JP4907778B2 - 浄水シャワー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭の浴室、洗面台や、理容院、美容院等に設置され、水道水中の残留塩素を除去した浄水を噴出する浄水シャワー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭の浴室、洗面台、理容院、美容院等で使用されるシャワーに供給される原水は、通常、水道水であり、この水道水には残留塩素が多く含まれている。この残留塩素を多く含む水道水を使用して頻繁に頭髪や身体をシャワーで洗浄すると、毛髪の傷みや変色、肌荒れなどの問題が生ずる場合がある。
【0003】
この問題の解決手段として、シャワーに供給される原水中の残留塩素を除去する浄水機能を備えた浄水シャワー等が提案されている。これら浄水機能付きシャワーとしては、例えば、亜硫酸カルシウムなどの脱塩素剤を内部に充填したシャワーヘッドを用いるシャワー等(特開平11−239740号等)が挙げられる。
【0004】
図7は従来の浄水シャワー装置の一例を示す断面図である。この浄水シャワー装置は浄水を噴出するシャワーキャップ部1とシャワーヘッド本体部2、シャワーキャップ部内部及びシャワーヘッド本体部の一部からなる収納空間に着脱自在に収納された浄化材を収めたカートリッジ3から構成される。
【0005】
原水は、前記シャワーヘッドのシャワーヘッド本体基底部に接続されたホースより供給され、グリップ部に設けられた流路を通過し、出水口5よりカートリッジ収納空間に供給される。そして、前記収納空間に収納された浄化材を収めたカートリッジを通過中に原水中の残留塩素が除去される。
【0006】
ここで、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩のように、酸化還元反応を利用して残留塩素を除去する浄化材を用いる場合、原水のすべてをカートリッジに通過させると、水中の残留塩素と反応するよりも大過剰の浄化材が溶け出すため、カートリッジの寿命が短くなる。そこで、例えばカートリッジ外周部に原水流路4を設け、原水の一部をカートリッジを通すことなく通過させ、前記カートリッジを通過した浄化水と混合させて、シャワーキャップ部から放射状に吐水するようにすると、浄化材を効率的に使用することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような浄水シャワー装置において、原水出水口5からカートリッジ3に原水を導入する際、カートリッジに流れる水の方向が、原水出口までに水が流れてきた方向と変化する場合、充填された浄化材の圧力抵抗があるため、流路の中で流れが変化する部位にて、原水が突き当たる部位に流れる水の割合が高くなる。
【0008】
このため、カートリッジの水通過方向に垂直な断面方向での水の流れが不均一となり、原水流路の中で流れが変化する部位にて、原水が突き当たる部位に水が優先的に流れることから、浄化材の利用効率に斑が発生してしまう。この傾向はカートリッジに収めた浄化材の形状が粒状であるとき等、可動な場合に顕著となる。
【0009】
水が優先的に流れる箇所では浄化能力が低下し、一方浄化材の浄化能力が残っている個所には水が流れないことから、浄化材の本来の能力が十分発揮されず、浄水シャワー装置の寿命が短くなる問題がある。
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するべくなされたものであり、浄水シャワー装置の浄化材の利用効率斑による寿命低下を防ぐ浄水シャワー装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の要旨は、グリップ部と、散水孔を有するシャワーキャップ部とで構成された浄水シャワー装置であって、内部に脱塩素能を有する浄化材を収めたカートリッジと該カートリッジに到る原水流路部とを有し、該原水流路部の原水が突き当たる部位よりも上流側に板状の遮蔽手段が設けられ、該遮蔽手段が無い状態での流路断面積に対し、遮蔽手段を設けた為に失われる流路断面積の割合が50〜90%であり、該原水流路部から供給された原水の一部を該カートリッジ内部を通過しないバイパス路に流し、該カートリッジ内部を通過した水と混合してシャワーとして吐水するように構成したことを特徴とする浄水シャワー装置、にある。
【0012】
また、上述の構成により、残留塩素濃度1ppmを含む原水を通水した時、該キャップ部に設けられた散水孔のいずれかより吐水される水の残留塩素濃度が、最も遅く0.5ppmとなるまでに該浄水シャワー装置に通水された積算流量をQ1とし、該キャップ部に設けられた散水孔のいずれかより吐水される水の残留塩素濃度が、最も早く0.5ppmとなるまでに該浄水シャワー装置に通水される積算流量をQ2とした場合に、Q2がQ1の60%以上とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明するが、本発明はこれら図面に限定されるものではない。図1及び図2において、1はシャワーキャップ部、2はシャワーヘッド本体部、3はカートリッジ、4はカートリッジ側面原水流路、5は出水口、6は遮蔽手段である。
