JP4906371B2 - 二光子吸収材料及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は二光子吸収材料に関し、高い二光子吸収断面積を有する二光子吸収単分子材料及び高分子材料に関する。
本発明でいう二光子吸収材料とは、非共鳴領域の波長において分子を励起する事が可能な材料で、この時励起に用いた光子の約2倍のエネルギー準位に、実励起状態が存在する材料のことである。
ところで、二光子吸収現象とは、三次の非線形光学効果の一種で、分子が二つのフォトンを同時に吸収して、基底状態から励起状態へ遷移する現象であり、古くから知られていたがJean-Luc Bredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(Science,281,1653(1998))、近年になって二光子吸収能を有する材料に関する研究が進むようになった。
しかしながらこのような二光子同時吸収の遷移効率は、一光子吸収に較べて極めて低く、極めて大きなパワー密度の光子を必要とするため、通常に使用されるレーザ光強度では殆ど無視され、ピーク光強度(最大発光波長における光強度)が高いモード同期レーザのようなフェムト秒程度の極超短パルスレーザを用いると、観察されることが確認されている。
二光子吸収の遷移効率は印加する光電場の二乗に比例する(二光子吸収の二乗特性)。このため、レーザを照射した場合、レーザスポット中心部の電界強度の高い位置でのみ二光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では二光子の吸収は全く起こらない。三次元空間においては、レーザ光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ二光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために二光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる一光子の線形吸収に比べて、二光子吸収は、この二乗特性に由来して空間内部のピンポイントのみでしか励起が起こらないため、空間分解能が著しく向上する。
この特性を利用して、記録媒体の所定の位置に二光子吸収によりスペクトル変化、屈折率変化または偏光変化を生じさせ、ビットデータを記録する三次元メモリの研究が進められている。二光子吸収は、光の強度の二乗に比例して生じるため、二光子吸収を利用したメモリは、一光子吸収を利用したメモリに比べて、スポットサイズを小さくすることができ、超解像記録が可能となる。その他この二乗特性に由来する高い空間分解能の特性から、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料などの用途への開発も進められている。
さらに、二光子吸収を誘起する場合には、化合物の線形吸収帯が存在する波長領域よりも長波長でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザを用いることが可能である。化合物の線形吸収帯が存在しない、いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、かつ二光子吸収の二乗特性のために試料内部のピンポイントを高い空間分解能で励起できるため、二光子吸収及び二光子発光は生体組織の二光子造影や二光子フォトダイナミックセラピー(PDT)などの光化学療法応用面でも期待されている。また、二光子吸収、二光子発光を用いると、入射した光子のエネルギーよりも高いエネルギーの光子を取り出せるため、波長変換デバイスという観点からアップコンバージョンレージングに関する研究も報告されている。
二光子吸収材料としてはこれまでに多数の無機材料が見出されてきた。ところが無機物においては、所望の二光子吸収特性や、素子製造のために必要な諸物性を最適化するためのいわゆる分子設計が困難であることから実用するのは非常に困難であった。一方、有機化合物は分子設計により所望の二光子吸収の最適化が可能であるのみならず、その他の諸物性のコントロールも可能であるため、実用の可能性が高く、有望な二光子吸収材料として注目を集めている。
従来の有機系二光子吸収材料としては、ローダミン、クマリンなどの色素化合物、ジチエノチオフェン誘導体、オリゴフェニレンビニレン誘導体などの化合物が知られている。しかしながら、分子あたりの二光子吸収能を示す二光子吸収断面積が小さく、特にフェムト秒パルスレーザを用いた場合の二光子吸収断面積は、200(GM:×10−50cm・s・molecule−1・photon−1)未満のものが殆どで工業的な実用化には至っていない。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても50GB以上、好ましくは100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が高まっている。さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。そのような中、DVD±Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そのような状況の中、究極の高密度、高容量記録媒体として、三次元光記録媒体が俄然、注目されてきている。三次元光記録媒体は、三次元(膜厚)方向に何十、何百層もの記録を重ねることで、従来の二次元記録媒体の何十、何百倍もの超高密度、超高容量記録を達成しようとするものである。三次元光記録媒体を提供するためには、三次元(膜厚)方向の任意の場所にアクセスして書き込みできなければならないが、その手段として、二光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とある。
