JP4914388B2 - 成分濃度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光音響法を用いた対象成分の成分濃度測定装置に関し、特に、被測定物を人間又は動物とした非侵襲な成分濃度測定装置に関する。
高齢化が進み、成人病に対する対応が大きな課題になりつつある。血糖値などの検査においては血液の採取が必要なために患者にとって大きな負担となるので、血液を採取しない非侵襲な成分濃度測定装置が注目されている。
現在までに開発された非侵襲な成分濃度測定装置として、光音響法が注目されている。光音響法は、皮膚内に電磁波を照射し、測定対象とする血液成分、例えば、グルコース分子に吸収させ、グルコース分子からの熱の放射によって局所的に熱膨張を起こし、熱膨張によって生体内から発生した音波を観測する。しかし、グルコースと電磁波の相互作用は小さく、また生体に安全に照射しうる電磁波の強度には制限があり、生体の血糖値測定においては、十分な効果をあげるにいたっていない。
図6及び図7は、従来の光音響法による成分濃度測定装置を示す構成例である。被測定物101における血液中の血糖すなわちグルコースを対象成分としている。
図6に示す第1の従来例は、光パルスを電磁波として用いている(例えば、非特許文献1参照。)。図6において、駆動電源102はパルス上の励起電流をパルス光源103に供給し、パルス光源103はサブマイクロ秒の持続時間を有する光パルスを発生する。発生した光パルスは、被測定物101に照射される。光パルスは被測定物101の内部にパルス状の光音響信号と呼ばれる音波を発生させ、発生した音波は超音波検出器104により検出され、さらに音圧に比例した電気信号に変換される。
変換された電気信号の波形は波形観測器105により観測される。この波形観測器105は上記励起電流に同期した信号によりトリガーされ、変換された電気信号は波形観測器105の管面上の一定位置に表示される。変換された電気信号の振幅を解析して、被測定物101に存在する血液におけるグルコースの量を測定する。
図6に示す例の場合はサブマイクロ秒のパルス幅の光パルスを最大1kHzの繰り返しで発生し、前記電気信号を測定しているが、十分な精度が得られていない。
そこで、より精度を高める目的で、第2の従来例が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。図7に示す第2の従来例は、連続的に強度変調した光源を用いている。本例も血糖を主な測定対象として、異なる波長の複数の光源を用いて、高精度化を試みている。説明の煩雑さを避けるため、図7により光源の数が2の場合の動作を説明する。図7において、異なる波長の光源、即ち第1の光源201及び第2の光源202はそれぞれ駆動電源203及び駆動電源204により駆動され、連続光を出力する。
第1の光源201及び第2の光源202が出力する光は、モータ214により駆動され一定回転数で回転するチョッパ板213により断続される。ここでチョッパ板213は不透明な材質により形成され、モータ214の軸を中心とする第1の光源201及び第2の光源202の光が通過する円周上に、互いに素な個数の開口部が形成されている。
上記構成により、第1の光源201及び第2の光源202の各々が出力する光は互いに素な変調周波数f1及び変調周波数f2で強度変調された後、合波器211により合波され、1の光束として被測定物101に照射される。
被測定物101の内部には、第1の光源201の光により変調周波数f1の光音響信号が発生し、第2の光源202の光により変調周波数f2の光音響信号が発生し、これらの光音響信号は、音響センサ212により検出され、音圧に比例した電気信号に変換され、その周波数スペクトルが、周波数解析器215により観測される。本例においては、複数の光源の波長はすべてグルコースの吸収波長に設定されており、各波長に対応する光音響信号の強度は、血液中に含まれるグルコースの量に対応した電気信号として測定される。
ここで、予め光音響信号の測定値の強度と別途採血した血液によりグルコースの濃度を測定した値との関係を記憶しておいて、前記光音響信号の測定値からグルコースの量を測定している。
