JP4913942B2 - 高固形分塗料組成物及びその塗膜形成方法 - Google Patents

高固形分塗料組成物及びその塗膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な高固形分塗料組成物及びこの組成物を使用した複層塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
塗料分野において、大気汚染に対する環境保全及び省資源の観点から、有機溶剤の使用量削減が重要な課題となっている。その対策として、有機溶剤系塗料において、塗料中に含まれる有機溶剤量を減少させて固形分濃度を高くした、いわゆる「高固形分塗料組成物」の開発があげられる。
【0003】
現在、提案されている高固形分塗料組成物は、水酸基含有樹脂に硬化剤としてメラミン樹脂を配合したものが殆どである。しかしながら、塗料中の固形分濃度を高くするために分子量を小さくして低粘度化にすると、塗膜性能が劣化するという重大な欠陥を有している。一方、低分子量の状態で、塗膜性能維持のために水酸基などの架橋性官能基を多く導入せしめると、これらの官能基間の相互作用により粘度上昇して好ましくないので、官能基を多く導入すると低粘度化が困難となる。又、メラミン樹脂を多量に配合すると加熱硬化時にアルコールなどの副生物を多量に発生するので、塗膜に「ワキ」(発泡)が生じやすいという欠陥を有している。
【0004】
さらに、屋外で使用される自動車外板部などに塗装したメラミン樹脂を含有する上塗り塗膜は、酸性雨による塗膜のエッチングやシミ状汚れが生じやすく、しかも洗車機によるスリキズも発生しやすいという欠陥を有している。一方、ポリイソシアネート化合物を架橋剤として配合すると、メラミン樹脂に比べそれ自身の粘度が低いものが多く、高固形分化がしやすく、しかも、耐酸性雨性、耐洗車擦り傷性や仕上がり外観(例えば、ツヤ、肉持ち感、鮮映性など)などにすぐれているが、固形分含有率が70重量%以上の高濃度領域では、硬化せしめた塗膜の硬度が十分でないという欠陥を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、上記した従来の技術の欠陥が解消され、塗料の粘度が低くかつ塗膜性能の低下が認められず、しかも仕上がり外観、塗膜硬度、耐酸性雨及び耐スリキズ性のすぐれた塗膜を形成する新規な高固形分塗料組成物及びこの組成物を使用した複層塗膜の形成方法に関する。鋭意研究の結果、特定範囲の重量平均分子量及び水酸基価を有する水酸基含有オリゴマーにポリイソシアネート化合物を特定の比率で併用せしめることにより、目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、(A)重量平均分子量が1000以下、水酸基価が200〜800の水酸基含有化合物(B)ポリイソシアネート化合物、(C)硬化触媒及び(D)レオロジーコントロール剤を含有し、該(A)成分及び(B)成分の比率がNCO/OHのモル比で0.5/1〜2.0/1であり、該(A)成分がオキシ酸とグリシジルエステルとの反応生成物であって、該(D)成分として、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の分子鎖を有し、かつ重合性不飽和二重結合を1分子あたり平均約1個以上有するマクロモノマー(a)と、エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、溶解性パラメータ(SP値)が7.5〜9.2であり、かつ1分子あたり平均して1.0〜1.5個の重合性不飽和二重結合を有するマクロモノマー(b)との混合物の存在下に、相互に反応して結合することができる相補的官能基をそれぞれ有する少なくとも2種のビニル系単量体を少なくとも0.5重量%含有するビニル系単量体混合物を、マクロモノマー(a)、マクロモノマー(b)及び該ビニル系単量体は溶解するが、該ビニル単量体の重合体は実質的に溶解しない有機溶媒中で共重合および架橋反応させてなるゲル重合体微粒子を含有することを特徴とする高固形分塗料組成物(以下、本組成物という)が提供される。
【0007】
また、本発明は、1層以上の着色塗膜及び1層以上の透明塗膜からなる複層塗膜において、その最上層の透明塗膜が本組成物により形成されていることを特徴とする複層塗膜形成方法(以下、本方法という)を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本組成物について詳細に説明する。
【0009】
本組成物は高固形分型塗料組成物であって、塗装時における固形分含有率が、例えば70重量%以上、特に75〜90重量%の範囲内であることが好ましい。
【0010】
(A)成分:重量平均分子量が1000以下、水酸基価が200〜800の水酸基含有化合物である。
【0011】
(A)成分としては、重量平均分子量及び水酸基価が上記した範囲内包含されてい化合物であれば、特に組成的制限はないが、特に、カルボキシル基含有化合物とエポキシ基含有化合物との開環エステル化反応生成物(A−1)を(A)成分として使用することが、本発明の目的を達成するために好ましい。
【0012】
(A−1)成分は、カルボキシル基含有化合物のカルボキシル基とエポキシ基含有化合物のエポキシ基との開環エステル化反応により調製することができる。この(A−1)成分に含有せしめる水酸基としては、エポキシ基の開環により生成する水酸基と、他の方法により導入される水酸基があげられる。
【0013】
