JP4910120B2 - フッ化物含有排水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ化物を含有する排水を逆浸透膜を用いて分離処理する処理方法に関し、特に、逆浸透膜によって膜分離の効率を向上させ透過水を再利用可能にフッ素濃度を低減すると共に濃縮水の容量を高効率で減容化することができるフッ化物含有排水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ディスプレイ、半導体などの製造に係る電子工業分野の製造工場においては多種類の薬品が使用されており、主としてエッチング、洗浄などの生産工程ではフッ化水素/フッ化水素酸(HF)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、フッ化アンモニウム(NH4F)等のフッ化物が多量に用いられる。したがって、このようなフッ化物を含有する排水が大量に生じることとなり、環境保全、資源の有効利用の立場からも水の再利用のために排水処理が必須となってきている。
【0003】
フッ素含有水の処理方法の一手段として、装置がコンパクトであり、処理コストの面で経済的な逆浸透膜を用いる逆浸透膜分離法がある。逆浸透膜分離法は、膜を透過しフッ素濃度が低減された透過水と膜に排除され濃縮された濃縮水とに分離するものであり、高フッ素濃度で減容化した濃縮水をさらに処理する必要がある。高いフッ素濃度の濃縮水の処理は、通常、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、又は、塩化カルシウム(CaCl2)を加えてフッ化カルシウム(CaF2)として沈殿槽で沈殿させる凝集沈殿法により行われ、汚泥と上澄液に分離処理する。したがって、逆浸透膜による分離段階における濃縮水の減容化度(透過水の回収率)によって沈殿槽などの処理設備の形態、規模などが決定されることとなるため、逆浸透膜の性能低下を防ぎながら濃縮水を減容化することが一つの条件となる。
【0004】
そこで、例えばフッ素の他にカルシウムイオンを含むような場合には、逆浸透膜面におけるCaF2のスケール析出による膜の目詰まりを防ぐため、逆浸透膜による分離工程の前段で、水酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムとして不溶化する不溶化工程と固液分離する固液分離工程とを設けて分離された上澄水について、硫酸を添加してpH4〜6とし逆浸透膜に通水し50〜95%の透過水と5〜50%の濃縮水に分離する処理方法がある。
【0005】
同様にカルシウムイオンが共存する場合の例として、CaF2のスケール析出による逆浸透膜の目詰まりを防ぐため、逆浸透膜による分離工程の前段において、カチオン交換樹脂に接触させてカルシウムイオンを交換吸着するイオン交換工程を設け、カルシウム除去された処理水について、pH4〜6に調整して逆浸透膜に接触させ透過水と濃縮水に分離する処理方法が用いられており、この方法においても50〜95%を透過水とし、5〜50%の濃縮水を残すように運転されている。
【0006】
また、フッ素イオン濃度が1000ppm以下のフッ酸廃液を濃縮処理する希フッ酸廃液濃縮処理装置として、逆浸透膜が充填され直列及び並列に設置された逆浸透装置、フッ酸濃度計を有するフッ酸濃度測定槽、pH測定計を有する希フッ酸廃液回収槽、希フッ酸廃液濃縮槽、切換バルブ等を備え、希フッ酸廃液回収槽に回収されNaOH液によりpHが中性に自動制御された1000ppm以下の廃液を逆浸透装置に通水して濃縮処理し、濃縮水の一部は循環水として希フッ酸廃液回収槽に回収し、連続的に循環濃縮処理することによって1/2〜1/20に濃縮減容する装置がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の処理方法においては、HFのような腐蝕性の強いフッ化物を含有する排水を処理する場合に、処理装置の配管部材、機器などを耐腐蝕性とする必要が生じ設備コストの増加を招き、また、逆浸透膜の膜材質、形態によって差異はあるが、逆浸透膜の耐久性についても、HF濃度としておよそ300〜400ppmを超える排水が直接接触する場合には劣化が早く、分離性能が低下するため、高頻度に膜の交換を要するという問題があった。
