JP6388821B2 - 圧電素子、音波プローブ、光音響装置 - Google Patents
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Description
従来の光音響装置には、試料に光を照射することによって試料が発する光音響信号に基づいて画像処理を行う光音響映像装置に、超音波の送受波によって試料についての画像を得る超音波映像装置を備えた装置がある(例えば、特許文献1参照。)。特に図2には、従来の光音響映像装置が記載されており、圧電素子としてZnO圧電素子が記載されている(4段、19行)。
なお、「圧電効果が測定可能な程度」とは、圧電効果により生じた電圧の電気信号の解析が可能な程度をいい、電気信号を増幅させて解析する場合をも含む。「減衰」とは、光を反射、散乱、屈折または吸収することをいう。
このように構成すると、試料に光を照射する光音響装置において、圧電体が光の照射により熱エネルギーを吸収し焦電効果が生じるのを抑制することができる。すなわち、圧電素子は圧電効果によりセンサとして機能する一方で、遮光透音材により圧電体への光の照射が抑制され圧電体に焦電効果が生じるのを抑制する。これにより、圧電効果による測定値が焦電効果の影響を受けることを抑制することができる。その結果、圧電素子の測定精度を向上させることができる。
なお、「音響透過性」とは、遮光透音材を有しない場合に受波した音波エネルギーに対する、遮光透音材を有する場合に受波した音波エネルギーの比をいう。「光透過性」とは、遮光透音材を有しない場合に受波した光エネルギーに対する、遮光透音材を有する場合に受波した光エネルギーの比をいう。
このように構成すると、光透過性が音響透過性に対して十分に小さくなる。すなわち、音波エネルギーも若干損失するが、光エネルギーの損失も生ずる。その結果、光が照射されることにより生ずる焦電効果を効果的に抑制しながら、音波により生ずる圧電効果の測定行うことができる。
このように構成すると、音波が遮光透音材を透過する割合は、光が遮光透音材を透過する割合よりも大きいため、遮光透音材による音波エネルギーの損失はあるとしても光エネルギーの損失よりも少ない。その結果、光の照射により生ずる焦電効果を特に効果的に抑制しながら、音波により生ずる圧電効果の測定を行うことができる。
このように構成すると、光を照射された光吸収体が発する音波を圧電体が受波すると共に、光吸収体に照射された光が、直接または反射等により圧電体に照射される場合であっても、圧電体が遮光透音材により覆われているため光を遮断(または減衰)することができる。さらに、遮光透音材が圧電効果を測定可能な程度に光を遮断等するため、遮光透音材を備える圧電素子は、圧電効果の測定精度を向上させることができる。
このように構成すると、遮光透音材を適切な材料で製造することができる。
このように構成すると、光を反射、散乱、屈折または吸収するフィラーとして適切なフィラーを選択することができる。
このように構成すると、より光を減衰させる遮光透音材を備えた圧電素子を形成することができる。
このように構成すると、圧電素子に光が照射されるような環境で音波プローブを使用した場合であっても、光の照射による焦電効果を抑制し、受波した音波による圧電効果に基づく電圧をより正確に測定することができる。
なお、「光照射部」とは、光源装置において光源から放射された光を被検体まで届ける部分をいう。
このように構成すると、圧電素子は、音波に比べて光を遮断する効果の高い材料により製造された遮光透音材を備える。そのため、被検体に照射される光が直接または反射等により圧電素子に照射された場合であっても、光の照射により生じる焦電効果を効果的に抑制することができる。そのため、光音響装置の測定精度を向上させることができる。
このように構成すると、圧電素子は音波(特に超音波)の送受が可能となり、画像(特に超音波画像)が取得できるため好ましい。
このように構成すると、音波が遮光透音材を透過する割合は、光が遮光透音材を透過する割合よりも高いため、遮光透音材による音波エネルギーの損失はあるとしても光エネルギーをより損失させる遮光透音材を得ることができる。
このように構成すると、より光を減衰させる遮光透音材を形成することができる。