カルボキシル基含有化合物は、1分子中に1個又は2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ピバル酸、バーサチック酸、安息香酸などのモノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、フタル酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸などのポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、ヒドロキシピバル酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グルコン酸などのオキシ酸などがあげられ、これらの無水物も適用できる。また、あらかじめこれらの無水物とグリコール類を反応せしめたものを利用できる。この具体例としては、トリメチロールプロパンとヘキサヒドロ無水フタル酸との反応物やトリメチロールプロパンと無水コハク酸との反応物などがあげられる。これらのうち、水酸基及びカルボキシル基を併存するオキシ酸や無水物とグリコールとの反応物を使用することにより、多数の水酸基を(A−1)成分中に導入することができるので好ましい。
【0014】
エポキシ基含有化合物は、1分子中に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、それ自体既知の化合物が使用でき、例えば、下記の化合物が例示できる。
イ)グリシドール。
ロ)水酸基含有化合物とハロヒドリンとのエーテル化反応により得られるエポキシ基含有化合物。
ハ)カルボキシル基含有化合物とハロヒドリンとのエステル化反応により得られるエポキシ基含有化合物。
ニ)不飽和基と過酸化物の反応により得られるエポキシ基含有化合物。
【0015】
上記イ)のグリシドールは、2,3−エポキシ−1−プロパノールであり、例えばアリルアルコールと安息香酸又はタングステン酸と過酸化水素の反応により得られる。
【0016】
上記ロ)における水酸基含有化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂、これらの臭化物などの芳香族系水酸基含有化合物;水素化ビスフェノールAなどの脂環族系水酸基含有化合物;メタノール、エタノールなどの炭素数が1〜20の脂肪族系モノアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、へキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリットなどの炭素数が2〜20の脂肪族系ポリオールなどがあげられる。ハロヒドリンとしてはエピハロヒドリンが好適に使用できる。水酸基含有化合物とハロヒドリンとのエーテル化反応は既知の方法で行うことができ、この反応によりロ)成分が得られる。
【0017】
かかるロ)成分に相当する市販品として、長瀬産業社製、「デナコールEX−313」、「デナコールEX−321」、「デナコールEX−421」、「デナコールEX−611」(いずれも商品名)などがあげられる。
【0018】
上記ハ)におけるカルボキシル基含有化合物及びハロヒドリンとしては、例えば、(A−1)成分の調製に例示したカルボキシル基含有化合物及びハロヒドリンが好適に使用できる。カルボキシル基含有化合物とハロヒドリンとのエステル化反応は既知の方法で行うことができ、この反応によりハ)成分が得られる。かかるハ)成分に相当する市販品として、「カージュラE10」(油化シェルエポキシ社製、商品名)、「グリデックスN10」(エクソン社製、商品名)、「アラルダイトPT910」(チバガイギー社製、商品名)などがあげられる。
【0019】
上記ニ)における化合物としては市販品として、ダイセル化学社製、「セロキサイド2021」、「セロキサイド3000」(いずれも商品名)などがあげられる。
【0020】
これらの化合物の中で、カルボキシ基含有化合物の中では特に好ましくはオキシ酸が、エポキシ基含有化合物野中では特に好ましくは疎水基を有するグリシジルエステルが好適に使用することができる。
【0021】
(A−1)成分を調製するためのカルボキシル基含有化合物とエポキシ基含有化合物との開環エステル化反応は室温においても進行するが、例えば、100〜160℃、好適には115〜150度に加熱して、無触媒で行なうことが好ましい。
【0022】
かかる(A)成分は、重量平均分子量が1000以下、好ましくは300〜700、水酸基価が200〜800、好ましくは300〜600の、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。(A)成分において、重量平均分子量が1000より大きくなると高固形分化が困難となり、 また、水酸基価が200より小さくなると硬化性が劣り、一方、800より大きくなるとポリイソシアネート化合物との相溶性が低下するので好ましくない。
【0023】
(B)成分:ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネ−ト化合物は、1分子中に2個以上の遊離のイソシアネ−ト基(非ブロック)を有する化合物であって、それ自体既知のものが使用できる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ダイマ−酸ジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−トなどの脂肪族ポリイソシアネ−ト類;水素添加キシリレンジイソシアネ−ト、シクロヘキシレンジイソシアネ−ト、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環式ポリイソシアネ−ト類;トリレンジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、ナフタレンジイソシアネ−トなどの芳香族ポリイソシアネ−ト類;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエ−ト、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネ−ト(通称、トリアミノノナントリイソシアネ−ト)などの3価以上の有機ポリイソシアネ−ト化合物;これらの1分子中に2個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネ−ト化合物の2量体又は3量体;これらの1分子中に2個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネ−ト化合物と多価アルコ−ル、低分子量ポリエステル樹脂又は水などとイソシアネ−ト基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマ−などがあげられる。