【0008】
また、水中では通常マイナスに帯電した状態のコロイド状物質が多く存在しており、このコロイド状物質が逆浸透膜表面の表面荷電基に引かれて付着することが、逆浸透膜の汚染(ファウリング)の原因の一つであるが、半導体などの電子工業分野の製造工場から排出される排水中にはフッ化物の他に主たるスケール成分となるシリカ(SiO2)が共存している場合が多く、さらに、逆浸透膜の汚染源ともなる細菌類の増殖が発生することなどによって、透過水のフッ素濃度を所定のレベルまで除去低下しつつ、濃縮水の減容化を高度に達成することが困難であった。
【0009】
したがって、本発明は上記諸問題に鑑みて成されたものであり、逆浸透膜の目詰まりなしにHF、HBF4、NH4Fなどのフッ化物を含有する電子工業の製造工場からの排水を、逆浸透膜によって効率良く分離処理して水回収率を高めることができ、且つ、排水中に含まれるフッ化物は少ない薬品量で高効率に処理可能なフッ化物含有排水の処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、フッ化物を含有する排水を透過水と濃縮水とに逆浸透膜分離する逆浸透処理工程を有するフッ化物含有排水の処理方法において、逆浸透処理工程では、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10を越え11までの範囲に調整したフッ化物含有排水を逆浸透膜に通水することによって逆浸透膜分離することを特徴とする。なお、上記のようなフッ化物含有排水の処理方法においては、逆浸透処理工程の後段に、透過水に残留するアンモニア性窒素を除去する脱窒素工程を備えることが好適である。
【0011】
このような本発明のフッ素含有排水の処理方法によれば、逆浸透処理工程において逆浸透膜に通水される排水には、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム:NaOH)が添加されpH10を越え11までの範囲のアルカリ性側に調整されているため、排水中に含まれるHF、HBF4は完全に反応してアルカリ金属塩(例:NaF、NaBF4)として存在しており、HFによる装置の腐蝕及び逆浸透膜耐久性低下に及ぼす影響を考慮する必要が無くなる。
【0012】
また、pH8以上のアルカリ性域では、逆浸透膜の膜表面電位が負電位、例えば架橋ポリアミド系合成複合膜の場合には約−20mVとなるため、マイナスに帯電する排水中のコロイド状物質の逆浸透膜表面への付着が防止され、耐ファウリング性が向上する。
【0013】
さらに、排水中に含まれるSiO2の水に対する溶解度は、共存物質によって影響を受けることはあるが、中性域における約95mg/lからpH8では約110mg/lに上昇し、pH10において約300mg/l、pH11では約1400mg/lとなる。したがって、pH8以上のアルカリ性域、特にpH10〜11においては、高濃度にSiO2が含まれている場合でもコロイド状ではなく溶解して存在し、スケールとして逆浸透膜表面への付着を防止できる。なお、HFとSiO2が排水中に共存する場合、フッ化ケイ酸(H2SiF6)となっており、アルカリ金属水酸化物が添加されpH8以上に調整されることによって、フッ化ケイ酸アルカリ金属塩(例えばNa2SiF6)としてSiO2単独の溶解度以上に溶解可能となる。したがって、SiO2濃度に比してフッ素濃度が充分高い場合、水に対するSiO2の溶解度以上に、フッ素濃度に応じた濃度にまで逆浸透膜による濃縮が可能となるため、SiO2が逆浸透膜表面へスケールとして付着するスケーリングの発生がより抑制されることとなる。
【0014】