二光子吸収材料を用いる三次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。二光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(特許文献1、特許文献2参照)、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(特許文献3、特許文献4参照)等が提案されているが、いずれも具体的な二光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている二光子吸収化合物の例も二光子吸収効率の極めて小さい二光子吸収化合物を用いている。さらに、これらの特許文献に用いているフォトクロミック化合物は可逆材料であるため、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率または吸収率)または発光強度の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する二光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、特許文献5、特許文献6には、屈折率変調により三次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、二光子吸収三次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
上に述べたように、非共鳴二光子吸収により得た励起エネルギーを用いて反応を起こし、その結果レーザ焦点(記録)部と非焦点(非記録)部で光を照射した際の発光強度を書き換えできない方式で変調することができれば、三次元空間の任意の場所に極めて高い空間分解能で発光強度変調を起こすことができ、究極の高密度記録媒体と考えられる三次元光記録媒体への応用が可能となる。さらに、非破壊読み出しが可能で、かつ不可逆材料であるため良好な保存性も期待でき実用的である。
上記のように、二光子吸収現象を利用すると、極めて高い空間分解能を特徴とする種々の応用が可能となるが、現時点で利用可能な二光子吸収化合物では二光子吸収能が低いため、二光子吸収を誘起する励起光源としては高価な非常に高出力のレーザが必要であり、かつ記録時間も長くかかる。このため、小型で安価なレーザを使って、二光子吸収を利用した実用用途を実現するためには、二光子吸収化合物と、二光子吸収化合物励起状態を用いて何らかの方法にて二光子吸収光記録材料の発光能の違いを効率的に形成できる記録成分を含む高効率の二光子吸収材料が必要であるが、そのような材料は今までほとんど開示されておらず、そのような材料が望まれていた。特に三次元光記録媒体に使用するためには、速い転送レート達成のために、高感度にて発光能の違いによる記録を二光子吸収により行うことができる二光子吸収三次元光記録材料の構築が必須である。
また、二光子吸収材料を固体として用いる場合、これまでは高分子中に分散させて使用していた。しかしながら長期保存時に二光子吸収材料の結晶化やマイグレーションによる偏析等による塗膜欠陥が発生し、品質が変化する不具合があった。
特表2001−524245号公報(レヴィッチ、ユージーン、ポリス他) 特表2000−512061号公報(パベル、ユージエン他) 特表2001−522119号公報(コロティーフ、ニコライ・アイ他) 特表2001−508221号公報(アルセノフ、ヴラディミール他) 特開平6−28672号公報(河田聡、川田善正) 特開平6−118306号公報(河田聡、川田善正他)
本発明は、スペクトル、屈折率または偏光状態の変化を、高感度に実現する、効率良く二光子を吸収する有機材料、すなわち二光子吸収断面積の大きな有機材料を提供することを目的とする。
更に本発明は、二光子吸収断面積が大きい二光子吸収化合物を少なくとも有し、二光子吸収化合物の二光子吸収能を利用して書き換えの出来ない方式で記録を行った後、光を記録材料(層)に照射してその強度の違いを検出することにより再生することを特徴とする二光子吸収光記録材料を用いた二光子吸収三次元光記録媒体用記録材料を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造のフルオレン誘導体と特定構造の構成単位を含有するフルオレン系重合体により上記課題が解決されることを見出し、本発明に至っ
た。
すなわち、本発明は以下に記載する通りの二光子吸収材料である。
(1)下記一般式(I)で表される二光子吸収材料。
Figure 0004906371
(上記式中
Arは置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、
はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
(2)下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する二光子吸収材料。
Figure 0004906371
(上記式中
Arは置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、
はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
(3)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
