JP4912242B2 - 天吊形空気調和機 - Google Patents

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この発明は、筐体が天井に吊り下げられて設置される天吊形空気調和機に関する。さらに詳しくは、天吊形空気調和機の据付後に、吸込グリルを昇降装置付吸込グリルに交換可能な天吊形空気調和機に関する。
室内中の空気の塵埃を濾過する為のフィルタを有する空気調和機は、長時間の運転によりフィルタの目詰まりなどが生じ、消費電力の増加、異常停止、カビや異臭の原因となる為、定期的にフィルタを取り外して清掃する必要がある。特に最近、省エネ志向、健康志向の高まりから専門の業者だけでなく一般のユーザーが清掃を行うケースも増えている。
しかし、天井に据え付けられるようなタイプの空気調和機(例えば、天井埋め込み形、天吊形等)においては、脚立などを使って高い位置でフィルタを外す作業を強いられるケースが殆どであり、危険かつ非常に手間のかかる作業である。その為、定期的なフィルタ清掃さえ怠るケースも考えられ、そのような場合には前述のような不具合が生じやすい。
フィルタ清掃を簡単に実施する為の工夫として、例えば以下に示す空気調和機が提案されている。即ち、この空気調和機は、フィルタがセットされたグリルと、空気調和機の機械室内部や化粧パネルなどに設置された駆動用モータとをワイヤーで接続する。そして、駆動用モータでワイヤーを巻き上げあるいは送り出すことによりグリルの昇降動作を行う。従って、高所での作業を伴わずにフィルタの脱着を容易に実施することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
実用新案登録第2516801号公報
上記特許文献1のような従来の空気調和機において、通常は昇降装置はオプション販売されることが殆どである。そのため、空気調和機の機械室内部に駆動用モータなどを設置する作業を据え付け業者が実施せねばならない。
化粧パネルに駆動用モータを内蔵する構造をとる場合、駆動用モータ内蔵化粧パネルとしてオプション販売することも可能である。しかし、天吊形などの化粧パネルを有さない形態の空気調和機においては、前述のように空気調和機の機械室内部に駆動用モータなどを設置する作業は避けられない。
また、天吊形は吸込み口面積が大きく、グリルを複数有する場合が多いが、少ない数の駆動用モータで複数の吸込グリルを昇降させる為には、複数の吸込グリルを連結部材で連結した吸込グリルユニットを昇降させる必要がある。この複数の吸込グリルを連結する作業も据え付け業者が実施せねばならない。
また、動作確認や収納性の調整なども据え付け業者に依存する部分が大きく、製造業者が信頼性を高く維持することは容易ではない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、昇降装置付吸込グリルの据付現場における据付業者の作業工程の短縮、及び、昇降装置付吸込グリルの製造業者の動作確認や収納性確認などの出荷検査による吸込グリルユニット収納性に対する信頼性を高く維持することが可能な天吊形空気調和機を提供することを目的とする。
この発明に係る天吊形空気調和機は、天井に吊り下げられて設置される筐体の後部下面に空気の吸込口を有し、この吸込口に夫々独立して前記筐体に取り付けられ、フィルタを有する複数の吸込グリルを設けた天吊形空気調和機において、天吊形空気調和機の据付後に複数の吸込グリルを取り外して、以下に示す要素を具備した昇降装置付吸込グリルを取り付けることを特徴とする。
1)駆動用モータとワイヤーとを有する昇降装置ユニット;
2)複数の吸込グリルが連結部材で連結され、昇降装置ユニットのワイヤーと接続されて駆動用モータにより昇降動作がなされる吸込グリルユニット。
この発明に係る天吊形空気調和機は、吸込グリルユニットの昇降動作を実現する為に据付現場で据付業者が実施する作業は、昇降装置ユニットを天吊形空気調和機筐体に取り付け、吸込グリルユニットを昇降装置ユニット内のワイヤーと接続するだけであるので、複数の吸込グリルを連結部材で連結した吸込グリルユニットを組み立てたり、天吊形空気調和機筐体の機械室内部に駆動用モータを設置したりといった作業が省略できる。そのため、据付業者の作業工程を大幅に短縮することが可能である。
また、これまで吸込グリルユニットの収納性は据付業者の作業の正確性、あるいは据付業者による現地での調整に任されていたが、本発明によれば、製造業者が昇降装置ユニットと吸込グリルユニットを用いて、動作確認や収納性確認などの出荷検査を実施することが可能なので、信頼性を高く維持することが可能である。
実施の形態1.