【0014】
濾過水を得るために、原水は、前記シャワーヘッドのシャワーヘッド本体基底部に接続されたホースより供給され、グリップ部に設けられた流路を通過し、出水口5よりカートリッジ収納空間に供給される。ここに収納された浄化材を収めたカートリッジを通過中に原水中の残留塩素が除去される。また、原水の一部はカートリッジ外周部に設けられたバイパス路4を通過し、前記カートリッジを通過した浄化水と混合され、シャワーキャップ部に設けられた散水孔から放射状に吐水される。
【0015】
ここで、浄水シャワー装置に残留塩素濃度1ppmを含む原水を通水した時、前記キャップ部に設けられた散水孔のいずれかより吐水される水の残留塩素濃度が、最も遅く0.5ppmとなるまでに前記浄水シャワー装置に通水された積算流量をQ1とし、前記キャップ部に設けられた散水孔のいずれかより吐水される水の残留塩素濃度が、最も遅く0.5ppmとなるまでに該浄水シャワー装置に通水される積算流量をQ2とした場合に、Q2がQ1の60%以上となるよう水の流れを調整することにより、浄化材の利用効率斑による浄水シャワー装置の寿命低下を防止することができる。
Q2がQ1の60%よりも少ない場合、浄化材の利用効率斑による寿命低下が顕著となり、浄水シャワー装置の使用に耐えないものとなる。また、Q2がQ1の80%以上であると、吐出されるシャワーの残留塩素濃度斑がほとんどなく、寿命がさらに長くなるため更に好ましい。
【0016】
なお、水の残留塩素濃度が最も早く0.5ppmとなるのは、シャワー装置の構成によって異なるが、原水出水口からカートリッジに到る原水流路部で流れの方向が変わる部位のうち、原水が突き当たる部位を流れる水が、カートリッジを通過した後吐出される部位及びバイパス路の出口とが最も接近する部位においてである。従ってここに最も近く位置する散水孔から出る水が、最も早く残留塩素が0.5ppmに達する。例えば図1に示す構造の場合、バイパス路がカートリッジの外周部分に存在するので、原水流路部で流れの方向が変わる部位のうち、最上端に位置する部位がバイパス路に最も近くなる。従って最上端に位置する散水孔から吐出される水がもっとも早く0.5ppmに達する。
一方、水の残留塩素濃度が最も遅く0.5ppmとなるのは、バイパス路から最も遠い位置となる部位においてである。従って図1に示した構造の場合、散水板の中央に位置する散水孔から吐出される水がもっとも遅く0.5ppmに達する。
【0017】
原水出水口5からカートリッジに到る原水流路部に遮蔽手段6を設けると、カートリッジに流入する水の流れを簡便に制御することができるため好ましい。遮蔽手段6を設けることにより、原水出水口からカートリッジに到る原水流路部で流れの方向が変わる部位のうち、原水が突き当たる部位が分散するので、カートリッジに流入する水の分布斑が少なくなる。
【0018】
ここで用いられる遮蔽手段6は、カートリッジへの原水流入の過度の偏りを防止するものであれば、特に限定されるものではない。図3〜6に、図1及び図2に示した本発明の一例における遮蔽手段断面形状の一例を示した。
図3のような板状の遮蔽手段は、加工が簡便なため好ましい。また、図4、図5に示したように前記遮蔽手段の一部を切り取った形状としてもよい。また、図6に示すように、一体の部材でなくともよい。
【0019】
この際、適正な形状は、遮蔽手段が無い状態での流路断面積に対し、遮蔽手段を設けた為に失われる流路断面積の割合、すなわち遮蔽率を定めることから選定される。遮蔽手段の設置位置、使用する浄化材によって適正な遮蔽率は異なってくるが、望ましい遮蔽率は50〜90%である。50%未満では利用効率斑の解消効果が十分でなく、90%を超えると圧力損失が大きくなり好ましくない。
【0021】
遮蔽手段の設置箇所は特に限定されるものではないが、バイパス路から離れた場所に設けると効果が高くなる。また、カートリッジ内の浄化材の利用効率斑を低減させる効果が得られるのであれば、シャワーヘッド本体側に設置しても、カートリッジ側入水部に設置してもよい。また一体化されている必要もなく、別部品として遮蔽手段のみを使用時に所定位置に挿入してもよい。
【0022】
カートリッジに収められる浄化材としては、残留塩素を除去できるものであれば特に限定されるものではないが、安全性が高く、また、高温でも有効に残留塩素を除去でき、さらに水又は温水に対する溶解度が小さいことから、亜硫酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0023】
浄化材は所定の処理量使用すると脱塩素能が無くなることから、交換可能な形態であることが好ましく、カートリッジケースに亜硫酸カルシウムを充填した形が考えられる。充填形状としては、粒状のものをケースに直接充填してもよいし、粉体もしくは細粒状のものを小袋に充填したものをさらにカートリッジケースに充填してもよいが、充填量を多くして濾材寿命を長くするために、好ましくは粒状の亜硫酸カルシウムをカートリッジケースに充填したものが用いられる。