(4)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
(5)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
(6)上記(1)又は(2)に記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素
1)光子吸収の遷移効率が高い二光子吸収化合物が実現でき、小型で安価なレーザを使った実用用途(三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料など)を実現可能となる。
2)二光子吸収能を有する部位を連結した二光子吸収重合体とすることで、長期保存でも塗膜欠陥が発生せず、安定した品質が得られる。
まず、本発明の二光子吸収材料について説明する。
本発明の二光子吸収材料は上記一般式(I)で表されるフルオレン誘導体を基本構造としており、この構造により、効率良く二光子を吸収することができる。
また、本発明の二光子吸収材料は、上記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する重合体の形態で好ましく使用することができる。
本発明の上記一般式(I)で示される低分子系化合物に比べると本発明の上記一般式(II)で示される高分子系化合物では塗膜欠陥(結晶化、マイグレーション)がより発生し難い傾向にある。
以下では本発明のフルオレン系二光子吸収重合体の製造法について説明する。
本発明のフルオレン系二光子吸収重合体は例えば以下に示す反応式(III)、(IV)によって得ることができる。
Figure 0004906371
Figure 0004906371
上記式(III)及び式(IV)において、M、M及びMは、spもしくはsp炭素原子に結合した2つの反応性基に加えて、不飽和内部基を有する分子である(以後、総称してモノマーとよぶ)。Mモノマーは、ボロン酸(B(OH))、ボロン酸エステル(B(OR))(このRはC1−C6ヒドロカルビルであるか又は2つのR基は−CH−CH−及び[−CH−CH−CH−]のように結合している)、又はボラン(BR)基(このRはC1−C20ヒドロカルビルである)より選ばれる反応性基を有する(以上を総称してボロン誘導体とよぶ)。「ハロゲン化物官能性」とは、沃化物、臭化物、及びトリフレート(CFSO−)、並びにこれらの組合せより選ばれる反応性基を有するモノマーを意味する。
上記式IIIにおいて、Mモノマーはジハロゲン化物官能性であり、上記基を2つ有する。式IVにおけるMモノマーは1つのハロゲン化物官能性基と1つのボロン誘導体基を有する。P、P及びPは、それぞれ重合反応において反応性基の反応後に残っているM、M及びMの残基を意味する。上記モノマー中のボロン誘導体基は好ましくはボロン酸又はボロネート基であり、最も好ましくはボロネート基である。上記モノマー中のハロゲン化物官能性基は好ましくは臭化物もしくは沃化物であり、最も好ましくは臭化物である。
好ましくは、重合反応混合物に存在する反応性基の約50モルパーセントはハロゲン化物官能性基より選ばれる。「共役不飽和基」とは、共役した二重結合、三重結合及び/又は芳香族環を有する内部基を意味し、「共役ポリマー」はそのような基を含むポリマーを意味する。そのような基をポリマーに混入させることは、ポリマーの光吸収性、イオン化ポテンシャル、及び/又は電子特性を特定の用途に対して最適にするために用いられる。
好ましくは、このモノマーは、エチレン、アセチレン、C6−C2単核/多核芳香族炭化水素、C2−C10単核/多核複素環、及び3級アリールアミンより選ばれる内部基を含む。単核/多核芳香族炭化水素内部基の例は、フェニレン、ナフチレン、フルオレン、アセナフテン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ペリレン、ルブレン、及びクリセンを含む。単核/多核複素環内部基の例は、5員複素環、例えばフラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、及びピラゾール;6員複素環、例えばピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、及びテトラゼン;ベンゾ縮合環系、例えばベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、フタラジン、ベンゾチアジアゾール、及びベンゾトリアジン;並びに多核縮合環系、例えばフェナジン、フェナントリジン、アクリジン、カルバゾール、及びジフェニレンオキシドを含む。3級アリールアミン基の例は、トリフェニルアミン、N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、及びジフェニルナフチルアミンを含む。通常、炭素を30個まで含むオレフィン、アリールアミノ、芳香族及び複素環芳香族基が本発明の目的に有効である。これらは所望により、1以上の置換基で置換していてもよい。
置換基の例は、C1−C20(チオ)アルコキシ基、C1−C20(チオ)アリールオキシ基、シアノ、フルオロ、クロロ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アリールオキシカルボニル、ポリ(アルキレンオキシ)、及びアルキル(アリール)スルホニル基を含む。この置換基は、ポリマーの溶解性もしくは加工性を向上させるために選択してもよい。そのような場合、この置換基は好ましくは、アルキル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、及びシアノから選ばれ、最も好ましくはアルコキシである。本発明の方法は、上記モノマーを2種以上用いてもよい。この方法は、各モノマーが1つの硼素誘導体と1つのハロゲン基を有する(Mモノマー)、ABタイプ重合にも適用することができる。所望により、この反応において連鎖停止剤として一官能性アリールハロゲン化物又はアリールボロネートを用いてもよく、これは末端アリール基を形成する。好ましくは、このモノマーは内部フルオレン基を含む。