図1乃至図12は実施の形態1を示す図で、図1は吸込グリル7の昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の断面図、図2は吸込グリル7の昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の吸込グリルを開いた状態の斜視図、図3は天吊形空気調和機100に昇降装置付吸込グリル60を取り付けた状態を示す正面図、図4は同右側面図、図5は天吊形空気調和機100に昇降装置付吸込グリル60を取り付け、吸込グリルユニット30を下降させた状態を示す正面図、図6は同右側面図、図7は天吊形空気調和機100吸込グリル7を取り外した状態の斜視図、図8は吸込グリル32へのフィルタ31の取付方法を示す図、図9はワイヤー50の先端にフック部50aを取り付けた状態を示す図((a)は完成図、(b)は係合部50bを引出した状態を示す図)、図10は昇降装置ユニット20のワイヤー50との接続部付近を示す部分平面図、図11は昇降装置リモコン70を示す図、図12はワイヤードリモコン80の平面図である。
先ず、図1により、吸込グリルの昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の全体構成を説明する。天吊形空気調和機100の筐体1は天井に吊り下げて据え付けられる。筐体1の内部には、冷凍サイクル(図示せず)により冷媒と室内空気とを熱交換する左右に広い幅の熱交換器2が設けられる。熱交換器2は、仕切板1bで仕切られた筐体1の前後中央付近から前方部分に亘って設けられる。熱交換器2は、熱交換面積を広くできるように前方に行くに従って上方に傾斜するように斜めに配置されている。そして、室内空気は、後方に配置した送風機3の回転により塵埃等を除去するフィルタ6を配置した吸込グリル7が着脱可能に装着された吸込口5より吸い込まれる。その後、熱交換器2にて熱交換され、前方の吹出口4より室内に吹き出される。吸込口5は、筐体1の後部下面に設けられる。
図2は吸込グリルの昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の吸込グリル7を開いた状態の斜視図である。この例では、吸込グリル7を2個使用している。吸込グリル7a、吸込グリル7bは、夫々独立して筐体1にネジ等により固定される。
図1、図2に示す吸込グリル7の昇降装置を持たない天吊形空気調和機100は、既に述べたように吸込グリル7のフィルタの清掃が面倒である。そこで、天吊形空気調和機100の据付後に吸込グリル7の昇降装置を取り付ける場合がある。
本実施の形態は、その場合に好適な昇降装置付吸込グリルについて述べるものである。
図3乃至図6を参照しながら昇降装置付吸込グリル60の基本的な構成について説明する。昇降装置付吸込グリル60は、昇降装置ユニット20と、吸込グリルユニット30とを備える。
既設の吸込グリル7を筐体1の吸込口5から取り外し、先ず昇降装置ユニット20を、その取り外した箇所に取り付ける。昇降装置ユニット20の本体20a内には、駆動用モータ40、減速ギア(図示せず)、ワイヤーが巻かれるプーリー(図示せず)等が収納される。駆動用モータ40を制御する基板等が収納される昇降装置ユニット用電気品箱20bは、図6に示すように、筐体1の後部背面に配置されるユニット電気品箱9(図7も参照)の上に設けられる。
昇降装置ユニット用電気品箱20bを、ユニット電気品箱9の上に設ける理由は、以下の通りである。
(1)ユニット電気品箱9のメンテナンスの際に、昇降装置ユニット用電気品箱20bが邪魔にならないようにする。
(2)昇降装置ユニット用電気品箱20bは、製造業者の動作確認が十分になされているため、メンテナンスがほぼ不要である。
吸込グリルユニット30は、複数の吸込グリル32(図5、6の例では、2個)を有し、夫々がフィルタ31を備える。そして、2個の吸込グリル32は、連結部材33a及び連結部材33bで連結されている。連結部材33aは、吸込グリルユニット30の前面側で2個の吸込グリル32を連結する。連結部材33bは、吸込グリルユニット30の背面側で2個の吸込グリル32を連結する。連結部材33a及び連結部材33bは、吸込グリルユニット30にネジ締め等により固定される。尚、フィルタ31は、既設のフィルタ6を流用してもよい。
