本発明の別の態様において、光重合開始剤は、光増感剤であってよい。光増感剤は、光重合開始剤として単独で用いてもよいし、光増感剤と光重合促進剤とを併用してもよい。上記光増感剤の例としては、限定するものではないが、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;2−ベンジル―ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル―ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα−アミノアセトフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類;ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル]−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類等が挙げられる。
上記光重合促進剤の例としては、限定するものではないが、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、p−N,N−ジメチル−トルイジン、m−N,N−ジメチル−トルイジン、p−N,N−ジエチル−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−N,N−ジヒドロキシエチル−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類;N−フェニルグリシン等の第二級アミン類;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジオクチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)塩、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のスズ化合物類;ラウリルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物類;ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサリチル酸等の含イオウ化合物等が挙げられる。
本発明の他の態様において、本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、上記光重合促進剤を含み、光重合促進能の向上のために、さらにクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類を含んでいてよい。
本発明において、これらの重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの重合開始剤は、重合形態や重合開始剤の種類に関係なく、組み合わせて用いることもできる。重合開始剤の添加量は、使用用途に応じて適宜選択することができる。一般には、重合開始剤の添加量は、重合性単量体に対して0.1〜10重量部の範囲から選択される。
本発明の一態様において、重合開始剤は光重合開始剤である。光重合開始剤を含む本発明にかかる歯科用組成物は、空気の混入が少ない状態で前記の歯科用組成物を重合させることが比較的容易である。本発明の好ましい態様において、光重合開始剤は、α−ジケトンと第三級アミンとの組合せであり、さらに好ましくはカンファーキノンとp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基がベンゼン環に直結した芳香族アミンまたはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の分子内に二重結合を有した脂肪族アミン等との組合せである。本発明の他の態様において、本発明にかかる歯科用組成物は、使用用途に応じて、クマリン系、シアニン系、チアジン系等の増感色素類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジフェニルヨードニウム塩化合物等の光照射によりブレンステッド酸またはルイス酸を生成する光酸発生剤、第四級アンモニウムハライド類、遷移金属化合物類等も適宜使用することができる。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の樹脂マトリックスは、着色顔料により着色されていてよい。前記の着色顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。無機顔料の例としては、限定するものではないが、黄鉛、亜鉛鉛、バリウム黄等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物;硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩;亜鉛華、チタン白、ベンガラ、鉄黒、酸化クロム等の酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;ケイ酸カルシウム、群青等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト等の炭素等が挙げられる。有機顔料の例としては、限定するものではないが、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料;ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料;リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料;ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。本発明の一態様において、着色顔料は無機顔料であり、好ましくはチタン白、ベンガラ、鉄黒または黄酸化鉄等である。