圧電体を用いた圧電素子の用途の中で、外部から与えられた振動を圧電効果により電圧に変換し、振動を電気的に検出し、検出された信号に基づいて精密な測定や解析が行われる装置は多様に存在する。本発明者等は、このような圧電素子を用いた測定において、圧電効果と同時に焦電効果が圧電体に生じ、検出される信号が焦電効果の影響を受け、測定が正確にできない場合があることを見出した。その上で、圧電体に生ずる焦電効果を抑制できるように圧電素子を構成すると、その素子を用いた装置の測定精度を格段に向上させることを見出し、本発明を完成させた。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る圧電素子について説明する。図1は、圧電素子10の厚さに対する垂直方向の断面を示す縦断面図である。図1に示すように、圧電素子10は、圧電体11と、圧電体11を上下から挟む集電のための電極12(正負電極)と、遮光透音材としての保護フィルム13、および引出ケーブル14を含んで構成される。なお、図1に示す各層の厚さは誇張されており、実際の厚さを示すものではない。保護フィルム13は、電極12の片側表面を覆い保護するフィルムとしても機能する。
なお、保護フィルム13は、圧電体11が音波等の振動を受動する面側(例えば片面または両面)に設けられることが好ましい。すなわち、保護フィルム13は、光が直接または反射等により圧電体11に照射するのを遮るように配置することが好ましい。したがって、保護フィルム13を、電極12を介して圧電体11に積層してもよく、圧電体と離間して配置してもよい。
圧電体11には、圧電性高分子のフィルムを用いることができる。圧電性高分子フィルムは、重合体の溶融体または溶液からフィルムを作成し分極処理することにより得ることができる。具体的には、フッ化ビニリデン系高分子、シアン化ビニリデン系共重合体等、特に限定されず、周知の圧電性高分子を用いることができる。圧電性高分子は、柔軟性に富み加工し易く、軽量であり、薄く成形することができる。中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)一軸延伸フィルムおよびフッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体(P(VDF‐TrFE))フィルムが好ましい。ポリフッ化ビニリデン一軸延伸フィルムは、ポリフッ化ビニリデンを一軸延伸後に分極処理を施すことにより得ることができる。また、フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体フィルムは、フッ化ビニリデンを主成分とし(すなわち50重量%以上含有する)、フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体を延伸することなく分極処理することにより得ることができる。両フィルムとも任意の面積に加工し易く、薄く成形でき、工業的生産に適している。また、フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体フィルムは、一軸延伸等の延伸工程を経ることなく製造できるため、延伸により生ずる収縮を抑制することができる。
電極12には、白金(Pt)や金(Au)などの金属電極や、カーボン電極を用いることができる。
遮光透音材としての保護フィルム13は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂、またはアルミニウムから形成される。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンのホモポリマー(すなわち、ポリフッ化ビニリデン;PVDF)、およびフッ化ビニリデンを主構成単位とする、フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンとの共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好適なものとして挙げられる。これらのポリフッ化ビニリデン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の中でも、耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性の観点からは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであるPVDFが好ましい。柔軟性や引き裂き強度の観点からは、フッ化ビニリデンを主構成単位とするフッ化ビニリデン共重合体を単独で、あるいはPVDFとブレンドして使用することが好ましい。接着性を向上させるには、官能基を導入したフッ化ビニリデン共重合体が好適に使用される。なお、遮光透音材と圧電体をPVDFで形成するように、遮光透音材と圧電体の材料を同一にするとインピーダンスを揃えることができるため好ましい。
シリコン系樹脂としては、代表的にはジメチルポリシロキサンを挙げることができ、またシリコーンゴムも用いることが可能である。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を代表として挙げることができる。