さらにまた、半導体などの電子工業分野の製造工場から排出されるフッ化物含有排水中には、耐フッ化物、耐酸性を有する生菌の存在が知られており、逆浸透膜の目詰まり原因となっていた。例としてF濃度30ppm、pH3〜5の実排水中に存在する5×107cfu/mlの生菌が逆浸透膜に接触する場合、pH6から7の中性域では菌の増殖が著しく24時間接触後では、1010cfu/mlのレベルを超えるのに対し、本発明条件によるpH8で5×108cfu/ml、pH9では7×107cfu/mlと増殖が抑制され、48時間接触後においても生菌数のオーダー変化を認めない。pH10及び11では24時間接触後にはそれぞれ、1×106cfu/ml、8×103cfu/mlに減少し、48時間接触後にはそれぞれ7×103cfu/ml、10cfu/mlにまで減少する。すなわち、本発明におけるフッ化物含有排水の処理方法によれば、逆浸透膜目詰まりの一要因である細菌の増殖を抑制することができ、特に排水のpHを10〜11に調整して長時間処理を連続する場合には、細菌による目詰まりをほぼ無視し得る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明によるフッ化物含有排水の処理方法における第1の実施態様で用いられる処理装置の概要を模式的に示すフロー図である。この第1の実施態様としての処理方法では、HF、HBF4などアンモニウムイオンを含有しないフッ化物含有排水を対象とする。処理装置は、アルカリ金属水酸化物を添加して排水のpHを調整するpH調整手段1と、通水される排水を透過水と濃縮水に分離する逆浸透膜分離手段2と、沈殿槽31とカルシウムイオン添加部32とを有し濃縮水を処理する濃縮水処理手段3とを備える。
【0017】
また、フッ化物含有排水を排出する排出源とpH調整手段1を介して逆浸透膜分離手段2とを接続し排水を逆浸透膜分離手段2に供給する供給配管11と、逆浸透膜分離手段2の透過水出口に接続される透過水出口配管12と、逆浸透膜分離手段2の濃縮水出口と濃縮水処理手段3とを接続する濃縮水出口配管13とが設けられている。
【0018】
pH調整手段1は、排水にアルカリ金属水酸化物を添加するアルカリ添加部と添加されたアルカリ金属水酸化物と排水を撹拌するアルカリ撹拌槽とから構成されても良い。pH調整手段1により、排水はpH8以上の所定のpH値に調整されるため、pH調整手段1より下流の供給配管11を含めた逆浸透膜分離手段2、濃縮水処理手段3、および各配管12、13の部材については、排水中に含まれるHF、HBF4などによる腐蝕性に耐える材質、形態とする必要がなくなる。したがって、pH調整手段1の配置は排水源に近い位置に設けることでさらに設備費用の低減が可能である。
【0019】
逆浸透膜分離手段2に装備される逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロース系を除き、pH10を越え11までの範囲のアルカリ領域まで安定な耐アルカリ性のポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリスルホン系、ポリエーテルアミド系、架橋ポリアミド系、架橋ポリエーテルアミド系などのすべての複合膜が使用可能であり、特に架橋ポリアミド系合成複合膜が好適である。また、形態については、スパイラル型、プレート型、チューブラ型など如何なるモジュール形式の形態であっても良い。
【0020】
本実施態様では、逆浸透膜分離手段2における透過水の水回収率を95%を超えて98%にまで高く設定できる、つまり、濃縮水の容量の減容化率を1/20〜1/50とすることも可能であることから、濃縮水処理手段3、特に沈殿槽31は小型のものを設置すれば良いこととなり、これに応じて処理装置の設置費用が低減可能である。
【0021】
このような処理装置を使用する第1の実施態様としてのフッ化物含有排水の処理方法について、以下に説明する。本実施態様において、必須となる処理工程は、排水のpHを調整するpH調整段階と、通水される排水を逆浸透膜分離する逆浸透膜分離段階と、濃縮水を凝集沈殿して固液分離する濃縮水処理段階とからなる逆浸透処理工程である。
【0022】
