JP3500259B2 - 光音響信号測定装置 - Google Patents

光音響信号測定装置

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JP3500259B2
JP3500259B2 JP32136396A JP32136396A JP3500259B2 JP 3500259 B2 JP3500259 B2 JP 3500259B2 JP 32136396 A JP32136396 A JP 32136396A JP 32136396 A JP32136396 A JP 32136396A JP 3500259 B2 JP3500259 B2 JP 3500259B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光音響信号測定装置
に関し、より詳しくは例えば近赤外の波長を好ましく用
い、水分量をin vivo測定するに適した光音響信号測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】対象物質に含まれる被測定物質を測定す
る方法には種々のものがあるが、近年注目されているも
のとして光音響分光法(PAS)がある。この方法は、
試料に断続光を照射し、試料が吸収した光のエネルギー
を音波として検出するものであり、薬剤の経皮吸収の測
定や免疫反応の分析など各種の測定分野において、散乱
光の影響を受けずに非破壊で分析可能な方法として期待
されている。
【0003】ところでPASに用いられるセルとして
は、試料をセル内に入れる密閉型と、セルの開放端部を
試料に押し当てて密閉状態とする開放型とがある。密閉
型の場合も開放型の場合も、試料から得られる音波を正
確に検出し増幅することが必要であるが、密閉型の場合
は信号の検出が比較的容易である反面、in vivo測定が
不可能であるという欠点がある。開放型の場合には、in
vivo、in situ測定が可能であるが、環境雑音や皮膚に
押し当てた場合の脈拍といった、バックグラウンドノイ
ズの影響を受けやすく、光音響信号を正確に測定するこ
とが困難であるといった問題がある。
【0004】特公平5−14219号は光音響測定装置に関
し、セル内の試料を波長と変調周波数の両者が異なる、
反応生成物と未反応物質のそれぞれに対応する2以上の
励起光で照射し、検出された光音響信号の強度差に基づ
き反応生成物を定量する技術、或いはセル内の試料を単
一波長、単一変調周波数の励起光で照射し、光音響信号
を試料の反応過程における2以上の時刻において検出
し、検出信号の強度差に基づいて反応生成物を定量する
技術を開示している。これらの技術はバックグラウンド
補正を不要とするものであるが、in vivoでの適用を考
慮したものではなく、また2以上の励起光を用いる場合
には変調周波数を異ならせることが必要であり、単一の
励起光を用いる場合には反応過程をフォローし、しかも
反応速度の関数表現を持っていることが必要である。
【0005】特公平6−21861号は、光音響分光装置に
関し、直流でバイアスした交流で半導体レーザーを駆動
し、連続光を光源とする際のチョッパやビームスプリッ
タを不要化する技術を開示している。しかしながらこの
技術も密閉型のセルに関するものであり、in vivoでの
適用は考慮されていない。
【0006】特開平1−191040号は開放型のセルに関す
るものであり、測定側セルと光源を持たない参照側セル
の差動をとることにより、バックグラウンドノイズを低
減させることを意図している。この場合、セルは長さ調
節可能な共鳴構造とされ、共鳴によって光音響信号の強
度の向上が図られると共に、測定側セルの試料押着部近
傍を光透過性材料から形成することによって、反射光に
よるノイズの低減が期待されている。またこの技術の改
良として、特開平4−357440号は、試料室をライトガイ
ドと一体のものとして、セルのデッドボリュームを必要
最小限とすることを教示している。
【0007】さらに、PASでは変調周波数を変化させ
ることにより、深さ方向の情報を得られることが知られ
ている。これは、照射光の変調周波数に依存する熱拡散
長によって測定深さが左右されているためである。特開
平2−83481号は、所定深さにおける情報を映像化する
ために、変調光(He-Neレーザー)を2種以上の変調周
波数で光強度変調し、検出した光音響信号の強度比又は