【0024】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
<実施例>
図1に示したような浄水シャワー装置において、遮蔽手段6が図3に示した板状のものを、遮蔽率が65%になるように高さを調節し設置したものを作成した。
浄化材として粒状の亜硫酸Ca36gを充填したカートリッジを挿入し、通水が可能なようにホースに接続した。ここで、カートリッジには、外周部に0.2mm高さのリブを等間隔に8本設け、原水流路を形成させた。なお、原水流路の割合は、カートリッジの浄化材充填部断面積1660mmに対し95mmである。
【0025】
次に、水温40℃、残留塩素濃度1ppmの原水を用意し、前記の浄水シャワー装置に10L/分で通水した。この際、吐出孔を通過した水を50分に一回の頻度にて採水して残留塩素濃度を測定した。尚、この際吐水された濾過水の採取は、吐出水全体、最外周部上端部に位置する散水孔のみから、最外周下端部に位置する散水孔のみから、中心部に位置する散水孔のみから、の4箇所より実施した。その結果を図8に示した。
【0026】
<比較例>
比較例として図7に示したような、遮蔽手段を設置しない従来タイプの浄水シャワー装置を用いた以外は、実施例と同一の条件にて通水を実施した。その結果を図9に示した。
【0027】
図8図9に示すように、比較例として挙げた従来タイプの浄水シャワー装置においては、吐出水全体の残留塩素濃度が0.5ppmに達するまでの積算通水量が7300Lであるのに対し、本発明の浄水シャワー装置においては、吐出水全体の残留塩素濃度が0.5ppmに達するまでの積算通水量が9200Lであり、寿命の延長が明らかである。なお、0.5ppmに達するまでの積算通水量は、測定時に濃度が最初に0.5ppmに達するか、又は超えた採水時点と、その前の採水時点において、直線的に濃度が変化したと仮定して、濃度と積算流量から計算にて求めた。
【0028】
なお、各々の例についての、Q1、Q2の値は、比較例ではQ1は8800L、Q2は4500Lであり、Q2のQ1に対する割合は4500L÷8800L×100=51(%)である。
一方本発明の実施例では、Q1は9500L、Q2は9000Lであり、Q2のQ1に対する割合は9000L÷9500L×100=95(%)である。
【0029】
又、前記通水試験実施後のカートリッジを本体より取り出し、浄化材充填状況を観察したところ、比較例に使用したカートリッジにおいては、シャワーヘッド上部に位置する入水側で浄化材の減少の偏りが認められた。これに対し、本発明の実施例においては、比較例のような片減りは認められず、均一な浄化材の減少が確認された。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明の浄水シャワー装置においては、浄化材の利用効率斑による寿命の低下を抑えることができる。また、該カートリッジに到る原水流路部に遮蔽手段を設けることにより、利用効率斑を簡便に解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄水シャワー装置の一例を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明の浄水シャワー装置のシャワーヘッド本体カートリッジ収納空間部付近の一例を示す図である。
【図3】 本発明の遮蔽手段断面形状の一例を示す図である。
【図4】 本発明の遮蔽手段断面形状の一例を示す図である。
【図5】 本発明の遮蔽手段断面形状の一例を示す図である。
【図6】 本発明の遮蔽手段断面形状の一例を示す図である。
【図7】 従来の浄水シャワー装置の一例を示す模式的断面図である。
【図8】 本発明の実施例の通水試験結果を示すグラフである。
【図9】 本発明の比較例の通水試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シャワーキャップ部
2 シャワーヘッド本体部
3 カートリッジ
4 バイパス路
5 出水口
6 遮蔽手段
7 最外周部散水孔
8 中心部散水孔

Claims (3)

  1. グリップ部と、散水孔を有するシャワーキャップ部とで構成された浄水シャワー装置であって、内部に脱塩素能を有する浄化材を収めたカートリッジと該カートリッジに到る原水流路部とを有し、該原水流路部の原水が突き当たる部位よりも上流側に板状の遮蔽手段が設けられ、該遮蔽手段が無い状態での流路断面積に対し、遮蔽手段を設けた為に失われる流路断面積の割合が50〜90%であり、該原水流路部から供給された原水の一部を該カートリッジ内部を通過しないバイパス路に流し、該カートリッジ内部を通過した水と混合してシャワーとして吐水するように構成したことを特徴とする浄水シャワー装置。
  2. 前記遮蔽手段は、その一部に切り欠き形状を有する請求項に記載の浄水シャワー装置。
  3. 前記遮蔽手段のシャワーキャップ部の中心線と、前記ャワーヘッド部の流路方向に対する中心線が一致することを特徴とする請求項1または2に記載の浄水シャワー装置。
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