アルミニウムとしては、アルミ箔であってもアルミ蒸着フィルムであってもよい。アルミ蒸着フィルムは、アルミニウムの厚みを容易に変更でき、均一に蒸着できるため好ましい。
遮光透音材としての保護フィルム13は、光の反射、散乱、屈折または吸収を向上させるフィラーを含んでいてもよい。
フィラーとしては、粒状または粉末状のタルク、マイカ、シリカ、アルミナ、カオリン、フェライト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、石英粉末、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、他の酸化金属、カーボン、繊維状の炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種のフィラーを挙げることができる。
特に光の反射、散乱、屈折または吸収を向上させる白色のフィラーが好ましい。
フィラーの平均粒径は、0.1〜10μmの範囲であり、好ましくは0.2〜6μmの範囲である。またフィラーの平均粒径は得られる保護フィルム13の機械的強度を考慮して、フィルム厚に対して1.5倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.8倍以下である。0.1μm以上であると光の反射、散乱、屈折または吸収の効果を十分に得ることができ、10μm以下であるとフィルムの厚さを十分に薄くできる。
なお「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
なお、「音響透過性」とは、遮光透音材を有しない場合に受波した音波エネルギーに対する、遮光透音材を有する場合に受波した音波エネルギーの比をいう。「光透過性」とは、遮光透音材を有しない場合に受波した光エネルギーに対する、遮光透音材を有する場合に受波した光エネルギーの比をいう。「光透過性に対する音響透過性の比」とは、「音響透過性」を「光透過性」で除した値をいう。
音響透過性=受波した音波(遮光透音材有)/受波した音波(遮光透音材無)
光透過性=受波した光(遮光透音材有)/受波した光(遮光透音材無)
例えば、遮光透音材により音波が50%減衰し、光が50%減衰した場合は、どちらも50%透過したと考えられるため、「光透過性に対する音響透過性の比」は0.5/0.5=1となる。本願の遮光透音材は、「光透過性に対する音響透過性の比」が0.5以上であると、焦電効果を抑制し圧電効果による測定精度を十分に向上させることができる。
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る音波プローブ20について説明する。音波プローブ20は、第1の実施の形態に係る圧電素子10を備える。圧電体11により受波した音波は、電圧に変換され、電気信号として電極12から引き出しケーブル14を経由して、コネクタ22まで送られる。さらには、光音響装置50が備える信号処理装置40に送られ解析・処理される。圧電素子を支持する支持ケース21の形状は限られない。測定の際に把持しやすい形状であってもよい。なお、「音波プローブ」には、ハイドロフォンも含まれる。
図2、3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る光音響装置50について説明する。光音響装置50は、被検体(例えば生体)内の光学特性を解析・診断するものである。光音響装置50は、音波プローブ20、光源装置30、信号処理装置40を備える。光源装置30は、光を放射する光源31と、光源31から放射された光を被検体に照射する光照射部とを備える。光照射部は光を被検体に照射できる構成であればよく、例えば、光を所定周波数で断続光にチョッピングする光チョッパ、集光レンズ、光を伝播する光ファイバーを備えてもよく、反射光を用いる場合はミラーを備えてもよい。さらには、光を単一波長に設定するための分光器や波長可変駆動装置を備えてもよい。信号処理装置40は、音波プローブ20から送られた電気信号を解析・診断できる装置であればよく、例えば図31に示すような信号処理機41、パーソナルコンピュータ42、パルス発生器43等から構成された機器群であってもよい。
被検体内に入射した光は、被検体内に存在する光吸収体により吸収される。光の吸収により光吸収体は超音波(音響波)を発する。音波プローブ20は、光吸収体が発する音響波を受波する。受波した音響波は、超音波プローブが有する圧電素子により電圧に変換され電気信号として信号処理装置40に送られ、記録、解析、診断、画像処理等が行われる。画像処理信号は、画像表示装置(不図示)に送られ画像として表示される。なお、信号処理装置40は、増幅器(アンプ)を備えてもよく、圧電素子から得られた電気信号が小さい場合は、この増幅器を用いて電気信号の強度を増幅させることが好ましい。