位相差に基づいて映像化を行うことを開示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】皮膚(角質層)の水分
量は、肌の状態と関係があると考えられているため、化
粧品や香粧品の開発、店頭での肌診断などにおいて、皮
膚の水分を測定することが行われている。これらの測定
は電気伝導度を測定する、いわゆるコンダクタンス法を
基礎とするものであるが、これは測定が簡便である反
面、電解質の影響を受けやすく定量性に欠けるといった
問題点がある。そこで光音響分光法をこうした皮膚の水
分量測定に応用することが試みられているが、上記に従
来技術に関して記述したように、開放型のセルを用いて
in vivo、in situ測定が可能なものは数少ない。また開
放型のセルを用いる場合は、前に述べたように環境雑音
や脈拍といったバックグラウンドノイズのために測定が
難しいという問題に対処しなければならないが、特開平
1−191040号及び特開平4−357440号の技術は、変調周
波数に合わせて共鳴周波数を調節しなければならず、ま
た紫外光を用いた測定を主体とするため、皮膚に対する
影響を無視することができない。特開平1−191040号で
は1600nmの近赤外波長を用いて水分量を測定する可能性
が示されているが、そこに開示されているように1波長
で測定した場合、バックグラウンドの補正が不十分でセ
ルを皮膚に押し当てる力の差によって信号の強度が変化
するという問題がある。本発明の一つの課題は、これら
の問題点を解決し、皮膚の水分量をin vivo、in situで
簡便に高精度で測定することのできる、新規な光音響信
号測定装置を提供することである。
【0009】また、PASによれば変調周波数を変化さ
せることによって深さ方向の情報を得ることができる
が、これにより得られる情報は表面から測定深さまでの
情報が足し合わされた形でのものであり、測定深さ自体
における情報のみ、即ち深さ方向の濃度分布を求めるの
は困難である。従来技術として示した特開平2−834
81号は、可視領域の波長(He−Neレーザー)を用
いて深さ方向の情報の映像化を行う可能性を示している
が、近赤外波長を用いた場合には吸光係数が小さいため
感度が悪く、皮膚のin vivo測定には適していないと考
えられる。本発明の別の課題は、このような問題点を克
服して、所定深さにおける情報、特に皮膚の水分量に関
する情報を適切に得ることのできる光音響信号測定装置
を提供することである。なお、本発明は以上に述べた皮
膚の水分量の測定の他、各種薬剤の経皮吸収や高分子物
質中の水分、界面活性剤等の測定にも有効に用いること
ができることは言うまでもない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明により提供される
光音響信号測定装置は、測定波長の光と参照波長の光を
照射する光源手段と、測定波長の光と参照波長の光を少
なくとも1種の変調信号でそれぞれ変調し、セルへと交
互に導く1以上の時間帯を有する変調手段とを含む。光
源手段は測定波長の光を照射する第一の光源と参照波長
の光を照射する第二の光源を少なくとも有することがで
き、変調手段は第一の光源及び第二の光源を少なくとも
1種の変調信号で交互に駆動する1以上の時間帯を有す
る駆動手段を含むことができる。セルは開放端部を有
し、照射された光を合波手段を介して、被測定物質を含
む対象物に差し向ける。測定波長の光は、被測定物質に
特異な吸収波長を有するものであることが好ましく、被
測定物質に応じて変化させる必要があるが、例えば対象
物が皮膚であり、被測定物質が皮膚中の水分である場合
には、水に特異な吸収波長を有する(例えばOH変角の倍
音など)光が好ましい。参照波長の光は、被測定物質に
よって少なくとも特異的に吸収されない波長のものであ
ればどのような波長のものでも構わないが、測定波長が
近赤外領域にあれば、通常はその近傍で選択される。こ
れらの光を照射する光源は、波長スペクトルの比較的狭
い光源で、目的の波長を有するものであれば何れでもよ
く、例えば連続光を有する光源から分光器やフィルタを
用いて所望の光を得ることもできるが、この場合はチョ
ッパーを用いて変調を行うことになる。そのため光源と
してはレーザー光源であるのが好ましく、半導体レーザ
ーが特に好ましい。半導体レーザーを用いた場合には変