本発明にかかる歯科用組成物で用いられる充填材は、限定するものではないが、粒子の表面がポリ(オルガノ)シロキサンで被覆された無機粒子であってよい。本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、シラン処理された無機粒子であってよい。本発明の好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材が、シラン処理されたガラスであって、上記の着色顔料を前記シラン処理されたガラスと混合分散させ、着色したガラスである。
ガラスは、限定するものではないが、着色剤をガラス原料に混合することで着色することができる。そのような着色剤としては、限定するものではないが、鉄、マンガン、銅、クロム、ジルコニウム、コバルト、スズ、チタン、ニッケル、バナジウムが用いられ、具体的には酸化鉄、弁柄、二酸化マンガン、炭酸マンガン、酸化銅、酸化クロム、珪酸ジルコニウム、酸化コバルトG、酸化スズ、酸化チタン、珪酸鉄、酸化ニッケル、メタバナジン酸アンモン、酸化ホウ素が挙げられる。
ガラスの着色範囲は、以下に示すLabの範囲で調整することが好ましい。本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、顔料の調整により、下記の色調に調整されていることが好ましい。
L*=50〜75、a*=−4〜−1 b*=−8〜4
本発明にかかる歯科用組成物は、2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤、変色防止剤、抗菌材、その他の公知の添加剤等の成分をさらに含んでいてもよい。本発明の歯科用組成物の包装形態は、特に限定されず、重合開始剤の種類、または使用目的により、1パック包装形態および2パック包装形態、またはそれ以外の形態のいずれも形態であってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明にかかる歯科用組成物の少なくとも1種の充填材は、本発明の歯科用組成物で作製された硬化物、例えば人工歯において、咀嚼力による摩耗に曝される。本発明の一態様において、前記充填材のビッカース硬度を測定する。前記のビッカース硬度は、試験片(直径20mmおよび厚み3mm)を調製し、ISO 14705(2000)にしたがい、磨いた表面上でビッカース硬度を測定し、6回の測定結果の平均値を使用した。本発明の一態様において、ビッカース硬度(HV200)は450〜600である。本発明の好ましい態様において、第一の粒子および第二の粒子の硬度は同一である。本発明のさらに好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物に用いられる少なくとも1種の充填材および樹脂マトリックスは、着色顔料等の他の成分を除き、すべて同じビッカース硬度を有する。
本発明にかかる歯科用組成物は、限定するものではないが、歯科用ブロック等の材料、または人工歯等の歯科用補綴物の材料として用いることができる。従って、本発明は、本発明にかかる歯科用組成物により形成された歯科用ブロック等、または人工歯等の歯科用補綴物もまた提供する。また、本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物は、人工歯等の歯科用補綴物の修復剤として用いることができる。
本発明の好ましい態様において、本発明にかかる歯科用組成物で形成された歯科用ブロック等は、プログラムを用いて切削装置により機械的に自動で切削される。従って、本発明は、歯科用組成物で形成されたCAD/CAMシステム用の歯科用ブロック等を提供する。CAD/CAMシステムは、限定するものではないが、患者の口腔内の形状をデータ化する工程、コンピューター上で人工歯等の歯科用補綴物の設計を行う工程、および前記の設計に基づいて歯科用ブロック等の歯科用材料を自動的に切削することによって歯科用補綴物を作製する工程を含む。
CAD/CAMシステム用の歯科用ブロック等を作製する場合には、従来の歯科用補綴物を作製する場合に比べ、大きな形状の硬化物を作製することになる。したがって、そのような大きな形状の硬化物においては、重合収縮に伴う内部応力がたまり易く、硬化物の機械的強度等の物性が低下する傾向がある。
本明細書において「歯科用補綴物」は、限定するものではないが、インレー、クラウン、ブリッジおよび人工歯等を含む。
本発明の一態様において、本発明にかかる歯科用組成物は、限定するものではないが、人工歯のエナメル部分に用いられる。本発明の別の一態様においては、本発明にかかる歯科用組成物は、着色顔料等を用いて着色して用いることができ、人工歯のエナメル部分、デンチン部分および基底部分に応じて、それぞれ着色して用いることもできる。
表1で示す組成のガラスを、溶融粉砕にてガラス微粉末を作成した。
Figure 0004917692
作製した乾燥ガラス微粉末を高温の雰囲気中に分散させ整形し、球状にした。
本実施例においては、円形度が0.95以上の表1のガラス1を用いた。用いたガラス微粉末の平均粒径、最大粒径、最小粒径および粒度分布のD30を、表2に示す。
Figure 0004917692
樹脂マトリックスは、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)を60重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)を40重量部、dl−カンファーキノン(CQ)を1重量部、およびp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMABE)を1重量部混合して、調合した。前記樹脂マトリックスの屈折率は1.5182であった。
表2で示す充填材と前記樹脂マトリックスとを表3で示す割合で混合し、ペーストを得た。
Figure 0004917692
α;第一の粒子に対する第二の粒子の平均粒径の比(=[第二の粒子の平均粒径]/[第一の粒子の平均粒径])、
β;第一の粒子に対する第二の粒子の配合量の比(質量比)(=[第二の粒子の配合量(質量)]/[第一の粒子の配合量(質量)])、
γ;組成物に対する少なくとも1種の充填材の配合割合。
ペーストの安定性
表3で示した各歯科用組成物のペーストを、5mm×5mm×50mmの四角柱に造形し、角度が180度から120度になるように折り曲げた。前記の折り曲げた四角柱の引張側の安定性を、以下の評価基準に従って評価した。