また、図3のセンサ20a(音波プローブ20の一実施例)は1台であるが、センサを複数台備え被検体を複数の箇所から測定してもよい。
光音響装置50は、音波プローブ20、光源装置30、信号処理装置40をそれぞれ個別に構成してもよく、一体として構成してもよい。また、光源装置30のみを個別に構成し他を一体として構成してもよい。このように、装置の構成は適宜変更してもよい。
なお、音波プローブ20と被検体の間には、音波の反射を抑えるための音響インピーダンスマッチング材を使用することが好ましい。例えば、空気の音響インピーダンスは被検体としての生体組織と比べてはるかに小さいため、音波プローブ20と被検体との間に空気が介在すると音波は内部に入り込めず、被検体表面で反射されてしまう。そこで、生体の音響インピーダンスに近い物質(音響インピーダンスマッチング材)を介在させて空気を排除し、音波を入りこみやすくする。音響インピーダンスマッチング材により、音波の反射の影響をうけない、かつ、周波数特性評価に影響を与えない条件でデータ取得ができる。
信号処理装置40は、時間の経過に合わせて得られた電気信号の強度(すなわち超音波の強度)変化を記憶し、それを信号処理装置40の有する演算手段により、光学特性値分布のデータに変換できるものであってもよい。例えば、オシロスコープとデータ解析可能なコンピュータとを組み合わせてもよい。
レーザー光を用いると、測定対象部分に光を集中させることができるという利点がある。発光ダイオード(LED)を用いると、消費電力が低く省エネ効果が高い。
このように構成すると、同一被検体の、音響波に基づく画像と超音波の送受波に基づく画像とを画像表示装置に同時に並べて表示させたり、重畳して表示させることができるため好ましい。
また、光の照射は、圧電素子10の受波面と並ぶような位置から被検体に行ってもよい。照射された光が被検体内部で反射し音波プローブの圧電素子に入射した場合であっても、遮光透音材を備えているため、光の照射による圧電体に生じる焦電効果をより抑えることができる。よって、光音響装置はより精度の高い測定が可能となる。また、このような構成とすると、光は圧電素子の受波面と並ぶような位置から照射されるので、光が直接音波プローブに入射することがなく、光音響装置の測定精度の向上効果が高い。
(1)保護フィルム(遮光透音材)を貼り付けたことによる焦電信号の変化
(2)保護フィルム(遮光透音材)を貼り付けたことによる音響信号の変化
(3)動物実験での測定波形、を示す。
保護フィルムは、焦電性を抑制するか、および音響波を透過するかを評価した。なお、音響波評価実験では音響信号を正確に把握できる、焦電信号が出ないセットアップを使用しているため、焦電性を考慮する必要はないと考える。
・FILM−2:試作多層フィルム=PVDF層4μm、PMMA層46μm(フィラー7重量%=酸化チタン)
・FT−50Y:(株)クレハ製、KFCフィルム=PVDF層4μm、PMMA層46μm
・FILM−3:試作単層フィルム=(PVDF+PMMA+フィラー)ブレンド系フィルム、厚み20μm、フィラー30重量%=酸化チタン(粒径0.2μm)
・Al−FILM:アルミ蒸着P(VDF−TrFE)フィルム40μm
・Al 20μm
・Black Epoxy
・White Silicone
・透明ラバーコート(参考例1:No Coverの場合に使用)
・外筒径:5.5mm(有効素子径実測で4mm程度)
・センサ面積:19.62mm2
・センサ膜厚:55μm
・ケース長:10cm
・信号線径:2.6mm
・信号線長:4cm
・アンプに接続するための長さ50cmの同軸ケーブル
図4に遮光性(光透過性)を検証するための、焦電信号の変化の測定に用いた測定装置の概略図を示す。
光源として第2高調波Q−スイッチNd:YAGレーザーを用いた。
・波長:532nm
・ビーム径:3.25mm
・エネルギー:100μJ/pulse
(フラットトップに近似すると、フルエンス1.10mJ/cm2)
・スライドグラス(FF−004、松浪硝子工業(株)製)
・光ファイバ:400μm、NA0.48(M40L02、Thorlabs製)
・コリメータ:f=11mm、NA0.25(47221、Edmond Optics製)
擬似被検体として脱気水の入った水槽を用いた。水槽の大きさは、23×17×7.5cmである。
35mmディッシュの底面にドリルでφ10mm程度の穴をあけ、その穴の周囲に両面テープを貼り付け、保護フィルムを貼り付けた(保護フィルムとプローブの間に両面テープは介在しない)。レンズホルダでディッシュを固定し、プローブをzステージで上下して、保護フィルムに押し当てる形で固定した。
時間マスクなし:レーザー照射直後に検知された、保護フィルムに光が吸収されて発生した焦電信号の最大値。