調周波数を容易に変化させることができると共に、光源
自体の高出力化が図られる。こうした場合に二つの光源
を駆動する変調信号は相互に同一である必要は必ずしも
ないが、参照波長の光による補正をより効率よく行うた
めには、両者の差は±10%以内、好ましくは通常の許容
範囲内で同一であるのが特に好ましい。即ち第一の光源
と第二の光源は種々の変調周波数で駆動可能であるが、
ある時点においては両者が許容範囲内で同一であること
が好ましい。但し、駆動手段は第一の光源と第二の光源
を少なくとも1種の変調信号で交互に駆動する1以上の
時間帯を有することが必要である。即ち二つの光源は部
分的に同時に駆動されてもよいが、好ましい例では、あ
る変調周波数で第一の光源を一定時間駆動し(その間は
第二の光源は停止)、次いで同一の変調周波数で第二の
光源を一定時間駆動する(この時第一の光源は停止)。
これを必要回数繰り返した後、必要に応じて変調周波数
を変化させ、同様の測定を継続する。なお上記の一定時
間は目的に応じて適宜選択することができるが、例えば
0.1〜60秒、好ましくは1〜10秒程度である。またこの
測定時間は第一の光源と第二の光源で同じにする必要は
必ずしもない。変調周波数は、所望とする測定深さに応
じて適宜選択される。
【0011】光源から照射された光は、開放型のセルに
導かれる。先に示したように、1波長で測定すると、押
し当て方によって信号の強度が変化してしまう。そこで
本発明においては第一及び第二の光源から交互に入射さ
れる光を合波手段を介して重畳して単一のセルへと導
き、2波長で測定できるようにしている。この重畳は光
合波器を用いれば容易に行うことができる。光合波器か
らの光線は、例えば光ファイバによって、セルが当接さ
れる測定対象へと差し向けられる。セルの容積は必要以
上に大きいと感度が悪くなるので、デッドボリュームを
可能な限り低減することが望ましい。セルの好ましい容
積の範囲は0.01〜3cm3程度である。反射光に起因して
生ずるノイズを最小限に抑えるために、セルが遮光性材
料からなる外壁部と、この外壁部の内側に沿って設けら
れた低熱伝導率の光透過性材料からなる内壁部とを備え
ることが好ましい。
【0012】測定波長及び参照波長のそれぞれに応じて
対象物から生成される光音響信号は、時間領域において
検出される。これは例えば、音波として生成される光音
響信号をマイクロフォンのような圧電センサにより検出
することによって行われる。検出された信号は増幅後、
サンプリング、A/D変換によって、信号処理手段へと
時系列データとして連続的に取り込むことができる。信
号処理手段は、第一及び第二の光源の駆動時間帯に関す
る信号、並びに変調周波数を参照信号として取り込んで
おり、これとの同期をとることによって、所定の時間領
域幅にわたって検出信号を積算、フーリエ変換し、被測
定物質及び対象物質に由来する光音響信号を周波数領域
において得る。フーリエ変換は、FFT(高速フーリエ
変換)によって行うことが好ましい。
【0013】本発明によれば、信号処理手段は光源を駆
動する変調信号から導出される光出力により、測定波長
及び参照波長に由来する光音響信号をそれぞれ強度補正
する。これは、光音響信号の強度が光源の出力に比例す
ることから、光源出力に起因する信号強度の相違を補正
するためである。強度補正された光音響信号は次いで、
参照波長で規格化される。即ち測定波長に対応する光音
響信号と、参照波長に対応する光音響信号の各々は、後
者を1として標準化され、測定対象に対する押圧力の相
違による影響を排除することができる。規格化された光
音響信号は差引され、これによってバックグラウンド信
号を除去し、被測定物質に由来する光音響信号を得るこ
とができる。本発明はこうした信号処理手法により、被
測定物質を高精度且つ高速に測定することを可能なもの
としている。
【0014】本発明によれば、信号処理手段は、変調信
号の周波数及び被測定物質に由来する光音響信号の強度
及び位相に基づいて、対象物の表面から所定の深さにお
ける被測定物質の存在量を演算する演算手段を含むこと
ができる。即ち測定された光音響信号は、強度情報と共
に位相に関する情報をも含むことになるが、この位相は
光の照射から音波の検出までの時間遅れを表していると
考えられる。従って、位相角を小さくとれば対象物の表
面から浅いところからの情報が得られ、位相角を大きく