【0024】
(B)成分おいて、これらの非ブロックのポリイソシアネ−ト化合物と共に、イソシアネ−ト基がブロックされたブロックポリイソシアネ−ト化合物を併用することができる。
【0025】
ブロックポリイソシアネ−ト化合物は、上記のポリイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基をブロック剤で封鎖した化合物である。ブロック剤として、例えば、フェノ−ル類、オキシム類、ラクタム類、アルコ−ル類、メルカプタン類、マロン酸ジエチル等の活性メチレン化合物などがあげられる。これらのブロックポリイソシアネ−ト化合物の比率は、非ブロックポリイソシアネ−ト化合物との合計量を基準に、50重量%以下、特に30重量%以下の範囲が好ましい。
【0026】
(B)成分の数平均分子量は、2000以下、特に200〜1000の範囲内が好ましい。
【0027】
本組成物は上記した(A)重量平均分子量が1000以下、水酸基価が200〜800の水酸基含有化合物及び(B)ポリイソシアネート化合物を必須成分として含有し、この両成分の比率は、それぞれの成分に含まれているNCO/OHを基準に、モル比で、0.5/1〜2.0/1、特に好ましくは0.7/1〜1.5/1の範囲内に含まれていることが必要であり、この範囲内から逸脱すると本発明の目的が達成できないので好ましくない。
【0028】
本組成物は、上記の(A)成分及び(B)成分を上記した比率で有機溶剤に配合し、均一に混合することにより調製することができる。
【0029】
本組成物には、これらの(A)及び(B)成分に加えて、さらに(C)硬化触媒、(D)レオロジーコントロール剤などから選ばれた1種又は2種以上を含有せしめることも可能である。
【0030】
(C)成分:硬化触媒
これは、上記の(A)成分と(B)成分による塗膜の架橋反応を促進するのに有用である。
【0031】
具体的には、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2−エチルヘキン酸鉛、オクチル酸亜鉛などの有機錫化合物をあげることができる。さらに、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ブチルリン酸、オクチルリン酸などの酸、これらの酸のアミン中和物などが好適である。(C)硬化触媒の使用量は、使用目的により任意に選択できるが、(A)成分及び(B)成分との合計100重量部あたり、0.005〜5重量部、特に0.01〜3重量部の範囲内が適している。
【0032】
(D)成分:レオロジーコントロール剤
この(D)成分を配合することによって本組成物にチキソトロピー性を付与することができ、これにより、スプレー塗装時などの高剪断応力が加わるような場合には、十分に粘度が下がって容易にスプレー塗装作業を行うことができるようになり、一方、被塗面に塗着してからの低剪断応力が加わるような場合には、見かけ上の粘度を高くすることが可能となる。その結果、垂直の被塗面に塗装する場合や、その部分へ塗装後の焼き付け時においてタレ、ハジキ等の塗膜欠陥の発生を防止することができ、仕上り外観の良好な塗膜を形成できるという効果が得られる。このようなレオロジーコントロール剤として、架橋重合体微粒子やポリウレア化合物などがあげられる。
【0033】
架橋重合体微粒子は、上記の(A)及び(B)成分や有機溶剤などに殆ど又は全く溶解せず、しかも本組成物中に安定に分散しうる内部架橋された粒子状重合体である。
【0034】
架橋重合体微粒子の具体例としては、水性エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法又は非水分散重合方法によって得られる公知の分子内架橋された微粒子状重合体が使用可能である。このうち水性エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法によって得られる分子内架橋構造を有する微粒子状重合体は、水の蒸発もしくは共沸又は重合体(粒子)の沈殿もしくは凝集等の、物理的ないしは化学的手段によって、固形物の形で分離せしめることもできるし、あるいは、物理的ないしは化学的手段を施すに際して、目的とする架橋重合体微粒子の媒体を、直接、水から他の樹脂や有機溶剤等に置き換えることもできる。
【0035】
架橋重合体微粒子として、特開平3−66770号公報に開示されているような分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマー及びその他のラジカル重合性不飽和モノマーを分子内にアリル基を含有する反応性乳化剤の存在下で乳化重合せしめて得られる架橋重合体微粒子を好適に使用できる。この場合には、分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマーにより重合体微粒子が内部架橋されている。
【0036】
また、架橋重合体微粒子として、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の分子鎖を有し、かつ重合性不飽和二重結合を1分子あたり平均約1個以上有するマクロモノマー(a)と、エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、溶解性パラメータ(SP値)が7.5〜9.2であり、かつ1分子あたり平均して約1.0〜約1.5個の重合性不飽和二重結合を有するマクロモノマー(b)との混合物の存在下に、相互に反応して結合することができる相補的官能基をそれぞれ有する少なくとも2種のビニル系単量体を少なくとも0.5重量%含有するビニル系単量体混合物を、マクロモノマー(a)、マクロモノマー(b)及び該ビニル系単量体は溶解するが、該ビニル単量体の重合体は実質的に溶解しない有機溶媒中で共重合および架橋反応させてなるゲル重合体微粒子の分散液を使用することができる。