吸込グリル32へのフィルタ31の取り付け方法の一例を図8に示す。吸込グリル32は変形可能なレバー32aを有する。このレバー32aの先端にフックがあり、このフックがフィルタ31に係合する。フィルタ31を吸込グリル32に取り付ける場合は、フィルタ31を上から押し込めば、レバー32aが外側に変形する。また、フィルタ31を吸込グリル32から取り外す場合は、レバー32aを外側にたおす。
吸込グリルユニット30は、昇降装置ユニット20のワイヤー50に接続される。図5、6の例では、左右2本、計4本のワイヤー50に吸込グリルユニット30が接続される。吸込グリルユニット30とワイヤー50との接続方法について説明する。
図9に示すように、昇降装置ユニット20のワイヤー50の先端に、例えば樹脂製のフック部50aを設ける。フック部50aの形状は、例えば略2段の円筒形である。その他、円錐形のものでもよい。フック部50aとワイヤー50との係合は、図9(b)に示すように、ワイヤー50の先端に金属板を折り曲げてかしめられた係合部50bを形成し、フック部50aと係合部50bとを係合させる。
図10に示すように、吸込グリルユニット30に係合部50bと係合するダルマ孔30bを、左右端部に夫々2箇所設ける。この例では、計4個のダルマ孔30bを吸込グリルユニット30に設ける。ダルマ孔30bは、鍵穴のように円形状部にそれより面積の小さい開口部が付いた形状になっている。ダルマ孔30bの円形部分の径は、係合部50bの外径よりも大きい。
昇降装置ユニット20のワイヤー50に、吸込グリルユニット30を接続する場合は、係合部50bをダルマ孔30bの円形部分に挿入する。さらに円形状部より面積の小さい開口部側へ係合部50bを移動して接続が完了する。このような構成であるから、吸込グリルユニット30とワイヤー50との接続を極めて簡単に行うことができる。
吸込グリルユニット30とワイヤー50との接続は、ワイヤー50を引出して吸込グリルユニット30を作業者が作業しやすい位置に降下させて行う。
次に、昇降装置ユニット20を制御する基板(図示せず)を収納した昇降装置ユニット用電気品箱20bを筐体1内に設置する(図6参照)。さらに昇降装置ユニット用電気品箱20bとユニット電気品箱9等との電気配線を行う。
そして、図11に示す昇降装置リモコン70を用いて昇降装置ユニット20を動作(上げる動作)させ、吸込グリルユニット30を昇降装置ユニット20の内部に納めて作業が完了する。昇降装置リモコン70は、図11に示すように、信号の送信部70aと、操作部70b(例えば、「上げる」、「止める」、「下げる」の操作)とを備える。
尚、昇降装置リモコン70の代わりに、図12に示すワイヤードリモコン80を使用してもよい。
天吊形空気調和機100のユーザーは、昇降装置リモコン70の操作で駆動用モータ40を作動させることができる。ワイヤー50を巻き上げる方向に駆動用モータ40を作動させることにより、吸込グリルユニット30を上昇させ、昇降装置ユニット20の本体20aに収納することができる。
反対に、昇降装置リモコン70の操作でワイヤー50を送り出す方向に駆動用モータ40を作動させることにより、昇降装置ユニット20の本体20aに収納されていた吸込グリルユニット30をユーザーが容易に手の届く高さまで下降させることができる。
上記のような吸込グリルユニット30の昇降動作を実現する為に、昇降装置付吸込グリル60の据付現場で据付業者が実施する作業は、昇降装置ユニット20を、天吊形空気調和機100の筐体1に取り付け、吸込グリルユニット30を昇降装置ユニット20内のワイヤー50と接続するだけである。従って、複数個の吸込グリル32を連結部材33aおよび連結部材33bで連結した吸込グリルユニット30を組み立てたり、天吊形空気調和機100の筐体1の機械室内部に駆動用モータ40を設置したりといった作業が省略できる。そのため、据付業者の作業工程を大幅に短縮することが可能である。