とれば対象物の表面から深いところからの情報が得られ
る。ここで任意の位相角ψにおいて得られる信号強度Y
(ψ)は、最大信号強度Cが得られる位相角φに対し
て、Y(ψ)=Ccos(φ−ψ)の関係にある。熱拡散
率αを一定とすれば、信号強度がY(ψ)である測定深
さDは、D=[(π/4)+ψ]×μによって近似的に
求めることができる。但しここにおいて、μは熱拡散長
であり、μ=√(α/πf)(注:fは変調信号の周波
数)で表され、ψはPASの標準試料として用いられる
カーボンブラックの位相を基準としてとった任意の位相
角である。このように位相を用いて解析することによ
り、単一の変調周波数でもって、その単一の変調周波数
に由来する深さまでの対象物の深さ方向の分析が可能と
なる。もちろん、変調周波数を変化させて、測定可能な
深さ域を変え、深さ方向分析をそれぞれについて行うこ
ともできる。例えば対象物質が皮膚の場合、その熱拡散
率を7×10-4cm2/秒とすると、変調周波数が3000Hzで
あれば0.7〜4μmの深さを、また変調周波数が5Hzであ
れば20〜100μmの深さを測定できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明による光音響信号測
定装置の一実施例を示すブロック図である。光音響信号
測定装置10は、測定波長、例えば1480nmの光を照射する
半導体レーザー11と、参照波長、例えば1300nmの光を照
射する半導体レーザー12を光源として含む。これらの半
導体レーザー11及び12は、駆動手段13、例えば直流信号
が重畳された交流信号を変調信号として生成する変調装
置により、同一の変調周波数で交互に駆動される。半導
体レーザー11及び12から発せられるレーザー光は光合波
器14に導かれ、光ファイバー15を介してセル20に導かれ
る。
【0016】図2はセル20の一例を詳細に示している。
セル20は被測定物質を含む対象物に押し当てられる開放
端部21を有し、開放端部21の周囲は遮光性材料からなる
外壁部22と、この外壁部22の内側に沿って設けられた低
熱伝導率の光透過性材料からなる内壁部23及び窓板26と
を備えている。光ファイバー15からセル20の開放端部21
に差し向けられたレーザー光は被測定物質を含む対象物
質に吸収され、音波を生成する。生成した音波はマイク
ロフォン24によって拾われ、プリアンプ25で増幅され
て、その後の処理のために逐次転送される。
【0017】再度図1を参照すると、セル20から得られ
る検出信号は、フィルタ16を介してサンプリングされ、
信号処理装置17へと送られる。この信号処理装置17は例
えばFFTアナライザなどの周波数分析可能な装置であ
るが、デジタル化された時系列データをパソコンに連続
的に取り込み、周波数領域へとFFT変換するなどの手
段も可能である。変調信号との同期をとるために、信号
処理装置17は駆動手段13から変調信号を参照信号として
取り込んでいる。また、半導体レーザー11及び12の駆動
時間帯についての信号も入力されている。
【0018】信号処理装置17は、参照信号から導出され
る光出力により、光音響信号を強度補正する。即ち測定
波長及び参照波長に対応して信号処理装置17において得
られた光音響信号をそれぞれQ's(ω)、Q'r(ω)とすれ
ば、これらは光出力信号R'(ω)によって補正され、強度
補正信号A's(ω)=Q's(ω)/R'(ω)、A'r(ω)=Q'r
(ω)/R'(ω)が得られる。なおここでQ's(ω)=Qs
(ω)eiφ(ω)、Q'r(ω)=Qr(ω)eiφ(ω)であ
り、Q(ω)はPAS強度、φ(ω)は位相を示す。こ
れらはさらに規格化されて、B's(ω)=A's(ω)/A'r
(ω)、B'r(ω)=A'r(ω)/A'r(ω)となり、最終的に
被測定物質に由来する光音響信号がB's(ω)−B'r(ω)
によって得られる。測定された光音響信号は、CRT、
プリンタその他の適当な出力装置18へと送られて視覚化
される。
【0019】本発明の別の実施例によれば、信号処理装
置17はさらに、被測定物質に由来する光音響信号の強度
及び位相に基づいて、対象物の表面から所定の深さにお
ける被測定物質の存在量を演算する処理部19を含む。こ
れは例えば先に述べたように、測定された光音響信号か
ら、任意の位相角ψに対応する成分を求めるものであ
る。この場合には、表面からある深さまでの光音響信号