特開平10−189号公報 オウル大学(University of Oulu、Finland)学位論文「Pulse photoacoustic techniques and glucose determination in human blood and tissue」(IBS 951−42−6690−0、http://herkules.oulu.fi/isbn9514266900/、2002年)
実用に供する際には、背景成分及び被測定物が混合組成である場合がほとんどである。背景成分及び被測定物が混合組成である場合、従来の光音響法では、対象成分が著しく当該単一波長に対して吸収を呈する場合を除き、混合組成から対象成分のみを定量するのは困難であった。
そこで、本発明は、光音響法を用いた成分濃度測定装置において、背景成分及び被測定物が混合組成の状態においても、対象成分の成分濃度を同定することを可能にすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る成分濃度測定装置は、光音響法を用いた成分濃度測定装置において、被測定物に照射する光の波長を掃引することを特徴とする。
具体的には、本発明に係る成分濃度測定装置は、背景成分及び対象成分が混合されてなる被測定物における前記背景成分の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生部と、前記2つの測定用光発生部からの光を予め定められた一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する光変調部と、前記2つの測定用光発生部からの強度変調光を合成した測定用合成光を、前記溶液の存在する被測定物に向けて出射する光出射部と、前記光出射部の出射する測定用合成光によって前記被測定物から発生する測定用音波を検出する音波検出部と、前記2つの測定用光発生部のうちの一方からの光を一定波長範囲で波長掃引する波長掃引部と、を備えることを特徴とする。
2つの測定用光発生部、光変調部、光出射部及び音波検出部を備える光音響法を用いた成分濃度測定装置において、測定用光発生部の一方からの波長可変光を対象成分の成分濃度の同定に用い、測定用光発生部の他方からの参照光を背景成分から発生する光音響信号との差分除去のために用いる。波長可変光の波長を対象成分の特徴的な吸収ピークが存在する一定波長範囲で掃引すれば、測定用音波から得られる光音響信号の振幅の推移には対象成分の特徴的な吸収ピークの形状が反映されるので、対象成分以外の吸収量が変化した場合であっても、多変量解析を行うことで対象成分による吸収量を特定することができる。これにより、光音響法を用いた成分濃度測定装置において、背景成分及び被測定物が混合組成の状態においても、対象成分の成分濃度を同定することを可能にすることができる。
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記波長掃引部の掃引する波長範囲は、前記対象成分の呈する吸収が極大となる波長を含むことが好ましい。
波長可変光の波長を対象成分の特徴的な吸収ピークが存在する一定波長範囲で掃引するので、背景成分及び被測定物が混合組成の状態においても、対象成分の成分濃度を同定することを可能にすることができる。
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記被測定物の温度を検出する温度検出部をさらに備えることが好ましい。
被測定物の温度から、背景成分や対象成分の吸光度の温度シフト量を見積もることができる。参照光の波長を液体から発生する光音響信号との差分除去を正確に行うことができるので、対象成分による吸収量を正確に特定することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記音波検出部の検出する前記測定用音波を、前記光変調部が強度変調する周期と同期するように検波する第1位相同期検波部をさらに備えることが好ましい。
測定用音波の検波を測定用合成光のパルス周期と同期させることで、測定用音波以外の雑音を排除することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記音波検出部の検出する前記測定用音波を、前記波長掃引部が波長を掃引する周期と同期するように検波する第2位相同期検波部をさらに備えることが好ましい。
測定用音波の検波を波長掃引の周期と同期させることで、波長掃引範囲においてスペクトル変化が生じる成分を抽出することができ、
