JP4906371B2 - 二光子吸収材料及びその用途 - Google Patents
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ところで、二光子吸収現象とは、三次の非線形光学効果の一種で、分子が二つのフォトンを同時に吸収して、基底状態から励起状態へ遷移する現象であり、古くから知られていたがJean-Luc Bredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(Science,281,1653(1998))、近年になって二光子吸収能を有する材料に関する研究が進むようになった。
また、特許文献5、特許文献6には、屈折率変調により三次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、二光子吸収三次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
また、二光子吸収材料を固体として用いる場合、これまでは高分子中に分散させて使用していた。しかしながら長期保存時に二光子吸収材料の結晶化やマイグレーションによる偏析等による塗膜欠陥が発生し、品質が変化する不具合があった。
更に本発明は、二光子吸収断面積が大きい二光子吸収化合物を少なくとも有し、二光子吸収化合物の二光子吸収能を利用して書き換えの出来ない方式で記録を行った後、光を記録材料(層)に照射してその強度の違いを検出することにより再生することを特徴とする二光子吸収光記録材料を用いた二光子吸収三次元光記録媒体用記録材料を提供することを目的とする。
た。
すなわち、本発明は以下に記載する通りの二光子吸収材料である。
Ar1は置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、
R1はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
Ar1は置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、
R1はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
(3)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
(4)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
(5)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
(6)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素
2)二光子吸収能を有する部位を連結した二光子吸収重合体とすることで、長期保存でも塗膜欠陥が発生せず、安定した品質が得られる。
本発明の二光子吸収材料は上記一般式(I)で表されるフルオレン誘導体を基本構造としており、この構造により、効率良く二光子を吸収することができる。
また、本発明の二光子吸収材料は、上記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する重合体の形態で好ましく使用することができる。
本発明の上記一般式(I)で示される低分子系化合物に比べると本発明の上記一般式(II)で示される高分子系化合物では塗膜欠陥(結晶化、マイグレーション)がより発生し難い傾向にある。
本発明のフルオレン系二光子吸収重合体は例えば以下に示す反応式(III)、(IV)によって得ることができる。
M1及びM2モノマーを用いる場合、2つのハロゲン化物官能性基を有するモノマーに対する2つのボロン誘導体を有するモノマーのモル比は、好ましくは少なくとも0.98:1.00、より好ましくは少なくとも1:1、最も好ましくは少なくとも1.02:1.00であるが、好ましくは1.1:1.0以下、より好ましくは1.06:1.00以下である。
この反応はすばやく進行し、ほとんどの場合、1〜2時間後に分子量の増加が認められる。好ましい反応時間は10〜50時間であり、最も好ましい反応時間は24時間未満である。本発明の方法により製造されるポリマーは、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも100の重合度(モノマーあたりの)、及び6より大きい、より好ましくは5より大きい、最も好ましくは4より大きい多分散度を有する。
本発明の二光子吸収光記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより二光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
上述した三次元多層光記録媒体の任意の層に焦点を合わせ、記録再生を実施することで、本発明の三次元記録媒体として機能する。また、層間を保護層(中間層)で区切っていなくとも、二光子吸収色素特性から深さ方向の三次元記録が可能である。
なお、本発明に従い同様に形成される三次元多層光メモリの形態としては、カード状、プレート状、テープ状、ドラム状等が考えられる。
光通信や光情報処理では、情報等の信号を光で搬送するためには変調、スイッチング等の光制御が必要になる。この種の光制御には、電気信号を用いた電気−光制御方法が従来採用されている。しかし電気−光制御方法は、電気回路のようなCR時定数による帯域制限、素子自体の応答速度や電気信号と光信号との間の速度の不釣合いで処理速度が制限されることなどの制約があり、光の利点である広帯域性や高速性を十分に生かすためには、光信号によって光信号を制御する光−光制御技術が非常に重要になってくる。この要求に応えるものとして本発明の二光子吸収材料を加工して作製した光学素子は、光を照射する事で引き起こされる透過率や屈折率、吸収係数などの光学的変化を利用し、電子回路技術を用いずに光の強度や周波数を変調することで、光通信、光交換、光コンピューター、光インターコネクション等における光スイッチなどに応用する事が可能である。
図2は、本発明の二光子吸収材料を、二光子励起し得る波長の制御光により二光子励起させることによって、一光子励起し得る波長の信号光を光スイッチングする光制御素子の一例である。保護層で狭持された二光子吸収材料の形態を示すが、この構成が本発明を限定するものではない。
二光子光造形法の装置の概略図を図3に示し、以下に説明する。
近赤外パルスレーザ光源1からの光をミラースキャナー5を通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂9中に集光させレーザスポットを走査し、二光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させて任意の三次元構造を形成する二光子マイクロ光造形方法である。
1)回折限界をこえる加工分解能:二光子吸収の光強度に対する非線形性によって、光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
2)超高速造形:二光子吸収を利用した場合、焦点以外の領域では、光硬化性樹脂が原理的にも硬化しない。このため照射させる光強度を大きくし、ビームのスキャン速度を速くすることができる。このため、造形速度を約10倍向上することができる。
3)三次元加工:光硬化性樹脂は、二光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
4)高い歩留り:従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うのでこうした問題は解消される。
5)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