排水源からHF、HBF4を含む排水が排水供給配管11を介して逆浸透膜分離手段2へ供給されることとなるが、排水源と逆浸透膜分離手段2との間の排水供給配管11にはpH調整手段1が設けられており、アルカリ金属水酸化物を排水に添加してpH8以上の所定のpH値に、より好ましくはpH10〜11に調整する。このpH調整手段1により排水に添加されるアルカリ金属水酸化物としては、NaOH又は水酸化カリウム(KOH)が好適に使用されるが、他のアルカリ金属水酸化物であっても良い。このpH調整段階を経た排水中のHFは、腐蝕性がなく水溶性の高いNaF又はKFとして、また、HBF4も同様にNaBF4又はKBF4として存在することとなる。
【0023】
引き続いて、pH10を越え11までの範囲に調整された排水を、排水供給配管11を介して逆浸透膜分離手段2に供給する。排水は、ポンプ(図示無し)によって3〜20Kgf/cm2の操作圧で逆浸透膜分離手段2に通水され、装備されている逆浸透膜に接触して透過水と濃縮水とに分離されるようになる。この逆浸透膜分離段階において、逆浸透膜に接触する排水中には逆浸透膜の分離性能を低下させる要因となるHFは存在しておらず、また、膜表面電位はマイナス電位となっており、コロイド状物質が排水中に存在している場合にも膜表面への付着は抑えられている。
【0024】
さらに、排水中の主なスケール成分となるSiO2の溶解度が上昇しており、特にpH10〜11にpH値が調整されている場合にSiO2は、300〜1400ppmレベルにまで溶解可能である。また、pH調整段階においてpH8以上に調整されていることによって、SiO2とHFが共存する場合にはNa2SiF6、又は、K2SiF6としてSiO2単独の溶解度以上に溶解可能となり、ここで特にSiO2濃度に比してフッ素濃度が高い場合には、膜表面へのスケール付着がより抑制される。加えて、逆浸透膜の目詰まり要因であった細菌の増殖も抑制されている。したがって、目詰まりすることなく、透過水の水回収率を95%を超えて98%にまで設定可能(濃縮水減容化率:1/20〜1/50)であり、且つ、フッ化物、SiO2については90%以上の除去率で除去できる。
【0025】
逆浸透膜分離段階で逆浸透膜分離手段2を透過した透過水は、透過水出口から透過水出口配管12を介して回収される。回収された透過水は、排水中に含まれていたHF、HBF4のようなフッ化物がフッ素イオンとして90%以上の高率で除去されており、フッ素濃度は1ppm、導電率は100〜200μS/cmと市水又は工業用水レベルの水質であり、他の用途に再利用できる。一方、逆浸透膜分離段階で濃縮された濃縮水は、逆浸透膜分離手段2の濃縮水出口から濃縮水出口配管13を介して濃縮水処理手段3の沈殿槽31に送水される。沈殿槽31に送水された濃縮水には、カルシウムイオン添加部32からCa(OH)2又はCaCl2が添加され、濃縮水中に高濃度で含まれるNaF、NaBF4はカルシウムイオンと反応して不溶性のCaF2として凝集沈殿され、汚泥と上澄処理水に分離する。
【0026】
この濃縮水処理段階における凝集沈殿法は、従来からフッ素除去法として用いられている処理方法であり、被処理水中のフッ素濃度にかかわらず20〜60ppmの上澄処理水が得られる。つまり、処理しようとする被処理水中のフッ素濃度が高濃度であればあるほど、除去効率が高くなる処理方法である。本実施態様において、仮に100ppmのフッ化物含有排水を処理した場合、逆浸透膜分離段階を経て1/20〜1/50に減容化された濃縮水中のフッ素濃度は、2000ppm〜5000ppmにまで濃縮されることから、高い除去率で処理可能であり、処理効率が向上できる。さらにこの濃縮水処理段階において、カルシウムイオン添加部32により被処理水としての濃縮水に添加される薬品量は、102ppmオーダーの低フッ素濃度被処理水では通常過剰量の添加を要していたが、20〜30%低減できる。また、この時の凝集沈殿法の処理水フッ素濃度は3ppmであり、充分環境中に放流もしくは他の目的に再利用可能な水質である。
【0027】