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記波長掃引部の掃引する前記一定波長範囲は、前記測定用光発生部の他方からの光の波長を含むことが好ましい。
温度などの環境変化によって生じる背景成分の吸収の変化に対して、波長可変光と参照光の2波長が近接しているために両者の吸収が同様に変化する。このような状況であっても、参照光の波長が波長掃引範囲内の波長にあることで、被測定物における背景成分の吸収から発生する光音響信号を効率的に除去することができる。これにより、波長掃引範囲においてスペクトル変化が生じる成分のみを抽出することができ、対象成分の測定精度を高めることができる。
本発明に係る成分濃度測定装置では、前記測定用光発生部の他方からの光の波長は、前記測定用光発生部の他方からの光の波長は、前記背景成分の呈する吸収が相等しい異なる波長のうち、温度に対する吸光度変化係数が、前記測定用光発生部の一方からの光の波長と最も近いことが好ましい。背景成分から発生する光音響信号との差分除去において温度の影響を受けにくくすることができる。
本発明によれば、光音響法を用いた成分濃度測定装置において、背景成分及び被測定物が混合組成の状態においても、対象成分の成分濃度を同定することを可能にすることができる。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
図1は、本実施形態に係る成分濃度測定装置の第1例を示す概略構成図である。図1に示す成分濃度測定装置91は、被測定物101で発生する光音響信号を検出する。被測定物101には、溶液が存在する。被測定物101は、例えば生体、測定用試料又は果実である。溶液は、背景成分及び対象成分が混合されてなる。対象成分は、光を吸収して熱膨張する物質である。被測定物101が生体であれば、溶液は、例えば血液リンパ液及び涙である。溶液が血液であれば、対象成分は、例えば血液におけるコレステロール又はグルコースである。
本実施形態に係る成分濃度測定装置91は、被測定物101に対して非侵襲で測定することができるが、生体から血液を採取して対象成分を測定することにも利用可能である。また、被測定物101を果実、対象成分を蔗糖や果糖とすれば、成分濃度測定装置91は、果実糖度計として機能する。このように本実施形態の精神を逸脱しない範囲で、本実施形態に係る測定装置を様々の対象に適用できる。
本実施形態に係る成分濃度測定装置91は、被測定物101で発生する光音響信号を検出するための構成を備える。例えば、成分濃度測定装置91は、2つの測定用光発生部としての参照光源10及び波長可変光源11と、光変調部としての参照光源10、波長可変光源11、駆動回路12a、12b、遅延調整器13及び発振器14と、合波器15と、光出射部16と、音波検出部17と、前置増幅器18と、位相検波増幅器19と、光音響信号出力端子20とを備える。さらに、成分濃度測定装置91は、温度伝達窓21と、温度検出部22と、温度信号出力端子23を備える。
参照光源10、波長可変光源11、駆動回路12a、12b、遅延調整器13及び発振器14は、光変調部として、参照光源10及び波長可変光源11からの光を予め定められた一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する。具体的には、参照光源10及び波長可変光源11に電流を供給する駆動回路12a、12bが接続されている。駆動回路12a、12bには電圧を供給する発振器14が接続されている。発振器14は任意の周波数のパルス列を発生する機能をもつ。また、遅延調整器13は参照光源10と波長可変光源11を逆相で駆動するために周期のおよそ半分の遅延に調整する。参照光源10は、駆動回路12aの駆動によって、一定波長λの参照光を発生して出力する。波長可変光源11は、波長掃引部(不図示)を備え、駆動回路12bの駆動によって波長λを含む一定波長範囲Δλで波長掃引した波長可変光を出力する。波長掃引の始点は、短波長側と長波長側のどちらでもよい。
波長可変光源11は色素レーザ、チタンサファイアレーザ、Erドープファイバレーザや半導体レーザなどのレーザ光源又は広帯域白色光源である。波長掃引部(不図示)は、例えば波長掃引回路又は波長可変フィルタである。半導体レーザであれば、波長掃引回路を用いて直接変調を行うことで、波長可変光を生成することができる。広帯域白色光源であれば、発生した光を波長可変フィルタに透過させることで波長可変光を生成することができる。