該架橋重合体微粒子自体は既知のものであって、特公平6−70110号公報に詳細に開示されている。マクロモノマー(a)は、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の末端カルボキシル基にエポキシ基含有重合性不飽和不飽和化合物を付加してなる重合性不飽和基含有反応生成物を、エポキシ基を有する重合性モノマーを含有する重合性不飽和モノマー混合物とグラフト共重合又はブロック共重合させて得られる懸垂エポキシ基含有共重合体に重合性不飽和カルボン酸を付加させて得られる、1分子中に約1〜約10個の重合性不飽和二重結合を有するマクロモノマーが好適である。特に、マクロモノマー(a)は、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の末端カルボキシル基にエポキシ基含有重合性不飽和不飽和化合物を付加してなる1分子中に1個の重合性不飽和二重結合を有するマクロモノマーが好適である。マクロモノマー(b)が数平均分子量3000〜20000、水酸基価45〜150であることが好ましい。相補的官能基の組み合わせが、例えば、エポキシ基/カルボキシル基、アルコキシシリル基/水酸基、エポキシ基/りん酸基、イソシアネート基/水酸基などがあげられる。
【0037】
これらの架橋性重合体微粒子は、架橋密度が高く、トルエンや酢酸エチルなどのポリマー溶解力の大きい有機溶剤中においても、実質的に、非膨潤性でかつ非融着性であり、しかも有機溶剤を含む本組成物に添加すると、本組成物の粘度を殆ど上昇させることなく、樹脂含有率の高い、つまり高固形分の溶液(分散液)を得ることができる。また、架橋重合体微粒子を配合した本組成物は、微粒子とバインダー樹脂とが共に硬化塗膜を形成する。架橋重合体微粒子の平均粒子径は0.01〜2μm程度、特に0.05〜0.5の範囲内が適しており、粒径がこの範囲内にあると塗膜のタレ防止効果及び塗膜の仕上り外観が優れている。
【0038】
さらに、レオロジーコントロール剤(D)として、3〜20個の炭素原子を有するジイソシアネ−ト化合物から得られるイソシアヌレ−ト3量体と1個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物との反応生成物からなる固体粒子状のポリウレア化合物も使用することができる(特公平7−81099号公報)。イソシアヌレ−ト3量体は、3〜20個、好ましくは5〜14個、さらに好ましくは8〜12個の炭素原子を有するジイソシアネート、特に好適にはヘキサメチレンジイソシアネートから作られることが好ましい。好適なジイソシアネートの例としては、メチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ω,ω゜ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4゜−ジイソシアネート、1,5−ジメチルー2,4−ビス(イソシアナトメチル)−ベンゼン、1,5−ジメチルー2,4−ビス(ω−イソシアナトエチル)―ベンゼン、1,3,5−トリメチルー2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチルー2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、バイエル社のデスモジュール(Desmodur)TTの商標で販売されている複素環ジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネートなどがあげられる。所望により、2種又は3種類の異なったジイソシアネートの複素環3量体を使用してもよい。また、上記複素環トリイソシアネートの混合物を使用することもできる。
【0039】
ポリウレア化合物を作るのに使用する第2成分である好適な第1級アミンの例としては、ベンジルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、α−メチルブチルアミン、α−エチルプロピルアミン、β−エチルブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン及びヘキサメチレンジアミンなどがあげられる。これらの第1級アミンは一般に55個以下の炭素原子、好ましくは1〜24個、さらに好ましくは1〜12個の炭素原子を含んでいる。1個以上の1級アミノ基及び1個以上のエーテル及び/又はヒドロキシル基を有するアミンも使用することができる。例えば、エタノールアミン、6−アミノヘキサノール、p−メトキシベンジルアミン、メトキシプロピルアミン、3,4−ジメトキシフェニルエチルアミン、2,5−ジメトキシアニリン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン(約750の分子量を有するもの)があげられる。上記アミンの混合物も使用できる。
【0040】
ポリウレア化合物を作るための複素環トリイソシアネートと第1級アミンとの反応においては一般に複素環トリイソシアネート又は第1級アミンの一方を化学量論量より過剰に使用することができる。例えば、第1級アミンのアミノ基数対複素環トリイソシアネート基数の比は0.7から1.5、好ましくは0.9〜1.1とすることができる。
【0041】
複素環トリイソシアネートと第1級アミンとの反応は、一般に、反応成分を混合し、必要により温度を高めて任意の選ばれた方法で実施することができる。この反応は10℃〜150℃の温度、さらに好ましくは20℃〜80℃の温度で行うことが好ましい。一般に、反応成分は任意の選ばれた方法で混合することができるが、第1級アミンに複素環トリイソシアネートを加えることが望ましく、必要により数段階に分けてもよい。一般にこの反応は溶剤、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、1―メトキシープロパノールー2、ベンゼン、トルエン、キシレン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素の存在下で行われる。
【0042】