図2は、本発明によるフッ化物含有排水の処理方法における第2の実施態様で用いられる処理装置の概要を模式的に示すフロー図である。この第2の実施態様としての処理方法では、NH4Fのようなアンモニウムイオンを含有するフッ化物含有排水を対象とする。本実施態様で使用する処理装置は、第1の実施態様で用いた装置と同様にpH調整手段1と、逆浸透膜分離手段2と、沈殿槽31とカルシウムイオン添加部32とを有する濃縮水処理手段3とを備える他、透過水出口配管12によって逆浸透膜分離手段2に接続される脱窒素処理手段4を含む。
以下、第1の実施態様と同様の部分については重複を避け説明を省略する。
【0028】
脱窒素処理手段4は、透過水出口配管12を介して供給される透過水中に含まれたアンモニア性窒素を除去するものであり、脱窒素処理手段4の被処理液となる透過水中のアンモニア性窒素をアンモニア(NH3)ガスに一旦ガス化し放散凝縮させて濃縮するNH3濃縮部41と、濃縮されたNH3水を加熱して再度ガス化する加熱部42と、酸化触媒を有しNH3ガスをN2ガスに酸化分解する触媒反応部43とからなる。NH3濃縮部41は、透過水を高アルカリ側のpHに調整するpH調整タンクと、NH3ガスを凝縮する放散塔とから構成することにより、効率良くNH3濃縮ができる。加熱部42としては、100℃に加熱可能であれば燃料燃焼形式、電気加熱式など如何なる形式であっても良いが、本実施態様では燃料燃焼形式のものを用いた。また、触媒反応部43の酸化触媒としては、NH3ガスをN2ガスに酸化分解可能な触媒であれば如何なる触媒でも良いが、ここでは二酸化マンガンによる酸化触媒を使用した。
【0029】
なお、本実施態様においては、脱窒素処理手段4として上記のような触媒反応形式の装置を採用したが、被処理液となる透過水は、アンモニア性窒素以外の成分については再利用可能な市水レベルまで除去されているため、微生物によりN2ガスに生分解する生分解形式、塩素によりN2ガスに酸化する不連続点塩素処理形式、アンモニウムイオンとしてイオン交換反応により吸着除去するイオン交換形式など、アンモニア性窒素を除去可能な装置であればどのような形式の装置を用いても良い。
【0030】
このような処理装置を使用した第2の実施態様としてのフッ化物含有排水の処理方法においては、第1の実施態様と同様の逆浸透処理工程に加えて、透過水中に残留するアンモニア性窒素を除去する脱窒素工程を備える。本実施態様では、排水源からNH4Fを含むフッ化物含有排水が排水供給配管11を介して送水され、pH調整手段1は第1の実施態様と同様にしてアルカリ金属水酸化物を排水に添加してpH8以上の所定のpH値に、より好ましくはpH10〜11に調整する。このpH調整段階を経た排水中のNH4Fは、金属腐蝕性がなく水溶性の高いNaF又はKFと、NH3ガス及びNH3水化物として存在することとなる。特にpH10以上の高アルカリ性において水中のNH3は、その殆どがNH3ガスとして存在する。
【0031】
したがって、pH8以上の所定のpH値に調整された排水が逆浸透膜分離手段2に通水される逆浸透膜分離段階において、SiO2が共存しH2SiF6として排水中に存在する場合を含めてフッ素の除去、濃縮水の減容化などは第1の実施態様と同様に達成されるが、排水中のNH3ガスが逆浸透膜を透過して透過水中にアンモニア性窒素として残留し、濃縮水中にもNH3が含まれることとなる。透過水は透過水出口配管12を介して脱窒素処理手段4に送水され脱窒素処理工程によって透過水中に含まれたアンモニア性窒素を除去する。この脱窒素処理工程は、透過水出口配管12を介してNH3濃縮部41に送水された透過水中のアンモニア性窒素をNH3水として濃縮するNH3濃縮段階と、濃縮されたNH3水を加熱部42において100℃に加熱して再度ガス化する加熱段階と、ガス化されたNH3ガスを触媒反応部43において二酸化マンガンを有する酸化触媒に接触することによってN2ガスに酸化分解する酸化分解段階とからなる。
【0032】