モノマーの例は、9,9−ジアルキル−2,7−フルオレンジボロネート及び9,9−ジアリール−2,7−フルオレンボロネートを含む。Mモノマーの例は、9,9−二置換−ジ−2,7−ブロモフルオレン及び4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾールを含む。Mモノマーの例は、4−ブロモベンゼンボロネート及び9,9−二置換−2−ブロモ−7−フルオレンボロネートを含む。
及びMモノマーを用いる場合、2つのハロゲン化物官能性基を有するモノマーに対する2つのボロン誘導体を有するモノマーのモル比は、好ましくは少なくとも0.98:1.00、より好ましくは少なくとも1:1、最も好ましくは少なくとも1.02:1.00であるが、好ましくは1.1:1.0以下、より好ましくは1.06:1.00以下である。
本発明において用いるに適した有機溶媒は、モノマーを少なくとも1パーセント、より好ましくは少なくとも2パーセントの溶液濃度に溶解することのできるものを含む。好ましくは、この溶媒はC6−C20芳香族基含有化合物であり、より好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、アニソール、又はこれらのフッ素化体である。これらのうち、トルエンが最も好ましい。反応中の溶媒の体積は、反応混合物はポリマー分子量の増大により粘度が増加するために、還流において有効に混合できるようでなければならない。これは通常、ポリマー1gに対して5〜20mLであり、好ましくはポリマー1gに対してトルエン約10mLである。
重合用触媒としてPd(II)塩又はPd(0)錯体としてパラジウムを加えてもよい。酢酸Pdが好ましいPd(II)塩であり、Pd(PhP)が好ましいPd(0)錯体である。Pd(II)塩を用いる場合、反応混合物に、Pd塩1モルに対して2〜4モル当量のトリフェニルホスフィン(PhP)を加えることが有利である。または、Pd(II)−PhP錯体、例えばPdCl(PhP)を用いる。モノマーに対するPdの量は、好ましくはモノマー1モルに対して1×10−6モル〜1×10−2モル、より好ましくは1×10−5モル〜1×10−2モル、最も好ましくは1×10−4モル〜1×10−3モルのPdである。
反応温度の好ましい上限は、水性塩基及び有機溶媒中のモノマーの溶液からなる不混和性液体混合物の沸点である。通常、反応温度を好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、最も好ましくは120℃以下に制限する。
この反応はすばやく進行し、ほとんどの場合、1〜2時間後に分子量の増加が認められる。好ましい反応時間は10〜50時間であり、最も好ましい反応時間は24時間未満である。本発明の方法により製造されるポリマーは、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも100の重合度(モノマーあたりの)、及び6より大きい、より好ましくは5より大きい、最も好ましくは4より大きい多分散度を有する。
Figure 0004906371
Figure 0004906371
Figure 0004906371
上記前駆体例示化合物はビスボロン酸エステルまたはビス臭素置換体を示したが、上記のモノボロン酸エステル体、モノ臭素置換体も含む。モノ置換体同士の反応により本発明の一般式(I)の非重合体(単量体)化合物構造を得ることができる。
(二光子吸収材料を用いた三次元多層光メモリへの応用)
本発明の二光子吸収光記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより二光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、この基板にはあらかじめ、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであっても良い。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
さらに、二光子吸収光記録材料の上に、酸素遮断や層間クロストーク防止のための保護層(中間層)を形成してもよい。保護層(中間層)は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。さらに感光膜間の保護層(中間層)にもあらかじめ、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであっても良い。
上述した三次元多層光記録媒体の任意の層に焦点を合わせ、記録再生を実施することで、本発明の三次元記録媒体として機能する。また、層間を保護層(中間層)で区切っていなくとも、二光子吸収色素特性から深さ方向の三次元記録が可能である。
以下、三次元多層光メモリの好ましい実施形態(具体例)を示すが、本発明はこれらの実施形態により何ら限定されず、三次元記録(平面及び膜厚方向に記録)が可能な構造であれば、他にどのような構造であっても構わない。三次元多層光メモリの記録/再生のシステム概略図を図1(a)に、記録媒体の概略断面図を図1(b)に示す。