また、これまで吸込グリルユニット30の収納性は据付業者の作業の正確性、あるいは据付業者による現地での調整に任されていたが、本実施の形態によれば、製造業者が昇降装置ユニット20と吸込グリルユニット30を用いて、動作確認や収納性確認などの出荷検査を実施することが可能なので、信頼性を高く維持することが可能である。
実施の形態1を示す図で、吸込グリル7の昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の断面図。 実施の形態1を示す図で、吸込グリル7の昇降装置を持たない天吊形空気調和機100の吸込グリルを開いた状態の斜視図。 実施の形態1を示す図で、天吊形空気調和機100に昇降装置付吸込グリル60を取り付けた状態を示す正面図。 実施の形態1を示す図で、同右側面図。 実施の形態1を示す図で、天吊形空気調和機100に昇降装置付吸込グリル60を取り付け、吸込グリルユニット30を下降させた状態を示す正面図。 実施の形態1を示す図で、同右側面図。 実施の形態1を示す図で、天吊形空気調和機100吸込グリル7を取り外した状態の斜視図。 実施の形態1を示す図で、吸込グリル32へのフィルタ31の取付方法を示す図。 実施の形態1を示す図で、ワイヤー50の先端にフック部50aを取り付けた状態を示す図((a)は完成図、(b)は係合部50bを引き出した状態を示す図)。 実施の形態1を示す図で、昇降装置ユニット20のワイヤー50との接続部付近を示す部分平面図。 実施の形態1を示す図で、昇降装置リモコン70を示す図。 実施の形態1を示す図で、ワイヤードリモコン80の平面図。
符号の説明
1 筐体、1b 仕切板、2 熱交換器、3 送風機、4 吹出口、5 吸込口、6 フィルタ、7 吸込グリル、7a 吸込グリル、7b 吸込グリル、9 ユニット電気品箱、20 昇降装置ユニット、20a 本体、20b 昇降装置ユニット用電気品箱、30 吸込グリルユニット、30b ダルマ孔、31 フィルタ、32 吸込グリル、32a レバー、33a 連結部材、33b 連結部材、40 駆動用モータ、50 ワイヤー、50a フック部、50b 係合部、60 昇降装置付吸込グリル、70 昇降装置リモコン、70a 送信部、70b 操作部、80 ワイヤードリモコン、100 天吊形空気調和機。

Claims (2)

  1. 天井に吊り下げられて設置される筐体の後部下面に空気の吸込口を有し、この吸込口に夫々独立して前記筐体に取り付けられ、フィルタを有する複数の吸込グリルを設けると共に、前記筐体内の前記後部側の背面に配置されたユニット電気品箱を備えた天吊形空気調和機において、
    該天吊形空気調和機の据付後に前記複数の吸込グリルを取り外して前記複数の吸込グリルを取り外した箇所に取り付けられる昇降装置付吸込グリルであって、
    1)駆動用モータとワイヤーとを有する昇降装置ユニットと、
    2)複数の吸込グリルが連結部材で連結され、前記昇降装置ユニットの前記ワイヤーと接続されて前記駆動用モータにより昇降動作がなされる吸込グリルユニット
    を備えた昇降装置付吸込グリルと、
    前記ユニット電気品箱の上に配置され、かつ、前記ユニット電気品箱と電気配線される前記昇降装置付吸込グリル用の電気品箱と
    を備えたことを特徴とする天吊形空気調和機。
  2. 前記天吊形空気調和機は、
    前記筐体の前後中央付近から前方部分に亘って設けられ、冷媒と、前記吸込口に取り付けられた前記昇降装置付吸込グリルを介して吸い込まれた空気とを熱交換する熱交換器と、
    前記熱交換器よりも前方に設けられ、前記熱交換器によって熱交換された空気が吹き出される吹出口と
    を備え、
    前記昇降装置付吸込グリルの前記吸込グリルユニットは、
    複数の吸込グリルが、それぞれフィルタを有し、
    前記ユニット電気品箱の前方側の面である前面、及び前記昇降装置付吸込グリル用の電気品箱の前方側の面である前面は、
    前記それぞれのフィルタの後方側の縁部と、前後方向で、略同じ位置に位置することを特徴とする請求項1記載の天吊形空気調和機。
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