強度を積分した形ではなしに、位相角ψにより示される
深さD(D=[(π/4)+ψ]×μ)における光音響
信号強度が得られる。従って位相角ψを変化させ、また
必要に応じて変調周波数を変化させることにより、対象
物の深さ方向の分析が可能となる。
【0020】
【実施例】
実施例1 人皮膚のアセトン/エーテル(A/E)処理を行い、皮
膚の水分量の変化を測定した。使用した光音響信号測定
装置は図1の構成のものとし、測定用レーザーの波長は
1480nm、参照用レーザーの波長は1300nm、レーザー出力
はそれぞれ20mW、変調周波数は854Hzとした。測定用レ
ーザーと参照用レーザーは、6.5秒間ずつ交互に照射し
た。
【0021】測定手順としては、人の前腕部を水洗いし
た後、20℃、湿度40%で20分間馴化した後にまず初期値
を測定した。その後15分間A/E(1:1)処理し、5
分後、30分後及び60分後の値を測定した。また位相角と
して、−30゜、0゜、45゜及び90゜の4点をとったが、
皮膚の熱拡散長μを5μm(熱拡散率を7×10-4cm2/秒
とする。文献:K.Giese, K.Kolmel, J. Physique, coll
oque C6, 373 (1983))とすると、変調周波数854Hzにお
いては、これらはそれぞれ皮膚の表面から1、4、8及
び12μmの深さに相当すると考えられる。得られた値を
初期値で規格化した結果を図3に示す。コントロールと
して、A/E処理しない場合についての測定結果をやは
り図3に示す。図3から見られるように、全体的にA/
E処理によって水分量が減少し、その後回復するという
傾向が見られたが、表層ほど変化が大きく、内部は殆ど
変化していないことが判った。一般に、角質層内部は生
きた細胞である表皮部分に接しているため水分量が多く
て変化しにくいが、表層ほど環境の影響を受けやすいと
考えられているが、本発明の光音響信号測定装置によっ
て得られた結果はこうした知見と合致するものである。
【0022】実施例2 人皮膚を活性剤で処理し、皮膚の水分量の変化を測定し
た。使用した光音響信号測定装置及び測定手法は実施例
1の場合と同様であるが、変調周波数は160Hzとした。
【0023】測定手順としては、実施例1の場合と同様
に、人の前腕部を水洗いした後、20℃、湿度40%で20分
間馴化した後にまず初期値を測定した。その後30分間サ
ンプル水溶液でカップシェイク処理し、10分後、30分後
及び60分後の値を測定した。この場合に位相角として
は、−30゜、0゜及び45゜の3点をとったが、この変調
周波数においては、これらはそれぞれ皮膚の表面から
3、10及び20μmの深さに相当すると考えられる。サン
プルとしては、5%ミリスチン酸カリウム塩、5%MA
Pセスキトリエタノールアミン塩及び水(コントロー
ル)を用いた。得られた値を初期値で規格化した結果を
図4に示す。図4から見られるように、ミリスチン酸塩
での処理によれば水分量が増大し、またMAP処理によ
れば水分量が減少し、その後回復するという傾向が見ら
れた。これは、ミリスチン酸塩はアルカリ性のため皮膚
を膨潤させ、これに対してMAPは過乾燥を起こすとい
う知見に対応していると考えられる。
【0024】実施例3 80℃で50時間硬化したフェノール樹脂と、同じ温度で77
時間硬化したフェノール樹脂について、樹脂中の水分量
を測定した。使用した光音響信号測定装置及び測定手
法、並びに変調周波数は実施例2の場合と同様である。
結果を図5に示す。硬化時間の増大に伴い、樹脂中の水
分量が減少することが示されている。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、皮膚の水
分量などをin vivo、in situで測定するに適した、開放
型のセルを有する光音響信号測定装置が提供される。こ
の装置は近赤外領域で好ましく動作し、光音響信号を高
精度且つ高速に測定することが可能である。また位相解
析を用いることにより、深さ方向の情報を、表面からの
足し合わせではなく、分離された形で得ることも可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光音響信号測定装置の一例を示すブロ
ック図である。
【図2】図1の装置に用いることのできるセルの一例を
示す部分断面立面図である。
【図3】人皮膚のA/E処理についての測定結果を示す
グラフである。