(D)成分の配合量は、使用目的により任意に選択できるが、(A)及び(B)成分の合計100重量部あたり、1〜20重量部、特に2〜10重量部の範囲内が適している。
【0043】
本組成物は、上記の(A)成分及び(B)成分を必須成分とし、さらに必要に応じて(C)硬化触媒、(D)レオロジーコントロール剤などから選ばれた1種又は2種以上を含有せしめることができ、これに加えて、さらにソリッドカラー顔料、メタリック顔料、光干渉顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、沈降防止剤、塗面調整剤、その他塗料用添加剤などを含有せしめることも可能であり、これらの成分を有機溶剤に均一に混合することにより本組成物が得られる。
【0044】
ソリッドカラー顔料としては、例えば、キナクリドンレッド等のキナクリドン系、ピグメントレッド等のアゾ系、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ペリレンレッド等のフタロシアニン系等の有機顔料や酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料があげられ、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、蒸着アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、真鍮粉、クロム粉等が挙げられ、干渉色顔料としては、真珠光沢状のパールマイカ粉、真珠光沢状の着色パールマイカ粉等を挙げることができる。
【0045】
本組成物は、有機溶剤型の高固形分塗料組成物として使用され、有機溶剤としては、各種塗料用有機溶剤、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等が使用できる。本発明塗料組成物の固形分濃度は、70重量%以上の高固形分であり、好ましくは75〜90重量%である。
【0046】
本組成物は、(B)ポリイソシアネート化合物を含有しており、このものは室温において(A)成分などと比較的容易に反応するので、この(B)成分は、(A)成分とをあらかじめ分離しておく、いわゆる2液型の形態で使用することが好ましい。2液型の場合には、それぞれのグループを使用直前に混合して使用すればよい。この場合、(A)成分以外の成分は、(B)成分との反応性を考慮して、(A)成分側、又は(B)成分側のいずれかに配合せしめるか、又は第3成分とすることも可能である。
【0047】
本組成物は、塗装時の固形分濃度が70重量%以上であっても塗装可能な低粘度であるため、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化式塗装法などによって容易に塗装することができる。これらの塗装は静電を印加して行ってもよい。本組成物は、これらの塗装方法による微粒化に優れており、平滑性、鮮映性、肉持感に優れた塗膜を形成することができる。
【0048】
また、本組成物は、例えば30〜80℃、好ましくは40〜60℃に加温してから塗装することも可能である。加温方法として、(A)成分を含有する組成物(i)と(B)成分を含有する組成物(ii)をそれぞれ加温してから混合する、組成物(i)のみを加温してから組成物(ii)を混合する、組成物(ii)のみを加温してから組成物(i)を混合する、組成物(i)と組成物(ii)とを混合してから加温する、の4通りがあげられる。この加温により、本組成物のポットライフが更に短くなることがあるので、加温してから2液混合装置(例えば、GRACO社製、Precision Mix )を用いて均一に混合することにより、ポットライフの問題を回避するとは可能である。例えば、この装置のA液タンクに組成物(i)を、B液タンクに組成物(ii)をそれぞれ仕込み、A液タンクを55℃に加温する。その際、B液タンクは室温のままである。そして、2液混合装置を使用して、組成物(i)と組成物(ii)とを混合すると40℃の液温度とすることができる。この場合、組成物(i)と組成物(ii)の加温を逆に行なってもよい。このように加温すると塗装時における本組成物の粘度を低くすることができ、その結果、高固形分塗料としての本組成物の塗装性がさらに向上させることができる。
【0049】
本組成物は、クリヤ塗料として、また、着色顔料、メタリック顔料、干渉色顔料などの各種顔料を配合してソリッドカラー塗料、メタリック塗料、干渉色塗料として使用することができる。特に、本組成物は、耐酸性、耐擦り傷性、仕上り外観(例えば、ツヤ、肉持感、鮮映性)などに優れた硬化塗膜を形成することができるので、少なくとも1種の着色塗料及び少なくとも1種のクリヤ塗料を順次塗装して複層塗膜を形成する方法における最上層のクリヤ塗料として、本組成物を使用するのに適している。
【0050】
次に、本方法、すなわち、1層以上の着色塗膜及び1層以上の透明塗膜からなる複層塗膜であって、その最上層の透明塗膜が本組成物により形成されていることを特徴とする複層塗膜形成方法について説明する。
【0051】
本方法により、複層塗膜を形成するにあたり、最上層のクリヤ塗料として本組成物を使用する方法として、例えば以下に述べる方法があげられる。
【0052】
方法a:着色塗料及びクリヤ塗料を順次塗装する2コート方式において、クリヤ塗料として本組成物を使用する塗装方法。
【0053】
方法b:着色塗料、第1クリヤ塗料及び第2クリヤ塗料を順次塗装する3コート方式において、第2クリヤ塗料として本組成物を使用する塗装方法。
【0054】
方法c:第1着色塗料、第2着色塗料及びクリヤ塗料を順次塗装する3コート方式において、クリヤ塗料として本組成物を使用する塗装方法。
【0055】
これらの方法a、b及びcについて、さらに詳細に説明する。
【0056】
上記方法aにおいて、着色塗料としては、ソリッドカラー塗料、メタリック塗料及び干渉色塗料が包含される。
【0057】