参照光源10及び波長可変光源11で発生した光は、光伝達手段である光ファイバによって光合波器15の光入力端子に接続する。光合波器15の光出力端子から出力された測定用合成光は、光伝達手段である光ファイバによって被測定物101への光出射部16へ伝達される。光出射部16は、被測定物101の形状に合わせて、光ファイバの先端に直角プリズム、ファイバコリメータ、フェルールのいずれかを接着してもよい。
光出射部16は、参照光源10及び波長可変光源11からの強度変調光を合成した測定用合成光を、被測定物101に向けて出射する。光出射部16からの測定用合成光は、熱伝導窓21を通して被測定物101に到達する。音波検出部17は、光出射部16の出射する測定用合成光によって被測定物101から発生する測定用音波を検出する。測定用音波が電気信号に変換された光音響信号(s−s)は、前置増幅器18において増幅され、位相検波増幅器19によって駆動回路12a、12bの変調周波数と同一周波数成分の振幅及び位相が抽出され、音響信号出力20へ出力される。
さらに、成分濃度測定装置91は、参照光源10からの参照光を単独で被測定部101に照射して、参照光による光音響信号sを測定する。測定した光音響信号sは、音響信号出力20へ出力される。
成分濃度測定装置91は、光音響信号(s−s)及び光音響信号sを測定することで、被測定物における対象成分の濃度を測定することができる。
ここで、位相検波増幅器19は、第1位相同期検波部としての機能を備える。すなわち、位相検波増幅器19は、音波検出部17の検出する測定用音波を、駆動回路12a、12bが強度変調する位相と同期するように検波する。駆動回路12a、12bが強度変調する位相は、発振器14の出力信号から得ることができる。光音響信号は測定用合成光のパルス周期で発生するので、測定用音波を抽出することができる。
また、成分濃度測定装置91は、被測定物101の温度を検出する温度検出部22をさらに備えることが好ましい。例えば、被測定物101において光熱変換によって発生した熱を、温度伝達窓21を伝導して温度検出部22が検出し、温度信号出力端子23へ出力する。
次に、本実施形態に係る成分濃度測定装置の第2例について説明する。図2は、本実施形態に係る成分濃度測定装置の第2例を示す概略構成図である。図2に示す成分濃度測定装置92は、図1に示す位相検波増幅器19の後段に位相検波増幅器24を備える。
位相検波増幅器24は、第2位相同期検波部としての機能を備える。すなわち、位相検波増幅器24は、音波検出部17の検出する測定用音波を、波長可変光源11にて波長を掃引する位相と同期するように検波する。同一周波数成分の振幅及び位相が抽出され、光音響信号出力端子20へ出力される。
次に、図3を用いて、本実施形態における参照光源10と波長可変光源11の波長設定について説明する。図3は、溶液の吸光度の一例であり、(a)グルコース水溶液の吸光度及び吸収係数、(b)は水に対するグルコースの吸光度差及び比吸光度を示す。ここでは、理解を容易にするため、背景成分及び対象成分が混合されてなる溶液が、水及びグルコースが混合されてなるグルコース水溶液である場合について説明する。
まず、波長掃引部の掃引する一定波長範囲Δλを、対象成分の呈する吸収が極大となる波長を含むように設定する。例えば、図3(b)に示すように、グルコース水溶液から水を差分したグルコースの吸光度差又は比吸光度は、波長1600nm近傍の波長λ1a及び波長2100nm近傍のλ1bで極大となっている。この場合、対象成分の呈する吸収が極大となる波長として、例えば、波長λ1aを選択する。
次に、背景成分から発生する光音響信号との差分除去のために、図3(a)に示す水の吸収係数から、背景成分たる水の呈する吸収が波長λ1aと等しい異なる波長λ2a又は波長λ2bのいずれかを選択する。ここで、波長λ2a又は波長λ2bのうち、温度に対する吸光度変化係数が、波長λ1aと最も近い波長であることが好ましい。例えば、波長λ2a又は波長λ2bであれば、波長λ2bを選択することが好ましい。また、水の呈する吸収の傾斜の符号が波長λ1aと等しい波長があれば、その波長を選択することが好ましい。