A:白濁およびせん断のいずれも確認されず、安定性に優れる。
B:白濁は確認されたが、せん断はほとんど確認されず、十分に安定である。
C:白濁およびせん断が確認され、安定性が実用的ではない。
なお、AおよびBは、実用的な安定性を有するペーストであると判断する。
ペーストの金型への充填性
表3で示した各歯科用組成物のペーストを、4mmφ×4mmの穴を有する金型に充填した。前記金型へのペーストの充填性を、以下の評価基準に従って評価した。
A:付形性に優れ、ペーストの延びが良く、充填性に優れる。
B:付形性またはペーストの延びのいずれかが優れ、容易に充填可能である。
C:付形性またはペーストの延びのいずれかが不十分で、充填性が実用的ではない。
なお、AおよびBは、実用的な充填性を有するペーストであると判断する。
耐摩耗性
表3で示した各歯科用組成物のペーストを、半径5mm、厚さ5mmの円柱の透明アクリル型に詰め、ソリディライトII(株式会社松風)にて、1回あたり3分間の光照射を、上面と底面の両方にそれぞれ3回実施し、前記の透明アクリル型から硬化物を得た。得られた硬化物の片面を1ミリ削り、前記硬化物を全長4ミリとした。前記の削った面を、回転研磨器にて研磨し、試験体とした。以下の耐磨耗性試験を行った。耐磨耗性試験前の試験体から該試験後の試験体の長さの差を、磨耗量とした。各試験体につき、7箇所の磨耗量を測定し、その平均値を表4に示した。
耐磨耗性試験1:試験体の研磨面が、水中の耐水研磨紙#240と接触するように試験体を置き、前記水中の試験体の研磨面と反対側の面をモーター軸と連結した。試験体に100g重の荷重をかけ、23℃でモーターを1分間あたり1回転で1時間運転させた。
耐磨耗性試験2:2つの同じ試験体の研磨面同士を水中で接触するように置き、水中で上の試験体の研磨面と反対側の面をモーター軸と連結した。試験体に100g重の荷重をかけ、23℃でモーターを1分間あたり1回転で168時間運転させた。
重合収縮率
表3で示した各歯科用組成物のペーストを、厚さ5mm、幅1cm、長さ5cmの透明アクリル型に詰め、耐摩耗試験と同様に光照射を行って、前記の透明アクリル型から硬化物を得た。得られた7個の硬化物をマイクロメータで測定し、収縮率を計算し(%)、平均値を表4に示した。
Figure 0004917692
表4で示されるように、実施例1〜10および比較例3〜5で作製された歯科用組成物のペーストは、実用的な安定性を有し、実用的な充填性を有するペーストであった。比較例1および2で作製された歯科用組成物のペーストは、安定性が実用的ではなかった。また、比較例1で作製された歯科用組成物のペーストは、金型への充填性が実用的ではなかった。
耐磨耗性試験1は、硬い食物を強く咀嚼する場合に対応した加速劣化試験であった。耐磨耗性試験2は、長い年月に及ぶ長期間の咀嚼に対応した加速劣化試験であった。
表4で示されるように、耐摩耗性試験1の結果は、実施例1が、比較例2〜5と比較して、耐摩耗性において十分な耐磨耗性を有することを示している。耐磨耗性試験1の結果は、実施例1〜10および比較例1が良好な耐磨耗性を有することを示している。耐磨耗性試験1および2の結果は、実施例1〜10が十分な耐磨耗性を有することを示している。また、耐磨耗性試験1および2の結果は、実施例2〜5が良好な耐磨耗性を有することを示している。
表4で示されるように、比較例4および5で作製された歯科用組成物は、重合収縮率が1.00%以上であり、実用的ではなかった。実施例1〜10および比較例1〜3の歯科用組成物は、重合収縮率が0.02%以下〜0.05%であったことから、歯科用ブロック等の作製においても実用的であった。
本発明の実施形態にかかる実施例1〜10の歯科用組成物で形成された硬化物は、曲げ強度、圧縮強さおよび硬度もまた顕著に向上した。
表4で示されるペーストの安定性、ペーストの金型への充填性、耐磨耗性試験1および2ならびに重合収縮率の結果を併せて考慮すれば、これらの結果は、本発明の実施形態にかかる実施例1〜10が歯科用組成物として十分な性能を有することを示す。また、これらの結果は、本発明の実施形態にかかる実施例2〜6、8および10が歯科用組成物として良好な性能を有することを示す。さらに、これらの結果は、実施例2〜5が、歯科用組成物として優れた性能を有していることを示す。
表3で示した実施例2のペーストを、ソリディライトIIを用いた光照射により硬化し、歯科用ブロックを作製した。作製した歯科用ブロックを、歯科用ルーターを備えたCAD/CAMシステムにより切削した。同様に、作成した歯科用ブロックを、歯科用ルーターを用いて術者が手作業で切削した。前記のCAD/CAMシステムにより切削した歯科用ブロックの切削面は、図2で示されるように、滑沢性に優れた均一な面であった。前記の切削面は、ガラス粒子の断面が大部分を占め、その結果、機械的強度に優れていた。一方、術者が手作業で切削した前記歯科用ブロックの切削面は、図3で示されるように、ガラス粒子の表面に沿って不規則に形成され、滑沢性が劣っていた。

Claims (5)

  1. 平均粒径が110〜500μmであり、その最大粒径が前記平均粒径の1.4倍未満であり、かつ、その粒径分布のD30が前記平均粒径の0.9倍以上である第一の粒子、および前記第一の粒子に対する粒子の平均粒径の比が0.1〜0.3であり、前記第一の粒子に対する粒子の配合量の比が0.05〜0.5である第二の粒子からなる充填材と、樹脂マトリックスとを混合して得られる、歯科用組成物であって、
    前記の充填材が、歯科用組成物において65.0〜99.5質量%である、歯科用組成物。
  2. 前記第一の粒子および/または第二の粒子が無機粒子である、請求項記載の歯科用組成物。
  3. 前記の第一の粒子および/または第二の粒子が着色されている、請求項または記載の歯科用組成物。
  4. 前記の第一の粒子および/または第二の粒子が球形である、請求項1〜3のいずれか一項記載の歯科用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の歯科用組成物で形成された、歯科用ブロックまたは歯科用補綴物。
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