本実施態様のNH3濃縮段階では、NH3濃縮部41が有するpH調整タンクにおいて透過水にNaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物が添加され高アルカリ側のpHに調整した後、NH3濃縮部41の放散塔で放散することによってアンモニア性窒素をNH3水として濃縮する。このNH3濃縮段階で一旦約15%のNH3水として濃縮することで、後段の加熱段階、酸化分解段階においてNH3ガスがN2ガスに効率良く酸化分解され、95%以上のアンモニア性窒素が除去できる。このような脱窒素工程を経た脱窒素処理水については、脱窒素被処理水としての透過水が、逆浸透処理工程において予めフッ化物、SiO2などが除去されアンモニア性窒素以外は第1の実施態様と同一の市水レベルの水質であるため、他に再利用可能である。
【0033】
一方、逆浸透膜分離段階で濃縮された濃縮水についての凝集沈殿法による処理については、濃縮水中にNH3含が含まれている点を除いて第1の実施態様と同様の条件であり、同一の濃縮水処理手段3によって濃縮水処理段階の処理を行い汚泥と上澄処理水に分離することができる。ただし、排水中に遷移金属を含有して濃縮水中のNH3とアミン錯体を形成し、上澄処理水に溶解する可能性がある場合にはカルシウムイオン添加部32からCa(OH)2又はCaCl2が添加される前に該当する遷移金属を沈殿する処理を行う。また、濃縮水中のNH3は、沈殿槽31内で50%以上ガス化して臭気を発することとなるため、上記の透過水を処理するために用いたと同様の脱窒素処理手段4による脱窒素処理工程を、濃縮水処理段階の前段に設けても良い。
【0034】
以下、本発明につき実施例を示して具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
図1に示した処理装置を用いて第1の実施態様に記載した処理方法によって、HF及びHBF4のフッ化物をフッ素として74ppm、SiO2を34ppm、塩素を10.6ppm含有するpH3.0の排水を処理した。逆浸透膜分離手段の逆浸透膜は架橋ポリアミド系合成複合膜によるスパイラル型(ダウ社製BW30−4040)を使用し、pH調整段階におけるアルカリ金属水酸化物にはNaOHを用いて排水のpHを10.5とした。逆浸透膜分離段階における操作圧は15Kgf/cm2とし、透過水の水回収率は95%として運転した。
【0036】
本実施例の処理結果を表1に示したとおり、1/20の濃縮水減容化がHF及びHBF4、SiO2、塩素共99%以上の除去率で達成された。
【表1】
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、HF、HBF4、NH4Fなどのフッ化物を含有する電子工業の製造工場からの排水を、逆浸透膜の目詰まりなしに効率良く分離処理して水回収率を高めることができ、且つ、排水中に含まれるフッ化物は少ない薬品量で高効率に処理可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施態様の処理方法に用いられる処理装置の概要を模式的に示すフロー図である。
【図2】同じく第2の実施態様の処理方法に用いられる処理装置の概要を模式的に示すフロー図である。
【符号の説明】
1 pH調整手段
2 逆浸透膜分離手段
3 濃縮水処理手段
4 脱窒素処理手段
11 供給配管
12 透過水出口配管
13 濃縮水出口配管
31 沈殿槽
32 カルシウムイオン添加部
41 NH3濃縮部
42 加熱部
43 触媒反応部
Claims (2)
- フッ化物を含有する排水を透過水と濃縮水とに逆浸透膜分離する逆浸透処理工程を有するフッ化物含有排水の処理方法において、
前記逆浸透処理工程では、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10を越え11までの範囲に調整したフッ化物含有排水を逆浸透膜に通水することによって逆浸透膜分離することを特徴とするフッ化物含有排水の処理方法。 - 前記逆浸透処理工程の後段に、透過水に残留するアンモニア性窒素を除去する脱窒素工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のフッ化物含有排水の処理方法。
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