次に、波長掃引部が波長掃引する一定波長範囲Δλを、対象成分の呈する吸収が極大となる波長λ1a又は波長λ1bを含むように選択する。例えば波長λ1aから前後50nm以上100nm以下に設定する。ここで、一定波長範囲Δλは、被測定物101が温度変化した場合にも対象成分の呈する吸収が極大となる波長λ1aが含まれるように選択することが好ましい。また、温度変化による波長シフトの影響が直接測定可能になるよう、波長可変光源の掃引する一定波長範囲Δλは、参照光の波長λ2a又は波長λ2bを含むことが好ましい。
グルコースの特徴的吸収は、1600nm付近と2100nm付近の2箇所存在する。このため、参照光源10を波長可変光源として、波長掃引する一定波長範囲Δλを1600nm付近と2100nm付近の2箇所同時に使用して、同様に解析してもよい。この場合、第1の掃引波長範囲内に、水の呈する吸収が波長λ1aと等しい波長λ2bが含まれるよう波長掃引する一定波長範囲Δλを設定することが好ましい。第2の掃引波長範囲内に、水の呈する吸収が波長λ1bと等しい波長λ2dが含まれるよう波長掃引する一定波長範囲を設定することが好ましい。そして、第1の掃引波長範囲内と第2の掃引波長範囲内のそれぞれについて、グルコースの吸光度を測定する。その場合、一方の掃引波長範囲内における吸収に不純物吸収が重なったとしても、もう一方の掃引波長範囲内における吸収を使用することで信頼性を確保することができる。
温度変化による波長シフトについて説明する。図4は、温度変化による波長シフトの説明図である。スペクトル31は温度Tでの水の吸光度スペクトルである。このときは、波長λの波長可変光及び波長λの参照光によって得られる光音響信号はいずれも光音響信号33のような波形となり、背景成分たる水の影響を除去することができる。
しかし、温度変化ΔTによって温度(T+ΔT)となった場合、水の吸光度スペクトル32はスペクトル31からシフトする。このとき、波長λの波長可変光によって得られる光音響信号35の信号振幅は減少するのに対し、波長λの参照光によって得られる光音響信号34の信号振幅は増加するので、背景成分たる水の影響を除去することはできなくなる。このため、波長可変光の波長λ及び参照光の波長λが、波長掃引する一定波長範囲Δλに含まれていることが好ましい。参照光の波長λを波長可変光の波長掃引範囲内に設定することで、光音響信号35と光音響信号34の信号振幅の変化量が測定できるので、温度T+ΔTに変化した場合であっても、背景成分たる水の影響を除去し、スペクトルの変化量のみを観測することができる。
また、参照光の波長λをスペクトル31の極大ピークよりも短波長側の波長λに設定したとき、温度変化ΔTによって温度(T+ΔT)となったスペクトル32では、光音響信号35と光音響信号34に示すように光音響信号の差分信号が温度ΔTによって大きく変化する。光音響信号33から光音響信号34への変化は、光音響信号33から光音響信号35に示すように、波長掃引する一定波長範囲Δλ内でのスペクトル変化に比べても大きい。このことから、参照光の波長は、水の呈する吸収が相等しい参照光の波長λ2aと波長λ2bのうち、温度に対する吸光度変化係数が、波長可変光の波長λと最も近いことが好ましい。例えば、図3(a)で示す参照光の波長λ2aと波長λ2bのうち、波長可変光の波長λよりも長波長側に位置する波長λ2bを選択することが好ましい。温度変化ΔTの影響は、水の温度に対応した補正曲線を予め用意し、計測した水温から光音響信号を補正することができる。これにより、温度変化ΔTの影響を低減することができる。
図5は、本実施形態に係る光音響信号の時間波形の一例であり、(a)は参照光による光音響信号、(b)は波長可変光による光音響信号、(c)は測定用合成光による光音響信号を示す。
図5(a)に示す参照光による光音響信号は、図1に示す駆動回路12aの変調周波数で発生する。そして、被測定物に照射する波長が一定なので、信号強度は一定である。
図5(b)に示す波長可変光による光音響信号は、図1に示す駆動回路12bの変調周波数で発生する。そして、被測定物に照射する波長が一定波長範囲Δλ内で変化するので、信号強度は、波長掃引の位相に同期して変化する。一定の周期で繰り返される波長掃引時間におけるスペクトル変化は、被測定物の吸収スペクトルとなる。信号強度の変化には、背景成分の吸光度の変化と、対象成分の吸光度の変化が含まれている。