上記着色塗料において、樹脂成分は、例えば架橋性官能基(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシリル基など)を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの少なくとも1種の基体樹脂と、基体樹脂を架橋硬化させるためのアルキルエーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物などの少なくとも1種の架橋剤成分とからなり、該両成分の合計重量を基準にして、基体樹脂は50〜90%、架橋剤成分は50〜10%の比率で併用することが好ましい。着色塗料には、前記本発明塗料組成物に配合できる公知の顔料として挙げた、着色顔料、メタリック顔料、干渉色顔料などの顔料が配合される。これらの顔料は、単独で又は2種以上併用して使用することができる。また、着色塗料は、有機溶剤系であっても水系のいずれであってもよい。
【0058】
方法aは、自動車用などの金属製もしくはプラスチック製の被塗物に直接、又はカチオン電着塗料などの下塗塗料及び必要に応じて中塗り塗料を塗装し、硬化させた後、上記着色塗料を、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装(これらは静電印加していてもよい)などの方法によって膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmとなるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、本組成物からなるクリヤ塗料を同様の塗装方法によって膜厚が硬化膜厚で約10〜70μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して架橋硬化させることからなる、2コート1ベーク方式(2C1B)又は2コート2ベーク方式(2C2B)により行うことができる。
【0059】
方法bにおいて、着色塗料としては、方法aの項で説明した着色塗料と同様のものを使用することができる。また、第1クリヤ塗料は、透明塗膜形成用塗料であり、着色塗料から顔料の殆どもしくはすべてを除去してなる塗料(本料組成物であってもよい)を使用することができる。そして、第2クリヤ塗料として、本組成物からなるクリヤ塗料を使用する。方法bは、方法aと同様の工程にて、着色塗料を塗装し硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、着色塗膜上に第1クリヤ塗料を同様に塗装方法により膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、本組成物からなる第2クリヤ塗料を同様の塗装方法によって膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させることからなる、3コート1ベーク方式(3C1B)、3コート2ベーク方式(3C2B)又は3コート3ベーク方式(3C3B)により行うことができる。
【0060】
方法cにおいて、第1着色塗料としては、方法aの項で説明した着色塗料と同様のものを使用することができる。第2着色塗料としては、第1着色塗料の塗面に塗装するものであり、該第2着色塗料塗膜を通して第1着色塗料塗面の色調(ソリッドカラー、メタリック色、干渉色)が視認できる程度の小さい隠蔽性を有している着色透明塗料が使用される。したがって、該第2着色塗料膜の隠蔽性は、第1着色塗料膜の隠蔽性より通常小さい。該第2着色塗料膜の上にクリヤ塗料が塗装されるが、このクリヤ塗料は、透明塗膜形成用塗料であり、本組成物が使用される。方法cは、方法aと同様の工程にて、着色塗料として第1着色塗料を塗装し硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、第1着色塗膜上に第2着色塗料を膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、本組成物からなるクリヤ塗料を同様の塗装方法によって膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させることからなる、3コート1ベーク方式(3C1B)、3コート2ベーク方式(3C2B)又は3コート3ベーク方式(3C3B)により行うことができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、環境保全及び省資源の観点から、有機溶剤の使用量を削減して固形分濃度を高くしたいわゆる高固形分塗料組成物に関する。特に、上記の(A)重量平均分子量が1000以下、水酸基価が200〜800の水酸基含有化合物及び(B)ポリイソシアネート化合物を含有し、かつこの両成分の比率がNCO/OHのモル比で0.5/1〜2.0/1であることを特徴とする高固形分塗料組成物(本組成物)は、塗膜性能を何ら劣化させることなく、高固形分化が可能となった。塗膜に「ワキ」(発泡)などが生じることなく、さらに、自動車用の最上層上塗り塗膜として、酸性雨による塗膜のエッチングやシミ状汚れなどの発生を防止することができ、しかも洗車機によるスリキズ発生も殆ど認められないという効果を有している。
【0062】
【実施例】
以下に、本発明に関する実施例及び比較例について説明をする。部及び%はいずれも重量に基いており、また塗膜の厚さは硬化塗膜についてである。
【0063】
1.試料の調製
1)(A)成分
(A−i):攪拌器、冷却器、温度制御器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に、ジメチロールブタン酸296部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、120℃に加熱した。そこへ、「カージュラE10」490部を2時間かけて滴下し、120℃を保持して、酸価が9以下になった時点で反応を終了させた。得られた(A−i)成分は、固形分含有率約98%、ガードナー粘度(20℃)Z6Z7、水酸基価428mgKOH/g、数平均分子量600、重量平均分子量610であった。
【0064】