図中(b)の記録媒体においては、平らな支持体(基板1)に本発明の二光子吸収化合物を用いた記録層と、クロストーク防止用の中間層(保護層)が交互に50層ずつ積層され、各層はスピンコート法により成膜されている。記録層の厚さは0.01〜0.5μ、中間層の厚さは0.1μ〜5μが好ましく、この構造であれば、現在普及しているCD/DVDと同じディスクサイズで、テラバイト級の超高密度光記録が実現できる。更にデータの再生方法(透過/或いは反射型)により、基板1と同様の基板2(保護層)、或いは高反射率材料からなる反射層が構成される。
記録時は単一ビームが使用され、この場合フェムト秒オーダーの超短パルス光を利用することができる。また再生時は、データ記録に使用するビームとは異なる波長、或いは低出力の同波長の光を用いることもできる。記録及び再生は、ビット単位/ページ単位のいずれにおいても実行可能であり、面光源や二次元検出器等を利用する並行記録/再生は、転送レートの高速化に有効である。
なお、本発明に従い同様に形成される三次元多層光メモリの形態としては、カード状、プレート状、テープ状、ドラム状等が考えられる。
(二光子吸収材料を用いた光制限素子への応用)
光通信や光情報処理では、情報等の信号を光で搬送するためには変調、スイッチング等の光制御が必要になる。この種の光制御には、電気信号を用いた電気−光制御方法が従来採用されている。しかし電気−光制御方法は、電気回路のようなCR時定数による帯域制限、素子自体の応答速度や電気信号と光信号との間の速度の不釣合いで処理速度が制限されることなどの制約があり、光の利点である広帯域性や高速性を十分に生かすためには、光信号によって光信号を制御する光−光制御技術が非常に重要になってくる。この要求に応えるものとして本発明の二光子吸収材料を加工して作製した光学素子は、光を照射する事で引き起こされる透過率や屈折率、吸収係数などの光学的変化を利用し、電子回路技術を用いずに光の強度や周波数を変調することで、光通信、光交換、光コンピューター、光インターコネクション等における光スイッチなどに応用する事が可能である。
二光子吸収による光学特性変化を利用する本発明の二光子吸収材料による光学特性変化を利用する光制限素子は、通常の半導体材料により形成される光制限素子や、一光子励起によるものに比べ、応答速度にはるかに優れた素子を提供することができる。また高感度ゆえに、S/N比の高い信号特性に優れた光制限素子を提供することができる。
図2は、本発明の二光子吸収材料を、二光子励起し得る波長の制御光により二光子励起させることによって、一光子励起し得る波長の信号光を光スイッチングする光制御素子の一例である。保護層で狭持された二光子吸収材料の形態を示すが、この構成が本発明を限定するものではない。
本発明における光制限素子の公知文献として特開平8−320422号公報が挙げられる。これによると光照射により屈折率が変化する光屈折率材料に、その屈折率が変化する波長の光を照射してフォーカシングを行い、屈折率分布を形成する光導波路として開示されている。すなわち、本発明の高い二光子吸収能を有した材料、薄膜、もしくは光硬化性樹脂等に分散させた固体物を光学素子として配置し、ひとつの波長(λ1)の光で励起状態に励起され、さらにその状態から他の波長(λ2)の光で他の状態に励起されるこにより波長による屈折率変化分布を利用した光導波路の設計が可能となる。また、二光子吸収材料はその多くが蛍光を有するものが多く、光デバイスの一方の出射端またはその近傍に蛍光物質を配置し、他方から励起光(λ1)を出射させ、励起光と蛍光(λ2)で屈折率分布を形成することもできる。この場合、通常蛍光の方が励起光より弱いので、感度は蛍光の波長において大きくすることが望ましい。蛍光物質としては、蛍光色素を光硬化性物質に分散させたものなどが例示される。
(光造形用材料への応用)
二光子光造形法の装置の概略図を図3に示し、以下に説明する。
近赤外パルスレーザ光源1からの光をミラースキャナー5を通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂9中に集光させレーザスポットを走査し、二光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させて任意の三次元構造を形成する二光子マイクロ光造形方法である。
パルスレーザ光をレンズで集光して、集光点近傍にフォトンの密度の高い領域を形成する。このときビームの各断面を通過するフォトンの総数は一定なので、焦点面内でビームを二次元的に走査した場合、各断面における光強度の総和は一定である。しかしながら、二光子吸収の発生確率は、光強度の二乗に比例するため、光強度の大きい集光点近傍にのみ、二光子吸収の発生の高い領域が形成される。このように、パルスレーザ光をレンズによって集光させ二光子吸収を誘起することで、集光点近傍に光吸収を限定し、ピンポイント的に樹脂を硬化させることが可能となる。集光点はZステージ6とガルバノミラーによって光硬化樹脂液内を自由に移動させることができるため、光硬化性樹脂液内において目的とする三次元加工物を自在に形成することができる。
二光子光造形法の特徴としては、以下の項目が挙げられる。
1)回折限界をこえる加工分解能:二光子吸収の光強度に対する非線形性によって、光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
2)超高速造形:二光子吸収を利用した場合、焦点以外の領域では、光硬化性樹脂が原理的にも硬化しない。このため照射させる光強度を大きくし、ビームのスキャン速度を速くすることができる。このため、造形速度を約10倍向上することができる。
3)三次元加工:光硬化性樹脂は、二光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