図5(c)に示す測定用合成光による光音響信号には、図1に示す駆動回路12a、12bの変調周波数で発生する。そして、参照光と波長可変光が逆相に強度変調されているので、参照光と波長可変光が逆相に強度変調されているので、対象成分の呈する吸収が極大となる波長λにおける背景成分の呈する吸収と等しい吸収によるスペクトルは、除去されている。測定用合成光による光音響信号には、対象成分であるグルコースの吸収ピークが含まれている。このため、時系列で取得した測定用合成光によって得られた差分吸収スペクトラムを逐次多変量解析することで、対象成分であるグルコースの濃度を定量することができる。また、波長掃引と同期して光音響信号出力を位相検波することで得た信号量からグルコース検線量を用いて濃度を定量してもよい。
本実施形態に係る成分濃度測定装置91は、等しい吸収係数を与える複数の波長の光を用いて測定するので、光音響信号の測定値に存在する非線形的な吸収係数依存性を解決できる。その原理を以下に説明する。
波長λおよび波長λの各々光に対して、背景成分の吸収係数α (b)、α (b)及び測定対象とする血液成分のモル吸収α (0)、α (0)が既知の場合、各波長における光音響信号の測定値sおよびsを含む連立方程式は、次の数式(1)のように表される。
Figure 0004914388
数式(1)を解いて未知の血液成分濃度Mを求める。ここで、Cは、変化し制御或は予想困難な係数である。例えば、図1における、音響結合、音波検出部17の感度、光出射部16と被測定物101の間の距離(以下rと定義する)、被測定物101の比熱、被測定物101の熱膨張係数、被測定物101での音速、駆動回路12a、12bの変調周波数、更に、被測定物101の吸収係数にも依存する未知乗数である。
数式(1)の1行目と2行目のCに差異が生ずるならば、それは、照射光に関係する量、即ち、吸収係数による差異以外にはあり得ない。ここで、数式(1)の各行の括弧の中、即ち吸収係数が互いに等しくなるように、波長λおよび波長λの組合せを選べば、吸収係数が等しくなり、1行目と2行目のCは等しい。しかしこれを厳密に行うと、波長λおよび波長λの組合せが、未知の血液成分濃度Mに依存することになるため、不便である。
ここで、数式(1)の吸収係数(各行括弧中)に占める比率は、背景成分の吸収係数α (b)(ただし、i=1、2)の方が、血液成分濃度Mを含む項(Mα (0))よりも著しく大きい。そこで、各行の吸収係数を正確に等しくする代わりに、背景、α (b)の吸収係数を等しくすれば十分である。即ち、異なる波長λおよび波長λの2波の光は、各々における背景成分の吸収係数α (b)、α (b)が互いに等しくなるように選べば良い。このように1行目と2行目のCを等値できれば、それを未知定数として消去し、測定対象の血液成分濃度Mは数式(2)で表される。
Figure 0004914388
数式(2)の後段の変形にはs≒sという性質を用いている。
ここで、数式(2)を見ると、分母に波長λおよび波長λにおける測定対象の血液成分の吸収係数の差が現れている。この差が大きい方が、光音響信号の差信号s−sが大きく、その測定が容易となる。この差を最大とするには、測定対象の成分の吸収係数α (0)が極大となる波長を波長λに選び、かつ、α (0)=0、即ち、測定対象の成分が吸収特性を示さない波長に波長λを選ぶのが良い。ここで、前の条件から、この参照光の波長λは、α (b)=α (b)、即ち、背景成分の吸収係数が波長可変光の波長λの吸収係数に等しくなければならない。
さらに、数式(2)において、光音響信号sは、光音響信号sとの差s−sの形でのみ登場している。今、測定対象の成分としてグルコースを例にとると、上述したように、2つの光音響信号sおよび光音響信号sの強度には、0.1%以下の差異しかない。
しかし、数式(2)の分母の光音響信号sには5%程度の精度があれば十分である。従って、2つの光音響信号sおよび光音響信号sを逐次個別に測定するよりも、それらの差s−sを測定しこの測定値を、個別に測定した光音響信号sで除する方が、格段に容易に精度が保てる。従って、本実施形態に係る成分濃度測定装置においては、2つの波長λおよび波長λの光を、互いに逆相に強度変調して照射することにより、生体内で光音響信号sおよび光音響信号sが相互に重畳されて生じる光音響信号の差信号s−sを測定する。
以上説明したように、血液成分濃度を測定する場合、異なる特定の波長の2波の光を用いて、前記異なる特定の波長の2波の光が生体内に発生する光音響信号を各々個別に測定するよりも、前記光音響信号の差信号を測定し、さらに、所定の一方の光音響信号を零として、他方の光音響信号を測定して、これらを数式(2)により演算して、容易に血液成分濃度を測定できることが分かる。