二(多)光子励起レーザ走査顕微鏡とは、近赤外パルスレーザを標本面上に集光し走査させて、そこでの二(多)光子吸収により励起されて発生する蛍光を検出することにより像を得る顕微鏡である。
二光子励起レーザ走査顕微鏡の基本構成の概略図を図4に示す。
近赤外域波長のサブピコ秒の単色コヒーレント光パルスを発するレーザ光源1と、レーザ光源からの光束を所望の大きさに変える光束変換光学系2と、光束変換光学系で変換された光束を対物レンズの像面に集光し走査させる走査光学系3と、集光された上記変換光束を標本面5上に投影する対物レンズ系4と、光検出器7を備えている。
このような構成により、二光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。
二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素は、標本を染色、又は標本に分散させることにより使用され、工業用途のみならず、生体系の細胞等の三次元画像マイクロイメージングにも用いることができ、高い二光子吸収断面積を持つ化合物が望まれている
例えば、光ディスクでは上記薄膜が基板と接しており、その基板材料はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、積層する場合であれば、中間層(仕切層)に該薄膜表面が接している。中間層の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは種々の光硬化樹脂等が挙げられる。
従って、本発明の二光子吸収材料の使用要件としては、該材料が各種樹脂、またはガラスに混合されているか、二光子吸収材料層界面が各種樹脂、またはガラスに接していることである。
言い換えれば、本発明の二光子吸収材料はミクロレベル、又はマクロレベルで各種樹脂、又はガラスに接している構成となっている。
下記構造式(1)のホモポリマーの合成
前記の前駆体例No.4を15.8g(29.49mmol)と前駆体例No.8を16.18g(29.49mmol)のトルエン(130mL)中の混合物に窒素下においてAliquat336(1.5g、3.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.18g、0.15mmol)、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(50mL、100mmol)を加えた。この混合物を激しく攪拌し、穏やかに2時間還流して加熱し、粘稠な混合物が観察された。さらに50mLのトルエンを加え、さらに15時間反応を続けた。次いで60mLのトルエンをこの粘稠な反応混合物に加え、さらに9時間加熱、攪拌を続けた。この最後において、2gのフェニルエチレンボロネートを加え、次いで15時間加熱し、1gのブロモベンゼンを加え、5時間加熱することによってポリマーをキャップした。この反応混合物を約60℃に冷却し、3Lのメタノールと300mLの脱イオン水の攪拌溶液にゆっくり加えた。濾過によって繊維状のポリマーを集め、メタノール(500mL)、脱イオン水(200mL)、及びメタノール(800mL)で連続して洗浄し、次いで真空オーブン内で60℃において10時間乾燥させた。ポリマーの重量は23gであった(収率100パーセント)。このポリマーのポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定では、148,000g/moleのMw及び47,980g/moleのMnを示した。このポリマーのIRスペクトル特性は以下の構造と一致した。
前駆体例No.4を6.40g(12.0mmol)と前駆体例No.9を4.00g(12.0mmol)のトルエン(80mL)中の混合物に窒素下においてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.18g、0.156mmol)、Aliquat336(1.0g)、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(24mL、48mmol)を加えた。この混合物を激しく攪拌し、24時間還流して加熱した。粘稠な反応混合物をアセトン(500mL)に注ぎ、繊維状の黄色のポリマーを沈澱させた。このポリマーを濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた。このポリマーのIRスペクトル特性は以下の構造と一致した。
[実施例1〜5]
上記の化合物例(13)、(15)、(16)、(17)、(18)で示した単分子化合物を用い、それぞれの濃度が0.01(mol/l)となるようにテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
上記の化合物例(2)、(3)、(4)、(6)(10)で示した重合体において、その繰り返し単位を分子量と換算し、濃度0.01(mol/l)テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
以下の化合物(19)で示した化合物を用い、その濃度が0.01(mol/l)となるようにテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
測定システム概略図を図5に示す。
測定光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ
波長 :800nm パルス幅:100fs
繰り返し:80MHz 光パワー:800mW
測定方法:Zスキャン法
光源波長 :800nm キュベット内径:10mm
測定光パワー :約500mW 繰り返し周波数:80MHz
集光レンズ :f=75mm 集光径 :40〜50μm
集光されている光路部分に試料溶液を充填した石英セルを置き、その位置を光路に沿って移動させることによりZ−scan測定を実施した。
T=[ln(1+I0L0β)]/I0L0β ・・・・ (I)
(上記式中、Tは透過率(%)、I0は励起光密度[GW/cm2]、
L0は試料セル長[cm]、βは非線形吸収係数[cm/GW]を示す。)
この非線形吸収係数から、下記式(II)により二光子吸収断面積δを求めた。(δの単位は1GM=1×10−50cm4・s・molecule−1・photon−1である。)
δ=1000×hνβ/NACβ ・・・・ (II)
(上記式中、hはプランク定数[J・s]、
νは入射レーザ光の振動数[s−1]、NAはアボガドロ数、
Cは溶液濃度[mol/L]を示す。)
評価結果を表1に示す。
1 光硬化樹脂液に対して透明性を有する近赤外パルスレーザ光の光源
3 過光量を時間的にコントロールするシャッター
4 NDフィルター
5 ミラースキャナー
6 Zステージ
7 集光手段としてのレンズ
8 コンピュータ
9 光硬化性樹脂液
10 光造形物
(図4について)
1 レーザ光源
2 光束変換光学系
3 走査光学系
4 対物レンズ系
5 標本面
6 ダイクロイックミラー
7 光検出器
Claims (6)
- 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
- 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
- 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
- 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料。
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