4)高い歩留り:従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うのでこうした問題は解消される。
5)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
二光子光造形用光硬化性樹脂とは、光を照射することにより二光子重合反応を起こし、液体から固体へと変化するという特性を持った樹脂である。主成分はオリゴマーと反応性希釈剤からなる樹脂成分と光重合開始剤(必要に応じ光増感材料を含む)である。オリゴマーは重合度が2〜20程度の重合体であり、末端に多数の反応基を持つ。さらに、粘度、硬化性等を調整するため、反応性希釈剤が加えられている。光を照射すると、重合開始剤または光増感材料がこれを二光子吸収し、重合開始剤から直接または光増感材料を介して反応種が発生し、オリゴマー、反応性希釈剤の反応基に反応し、重合を開始させる。その後これらの間で連鎖的重合反応を起こし三次元架橋が形成され、短時間のうちに三次元網目構造を持つ固体樹脂へと変化する。
光硬化性樹脂は光硬化インキ、光接着剤、積層式立体造形などの分野で使用されており、様々な特性を持つ樹脂が開発されている。特に、積層式立体造形においては(1)反応性が良好であること、(2)硬化時の堆積収縮が小さいこと、(3)硬化後の機械特性が優れていること、等が重要である。これらの特性は本手法においても同様に重要であり、そのため、積層式立体造形用に開発された樹脂で二光子吸収特性を有するものは本手法の二光子光造形用光硬化性樹脂としても使用できる。その具体的な例としては、アクリレート系及びエポキシ系の光硬化性樹脂が良く用いられ、特にウレタンアクリレート系の光硬化性樹脂が好ましい。
本発明における光造形に関する公知文献として特開2005−134873号公報が挙げられる。これによると感光性高分子膜の表面に、パルスレーザ光を、マスクを介さずに干渉露光させている。前記パルスレーザ光としては、前記感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザ光であることが重要である。従って、パルスレーザ光としては、感光性高分子の種類、または、感光性高分子における感光性機能を発揮する基又は部位の種類などに応じて、その波長領域を適宜選択することができる。特に、光源から発光されるパルスレーザ光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、パルスレーザ光の照射に際して、多光子吸収過程を利用することにより、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させることが可能となる。
具体的には、光源から発光されるパルスレーザ光を集光して、集光されたパルスレーザ光を照射すると、多光子の吸収(例えば、二光子の吸収、三光子の吸収、四光子の吸収、五光子の吸収など)が生じ、これにより、光源から発光されるパルスレーザ光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、感光性高分子膜には、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザ光が照射されたことになる。このように、干渉露光するパルスレーザ光は、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域となるパルスレーザ光であればよく、照射条件などにより、その波長を適宜選択することができる。たとえば、本発明の高効率二光子吸収材料を光増感材料とし、紫外線硬化樹脂等に分散し、感光物固体としこの感光物固体の二光子吸収能を利用して焦点スポットのみが硬化する特性を利用した超精密三次元造形物を得ることが可能となる。
本発明の二光子吸収材料は、二光子吸収重合開始剤または二光子吸収光増感材料として用いることが出来る。従来の二光子吸収材料(二光子吸収重合開始剤または二光子吸収光増感材料)に比較し、二光子吸収感度が高いため、高速造形が可能で、励起光源としても小型で安価なレーザ光源が使用できるため、大量生産可能な実用用途への展開が可能となる。
(二光子吸収材料を用いた二光子蛍光顕微鏡への応用)
二(多)光子励起レーザ走査顕微鏡とは、近赤外パルスレーザを標本面上に集光し走査させて、そこでの二(多)光子吸収により励起されて発生する蛍光を検出することにより像を得る顕微鏡である。
二光子励起レーザ走査顕微鏡の基本構成の概略図を図4に示す。
近赤外域波長のサブピコ秒の単色コヒーレント光パルスを発するレーザ光源1と、レーザ光源からの光束を所望の大きさに変える光束変換光学系2と、光束変換光学系で変換された光束を対物レンズの像面に集光し走査させる走査光学系3と、集光された上記変換光束を標本面5上に投影する対物レンズ系4と、光検出器7を備えている。
パルスレーザ光をダイクロイックミラー6を経て、光束変換光学系、対物レンズ系により集光して、標本面で焦点を結ばせることにより、標本内にある二光子吸収蛍光材料に二光子吸収により誘起された蛍光を生じさせる。標本面をレーザビームで走査し、各場所での蛍光強度を光検出器7などの光検出装置で検出して、得られた位置情報に基づいて、コンピュータでプロットすることにより、三次元蛍光像が得られる。走査機構としては、例えば、ガルバノミラーなどの可動ミラーを用いてレーザビームを走査しても良く、或いはステージ上に置かれた二光子吸収材料を含む標本を移動させても良い。
このような構成により、二光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。