時間マスクあり:被検体由来の焦電信号の最大値。本実施例において電磁ノイズを排除するために、レーザー照射後2〜30μsの間の最大値のみを抽出するように時間マスクを掛けた値。
なお、アルミ(実施例5、6)、黒フィルム(実施例7)は、焦電信号の強度が小さいため半値幅計測は不可であった。白シリコーン(実施例8)は、参考例1(No Cover)と比較して5%程度半値幅が小さくなっている。
本願の光透過性として、以下のとおり焦電信号抑制比を求めた。
[1]出力信号オフセット(数mV)の影響を除去するために、光照射前に観測されている信号の平均電圧を算出し、生波形から差分をとる。
[2]レーザーパルスエネルギーの変動の影響を除去するために、信号計測時に同時にモニタしているエネルギー値で生波形を除算する。
[3]信号波形から最大となる電圧を算出する。
[4]カバーフィルムなしの条件で計測した[3]に対する比を焦電信号抑制比(光透過性)とする。
なお、加算平均:16回、サンプリング周波数:100MHz、データ取り込み時間:2msであった。また、カバーフィルムなしの状態で飽和するぎりぎり(最大値3V程度)を設定した。
図8〜図16に、参考例1、実施例1〜実施例8の信号波形を示す。なお、図8(a)は長い時間スケールで表示した信号波形である。図8(b)は短い時間スケールで表示した信号波形である。図9〜図16も同様である。
図17に、透音性(音響透過性)を検証するための、音響信号の変化の測定に用いた測定装置の概略図を示す。
光源として第2高調波Q−スイッチNd:YAGレーザーを用いた。
・エネルギー:40μJ/pulse
(f=250mmの凸レンズで集光し、シリコーンラバー表面に焦点が来るように位置を合わせた。レンズ:KPX109、Newport Corp.製、ミラー:TFM−25C05−532、シグマ光機(株)製)
・水面への入射角:16.9°
擬似被検体として脱気水の入った1Lのビーカーを用いた。1Lのビーカーは、内径10.5cm、深さ14.5cmである。
擬似被検体内に存在し、光を吸収して音波を発生する光吸収体として、シリコーンラバー(high μa)を用いた。シリコーンラバーは、シリコーン二液型RTVゴム(KE−1283−A/B、信越化学工業(株)製)の主剤と硬化剤とを重量比1:1の割合で混合した溶液80mlを、径90mm、高さ15mmのペトリディッシュ(3020−100、IWAKI)に注入し、室温環境下に48時間静置して硬化させて作成した。
シリコーン(実施例8)は水よりも音速が遅いため、信号の到達時間が遅れる。
エポキシ(実施例7)は水よりも音速が早いため、信号の到達時間が早まる。
他の素材に関しては厚みが10μmと薄いため、伝播時間変化はほぼ無視できる。
本願の音響透過性として、以下のとおり音響波減衰特性を求めた。
[1]レーザーパルスエネルギーの変動の影響を除去するために、信号計測時に同時にモニタしているエネルギー値で生波形を除算する。
[2]受信信号波形から99〜103μsの時間範囲のデータを抽出してFFTを施しスペクトルを算出する。
[3]カバーフィルムなしの条件で計測した[2]に対する比を音響波減衰特性(音響透過性)とする。
なお、加算平均:16回、サンプリング周波数:2GHz、データ取り込み時間:200μsであった。
図21〜図28に、実施例1〜実施例8の信号波形を示す。なお、図21(a)は時間波形ある。図21(b)は周波数スペクトルである。図22〜図28も同様である。
パルスオキシメータの原理でウサギの動脈血の血液酸素飽和度を計測したが、計測結果は安定しなかった。
一方で、超音波エコーで血管位置を確認した。体表から深さ6〜7mmの血管を検出できた。血管が見えたときのプローブの位置をマークし、自由度の高いアームを用いて光音響プローブをマークした位置に合わせて、血管由来の信号を図31に示す構成の装置で計測した。
照射したレーザー光は以下のとおりである。照射には光ファイバーを用いた。
・光波長:756,770,798nm
・エネルギー:4〜5mJ/pulse
・パルス幅:8ns
図29に、FILM−3を用いた場合の、ウサギの血管由来の信号波形を示す。光音響信号が焦電電圧に隠れてしまうことなく、10〜12μsの間に血管由来の光音響信号を明瞭に検出することができた。
図7に示すように、焦電電圧を示す波形は急激な立ち上がりの後に徐々に下降する。すなわち、経過時間がより早い段階で光音響信号は最も焦電電圧の影響を受ける。したがって、本願の遮光透音材により特に浅い領域での測定をより正確に行うことができる。
・保護フィルム:White Silicone(実施例8)