(A−ii):攪拌器、冷却器、温度制御器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に、ジメチロールプロピオン酸268部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、150℃に加熱した。そこへ、「カージュラE10」490部を1時間かけて滴下してから、温度を120℃に下げ、同温度で酸価が9以下になった時点で反応を終了させた。得られた(A−ii)成分は、固形分含有率約97%、ガードナー粘度(20℃)Z6、水酸基価444mgKOH/g、数平均分子量590、重量平均分子量660であった。
【0065】
(A−iii):攪拌器、冷却器、温度制御器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に、トリメチロールプロパン273部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、100℃に加熱した。そこへ、テトラヒドロ無水フタル酸308部を発熱に注意しながら加え3時間100℃を保った。その後「カージュラE10」490部を加え、120℃に保持して、酸価が9以下になった時点で反応を終了させた。得られた(A−iii)成分は、固形分含有率約96%、ガードナー粘度(20℃)Z9、水酸基価314mgKOH/g、数平均分子量720、重量平均分子量820であった。
【0066】
(A−iv):攪拌器、冷却器、温度制御器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に、アジピン酸292部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、150℃に加熱した。そこへ、「カージュラE10」490部を2時間かけて滴下し、120℃を保持して、酸価が9以下になった時点で反応を終了させた。得られた(A−iv)成分は、固形分含有率約98%、ガードナー粘度(20℃)Z6、水酸基価176mgKOH/g、数平均分子量800、重量平均分子量910であった。(比較例)
(A−v):攪拌器、冷却器、温度制御装置、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に、エチルー3―エトキシプロピオネート616部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、加熱して150℃に保持した。この中に、スチレン500部、イソブチルメタクリレート120部、2―エチルヘキシルアクリレート460部、2―ヒドロキシエチルメタクリレート900部、アクリル酸20部及びアゾビスイソブチロニトリル300部からなる混合物を5時間かけて滴下した。滴下終了後、150℃で30分間熟成し、固形分含有率約69%、ガードナー粘度(20℃)Z3のアクリル樹脂溶液(A−v)を得た。得られたアクリル樹脂(固形分)の水酸基価210mgKOH/g、酸価7.2mgKOH/g、数平均分子量1700、重量平均分子量2560であった。(比較例)
2)(D)成分
(D−i):12−ヒドロキシステアリン酸をトルエン還流下でメタンスルホン酸を触媒として脱水縮合してなる樹脂酸価30で、数平均分子量約1800の自己縮合ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基に、ジメチルアミノエタノールを触媒として、グリシジルメタクリレートを付加して重合性二重結合を導入して、マクロモノマー(a)を得た。このものの固形分含有率は70%であり、1分子あたり数平均分子量に基づき約1個の重合性二重結合を有していた。
【0067】
一方、フラスコに酢酸ブチル174部を入れ加熱還流し、この中に、70%マクロモノマー(a)溶液297部、メチルメタクリレート195.9部、グリシジルメタクリレート18.5部、キシレン163.0部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル9.6部からなる混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに2時間熟成した。ついで、p−t−ブチルカテコール0.05部、メタクリル酸3.8部、ジメチルアミノエタノール0.5部からなる混合物をフラスコ中に加えて樹脂酸価が0.5になるまで140℃で約5時間反応を行ない、固形分含有率50%のマクロモノマー(b)を得た。得られたマクロモノマー(b)は、ポリ12−ヒドロキシステアリン酸による第1のセグメントと、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体による第2のセグメントとを有するグラフトポリマーであって、1分子中に平均4個の重合性不飽和二重結合を有していた。
【0068】
他方、フラスコにキシレン153部を入れ125℃に加熱してから、2−エチルヘキシルアクリレート50部、n−ブチルアクリレート23部、2−ヒドロキシエチルアクリレート25部、アクリル酸2部、t−ブチルパーオクトエート4.5部からなる混合物を4時間かけて滴下し、その後、2時間熟成を行なった。得られたアクリル樹脂ワニスは固形分含有率65%、数平均分子量7000であった。このアクリル樹脂ワニス100部に、グリシジルメタクリレート2部、4−t−ブチルピロカテコール0.01部、テトラブチルアンモニウムブロミド0.15部を加えて115℃で7時間攪拌し、共重合二重結合を分子中に導入してマクロモノマー(c)を得た。マクロモノマー(c)における導入二重結合の数は1分子あたり数平均分子量に基き約1.0個で、SP値は8.70、水酸基価は121mgKOH/gであった。
【0069】