二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素は、標本を染色、又は標本に分散させることにより使用され、工業用途のみならず、生体系の細胞等の三次元画像マイクロイメージングにも用いることができ、高い二光子吸収断面積を持つ化合物が望まれている
本発明における光子蛍光顕微鏡の公知文献として特開平9−230246号公報が挙げられる。たとえば走査型蛍光顕微鏡は、所望の大きさに拡大されたコリメート光を発するレーザ照射光学系と、複数の集光素子が形成された基板とを備え、該集光素子の集光位置が対物レンズ系の像位置に一致するように配され、かつ、前記の集光素子が形成された基板と対物レンズ系との間に、長波長を透過し短波長を反射するビームスプリッタが配され、標本面で多光子吸収による蛍光を発生させることを特徴とするものである。このような構成により、多光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。このような二光子光学素子は上述の光制御素子と全く同様に本発明の高い二光子吸収能を有した材料、薄膜、もしくは光硬化性樹脂等に分散させた固体物を光学素子として用いる事が可能である。
本発明の二光子吸収材料は二光子励起レーザ走査顕微鏡用の二光子吸収蛍光材料として用いることが出来る。従来の二光子吸収蛍光材料に比較し、大きな二光子吸収断面積を有しているので、低濃度で高い二光子吸収特性を発揮する。従って、本発明によれば、高感度な二光子吸収材料が得られるだけでなく、材料に照射する光の強度を強くする必要がなくなり、材料の劣化、破壊を抑制することができ、材料中の他成分の特性に対する悪影響も低下させることができる。
本発明の二光子吸収材料はそれそのもの単独もしくは各種の樹脂との混合の薄膜、あるいはバルクで種々のデバイスへの応用が可能である。
例えば、光ディスクでは上記薄膜が基板と接しており、その基板材料はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、積層する場合であれば、中間層(仕切層)に該薄膜表面が接している。中間層の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは種々の光硬化樹脂等が挙げられる。
次に、各種光学デバイス、光造形デバイスに応用するにしても、各種樹脂に混合されているか、光硬化樹脂に混合され用いる。
従って、本発明の二光子吸収材料の使用要件としては、該材料が各種樹脂、またはガラスに混合されているか、二光子吸収材料層界面が各種樹脂、またはガラスに接していることである。
言い換えれば、本発明の二光子吸収材料はミクロレベル、又はマクロレベルで各種樹脂、又はガラスに接している構成となっている。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
(合成例)
下記構造式(1)のホモポリマーの合成
前記の前駆体例No.4を15.8g(29.49mmol)と前駆体例No.8を16.18g(29.49mmol)のトルエン(130mL)中の混合物に窒素下においてAliquat336(1.5g、3.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.18g、0.15mmol)、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(50mL、100mmol)を加えた。この混合物を激しく攪拌し、穏やかに2時間還流して加熱し、粘稠な混合物が観察された。さらに50mLのトルエンを加え、さらに15時間反応を続けた。次いで60mLのトルエンをこの粘稠な反応混合物に加え、さらに9時間加熱、攪拌を続けた。この最後において、2gのフェニルエチレンボロネートを加え、次いで15時間加熱し、1gのブロモベンゼンを加え、5時間加熱することによってポリマーをキャップした。この反応混合物を約60℃に冷却し、3Lのメタノールと300mLの脱イオン水の攪拌溶液にゆっくり加えた。濾過によって繊維状のポリマーを集め、メタノール(500mL)、脱イオン水(200mL)、及びメタノール(800mL)で連続して洗浄し、次いで真空オーブン内で60℃において10時間乾燥させた。ポリマーの重量は23gであった(収率100パーセント)。このポリマーのポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定では、148,000g/moleのMw及び47,980g/moleのMnを示した。このポリマーのIRスペクトル特性は以下の構造と一致した。
Figure 0004906371
下記構造式(2)のコポリマーの合成
前駆体例No.4を6.40g(12.0mmol)と前駆体例No.9を4.00g(12.0mmol)のトルエン(80mL)中の混合物に窒素下においてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.18g、0.156mmol)、Aliquat336(1.0g)、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(24mL、48mmol)を加えた。この混合物を激しく攪拌し、24時間還流して加熱した。粘稠な反応混合物をアセトン(500mL)に注ぎ、繊維状の黄色のポリマーを沈澱させた。このポリマーを濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた。このポリマーのIRスペクトル特性は以下の構造と一致した。
Figure 0004906371
上記の合成例と同様の方法で以下の化合物を得た