【図4】人皮膚の活性剤処理についての測定結果を示す
グラフである。
【図5】フェノール樹脂中の水分量についての測定結果
を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光音響信号測定装置 11,12 半導体レーザー 13 駆動手段 14 光合波器 15 光ファイバー 16 フィルタ 17 信号処理装置 18 出力装置 19 処理部 20 セル 21 開放端部 22 外壁部 23 内壁部 24 マイクロフォン 25 プリアンプ 26 窓板
フロントページの続き (72)発明者 奥田 峰広 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 澤田 嗣郎 東京都荒川区南千住6−37−2−504 (56)参考文献 特開 平1−191040(JP,A) 特開 平2−83481(JP,A) 特公 平5−14219(JP,B2) 特公 平6−21861(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 501 G01N 21/00 A61B 5/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開放端部を有するセルと、 測定波長の光と参照波長の光を照射する光源手段と、 前記測定波長の光と前記参照波長の光を少なくとも1種
    の変調信号でそれぞれ変調し、前記セルへと交互に導く
    1以上の時間帯を有する変調手段と、 前記測定波長の変調光と前記参照波長の変調光とが入射
    され、これらの変調光を前記セルに導く合波手段と、 前記測定波長及び参照波長のそれぞれに応じて対象物か
    ら生成される光音響信号を時間領域において検出する検
    出手段と、 前記変調手段と前記検出手段に接続され、前記変調手段
    の変調信号を参照信号として取り込み、該参照信号から
    導出される光出力により前記光音響信号を強度補正し、
    強度補正された前記光音響信号を前記参照波長に対応す
    る光音響強度で規格化し、規格化された測定波長の光音
    響信号から規格化された参照波長の光音響信号を差引
    し、前記被測定物質に由来する光音響信号を周波数領域
    において得る信号処理手段とからなる、光音響信号測定
    装置。
  2. 【請求項2】 前記光源手段が測定波長の光を照射する
    第一の光源と参照波長の光を照射する第二の光源を少な
    くとも有し、前記変調手段が前記第一の光源及び前記第
    二の光源を前記少なくとも1種の変調信号で交互に駆動
    する1以上の時間帯を有する駆動手段を含む、請求項1
    の光音響信号測定装置。
  3. 【請求項3】 前記第一及び第二の光源がレーザ光源で
    ある、請求項2の光音響信号測定装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光源が半導体レーザである、
    請求項3の光音響信号測定装置。
  5. 【請求項5】 前記変調信号が前記1以上の時間帯の各
    々において、前記測定波長の光と前記参照波長の光につ
    いて同一である、請求項1から4の何れか1の光音響信
    号測定装置。
  6. 【請求項6】 前記セルが、遮光性材料からなる外壁部
    と、該外壁部の内側に沿って設けられた低熱伝導率の光
    透過性材料からなる内壁部とを備える、請求項1から5
    の何れか1の光音響信号測定装置。
  7. 【請求項7】 前記検出手段が前記光音響信号をサンプ
    リングする手段を含み、前記信号処理手段がFFT手段
    を含む、請求項1から6の何れか1の光音響信号測定装
    置。
  8. 【請求項8】 前記信号処理手段が、前記被測定物質に
    由来する光音響信号の強度及び位相に基づいて、前記対
    象物の表面から所定の深さにおける前記被測定物質の存
    在量を演算する演算手段を含む、請求項1から7の何れ
    か1の光音響信号測定装置。
  9. 【請求項9】 前記被測定物質が水であり、前記測定波
    長が水に特異的に吸収される近赤外波長である、請求項
    1から8の何れか1の光音響信号測定装置。
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