図30に、同様の方法によるWhite Siliconeを用いた場合の、ウサギの血管由来の信号波形(波長:756nm、エネルギー:4mJ)を示す。光音響信号が焦電電圧に隠れてしまうことなく、8〜10μsの間に血管由来の光音響信号を明瞭に検出することができた。なお、図30と図29では、センサの特性により正負の極性が反転している。
なお図29、30内のソナゲル層とは、プローブと体表との間に配置したソナゲル(商品名:ソナゲル、タキロン(株)製、寸法:200×100×10mm)に由来する信号である。光が広がるようにプローブと体表との間の距離を稼ぐ目的でソナゲルを使用している。超音波ゲルを厚く塗ると、ゲルの中に気泡が入り気泡による超音波の散乱や反射がアーティファクトの原因となるが、ソナゲルは固形であり気泡が入らないため好ましい。
11 圧電体
12 電極、カーボン電極
13 遮光透音材、保護フィルム
14 引出ケーブル
20 音波プローブ
20a センサ
21 支持ケース
22 コネクタ
30 光源装置
31 光源、レーザー光源
32a レンズ
32b レンズ
33 ミラー
40 信号処理装置
41 信号処理機
42 パーソナルコンピュータ(PC)
43 パルス発生器
50 光音響装置
101 シリコーンラバー
102 水槽
103 ビーカー
104 脱気水
105 光ファイバ
106 コリメータ
107 スライドグラス
Claims (12)
- 音波を受波し、受波した音波を電圧に変換する圧電体と;
前記圧電体を挟む正負電極と;
前記圧電体を覆う遮光透音材であって、前記音波により前記圧電体に生ずる圧電効果を測定可能な程度に前記音波を透過させ、光の照射により前記圧電体に生ずる焦電効果を前記光を減衰することにより抑制する遮光透音材とを備える;
圧電素子。 - 前記遮光透音材の光透過性に対する音響透過性の比が、0.5以上である、
請求項1に記載の圧電素子。 - 前記音響透過性が前記光透過性よりも大きい、
請求項2に記載の圧電素子。 - 前記圧電体が、照射された光を吸収した光吸収体により生ずる前記音波を受波し、
前記遮光透音材が、前記音波により前記圧電体に生ずる圧電効果が測定可能な程度に、前記光により前記圧電体に生ずる焦電効果を抑制する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧電素子。 - 前記遮光透音材が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂、またはアルミニウムから形成された、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の圧電素子。 - 前記遮光透音材が、前記少なくとも1種の樹脂から形成され、
前記遮光透音材が、光の反射、散乱、屈折または吸収を向上させるフィラーを含有し、
前記フィラーが、粒状または粉末状のタルク、マイカ、シリカ、アルミナ、カオリン、フェライト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、石英粉末、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、他の酸化金属、繊維状の炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項5に記載の圧電素子。 - 前記フィラーが、白色である、
請求項6に記載の圧電素子。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の圧電素子と;
前記圧電素子を支持する支持ケースとを備える;
音波プローブ。 - 前記光を放射する光源と;
前記光源から放射された光を被検体に照射する光照射部と;
請求項8に記載の音波プローブと;
前記圧電素子からの電圧信号を処理する信号処理装置とを備える;
光音響装置。 - 前記圧電素子が振動して音波を発生するように、前記圧電素子に電圧を加えるパルス電圧発生器を備え;
前記圧電素子が、前記圧電素子からから発生した音波の反射波を受波する、
請求項9に記載の光音響装置。 - ポリフッ化ビニリデン系樹脂と;
粒状または粉末状のタルク、マイカ、シリカ、アルミナ、カオリン、フェライト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、石英粉末、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、他の酸化金属、繊維状の炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種のフィラーとを含有し;
音響透過性が光透過性よりも大きい、
遮光透音材。 - 前記フィラーが、白色である、
請求項11に記載の遮光透音材。
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