フラスコにヘプタン190、50%マクロモノマー(b)溶液20部、65%マクロモノマー(c)溶液23部を仕込み、還流温度にて、50%マクロモノマー(b)溶液20部、65%マクロモノマー(c)溶液23部、メチルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルアクリレート50部、グリシジルメタクリレート1.5部、メタクリル酸0.8部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合物を5時間要して滴下し、続いて2時間熟成した。ついで、ジメチルアミノエタノール0.1部を加え、さらに4時間熟成を行なって重合体微粒子の非水分散液を得た。得られた分散液は固形分含有率40%の白色分散液で、粒子の粒径は約160nm(ピーク粒子径)であった。粒子径はコールタール社の「COULTER N4型サブミクロン粒子分析装置」により測定した。また、この粒子はアセトン、酢酸エチル、キシレンなどの有機溶剤に不溶でった。
【0070】
2.実施例及び比較例
以下に、実施例及び比較例により本発明についてさらに具体的に説明する。部及び%はいずれも重量を基準にしており、塗膜の膜厚は硬化塗膜についてである。
【0071】
上記の試料を用い、表1に記載した比率で混合し、有機溶剤系高固形分型塗料(クリヤ塗料)を得た。(A)〜(D)成分の配合比率は固形分比である。
【0072】
塗膜の性能試験(仕上り性、硬度、耐擦り傷性及び耐酸性)は、化成処理を行なった冷延ダル鋼板にエポキシ樹脂系カチオン電着塗料を塗装し(膜厚25μm)、170℃で30分間加熱硬化した後、中塗り塗料(「ルーガベイクAM」関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系塗料、グレー色)を膜厚30μmに塗装し、140℃で30分間加熱硬化し、ついで、この塗面にメタリック塗料(「TWX−402」関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系塗料)を膜厚18μmに塗装し、室温で3分間放置した未硬化塗面に表1に記載の実施例及び比較例の高固形分型塗料(クリヤ塗料)(粘度50秒/フォードカップ#4/20℃に調整)を膜厚35μmに塗装し、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化してなる複層塗膜について行なった。これらの性能試験結果も表1に示した。
【0073】
表1中の「NCO/OHモル比」は(A)成分中の水酸基と(B)成分中のイソシアネート基とのモル比であり、又、「塗装時固形分濃度」は粘度50秒/フォードカップ#4/20℃に調整した塗装時直前のクリヤ塗料の粘度である。
【0074】
【表1】
表1
Figure 0004913942
【0075】
(注1):「デスモジュールN3300」 住友バイエルウレタン社製、商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプ。
【0076】
(注2):「LT1」 協和醗酵工業社製、商品名、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート。重量平均分子量約267。
【0077】
(注3):「N5543」 米国、キングインダストリイズ社製、商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和物溶液。
【0078】
(注4):Scat 24」 三共有機合成社製、商品名、錫触媒。
【0079】
(注5):「Setalux C-7176VB-60」 アクゾノ−ベル社製、商品名、レオロジー調整剤。ポリウレア化合物。
【0080】
(注6):試験塗板の複層塗膜面の外観を目視にて判定した。○は平滑性、ツヤ、鮮映性が良好で異常が認められない、△は平滑性、ツヤ、鮮映性のいずれかがやや劣る、×は平滑性、ツヤ、鮮映性のいずれかが顕著に劣ることを示す。
【0081】
(注7):試験塗板の複層塗膜面のツーコン硬度(20℃)を意味する。
【0082】
(注8):試験塗板の複層塗膜面に、磨き砂(ダルマクレンザー)を水で固練りして載せ、その上を試験機端子で押さえ0.5Kgの荷重をかけて、25往復した後、目視にて評価した。○は塗面のツヤに変化が認められない、△はツヤビケが少し認められる、×はツヤビケが著しく認められることを示す。
【0083】
(注9):試験板の複層塗膜面に30%の硫酸水溶液0.4ccをスポット状に滴下し、熱風乾燥機にて60℃で15分間加熱してから水洗し、塗面を目視評価した。○は塗面の変化が認められない、△はスポット跡が少し認められる、×はスポット跡に、シミ、白化又はフクレがが著しく認められることを示す。

Claims (3)

  1. (A)重量平均分子量が1000以下、水酸基価が200〜800の水酸基含有化合物(B)ポリイソシアネート化合物、(C)硬化触媒及び(D)レオロジーコントロール剤を含有し、該(A)成分及び(B)成分の比率がNCO/OHのモル比で0.5/1〜2.0/1であり、該(A)成分がオキシ酸とグリシジルエステルとの反応生成物であって、該(D)成分として、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の分子鎖を有し、かつ重合性不飽和二重結合を1分子あたり平均約1個以上有するマクロモノマー(a)と、エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、溶解性パラメータ(SP値)が7.5〜9.2であり、かつ1分子あたり平均して1.0〜1.5個の重合性不飽和二重結合を有するマクロモノマー(b)との混合物の存在下に、相互に反応して結合することができる相補的官能基をそれぞれ有する少なくとも2種のビニル系単量体を少なくとも0.5重量%含有するビニル系単量体混合物を、マクロモノマー(a)、マクロモノマー(b)及び該ビニル系単量体は溶解するが、該ビニル単量体の重合体は実質的に溶解しない有機溶媒中で共重合および架橋反応させてなるゲル重合体微粒子を含有することを特徴とする高固形分塗料組成物。
  2. さらに(D)成分として、ポリウレア化合物を含有する請求項1記載の高固形分塗料組成物。
  3. 1層以上の着色塗膜及び1層以上の透明塗膜からなる複層塗膜であって、その最上層の透明塗膜が請求項1又は2記載の高固形分塗料組成物により形成されていることを特徴とする複層塗膜形成方法。
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