人間又は動物に存在する溶液の非侵襲な成分濃度測定装置、及び、人間又は動物から採取した溶液の成分濃度測定装置に関する。
本実施形態に係る成分濃度測定装置の第1例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る成分濃度測定装置の第2例を示す概略構成図である。 溶液の吸光度の一例であり、(a)グルコース水溶液の吸光度及び吸収係数、(b)は水に対するグルコースの吸光度差及び比吸光度を示す。 温度変化による波長シフトの説明図である。 本実施形態に係る光音響信号の時間波形の一例であり、(a)は参照光による光音響信号、(b)は波長可変光による光音響信号、(c)は測定用合成光による光音響信号を示す。 従来の光音響法による第1の成分濃度測定装置を示す構成例である。 従来の光音響法による第2の成分濃度測定装置を示す構成例である。
符号の説明
10 参照光源
11 波長可変光源
12a、12b 駆動回路
13 遅延調整器
14 発振器
15 合波器
16 光出射部
17 音波検出部
18 前置増幅器
19、24 位相検波増幅器
20 光音響信号出力端子
21 温度伝達窓
22 温度検出部
23 温度信号出力端子
31、32 水の吸光度スペクトル
33、34、35 光音響信号
91、92 成分濃度測定装置
101 被測定物
102 駆動電源
103 パルス光源
104 超音波検出器
105 波形観測器
201 第1の光源
202 第2の光源
203、204 駆動電源
211 合波器
212 音響センサ
213 チョッパ板
214 モータ
215 周波数解析機

Claims (7)

  1. 背景成分及び対象成分が混合されてなる溶液における前記背景成分の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生部と、
    前記2つの測定用光発生部からの光を予め定められた一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する光変調部と、
    前記2つの測定用光発生部からの強度変調光を合成した測定用合成光を、前記溶液の存在する被測定物に向けて出射する光出射部と、
    前記光出射部の出射する測定用合成光によって前記被測定物から発生する測定用音波を検出する音波検出部と、
    前記2つの測定用光発生部のうちの一方からの光を一定波長範囲で波長掃引する波長掃引部と、
    を備えることを特徴とする成分濃度測定装置。
  2. 前記波長掃引部の掃引する前記一定波長範囲は、前記対象成分の呈する吸収が極大となる波長を含むことを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定装置。
  3. 前記被測定物の温度を検出する温度検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の成分濃度測定装置。
  4. 前記音波検出部の検出する前記測定用音波を、前記光変調部が強度変調する位相と同期するように検波する第1位相同期検波部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
  5. 前記音波検出部の検出する前記測定用音波を、前記波長掃引部が波長を掃引する位相と同期するように検波する第2位相同期検波部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
  6. 前記波長掃引部の掃引する前記一定波長範囲は、前記測定用光発生部の他方からの光の波長を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
  7. 前記測定用光発生部の他方からの光の波長は、前記背景成分の呈する吸収が相等しい異なる波長のうち、温度に対する吸光度変化係数が、前記測定用光発生部の一方からの光と最も近い波長であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
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