Figure 0004906371
Figure 0004906371
Figure 0004906371
Figure 0004906371
上記化合物の(1)〜(12)は重合体であり、(13)〜(18)は単分子化合物である。
[実施例1〜5]
上記の化合物例(13)、(15)、(16)、(17)、(18)で示した単分子化合物を用い、それぞれの濃度が0.01(mol/l)となるようにテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
[実施例6〜10]
上記の化合物例(2)、(3)、(4)、(6)(10)で示した重合体において、その繰り返し単位を分子量と換算し、濃度0.01(mol/l)テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
[比較例1]
以下の化合物(19)で示した化合物を用い、その濃度が0.01(mol/l)となるようにテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
Figure 0004906371
[二光子吸収断面積の評価方法]
測定システム概略図を図5に示す。
測定光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ
波長 :800nm パルス幅:100fs
繰り返し:80MHz 光パワー:800mW
測定方法:Zスキャン法
光源波長 :800nm キュベット内径:10mm
測定光パワー :約500mW 繰り返し周波数:80MHz
集光レンズ :f=75mm 集光径 :40〜50μm
集光されている光路部分に試料溶液を充填した石英セルを置き、その位置を光路に沿って移動させることによりZ−scan測定を実施した。
透過率を測定し、その結果から理論式(I)により非線形吸収係数を求めた。
T=[ln(1+Iβ)]/Iβ ・・・・ (I)
(上記式中、Tは透過率(%)、Iは励起光密度[GW/cm]、
は試料セル長[cm]、βは非線形吸収係数[cm/GW]を示す。)
この非線形吸収係数から、下記式(II)により二光子吸収断面積δを求めた。(δの単位は1GM=1×10−50cm・s・molecule−1・photon−1である。)
δ=1000×hνβ/NACβ ・・・・ (II)
(上記式中、hはプランク定数[J・s]、
νは入射レーザ光の振動数[s−1]、NAはアボガドロ数、
Cは溶液濃度[mol/L]を示す。)
<評価結果>
評価結果を表1に示す。
Figure 0004906371
上記表1より、本発明の二光子吸収材料は従来知られている二光子吸収能を発現する化合物の二光子吸収断面積と比較すると1桁以上の特性改善効果が認められ、高出力レーザを用いない、安価なレーザでの種々の応用すなわち、三次元メモリ、光制限素子、光造形用材料、二光子蛍光顕微鏡用色素材料等の応用が期待できる材料であることが明確となった。
本発明の二光子吸収材料は、三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料などの用途に好適に使用することができる。
三次元多層光メモリの記録/再生のシステムの概略図である。 光スイッチングする光制御素子の一例を示す図である。 二光子光造形法の装置の概略図である。 二光子励起レーザ走査顕微鏡の基本構成を示す図である。 二光子吸収材料の二光子吸収断面積を評価する方法を示す図である。
符号の説明
(図3について)
1 光硬化樹脂液に対して透明性を有する近赤外パルスレーザ光の光源
3 過光量を時間的にコントロールするシャッター
4 NDフィルター
5 ミラースキャナー
6 Zステージ
7 集光手段としてのレンズ
8 コンピュータ
9 光硬化性樹脂液
10 光造形物
(図4について)
1 レーザ光源
2 光束変換光学系
3 走査光学系
4 対物レンズ系
5 標本面
6 ダイクロイックミラー
7 光検出器

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される二光子吸収材料。
    Figure 0004906371
    (上記式中
    Arは置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれるの二価基であり、
    はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
  2. 下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する二光子吸収材料。
    Figure 0004906371
    (上記式中
    Arは置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、
    はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基である。)
  3. 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
  4. 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
  5. 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
  6. 請求項1又は2に記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料。
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